バカ漫画 其之六 | |
「魔女料理」 〔徳間書店・TOKUMAコミックス〕 作・滝沢解 画・川崎三枝子 |
(C)川崎三枝子
バカ漫画 第六弾は、我が地元・鳥取県出身の作家さん。川崎三枝子先生です。 以前にも述べましたが、原作付ですので作者がバカなのではありません。念のため。 問題なのは、その原作。滝沢解先生。このお二方でのコンビでは他に『姫』『悪女』などの作品が あるんですが、この作品はちょっとねぇ・・・・・。 『姫』『悪女』も、かなり内容ぶっ飛び、かなり論理も飛躍していたとは思うけど、 この作品は別格です。ぶっ飛び過ぎて影も踏めません。 そのためかどうかは知りませんが、この話、3話しかございません。 「魔女料理」って聞くと、なんかおどろおどろしい料理を想像しますが、 そんなことありませんよ。料理するのが魔女ってだけで。あ、原材料は人間ですがね♪ まぁ、この場合「料理」っていうより、「処刑法」って言った方がいいかもしれない。 つまりこの漫画。「仕事人」みたいなもんです。法で裁けない悪人を、闇から闇へ葬り去るアレです。 んでもって、その悪人は調理される・・・と。 一応、被害者の依頼を受けて行動開始します。普通はそこで、すぐさま行動に移すところですが、 依頼を受けた後できっちりと警察官(影取警部)へ情報確認しています。なかなか堅実です。 公務員の守秘義務なんか、まるでないがしろですが、そんなこと気にしてはいけません。 ちなみに、その影取警部は僧侶です。僧衣着て警察手帳を出します。 公務員の兼業禁止規定(国家公務員法104条)とか、そんな野暮なこと言っちゃあいけません。 「魔女料理」のオーナー・マダム寂悦との情報交換は、ピロー・トークで行われます。 「ピロー・トーク」が分からない人は、お父さんかお母さんに聞いてみましょう。ブン殴られても知らないけどね 第2話では、情報交換の最中に悪徳上司の命令で警察官に踏み込まれ、逮捕されちゃいました。 そして、手錠をはめられながら、素っ裸のまま外に出ようと・・・・・・・って、これはいいのか? こんな楽しい料理店が、東京港区青山通りにあるんですよ♪ あらすじです
完全ネタバレなんで、ご注意ください。 第1話 『特別メニュー』 「特別料理」のため、小染平助と白鳥光江の父親(←結局、最後まで名前分からず)を店に誘う。 小染を誘うその方法とは「春のかつら祭り記念抽選会」で見事、金賞に輝いたため 「記念の特別料理と夢の世界旅行券」 をペアでさしあげる・・・・とのもの。 ↑あ、、、アホな(笑)。 こんな誘われ方して、のこのこ誘われる奴って・・・・。 その夜、二人は腕を組んで仲良く、のこのこレストランにやって来る 小染 「ここだわ。さ!早く入ってみましょうよ。あなたと旅行できるなんて、うれしい!」 ↑↑いやまぁ、、、二人はホモですから(笑)。 突如、扉が閉まり、ロックされる。急激に部屋の温度が下がりはじめる。 そして目の前には、スケスケの衣装(ネグリジェ?)を身にまとった、三人の魔女。 父親 「さ…む…い…。くそっ!だましやがったな。何者だ、きさまらーっ!」 すると、三人の魔女たちは、空中に浮遊し、狂ったように笑い続ける。 三人 「はははは ホホホホ」 やがて二人は凍結し、カチカチに。そこにガンさん、巨大な包丁を持って登場。 カチカチの死体を砕く [ガシッ!!ガシッ!!ガシッ!!ガシッ!!] そして、氷片をミキサーに詰め、[ガガガガガーッ!!] ・・・翌日、店に来た影取警部に応対するマダム寂悦。 「飲み物をお持ちしましたわ、影取警部さん。当店自慢の特製ジュースよ」 ・・・・・・ねっ、バカでしょ。(なんか『八仙飯店』みたいだな)でもまだこの話、マシな方でして。 第2話 『出前迅速』 マダム寂悦と影取警部のピロー・トークの最中に、2階にオードブルを運ぶモッコ。 「しかし影取警部もユニークよねー。僧侶でありながら警官だもんね そりゃーま、殺人課と坊さん・・・関係ないとは言えないけどさ、フフフ・・・」 ・・・・ブラックですな・・・・(汗) そこへ突如、警察官が乱入。警察手帳も見せず(←違法)、捜査令状も出さず(←これも違法)、 店に押し入り、逮捕礼状もなく影取に手錠をかける(←もちろん違法)。 その警察官は、実は影取の友人だったのだ。「許せよ、女房・子供を考えると、俺も弱い」 だが影取は、こんな事態も想定していたらしく、落ち着いた口調である。 影取 「聞きたくねえぜ、そんなセリフ。行こうじゃねえか…」 警察官「コ…コロモをっ!」 素っ裸で外に出ようとする影取警部。実はコイツ落ち着いてないのかもしれない。 パトカーに連れ込まれる直前、二階の窓に見えるマダム寂悦に向かって、影取は叫んだ。 「たのむ、寂悦。出前一丁!」 ・・・・・・ラーメンですか(笑)? 場面変わって、地下の秘密取調室。影取への拷問は執拗を極める。 黒幕は警察署の署長と本部長だった。なかなか口を割らない影取に業を煮やす本部長。 しかし、署長は次なる拷問の手口を用意していた。・・・・床に降ろされ、うつ伏せにされる影取。 そして、その背後には屈強な大男。そしてその股間から、まるで警棒が如きモノが・・・・・・ 影取 「ぐっ!・・・・・・ぐううう〜〜っ!」 本部長 「クククク、どーだね鬼警部。カマ掘られる気分は?」 影取 「ううっ・・・・・・ぐぐぐっ・・・・・・」 署長 「わかるかね、本部長。このテの正義ヅラを落とすにはコレが一番だろう。 男の尻は自尊心だよ。そいつをグリグリと犯してやるのさ。 どーだ、誇りもクソもあったものではなかろ。クククク・・・」 ・・・・・むう、凄まじい拷問だ。直腸検査された経験から言わせてもらうと、アレは屈辱。 確かに誇りもクソもあったもんじゃない。(だが小染さんだけは悦びそうだな) さすがは警察署長。だが、「このテの正義ヅラを落とす」ため、他にもやったことあるのか? うめく影取 「ぐぐっ・・・・観自在菩薩・・・・行人般若波羅蜜多時・・・・照見五蘊皆空・・・・度一切苦厄」 さすが坊さん警部。あたかもクリスチャンが迫害される時に聖書の一節を口ずさむが如く、 僧侶は苦しい時に般若心経を口ずさむわけですな。これは勉強になります。 ただまぁ、この場合は、「苦しさ」というより、「羞恥」と「屈辱感」ではないかと思うのだが。 実は悦んでいたら嫌だな(これがホントの「法悦」!!なんちって)。 影取の後を追う三人の魔女たち。だが待ち伏せしていた敵にガスを嗅がされ、気絶する。 三人は縛り上げられ、そのままボートに繋がれ、下水道の中にぶち込まれる。 三人を繋いだままボートを走らせ、下水道の中を引きずっていく悪人たち。 署長 「わしの祖父は神父でな、子供のわしによく話してくれたものだ。 魔女とかいう奴らは、(中略)水につっこむと、奴ら泳げんものだから、 たちまち七転八倒、のたうち苦しんで化けの皮がはがれてしまうというわけだ!」 (中略)中世ヨーロッパの魔女裁判でもこれが決め手となった」 署長、大暴走。「中世ヨーロッパの魔女裁判」てぇのはつまり、一般人を無理やり魔女と断定するのが目的の、強引極まりない裁判。泳げない人はどうなる?それ以前に、手足縛られて泳ぐの無理。 んでもって、死んでしまったら、「いやぁ、実は『人間』でしたよ、ハッハッハ♪」ってなことになる。 腐れ神父ですな、この祖父。しかも、それを微塵も疑ってないのが警察署長かぁ、う〜む。 そりゃあ手続き無視する警察官や、情報漏洩する警部も出てくるわな。
閑話休題。突如水中から手が伸び、一人、また一人と警察官たちは水の中に引きずり込まれる。 最後に操縦者が引きづり込まれ、コントロールを失ったボートは壁にぶつかり大破。 放り出された署長が水中で見たものは・・・・魔女にキスされている本部長の姿だった。 署長 「そ・・・そうか!奴らああやって男の肺に残る酸素を残らず吸っているのだっ!」
第3話(最終話) 『魔女の情夫』 女性客からクレームが、「私はニジマスのムニエルを注文したのよ」 その皿に盛ってあったのは、なんとトカゲのムニエル!(笑)。 いくらなんでも、「ニジマスのムニエル」が「トカゲのムニエル」になったら、 そりゃ、おかしいと思わないと変だろ。 しかも、あんたら(一応?)「魔女」なんだし。 慌てて取り替えようとするモッコとフッコ。だが、女がひと睨みすると、椅子が勝手に動き、 モッコを転倒させる。そして引き出しが勝手に開き、中のフォークやナイフが襲いかかる。 助けようとするフッコだったが、これも勝手に動く机に邪魔される。モッコ大ピンチ。 だが、マダム寂悦の魔法に助けられ、危機一髪。女性客は、その醜悪な正体を現す。 この辺、初めて魔女漫画の本領発揮。ただ、どうもこれ魔法というより、超能力(サイコキネシス)だ。 女性客は、悪魔の妾にして齢数百年を重ねる中国の魔女・黒仙宮だったのだ。 黒仙宮 「あたしね、このお店が気に入ったの。明日からは看板をかけ変えるわ。あたしが主人よ」 「そこのメスだかオスだか分からない、ゴリラコック。雇ってほしけりゃ、ここへおいで」 そう、読者が「うむ、確かにゴリラコック」と、納得するセリフを残し、彼女は帰っていく。 マダム寂悦は、黒仙宮とその情夫である悪魔の来訪と死闘とを予感する。 「用意なさい、悪魔を迎えるあたし達の最後のお料理を!」 そして、その夜。お客さんで満員の店内。この中に黒仙宮と悪魔がいるのか? 試しに「北イタリアの古い教会のオルガンが奏でるミサ曲」(←なんじゃ、そりゃ)をかけると、 カセットテープが煙を発して燃え尽きた。やはりいるのだ。緊迫の度合いを深める店内。 ……突然ドアが開く。入ってきたのは影取警部。マダム寂悦は彼と(いつものように)二階へ。 その間、モッコとフッコとガンさんは、黒仙宮を炙り出すため、特別な料理を用意する。 それは、「十字架型のコンニャクのバター炒め」(←あ、、、安直な…)。 その料理を見て、突如苦しむ男性(←これも安直だ)。黒仙宮は正体を現した。 場面変わり、二階でマダム寂悦と影取警部は、(いつものように)睦みあう・・・・ だが(いつもの)彼との違いに(←何が違うのかは、考えない方が良い)マダム寂悦はギリギリで気付く。 悪魔が影取警部に憑依していたのだ 。 ・・・・・いよいよ、店の一階と二階で、最後の、そして究極の魔法対決が始まるのか!? ・・・・と、ここまで緊迫する展開。作品のラストを飾るに相応しい 華やかな魔法合戦が繰り広げられ・・・・・・・・・と、思うでしょ? 影取警部(…に憑依した悪魔)が、突然マダム寂悦を口説きだす。 「なあ、寂悦よ、なぜそんなにわしを嫌う?わしの気持ちは分かっているだろう?」 そして、場面は回想シーン。 唐突に空飛ぶ円盤出現。更に、その円盤が叫ぶ 「待て寂悦!頼む、一度でいい。抱かせてくれーっ!」 …な、、なんじゃそりゃ〜〜っ! な、、何で突然空飛ぶ円盤が? それも抱かせてくれ? 一度でいいから? 訳わかりません。つまり、悪魔ってのは宇宙人ってコトですか? いや、嘘じゃないですって。その証拠に、ほら・・・↓↓↓ 回想シーン続きます。マダム寂悦が箒に乗って逃げながら(←おぉ、初めて魔女らしい) 「いやよ!だれがあんたなんかの情婦になるものか。ホホホホホ…」 なんだかなぁ……これってオカルトなのかSFなのか? つまり、悪魔の言うには、彼は黒仙宮のような老婆にはウンザリで、若い寂悦に乗り換えたい。 黒仙宮は、この店を中華料理店に改装して、料理で客を堕落させたいと思っているが、 彼女は自分が老いたのを認めないため、未だに魔力が通用すると思っている・・・・とのこと。 そして場面変わり、一階では。黒仙宮が襲いかかろうとするが、足がもつれて一人で転ぶ。 爆笑するモッコとフッコ。更に黒仙宮は怒り狂い、炎を吐こうとする。 黒仙宮 「焼け死ぬがいい。そらーっ!ぐああああ!! ん?…」 モッコ 「アハハハ、火を吐いたつもり?でも出たのはヨダレよ。ハハハハハ…」 フッコ 「ねえ、おばあちゃん。強情はってつっぱってないで、若い者に道をゆずったら?」 黒仙宮 「うるさいうるさいっ!ガキなんぞに負けてたまるかーっ!ぐおおおおーっ!!」 黒仙宮の婆ちゃん、今度は頭から突っ込んでくる。魔法が不発ならあっさり肉弾戦にチェンジ。 …な、なんじゃそりゃ〜っ!(Part.2) 最初に店に来た時の、サイコキネシスとおぼしき魔法はどこへ? ニジマスのムニエルをトカゲに変えた、あの魔法はいずこへ? ミサ曲のテープを・・・・・・以下同文。 フッコを押し倒し、首を絞める黒仙宮。・・・が、すぐさま顔を引っ掻かれ逆襲される。 モッコ「いいこと、おばあちゃん。火を吐くなんてもう時代遅れよ。でも、どうしてもっていうのなら 燃料をつめたげる! そーら、召し上がれ。当店の特別料理よ!」 ・・・・そう言うと、黒仙宮の口にガスのホースをくわえさせる。 腹がガスでパンパンに膨らみ、口からガスを吐き続ける黒仙宮。(このへん伊藤潤二『魚ッ(ギョッ)』) 「さらば、苔むした魔女よ!」 マッチで火をつけるフッコ。 その頃、二階では影取警部の肉体を捨て、悪魔(宇宙人?)の本体が寂悦に襲いかかる。 悪魔(宇宙人?) 「もう逃がさんぞ。わしの女になるのだあああ!」 その瞬間、黒仙宮の体内のガス爆発が、悪魔ごと二階を吹っ飛ばす。 悪魔 「ぐわーっ!ば…ばかもの!くそったれの黒仙宮め。やきもち焼きやがって! せっかく寂悦を手に入れるところだったのにーっ!」 (↑やきもちか?) 店は炎に包まれるが、寂悦は、平然としたもの。涼しげにつぶやく 寂悦 「黒仙宮に店をのっとられるくらいなら、 焼いてしまったほうがマシ!ホホホホ…」 周囲の人々が火災に気を取られている間に、三人の魔女とゴリラコック、そして影取警部は リムジンに乗ってスタコラサッサと逃げ出すのであった。 以上、『魔女料理』完 …って、なんじゃそりゃあ!(Part.3) こんだけ盛り上げた挙句に、この支離滅裂でトホホな結末。 最終話は結局、魔法なんぞひとつも使ってなかったぞ。 それに、最後の料理の名前も言ってないよな。 悪魔の正体って、結局何だったんだ?やっぱり宇宙人? 第一、黒仙宮って全然強くないのに、何で店をのっとられる? もはやぶっ飛び過ぎてて、 何もかもが理解不能です!! |
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