私の独断と偏見で選ぶこの逸品


第35回は、パラブーツのチロリアン“ミカエルフォック”です。



この靴は20年以上前に初めて見た時からずっと気になり続けた一足です。パラブーツのロングセラーモデルで、世界的に有名なチロリアンシューズ「ミカエル」のアッパーにアザラシの毛を配した「ミカエルフォック」は、かのエルメスが特別に作らせたことでも知られています。確かエルメスは、「都会と自然の融合をテーマに(かつてノルウェーのイヌイットたちの生活に欠かせなかった象徴的動物アザラシの毛を使って)」作らせたと思います。
この靴の独特のフォルムと、アッパーのアザラシの毛のコンビネーションの圧倒的に独走的なスタイルは、他の靴にはありえない唯一無二のものを感じます。それにクラシックなパラブーツの靴にあって、とてもモードな匂いを感じさせます。
ただ当時、独特の存在感のあるこの靴を見た印象は、滅茶苦茶オシャレなのか、それともダサイのかが、20代そこそこの私には正直よく解りませんでした。実際、今までこの靴をステキに履きこなしている人はもちろん、履いている人も見た記憶はありません。
しかし、ここ数年この靴が履きたくてたまらなくなってきました。それは、自分が40を過ぎたオッサンになったからかもしれませんが、若いときには解らなかった、この靴の魅力がやっと解ってきたのか、この歳になって少しは自然に自分なりに履きこなせる自信も出てきたからかもしれません。
私の自論ですが、服にしろ靴にしろ、興味のある人は、若いときより、それなりの歳をとった方が間違いなくオシャレです。ステキに服を着こなせます。それは、色々なものを着たり履いたりする積み重ねだったり、その人の経験や生き方が着こなしに表れてきて、自分なりの着こなしが出来るからです。



若いときには、随分頑張って服を着ていたけれど、ある程度歳をとると、肩の力も抜けて、自然と自分なりのステキな着こなしが出来るのだと思います。(もちろん服が好きだという前提はありますが)実は、オッサンの方がはるかにオシャレなのです。でも、最近の若者を見てると、頑張って服を着ている子や、若いのにこちらが感心するようなシャレた子をほとんど見かけないような気がします。それは、昨今の不景気や将来に対する不安もあるとは思いますが、それだけ洋服に対する興味が失われているのかもしれません。残念です。(それは、アパレル業界全体の問題でもありますが・・・)是非、若者には良い服に興味を持って欲しいですし、頑張って服を着て欲しいと思います。
それは、将来ステキに服を着こなせるようになる為にとても重要なことだからです。
ちょっと話が逸れましたが、私もこの秋、ミカエルフォックを頑張って履きこなしたいと思っています。

もちろん私の独断と偏見ですが・・・

パラブーツ  ミカエルフォック  ¥60,900
ブラウン、ブラック  フランス製
             
2010年9月



     
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