連立合意 民意を真摯に受け止め
負担増・格差を緩和する政策推進
合意事項は15項目
公明党の太田昭宏代表と自民党の福田康夫総裁は25日午前、国会内で
会談し、15項目から成る連立政権合意に署名し、連立政権の継続を確認した。
連立政権合意は、これまでも新内閣発足などの節目ごとに交わされている。
合意は前文で、構造改革路線の継続を改めて確認するとともに、先の参院選
で示された民意を踏まえ、改革を急ぐあまり、そこから取り残された人や地域、
弱者へのセーフティーネットが十分でなかったことを「率直に反省」し、「負担
増・格差の緩和など国民生活に重きを置いた方向の政策を断行することが
必要と考える」と基調を明記した。
公明党が強く主張した「負担増・格差の緩和」については、来年4月に予定
される高齢者医療費の窓口負担の1割から2割への引き上げと、後期高齢
者医療制度の創設に伴い75歳以上の高齢者に新たに発生する被扶養者か
らの保険料徴収の凍結について「早急に結論を得て措置する」ことで一致した
ほか、障害者自立支援法の「抜本的な見直しを検討する」ことで合意。来年
(2008年)4月から実施予定の母子家庭に対する児童扶養手当の一部削
減の凍結についても「早急に結論を得て措置する」とした。
高齢者医療制度については、制度そのものの問題ではなく、高齢者に急激
な負担増を求めず、年金・医療・介護のバランスを含めて、トータルで負担の
あり方を検討することが重要だと判断した。
最大の焦点となっていた政治資金の問題については、1円以上のすべての
支出について政治資金収支報告書に領収書の添付を義務付けることで合意
した。
領収書の公開方法については今後の政党間協議に委ねることに対し、一部
に「結論の先送り」との批判もあるが、領収書の全面公開に向けた前提が整っ
た意味は大きい。今後、野党を含めて各党には合意形成へ努力が求められる
ことになる。
地方と都市の格差是正については、地域コミュニティーの再生や必要なイン
フラ整備など、地域活性化のための施策を大胆に講じるとともに、地域に必要
な地方財源を確保するとした。事業承継税制など中小企業支援策も拡充する。
このほか無年金・低年金を防止する施策の充実、ドクターヘリの配備促進や、
救急患者の受け入れを確実に行うためのシステムづくりなど救急医療の体制
強化、産科、小児科医の不足を解消し、児童手当の拡充、保育サービス・
妊産婦支援の充実など子育て支援策を強化することでも合意した。これらで
はいずれも公明党の考えや主張が反映された。
国会は安倍晋三前首相の突然の辞任による自民党の総裁選などで、10日
余の政治空白が生じた。インド洋での海自の給油継続問題をはじめ諸課題が
山積している。早急に国会審議を軌道に乗せなければならないのは当然だが、
何より取り組むべきは政治への国民の信頼回復だといえる。そのためにも連
立政権合意の着実かつ早急な実行が求められる。
政策実現に全力
党首会談の席上、福田総裁は、政権内での公明党の協力に謝意を示した上
で、「今後とも誠心誠意、連立を大事にしていく」と表明。太田代表は、難問が
山積するなか「負担増・格差の緩和など国民生活に重きをなした政策を出して
いかなければならない」と応じた。公明党は合意事項の政策実現に全力を挙
げる決意だ。
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