温暖化国連会合 「ポスト京都」へ首脳結集
強い政治的メッセージを期待
国連事務総長が主催
世界80カ国以上の首脳が集まり、地球温暖化問題について意見を交換
する「気候変動に関するハイレベル会合」がきょう24日、ニューヨークの国
連本部で開かれる。会合のタイトルは「未来は私たちの手の中に 世界の
リーダーに気候変動への取り組みを求めて」。国連の潘基文事務総長が主
催する会合には150カ国以上が参加し、温暖化の緩和(温室効果ガスの
排出削減)、適応(被害の軽減)、技術、資金の四つの分科会に分かれて
話し合う。首脳や政府代表に加え、財界などから民間人も演説する予定だ。
会合では交渉は行われず、正式な宣言や公式声明なども発表されないが、
国連が総体を挙げて温暖化問題に取り組む意義は大きい。首脳レベルでの
強い政治的メッセージが示され、気候変動枠組み条約の交渉過程に新たな
弾みをつける機会になることを期待したい。
地球温暖化対策については、1997年12月の気候変動枠組み条約第3
回締約国会議(COP3=京都会議)で採択された京都議定書(2005年2
月発効)により、08年〜12年までの間に温室効果ガスを90年比で一定数
値削減することが各国に義務付けられている。わが国の削減率は6%であ
る。
この削減目標を達成することが当面の課題といえるが、京都議定書には、
温室効果ガス排出大国である米国の離脱をはじめ、中国やインドなど経済
発展がめざましい途上国に排出量の削減義務がないなどの問題点が指摘
されている。このため、13年以降の温室効果ガス削減の枠組みとなる「ポ
スト京都議定書」にどうやって米国を復帰させ、途上国も参加させるかが今
後の最大の課題となろう。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、今年5月までに提出
した三つの報告書で、(1)温暖化予測(2)被害予測(3)温室効果ガスを減
らす技術的な可能性と経済的影響の予測――を提示。温暖化についての
科学的知見を整理し、「ポスト京都」の枠組みの議論に必要な材料をそろえ
た。次は政治が舞台となる。
その点、ブッシュ米大統領は7日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)
ビジネスサミットで、エネルギー利用効率の改善目標を掲げた「シドニー宣言」
を参加各国と採択したのに続き、きょうのハイレベル会合にも出席。27、28
日には中国、インドを含む温室効果ガス主要排出国をワシントンに招いて
「主要経済国会合」を主催する。「ポスト京都」で主導権を発揮したい意図の
表れといえる。
欧州連合(EU)も今年に入り、「ポスト京都」の温室効果ガス削減目標とし
て20年に90年比で20%削減することを掲げ、6月には日本とともに共同声
明を発表、50年までに世界の温室効果ガス排出量を半減することを提案した。
残念な首相の欠席
わが国は、来年の北海道洞爺湖サミットで成果を上げるべく、5月の国際
交流会議で「50年に温室効果ガス半減」を盛り込んだ「美しい星50」を提案。
その後、温暖化防止の新たな枠組み作りに向け、各国首脳と合意を積み重
ねてきただけに、ハイレベル会合に首相が出席できないのは残念である。
新首相のもと、わが国の削減義務を明確に果たす中で、再び世界の環境
のリード役を努めていくべきだろう。具体的かつ有効な枠組みへの見直し、
地球規模の合意形成を目指し、公明党も積極的に提言していく決意だ。
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