反テロ支援 国連安保理が“謝意"決議

アフガン復興へ給油活動継続を
持続的な国際協力

 国連安全保障理事会(安保理)は19日(日本時間20日午前)、テロ対策
としてアフガニスタンで行われているISAF(国際治安支援部隊=安保理決
議1386で設置)による治安維持活動の延長を認める決議1776を採択し、
ISAFと、海上での阻止活動を含むOEF(不朽の自由作戦=米英中心のテ
ロ掃討活動)に参加する国々に対し“謝意(appreciation)”を表明した。
OEFの海上阻止活動に言及した決議は初めてのことだ。

 日本は2001年以来、テロ対策特別措置法(テロ特措法)に基づき、米英
など約20カ国が参加するOEFのうち、インド洋で展開中のOEF―MIO(海
上阻止活動)に協力して外国艦艇への洋上給油を続けているが、この支援
が国連で評価されたことになる。

 この決議採択の背景には、11月1日に期限切れを迎えるテロ特措法の延
長問題がある。参院で過半数を制する野党の第一党である民主党は延長に
反対だが、その理由として小沢一郎代表は、海自の活動は国連安保理決議
に基づく活動ではないとの考えを示している。先月8日の駐日米大使との会
談の席上でも小沢代表は、OEFを「米国が国際社会のコンセンサスを待たず
に独自に始めた」戦争であり、「直接的に国連安保理からオーソライズ(承認)
されていない」と繰り返した。政府は小沢代表のいう「国際社会のコンセンサ
ス」を確認するため、安保理で準備が進んでいたISAF延長決議の中で海上
阻止活動を含むOEFに言及するよう各国に働き掛けた。その結果、今回の反
テロ行動参加国に対する謝意を含む決議が実現した。

国連憲章下のOEF

 こうした経緯を民主党の鳩山幹事長は「茶番」と批判したが、国家利益が厳
しく対立する国連安保理にあって、果たして茶番で決議が採択できるのか。
また、ロシアが手続き上の理由を挙げて投票を棄権したことを重視する見方も
あるが、安保理で拒否権を持つロシアが否決しなかった事実も併せて考える
べきだ。

 決議1776はまず前文で「ISAF及びOEFによるものを含む持続的な国際的
努力の必要性を強調」し、「ISAF及びOEFの海上阻止の要素も含むOEFへの
多くの国の貢献に対する謝意を表明」。さらに加盟国に対して拘束力をもつ本文
の中でも「ISAFに対し…(中略)…OEFと緊密に協議しつつ活動を継続するこ
とを要請」として、OEFが国際的な反テロ活動の一環である事実を示している。

 OEFを頭から国連の枠外の活動とする主張はあまりに一方的すぎる。01年の
9・11米国同時多発テロの翌日に全会一致で採択された国連安保理決議
1368は、国連憲章の下で「テロによって引き起こされた平和と安全に対す
る脅威に対してあらゆる手段を用いて闘う」と表明し、自衛権行使に言及して
いる。

 その後、米国や英国はそれぞれ個別的、集団的自衛権を行使してOEFを始
めたが、OEFのための新決議の必要性について当時のアナン国連事務総長
も安保理の理事国も不要との立場をとった。また、OEF参加国の中には同決
議を引用して集団的自衛権行使を安保理に報告した例もあるように、決議を
踏まえた活動と言える。

 テロ特措法の延長問題は、こうした経緯をも見据えた議論が必要だ。

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