妊婦たらいまわし 2度と起こすな

産科救急の整備急げ
医師、助産師の確保も厚労相「省挙げて対応」
太田代表らが緊急要望

 公明党の太田昭宏代表と厚生労働部会の古屋範子部会長は31日、厚労
省で、舛添要一厚労相に対し、奈良県で起きた妊婦のたらい回しによる死産
の問題を受けて、妊産婦の緊急受け入れ体制の整備と産科医不足対策に
関する緊急申し入れを行った。西博義衆院議員、伊藤渉厚労大臣政務官
(公明党)も同席した。


一行は席上、奈良県橿原市在住の妊婦が、受け入れ施設のないまま、救急
車内で死産したことについて、「あってはならない痛ましい出来事」と強調。

 さらに、昨年8月にも同県で分娩中に重体となった妊婦の転院が断られ、
死亡した事件に言及。公明党厚労部会として早急な対応を求めていた経緯
に触れ、妊産婦の緊急受け入れ体制について「国民の生命、健康、生活を
最優先に、安心して子どもを産むことができるよう、早急な取り組みが必要
だ」と訴えた。


また、産科医不足について、24時間体制で対応できるよう複数の産科医の
連携を促す診療報酬上の評価や、助産師、看護師との連携強化、人員確保
などが重要だと指摘した。

 その上で、(1)徹底的な原因究明と再発防止、救急医療、周産期医療シス
テムの万全な体制整備(2)救急医療における確実な連携のためのネットワ
ークの整備(3)医師や助産師の確保と、緊急時の受け入れができる産婦人
科病院などの整備(4)分娩における医師、助産師、看護師らの適切な連携
確保(5)周産期医療体制の早期整備(6)ドクターヘリの配備促進――を要
望した。


舛添厚労相は、「困っている人のために政治があるという思いは、私も公明党
と全く同じ」と述べ、要望に対して「省を挙げ、全力を尽くして指摘の点に対応
する」と強調。さらに、ドクターヘリの配備推進や無料の妊産婦健診の回数を
増やすことなども視野に、早急に検討を進める考えを示した。


党奈良県本部も申し入れ


公明党奈良県本部の岡本志郎代表(奈良市議)と県議会公明党の畭真夕美、
大国正博、岡史朗議員は31日、同県橿原市の妊婦が11カ所の病院から受
け入れを拒否され、大阪まで搬送する途中、救急車内で死産した問題で、荒
井正吾知事に対し緊急申し入れを行った。


奈良県では昨年8月、町立大淀病院で分娩中の妊婦が意識不明になり、19
カ所の病院に受け入れを断られ、大阪まで搬送した後、死亡する事件が発生
している。公明党はこの際にも、総合周産期母子医療センター整備、ドクター
ヘリ導入や妊産婦の救急搬送システムの確立を求めていた。


公明党は今回、再び同じような問題が発生したことを重視。徹底した原因究明
と再発防止策を求めるとともに、妊産婦を緊急搬送できる県内の産婦人科病
院の体制整備を要求。さらに懸案となっている周産期医療体制の早期着手、
ドクターヘリ配備を強く要望した。

 この日の申し入れには、前日の30日、橿原市の安曽田豊市長に対し、安心
の医療体制確立を申し入れた公明党の若林俊男、森下みや子、松田由美子
の各橿原市議も同席した。

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