バカ漫画 其之拾八
「日本大地震」
――液状化のメカニズム――

〔松文館〕
(1995年3月31日発行)
グループ・ゼロ著

(C)グループ・ゼロ

 阪神大震災から、昨日で10年を数えることとなりました。犠牲者6千人以上
今年は、スマトラ地震による津波で、インド洋沿岸各国に空前の被害が出ました。犠牲者20万人弱
亡くなられた方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。

 それと同時に、こんな時期にこんな不謹慎な漫画を紹介するこのバカをお許しください。
私も鳥取県西部地震(震度6強)を経験しております関係上、その恐怖は理解しているつもりです。

 阪神大震災に関しては、大島やすいち『こちら大阪社会部・阪神大震災編(講談社Mr.マガジン)
 津波の脅威に関しては、矢口高雄『激涛(小学館・ビッグコミック)
 そして、地震・津波全般に関しては、名作・さいとうたかを『サバイバル(小学館・サンデー)
・・・・など、地震・津波に関する漫画は色々と発行されており、地震・津波の脅威について、
私たち日本人の理解に一役買っているところだと思います。実際、日本人だと
「グラッときたら、すぐ机の下」「地震の後は、すぐ津波」という知識は常識ですから。

 しかし、この作品「日本大地震」の扱っているテーマは、地震でも津波でもありません。
なんと「液状化」です。誰です、笑っているのは? 「液状化」ってのは怖いんですよ。
この漫画の主人公にして、東都大学工学部の成績トップの苦学生。
「ミスター液状化」の渾名を縦(ほしいまま)にする杉本裕一くんの表現を借りると
 ……例えば、都心に近い臨海部でマグニチュード6以上の大地震が発生したらどうなるか
 ……想像してみてください。 道路は盛り上がり波打つ。
 地下の埋設物――例えば水道管・ガス管――これらは破れ、地上に浮き上がる。
 線路は移動し、橋は落ちる。電柱は道路を塞ぎ、救助に向かう救急車さえその進路を断たれる。
 精魂込めて築き上げた家は傾き、倒壊する。都市機能は完全に麻痺し・・・人の命さえ・・・・・・
(P.78)

……なんだそうですよ。なんとも恐ろしいことです。(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル ((((

問題は、何でこのセリフをパーティーの真っ最中に言わにゃならんのか(笑)
フォーマルな会場に、Gパン、スカジャンで突然現れ、
 今後、日本経済が成長し眩しい光を放つためには、その根っこがしっかりしてなければ……
 この液状化が大規模に発生すれば、その経済の根幹が崩れ落ちてしまうのです。
 皆さん、そういう危機感を抱いたことがありますか?
 確かに国や自治体は開発を計画したり認可する際、調査や努力はしています。
 しかしプロジェクトの当事者であるあなたたちがそんなんじゃダメなんです!
 そんな意識が希薄な事じゃダメなんだ!
  (P.79)
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プロジェクト当事者たちを前に、豪快なダメ出し。

パーティー会場、ドン引き!当然だろな。

 杉本くん、せっかく良いこと言ってるんだから、もうちょっとTPOというものをだね…(笑)




 さてさて。話自体は「液状化」のメカニズムについて、科学的説明交え事細かに解説しております。
「液状化」の解説本、その予備知識として充分に役立つのではないかと思います。


 だが最大の問題は、そのトホホなストーリーと、トホホな絵柄です。
これが原因で、この本の説得力のかなりの部分が失われていると推測するのですが。




 ま、こんな絵なんですが、表紙の緊迫感からは想像しにくいほのぼのとした絵ヅラですな。
しかし、これだけでは(下手ではありますが)、それほどトホホではありません。

最高にトホホなのは↓こちら↓でございます。
←足、短っ!!
   &顔、デカっ!!

←二頭身ですな(笑)

顔の長さより短い足って、どうよ?(笑)
しかも集中線まで描いて強調せんでも(笑)

そして、この漫画のテーマ「液状化現象」恐怖
↓↓こちら↓↓
←泡立つ地表。
←流れ出す地中の水分

←その現場、決定的瞬間
世界で初めて写真に収める
榊原教授(当時4頭身)


・・・・しかし、なんでしょうね?
この
緊迫感のなさ
やりきれない
トホホ感は。

 マジでこういうの、迫力と緊迫感ある絵柄で描こうと思うなら、
さいとうプロダイナミックプロに頼めば、安く描いてくれる人いるのでは?
前者は『サバイバル』『日本沈没』、後者は『デビルマン』『バイオレンスジャック』
迫力ある都市壊滅シーンなんぞ、お手の物だろうに。その方が宣伝効果も高いんでないかい?

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