バカ漫画 其之七
「少林寺雀法」
〔桃園書房・TOENコミックス〕
(昭和52年7月1日初版発行)
作・綾小路綾子 画・すずき弘光
 タイトル見て、すぐにバカと知れる、分かり易〜い漫画ですな。
検索しても、原作者の綾小路綾子も、著者のすずき弘光も、まったく正体不明
描いてる漫画も原作もこれっきり。どういう経緯でこんなバカ漫画描いたのか、訳わかりません。
 タイトル見れば分かるけど、主人公は拳法を使います。
 タイトル見れば分かるけど、これは麻雀漫画です。
 タイトル見て想像されるような、拳法麻雀相関関係など、全くありません。
ただ単に、拳法の強い奴が麻雀するだけの話です。
 タイトルにある「少林寺」すら、ほとんど無関係です。

 正確に言わせていただくと、日本の「少林寺拳法」とは、「中国河南省・少林寺」の武術のこと
ではありません。いわば、少林寺拳法とも言うべき、日本発祥の拳法でございます。
「少林寺」の名称を使ってくれるな…と、本家中国からクレームも付いたこともございます。


 閑話休題。表紙を見れば一目瞭然。
明らかにブルース=リーを意識した(←少林寺は?)ロン毛の若者が主人公ですが、
熱血な格闘漫画を想像すると後悔します熱血な麻雀漫画を想像しても後悔します

 覚悟はできましたか? では、あらすじです。

 主人公・月形潜は、東京・・・・夢の島でゴミを整理するのを生業としている若者である。
 彼は、高校生の時に自分をにしてくれた家庭教師の佐久美保子を探していた。
彼女は父の会社が破産
(←正確には「倒産」です)し、その借金を返すために東京に出ていたはずなのだ。
 無事、東京の城東大学に進学した月形は、少林寺拳法部に入部。めきめきと頭角を現し、
「城東に月形あり」と言われるまでの腕前となった。
 ある時、月形は先輩から麻雀の誘いを受ける。最初の局で白に触れ、その感触に驚く月形
「似ている・・・・白磁のような輝きとなめらかな手ざわりが・・・・・美保子さん」

   (↑もちろん、彼の脳裏には初体験の時に見た、そして触った裸の美保子さんの姿が・・・・・バカですな)

白を集め、いきなり大三元を、それも面前でツモあがる月形超ビギナーズラックである。
 運命的な麻雀との出会い(?)をきっかけに、少林寺拳法と同様、麻雀にのめり込む。
 大学を、美保子の消息をつかむことなく卒業した月形は、雀荘をまわりながら情報を集め、
故郷・北海道の原野に似ている夢の島で働きながら金を貯め、美保子を探すことにしたのだった。


 はい、こんな話です。

 この漫画、何と言っても致命的なのは、絵がショボイこと。
恐らくは劇画を意識しているのだろうが、どうも中野喜雄のできそこないのようにしか見えない。

 更に、この漫画。設定が安直過ぎる。
佐久美保子を探すため、雀荘をまわり麻雀を打っているのだが、彼に敗れた相手はことごとく
素直に金を払う前に、必ず暴力にモノをいわせようとする
 要は、月形が少林寺拳法の達人であることを見せ付けるための
引き立て役に過ぎないのだが、毎回なのは、いかがなモノか?
しかも、最終話の麻雀対決の後では、壁のスイッチを「ポチッ」と押すと、
月形のいる場所の床だけが開いて、落とし穴に・・・・・って、おおデスラー総統!(笑)

 おまけに、この漫画キャラクターが支離滅裂の行動をとる。
 「仙人」と呼ばれて恐れられながら、結局一度もあがらずに終わってしまった爺さんとか。
あ、もちろん設定が安直ですから、その爺さん分かりやすく
白髪・白髭でございまして、更にを着て草鞋履き、節くれ立った杖をついております、ハイ。
 他にも、熱海の温泉旅館で、月形タンブリングキックをくらわすヤクザとか。
腹か胸を蹴られ派手に吹っ飛ぶが、見事一回転して着地した月形の頭から血が滴り落ちる・・・・・・・・・・・って、何でやねん!何で腹か胸を蹴られて頭から血が出る!?
このヤクザ、拳法の心得があるのかと思いきや、やはり麻雀で負けたら車で轢き殺そうとするし。

☆少林寺拳法での戦闘中に、
  あたかも麻雀のように数手先を読むような駆け引きを盛り込むとか、
☆麻雀での対決中に、
  少林寺拳法で鍛えたスピードで牌を抜き、その動体視力でイカサマを見破るとか、

そんな面白くなりそうな展開に、ことごとく背を向けた迷作でして、
ただただ拳法の強い奴が麻雀する
結局それだけの漫画の紹介でございました。

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