【書類名】     明細書

【発明の名称】   食材供給システム

【特許請求の範囲】

  【請求項1】 所定の食材を最終調理した料理からなる食事を飲食者に提供する食事提供施設(C)と、該食事提供施設(C)に前記料理の未加工又は予備加工された食材を供給する食材供給施設(H)との間に介設され、上記食事提供施設(C)への食材の供給を管理するシステムであって、食材提供施設(C)側にホストシステム(A)が、食事提供施設(C)側にクライアントシステム(B)が各配置され、上記ホストシステム(A)がクライアントシステム(B)との間で、食材の発注を受信する受信部(R)と、発注された食材の材料の種類を仕分けして、各材料毎に集計する食材集計部(F)と、ホストシステム(A)側での上記集計後のデータに基づいて上記食事提供施設(C)側に納入する食材の納入表(13)を作成する納入表作成部(E)とを備えたシステムであり、クライアントシステム(B)がホストシステム(A)との間で、所定の献立に基づいた発注表を送信する送信部(SC)と、納入表(13)を受信し、納入表(13)と発注表との対比照合するチェック部(CC)を備えたシステムである食材供給システム。

  【請求項2】 1ヶ所の食材供給施設(H)と複数の食事提供施設(C)との間に食材供給システムが構築され、食材集計部(F)が発注を行った食事提供施設(C)毎に材料の集計を行う構成である請求項1の食材供給システム。

  【請求項3】 食材を低温保存して食事供給施設(C)に搬送する請求項1又は2の食材供給システム。

  【請求項4】 ホストシステム(A)及びクライアントシステム(B)が、食材供給施設(H)と食事提供施設(C)とに配置された文字又はグラフィックの送受信が可能な通信装置と、該通信装置相互の通信手段とからなる請求項1又は2又は3の食材供給システム。

  【請求項5】 通信装置がコンピュータ(4),(9)により構成され、通信手段がコンピュータネットワークである請求項4の食材供給システム。

【発明の詳細な説明】

   【0001

  【発明の属する技術分野】

 本発明は1ヶ所以上の食事を提供(serve)する施設に、食事を構成する料理の食材を供給(provide)する料理供給システムに関する。

   【0002

  【従来の技術と発明が解決しようとする課題】

 通常ホテル等のレストランのキッチンにおいて、比較的余裕のある時間にその後必要な料理を予め作るとともに低温保存し、必要な場合に上記料理等を組み合わせて食事として提供するクックチル(Cook & chilled)方式のシステムが知られているが、食事を提供するレストラン以外の場所(上記レストラン以外の厨房)で必要な料理を作り、この料理が必要な場合に上記食事を提供するレストランに搬送・供給(provide)し、該レストランにてこの供給された料理を食事として顧客(飲食者)に提供(serve)するという料理供給システムは、有効なコミニュケーションツールがないため一般的には行われていなかった。

   【0003

 すなわち食事を提供する側(食事を提供するレストラン)と料理を製造する側(上記レストラン以外の厨房)との間でシステム化されたコミニュケーションツール等がないため、発注したものがこない、又は発注通りの料理がこない等のトラブルが比較的多く発生し、このため上記料理供給システムは食事を提供する施設と料理を製造する施設が同じ(食事を提供するレストランの厨房で時間に余裕があるときに必要な料理を作る)場合に採用されていることが多い。

   【0004

 このため本発明は汎用的に且つ円滑に行うことができる食材の供給システムを提供することを課題としている。

   【0005

  【課題を解決するための手段】

 上記課題を解決するための本発明の料理供給システムは、所定の食材を最終調理した料理からなる食事を飲食者に提供する食事提供施設Cと、該食事提供施設Cに前記料理の未加工又は予備加工された食材を供給する食材供給施設Hとの間に介設され、上記食事提供施設Cへの食材の供給を管理するシステムであって、食材提供施設C側にホストシステムAが、食事提供施設C側にクライアントシステムBが各配置され、上記ホストシステムAがクライアントシステムBとの間で、食材の発注を受信する受信部Rと、発注された食材の材料の種類を仕分けして、各材料毎に集計する食材集計部Fと、ホストシステムA側での上記集計後のデータに基づいて上記食事提供施設C側に納入する食材の納入表13を作成する納入表作成部Eとを備えたシステムであり、クライアントシステムBがホストシステムAとの間で、所定の献立に基づいた発注表を送信する送信部SCと、納入表13を受信し、納入表13と発注表との対比照合するチェック部CCを備えたシステムであることを第1の特徴としている。

   【0006

 第2に1ヶ所の食材供給施設Hと複数の食事提供施設Cとの間に食材供給システムが構築され、食材集計部Fが発注を行った食事提供施設C毎に材料の集計を行う構成であることを特徴としている。

   【0007

 第3に食材を低温保存して食事供給施設Cに搬送することを特徴としている。

   【0008

 第4にホストシステムA及びクライアントシステムBが、食材供給施設Hと食事提供施設Cとに配置された文字又はグラフィックの送受信が可能な通信装置と、該通信装置相互の通信手段とからなることを特徴としている。

   【0009

 第5に通信装置がコンピュータ4,9により構成され、通信手段がコンピュータネットワークであることを特徴としている。

   【0010

  【発明の実施の形態】

 次に本発明の1実施形態について詳細に説明する。本発明の食材供給システム(フードプロバイドシステム)は、図1に示されるように所定の食材を最終調理した料理からなる食事を飲食者に提供(serve)する施設である1つ又は複数の食事提供施設Cと、該食事提供施設Cに前記料理の食材を供給(provide)する施設である食材供給施設Hとの間に介設されている。

   【0011

 そして病院や療養所等の食事提供施設Cにおけるキッチン(サテライトキッチン)側と食材供給施設Hにおけるキッチン(セントラルキッチン)側との間で行われる食材の供給システム(プロバイドシステム)と、該プロバイドシステムを成り立たせるための通信システム(コミニュケーションシステム)とから構成されている。

   【0012

 つまりサテライトキッチン側は、入所者に提供する食事用の料理の食材をセントラルキッチン側に発注してセントラルキッチンから後述するように食材の供給を受け、該供給された食材から所定の料理を製造し、該料理等の組み合わせによる食事を食事提供施設Cにおいて飲食者に提供する。

   【0013

 例えばサテライトキッチン側(食事提供施設C)は、セントラルキッチンから供給される食材により、味噌汁,エビ団子の煮付け,牛肉の佃煮,きのこオムレツという料理を製造し、この各料理(味噌汁,エビ団子の煮付け,牛肉の佃煮,きのこオムレツ)を組み合わせて食事として飲食者に提供する。

   【0014

 なお本プロバイドシステムにおいてはサテライトキッチン側に供給される食材は、サテライトキッチンにおいて製造される料理の未加工又は予備加工された食材であり、つまりサテライトキッチンに供給される食材は、料理を構成する材料に対して、食材そのもの、あるいは1つ以上の食材に所定の調理を行った結果できるアッセンブル料理であり、食材(アッセンブル料理)を1つ以上組合わせて調理することで料理が完成される。

   【0015

 例えば料理が上記きのこオムレツの場合、食材として鶏卵,味付けエノキ,味付けシメジ,ミックスベジタブル,サニーレタスが設定され、鶏卵,味付けエノキ,味付けシメジ,ミックスベジタブル,サニーレタスを合わせて所定の調理を行うことで料理(きのこオムレツ)が製造される。

   【0016

 そしてサテライトキッチンからセントラルキッチンに食材を発注する1例を、サテライトキッチンにおいて料理としてきのこオムレツを注文する場合を例に説明すると、まずサテライトキッチンからキノコオムレツに設定された食材(鶏卵,味付けエノキ,味付けシメジ,ミックスベジタブル,サニーレタス)をセントラルキッチンに注文する。

   【0017

 一方セントラルキッチンにおいては鶏卵,味付けエノキ,味付けシメジ,ミックスベジタブル,サニーレタスが注文されると、上記サテライトキッチンにおいて食事を構成する料理にきのこオムレツが設定されているという判断を行うと共に、各食材を製造(未加工の場合を含む)し、サテライトキッチンに搬送・供給する。

   【0018

 そして各食材を受け取ったサテライトキッチン側においては、各食材を組み合わせて調理して料理(きのこオムレツ)を製造し、他の料理とともに食事として飲食者に供する。このときセントラルキッチンにおいて製造された食材は低温保存され、所定の日時(サテライトキッチンから指定された、食事提供日に依る日時)にサテライトキッチンに搬送される。つまり食材は前述のクックチル方式でサテライトキッチンに供給される。

   【0019

 なおサテライトキッチン側においては、所定の料理に対して食材として設定されていない材料を加えたい場合、又は食材に設定されているが不要な食材がある場合がある。この場合はサテライトキッチン側は必要な食材のみをセントラルキッチンに注文し(不要な食材は注文しない)、必要な材料を自前のキッチンで製造して、料理を完成させることもできる。

   【0020

 例えば前述のきのこオムレツの場合、味付けエノキは不要だが、味付けして煮た椎茸(味付け椎茸)を加えたいとすると、サテライトキッチンは食材としてセントラルキッチンに鶏卵,味付けシメジ,ミックスベジタブル,サニーレタスを注文し、自前のキッチンできのこオムレツを調理する(料理を製造する)際に、味付け椎茸を作り(予め作っておくことも可能)、納入された食材とともに調理してきのこオムレツ(料理)を製造することもできる。

   【0021

 次に上記コミニュケーションシステムの構造について全体のシステム概念図である図1及びシステムの作動フローの概略図である図2に従って説明する。このコミニュケーションシステムは、前述のように上記プロバイドシステムを成り立たせる(食材の供給を管理する)ためのツールであり、セントラルキッチン1側及びサテライトキッチン2側に設けられ、コンピュータネットワークによりネットワーク接続されたコンピュータ4,9を中心としたシステムにより実現されている。

   【0022

 まずコミニュケーションシステムにおけるセントラルキッチン1側の構造について説明する。セントラルキッチン1側にはホストシステムが構築されており、該ホストシステムはディスプレイ3を有したホストコンピュータ4により構成せしめられている。

   【0023

 そして上記ホストコンピュータ4はコンピュータネットワーク上で送受信されるディスプレイ表示可能な図3に示される表計算形式の献立表(ディスプレイ3での表示状態が図3となる献立表データ)6を作成するとともに、該献立表6をサテライトキッチン7側(コンピュータネットワークにおけるディスプレイ8を備えたクライアントコンピュータ9)に送信する送信部Sと、後述するようにクライアントコンピュータ9側から送信された献立表6(発注表)を受信することができる受信部Rとからなる送受信部Tを備えている。

   【0024

 このとき献立表6には所定の日付に対してサテライトキッチン7側に提供可能な料理の食材が日付毎(図3の例では1998年10月1のみ例示)に入力されており、これらサテライトキッチン7側で選択可能な料理と該料理を形成せしめる食材及び食材の量(純量),料理及び食材の栄養価が予め入力されている(ホストコンピュータ4側で入力する)。

   【0025

 またその他にサテライトキッチン名及び該サテライトキッチンの施設名の入力が可能であり(入力欄があり)、さらに各食材の食数の入力が可能(入力欄がある)に構成されている。そしてセントラルキッチン1側においては全ての項目に、サテライトキッチン7側においては、サテライトキッチン名及び該サテライトキッチンの施設(食事提供施設)名の記入項目と食数の記入項目にコンピュータ4,9上において書き込み(入力)が可能に設定されている。

   【0026

 一方ホストコンピュータ4には、各サテライトキッチン7側(後述するようにサテライトキッチン7に配されたクライアントコンピュータ9)から送られた発注表を食材の種類毎に集計するディスプレイ表示可能な図4に示される食数表11(ディスプレイ3での表示状態が図4となる食数表データ)を生成する食数演算部F1も備えられている。

   【0027

 なお前述のように献立表6にはサテライトキッチン7側において、サテライトキッチン名,施設名,食数の記入が可能に構成されており、本実施形態において上記発注表はサテライトキッチン7側において上記各項目に入力が行われた献立表6が使用される。

   【0028

 そして前記食数表11は各サテライトキッチン7(図4におけるA−1施設,A−2施設,…,B−2施設)から発注のあった(献立表6の食数欄に食数が入力された)食材から、献立表6を参照して発注された料理を割り出し、発注のあった料理と各料理における発注のあった食材を表示せしめ、発注された各食材の量の合計を各食材毎に表示せしめる構成となっている。

   【0029

 なお上記食数表11は、各サテライトキッチン7から発注された食材(種類)が一覧形式で表示され、且つ各サテライトキッチン7における食材の発注数を合計して演算し、発注された各食材の合計を各食材毎に表示せしめる構成となっている。つまり上記食数表11には各サテライトキッチン7毎の食材の発注データ(状況)も記載(表示)されている。

   【0030

 さらにホストコンピュータ4側は各料理と、各料理を構成する食材と、各食材を構成する材料との対照表(ディスプレイ表示可能な対照表データ)を内部データ(書き込み可能)として保有している。なお本実施形態の場合、前述のように献立表6(献立表データ)が、料理、該料理を構成する食材,各食材を構成する材料の対象データを有しているため、献立表データにおける上記対象データを対照表データとするように設定されている。

   【0031

 そしてホストコンピュータ4には上記対照表データ(献立表6)と前記食数表11に基づいて、発注された食材を製造(供給)するために必要な材料の種類を仕分けして、各材料毎に集計するディスプレイ表示可能な図5に示される仕分け表12(ディスプレイでの表示状態が図5となる仕分け表データ)を生成する材料展開部F2も備えられており、これにより各サテライトキッチン7から発注された食材を全て製造するために必要な材料(種類および分量)をディスプレイ3上に表示させることができるように構成されている。

   【0032

 なお上記仕分け表12は、各サテライトキッチン7毎に発注された食材に必要な材料を対照表データに基づいて割り出し、これを材料毎に総計することで、全材料を演算する構成になっており、これにより各サテライトキッチン7毎に必要な材料の記載(表示)も行うように設定されている。つまり食数演算部F1と材料展開部F2により発注された食材の材料の種類を仕分けして、各材料毎に集計する食材集計部Fが構成されている。

   【0033

 さらにホストコンピュータ4は各サテライトキッチン7に出荷(納入)する食材を各サテライトキッチン7毎に集計するディスプレイ表示可能な図6に示される納入表13(ディスプレイ3での表示状態が図6となる納入表データ)を生成する納入表作成部(E)も備えられている。これは例えば食数表11等のホストコンピュータ4側での処理(集計)後のデータを参照して作成するように構成されている。

   【0034

 なお本実施形態において納入表13は1つの納入表13に1つのサテライトキッチン7が表示されるように構成されているが、1つの納入表13に複数のサテライトキッチン7が記載されるものとし、納入表13に記載された各サテライトキッチン7に同一の納入表13を送信するように設定してもよい。

   【0035

 またホストコンピュータ4は食材から料理を製造せしめる手順が記載された、コンピュータによるネットワーク上で送受信されるディスプレイ表示可能な図7に示される調理指示表14(ディスプレイ3での表示状態が図7となる調理指示表データ)を内部データとして書き込み可能に有しており、適当なサテライトキッチン7に側に適時送信することができるように構成されている。

   【0036

 次にコミニュケーションシステムにおけるサテライトキッチン7側の構造について説明する。サテライトキッチン7にはクライアントシステムが構築されており、該クライアントシステムはディスプレイ8を備えたクライアントコンピュータ9により構成せしめられている。このとき該クライアントコンピュータ9は、コンピュータネットワーク上でホストコンピュータ4との情報(データ)の送受信が可能なように、例えばホストコンピュータ4側とサーバ・クライアント型又はピアトゥピア型にネットワーク接続されている。

   【0037

 そしてクライアントコンピュータ9にはホストコンピュータ4から送信される献立表6,納入表13,調理指示表14(実際には各データ)を受信する受信部RCと、ホストコンピュータ4に所定の記載を行った献立表6(発注表)を送信する送信部SCとを備えた送受信部TCが設けられており、さらに受信した献立表6,納入表13,調理指示表14の各データを表形式に表示する(再現させる)こと、及び受信した献立表6内(サテライトキッチン名,サテライトキッチンの施設名,食数の入力欄)への任意の入力が可能に設定されている。また送信した発注表と受信した納入表との対比照合を行うチェック部CCも設けられている。

   【0038

 なお献立表6,納入表13,調理指示表14の各データをホストコンピュータ4側に記憶させておき、クライアントコンピュータ9に共有データとして公開し、各表6,13,14のデータをクライアントコンピュータ9から直接読み書きするように構成してもよい。

   【0039

 一方クライアントコンピュータ9は、作業者が所定の食材に対して必要な食数(数)を記入すると、この食数が入力された食材が構成用件となる(入力された食材を必要とする)料理をメニューとして選択したと判断して、サテライトキッチン7側のメニュー(メニュー表)を自動的に作成するメニュー表作成部Mも備えている。

   【0040

 さらに所定の料理に対してサテライトキッチン7側が任意の材料(食材として設定されていない材料)を追加する場合に入力する図示しない食品追加表(ディスプレイ8での表示が可能な食品追加表データ)を、書き込み可能な状態で内部データとして有しており、この食品追加表と食材の発注表(献立表6)とに基づいてメニュー作成機能により作成されたメニューの材料を全てピックアップして表示する材料一覧表を作成する材料一覧表作成部Kを備えている。これにより上記材料一覧表を一般的に市販されている栄養計算用のソフトウエア等に対応する形式にすることで、容易に栄養計算等を行うことができる。

   【0041

 次に上記コミニュケーションシステムの作動についてプロバイドシステムの作動にあわせて説明する。まずサテライトキッチン7側(食事提供施設C)においては、予めセントラルキッチン1から送られる献立表6から所定日時の所定の食事(朝食,昼食,夕食等)のメニューを決定し、このメニュー基づいてセントラルキッチン側(食材供給施設H)に発注する食材を決定し、前記献立表6内の必要な(発注する)食材の側方の食数欄に、該食材の必要数の数量を入力し、セントラルキッチン1に送信する。この際にサテライトキッチン7側はサテライトキッチン名及び施設名を入力するが、セントラルキッチン側で送信元を自動判別するように設定しておいてもよい。

   【0042

 これによりセントラルキッチン1側においては、セントラルキッチン1側のシステム(ホストコンピュータ4)に各サテライトキッチン7から送信された注文表(必要な食材の数量が記入された献立表6)が入力され、この献立表6を基に前述のように食数表11,仕分け表12,納入表13が演算・作成される。

   【0043

 そしてセントラルキッチン1側において生成された仕分け表12や食数表11に基づいて各材料を調達するとともに所定の調理を行い、食材を製造し、該食材を所定の日時(食事の日時から設定される)に各サテライトキッチン7毎に搬送する。そしてサテライトキッチン7側においては食材を受け取り、調理指示表等に基づいて食材を最終調理して料理を製造し、盛り付けを行い、飲食者に提供する。

   【0044

 このときセントラルキッチン1側においては食材の納入以前に前述のように作成された納入表13を予め各サテライトキッチン7側に送信するが、これによりサテライトキッチン7側は納入される食材の確認をチェック部CCにより予め行うことができ、納入ミス等が防止される。

   【0045

 なおセントラルキッチン1側において仕分け表12または食数表11が作成された時点で、調達する材料及び製造する食材の容易な把握が可能となるが、この際材料及び調理作業に関してコスト等を考慮して、セントラルキッチン1側から各サテライトキッチン7に発注する食材の変更等を送信し、食材単位での納品交渉を行うことは可能である。また料理に対する食材の配合の割合変更等は、製造する料理数に対して食材の量(発注数)を変更することで容易に可能である。

   【0046

 一方各サテライトキッチン7側においては、前述のようにメニュー作成機能によりメニューの自動作成を行うため、メニューを容易に作成することができるが、さらに必要であれば材料一覧表作成部Kにより、材料一覧表を作成せしめ、この材料一覧表に基づいて市販の栄養計算ソフト等によりメニューの栄養計算を容易に行わせることも可能である。

   【0047

 以上に示されるフードプロバイドシステムによれば、上記のように食材は食事を構成する料理がアッセンブル化されたもの(アッセンブル料理)であり、つまり料理は各アッセンブル(食材)の組み合わせで製造される。このためサテライトキッチン7側での料理の製造が容易となるほか、サテライトキッチン7側は食材(アッセンブル料理)から料理を製造するだけの規模のキッチンがあればよいため、サテライトキッチン7側に不要に大規模なキッチンを設置する必要がない。

   【0048

 また料理はサテライトキッチン7側において食材を組み合わせて最終調理して完成せしめられるため、設定されている食材以外の材料を追加したい場合、又は不要な食材がある場合に、サテライトキッチン7側で発注する食材を選択したり、自前のキッチンで製造した食材と同等なアッセンブル料理や材料を容易に追加することができる。さらに料理に対する食材の割合を変更することも、製造する料理の数に対する食材の発注量を変更することで、容易に行うことができる。

   【0049

 つまりサテライトキッチン7側にて製造する料理の自由度が大きく、換言するとサテライトキッチン7側において製造される料理は、最終的な調理をサテライトキッチン7で行うため、サテライトキッチン7側(食事提供施設C)で提供される料理はいわゆるインスタント料理等とは異なり、容易にオリジナリティーを持たせることができ、入居者により適した食事を容易に作ることができる。

   【0050

 一方セントラルキッチン1側においては、各料理のアッセンブルである食材を一括して製造することで、食材のコストを下げることができるが、その他食材を製造後低温保存し、必要な時に各サテライトキッチン7に配送することで、サテライトキッチン7側から見ると場所と時間を超越した料理の生産を行うことができ、これにより生産効率が向上する。

   【0051

 なおセントラルキッチン1側において製造された食材を冷凍保存し、サテライトキッチン7側に搬送しても良いが、食材の味自体は低温保存の場合に比較して劣化が予想される。またセントラルキッチン1側は食材の製造を他の製造業者等に下請けさせ、システム全体の管理のみ行うようにすることもでき、これによりさらなる生産性の向上を図ることもできる。

   【0052

 一方セントラルキッチン1側とサテライトキッチン7側との発注・納入等のコミニュケーションは、前述のコミニュケーションシステムによりとられるが、サテライトキッチン7からセントラルキッチン1に発注表(前述のように必要事項が記入された献立表6)を送信することで、セントラルキッチン1側で自動的に食数表11及び仕分け表12が生成されるため、セントラルキッチン1において仕分け表12に基づいて材料を調達し、食数表11に基づいて食材を各サテライトキッチン7毎に分けることで、必要な食材を必要な量、各サテライトキッチン7側に容易に配送することができる。

   【0053

 また食数表11等のセントラルキッチン1側での処理後のデータを参照して作成される納入表13をサテライトキッチン7側に送信することで、サテライトキッチン7側では発注した食材と納入される食材との差を確認することが容易にでき、これにより商品(食材)納入前に発注又は納品ミス等を容易にチェックすることができる。

   【0054

 なおチェック部CCを、ホストコンピュータ4側に送信した発注表とホストコンピュータ9から送信される納入表13とを自動的に比較せしめ、食材の納入ミス(発注表にあり納入表にないもの及び発注表になく納入表にあるもの等の比較を行う)を自動的にチェックする構造としても良い。

   【0055

 また上記実施形態においてはコミニュケーションシステムをコンピュータをインターフェースとしたシステムとして説明したが、FAX装置等の文字(図形を含む)等のグラフィックな送受信が可能な通信機器をインターフェースとしてコミニュケーションシステムを構築してもよく、さらに上記通信機器とコンピュータ等を組み合わせたシステムとしても良い。

   【0056

  【発明の効果】

 以上のように構成される本発明の構造によれば、食事提供施設により提供される食事を構成せしめる料理が、該料理をアッセンブル化した食材の組み合わせで製造されるため、食事提供施設側での料理の最終調理が容易となるほか、食事提供施設側に不要に大規模なキッチンを設置する必要がないという効果があるが、上記食材の発注及び納入がホストシステムとクライアントシステムにより管理されるため、搬送ミスや発注及び納入ミス等が防止され、円滑なシステム運用を行うことができるという効果がある。

   【0057

 このとき食事を構成する各料理は食事提供施設側において各食材を組み合わせ最終調理して完成せしめられるため、設定されている食材以外の材料を追加したい場合、又は不要な食材がある場合に、食事提供施設側で発注する食材を選択したり、自前のキッチンで製造した食材等を容易に追加することができるという利点もある。

   【0058

 また料理供給施設側においては、各食材を一括して製造することで、コストを下げることができるが、その他食材を製造後低温保存し、必要な時に各食事提供施設に配送することで、食事提供施設側から見ると場所と時間を超越した料理の生産を行うことができ、これにより食事の生産効率がより向上する。

   【0059

 なおコミニュケーションシステムをFAX装置等の文字又はグラフィック表示可能な通信装置と、該通信装置の通信手段とから構成することで、料理供給施設側と食事提供施設側とのコミュニケーションをより容易にとることができるが、特に通信装置をコンピュータにより構成し、通信手段をコンピュータネットワークにより構成させることで、システムを容易にコンピュータ処理させることができ、システムの信頼度をより向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

  【図1】

 システム概念図である。

  【図2】

 システムの作動フローの概略図である。

  【図3】

 ディスプレイ表示状態の献立表である。

  【図4】

 ディスプレイ表示状態の食数表である。

  【図5】

 ディスプレイ表示状態の仕分け表である。

  【図6】

 ディスプレイ表示状態の納入表である。

  【図7】

 ディスプレイ表示状態の調理指示表である。

【符号の説明】

    4   ホストコンピュータ

    9   クライアントコンピュータ

    13  納入表

    A   ホストシステム

    B   クライアントシステム

    C   食事提供施設

    E   納入表作成部

    F   食材集計部

    H   食材供給施設

    R   受信部

    CC  チェック部

    SC  送信部