臨時国会 論戦で責任問われる政党

テロ特措法の対応を世界が注視
戦後初のねじれ国会

 衆院では与党が、参院では野党が過半数を制する戦後初の“ねじれ”国会
が10日から始まった。

 与党にとって厳しい状況であることに間違いはない。「政治とカネ」問題など
改めるべき点は改め、その結果を国民に分かるように示すことが求められる。
さらに国会論戦に際しては、より真摯に粘り強く野党の意見も聞き、法案の
修正協議が可能であれば積極的に取り組む姿勢が求められよう。

 こうした“自己革新”ができなければ、与党として参院選で国民に約束した
政策の実現は困難になる。「野党によって法案が阻止された」と言うばかり
では、いかに“ねじれ”国会とはいえ、無責任とのそしりを受けることは免れ
ない。このように与党は今臨時国会から新たな挑戦に直面することになるが、
同時に参院で過半数をもつ野党も新たな責任を負うことになった。先の通常
国会のような政局優先の対決路線だけでは国民の期待に背くことになろう。

 その意味で、この国会は与野党各党の理念、行動が鋭く問われる場になる。
10日の公明党両院議員総会で太田昭宏代表は、「(国会論戦に当たって)
心すべきは、公明党はもちろんだが、自民党も民主党も、何よりも『国民の
側に立つ』『庶民の側に立つ』という視点に立っての論戦が最も大切だ」と呼
び掛けた。政局優先で重要な政策課題が政争の具にされるようでは、参院
選で示された国民の要望に政治が応えたことにはならない。国民本位で各
党が正面から向き合う政策論議を繰り広げてこそ、民意によって生まれた新
しい国会にふさわしい政治となるはずだ。太田代表は「この国会で論戦をリー
ドするのは公明党でなければならない」と、与党の中でさらなる存在感を示
そうと訴えた。

整合性ない民主党

 今国会では、11月1日に期限切れを迎えるテロ特措法の延長問題が最大
の焦点となる。太田代表は「9・11米国同時多発テロを起点とし、21世紀は
テロ対策が重要課題になった。テロと闘う姿勢を示すことが大事であり、テロ
特措法は国連安保理決議1368を受け、国際的なテロとの闘いとして海上自
衛隊がインド洋で給油活動を行うことを定めている。これは国際社会から高く
評価されている。民主党の意見を聞きながら継続という結論を得たい」と述べた。

 一方、民主党の小沢一郎代表は、テロ特措法にはその基になる国連安保
理決議がないとして継続反対を表明している。これに対し公明党の漆原良夫
国会対策委員長は、両院議員総会で民主党がこれまで国連安保理決議の
有無を理由にテロ特措法に反対したことはなく、それどころか自衛艦派遣の
国会承認には賛成した事実を上げ、今になって小沢代表が決議の有無を問
題にしていることについて、「整合性のない民主党の態度は十分、非難に値
する」と指摘した。

 決議1368が、アフガニスタンで実施中の40カ国以上による対テロ作戦の
基礎になっていることは国連でも当然視され、テロ特措法も同決議を基にし
ている。安倍晋三首相は10日の所信表明演説で「(インド洋上の自衛隊員
の姿こそ)世界から期待される日本の国際貢献の姿。ここで撤退し、国際社
会の責任を放棄して本当にいいのでしょうか」と訴えた。

 テロ特措法延長は、外交という国の基本政策にかかわる問題であり、ここ
での議論こそ政党の質を問うものになろう。

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