平成12年5月1日

地域に密着した医療。福祉をいかに安いコストで、より良いサ―ピスを行うのか、この問題
が超高齢化した日本で今大きく求められている課題です。
国の医療費は28兆円、財政的にもパンク寸前ですが、今後、益々お年寄りが増える中、医
療費は増加すると思われます。したがって、国は急性期の患者と慢性期の患者に分け、急
性期の患者は総合病院、地域中核病院、専門医院で診ていただくこととし、慢性期の患者は
療養型病院へ振り分けて来ています。

又、レセプト請求も出来高ではなく、病名により決めていこうとしております。
入院日数も日本は30日とアメリカの倍以上も長いのが現状ですが、これも早く退院をさせ
れば病院が儲かるよう利益誘導をして来ています。
療養型病院はリハビリ等の設備を行い、家庭へ帰っていくための努カをするよう促すでしよ
う。「かぜ」のような軽い病気で総合病院に患者が行かないようホ―ムドクタ―制を完備し、
総含病院の紹介率の向上も図るよう進めています。
このよう病院もそれぞれ専門化してゆき、棲み分けが必要になっていきます。日本とアメ
リカではべット数が同じでも人ロは2分の1です。したがって日本においてはベット数は平均
在居日数が同じならニ分の1に大幅に削減されてゆくでしょう。
全国に10万あるといわれる19床以下の診療所は、今後、専門性がなくては軽営が成り立た
なくなると思われます。又、べットがあっても給食ができず、空きべッドの診療所が多いのが
実状です。

介護保険法が成立し、今後医療と福祉の垣根はますます低くなります。特に内科系・リハ
ビリ系診療所は、今までの医療のみならず積極的に福祉の方面に手を伸ばす必要がありま
す。このように診療所を地域に密着した、地域が必要とする診療所へと変革する必要があり
ます。これが医療・福祉のコンビニエンスストアのモデルです。
 


医療・福祉のコンビニエンスストアのモデル

院内業務 外来診察
入院
デイ・ケア
リハビリ
ショ―トステイ
入浴サ―ピス
栄養指導院外処方箋
給食(サテライト・キッチン)
介護用品販売・リ―ス
在宅支援の受けつけ業務
在宅業務 在宅医療(往診)
訪問看護
ホ―ムへルプ
在宅患者栄養食事指導
在宅患者服薬指導
訪問入浴
訪問リハビリ
在宅配食


ホームヘルパー 食事はサテライトキッチンから運ぶので、歩の悪い家事介護が省け、
複合型か身体介護に時間を振り向けられる。
在宅給食、介護用品、家庭常備薬の販売も手がける。


調剤薬局 診療所10〜15に1ケ所の調剤薬局を設け、又地域中核病院からの
服薬指導も引き受ける。
診療所医師の指導の下、在宅薬剤管理指導を行う。



まとめ

 全国10万ヶ所の診療所のうち、中には高齢化した医師も多く、又、複雑化し変化の激しい
医療・福祉制度等、個人営業の医師では手におえない問題が山積みされております。又、医
師も全国的に見れぱ供給過剰になって行くと思われますので、医療機関間の競争も激しくな
ります。これらの診療所に対し経営指導を行い、F・C化をはかります。

 場合によっては勤務医の紹介を行いF・Cを受けた開業医に対しては医院の不動産管理料
を支払うのみならず、希望があれば開業医師を勤務医とのローテーションの中に組み入れ、
それに対するペイを支払う。病院の名前は変えず、病院のオ―ナ―として、存続し、その上
今まで以上に自由な時問と収入が約束されます。

 2003年介護保険法改正をにらみ、F・C展開を計画し、見こみ医院を集うことにより全国ネ
ットの医療・福祉のコンビニエンスストア―が成立します。しかし医療・福祉は地域密着では
ならなく、当然地域の病院、福祉施設との連携をどう取るのかがー書重要なことです。それ
を誰がプロモートするかが、このシステムの成否を握る鍵です。
 

全国チェーン展開を行えばメリットとして下記のこと期待できます。


1.診療所運営のノウハウの共有化
2.医薬品・医療機器・介護用品の仕入交渉権の確立によるコストダウン
3.給食及び在宅配食をセントラルキッチン方式で行うことが出来、安全とコストダウンがか
  なえられる。
4.ホ―ムへルパー養成事業とホームへルバー事業の展開
5.医療事務養成事業と医療請求業務
6.F・C事業展開による投資とキャピタルゲインの取得
7.本部事務の充実でコストダウンが計られる。
8.コストダウンによるメリットを患者のサ―ビスの向上に当てる



健保組合の運営が難しくなった今日この頃であるが、会社所有の独身寮の有効活用
と組合員OBの老後をうまく組み合わせて、ユニークな経営を行っている例がある。

2000年4月より介護保険がスタートするが、それに合わせて組合が介護事業に乗り
出す。避営は組合が出資した株式会社で行い、(1)ホームヘルプ事業(2)訪問看護事業
(3)ケア・マネージメントを地域医療計画とのすり合わせで行う。

有料老人ホ―ムは今まで敷金2000万円入所料月30万円等高級で誰でも入れない。
又、ケアハウス(経費老人ホーム)は県・市の補助が必要で充足率との兼ね合いがあ
り、どこでも建設するというわけには行かない。ところが、最近企業の独身寮はある
程度高品質でないと若者の入所者がなく、古い寮は利用率が低下している状況がある。
そこで、そのような寮を改造し老人ホーム(エージドハウス)とする。ケアハウスの
会社運営版というところだ。

入所者の範囲は要支援・要介護度1・2・3の4段階程度とし、介護度4以上の人は
他の施設への人所を勧める動きがある。そして、人所者に対し食事の提供とともに、
ホームへルプサービス等の在宅サ―ピスの提供を行う。
介譲度3の人が人所していて介護度4に進んだ場合は、連携している近所の老人保
健施設に人所していて頂く為、普段よりその老健のデイケア、ショートステイに通っ
て頂き連携を図る。訪問看護は医師の紹介が必要なので、医療機関とのタイアップが
必要となる。

勿論社会福祉法人を作りデイサービス・ショートステイを、又は医療法人を作りデ
イケアを自前でしてもよいが重装備となり、得策ではない。

このようなスキームで「株式会社日本福祉サービス」等ホームへルパー事業業がFC展
開を行っている。

エージドハウスはケアハウスタイプでも良いし、グループホ―ム方式でも良いが、
いずれにしても在宅なので今後厚生省も施設介護より在宅に力を入れる(参考:1999
年9月9日  日経新聞)ことからも面白い計画である。



※ケアハウスの民間版として、独身寮を利用したエージドハウスが考えられる.
※健保組合で、ホームヘルパー・訪問介護・ケアマネージャーを経営し、エージドハ
  ウスと連携する。
※介護度4以上は連携した老健にお願いする。
※介護度1で介護保険より17万円,2で20.1万円,3で27.4万円又要支援でも6.4
  万円となる。(個人負担は1割)
※独身寮の改造費は、1LDKのエージドハウスで月額4?5万円を見込む。
※個人負担として食事代2.7万円+家賃の5万円+個人負担の1.7万円(介護度1の
  場合)+協設費の1.5万円の合計約11万円となることから、受取年金が月額平均
  20万円と想定すると、無理な金額ではないと考えられ、組合健保の新しい事業と
  もなる。
※組合員0B以外でも健保組合のネーミングで客集めが出来る。