インディビジュアライズドシャツは、長年カスタムメイドのシャツにおいて現在も全米シェア1を誇るシャツメーカーで、日本国内で販売されているレディーメイドのシャツにも、そのカスタムメイドで養われた技術が反映されています。
このシャツを見ると、衿の美しいロールや1インチあたり25ステッチを基本とした細かなステッチワーク、美しくかつ頑丈に仕上げられた巻き縫いによる縫製、そして、ショルダーヨーク(肩部分)は、ステッチを内側で処理することでステッチが外側から見えず、狭く僅かに曲線を描いたショルダーヨークは、とても美しく、シャツ全体に洗練された印象を与えます。など、見た目にも、このシャツが美しく、素晴らしい作りであることが感じられます。
そして、肝心の着心地ですが、前身を狭く後身を広く取り、アームホールを内側に入れ込むことで、腕が動かし易く、そのパターンは、立体的で複雑な人の身体に沿ったカスタムメイドシャツの技術が反映された素晴らしい着心地です。
インディビジュアライズドシャツが、今日では殆ど残っていないアメリカのモノ作りの素晴らしさを伝える数少ない貴重なシャツメーカーであり、アメリカンスタンダードシャツの傑作と呼ばれるのもうなずけます。
インディビジュアライズドシャツは10年位前、日本に初めて入って以来扱い続けています。
当初、スリムフィットモデルはなく、ゆったりとしたモデルが中心で、そのサイズ感は正直あまり満足するものではありませんでした。スリムフィットモデルは、数年前に導入され60年代後半に誕生した全体にシェイプされモダンな印象のスタイルで、ジャストフィットが最も美しいと思っている私にとって、スリムフィットモデルは納得のいくカタチでもありました。
只、残念なのは、インディビジュアライズドシャツの多くのシャツがゆったりとしたモデルで、スリムフィットモデルが僅か2型のみということです。
|
|
私が服を選ぶ時、クオリティーはもちろん、サイズ感、着た時のバランス、そして、現在の時代性に合っているのかを常に考えます。
最高の作りで、最高の素材を使い、100年の伝統があり、王室御用達であったとしても、今の気分や感覚、時代性からずれたものであれば、そこにウンチクやモノとしての素晴らしさは存在しても、本当の意味でお客様にオススメしたいとは思わないからです。
そういう意味でも、このインディビジュアライズドシャツ “スリムフィットモデル”は、アメリカンスタンダードシャツの傑作であると同時に、現在に通ずる逸品であると思います。そして、着込むほどに味わいが増してゆき、長年に亘って愛用できる、自分の中の定番シャツへと成長するはずです。
是非、皆様機会がありましたら、一度袖を通してみて頂ければと思います。
もちろん私の独断と偏見ですが・・・
インディビジュアライズドシャツ
ケンブリッジオックスフォードボタンダウンシャツ “スリムフィットモデル”
\18,690 サイズ 14H、15、15H、16 米国製
2011年3月
ちなみに、衿、カフ、前立て部分には、水溶性に近い薄い芯地が使われており、時間をかけて着込むことで、味わいのある風合いが現れます。写真右のサックスブルーのシャツは、既に200回以上洗ったもので、現在も尚、味のある素晴らしい風合いを保っています。
|