意見書
山陰の片田舎で食品衛生のコンサルタントをしている者でございます。
先日、地元の水産加工加工場の改造にあたり、所轄保健所へ向かい製造許可に関する指導に付いて打合せしましたが、保健所との間で意見が対立しました。
その時保健所の指導は施設基準一本槍で、法律通りに指示してきます。私は、保健所行政は一般消費者の安全を守るためのものであり、それには食品が安全である証明があればどういう方法で作ろうとよいのではないか?しかし、それは現実的ではないので、加工工程の衛生をチェックし、製造許可、営業許可を出すのであると考えます。加工工程の安全は、施設基準と運用基準を守る必要があるのではないか、両者のバランスで安全が確保できると当方は主張しましたが、保健所は施設基準一本槍で、HACCPの考えである運用基準を考えていません。
日本の食品衛生は、食品衛生法で施設基準が詳細に記載してありますが、運用基準についてははっきりしたものがなく、行政官の裁量にまかせているのが現状です。しかしながら保健所の行政官は行政指導能力が不足しているのも現状です。
本来HACCPは運用基準があり、ソフトなのです。日本のHACCPはマル総の5品目をPPまで導入されています。
厚生省はHACCPを厚生省指導でしたいようですが、世界的に見てHACCP・
ISOはNGOで決めています。その辺が矛盾するし、一方保健所行政も施設基準に偏っているという矛盾もあります。この国のHACCPの進むべき道はどうなるのかを関係者で考える必要があります。
一方現実的な問題の一例として、魚市場の衛生問題があります。ある産地の
魚市場は県営の上屋に競会社が入っていますが、その不衛生さは目を疑うような状況にあります。日本海の新鮮な魚を魚市場で汚している。例えば市場のトイレがそうです。トイレに行った汚い長靴でトロ箱の上に上がり競をする。脚立の上で、競をして欲しいと思います。たばこの吸い殻はすてる。市場に注意を促すと、喫煙室を作ってから直すと言う。国内外の飛行機は禁煙なのに、商売で商品を売るのに吸い殻を落とすことが止めさせられない。自販機は瓶のジュースが置いてあり、瓶がこわれて散乱している。ビンの欠片は金属探知機ではチェック出来ないのにも拘らず、それも止められない。市場内にトラックは入ってくる。市場の床を洗う水は河口の水で洗っている。バイ菌がウヨウヨしているような水である。マグロは床の上に置き、引きずる。
そのことを指摘するとキャンバスを引いたが、そのキャンバスを洗わない。…といった状況です。
資金をかけずに改善できることがたくさんあるにも拘らず保健所では十分な指導
ができていません。保健所に訴えても県の農水部に意見を申し出ないで、水産加工場の衝立ての高さや位置ばかりを指摘する「弱いものいじめ」のような感があります。
HACCPは『ファームtoテーブル』ではないでしょうか?
魚市場で汚した鮮魚をその後どうきれいにしようと言うのでしょうか。日本は魚を刺し身で食する生活習慣があり火を通さないのであるから、もう少し市場HACCPを真剣に考えてほしいと切に思います。厚生省も保健所も今はHACCP、HACCPと言っていますが、基本がわかっていない。こんな現状を踏まえ行政はどうあるべきか、故にNGOとしてどうするべきか考えようではありませんか。皆様のご意見をお待ちしています。

船越 元煕