バカ漫画 其之参拾七
「飛べファッキンバード」
〔講談社・モーニングKC〕
昭和60/1/18初版発行
作・福田陽一郎
画・フルヤヒロム

(C)フルヤプロ、福田陽一郎

 バカ漫画37弾は、豪快な下ネタ全開です。

厳格な方・下ネタ嫌いな方・下品が不快な方は、見ない方が身のためです。













………本当に大丈夫ですか? 今なら不快な思いをせずに済みますよ。













 では、お下品お下劣な方のための、お下品お下劣なバカ漫画レビュースタート。
 【あんたも好きですねえ】





タイトルにもなってます「ファッキンバード」とは、表紙に出ているミミズクによく似た鳥です。
そのものズバリ、「オマ○コ !!」と鳴くのです。



日曜日の文部大臣(当時)邸。家族揃っての朝食最中に「オマ○コ !!」
経団連会長の茶室で、茶道に愉しむ会長らの前で「オマ○コ !!」
とある商社マンの家庭。ニューヨーク出張前に「オマ○コ !!」
ラブホの窓に留まり、今にもアレしようとする男女の脇で「オマ○コ !!」
墓参りの未亡人の前で「オマ○コ !!」
遊園地の中で「オマ○コ !!」
動物園でキリンの頭の上に留まって「オマ○コ !!」

後楽園球場、巨人vs阪神戦。4-3で巨人一点リード。バッター掛布vsピッチャー江川。
9回、阪神最後の攻撃で逆転サヨナラのチャンス(←本拠地なので、巨人が常に後攻めになるはずですが)
「ツー・スリー、最後のタマはなにか――五万の観衆、息を殺して江川を見守ります。
珍しく野次ひとつない後楽園球場――江川、セットポジションからふりかぶりました(←注・ボークです)

   「オマ○コ !!」  ……その後、江川は不調のどん底に。
騒然となる後楽園球場。慌てて放送禁止用語を全国生中継で口走るアナウンサー。
ニュースを聞いて慌ただしくなる報日新聞社。その窓の外からも「オマ○コ !!」

かくして、世は大騒動に。 しかし、何故か月曜日にはその鳥、姿を見せず。そして火曜日。


またも文部大臣邸。一家で朝食中に、またこの鳥が飛来「オマ○コ !!」
女子高での全校朝礼中。校長のありがたくも鬱陶しい長話の最中に…
「――というわけでありまして、少女雑誌のいかがわしい表現や描写というものは
つまり我々が規律をもってしてそれを差し控える。その方法しか今のところないわけでありまして
しかるに我々は……このいかがわしい表現や描写というものを――」

   「オマ○コ !!」  ……校長、脳震盪を起こして失神。
渋谷区パルコ前(フルヤプロ近く)の信号機の上で「オマ○コ !!」
小学校での保健体育の授業中。「するとこうなって精子と卵子がくっつきます。これを受精といいます。
このようにしてカエルの赤ちゃん――つまりオタマジャクシはですね……」
「オマ○コ !!」
ペットショップで「オマ○コ !!」  それをマネする九官鳥「オマ○コ〜、オマ○コ〜」
覚醒剤取引中のヤクザ事務所で「オマ○コ !!」 発砲する組員→即タイーホ。
総理官邸。政治献金を勘定する総理大臣の目の前で「オマ○コ !!」
ジュリーのコンサート。沢田研二(に、似てねえ)の肩に留まり「オマ○コ !!」
国会議事堂にまで現れ、閣議中に「オマ○コ !!」(素晴らしい!)



この鳥の正式名称「ファッキンバード」は、本文中ではたったの4回しか使われておりません。
ほとんど誰もが、「オマ○コ鳥」という、そのまんまなネーミングで呼んでおりますが、
マスコミ・政府など公共機関が「オマ○コ鳥」などと公式にその名を言うことは断じてできん。
ってことで、文部大臣が国会答弁で英語で誤魔化し「ファッキンバード」(仮)

(仮)というのは、つまりこの鳥が決して捕まえられないので。正体・種族・習性など一切不明。
この鳥が「オス♂なのかメス♀なのか」すら分からず、大激論に。
 「あれはオスだから欲しいものを要求しているとも考えられませんか!?」
 「いや、あれは絶対メスだ。女は本来
スケベなんだっ」 「なに言ってんですか。男だってスケベだ」
 「メスだ!」 「いやオスだ!」 「オスだ!」 「メス!」                
「……だめだこりゃ」

現象面からみた特徴としては、この鳥は何故か関東地方にしか現れないんです。何故か?
ここで、「オマ○コ」って言葉は、全国共通なの?…と、思ったあなた、鋭い!

「なぜ関東地方にだけあらわれたのかな?」 「バカだな、鳥の発生地が関東だからだよ」
「いや、その発生地のことだけどな……オマ○コは関東地方での呼び名だ。
 
関西じゃ、オ○コ。 九州じゃ、メ○ジョや、ボ○だ。



しかしご安心下さい。この鳥、全国で大量発生するのです。
つまりアレですよ。
日本全国美しきアソコの呼び方


↑↑      .
クリックで拡大します→

日本全国の皆さん、アソコのご当地での
美しき呼び名を、どうぞご確認下さい。
(各地の方言)
←西日本編 東日本編
 この方言の参考資料が、殿山泰司・著『日本女地図』だそうで。殿山さん、こんなの書いていたとは知りませんでした。
 ちなみに殿山泰司の生涯に関しては、映画『三文役者』(主演・竹中直人)をご覧下さい。名作です。
しかし現実世界でも、近年、全国的なAV(アダルトビデオ)の普及に伴いまして、
この美しき日本語が全国から消えつつあるのです。まったく嘆かわしいことです。そうでしょ? ね?



閑話休題。
この鳴き声のせいで、神奈川県では老人が海に転落死。千葉県ではサーファーが行方不明に。
埼玉県では船客13人が負傷。そしてこの鳥を捕まえようとした老人が、ビルから転落死。
かくしてこの鳥、駆除対象に。
しかし、ゴルゴ似の狙撃手たちが狙撃するも、鳥たちに素早くかわされ、一羽として駆除できず。
洗濯屋ケンちゃん」を見てた本部長が指揮する自衛隊が出動するも、一羽として捕獲できず。

業を煮やした政府は、最後の手段に踏み切る。それは……
文部大臣「あの“オマ○コ” という呼び名を変えてしまうのであります。 (中略)
     つまり、“アソコ”
の呼び名を全国一斉に変えてしまうんです。
     そうすれば、いくら“オマ○コ”と鳴いても関係ないでしょう。
     今ある呼び名をないものにして、新しい呼び名をつくり、法律で定めてしまうのです」


それを受けた、文部省「新名称審議委員会」での国語審議委員(老人)たちの新名称案。
“まぐ”(「まぐわい」の略) “ひしょ”(秘所) “ゆうばえ”(夕映え)
“くれないがい”
(紅貝) “いづみ”(泉) “ふち”(淵)
“がめら” “がっぱ”
 ←【全案却下】↑

かくして、オマ○コ改名実施法」が、賛成402票・反対75票で可決。
その新名称は…………「パロン」に決定されました。
政府は教育・マスコミ・CMを通じ、予算無制限なりふり構わない大キャンペーンを繰り広げるが……

大衆がそれに猛反発!
 「オマ○コと言ってなにが悪いんだ!? なにがパロンだ、気分もへったくれもねえやっ。
  いい年こいて、んなアホなことが言えるか〜〜〜」

日本各地で、パロン撤回デモ が広がり、
 「オマ○コ〜〜!!」 「日本人ならオマ○コと言え〜〜」 「オマ○コ万歳――」
テレビでは、毎日のように評論家が出演し、政治家の悪口ばかりが議論された(P.185)。
 「つまりわれわれはパロンから生まれたんじゃないですからなァ」
 「今さらパロンなんて言葉、使えませんなァ」「あの鳥には無邪気さがあるが、政治家の…(略)」

更には、パロン反対同盟」が結成され、連日テロ活動(銀行立て篭もりなど)。



そんな中で開かれた臨時国会。総理と文部大臣が、野党・経済界から糾弾されまくる。
周囲の大量のファッキンバードたちが見つめる中で、総理は内閣総辞職を決断。
かくして、新名称・「パロン」は、あえなく撤回されることになりまして、喜ぶ民衆たち。
オメコ万歳〜〜!!」 「パロンのアホ――」

時を同じくして、大量にいたファッキンバードたちも、何処かへ姿を消してしまいましたとさ。 【完】










この作品、恐るべきは「オマ○コ」という文字の出てきたその回数。
鳴き声・台詞・作中の書き文字・解説含め、「オマ○コ」登場総数なんと123回!!
各地の方言を含めると、204回にものぼります。(英語・新名称(案)「チン○コ」含まず)
成人漫画や官能小説でも、ひとつの作品でこれだけの回数が出てくることは、そうないんじゃないかと。
しかも方言の方は、ほとんど伏字なし。 まったくもって素晴らしい漫画です。

出版社(講談社)・原作者・作者のその潔さに、
敬意を表するところであります。

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