バカ漫画 其之弐拾四 | |
あ せ ん だ ん と 「愛星団徒」 〔集英社・プレイボーイC〕 全6巻 1985/1/25〜 松田一輝 |
(C)松田一輝
前回のバカ漫画・「アストロ球団」の系譜、その後継漫画たちの続編。 アルティメットバカ野球漫画の紹介です。 その名も『愛星団徒』!!(「あせんだんと」とお読みください) ぶっ飛びすぎて影も踏めないどころか、もはやアチラの世界まで逝っちゃってます。 よくこんな作品が週刊連載できたもんです。さすがはプレイボーイ (なんだその誉め方は) 前回、『アストロ球団』などバカ野球漫画における共通点を提示しておきましたが
この『愛星団徒』においても、これらを一つ一つ検証していくことにしましょう。 まずですが、これが総ての野球漫画を超越しております。 舞台は遥か彼方にブッ飛んで五万年前のアストロン星(ブッ飛び過ぎです)。 大宇宙の悪魔ネブラの脅威にさらされていたアストロン星において、星の賢者たちは 大宇宙をおさめし偉大なる永遠の神・アウロアの聖典の中に記された予言の一節
かくして、アストロン星の消滅直前に放たれた、神の気を受けた隕石が 五万年後、五万光年離れた地球に、すごくタイミング良く到着。 あれ。…ってことは、その隕石は、光速で飛んでたことになりますが。 ここに、神の子たる9人の勇者が誕生したのだ。
さ。気を取り直してですが、これは単純明快。体のどこかに星型の痣があります。 いや、それだけですが。 においても、その超人ぶりは他のバカ野球漫画の追随を許しません。 元々は平凡な人間だった主人公たちは、18歳を境に超人的な身体へと体質変化(第二次成長)。 主人公の投手・鷹王旭(あきら)は、当初から時速200kmの速球を投げております。 しかし、これでも彼は本気じゃありません。本気出せば捕手が捕球できない(つーか、死ぬ)からです。 後に本気出したところ、マット7枚をブチ破り、時速280〜300kmに達します(後に更に成長)。 ……他のメンバーも実は凄い実力の持ち主(のはず)なのです。なんつったって地球代表ですし。 しかし、主人公あまりにも目立ち過ぎて、他のメンバー完全に雑魚扱い。まぁ(一応)紹介はしますが。 鷹王の速球を受ける捕手・砲岩大発は、駒形部屋の相撲取り。突っ込んでくる暴走ダンプカーを素手で止める。 他のメンバーはもっと雑魚扱い。単なるバントをランニングホームランにする(ファミスタ?)ほどの俊足俊敏を誇るボクサー出身・ジョー隼人とか 垂直跳び5m(後10m)。ジョー隼人をバックホームで刺すほどの強肩・飛高翔とか、身長2m50cm。2〜3kgの超特大バットを振るう怪力の打者・神楽一鉄とか アイスホッケー公式戦で一点も許したことない鉄壁のキーパー・甲斐直人とか、サッカー日本選手権で、33点のゴールを決めた得点王・北条健太郎とか そして、鉄壁の双子二遊間コンビ、霞兄弟(兄・俊一、弟・俊二)。錚錚たるメンバーですが、本編ではほとんど活躍しないので、こんな扱いですよ(笑) そして。当然、敵は大宇宙の悪魔ネブラ。はっきり言って半端じゃありません。 突如、ガス状の光に包まれたUFOの集団が地球に飛来
……ね、半端じゃないでしょ? もちろん、その実力も半端じゃありません。 打者の放った打球は、グラブをブチ抜き、捕球した外野手の腕をブチ砕き、フェンスに突き刺さる。 「で…で…出ました! ガスの殺人ライナー!!」(CP.156) 毎試合、負傷退場者続出の死のゲーム。
しかし、もっと半端じゃないのは、彼らが遠征する先々で発生する謎の霧。 その謎の霧が広がるところには、身体中が腐る恐るべき奇病が蔓延するのです。
今だと、さすがにシャレにならんのではないかと。この時点でこの漫画、発禁本確定。 20年以上前の作品とはいえ、これほど過激な表現をあっけらかんと載せているとは、 さすがはプレイボーイ! ……え、違う? さて、前置きが長くなりました。は後回しにして、ストーリー(試合)を追っていきましょう。 いかにもプレイボーイ的なお約束のHなシーンやら、異次元空間だか魔界だかでの格闘シーンやら、 他の突っ込みどころもあるのですが、バッサリ割愛させて頂きます。そうでもしないとキリないんで。 ★まずは、普通の(?)プロ野球編。 主人公らの所属するは、弱小球団・南海ジャガーズ。 ライバルは、日本最強球団・東京ムスタング(あの球団)。新人の長縞(あのお方なのに左打者)を筆頭に 江皮、中旗、忍塚、丘崎、羽羅、芳村、松元(←分かる人だけ分かってください)。そして監督は黄(おう)。 長縞さん、鷹王の時速200kmを努力と才能により打ち崩す。こっちの方がすごいと思いますが、 しかし、鷹王本気で投げる時速280kmは、もはや人間には打てないという結論に(そりゃそうだ)。 そこでミスター…じゃなかった、長縞さん。読んで字の如く悪魔に魂を売り渡す(素晴らしい!!)。 しかし、その直後第3次成長を遂げた鷹王たち。全力投球は、木もコンクリの壁も電柱もブチ抜く。
★そして、大宇宙の悪魔ネブラに憑依された東京ムスタングの選手たちとの死闘編。 皆既日食で真っ暗の中での試合。野次ったファンには雷が落ちて黒コゲに。ホントに人類の試合か? 先発・江皮が時速250km以上の速球を、しかも、いきなり顔面(それも目)にぶつけるビーンボール。 ラフプレーと、幻覚・催眠術・金縛り……ありとあらゆるオカルト的手口で互角の試合展開に。 さすがに時速500kmの速球は、長縞さんですら打つことかなわず三振(バットが燃え尽きるんで)。
そして、一方的に宣言する↓
しかし几帳面なんだかいい加減なんだか、訳の分からん宇宙人ですよ>ネブラ ★大宇宙の悪魔ネブラの代表・GAZZ〔ガス〕との、衝(笑)撃のラストバトル! 場所: 沖縄近辺の絶海の孤島に、一日で完成させた球場(後楽園球場の5倍) 〔マウンド〜ホーム間:92m 塁間:137m ホーム〜外野スタンド:600m〕 ルール: 一人アウトでチェンジ。勝敗はその回の得点数で決定(同点の際は延長戦)。 ……もはや、野球とか関係ありません!! GAZZ〔ガス〕の投手の速球は、脅威の時速1020km!! 対する鷹王たちも、試合前に第4次成長を遂げ、自己最高記録時速850km出すが、 GAZZの打者たちには通じず24点の滅多打ち。 誰もがあきらめかけたその瞬間………!! 鷹王たちの身体が光り輝き、究極の第5次成長を遂げる(この時点で、もはやグラブとか必要なし)。 速度は時速1080km!! さすがのGAZZの打者もあえなく三振(ワンアウト・チェンジ)。 …すると、三振を喫したGAZZの打者が消滅!! この試合、アウトになったら消滅するらしい。
1回裏で24点取らなければ、その時点で試合終了GAZZの勝利(25点取れば地球の勝ち)。 第5次成長を遂げたナイン。もはやバットではなくビームサーベルでの滅多打ちで同点に。 あと一点取れば勝利……と思いきや、ここでGAZZの投手の身体が突如、宙に浮く(空中浮遊)。 そして投じられる速球。何と、時速1836km(マッハ1.5)!! 霞俊一(兄)あえなく三振&消滅!!(チェンジ)。あれ↑は打てん。もはや一点も与えられない。 精神統一したナイン(エイト?)は、次々と空中浮遊。そして、選手全員による空中大決戦!! ……もはや、グランドの意味ありません!! 鷹王の速球も、マッハ1.6(時速約2000km)を叩き出す。 そこから先は、一転して投手戦。次々と消滅していくGAZZと地球の戦士たち。 これでは埒があかぬと、GAZZの投手が(身勝手な)提案をする。
承諾する鷹王。次第に上昇する二人の身体。空中1万mを超えて更に更に上昇をし続け、 ……舞台は宇宙空間へ。宇宙大決戦!!。そして、スペースシャトルによる実況生中継。 ……もはや、ルールとか関係なくなりました。 そして、他の戦士たちの存在意義も。 そして開始される、コスミックファイト一対一。 二人の投げる球の速度は計測不能(つーか、もはや誰も計測すらしてない) 対決が20球に達する頃、鷹王の精根尽き果てる。ネブラの巨大円盤の指令で トドメを刺される瞬間、鷹王は恋人(実は月の女神ヴィーナスの娘)と合体。 そして、愛の力でパワーアップ!! 互角の勝負に持ち込む。 GAZZの投手も、ネブラの巨大円盤の力を借りて巨大化して挑む。 しかし27球目。偉大なる愛の力の前に敗れ去るGAZZの投手。消滅!! ・ ・ ・ ・ ・ かくして脅威は去り、地球、いや、宇宙は救われた。 ………誰もがそう思った時、 今度は、ネブラの巨大円盤が襲ってくる!! ・ ・ ・ ・ ・ もはや、宇宙憲章の意味すらなし!! 大宇宙をおさめし偉大なる永遠の神・アウロアにより、全宇宙のパワーが 鷹王の剛速球に集中し……そして、ネブラの巨大円盤爆発消滅!! ・ ・ ・ ・ ・ かくして、全宇宙は救われた。 消滅を免れた砲岩と霞(弟)は、それぞれ自分の星に帰ると言う(いや、オマエら地球人だろ)。 そして鷹王と恋人の瞳は(合体は解除されたらしい)、平凡な人間として地球に残ることを決意。 ヨットでクルージングしながらHするのだった(そこはそれ、プレイボーイですからw)。 完 蛇足。 松田一輝先生の「あとがき」がございます。この作品誕生のキッカケは担当S氏の 「ひとつ原点に戻り、理屈抜きで楽しめる、スカッとした漫画を描いてもらえないだろうか」 …との要望に対して、どうせやるなら、 「今までお目にかかったことのないような奇想天外な発想で、 それも超人で、SFXを取り入れたようなモノを描いてみよう……」 ……そう決意されたそうです。 かくしてここに誕生したわけですよ。 理屈抜きの超大作? SFXスーパー野球漫画 が。 「こまかいことにはこだわらず、面白おかしく読んだいただけたなら、 作者として、小生最高の喜びなのであります。」 ……とのことです。 いやもう、全くそのとおりでございます。 |
このレビューに感想でも書いてやろうという奇特(ヒマ)な方は、バカへの一言にお願いします。
トンデモねぇコーナーだ!怪しからん!文句言ってやる!という方はこちらへ。