森やすじの空間

はじめに

1992年に氏がお亡くなりになってから、すでに10年以上が過ぎ去りました。
森やすじさんの足跡どころか、名前を知っている人すら、少なくなっている現状です。
氏のプロフィールを紹介するその前に、氏が残した功績について先に紹介しておきます。
氏がアニメーション界にとって、如何になくてはならない偉大な人物だったかを、
ご理解していただけると思います。

         森康治(もりやすじ)さんについて

 森やすじさんは、終戦直後の昭和20年頃、政岡憲三の『くもとちゅうりっぷ』に魅了され、
更にアメリカのカラー短篇漫画『マイティマウス』に驚きアニメを志すようになります。
志の示すままに政岡憲三・山本早苗等の日本動画へ入社。次々と作品の動画を
担当する中、熊川正雄・古沢日出男等の指導を受け、着々と力量を上げていきます。
 そんな中、日本動画の解散により西武百貨店宣伝部に転職。
会社員となるそのかたわら「漫画少年」の表紙画や小学館、講談社の依頼で
多くの童画を発表し世界名作絵本なども多数手がけます。
 その後、日動映画株式会社へ入社。同社が東映傘下に吸収され東映動画となると
共に、より大規模になっていくアニメーション製作の最前線で中心となって創作活動を
長年続けることになります。日本最初のカラー長編漫画映画『白蛇伝』を初めとして
少年猿飛佐助』『西遊記』などの長編漫画映画製作を連続して製作。更に
わんぱく王子の大蛇退治』においては、美術及びアニメーションのスタイルの統一を
図り、既存の海外アニメの模倣を脱して日本独自のアニメーション・アートを実現
させるという革新的な成果をあげました。それからも『太陽の王子ホルスの大冒険
長靴をはいた猫』など長編漫画映画や様々な短編製作の過程で、現在第一線で
活躍している多くの人材〔坂本雄作、大塚康生、彦根のりお、奥山玲子、高畑勲
月岡貞夫、中村和子、小田部羊一、宮崎駿、永沢まこと、林静一、杉井ギサブロー
、等〕を育成してきました。
 48歳の時、東映動画を退社。製作プロダクション日本アニメーションでメイン・スタッフ
として携わり、活動をTVアニメのジャンルに移します。ここでも『山ねずみロッキー・チャック』はじめ、『アルプスの少女ハイジ』『フランダースの犬』『くまの子ジャッキー
など多くの作品の設定・作画監督などで活躍。更に講談社、ポプラ社などの
世界名作絵本
や雑誌「別冊幼児と保育」(小学館)の表紙などに多く作画します。
また「ふしぎなかばん」(講談社)「ハリエモンのくすりはおいしいか?」(徳間書店)
などの絵本でも暖かな独自のイラストレーションを発表し続けました。



つまり、日本のアニメーション界の創世記から参加し、活躍を続け、
@海外アニメの模倣に留まっていた日本のアニメを、独自の芸術にまで高め
Aもはや語るまでもない超大御所・大塚康生、高畑勲、宮崎駿を育てた人物

それが 森やすじ 先生なのです。では、改めてプロフィールをどうぞ・・・

Profile

西暦 元号 年齢
1924年 大正14年 1月28日鳥取県に生まれる。本名・森康二。
1937年 昭和12年 12歳 台中の明治小学校卒業
1942年 昭和17年 17歳 台中の州立二中学校卒業
1945年 昭和20年 20歳 召集令状届く。千葉の鉄道隊に入営。熊本市郊外の川尻へ移送。終戦。
1946年 昭和21年 21歳 復学のため上京。この頃、アニメーターになる決意を固める。
1949年 昭和24年 24歳 東京美術学校(現・東京芸術大学)建築科卒業。
4月、日本動画社鰍ノ入社
1950年 昭和25年 25歳 2月、結婚(妻・縫)
1952年 昭和27年 27歳 日本動画社解散。西武百貨店宣伝部入社
1954年 昭和29年 29歳 3月、会社員の傍ら『子うさぎものがたり』日動映画の監督・演出を手掛ける
1956年 昭和31年 31歳 日動映画社に入社。日本動画社が東映に吸収され、「東映動画」となる
1957年 昭和32年 32歳 1月、東映動画が大泉に移転
1958年 昭和33年 33歳 日本最初のカラー長編漫画映画『白蛇伝』(原画)公開
1963年 昭和38年 38歳 7月、『わんぱく王子の大蛇退治』(原画監督)公開
1965年 昭和40年 40歳 TVアニメ『宇宙パトロールホッパ』『ハッスルパンチ』(作画監督)
1968年 昭和43年 43歳 『太陽の王子ホルス』(原画)
1969年 昭和44年 44歳 『長靴をはいた猫』(作画監督)
1971年 昭和46年 46歳 『どうぶつ宝島』(作画監督)
1973年 昭和48年 48歳 東映動画を退社。端鷹エンタープライズに入社
TVアニメ『山ねずみロッキーチャック』(作画監督)
1974年 昭和49年 49歳 TVアニメ『アルプスの少女ハイジ』(作画デザイン)
1975年 昭和50年 50歳 端鷹エンタープライズが名称変更。「日本アニメーション梶v誕生。
TVアニメ『フランダースの犬』(作画デザイン)
1976年 昭和51年 51歳 TVアニメ『草原の少女ローラ』(作画監督)
1977年 昭和52年 52歳 TVアニメ『くまの子ジャッキー』(作画監督)
1979年 昭和54年 54歳 TVアニメ『シートン動物記 リスのバナー』(キャラクターデザイン)
1992年 9月4日病没
参照 「まんがファン」特集・森やすじの世界
「もぐらの歌」徳間アニメーション文庫
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Link

1967年に東映動画.虫プロ.東京ムービー.スタジオゼロ.TCJ(現エイケン).Aプロダクション(現シンエイ動画)などのプロ・アニメーターにより設立された組織。現在、研究家・一般を対象に世界中のアニメーションの研究・交流にはば広く取り組んでいます。
みどりが森って
こんなところ♪
作画監督されました『山ねずみロッキーチャック』のファンサイトです。
くまの子ジャッキー
の お部屋
作画監督されました『くまの子ジャッキー』のファンサイトです。
シートン動物記
りすのバナー
キャラクターデザイン担当されました『シートン動物記 リスのバナー』
の各話紹介サイトです。
東映動画
森やすじなお部屋
初期東映動画に関する絵を置いているお部屋です。作品へのコラムなどお待ちしておりますので♪
現・東映アニメーションのサイト。
東映アニメーションより
ハッスルパンチ

Wark

「森やすじの動物カット集」
(小学館)
「もりやすじの世界」 アニドウの「もりやすじ画集」 「もぐらのノート」
1949年6月
『ポッポやさん
 のんき機関士』
日本動画映画
動画
1950年12月
『小人と青虫』
日本動画
(作画)
1953年8月
『ありとはと』
日動映画
(作画)
1954年3月
『子うさぎものがたり』
日動映画
(監督・演出)
1955年10月
『うかれバイオリン』
日動映画
原画
1956年7月
『黒いきこりと白いきこり』
日動映画
(脚本
1957年5月13日
『こねこのらくがき』
〔東映教育映画部〕
(作画)
1958年10月22日
『白蛇伝』
東映動画
原画
1959年12月25日
『少年猿飛佐助』
東映動画
原画
1960年8月14日
『西遊記』
東映動画
原画
 
1961年7月19日
『安寿と厨子王丸』
東映動画
原画
1962年5月01日
『恋や恋なすな恋』
東映京都
原画)
1963年3月24日
『わんぱく王子
の大蛇退治』
東映動画
原画監督
1963年12月21日
『わんわん忠臣蔵』
東映動画
原画
1965年3月20日
『ガリバーの宇宙旅行』
東映動画
原画
1968年7月21日
『太陽の王子 
ホルスの大冒険』
東映動画
原画
1969年3月18日
『長靴をはいた猫』
東映動画
(作画監督)
1970年3月17日
『ちびっ子レミ
と名犬カピ』
東映動画
原画
1971年3月20日
『どうぶつ宝島』
東映動画
作画監督
1971年7月18日
『アリババと40匹の盗賊』
東映動画
原画
1972年3月18日
『ながぐつ三銃士』
東映動画
作画監督
1972.07.16
『魔犬ライナー
 0011変身せよ』
東映動画
原画
1973年3月17日
『パンダの大冒険』
東映動画
原画
1973年12月20日
『山ねずみロッキー・チャック
 がんばれチャタラー』
ズイヨー映像
作画監督
1979.07.29
『ねずみのよめいり』
東映動画
監修