バカ漫画 其之参拾参
( ジ ・ ア ン ソ ル ブ ド )
「THE UNSOLVED」
〔小学館・ヤングサンデーC〕
(1997年月日発行)
シナリオ・新井澄良/市村政晃
作画・KANB
某古本屋で、背表紙に「U・F・O」という記載のある本を見かけてフト立ち止まり、
「トンデモ系の漫画かな? でも、作者も漫画家も知らんなぁ」と思いつつ手にとって見たところ

………あれま。数ページ読んだところ、ちょっと驚きました。
アブダクション体験を退行催眠で思い出す件などは、催眠中の暗示によるものと書いてあるぞ。
おお、ロズウェルの宇宙人解剖フィルムは作り物とか言ってますな。
他にも、アダムスキーマイヤーのUFO写真をトリック写真参照と断言しちゃってます。 
MJ12(マジョリスティック・トウェルヴ)文書は、明らかな偽造だそうです。

これは、いわゆる超常現象への懐疑的な視点から実証的に描かれた漫画なのか。
いやしかし、どうも超常現象を批判的に解説してる奴の顔が、妙に悪人面なんだよな。
それに、退行催眠の件では『抑圧された記憶』を、かなり肯定的に捉えておりますし。
アレには虚偽記憶ではないか、との批判も多くて社会現象にまでなってるんですが。

う〜〜ん、変だなぁ。改めて表紙を確認。全部ローマ字表記ですよ読みにくいったらありゃしない。
SCENARIO(シナリオ)・ SUMIYOSHI ARAI & MASAAKI ICHIMURA(新井澄良&市村政晃
COMIC ART(作画)・ KANB(KANB)   ………どちらも知りませんねえ。
その下にももう一人ありますね。え〜〜っと、SUPERVISE。これは監修でしょうね。
SUPERVISE(監修)・ASUKA AKIOですか。………あ・す・か あ・き・お




………………………飛鳥昭雄ぉ!?



わはは。背表紙にもクレジットされてませんし、表紙もローマ字表記なんで見逃してましたよ。
こりゃ絶っっ対に、批判的なスタンスの本じゃあり得ないですね。監修してますかそうですか。
思ったとおり、超常現象に批判的なのは、最初の50ページくらいまで。
あとは、いつもの調子でドンドンぶっ飛んで行ってます。これでこそ飛鳥昭雄先生だ(笑)。

調べてみて初めて分かったんですが、
この『THE UNSOLVED』(ジ・アンソルブド)って、PS/SSのゲームだったんですね。
私のゲーム歴は、スーパーファミコンでストップしたままなんで、全っ然知りませんでしたよ。
ゲーム内容だけ聞いてみると、なんか面白そうですね別の意味。 多分、やりませんが。




しかし、バカ漫画として飛鳥昭雄先生を採り上げるのは、非常に勇気が要ります。
何故なら、この人を批判するとリアルに訴られるかもしれないんで。

そのリアルに訴られたお方が、飛鳥昭雄批判してる古関智也氏。
その著作『飛鳥昭雄の大真実(文化創作出版)』が、飛鳥昭雄先生の逆鱗に触れたらしく、
リアルに訴られました。その公判の内容につきましては、氏のサイト
『飛鳥昭雄の大真実Part.U』の中の『飛鳥昭雄の大真実!?』裁判に詳しく載ってます。
マトモな引用しただけで「著作権法違反」とか言うの、勘弁してください。
結果は、飛鳥先生の全面敗訴。訴訟の内容からすれば当然の結果ではあるのですが、
飛鳥先生、敗訴したから反省しておられるかといえば、さにあらず。
           ↓
 しかし、飛鳥氏は古関氏に対する攻撃をやめない。『飛鳥昭雄ロマン・サイエンスの世界』では、
裁判の経緯について事実を歪曲したことが書き並べられ、あたかも自分が勝利したかのように
宣伝している。

 つまり、裁判を起こされた被告側は、出版社との折半で裁判費用を分担せねばならない。そのため、本で得られるはずの印税収入は、すべて「発売等差止仮処分」や「発売禁止等請求事件」の2件における弁護士事務所への支払いで消え失せてしまうのである。
 それに対し、今回の原告側でいえば、裁判費用をすべて必要経費で落とすことができる。
つまり、結果的に税金対策になるのである。(中略)
 こうして被告は、第三者に対して心の赴くままに暴挙を行えば、後で多額の支払いと
労力が待っている社会常識を知ったことになる……と原告が判断した。事実、あの裁判により、被告は一年近い間、東京から片田舎の裁判所まで、弁護士同伴で何時間もかけて
通う羽目に陥っているからだ。
 あなたはこの文章を読んでどう思われるだろうか。
 俺を批判する奴には経済的打撃を与えてやるぞ、こっちは必要経費で落とせるからフトコロは
痛まないぞ
、と自慢しているのである。
 金持ちが金にものを言わせ、自分の気に入らない人間を経済的に痛めつける……これは普通、
世間では「弱いものいじめ」と呼ぶはずだ。 [後略]

                         山本弘 『トンデモ大予言の後始末(洋泉社)』 P.68より
……こういうお方です。 なんかリアルに怖いんですが。
       人類最終兵器プラズナー
              なんぞより遥かに。
え、プラズナー



さて。 ストーリーでありますが、あんまり面白くありませんね。
UFO2衝撃の真相』『UFO2&エイリアン戦慄の真相完全な焼き直し
巻末の参考文献にも挙げられておりますが、参考文献というよりそのまんま

具体的なストーリーは、こちらを参照してくださいな。
説明すんの面倒臭いし引用しただけで著作権法違反とか言われて訴えられたりするの嫌なんで。
ゲーム版と異なりまして話は純和風。主人公は日本人で、舞台も事件も小道具もほぼ日本。
MMRっぽい構成だけど、あそこまでぶっ飛んではおりません。な、なんだってーっ!!
  「この物語は、事実を元にしたフィクションである―――」
……てな但し書きが最後にあったりします。表現までMMRみたいです。多分、信憑性も(以下略)
以下、徒然なるままにレビュー。いや引用なんてしてませんったら。

超常現象
キャトル
ミューティレーション
・A県に大量発生してるぞ。いや、日本では二件だけしか起きてませんが。
・切り取られてたのも乳房だけでしたとか言ったらいけないのか。
・いやまぁ、そこはそれ「事実を元にしたフィクション」ですし。
・牛の背には5桁の数字が、ブラックライトで見える特殊な塗料で書かれてます。
・あれ。蛍光塗料じゃなかったの? てゆーか、白ペンキじゃ…
M・I・B ・主人公の車に追突しただけでMIB扱いってどうかと。
・チラッと車内が見えたけど、別に服は黒くはなかったんですが。
・車種は日産CEFIROでした。イメージ悪いですね。
・あ、正確な綴りは「CEFIO」なので大丈夫みたいです(そうか?)。
UFO キャトルミューティレーションは、全部こいつの仕業なんだそうです。
全世界のUFOは、ほとんどが米軍の無人偵察機らしい。
円形飛行機とか実用化してないようなのですが、気にしてはいけません。
ソ連にも行ってたらしい。そんなマヌケなことで核戦争になった日にゃ(ry
「もし発見されても…UFOとして判断され、誰も真面目に追求しようとしない…!!」
……そうなん? まぁ確かにステルス
陰謀論
米軍 ・世界中のキャトルミューティレーションは、全部こいつらの仕業なんだと。
『オーマイガッ!』とか言っただけなのに、米軍の仕業にされるの可哀想だ。
・しかし、防衛庁の指示で、とかすぐバレる嘘つくこいつらもどうかと。
・日本まで来て、わざわざこんなことしてるとは、なんてヒマな奴らだ。
その他(人物など)
軍事科学アナリスト
横屋正朗
・↑のUFO=米軍無人偵察機説は、このお方(顔写真付)。
・言っておきますが、マトモな本も書いておられます。
・妙に誤植が多いんですが。言い間違えか、それとも訳し間違えか。
無人偵察機「アエロボット」→× エアロボット」
円形飛行機「アブロV29」→× 「アブロVZ9」
主人公 ・退行催眠でのアブダクション記憶が事実でないと分かるや、その体験をネタに
 ヤラセ映像を作らせる、どこぞの健康番組のディレクターみたいな人(時事ネタ)
・「これはエンターテイメントだ」とさえ言っておけば、何をやってもいいらしい。
・すみません。どこぞのサイエンス・エンターテイナーとダブるんですが。




ところでこの漫画。1巻と表記してありますが、どうも2巻以降が出てないようなのです。
これってやっぱり、
   アメリカの
陰謀でしょうか?

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