Australian Breedings of Standard type Cymbidium Orchids Cut Flower

       オーストラリアのスタンダードタイプ シンビジューム


スタンダードタイプのシンビジュームとその育種改良の歴史

ラン科シンビジューム属の原種は東南アジア地域を中心に、日本・中国大陸からオーストラリア大陸まで44種が分布しています。これらは更に、
 Cymbidium亜属(16種) / 熱帯低地産
 Cyperorchis亜属(19種) / 熱帯高地産
 Jensoa亜属(9種) / 温帯産
の三つの亜属へと分類されています。(Du Puy & Cribb / The Genus Cymbidium 1988)
このうち、花が大きくて美しいCyperorchis亜属の原種を用いた最初の人工交配種Eburneo-lowianumが、1889年にイギリスで作出されました。
この系統は、その後Alexanderi,Rosanna,Balkis,Early Birdなどの著名花を輩出して今日に至っており、育種上スタンダードタイプ(Standard,大型種)と総称されています。
一方、過程において大型種とCymbidium亜属・Jensoa亜属(金稜辺ラン・駿河ランなど)との交配による小型種(Minature)、大型種と小型種との交配による
中型種(Intermediate)と発展し、今日の隆盛を見るに至っています。
最初の交配種Eburneo-lowianumから100年以上経った現在、育種改良の歴史は進展複雑を極め、また途上においてメリクロン(1963年)・コルヒチンコンバージョン(1966年)
の技術確立もありました。これらをふまえて今日のシンビジューム改良種は、育種上下記のように分類されています。

類  別 従来の分類 最近の分類 特  徴
大型種(Standard) Cyperorchis亜属を用いた交配種 花径90o以上 とにかく花が大きい。
150oに達するものもある。株も大きいものが多い。
小型種(Minature) 大型種とCymbidium亜属、Jensoa亜属との交配種 花径55o以下 小さな花が数多くぎっしり咲くものが多い。
中型種(Intermediate) 大型種と小型種との交配種 花径55~90o 日本では、年末に鉢物としてたくさん出回っている。



オーストラリアのシンビジューム

ヨーロッパ(イギリス)に始まった品種改良の歴史は、第二次大戦後その主流がアメリカに移り、そして現在日本・オランダ・オーストラリア・ニュージーランドなどに広まって
います。
オーストラリアは中でも品種改良が盛んであり、特にスタンダードタイプの分野では世界最先端の品質レベルにあると思います。
その特徴は一言で言って「みなそれぞれに個性的である」といえます。特にスタンダードタイプからは、古きヨーロッパの伝統、すなわち「シンビジュームとは元々こういう花
である」といった主張とか存在感といったものを感じとることができます。

荒松農園では、開園当初から「オーストラリアのスタンダードタイプ」を取り入れてまいりました。


   
スタンダードタイプ(大型種)                 中型種            小型種
Cym.Khan Flame 'Sheena'   Cym.Mem. Merv Dunn 'Mellow Gold'    Cym.Sarah Jean 'Ice Cascade'

 三つともオーストラリアの品種です。みなそれぞれにすばらしいと思います。
 そういった中でのスタンダードタイプは、園主のこだわりです。

                       
                         シンビジュームのフラスコ苗
                      寒天培地の入ったビンの中で無菌培養されます〜バイオテクノロジー
                      (オーストラリアから空輸した苗です)