バカ漫画 其之四拾
亜江良十三の大報道」
〔朝日新聞社〕
(1991年12月25日発行)
さいとう・たかを
+アエラ・プロ
バカ漫画第40弾を記念しまして、巨匠の作品をピックアップ。
1〜39の間に、ちょこちょことブランクがありますが、気にしないで下さい。

とりあえず、『ゴルゴ13』アニメ化おめでとうございます。
それを記念しまして、ゴルゴ13のサイドストーリーっぽい話を紹介したいと思います。

この本、発行が朝日新聞社。そして協力が「アエラ・プロ」とあることからも分かるように、
雑誌「AERA」の初期コーナー『明解現代講座 AERA13』を一冊にまとめたものです。
初出は、『AERA』1988年5月24日号〜90年5月15日号(約3年間)

AERAの海外特派員。スーパージャーナリスト・亜江良十三による海外レポートについて、
さいとう・たかを御大が挿絵・漫画を描いておられます。

その亜江良十三氏の顔写真こちら→
亜江良十三
性別 : 男  年齢 : 38
国籍 : 日本
身長 : 183cm  体重 : 80kg

しかしすごいねAERA、このセンス。ダジャレにすらなってません。
       「ゴルゴ」と「アエラ」
母音も子音も、何一つカスってやしません。

この亜江良十三氏とゴルゴ13の繋がりらしき話が登場するのが、ラストのエピソード。


   『帰国を命じた編集長に別れを告げに来た男』 P.504〜509

サハリンでの取材を終えた亜江良十三は、本社の強引な人事異動(本社勤務)を拒絶。
トミオカ編集長からの帰国命令を蹴り、サハリンで連絡をを絶ったまま、彼は行方不明に。
以下は、アエラ編集長(当時)である富岡隆夫氏(下記画像参照)による記事。

               [ 前 略 ]
  「おかえりなさーい」
  背後で女性記者の明るい声があがった。振り向くと、編集部の入り口に大柄な男が立っている。
  ジューゾーだ。しばらく見ないうちに、
眼光がずいぶん険しくなっている。
  そのまわりには、人垣ができ始めていた。
  「なんで、あいつに人気があるんだ」
  私は、人心が一人の記者に集中し、他の者の影が薄くなる事態を避ける意味からも、
  ジューゾーを帰国させてよかったと思った。
  
「たいへんだったでしょう。編集部の顔ぶれも変わったから、あなたの知らない人も多いわ」
  と、みんなが、口々に労をねぎらう。    [ 中 略 ]
   男は自分を取り囲んだ人々を邪険に押しのけ、
 編集長席の方へずんずん歩いてきた。

  
「やあ、ジューゾー、元気そう……」

 ジューゾーにしては、少し愛嬌が足りない。
 
もみあげも長過ぎる。
         ぬーっ、と私の前に立った男は、確かにジューゾーに似ていた。
     しかし、明らかにジューゾーではない。

       
「キ、キミは、ゴ、ゴル……」

     亜江良十三記者には、
一卵性双生児の兄がおり、
     
国際的な暗殺者として活躍している、という記述が、
     
「編集長のみ閲覧可」 の
     人事部ファイルにあったことを思い出し、私は目を閉じた。
『亜江良十三の大報道』 

自らの正体を知る者は、何人(なんぴと)たりとも生かしておけないデューク東郷さんのこと。
この後、アエラや朝日新聞社の上層部の何人かが謎の死を遂げたのではないかと。
ていうか、亜江良十三氏が、真っ先にこの兄貴に殺されていてもおかしくないんですが。



ところで、この設定。 Wikipediaにも記載され、ゴルゴ13ファンサイトでも言及されてます。
でもこれ、やめた方がいいんじゃないかなあ。

この設定を認めると、面白い大変なことになっちゃいますよ。




  『大阪淀川べりに隠された亜江良十三出生の秘密』 P.178〜181


 駅を降りると、足ばやに行き交う人の雑踏。サンドイッチマン。手相見。数十軒の飲み屋が軒を
並べる通称「小便横丁」の店先には、「日本一安い」「ドテ焼き百五十円」と看板がかかっている。
 「
十三」は、大阪の中心街・梅田から阪急電車で淀川を渡って二駅目。 電車はここで
三線に分かれ、西に神戸、北へ宝塚、東は京都へと向かう。沿線はいずれも京阪神で
有数の高級住宅地を形成している。

      [ 中 略 ]
 大阪府立北野高校で日本史を教える北畑教諭(52)は、本気で怒っていた。
駅から歩いて数分のところにある北野高校は、旧制府立中学から数えて百十五年、
大阪でいちばん古く、また屈指の大学進学率を誇る名門で、学会、財界に人材を輩出してきた。
先の二人の絵の大家(佐伯祐三、手塚治虫)もここの卒業生なのだ。
 
「森繁久弥もそうや」   北畑先生はつけ加えた。
 もっと最近では、どんな有名人がいるかと尋ねると、先生はだいぶ考えた後、
 
「まあキミぐらいやなあ、亜江良君」
 
何を隠そう、私はこの学校の卒業生で、久々に母校を訪ねたのだった。
 
「十三ちゅうのはなぁ」
 先生によると、地名の由来は、 @古代条里制の十三からきた A戦国武将を供養した十三塚に
ちなむ B干潟が十三ヶ所あった C淀川の上流から数えて十三番目の渡しがあった、
など諸説あるが、Cが有力だそうだ。
 
「それだけ由緒正しいちゅうことや。
  なんや、キミは十三生まれいうこと、東京では隠しとるそうやないか」

 
私はここ十三に生まれ、そのため十三という名をつけられた。
先祖は
鹿児島県姶良郡の出とも、山口県豊浦郡の士族江良氏の亜流ともいう。

つまり、デューク東郷と亜江良十三が一卵性双生児であるのが事実ならば、必然的に
ゴルゴ13十三生まれということに。


ルーツは「鹿児島県姶良郡の出」「山口県豊浦郡の士族」「江良氏の亜流」などありますが、

いずれにせよ、ガッチガチの日本人
しかも、
コッテコテの関西人ですよ。


(高校まで二人が一緒なら、ゴルゴ13の母校は大阪府立北野高校ってことになったりして)




しかもしかも。もっと恐ろしいことには、
あの
ネーミングセンスの安直さから察するに、


ゴルゴ13の、あの「13」も、
「十三」由来である可能性が…











え〜っと、考えないことにしましょうね。

こんな設定がオフィシャルだった日には、ゴルゴ13より先に麻生太郎に殺されかねないわけで。
                                                あ さ ひ       じ ゅ う ぞ う
ちなみに、この亜江良さんの遠い親戚に、亜佐日 十三て人もいたりします。

なんか一卵性双生児の弟である亜江良氏より、デューク東郷さんに似てるような気がしますが。
ていうか、どうして「名前」の方が共通してるんだ?

更に更に、2003年にはFlashでアニメ化されてもいたんですね。
亜佐日十三の個人型年金リポート

さいとうプロの製作で、声は内海賢二さん。劇場版の玄田哲章さんにも劣らない重厚さです。

…ま、内容はともかく。


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