バカ漫画 其之拾八
「ぼくのブラジャー・アイランド」
〔講談社KCGM〕
昭和62/8/17初版発行
作・井沢満
画・いがらしゆみこ

(C)いがらしゆみこ

 すみません。バカ漫画第17弾にお引越ししました。9番目に入れたいバカがあったものですから。

 気を取り直して。今回のバカ漫画は、これも少女漫画界の大御所(・・・と言っても良いでしょう)
いがらしゆみこ
先生のマイナー作品『ぼくのブラジャー・アイランド』で、ございます。


 本編を語る前に、少々前フリをば……
 「レディコミ」というジャンルがございます。成年漫画の女性版。女性視点の「性」表現。
最近では、一般の、ごく普通の少女漫画の方が遥かに過激のような気もしますが、(新條あきとか)
……うわっ!こんな漫画も出てやがる!『―鷹―5000人を抱いた男 AV男優・加藤鷹物語』
……え〜〜っと、とりあえず今回は、その話は置いておきましょう。

 漫画家さんで、昔は結構人気のあった人が、ここ最近レディコミに描いてるのを見ると、
どうも、堕落したように感じるのは何故なんでしょ?
昔、
きらびやかなアイドルだったのが、
いきなり
ヌード写真集出したような・・・・

 漫画家さんの例で言えば、わたなべまさこ先生とか、川崎三枝子先生とか。
 そして今回御登場されますいがらしゆみこ先生も、そうです。
 いや、「レディコミ」も、今や立派な漫画の一ジャンル。他のジャンルと差別するのはいけません。
現に、漫画家の東克美さんはレディコミ出身ですが、質の良い原作を得て
『ネオン蝶』『ネオン華』(作・倉科遼)という作品を立派に連載しております。
     (ただ、あまりにも不自然なサービスカット。これ見よがしのシャワーシーンが多いのは戴けませんねぇ♪)


 でもやっぱり、このいがらしゆみこ先生に関してだけは、
どうも堕落した、もしくは没落した、はたまた凋落した
ような印象を拭い切れないんですよ (↑お好きな表現をお選びください)。

 何故なのかといえば、かの有名な、氏のほぼ唯一の、そして最高のヒット作
『キャンディ・キャンディ(作・水木杏子)にまつわる
その利益と著作権を巡る生々しい論争と、原作者・水木杏子さんとの裁判によるものです
                           →『キャンディ虐待問題』

 とにかく、『キャンディ・キャンディ(作・水木杏子)以外の
ヒット作になかなか恵まれないいがらしゆみこ先生。
中ヒット作『ジョージィ』の原作者であります井沢満氏の原作を得て、少年誌に初登場!!
それがこのバカ漫画『ぼくのブラジャー・アイランド』でございます。

 この作品の連載当時、月刊マガジンは月刊ジャンプと共に、H路線を突っ走っておりました。
『修羅の門(刻)』で、元祖・リアル格闘技を描いた川原正敏先生がパラダイス学園
『Dear Boys』で、正統バスケット漫画を描く八神ひろき先生が2人におまかせ
他にも、Oh!透明人間(中西やすひろ)胸キュン刑事(遠山光)
     『いけない!ルナ先生』『あぶない!ルナ先生(上村純子)

などなど、他にもHなテイストてんこ盛りの作品が、続々描かれておりました。
当時の月マガを評して「ソフトエッチ路線」と独自に名付けたのは、おバカな私です。


 『ぼくのブラジャー・アイランド』も、それら作品の一つだったようです。
 女性漫画家男性向け少年雑誌で、女性視点Hな漫画を描くという、
漫画史的にもある意味画期的な、もしくは意義のある作品ではありましたが、
いがらしゆみこ先生の作家人生から結果的に見れば、
「後に
レディコミにシフトするための伏線」
・・・ってだけではなかったかと(笑)

 作品としては、さすがは『キャンディキャンディ(作・水木杏子)で一世を風靡した
作家さんだけあって、顔の造りも可愛く、造型も表情もGood。なかなかそそられます(笑)。
 更に、女性の体のラインなどは綺麗に描かれていますし、下着のデザインも気合入ってます。
エプロン・ランジェリー・ネグリジェ・ビスチェ・レオタード・和服・ガーターベルトなどなど、
これだけ服装や下着を多彩に描いた漫画は、この当時、なかったんじゃないでしょうか。

 まぁ、「100人の女性の体を、目隠ししたままで当てる」とゆーのは妙に安直ですが、
後に、これも下着メーカーを扱った弓月光『甘い生活(集英社BJ)に受け継がれることになります。
他にも、乳首に顔がついてて、舐めると悦ぶなど、
                          横山まさみち先生のオットセイみたいなもんか?)
 画期的(笑)な表現は随所に見受けられます。


 しかし、1巻で終了し、なおかつ単行本もあまり売れている気配がないところを見ると
どうもイロモノ扱いではなかったかと・・・・・。

 気のせいですかそうですか。いがらしゆみこ先生、色々失礼なこと書いてしまって、
どうもすみませんでした。頼みますから訴えないでくださいね(笑)

 ちなみに、いがらしゆみこ先生、この後で原作者の井沢満さんにも、水木杏子さんと
まったく同じような件で訴えられておりますから(笑)。

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