バカ漫画 其之拾四
「ロボット・ワールド」
〔小学館・週刊少女コミック増刊〕
(昭和53年3月29日発行)
飛鳥幸子

(C)飛鳥幸子

 バカ漫画雑誌版も、3回目となりました。
今回の特集は、飛鳥幸子さんの作品。「ロボット・ワールド」
 このお方、少女漫画の草分けの一人でございまして、マニアの間でこの方の単行本は、
かなりの高値で取引されております。うちも高く買い取りますので、家にある人はご一報を(笑)
 主人公のミオは、瞳はつぶらで中に星。髪は縦ロールと、いかにも少女チックな絵柄。表紙参照
普通にロマンチックなラブストーリーでも描いていれば、何の問題もなかったのですがねぇ・・・・・

よりによってこの方、大チャレンジしたものです。編集者の方針か?
なんと、この作品のテーマは、SF(サイエンス・フィクション)
萩尾望都や、竹宮恵子などがSFに憧れ、コマの枠外などに「ブラッド・ベリ最高」とか、
描かれていたのはよく知られているところですが、この方の場合、作品を読めば読むほど
作者にSFの素養など欠片もないのでは?
                   ・・・と、思えてきて仕方ありません。気のせいですかそうですか。


百聞は一見に如かず。見ていただきましょう。そのヘナチョコ画像の数々を。

とりあえず、これが宇宙船(のよう)です。
なんですか、このの多さは(笑)

非常に平面的な図柄ですが、
他のシーンもあわせて考えるに
球形の宇宙船のようです。
はアングルによって増えたり減ったりします。
知的生命体の存在する惑星、すなわちオリオン、デネブ、アールデバラン、地球@などには、
線で繋ぐと円形Aになることから、中心に生命発祥の起源があるのではないかと推測されるため
探検隊は、中心部に存在する惑星「L11号星」を探検する。

…って、ストーリーなんですが、この解説って結構無茶苦茶ですな。
@
「惑星」って、この中では地球だけなんだが(笑)。デネブ・アールデバラン「恒星」だし、
オリオンに到っては
「星座」だよ。星ですらない〔爆〕「星系」って言ってれば、まだよかったけど・・・。
Aですが、宇宙だというのに、なんとも平面思考ですな。
球形の間違いではないのかしらん?

その途中に宇宙船内部に登場するのがこれ
巨大化ネズミです。

石森章太郎先生の図柄にそっくりですが、
多分、気のせいなんでしょうね(笑)

宇宙船の外壁と内壁の間に潜り込んでいたの鼠が
宇宙線の影響で巨大化し、脳も発達して
知能を持つようになりつつあったようです。
 〔↑一応、伏線になっとります〕
 巨大ネズミの襲撃をどうにか撃退した一行が、ようやくL11号星にたどり着き、
最初にお出迎えされたのが、
↓↓こちらの方です。


惑星L11号星の、
『黒の都』の女王様
だそうです・・・・。

いやぁ、少女漫画らしいですなぁ(笑)。
背景に散りばめられております
は、一体なんなんでしょう?(笑)。

やっぱりこの人
ファンタジー向きだよなぁ・・・・。
少なくとも
SF向きではなかろう(笑)。


まぁ、主人公の顔
そして、表紙からして
これですから(笑
 しかし、ここでストーリーは急展開。黒の都を毎夜襲撃するロボットの集団があると聞かされた
主人公一行は、女王の頼みを聞き入れ反乱ロボットの撃退に力を貸すことになる。
そのロボットは、かつてL11号星戦争に使用されたほどの恐るべき存在なのだそうだ。

そして、対決の時は来た。
これが、その恐怖の反乱ロボットだ!!
  ↓↓↓↓↓
…なんじゃ、こりゃ?(爆)

 無機質な体型、何の装飾もない外観。
来るべきロボット社会・機械文明への
アンチテーゼだと思いますが…え、違う?(笑)

拡大図

手抜き渦巻模様のこれは一体何でしょう!?
マント?スカーフ?マフラー?それを、何でロボットが?
 こんな無駄を最大限削ぎ落とし過ぎたフォルムのヘナチョコ純機能的なロボットを見ていたら、
どうも先行者を思い出しちゃいましたな。実は、コイツがモデルだったりして(笑)
                  (まさかとは思いますが、かの有名な先行者を知らない方はこちらへ→侍魂

しかもこいつら、ダメージを負うと必ず首が飛ぶぞ(笑)
しかも彼等の内部にはバネボルト歯車(笑)


 難なく撃退し、「黒の都」に帰ったミオ(主人公)を待っていたのは、乗組員そっくりのロボットだった。
実はこの星は、すでにロボットたちによって支配されており、人間そっくりのロボットを送り出して
他の星々を征服しようと目論んでいたのだ!(ん?じゃあ、あの先行者どもは、なんだったんだ?)

 ついにその正体を現し、ミオ(主人公)に襲い掛かる女王様(ロボット)
その驚くべき正体とは ↓↓↓↓………(爆)
カミキリムシですか?(笑)

なんか、元のフォルムが想像できないくらいモデルチェンジしておりますな。足も一組増えてるし。
そして、ミオ(主人公)がこの女王様を倒すのに使った手段が、なんと・・・・

宮殿の噴水に誘い込み、
    
でショートさせるのだ!





おいおい、が危険ならコーティングくらいしろよ(笑)。鉄腕アトムでもそれくらいやってるぞ。
そもそも、でショートするくらいなら、宮殿に噴水なんか作るんじゃない(笑)
なんか、映画
『サイン(主演・メル=ギブソン)を思い起こさせるトホホぶり。
このバカっぷりは、何と表現してよいか分からないほど
素晴らしい!!


 なんとか脱出したミオ(主人公)たち。
 宇宙線の船内で、家来になった反乱ロボットサンボが、L11号星の歴史を話し始める。

 元々L11号星にはガス状の知的生命体・ギギ族が住んでいた。ある時、別の開拓星を目指して
宇宙船で飛び立った時、が一匹宇宙船内部に紛れ込みそれが宇宙線の影響で突然変異し、
進化したのが地球はじめオリオンデネブアールデバランなどの人類となったのだ。
知らないうちに銀河系を征服されたギギ族は、別の銀河へ逃げていったそうだ。

 それを聞いた、ミオ(主人公)たち宇宙船の乗組員は、全宇宙に向けて無線を発するのだ・・・






      全銀河人類の宇宙船に告ぐ・・・

    ネズミに注意
    ネズミに注意


追記 SF作家の山本弘先生から情報提供ありました。この話、実は元ネタ(原作)あったそうです。感謝感謝♪
   
F・L・ウォーレス「大いなる祖先」(SFマガジン65年12月号)とのこと。さすがに知りませんでした。
   考えてみたら、設定そのものは明快な
SFなんですよね。絵がヘンテコなだけで…て、フォローになっておりませんが(笑)。

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