「改正雇用対策法」への期待
求人年齢の制限禁止を義務付け
10月1日から施行へ
10月1日から、募集・採用時の年齢制限を禁じた「改正雇用対策法」が
施行される。改正法によって、例えば「若者向け商品の販売員として30歳
以下を募集」とか「長距離トラックの運転手として45歳以下の人を求めてい
ます」などといった求人広告はできなくなる。改正法施行に向けて厚生労
働省は手引書を作成するなど周知徹底に努めているが、求人年齢の制限
禁止は企業・雇用主の取り組みにかかっているだけに積極的な対応を望
みたい。
雇用における年齢差別については、米国などでは人種、性別と並んで犯
してはならない“タブー”となっている。しかし、わが国では年齢差別が公然
とまかり通ってきた。少子高齢化が進み労働力不足時代の到来が必至で
あることを考えると、子育てを終え子どもに手のかからなくなった女性や一
次定年を迎えた中高年層が、年齢が壁になって再就職が難しいといった状
況は一刻も早く改善されなければならない。
改正雇用対策法は、公明党の主張を受けて先の通常国会に提出され、
6月1日の参院本会議で可決、成立した。改正法の狙いは、中高年層や新
卒時の就職難で正社員になれなかった年長フリーターの雇用促進にある。
厚労省によると、ハローワークにおける年齢不問の求人の割合は年々増
加傾向にあるとはいえ、まだ5割程度にとどまっている。その理由としては、
求人の年齢制限禁止が「努力義務」とされていることや例外規定が多いこと
が挙げられる。このため改正法では、努力義務にとどめていた年齢制限の
禁止を事業主に義務付けるとともに、例外的に年齢制限を認める例外規定
についても大幅に削減したのが大きな特徴だ。
具体的には、18歳未満の就業が禁止されている警備業務など労働基準
法が特定の年齢層の雇用を禁じている場合や、子役で10歳以下を募集す
るといった芸能・芸術分野で年齢制限が必要な場合などについては、これま
で通り年齢制限が認められる。
しかし、その一方で、これまでは認められていた「一定水準以上の体力が
必要な場合」「商品などの特性に合わせた年齢が求められる場合」「賃金体
系の変更が必要な場合」「労災に考慮が必要な場合」などの例外規定は、
削除されることになった。
これらの例外規定は、いずれも年齢ではなく本人の資質で判断すべきもの
で、多くの例外規定があると規制の抜け道になる恐れがあると考えられたか
らだ。これにより「長距離トラックの運転手として45歳以下」といった年齢制限
はできなくなったのである。
公明党は、雇用における年齢差別禁止を重点政策に掲げ、2001年2月の
衆院代表質問で神崎武法代表(当時)が年齢差別禁止法の制定を訴えたの
をはじめ、衆参委員会での質疑や政府への申し入れなどを通じ年齢制限の撤
廃を一貫して推進してきた。
雇用促進の推進力に
わが国の将来の労働力不足を見据えると、年齢や性別にかかわらず、誰も
が意欲と能力に応じて働くことのできる社会環境の整備は、まさに喫緊の課
題と言える。改正法施行による年齢制限禁止の義務付けが、中高年層、年
長フリーターや子育て後の女性の雇用促進に向けての大きな突破口、推進
力となるよう、政府も産業界も官民挙げて意識改革に取り組んでいくことが
期待される。
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