平成18年11月定例会

 

安田優子議員代表質問(平成18年12月1日)

自民党 安 田 優 子

 

10番(安田優子

 

皆さんおはようございます。
 きょうから12月1日、師走に入ったようでございますが、1日いただきまして、会派「自由民主党」を代表しまして、知事、教育委員会委員長、教育長、公安委員会委員長、県警本部長にそれぞれ質問をさせていただきたいと思います。

 この間、北朝鮮をめぐる外交、防衛問題や、いじめ、自殺から始まる一連の教育問題がこの国のありようを問う一方で、地方レベルでは各県知事への疑惑、逮捕や引退、交代が相次いでおります。夕張市の財政破綻も全国民を震撼させております。まさに、地方の時代を担う主体のありようが問われる中で、本県においては県庁の裏金問題が発覚しております。片山知事の去就もいまだ、一昨日までは不透明でありました。心はころころ変わるので心だと言うのだそうでございますが、きょうはいかがでございましょうか。(笑声)

 こうした不安定な状況にあって、県民の生活確保と福祉の向上に資するため、本日の私の質問がいささかなりともお役に立てるものであってほしいと願うところでございます。一昨日の石村議員に比べますと力不足は否めませんが、精いっぱい頑張らせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。なお、先日の石村議員の質問と重なる部分がありますが、改めてお答えをいただきますようお願いをいたしまして、質問に入ります。

 最初に、知事の基本姿勢について伺います。

 19年度の予算編成についてであります。

 経済財政運営と構造改革に関する基本方針、いわゆる「骨太の方針2006」において、政府は財政健全化に向けての中期的改革目標と工程表を明示し、プライマリーバランスの平成23年度黒字化、名目成長率3%程度で試算される今後5年間の財源不足16.5兆円を14.3から11.4兆円の歳出削減と、2兆円から5兆円の増税によって捻出し、2010年代半ばに向け、国・地方合わせた債務残高をGDPの伸び以下に抑える方針を決定しました。

 これを受け、改革初年度となる19年度当初予算の概算要求基準は、これまでの財政健全化の努力を今後とも継続していき、引き続き歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、歳出の抑制と所管を越えた予算配分の重点化、効率化を実施するとともに、基礎的財政収支の改善を図り、国債発行額を極力抑制していくこととしております。具体的には、年金・医療等の制度、施策の見直し、公共事業関係費は対前年の3%減、義務的な経費等を除くその他の経費については対前年3%または1%の減を進めていくものであります。

 一方、本県を取り巻く財政状況は、近年続いている地方交付税の大幅削減の動向、県税収入の不透明な状況、減少傾向にあるとはいえ600億円前後に上る公債費の圧迫等を受け、19年度においても非常に厳しいものと考えられます。このような中での来年度予算編成については、4月の知事選を控えて当初予算は骨格予算編成となるわけですが、片山知事は任期8年本県知事を務められた現在、来年度予算として取り組むべき最重要課題は何とお考えでしょうか、知事にお伺いするものです。

 次に、歳入の大きな要素となる地方交付税についてお伺いします。

 財政制度等審議会の建議によると、地方交付税の余剰分を特例減額し、国債残高の圧縮に充てるとしております。その前提として、国・地方の税収が伸び、地方財政の改善が見込まれるからというのであります。既に片山知事は、新型交付税をめぐる論議を含めて、こうした財務省や総務省のあり方について批判、行動を起こしておられるわけですが、これまでの運動を通して、年度末の地方財政計画をどのように予測しておられるのでしょうか。そして、国がいう景気回復による税収の伸びが果たして本県に当てはまるのか、伸びる余地があるのか、知事にお伺いします。

 さらに、厳しい制約の中にあっても、県民生活を支える産業振興や雇用対策、教育、福祉等について、最低のコストで最大の効果を上げるような積極的な予算編成を望むものでありますが、どのような考え方で編成に当たられるのか、知事の所見をお伺いいたします。

 次に、地方分権確立のために、さまざまな角度から質問をさせていただきます。

 国と地方の役割分担を明確にし、地方公共団体の自主性、自立性を高めることによって、地方公共団体がみずからの判断と責任において行政運営することができるようにすることを目的とした地方分権改革推進法案が閣議決定されました。法案成立の後、政府は地方分権推進計画を策定し、関係法令の一括見直しとともに、新地方分権改革一括法の制定に向かうことになります。政府はこれと並行して、道州制導入の検討を開始、道州制ビジョンの策定を目指して動き始めております。

 推進法は施行から3年間の時限法でもあり、これから始まる分権をめぐる動き、道州制への動向は、意外とピッチが速いのではないかと思うのであります。私は、明治政府が築いた中央集権国家体制下における国・県・市町村という基本的な地方制度の仕組みが、100年以上たって初めて変わることにある種の驚きを抱きつつ、この分権改革が真の民主主義国家建設への道であってほしいと願うものです。

 さきの地方分権一括法施行からいまだ日も浅く、市町村合併の余波いまだ冷めやらぬ中で、次なる分権は都道府県のありようを問うものであります。市町村の場合と異なり、この国の姿、形をも変えるほどの大きな改革でありますが、今のところ国の一方的主導で事が進んでいるように思います。一方の当事者である都道府県レベルにおける取り組み等については、全国知事会での検討論議が見える程度でありますが、私はやはり本県においても検討を深めるべきではなかろうかと考えます。県の取り組みようで、市町村の対応も変わっていくのではないでしょうか。

 広島県では、県の事務693件を仕分け、うち4割、273件を市町村に権限移譲していくと仄聞しております。道州制の動向は、ひとり県のみの課題ではなく、県下の市町村にとっても大きな課題であるはずであります。総額827兆円、国民1人当たりにすれば648万円の債務を負った国の財政再建が、みずからの行政改革を抜きにして地方に押しつけられるだけで分権も看板だけというのであれば、片山知事にはもっと大きな声で国に物申していただかねばなりません。

 しかしながら、地方分権は時代の流れとして、形のいかんを問わず方向づけが定まっていくとするならば、やはり私たちは、一方では県の責務としてそれなりの体制整備も準備していかねばならないときを迎えているのではないでしょうか。それが県内の市町村に対する責務でもあろうかと考えます。知事の道州制に対する見解は、これまで繰り返し伺っており、大筋では理解しているつもりですが、情勢の進展を受けて、改めてその御所見をお聞かせ願いたいと思います。

 今後の地方分権の中で、県の立ちどころはいまだ不透明でありますが、事市町村については、既に分権の究極の受け皿として、住民自治の原点として確かな位置にあるのであります。この市町村への事務権限の移譲というのも、県が果たさねばならない仕事であろうと思うのですが、現時点においては、67事務、451項目にとどまっており、大変鈍い進捗度であります。先般持たれた市町村・広域行政機構担当部課長会において、受ける側の市町村からは、総論として理解できるが、人員削減による行革を進めている中で、新たな事務の増大は人材とそれに伴う財源が確保されない限り難しいという意見が相次いだようであります。

 県はこれまで、住民に身近な行政はできる限り市町村で行うという地方分権の理念に基づき、市町村の足並みがそろわなくても、意欲ある市町村に対して権限を移譲するいわゆるまだら模様の分権を推進してきたのでありますが、結果として、県の言う意欲ある自治体というのは、移譲度ナンバーワンの鳥取市をトップに、米子市、倉吉市と続くというのでしょうか。

 知事は常々、市町村の規模より質が大事であるとおっしゃいますが、私は、市町村の質は大事だが、質を担保するには規模も必要であると考えております。そして、今後の国、県の動向次第では、次の市町村合併も当然あるだろうと読んでおります。県から市町村への権限移譲について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の説明を求めます。

 私は、そこに住む住民の民度、自立度と言ってもいいと思います。が、その自治体の質や格を決めるのだと思っております。民度が上がれば当然自治体の質も向上するわけであります。

 本年度設置された草の根自治支援室は、県民の自治・自立をサポートする場として設けられており、それ自体は大変いいことであり、本県自立のためにも必要なことであると受けとめております。今年度当初からの相談件数は32件で、その内容は、自分の住む市町村行政や、そこの議会に関するものがほとんどで、支援室のアドバイスによってそれなりの成果を上げた例もあるようです。

 しかしながら、県政に対する抗議や是正方法の相談のみならず、市町村を対象とする相談を県庁が受けて、アドバイスをもらった住民が市町村を正していくという構図を考えると、何やら釈然としないのは私一人でしょうか。職員3人の体制で、月に平均して4件ほどの相談件数というのも気にかかります。草の根自治支援室と今後のあり方について、知事の所見をお聞かせください。

 次に、産業振興による本県の自立についてお伺いします。

 本県自立に向けて、日夜県内外に向けて懸命の努力を続けておられる片山知事の御努力と行動力に対し、心からの敬意を払いつつ、今本県民がひとしく求めている雇用の確保、産業振興策について提言、質問させていただきたいと思います。

 関東や中部の大都市圏を初め、関西、山陽地域においても景気は回復基調にあり、国税収入は当初予算を上回り、空前の税収が見込まれております。景気回復がもたらす雇用情勢についても、団塊世代の新陳代謝も加わり、かつてない過熱傾向にあると言われております。その一方で、本県経済の動向は依然として厳しく、雇用や所得に与える影響が県民の生活基盤そのものを脅かすところまで及んできております。新規就労の道が閉ざされ、貴重な人材が県外に流出する事態は、地方の自立どころか社会の空洞化を加速させ、本県の自立そのものが根本的に問われるような深刻な問題であります。

 戦後、我が国は国土の均衡ある発展を国づくりの理念に掲げ、総合計画が示す拠点都市構想に基づいて、産業開発や都市機能の充実、加えて地域格差の是正に努めてきました。しかしながら、国は従来のこの方針を改め、国の財政再建優先のために地方の再生は地方の手にゆだねる方向に変えたのであります。その具体的姿が道州制であろうと考えております。この間の地方制度改革、地方分権の流れの中で、地方、地域間競争への突入は避けられない課題でありますが、我が県のように競争のスタートラインにも立てないような地域は、このまま滅びていくのを待つしかないのでありましょうか。
 私は、地方分権を担保する経済基盤の確立、産業振興策を国に求めるべきであると考えます。かつての新産都指定によって発展したところもありますが、我が地域のようにいまだ発展途上のところもあります。後発の法整備、あるいは税制等の特別措置によって地場産業、県内企業の育成を含めた企業立地や企業誘致が図られるようにすべきではないでしょうか。そのような施策を抜きにした地方分権は、絵そらごとのようにさえ思えてなりませんが、知事はどのような見解をお持ちでしょうか。
 現在、製造業を中心に、従来中国、韓国を拠点としていた生産システムから、再度国内に拠点工場を移して、研究、開発部門の充実を図った上で海外の生産工程に回すという方向で、各企業の工場規模の拡大、移転が進行しております。こうした動きにも呼応し、本県の産業振興に資する法整備や税制の導入について、知事の所見を伺います。
 次に、北朝鮮をめぐる本県の課題について伺います。
 去る1120日、米子市の松本京子さんが正式に北朝鮮による拉致被害者として認定されました。拉致されてから実に29年の歳月が流れております。83歳になられるお母さんが、3年じゃああませんけんなあ、30年ですけえと語られる姿に、親子の深いきずなを思い、そのきずなを無残に断ち切った北朝鮮という国に対して、改めて強い憤りを覚えるのであります。私も含めて、近くに住む者たちの思いは、拉致されていたのはもしかして私だったかもしれないということであります。京子さんが1日も早く無事に御家族のもとに帰ってこられるよう、県としても最大限の支援をしてあげるべきではないかと思います。県内には、京子さんのほかにも拉致と疑われている方がおられますが、そのあたりも含めて、知事並びにこれまで御尽力をいただいてきました県警本部長にお伺いいたします。
 北朝鮮は、さらに、7月のミサイル発射から10月の核実験強行という驚くべき暴挙に出ました。私は、県民の生命、財産を守り、安定した経済活動を保障するためにも、この国の卑劣きわまる行動に対し、強く抗議するとともに、県としても引き続き起こる事態の想定と対応について備えておかねばならないと思うのであります。6カ国協議への関係各国の取り組みとその推移の中で、再度の武力行使やテロ行為、あるいは難民問題等が発生する可能性もあり、そのときは距離的にも近い本県への影響は極めて高いと言わざるを得ないのであります。1126日に実施された国民保護共同実動訓練では、テロ事案に対する訓練も行われたわけですが、この総括を含めて、予想される事態とその対応について、知事並びに警察本部長の所見を求めます。
 さらに、北朝鮮の核実験に対し、我が国政府が発動した経済制裁によって、許可を得て北朝鮮海域でカニ漁に従事していた3船が操業禁止、また境港の水産加工業者が原料確保という面で大きな打撃を受けているのでありますが、こうした業者に対する支援について、経済制裁の今後の見通しとあわせて知事の御所見を伺います。
 次に、県庁裏金問題についてお伺いします。
 先般、元県職員からの指摘を受けて行った県庁の不適正な経理処理による資金造成等に関する調査結果について、2回目の発表がありました。これまで知事は、9月議会で組織的な裏金はない、調査の必要はないと語られ、1回目の調査結果を受けて、記者会見の席上、過去の遺物はあったが新たな資金造成は今のところなかった。私がやってきたシステム改革はまずうまくいったのかなと思っていると述べておられます。
 私ども役人経験がない者からすると、こういう知事の感覚自体、理解に苦しむところです。例えば、園芸試験場で栽培した果実を特定の者に売り、別通帳に保管して飲食代等に充てていたという一例を見ても、これは裏金でなくて何でありましょうか。県費で生産した果実は当然県のものではないでしょうか。
 知事が言われるように、システムを改善したので片山県政ではあり得ないものが今回明るみに出たわけですが、これについてはどのように感じておられるのでしょうか。調査結果に対する御感想を改めて知事に伺いたいと思います。金額も調査の進展とともにふえていっておりますが、本当に裏金はこれだけなのか気になるところです。さらなる調査や、第三者機関への委任等について、知事の考えをお伺いしたいと思います。
 私は、片山知事のシステム改善の効果を認めるものですが、これだけ裏金が出てきたということは、一体何を物語るのか。今なお職員の意識の中に、それそこぬぐい去ることのできない過去の遺物が残っているのではないかと思うのでありますが、知事はどのようにお考えでしょうか、お伺いをいたします。
 1回目の質問はこれで終わらせていただきます。

 

◯議長10安田優子議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。


 片山知事

◯安田議員の御質問にお答えをいたします。
 最初に、来年度の予算編成についてでありますが、来年度の予算編成の重要課題は何かということでありますが、安田議員も御指摘になられましたように来年春に統一地方選挙がありますので、来年度の鳥取県の当初予算はいわゆる骨格予算ということになります。したがって、先般もお話し申し上げましたけれども、新規の比較的大がかりな事業で、その実施をするかどうかに当たって相当議論を要すると思われるものなどにつきましては、これは当然肉づけ予算に回す、選挙後の補正予算に回すということになります。これはエチケットだろうと思います。ただ、新規であっても、年度当初から実施をすることが強く要請されるようなもの、それについてはある程度2月議会で議論を経て、議会の承認を得た上で予算に盛り込むこともあり得べしということを申し上げたわけであります。そのような前提で今予算編成作業に入っているところであります。
 そこで、予算編成における重要課題は何かということでありますが、これは先ほど安田議員が御紹介になりました国の方の財政運営の方針と軌を一にするものでありますけれども、一番重要なのはやはり持続可能な財政運営を可能とする予算編成でなければいけないということだと思います。国の方は、この観点でいわゆるプライマリーバランスを確立する。それから新規の国債発行額を極力抑制するというのはいずれも国家財政の運営における持続可能性を追求するものだと思います。これは、とりもなおさず鳥取県の予算編成、財政運営においても最重要なことであります。やはり破綻をしてしまっては元も子もないわけでありまして、これは昨今の夕張の事例を見ると、破綻をした団体がどんな状況になるのかというのは、その悲惨な状況が連日テレビで出てきているわけでありまして、あんなことになってはいけないということで、持続可能な財政運営を可能とする予算編成を心がけるということ、これが第一であります。
 あと、特に歳出予算についていろいろな課題がありますが、それらに通底する、あらゆる歳出予算に共通する課題として私が一番重要だと思っておりますのは、県内のいろいろな分野、予算が関係しますいろいろな対象、いろいろな分野の自立度を高めることにつなげる予算でありたいということであります。自立支援という言葉であったり、自立度向上であったりということだと思います。例えば、産業構造の面でいいますと、よく議論しておりますように本県の産業構造というのはかなり下請体質が強いということであります。これは産業としては非常に重要な分野を占めていても、しかも活発に産業活動をしていても、その結果のプロフィット、収益というものが非常に低くなってしまうということでありまして、やはりこれを収益を高くする産業構造にしなければいけない。そのためにはできる限り下請構造から脱却をして、より自立度の高い産業でなければいけない。そのためには、例えば独自の技術開発、独自の企画力、開発力、それからブランド化などということがやはり重要になってくるわけでありまして、従来のように産業支援というのがどちらかというと本県の下請体質の強い産業構造を前提にして、そこでの限界的な分野での収益性を高めるために支援をする面が強かったわけでありますけれども、それも必要な限りにおいては継続しますけれども、新たに知的財産権の獲得とかそういう方面に支援の輪を広げるという、こういうことを今やっているわけであります。そのために知的財産権を生み出しやすいように、それから確立しやすいように弁理士との提携をするとか、こんなこともその一つでありますけれども、そういうことが予算の中で随所に工夫をされなければいけない。政策の中でそういう創意工夫がなければいけないということはその一例であります。
 そのほか農業でも、これも先般さんざん議論いたしましたけれども、自立する農家をつくるための農業施策、県の農政のモードチェンジというものもこれも新しい政策でありますから新しい予算ということになるわけであります。市町村に対してもそうでありまして、市町村の自立度を向上してもらう。そのための県と市町村との財政関係の改善、これは例えば従来の個々ばらばらになっていた県の市町村向けの単独補助金を一括して交付金化して、何を優先にするかは市町村で判断してくださいというのも、これも自立度の向上支援策でありますけれども、いずれも対象、主体の自立度が向上する方向に県はサポートをする、そういう考え方で予算編成をするというのは、これは非常に重要な視点だろうと思っております。
 国の予算編成過程で、いわゆる地方財政計画の中で、現状では地方交付税の総額なども決まってきますけれども、この地方財政計画の予測でありますとか課題、さらにはそこで見込まれる税収と本県の税収の見込みとの突合などについて言及がありましたが、先般も私申し上げましたように、今の地方財政計画をめぐる攻防、勝ち負けとかというのは本当に私は邪道だと思っているのです。本来地方財政というのは、もちろん国と不即不離の関係にありますけれども、毎年毎年の国の歳出予算でもってことしの交付税がふえたとか減ったとか、そういうことに一喜一憂するようなそういう財政関係ではいけないと思うのであります。やはりルールでもって、国税収入の一定割合とか、そういうことで決まっていなければいけない。本来そういう仕組みになっているのですけれども、これがねじ曲げられてしまって、毎年毎年のまるで歳出予算の一対象として地方財政というのが位置づけられているような気がしてならないのであります。したがって、国の査定結果によって全国の1,800幾らの地方財政が苦しくなったりほっとしたりというこういう状況は、決して分権自治の時代の自治体財政の基盤ではないと思っているのです。ですから、本来地方財政計画などにほとんど関心を持たなくてもいいようなルール化された財政運営にしなければいけない、財政制度にしなければいけない、交付税制度にしなければいけないということが基本であります。
 ただ、今は現実そうなっておりませんので、情けないことでありますけれども、毎年やっさもっさとこの時期になりますと財務省に対して批判をしたり要請をしたり、総務省に対して頑張ってくれと言って励ましたり、そういうことを相変わらずやらなければいけない、非常にふがいないのでありますけれども、現実がこうでありますからしようがありませんので、私も全国知事会などを通じてその一員に入って今やっているわけであります。
 これは、どうなるかわかりません。ルールなき戦いでありますので、たまたまそこに介入した政治家で声の大きい体格のいい人がいたから交付税が減らなかったとか、実際そんなことなのです。非常に理性的でない、あえて野蛮とは言いませんけれども、理性的でないやり方で物事が決まってしまうと。よくないのです。しようがありませんので、私も声を大にして理性的でないことも時々言ったりしますけれども、その一環であります。(笑声)
 本県の税収見込みというのは、実はまだ見込む時期ではないのでありまして、今のところ地方財政計画はまだできておりませんけれども、その前提として総務省が見込んでおります地方税の動向との間の突合というのはまだできません。もう少し時間がかかるのかと思っております。
 これにつきましては、税収見込みというのは最近は非常に複雑になっておりまして、といいますのは、いわゆる三位一体改革などを通じまして国税から地方税への税源移譲がありますので、その関係で税収はぐっとふえたことに名目上はなるのであります。一方では、国からの義務教育費国庫負担金が減ったり交付税が減ったりしていますので、その辺のやりくりをうまく精査しませんと、名目上だけ見ると地方税は随分伸びたなということになるのですけれども、実際は減っていたりする可能性もあるわけで、この辺はよく注意をしながら今後見込みを立てていきたいと思っております。
 来年度の具体的な予算編成の考え方はどうかということでありますが、これは既に庁内で予算編成に当たっての基本的な考え方などを取りまとめておりまして、それに従って予算要求が行われて、今財政課長の段階で各部局からの聞き取りなどを行っているところであります。この予算編成に当たっての基本的な考え方などにつきまして、総務部長の方から御答弁申し上げます。
 道州制について、改めて基本的な考え方を述べよということであります。
 安田議員も御指摘になられましたように、私もいろいろなところでこの道州制についての意見を述べております。専ら政府の考えております、打ち出しております道州制に対する考え方に対する批判になっております。
 私などから言わせますと、政府が考えている道州制というのは道州制ではないのであります。道州制の衣をかぶっているけれども道州制ではない、えせ道州制と言っているわけであります。これに対しては批判をしております。本来の道州制とはこういうものだよというイメージを提示しているのが私が申し上げていることであります。
 私が申し上げる本来の道州制というのは、これは地方再編が中心ではなくて、本来国の再編と合わせた地方の再編ということであります。国の再編というのは、現在の中央省庁、12省庁で成り立っておりますけれども、その膨大な業務というものをいま一度解体をして、本当に中央政府がやらなければいけない事務かどうかということを振り分けることから始めなければいけないと思っております。本来、中央政府というのは、国全体を統一して外国と当たらなければいけないこととかが中心になるわけでありまして、したがって中央政府の専管事項といいますのは、古来外交とか防衛とか通貨発行とか、司法もそのうちに入るのだろうと思います。最終的には司法権でありますとか、通信、金融ということだろうと思うのです。残余のものについては、必ずしも中央政府が担わなくてもいいと思います。それは中央政府以外の、地方政府になりますけれども、地方政府が受け持ったらいい分野だろうと思います。その辺の仕分けをすることからまず始めなければいけないと思います。
 そこで、中央政府というものが本来の中央政府が担うべきものに純化してスリム化をしたとしますと、残余の膨大な事務をだれかが担わなければいけない。それを担うのが今の47の単位に分かれました都道府県ではまずそぐわないものが多くなってくる。そのときに初めて47のユニットではなくて、もっと広域化したブロック単位の行政機構というものがそれぞれの各地方に必要になってくるはずであります。これが道州制の必要論だと思います。
 したがって、道州制論というのは、中央政府のあり方をこの際見直して変えましょうというところから始まらなければいけない。それに伴ってどういうことが起きるかというと、中央政府の膨大な業務がかなり地方に移譲される。まさに権限移譲、分権ということであります。したがって、道州制というのはさっき言いましたように単純な地方再編論ではなくて、中央政府のあり方論、すなわち中央政府の解体、再編、純化、それに伴って大幅な権限移譲、地方分権、この文脈の中で道州制というのは論じられるべきものであります。
 ところが、今政府から出てきます道州制論というのは、全くこれとは相反するものであります。政府の地方制度調査会で出てきました道州制論というのは、抽象的な言葉だけは分権を進めるためにということを書いてありますけれども、中身を見ると中央政府から地方政府に何が移るのかというと、たった16項目。しかも非常にシャビーな16項目であります。今の都道府県で十分できるそういうものばかりでありまして、およそ中央政府の純化、解体再編とは無縁のものであります。
 もう1つ、今のは地方制度調査会という審議会の出した案でありますから、これはこれでいいかもしれませんが、実定法の案として出てきましたのは道州制特区法案でありまして、これは北海道の道州制特区を実現しようということで出てきたのですが、これを見てもっとシャビーになりました。もっとシャビーであります。何が道州制だろうかということでありまして、全くこれは道州制ではありませんで、ほんのちょっとの権限移譲法案だと考えたらいいと思うのです。そういうように名前を変えたらいい法案だということになりますけれども、道州制法案だということで、あれが道州制だということになったら道州制の定義が全く換骨奪胎、無縁のものになってしまうわけであります。
 私はよく皮肉で言うのですけれども、全国知事会で政府の出した道州制特区法案、今国会で審議中でありますけれども、これを知事会で評価する意見が強く出たのです。松江の全国知事会議のとき。そのときに、私は申し上げたのですけれども、道州制でないものを評価するというのはおかしいではないですかと。それに対しては、いや初めて法案に道州制という言葉が入ったのだからそれは評価すべきだと、こういうことでありましたけれども、それだったら言いますけれども、北朝鮮は民主主義人民共和国ですから、民主主義が入っているのは評価しますかという皮肉の一つも言いたくなるわけであります。(笑声)
 というようなことでありまして、私の考え方というのは今申し上げたようなことであります。ですから、道州制という同じ1つの言葉をめぐって、全く違った考え方に立った者同士が何か空中戦をやっているような面が今あるわけでありまして、呉越同舟というのはよく言ったなと思って最近感心しているのであります。(笑声)
 市町村への権限移譲でありますが、安田議員は市町村に県の権限を移譲するのは県が果たさなければならない責務、仕事だとおっしゃいましたけれども、私はちょっと認識が違います。権限移譲というのは、県は門戸を開いております。法律上は県がやる仕事になっておりますけれども、よかったら持っていってくださいというスタンスであります。基本は、やっぱり市町村にあるはずであります。市町村が住民の皆さんのために、県という少し住民から見ると市町村よりも縁遠い機関がやるよりは、一番住民の皆さんに身近なところで事務を処理した方がよりわかりやすく、より的確に処理できるでしょうから自分のところにください、おろしてくださいと。これが権限移譲の基本的なあり方だろうと思うのです。県が押しつけるものではないと思います。それから、市町村の方からこれをよこせと言われたときに、どうしてもだめな理由がある場合は別ですけれども、そうでないものについてはどうぞという門戸を開いているという、これが基本的なスタンスだろうと思います。要は、市町村の方で住民の皆さんのために多少面倒くさくても身近なところで処理するという方を選ばれるか、厄介な仕事が来るから面倒くさいからいいと言われるかは、これは市町村の判断、姿勢の問題であります。
 そうなると、初めてそこで市町村のミッションとは何かということが出てくるわけであります。住民の皆さんのために、多少面倒くさくても取り込んで実施をしようとするか、厄介なことはよそでやってもらったがいいと思われるか、このどちらかになるわけであります。それは市町村のつくり方の問題だろうと思います。
 これが原則でありますけれども、そうはいってもそれだけだと全然進みませんから、県もいろいろなあの手この手でPRに努めております。受け取ってもらおうということでいろいろなことを今やっております。他県の事例も参考にしたりしながら、パッケージにしたらどうかとかキットにしたらどうかとか、いろいろなことをやっているわけであります。これからもPRと売り込みは続けたいと思いますけれども、ただ最終的には市町村の方でそれを受け取っていただけるかどうかということに尽きるわけであります。今県内に19市町村がありますけれども、どうしても規模も違えば意欲も違えば、失礼ながら力量もやっぱり違います。それぞれの市町村の置かれた実情をにらみながら、市町村の方でやはり判断をしていただくしかないのだろうと思います。
 そこで、まだら模様ということをやっているわけでありまして、これがすべての市町村がそろわなければ移譲しませんということになると、非常にいろいろな意味で差のある市町村が現状でありますから、一向に権限移譲は進まないということになりますので、受けるところからどんどん出していくというこういうことをやっているわけで、これは差があってもしようがないと思います。差をなくそうと思ったら、結局一番スピードの遅いところに照準を合わせることになりますから、これが護送船団の弊害でありまして、護送船団というのは船団の中で一番スピードの遅いところにみんなが速度を合わせるということでみんな遅くなってしまう。それを避けるためには、まだら模様で先に進むところはどうぞという今のやり方しかないのではないかと思います。現状と今後の取り組みなどにつきまして、企画部長の方からこの問題について御答弁申し上げます。
 県では、いわゆる草の根自治支援室というものをつくっておりまして、ここでは何をやっているかといいますと、住民の皆さんとか、住民の皆さんでなくてもいいのですけれども、例えば組織、団体であってもいいですし、最近では市町村の議会の皆さんにも御活用いただいているようでありますけれども、地方自治のシステムとか、特に住民の皆さんの自治体に対する権利、その手続、権利を実行する手続などについて情報提供とか助言を申し上げる、そういう機能を果たしております。
 本来、住民の権利といいますのは、国民一人一人がちゃんとそういう知識とか情報を持っているということが前提で市民社会、民主主義の社会というのは成り立っているのだろうと思います。国民が必要な権利行使、国民としての政治参画、権利行使などの情報は学校教育を通じまして、公民とかありますから、そういうところを通じて備えているという前提でありますけれども、なかなか現実はそうはいっていないわけでありまして、そうすると、現時点においても住民の皆さん、国民の皆さんに、国民として、住民としてみずからがどういう権利を持っていて、どういう手続でそれを行使できるのかということを教えてもらうと言うと変ですけれども、情報の提供を受ける機関、機能がなければいけないと思うのです。それでなければ健全な民主主義の社会というのは維持発展できないと思うのです。
 ところが、ずらっと見渡してみて、今の我が国はそういう機能がどうもないというのが私の実感であります。これはすぐ欧米、先進国と比較するというのは変なのですけれども、諸外国を見ますと、例えばそういう情報を提供する学術研究機関があったり、シンクタンクがあったり、NPOがあったりNGOがあったりするのであります。それからもう1つは、アメリカなどではその機能を公共図書館が担っているというところもあります。そういうものがなければいけないと思うのです。ところが日本ではありませんので、ではどうするかというとどうしようもないわけで、そこで苦肉の策として、決して本意ではありません。県がこういう機能を提供するというのは本来おかしいというのは安田議員もおっしゃったとおりで、私も決して本意ではないのでありますけれども、どこにもないので、過度期の問題として県がこういう機能を提供してもいいのではないかということで、議会にもお諮りをして予算をつけたということであります。本当はさっき言いましたようにNPOとかNGOとか学術研究機関とか、私が一番期待しているのは地域図書館なのですけれども、そういうところで市民の権利行使の情報とか手続が得られるという、こういうことが望ましいと思うのです。ぜひ地域図書館の皆さんには頑張っていただきたい。図書館というのはそもそも何のためにあるのか、ミッションは何かということで、いろいろな考え方があると思いますが、私は図書館というのは自立支援、個人の自立支援が最大の機能だと思っております。図書館というのは、暇な人が生涯学習と称してぶらっと行っておもしろそうな本を借りてきて読むという、そういう印象を持っている方もおられますけれども、それも1つの分野でありますけれども、本当は自立支援で、最近業を起こす起業支援というのがはやっていますけれども、あれも自立支援であります、業を起こすということは。いろいろな職業に従事しようとする人はみずからの啓発の役に立てる。同時に、公民として、国民として、住民として権利行使をする。そのサポートをするのも図書館であっていいのではないかと思っているものですから、いずれ図書館がそういう機能を果たしていただきたいと思っておりますけれども、今は万やむを得なく県がやっているということであります。この現状などにつきまして、総務部長の方から御答弁申し上げます。
 産業振興についてお話がありまして、地域間の格差がついたまま産業振興をそれぞれの地域が頑張っても、絵にかいたもちのようになるのではないかということでありますが、そのとおりであります。格差がついたまま、それぞれが頑張って地域振興しなさいと言っておりますと、結局弱肉強食、格差拡大の方向にしか行かないのではないかと私も危惧をしております。そこで、安田議員がおっしゃったのは、そういう地域間の格差をむしろ埋めるための法制度、法整備でありますとか、税制などの導入が必要なのではないかということで、これは全く同感であります。そこで、実は先般の全国知事会で私は甘利経済産業大臣を初めとする関係閣僚の皆さんに直接お話し申し上げたのですけれども、こんなことを申し上げました。これは通信社の報道で取り上げられていることなのですけれども、私の発言としてなのですが、鳥取県は雇用情勢が非常に悪い中で、企業立地、企業誘致などに励んでおります。なかなか競争が厳しいが精いっぱい頑張っています。ところが、企業からは立地選択で言葉は悪いですが足元を見られる面があります。幾ら支援するのかということが往々にして大きなポイントになり、そこで財政力が弱い県が大都市圏と同じレベルで競争しなくてはならないことも多い昨今です。
 国の産業立地政策には、何らかの青写真があった方が整然と頑張れると思います。雇用情勢が悪いところなどには何らかの優遇措置を、例えば法人税率などで一定の地域に一定の期間中に移転などの設備投資をした場合には、税法上の何らかのインセンティブがあったりしますと、そうしますとそれぞれの地方が整然と頑張れるようになります。ぜひそれをお願いしたい。こういうことを申し上げたわけであります。
 甘利経済産業大臣は、それに対して、現在経済産業省では2つの政策を新たに考えておりますということを御紹介になられました。1つは、地域の中小企業が、地域資源を企業化するための連係プレーをどう図るかということ、この施策を考えていますということです。もう1つが、今回の議題に関係するのですが、地域の企業立地の支援施策を打ち出したいと考えている。企業が立地する際に必要な要素をあらかじめきちんと用意できることが求められる。私の発言を踏まえまして、地域の財政基盤が弱いところでこの政策がうまく働くように、何らかの仕組みをつくりたいということをおっしゃられましたので、結果どうなるか、まだ今の段階ではわかりませんけれども、ある程度我々の気持ちといいますか、置かれている現状の認識というのは持っていただいたのだろうと思います。
 実は、これに先立ちまして、安倍内閣が発足しました直後に甘利経済産業大臣に単独でお会いをしたのです。そのときに同じようなお話を実はあらかじめしておきました。そうしましたら、関心を持っていただきまして、その直後だったと思いますけれども、直ちに経済産業省の担当の審議官が私のところに来られまして、若干ある程度時間をとって意見交換をしました。そのときに鳥取県の実情などをお話をして、改めてかなり詳しく私の考え方も審議官の方に直接お話をして、大臣によく御報告をお願いしますということを申し上げておきましたら、ちゃんと大臣にも審議官から報告をしていただいたようでありまして、その後経済産業大臣もいろいろなところで発言されていますけれども、随所に今のような考え方を述べておられまして、例えば財政力の弱い地域が地方税の減税競争をするようになるようではいけない、産業政策としてはよくない。補助金の出し合い競争みたいなこともよくない。そういうことがないような競争が行われるような、そういう産業政策、産業立地政策が必要だということを記者会見でもいろいろ述べておられまして、やっぱり言ってみる効果はあるものだと思っているところであります。これが実際の政策として、新しい政策などに的確に繁栄されるように願っているところでありますし、また機会を見てさらにお話を申し上げたいと思います。
 松本京子さんが拉致被害者に認定された問題につきましては、本当によかったと思います。よかったと言っても、この問題の最終の目的は、帰ってこられることでありますので、よかったと言ってもまだ中途段階なのですけれども、少なくとも北朝鮮に対して日本国政府がきちんと物を言う、そういう基礎ができ上がったということは大きな一歩だったと思っております。
 私は先日、松本京子さんのお母さんとお兄さんにお会いをしまして、つぶさに御事情も伺いました。さっき安田議員もおっしゃいましたように、29年という余りにも長い年月引き離されたままになっているということで、本当にむごいことだとお母さんのお話を伺いながら改めて認識をしたことであります。北朝鮮は直ちに松本京子さんを初めとする拉致被害者を解放すべき、帰国させるべきだと思います。まずそれをすることが北朝鮮が国家として更正をして、国際社会の中に受け入れられる第一歩だろうと思います。日本国政府は、なし得るあらゆる手段を通じて北朝鮮政府に対して働きかけて、圧力をかけて、帰国を実現させていただきたいと思いますし、それに向けて私も政府に強く働きかけていきたいと思います。松本さんのほかにもまだ県内には拉致の可能性を疑わせる方がおられます。古都さん、矢倉さん、上田さんと3人の方がおられるわけでありますけれども、これらの方々についてもよく政府において、また関係機関において調査をしていただいた上で、拉致の可能性が濃厚であるならば、やはりまた次のステップに移っていただくようにお願いを申し上げたいと思っております。
 御家族への支援という問題につきましては、これはもしめでたく帰国されましたら、いろいろなことを地元の県として、また地元の自治体としてしなければいけないことはたくさんあります。これは福井とか新潟で先例もあります。当面、県が御支援申し上げることというのは具体的にはそんなにはないのですけれども、それでも細かいところでの気配りでありますとかいろいろなことはあり得ると思います。これにつきましては、人権局長の方から少し御答弁申し上げたいと思います。
 北朝鮮がミサイルを発射して、また核実験を行いましたけれども、これについては、我が国だけではなくて東アジア全体に対します平和と安全に対する脅威であります。決して容認できるものではありません。いずれ再開されるでありましょう6カ国協議において、ぜひ具体的かつ実効性の上がる解決手段を講じていただきたい。そのために、日本国政府もその6カ国協議の一当事者として、最大限の力を発揮していただきたいと思っております。
 先般、ミサイルとは関係ありませんけれども、大規模な化学テロという問題を想定いたしまして、米子市で政府と一緒になって実動訓練を行いました。安田議員も武道館にお越しいただいておりまして、大変ありがとうございました。
 この実動訓練を行いまして、私は非常によかったと思っているのです。やっぱりこの種のことを取り上げたのは初めてでありまして、他にいろいろな地震の防災訓練でありますとかいろいろな訓練をやりました。国民保護の件についても、例えば三朝町で住民避難の訓練を行ったりしたのですけれども、今回化学テロ、サリンというものをテーマにして化学テロの実動訓練をやったのですけれども、やっぱりこういう化学テロのときに、どういう事態が発生して、どういう主体がこれに加わってどういう手順を行うのかということが、訓練をやりますとおおよそ把握できます。もちろん現実にもし万が一発生するとすれば、いろいろなバリエーションがあるのでありますけれども、おおよその基礎的な動き、役割というものを関係者が認識するというのは大変これは大きな力になると思いました。あと、さまざまな気がついたこととか教訓とかあるわけですけれども、これらにつきましては、防災監の方からまとめて御答弁申し上げたいと思います。
 北朝鮮の核実験に関連して、我が国では北朝鮮に対して経済制裁を発動いたしました。これについて、県の、特に境港の関係者の皆さん方にいろいろな影響が出ていることに対して、どういうふうに対応するのかということでありますけれども、まず今回のような、国が我が国の安全のために経済制裁を国策として決定するということ、それに伴って地元にいろいろな影響があるわけですけれども、しかし、国策には整然と従うということ、これは私は必要なことだろうと思っております。この点については、境港の関係者の皆さんもいろいろな御意見があったと思います。お考えがあったと思いますけれども、最終的には整然と国策には従うという態度、姿勢を表明していただきましたので、これはよかったと思っております。ただし、その国策に従うことによって、一部の方には一定の被害が、特定の方に特定の被害、影響が生じるわけでありまして、これについてはやっぱり国策でありますから、国が中心となってその被害をできるだけ軽減するように、影響を緩和するような措置を講じていただくことが必要だろうと思います。もちろんそれは国だけというわけではなくて、我々県も、それから地元の境港市も協力をするということだろうと思います。
 先日、これは山根議長さんも御一緒していただきましたけれども、水産庁長官に私お会いをいたしまして、今回の経済制裁に伴います漁業者、それから流通加工業者、その他関係者の皆さんにそれぞれのカテゴリーごとにどういう影響が生じるのか、それに対してどういう対応策を求めるのかということを一覧表にしまして、白須長官に御説明いたしました。全く異論がないというわけではありません。やはり限界領域については政府としてなかなか取り組めないことももちろんおありでしょうけれども、かなり前向きに話を聞いていただきました。全面的にというわけにはもちろんいきませんけれども、かなりの程度国の方としても対応していただけるのではないかという感触を得ているところであります。さらに働きかけを必要に応じて今後もしていきたいと思っております。どういう内容で水産庁長官にお話を申し上げたかということにつきましては、重要な点などを水産振興局長の方から御答弁申し上げます。
 いわゆる不適正な経理処理、私は簿外経理と言っておりますけれども、これにつきまして再度のお尋ねがありまして、先般私の率直な感想、それから今後の処理などについてはかなり詳しく御答弁申し上げたと思います。
 私がかねがね申し上げておりましたのは、この種のことをなくすためにシステム改善に最善の努力をしてきたということであります。それは、予算編成のあり方、予算執行のあり方が一つでありまして、予算が硬直的であってはいけない。いわばかゆいところに手の届く、そういう執行ができる予算でなければいけない。そのためには柔軟性がなければいけない。この予算編成の改革を一つはやってまいりました。
 もう1つは、予算の使い切りという悪慣行をやめる。使い切ろうとすると、どこかに使い切れない部分を簿外化しようという誘因が働きますので、使い切りの悪慣行をやめるということ。それから、予算執行などについて全般的に透明化を徹底して、そして、それを前提にしてチェックシステムを作動させる。監査機能などを十分に作動させる。こういうシステム改善をやってきたわけで、こういうことをやってくれば、まずあり得ないだろうという考えを私は持っていたわけでありますけれども、実際に匿名の情報などを頼りに調査をしてみますと、一部の組織ではありましたけれども、現実にあったということで本当に残念なことだと思います。
 あえて感想を言いますと、今のことと関係するのですけれども、例えばシステム改革というのは一生懸命やってきたつもりでありましたけれども、やっぱりそれでもまだ漏れが一部にあったということ。やはりさらに改善が必要だということ、これが1つでありますし、それから県庁の職員3,000人を上回る職員が一緒に仕事をしておりますけれども、やはり3,000人を超える職員に私が進めてきました改革、これに対する認識、いわゆる意識改革を隅々まで徹底させることがいかに難しいかということを今回改めて痛感させられた次第であります。
 かねがねチェックシステムが非常に重要だということを私申し上げてきております。このチェックシステムというものはやっぱり重要だということ、これも改めて痛感をいたしました。このチェックシステムというものを、私自身は他の自治体に倍してこのチェックシステムというものを尊重し、活用してきたつもりなのですけれども、まだやはりこのチェックシステムでもすり抜けてきているものですから、チェックシステムというものをさらに充実をする必要がある。これも今回の件から得られた教訓であります。以上のようなことを考えているところであります。
 その調査を、今回一連の調査をやってきましたけれども、その調査結果についての信頼性ということで、これは先般石村議員の御質問のときにお答え申し上げましたけれども、今回本当に行政監察監を中心にして綿密に、かつある程度時間をかけましたけれども、徹底した調査を行ってきました。したがって、現在のこの調査がまだ一部解明できていないところを解明しつつありますけれども、これが終わりますと、今回の案件についてはすべて問題を出し切ることができると考えているところであります。
 今回のことにかんがみますと、やはり過去の遺物と申し上げてきましたけれども、意識の上でも遺物が残っていたのではないかということを安田議員御指摘になられましたが、やっぱりそういう面はあったと思います。それは先ほど私が言いました3,000人を上回る職員の意識改革を徹底するということが非常に難しいということと裏腹でありますけれども、やはり職員の中の一部には意識改革が徹底していなかった。したがって、過去の意識の上での遺物、遺産のようなものを携えていた職員がいたということ、これは事実であります。これを一掃しなければいけないというのも今回の件から出てきた教訓であります。
 私は、今回これだけ世間から批判を受け、内部でも徹底した調査を行いましたので、職員には非常に大きな強力な啓発効果になったと思います。調査を受けた該当する職員はもちろんでありますけれども、そうでない職員にとりましても、今回の件というのは大変大きな教訓になったと思います。また意識改革を進める上での、表現はちょっと悪いかもしれませんけれども、非常に強力な教材になったと思っております。
 ただ、ではこれで本当に全部3,000数百人払拭できるかというと、やっぱり3,000数百人もいますと、どうしても勘違いをする人とか心得違いをする人が出てくるのは世の中の常でありますから、そういうことがないようにさらに徹底はしますけれども、それが出てくる可能性があるということは認識しておかなければいけないので、そのために何が必要かというと、やっぱりチェックのシステムということだと思います。チェックシステムをより改善、改良するといいますか、より効果的にするということが1つの大きな課題だろうと思います。この点についての改善も図っていきたいと考えているところであります。

 

◯総務部長(瀧山親則君)19年度予算編成の考え方でございますが、現在の非常に厳しい財政状況の中でございますけれども、選択と集中によってめり張りをつけた、本当に必要な施策については積極的に実施していきたいと、そのような考え方で編成したいと思っているところでございます。例えば、シーリングなど他県はかなりやっておりますけれども、本県ではそのようなことは行っておりません。各部局からのいろいろな要求がございますけれども、それにつきましては、各部局のミッションを果たすためにその事業が最適な手段かどうかというようなこと、あるいはトータルコストの観点から最も有効な手段なのか、そのような視点から一件ずつ検討を行いまして、持続可能な財政に向けて財政の健全化、これを図りながら、最小の経費で最大の効果が得られるような予算編成を行っていきたいということで、現在作業を進めているところでございます。
 次に、草の根自治支援室の現状でございます。
 確かに、相談件数につきましては議員のお話にございました32件でございます。この相談件数自体は決して多くはないと思いますけれども、この32件の相談件数の中には、1件の相談件数に対しまして、さまざまな段階で複数回のアドバイスを行っているというようなこともございます。また、そういう相談によりまして、行政に対して関心を持ち続けていただきたいと、そのような住民にとりましてはある程度の役割を果たしているのではないかというぐあいに思っているところでございます。
 この草の根自治支援室では、相談だけではなくていろいろな情報提供等も積極的に行っているところでございます。例えば、市町村の財政状況ですとか税務関係の状況、あるいは教育ですとか福祉関係の状況を市町村別で色塗りして、見やすいような形にしました「指標で比較する市町村の姿」これは40数項目ございます。このようなものをホームページで掲載して情報提供を行っているところでございますし、とかく財政関係につきまして、地方財政の用語というのは非常にわかりにくい。また地方財政用語辞典を見ましても、やはりある程度の知識といいますか基礎知識がないとわかりにくい言葉で書いてあるというものもございますので、わかりやすいようなこと、わかりやすいような独自の解説といいますか、そのような地方財政用語の辞典というものも、まだ項目は37項目と少のうございますけれども、そのようなものもあわせてホームページで掲載しているところでございます。
 また、出前説明会につきましても、公民館などでいろいろ出前説明を行っておりますし、市町村の議会の議員の方々の勉強会にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後もわかりやすくこういう行政情報を住民の方々に提供いたしまして、県民の方が行政に対して関心を持ち、そして直接行政に働きかけを行っていただくよう支援を行っていきたいと考えているところでございます。

 

◯議長(山根英明君)上場企画部長

 

◯企画部長(上場重俊君)市町村への権限移譲につきまして、ここ1〜2カ月の具体的な状況につきまして、補足答弁を申し上げたいと思います。
 まず、県庁の中では改革・自立推進本部ということで、各部横断的に問題認識を共有をしております。それから市町村とでございますが、10月の末に全市町村の担当部課長さんにお集まりをいただきまして、今後の進め方などについて意見交換を行いました。各市町村ともでございますが、権限移譲の理念は皆さん十分よくおわかりをいただいておりました。中にはこういう状況でも住民サービスを向上するためには、積極的にその権限移譲を受け入れて、新しい自治を組み立てるべきだ、こういう前向きの御発言もございました。ただ現実は、すこぶる大変な行財政改革のさなかにございまして、財政状況はもとよりですが、人の数が随分減っているという現実もございます。そういうことで、どういうふうに具体的に進めるのかという不安や困難を感じておられる状況もございました。
 そこで、今後についてのいろいろな御提言もございまして、小さなものをその都度細々と受け入れますと、いかに県から人材や権限移譲交付金があるといえども、細々で人役がまとまらないと、結局は担当者が超勤をするだけになってしまって回らないので、もっと県の方で受け入れやすいようにまとめてほしいといったこと、あるいは県の各部局がばらばらに市町村と当たるのではなくて、県としてまとまりを持ってほしいというような御提言がございました。
 また、1120日でございましたが、県と市町村の行政懇談会、これは知事と全市町村長との意見交換会のメーンテーマにこの問題を上げて意見交換を行いました。
 町村会長さんを初め市町村中心主義でこれからの自治を組み上げるためには、権限移譲は必要なことだという総論の御認識は共有できましたし、また北栄町長さんでございましたけれども、例えば生活保護の業務、こういうものは我が町はぜひ移譲を受けたいのだと、こういう積極的な御発言もございました。そういうことで、各市町村と県との間で権限移譲の必要性や、あるいはまた進める上の問題点について、かなり問題が共有できたと、このように思っております。
 あとは、私ども事務方の方で具体的にどのような権限をどのようにすればいつごろから受けてもらえるかという具体的な作業にこれから入るわけでございます。これはかなり仕事の分量も多うございまして、全庁的に取り組んでまいりたいと思いますが、しっかりと腰をすえて取り組んでまいりたいと思っております。その上で、市町村と協議を十分に行いまして、こちらからも提案いたしますし、また意見も聞きまして、どのような項目をいつからどのようにして移すのかということをお互いに検討してまいりたいと考えております。

 

◯議長(山根英明君)衣笠防災監

 

◯防災監(衣笠克則君)先日、米子市で行いました大規模化学テロを想定いたしました訓練の成果等についてお答えを申し上げます。
 71機関、1,400名の皆さんに御参加いただきまして行いました。内容といたしましては、現場での救出救助、あるいは応急医療の災害対処訓練、あるいは医療の救援措置訓練、それと住民の避難訓練を行っておりますし、それとあわせまして県、米子市によります現地対策本部の運営等の訓練も行っております。
 これらの成果でございますが、知事も申し上げましたけれども、一番大きかったのはこういった大規模テロが発生したときの基本的な対処の手順が確認できたこと。国と県、市の連携が試せれたことだというふうに思います。それとあわせまして、化学剤によるテロ発生時の現場での活動要領でありますとか、医療活動体制の検証ができたということが大きかったというふうに思います。
 一方、改善を要する点でございますが、県庁と現地に県はそれぞれ対策本部を2つ設けたわけですけれども、やはりそういった2つの対策本部の連携といいますか、そういった部分をもう少し考える必要があるのかなというようなことも感じたところでございます。いずれにいたしましても、近く参加いただいた関係機関の皆さんにお集まりいただいて、検証したいというふうに考えております。その結果を待って、今後に生かしたいというふうに考えております。

 

◯議長(山根英明君)磯田人権局長

 

◯人権局長(磯田教子君)松本京子さんを初めとする拉致が疑われる御家族への支援でございます。
 まず、松本京子さんにつきましては、御帰国されるといろいろ支援もあるのですけれども、御帰国されるまではとにかく御家族の方にお話を伺いますと、情報が欲しいと。どんなに小さな情報でも欲しいということで、全国から押し寄せますマスコミにも積極的に取材に応じておられます。こちらの方がお疲れが出なければいいがと思って心配して、取材調整をいたしましょうかと申し上げたのですけれども、できる限り応対するとおしゃっていて気丈に対応しておられます。
 また、ほかの御家族につきましても、とにかく忘れ去られることが一番怖いと。だから国の動きでありますとか県がどういうことをしてくださっているのか情報が欲しいとおっしゃっておられます。先日、矢倉さんとかのお父さんとかともお会いしましたけれども、そのことを切におっしゃっておりましたので、今後もまた西部総合事務所でありますとか米子市等と連携して情報を小まめに伝えてまいりますし、また県民の方の啓発に努めてまいりたいと思います。
 ことしから拉致週間が1210日から制定されておりますので、その間につきましては新聞紙上でありますとかテレビスポット、またブルーリボンでありますとか、あらゆる手段を通じて啓発を進めて支援してまいりたいと思います。

 

◯議長(山根英明君)安住水産振興局長

 

◯水産振興局長(安住正治君)カニ関係業者の方に対する支援措置の現在の状況でございます。
 現段階でございますが、まず水産加工業者の方に対しましては、まず境港はベニズワイ加工の大きな産地となっております。今回ベニズワイガニの輸入禁止や北朝鮮水域での操業取り消しによりまして、加工原料の確保に支障が生じるということから、経営資金の借り入れに対しまして、国と協調しまして利子補給を行うということで、このたびの補正予算の中でお願いしております。内容といたしましては、限度額5,000万ということで、これに対します利息でございますが、国が2.0%の限度で、県の方は1.25%の支援ということで、末端は実質ゼロということでございます。償還の期間も一応3年ということでございます。さらに境港市は、これに対する保証料の支援をされるという意向を伺っております。
 次に、北朝鮮に入漁しております船につきましてでございますが、北朝鮮水域への入漁が取り消されたということで、漁場がなくなるわけでございます。このため、やむを得ず廃業しなければならないという漁業者に対しましては、国の方は減船制度といいまして、離職する船員の皆さんの保障、あるいは不要となった漁船の廃船処理経費ということの支援を今検討しておられます。さらに、これからも我が国の水域で漁業がしたいという方につきましては、経営の見通しがつくまでの間、無利子の、あるいは長期の経営資金の創設ということを要請を受けておりますので、県の方も国にこういうものをお願いしたところでございます。さらに、このほかもありますので、今後とも国、市と連携しながら対応していきたいと考えております。

 

◯議長(山根英明君)吉村警察本部長

 

◯警察本部長(吉村幸晴君)安田議員の御質問にお答えいたします。

 まず第1点目は、先般政府に認定がされました松本京子さんの事件についてでございます。
 この事件につきましては、県警におきましても長期間にわたり関連情報の収集と証拠の積み上げに努めてまいりました。大変難しい捜査で、結果的には長期間要しましたが、一歩一歩地道に捜査を進めてまいりました。その結果、今回の政府の認定につながったと思っております。今後ともまだまだやるべきことはございます。引き続き着実な捜査を行いまして、事案の全容解明に向けてつなげていきたいと思います。さらに、県民の期待にこたえていきたいと考えています。
 また、安田議員からは先ほど松本京子さんのお母さんの言葉が引用されましたが、昭和52年から本当に長い年月が経過しました。御家族のつらい思いやお気持ちも自分なりには十分に理解をしています。県警としましては、当然ながら事件の捜査に全力を挙げるということが一番でございますが、被害者の家族に対しましても県警としまして何か御支援できるという点ございましたら、可能な限り支援をしていきたいと考えております。
 なお、松本京子さんの事件以外に拉致ではないかとして家出人捜索願が出されているという事案がございます。これにつきましても、拉致とか事件とか事故とか、あらゆる可能性を視野に入れまして、御家族や関係者の心情に配意しながら、慎重に事案の解明に向けた調査を行っているという段階であります。
 しかし、こういった事案につきましては、今のところまだ拉致と断定するには、あるいは判断するには至っておりません。関係機関や他の関係する県警とも情報の交換、あるいは連携をとりながら引き続き努力をしてまいりたいと考えています。
 御質問の2点目は、北朝鮮をめぐる情勢下で予想される事態とその対応についての御質問がありました。
 先ほどは片山知事と防災監からも予想される事態等についての御答弁ございましたので、重複する部分は避けさせていただきますが、県警としましては、北朝鮮に対する新たな措置に係る諸法令違反に対する取り締まりを強化しまして、さらに北朝鮮に対する制裁措置の実効性を確保するということを考えたい。引き続き境港を中心とした関係機関と連携した水際対策、また重要施設とか沿岸警戒の強化を行いまして、テロ等の重大事件発生の未然防止を図っていきたいと考えています。
 国民保護訓練の総括についても御質問いただきました。
 今回関係機関、あるいは住民が参加する大規模な訓練に県警も参加いたしまして、有事の際の警察の役割分担、あるいは行動の手順とか関係機関との連携などが確認、検証できました。さらには自衛隊のOBとか警察のOB、こういったボランティアの方の役割、あるいはその必要性というものも改めて認識しました。細かい点ではいろいろな反省点もございましたが、全体を見た場合には意義ある有益な訓練だったという評価をしています。今後も引き続き県を初め関係機関との連携をとりながら、有事対応の力の向上を図っていきたいと考えています。

 

◯議長(山根英明君)10番安田議員

 

10番(安田優子)それぞれに御丁寧にお答えをいただきまして、ありがとうございました。
 予算のところでは、私1点だけ質問をさせていただきたいと思います。それは、現在総務省で検討中の新型地方交付税についてでございますが、これは投資的な経費を中心に導入されるということで、算定は人口と面積の比であると。都道府県3対1、市町村10対1、そして、その中身として土地利用形態の違いで行政コストが違うということを反映して、都道府県については宅地1、農地2.87、森林0.6、その他0.59。市町村については宅地が1、農地0.9、森林0.24、その他0.18、こういう比率になっているようでございます。ところが本県の土地利用を見てみますと、森林が実に73.7%を占めている。農地10.3、宅地3.7%となるわけですが、この新型交付税を見た場合、森林面積が大変多い我が鳥取県にとっては、あるいは県だけではなくて市町村によっても森林面積が非常に比重の大きい市町村も県内にあるわけなのですが、どういう適用になるのか。どのような、メリットには恐らくならないのではないかと思われるのですが、打撃になるのか、その辺片山知事にお伺いをしておきたいと思います。
 道州制についてなのですが、私は片山知事がこの間さまざま語ってきておられることには原理原則大変それなりに、違うと多分言われるでしょうけれども、大筋では御理解をしておりますし、賛成をしております。道州制についての見解も、そういうことは認めます。知事のおっしゃる方向性は論理的に大変正しいし、そうであると思っております。ぜひこれは今後とも続けて全国知事会なり国に対して主張をしていっていただきたいと。
 ところが、現実に国の法整備、体制整備を見ていきますと、もう大体10年ぐらいの計算で、射程距離で恐らく道州制の実施という方向はなされるのではないかと私は見ておるわけでございまして、そうなってくると原理原則の問題を一点、知事には頑張っていただかなければいけないのですが、もう片方で現実的な市町村対応として、県はどうあるべきかということを私は問題を提起をさせていただいたわけでありまして、先ほどは事務権限の移譲についてお尋ねをしたわけですが、これも鳥取市が事業費でいうと18年度2,000万円を超えて最高、最低はあるところでございますが、金額的には41万。私ちょうどこの最低の首長さんと先般お会いした折に、じっとしていればうちの財政はもちますよと、役場はもちますよと、だけれども何もできませんということをおっしゃっておりました。
 もう1つ市町村交付金のお話が出ましたが、これも最高金額は鳥取市で1億2,200万、最低は300万。そして、その交付率で言うと鳥取市は59%、最低のところは100%。100%のところは3つほどございました。こういうことで、果たして道州制がいざ実施になったときに、住民自治の原点として今の市町村体制で機能が果たせるのかと大変疑問に思うところなのです。
 今どんどん取り組みを上場部長は現場でやられると、やっぱり知事のように理屈だけではいかない御苦労がおありではないかと私は見ておりまして、具体的にいろいろな方策を言われました。その中に考えていただきたいと思うのは、広域とか連合とか、そういう形で単独で取り組めないところには、せめてそのような働きかけというものをしてみたらどうかと。
 私は、何のためにそういうことを言うかというと、住んでいる住民が同じ鳥取県民でありながら、どんどんどんどん格差が広がっていく、隣1軒向こうは何とか市である、何とか町である、うちは全然こういうことしてもらえないけれども、あっちはどんどんいいこと進んでいるのではないかとか、逆であるとか、それはちょっと許されない。知事のおっしゃるように、その原点は市町村ですよと、県民お一人お一人ですよと。それは本当に100%私もそう思います。だけれども、いざ現実は今の草の根自治支援室ではないですが、なかなか理屈どおりにはいかない。そこのところにどう産婆役として県が出ていくのかということを私は尋ねたいと思うのです。だから、当座の間は、県は片山知事に一つ頑張っていただいて国に物申していただく、あるいは同じようなお考えをお持ちの知事さん方を結集していただく。片方では、現実的に市町村がいざどうなったときにでも対応し得る体制を考えていく、その二面作戦でいかないと、実際困るようになりはしないかなということを考えます。
 草の根自治の支援についてでございますが、本当に私は否定はしておりません。ただ、今の状況はいかがかなと思うところがありまして、1つの御提案でございます。
 先ほど知事は、公教育ということを言っていただきました。私もこれは教育基本法にも明示されているのですが、実際にはなかなか学校で行われておりません、公民教育というのは。それで、ここの草の根自治支援室は人的にも余裕がおありでございましたら、今も公民館への出前説明会などやっておられるようでありますが、今後は、中学校とか高校にも出向いていただきまして、未来の有権者のために公民教育、政治教育という活動をやっていただけたらと思っております。今本当に政治というのは汚いものの代名詞のように言われておりまして、私は大変心外に思っております。そういう政治本来の意義というもの、大切さというものを守っていく、つくっていくためには、やはり公民としての権利と義務というものも大事かなと思っておりますので、そういう活動にもぜひ取り組んでいただけたらというふうに思います。
 産業振興と本県の自立ということで、かねてより今までは鳥取県西部の方は新産都の指定を受けまして、長年にわたりまして地域の後進性打破のために、いろいろな施策で産業振興のみならず事業を進めてきました。18年度からいよいよ打ち切りになりました。このままどうやってこの地域を振興していくのかということを考えたとき、特に境港なんかは港湾も持っておりまして、インフラ整備にしても金額も大きいわけでございますが、一体今の県の財政でそのような基盤整備というものが果たしてできるだろうかということを考える。国がやってくれない中で、どうやってでは県がそれを担えるのか、市町村が担えるのかということを考えたときに、今の道州制という形になると、県よりもはるかに大きい財源を持った1つの政府が成立するわけでございますから、それなりの財布の大きさというものも見込まれるのかと。逆に私はそこも現実的に考えたので、こういうどちらがどうということはないのですが、あちらもこちらもぜひ追求してみないといけないのではないかと思って申し上げました。さすがに片山知事には鋭い御認識をいただいて、さきの知事会、24日に御提案があったということ、新聞で私も読みまして、大変うれしく思いました。ぜひ実現に向けて、これは私ども鳥取県からは4人の国会議員も出ておりますので、ぜひそういう方面にも働きかけて、鳥取県がやっていけるようなそのような施策を経産省の方に要望をすべきであろうと。私も頑張らせていただきたいと思いますので、知事にも今後とも実現方に向かって頑張っていただきたいと思います。
 以上、そこまで御答弁をお願いいたします。

 

◯議長(山根英明君)片山知事

 

◯知事(片山善博君)いわゆる新型交付税について、人口面積を基準にするということになっておりますけれども、例えば森林面積の割合が多い県などにとってはそれが吉と出るのか凶と出るのか、こういう御質問なのですが、実はこの森林の面積割合に限らず、例えば連檐した都市的形態のあるところをどうするとか、海のあるところないところ、言い出したら全く切りがないわけでありまして、結局もとのもくあみになるのです。今回の新型交付税というのは、決して理想どおりではありませんけれども、いろいろな算定要素を少し少なくして単純化しましょうということなのです。ですから、また一つ一つ言い出すと切りがなくなってしまうわけであります。私はむしろ、損得のことを言うと変なのですけれども、制度自体は単純化といいますか簡素化をした上で、それで格差是正につながるような仕掛けをもう一段かぶせるというそういうやり方にぜひしてもらいたいと思っているのです。一つ一つの算定の中でこういう要素を折り込め、森林面積を折り込めとかいうと、今度は大都市的な要素を折り込めといって結局複雑化して相殺し合うみたいなことになってしまいますから、できるだけ単純化した上でやってみたら、逆格差がついてしまうということになりかねませんから、そうすると今度は細かい要素ではなくて、最終結果に対して例えば財政力の強い弱いでもって何らかの調整を施すような、そういう仕掛けが必要なのではないか。今回たまたま試算というものが出まして、市町村分なのですが試算をしてみますと、10分の1の新型交付税の移行という前提で総務省の言われるようなやり方、スキームで試算をしてみますと、鳥取県内の市町村で大体4億円ぐらい減るような、そういう算定、試算になっております。これがですから10分の1でそうだとするともっともっとふえるわけですけれども、そうするとどういうことになるかというと、新型交付税にしたらますます大都市と地方圏の格差を広げましたねということになってしまって、交付税のミッションから外れるわけです。ですから、新型交付税は新型交付税でいいのですけれども、その結果格差が広がるということであれば、最終的に何らかの逆向きの調整が必要だろう、しかもシンプルな調整が必要だろう、そんなことをこれから訴えていきたいと思っているところであります。
 道州制につきまして再度お尋ねがありまして、原理原則は賛同するけれども、現実は原理原則から外れた方へ行っているから、それを念頭に置いた対応が必要なのではないかというのはそうだと思います。それがやっぱり現実社会で生きていく者としてはそういう生活の知恵も必要なのでありますが、私最近気になっていますのは、この原理原則をすぐ皆さん捨ててしまうのです。知事会などでもすぐ捨ててしまうのです。そうするとあらぬところへ流れていってしまう。どこかでやっぱり原理原則をくいのように打ち立てて、そこからなるべく外れないようにしなければいけないというそういう力が要るのだと思うのですけれども、それがなくなってしまって、お役所の根回しを受けるとそのままそれをオウム返しに言うような人がふえてしまって、本当に悲しい現実なのです。一人でもと言っていきがるつもりはありませんけれども、どこかでやっぱり原理原則を嫌われたり文句言われたりしながらも言う人が必要なのかと思ったりして、それを心の支えにしたりしているのであります。
 本当は、先ほど安田議員がいみじくも言われたのは、国が一方的にこの道州制の問題を論じていると。それに対して対抗軸としての知事会側が弱いのではないかと、こういうことをおっしゃったのですけれども、実はその知事会側の方も国というか国のお役人の方に籠絡された人が多くて、結局何かアベック闘争みたいになっている面があるのです。
 国の方、国と言われますけれども、実は国といっても官僚の皆さんなのです、今の道州制案を出しているのは。それに対して国会議員の皆さんがやっぱりチェックをしなければいけない。国会議員の皆さんが官僚の案をチェックして初めてそれが国の案になるのですけれども、そこがどうも国会議員の皆さんのスクリーニング通らないまま、官僚の考えたものがそのまま国の案として出てくる。それに対して六団体なども官僚の案に同調する人が多くて、そのままさっと流れていってしまうという、こういうのが現状でありまして、私などは危惧を持っているものですから、常に原理原則をしつこいまでにうるさがられながらも言っているというこういうことなのです。ですから、ぜひ国会議員の皆さんにも、この道州制というのは地方自治体の再編案ではなくて、国の解体再編、純化の作業なのですよということを私も会う方には申し上げているのですけれども、こんなことを皆さんとともに言っていきたいと思います。
 その道州制が現実的に進むとすれば、やっぱり今度は県と市町村との関係というものをよくよく考えておかなければ大変なことになるのではないかというのも、それもおっしゃるとおりであります。といいますのは、道州制にするということは、区域が広大になります。今の例えば中国5県にしますと、広大になります。そうなりますと、その際には域内を徹底した分権にしなければいけないと私は思っているのです。広大な自治体、道ができて、その中が中央集権になったらたまったものではないわけでありまして、みんなが州都の、道庁に行かなければいけないなどというと不便きわまりないわけであります。ですから、区域が広大になるということは、アメリカの州みたいになるということでありますから、その道や州の中というのは徹底して基礎的自治体に分権が進められなければいけない。そうしますと、何が起こってくるかというと、その分権を進めるべき対象である市町村が量的にも質的にも力量を高めなければいけないということが新たな課題になると思うのです。
 私は、政府がずっと先年来進めてこられました市町村合併には基本的にはネガティブでありました。なぜかというと、市町村のあり方がどうあるべきかということを考えることなしに、とにかく大きくなりなさい、大きくなったらお得ですよという、こういう野蛮なやり方は決して自治を進めるゆえんではないものですから、ネガティブな対応をとってきました。今後は安田議員もおっしゃったように、道州制などが論じられて環境が変わってくるのであれば、市町村が主体的に住民のためにどこまでできるか、どこまで力量を高めるか、それは質的にも量的にもということを真剣に考えなければいけない。国から言われて、お得ですよと言われてえさをまかれたのではなくて、市町村がみずからの問題として、住民の皆さんのためにどう自治体の基盤はあるべきかということを考えなければいけない。これがこれからのステージだろうと思うのです。それをぜひ市町村に考えていただきたいし、それを県はサポートをする、一緒になって考えるということだろうと思います。
 道州制になれば、財布が大きくなるからいろいろな境港などの整備もできやすくなるのではないかとおっしゃいましたけれども、財布もある程度大きくなります。しかし、使い手がいっぱいふえるのであります。ですから、ほかの人が使う可能性も高いわけでありまして、これはにわかには喜べない。区域が小さければ、財布も小さいけれども自分たちの地域に使えるわけでありまして、これが財布が大きくなれば、一体どこに使われるかわからないということも懸念しておかなければいけないと思います。
 市町村の体制を整えるというときに、広域連合でありますとか一部事務組合もいいのではないか、これはそのとおりであります。さっきは、市町村のこれからの体制を考えた場合に、今のままでは権限移譲も受けられないからもうちょっと規模を大きくしようかということで、合併ということも選択肢としてあると思います。今後の問題として。もう1つは、そこまでは考えない、やっぱり歯を食いしばって単独で頑張ってきたのだから単独で行くけれども、だけれども、この種とこの種の業務を県からもらおうと思ったらやっぱりある程度広域でなければいけないから、広域連合でもらいましょうかというのは大いにあると思います。これも一つの重要な選択肢として持っておいた方がいいと思います。
 そういうことを熱心に考えるところと、余り考えないところと差が出てくるのではないか。同じ県民として差が出ることは許されないとこうおっしゃいましたけれども、実はここが非常に重要なポイントでありまして、地方分権ということは、判断とかの主体が自治体に移るということでありますから、一律でなくなるということなのです。ですから、地方分権ということは、当然帰結としては差が出るということなのです。差が出ることを容認する、これが地方分権の同義語で出てくるわけです。
 差が出てはいけないということになると、分権ではなくて、市町村ではなくて県がやる、県ではなくて国がやるということになるわけであります。ですから、分権を進めるということは当然おのずから差が出てくるわけです。その差を国家としては容認する、県としても容認するという、こういうことが地方分権なのです。そのときに、住民として隣の町よりもシャビーではいけないということがばねになって発奮して、では自分たちの町もちゃんと力量をつけようという、これが草の根の力でありまして、その草の根の自治を支援しようというのが草の根自治支援室という、非常に論理一貫していると思いますが、以上であります。

 

◯議長(山根英明君)10番安田議員

 

10番(安田優子)今までの道州制の論議、市町村への対応よりも私はきょうは一歩深まったような気がして大変うれしく思っております。
 その道州制論議のときに以前伺ったことがありますが、1つだけ注文しておきたい。それは州都を萩とおっしゃいましたか、津和野とおっしゃいましたか、何かそういうような鳥取県ではないよその県の地名が出てきたように記憶しております。私は、もしそういう機会がありましたら、鉄道においても基点になっておりますし、空路もありますし、港湾もありますし、人口もほどほどそろっております米子市をぜひともPRしていただきたいと思っております。斉木先生いかがでしょうか。(発言する者あり)いや、境港は当然一体になっていくのですからいいのです。(笑声)これは御答弁要りませんので。
 北朝鮮問題については、本当にいろいろと御苦労をいただいて一ついい方向に向かうということはうれしいことですが、今後とも頑張っていただきたい。
 一つ私思うことは、自分の住んでいる境港、鳥取県西部と、県庁のあるこの鳥取の東部の方とでは、この北朝鮮の問題に対しても非常に温度差を感じるわけでございます。境港は今も水産業のことをお話しいただきました。それから市も元山と友好関係を結んでいたということもありまして、これも協定破棄で非常に大きな悩みのことも経験しましたし、経済制裁によっては本当に住民の生活基盤にも影響することもありました。それからこれから予想されるというか心配する難民も、これまでも一度ならず経験をしております、中国から。大変大騒ぎをしました。それから、島根原発も近いわけでございます。だから、ちょっと鳥取とは松本京子さんもやはりそういうことであろうと思いますし、それ以外の方にもやはり弓浜半島の方がいらっしゃるようなふうに伺っておりますが、ぜひとも防災の面とか治安の面で今後とも西部の方に、特に境港については船の問題もありますし、格別の対応を防災の衣笠さんにも県警の吉村本部長にもお願いをしておきたいと思います。これは要請でございますので、御答弁は結構でございます。
 時間が差し迫ってまいりましたが、裏金問題につきまして、私も知事の御感想というのを当初大変何だろうかと。その感覚自体が片山知事あなたは役人ですねというように受けとめておりました。だんだん日がたちまして、きょうの御答弁を聞いておりまして、御自分なりにかなり問題を整理されたのだなというふうに受けとめさせていただきました。
 出るはずのない片山県政下にあって、今回こういう裏金が出てきたということは、今騒がれている福島県とか和歌山県とかそれから宮崎県、そういうところとはちょっと意味合いが違うのかなというふうに私はとらえております。鳥取県警が知事の公邸に、あるいは県庁に家宅捜査に行くとか、青木出納長が逮捕されるとか、(笑声)
 そのような懸念というのは鳥取県民は恐らく考えても予想もしていないのであろうと、これは知事の資質の問題、それから理念、そういう行政手法というものがある意味で大変効果を上げているのではないかと評価をするものでございます。しかしながら、やはり今おっしゃったように、今なお残滓が、遺物が残っているという、これは片山県政の課題ではなかろうかと。大きな課題であるというふうに私は認識をしております。そのことが今まで見えなかった、思いもかけなかった、それが今回明らかになった。私はそのことを重たく、そして真摯に受けとめていただきたいと思うのであります。そうなれば、知事がこの問題について、どのような責任をおとりになるのか、おのずから道が定まってくるのではないかと思うのですが、そのあたりについてはどのようにお考えになっているのか。私は片山県政の改革はなし遂げられたとは思っておりません。道半ばであると受けとめさせていただいております。
 そこで、どういうふうにお選びになるのか。これは個人の意識の問題とは違う。政治家として県民の前にどう責任をとるのかという、そういう問題ではなかろうかと私は考えておりますので、そのような次元でお答えを願いたいと思います。

 

◯議長(山根英明君)片山知事

 

◯知事(片山善博君)最初に道州制に関連しまして、州都を萩とかと言っているのは、県内にも都市があるのに寂しいではないかとこういうことでありましたけれども、私が申し上げたのは、萩なんかいいのではないですかと気楽に申し上げたのですけれども、実は背景がありまして、中国地方をめぐる道州制論というのが2つあるのです。1つは、中国5県で1つの道、または州になったらいいのではないかという議論。もう1つは、中四国で1つになったらいいのではないかという議論がありまして、これが結構華々しく議論されていたのです。そのころ、広島に行ったときだと思いますけれども、私にどう思いますかということがあったものですから、私は今行われている中国5県論、それから中四国論はいずれも我田引水の要素が非常に強い。広島を州都に置きたい人は中国5県論を説くし、中四国がいいというのは岡山に州都を持ってこようという、こういう意図のもとでどっちがいいあっちがいいとこういうことを言われているわけですから、それはおかしいですよと。なぜにおかしいかというと、さっき私がいみじくも申しましたけれども、道州制にするということは、域内は徹底した地方分権にするということが基本であります。ところが、広島に置こう岡山に置こうというのは、あくまでも人口が集積したところに州都を置こうという発想なのです。それは人口の集積したところに置けば多くの人にとって便宜であるから。遠くの人は多少不便でも人口が少ないからいいやとこういう発想なのです。域内を徹底して分権すれば人口の少ないところに置いても構わないわけです。むしろ安全とか危機管理の面でいえば、人口の少ないところに置いた方がいいわけであります。アメリカなんかは人口の少ないところに置いております。だから、広島論、岡山論というのはおかしいですよと。そこで、例えばどこがいいですかと言われるものですから、鳥取県内の都市を言いたいところだけれども、それを言うと我田引水の仲間に入ってしまうので、例えば萩とかいいのではないですかと。真ん中に置くのなら三次がいいのではないですかと、こんな軽口をたたいたわけであります。それだけのことであります。米子も非常にいいと思います。我田引水にならないようにと思います。
 簿外経理に端を発して、今後私がどう身を処していくのかということでありますけれども、実は私もさっき率直に申しましたけれども、いろいろなシステム改革をやってきまして、今日こういうことがあったということは非常に残念なのですけれども、私自身は、これはもう私自身の問題だけではなくて、一般的なことなのですけれども、およそやっぱり人間社会で多くの人間がかかわっていることについて、完璧ということはやっぱりなかなか難しいというのは経験上思っております。どんなにいろいろなことをやっても、やっぱり完璧というのはなかなか実現できない。どんなに技術開発をしても、例えばインターネットは完璧ではないのです。どうしても漏れがあるわけであります。そこで、漏れとか脱漏をどうやって防ぐかというのがチェックシステムであったり補完の機能なのです。だから、今回あったことは非常に残念なのですけれども、やっぱり完璧でなかったからだめだということになりますと、世の中なかなかいろいろな分野で物事ができないだろうと思っております。
 それから、私自身も県政に一生懸命取り組んできておりまして、できるだけシステムを改良したり、いろいろなものを改善したりしてきておりますけれども、完了ということはないと思っています。これは常日ごろ申し上げるのですけれども、皆さん方もそうだと思いますし、私もそうなのですけれども、一定の任期を背負って、その任期を務める者というのはある意味ではリレーのランナーのようなものでありまして、その1区間、2区間、3区間、何区間になるかわかりませんけれども、とにかく一定の区間走ったからそれでリレーが終わるわけではないわけでありまして、また続いていくわけであります。ですから、仕事とか任務というものには完了ということはないのだろうと、こんなふうに思っております。与えられた任期を一生懸命やる、できるだけ完璧を期しますけれども、それはなかなか、実現できればそれが理想的ですけれども、それがなかなか実現できない面もある。それならばそれをさらに改良していく、それからチェックシステムを補完作用として設けていく、こういうことの繰り返し、積み重ねではないかなとつくづく思うのであります。
 今回のことはこういう残念なことが起きました。起きましたけれども、災いを転じて福となすということわざもありますけれども、今回出てきたのは那辺に問題があったのか、これだけシステム改善をやってきたのに、まだ出てきたというのは那辺に問題があったのかというのは、これは解明しておりますけれども、解明したいと思いますし、それを防ぐ、再発防止をするにはどういう制度的な改善が必要なのか、これもおおよそわかってまいりました。
 もう1つは、やはりそれでもまだ脱漏とかがあり得ますので、可能性はありますので、距離感のあるところのチェックシステムをきちんとするということだろうと思っております。
 もう1つ申し上げますと、和歌山とか福島とかとはちょっと違うと思うとおっしゃられましたけれども、これは全く違うのであります。(笑声)ちょっと違うと言われると非常にせつないのであります。(笑声)そこはぜひ御認識をいただきたいと思います。むしろ問題は、例えば和歌山とか福島とかそういう問題をどうやって防ぐかというのは、これはもって他山の石とすべきでありますし、我が国の地方自治制度の問題としてやっぱりとらえなければいけないと思うのです。といいますのは、最近の交付税の論議など見ていますと、やっぱり国に対して地方側は劣勢に立たされております。これはどうしてもやっぱり正論が言いにくいというのが知事会などの雰囲気を見ても歴然としております。やっぱりああいうことが起こらないようにシステム改善をしなければいけないというので、私などはちゃんとチェックシステムがやっぱり必要だということを知事会でも申し上げたわけであります。その際に、契約案件などは議会でちゃんとチェックすることになっているのですから、やっぱりああいう場を生かしてもらいたいというのは本音でありますし、もっとチェックを強化したらいいと思っているのです。ところが、きょうもまた通信会社の情報を見ておりますと、続々と反論が出てまいります。私の知事会での発言に対して。先般も御紹介しましたけれども、埼玉県知事は議会の役割、議会人の役割というのは、予算や条例案に対して意見を言うこと。これは審議会みたいなものです。そうだとおっしゃる。それから静岡県知事は、執行について一々議会にチェックをさせるのはいかがなものか。チェックしなければいけないのです、本当は。だけれども、いかがなものか。きょうは茨城県知事が、今回の一連の和歌山とか福島の一連の問題の原因は本人にあるのだと。だから議会は関係ないとはおっしゃっていないのでしょうけれども、本人の問題なのだと。本人の問題なのです、当然。本人の問題をどうやってチェックするかということを論じているときに、本人の問題だから関係ないと言われたら改善のしようがないわけであります。本人が全部本当にきちんと正せるのなら、監査も要らないし議会も要らないわけであります。なぜ監査員制度があってなぜ議会制度があるかというと、やっぱりそれは変な人が出てくる可能性があるからやっぱりチェックシステムを置いておきましょうということなので、今回一連の各県でああいう不祥事があったということは、やっぱりチェックシステムに脱漏があった、チェックシステムを強化しなければいけないというのが素直な感想だと私などは思うのでありますけれども、なかなかこういうことも知事会では通らないというか、共通の理解を得られない。やっぱり我が国の地方自治のリテラシーの問題にさかのぼって考えなければいけないのかと思ったりしております。ちょっと余談でありましたけれども。

 

◯議長(山根英明君)暫時休憩いたします。
 午後の本会議は、1時15分より再開いたします。

◯副議長(初田勲君)再開いたします。
 引き続き、県政に対する代表質問を行っていただきます。


 10安田優子議員

 

10番(安田優子)質問に先立ちまして、午前中に私が知事に行いました追及質問に対する答弁漏れを指摘しておきたいと思います。
 1点は、草の根自治支援室による公民教育、政治教育のことについての答弁漏れでございました。
 2点目です。裏金ということにつきまして、私はよその県、宮城県等と違うのは、片山県政は透明性、説明責任ということを表看板にして、標榜して県民に処してこられました。県議会にも対応してこられました。しかしながら、この裏金問題があったという事実は、実はその表看板に偽りがあったということなのでございます。そのことについて、私は政治家として県民に対し、議会に対し、どのように責任をおとりになりますかと指摘したのでございますが、明白なお答えがないばかりか、9月議会においては絶対あり得ないとおっしゃっていた。その言葉100%ないと言い切ったそれを、今回のお答えでは100%完璧はないと御自身が言われた。これは論理のすりかえ、詭弁でございます。答弁漏れと同時に、厳しくそのことを指摘しておきたいと思います。
 質問に入ります。身体障害者補助犬に対する県の取り組みについてお伺いいたします。
 身体障害者の自立及び社会参加の進展に伴い、日常生活に著しい支障がある身体障害者の補助を行う犬が果たす役割が重要になってきました。平成14年に施行された身体障害者補助犬法は、身体障害者補助犬、盲導犬、介助犬、聴導犬をいうのでありますが、これの育成、及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図ることにより、身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与することを目的とし、訓練事業者及び補助犬を使用する身体障害者の義務等を認めるとともに、身体障害者が国・地方公共団体等が管理する施設、公共交通機関、不特定多数が利用する施設等を利用する場合において、補助犬同伴を拒んではならないと規定しております。民間の事業所、住宅については、拒まないよう努めねばならないと規定され、努力義務となっており、現在補助犬使用者団体から、この条項改定を求める動きが起こっております。
 この法の趣旨徹底については、国民の理解と協力が不可欠でありますが、法第23条で国・地方公共団体は、教育活動、広報活動を通じて、国民の理解を深めるよう努めなければならないとし、法第24条では、国民は補助犬を使用する身体障害者に対し、必要な協力をするよう努めなければならないと規定しております。
 そこで県内の実態についてでありますが、補助犬の数でいえば、盲導犬8頭は法施行前とほとんど変わりません。また、依然として施設において補助犬の同伴を拒否されるケースもあるとのこと。加えて、もともと身体障害者補助犬法の存在そのものを知っている県民が少ないと聞いております。県も平成15年からその普及、啓発に取り組んでおられるようですが、その効果はいま一歩であります。この実情について、知事の所見を伺います。
 補助犬の利活用については、まだ障害者の方々の十分な理解が得られていないのではないかと思います。便利はいいと思うが、世話が焼けて大変だとの声をしばしば耳にします。盲導犬、聴導犬、介助犬とのコミュニケーションは、障害者の生きがいづくり、生活のリズムにもつながっていきます。この意味において、ぜひとも補助犬の利活用につき理解が得られるよう、PRに工夫と知恵を出していただきたいと思います。重ねてその方策を知事に伺います。
 次に、施設等の利用の円滑化についてであります。
 愛玩用で犬を施設に持ち込むこととは明確に区別しなければなりませんが、結局、衛生と安全に対する不安が施設利用の拒否に結びついております。加えて、犬に対する拒否の理由は、生来的に犬が嫌いであるとか脱毛、排せつ物、臭気に対する嫌悪感など人間の根源的な生理作用にかかわります。この問題は、人としての良心、人に対する思いやりにかかわるような内容であるため、罰則規定を定めて強制することまでは行き過ぎのような気がします。唯一の方途は、施設管理者等の理解をもらうしか手段がないと思います。これに対する県の対応策はあるのでしょうか。トラブル解決を図る専門機関を設ける必要性を訴える声がありますが、県の対応策を知事に伺います。
 次に、土地利用のあり方についてお尋ねします。
 鳥取県といえば、暗い、小さい、貧しいといった負のイメージが強いのでありますが、本当にそうでありましょうか。確かに、自然環境は厳しい面もありますが、そのおかげで四季折々を楽しみ、味わうことができます。海も山もあり、食べるものにも恵まれております。さらに誇るべきは、住環境のすばらしさであります。総務省統計局の資料では、持ち家比率全国61.1%に対し、本県は71.6%で全国第11位。しかも床面積は全国120.5平米に対し150.5平米で全国第8位。敷地面積も平均して351平米で大半が庭つき車庫つきであります。こうした恵まれた食と住の環境があってこそ、平成15年度の県民所得全国35位という低所得ながら、県民生活にも安定感があるのではないかと思うところです。そして、こうした本県のよさを再確認するとともに、県民ひとしくその恩恵が享受できるような土地利用についての県施策を求めたいと思うのであります。
 最初に、都市計画上の規制について質問をいたします。
 都市計画法上、区域指定を受けた市街化調整区域内に存在する土地については、原則建築は許されておりませんが、例外として昭和47年の法施行前から引き続き本家が所有する土地については、分家住宅の建築が開発審査会の議を経て許可され、建築が認められる開発許可制度となっております。この取り扱いについては、これまで県土整備部が所管しておりましたが、本年度より生活環境部景観まちづくり課に移管され、本年度、土地利用のあり方検討事業が1133,000円の予算で執行中であります。この事業の検討の背景、目的については、市街地の外延化に伴い、市街化調整区域への人口流出及び中心市街地の空洞化が進み、市街化調整区域における営農環境の悪化や新たなインフラ整備が必要となっていることから、現在の社会情勢、人口減少や高齢化社会、環境負荷低減への要請、社会資本投資余力の限界を指します。これに対応する持続可能なまちづくりの実現をするものとしています。
 検討内容としては、市街化調整区域内における立地規制を強化、厳格化して、市街化区域への土地利用を誘導するという内容で、分家住宅等の従来の開発許可の運用基準を規制強化する策や、市街化区域への立地誘導に税制上の優遇措置を検討することが挙げられております。検討というものの、検討結果を周知させるためのパンフレット作成費50万円まで計上されており、検討する前から既に決定が前提となっている不思議な事業であります。
 私は、次の点からこの規制強化、見直しに異を唱えるものであります。
 都市計画法は、昭和47年、日本列島改造による民間の乱開発を規制抑制し、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的に制定されたものであります。
 先般、まちづくり三法の一環として都市計画法も改正され、中心市街地における商業活性化のため、郊外における大規模集客施設の立地が制限されるとともに、従来許可不要であった市街化調整区域内における医療施設等の建築についても規制がかかるようになりました。
 このまちづくり三法自体、その是非をめぐって議論を呼んでいるというのに、何ゆえに本県において国の規制以上の規制をかけねばならないのか。開発を抑制するという調整区域であっても、代々その地に住んでいる世帯の分家まで見直す必要があるのか。しかも、自己が所有する土地に子供を分家させるというのに、その所有者の使用権をそこまで侵害して守るべきまちづくりとは一体何なのでありましょうか。
 市街化調整区域に土地を持っているけれども、厳しい基準に合わなかった場合、果たして皆さんが市街化区域に土地を購入し家を建築するのでしょうか。市街化区域は土地代が高く、建築をあきらめる人の方が断然多いはずです。しかも、住む家がないから市街地のアパートに住んで、親元、本家から離れていく。調整区域の高齢化はますます進行していくのであります。今や高齢者の福祉看護も在宅の時代を迎えておりますが、これでは調整区域内の集落も、中心市街地と同様、高齢化、衰退化する一方であります。
 また、建設業界が公共事業縮減で壊滅的打撃を受け、必死でもがいているこのときに、何ゆえ建築件数の減少につながるような施策を行うのでしょうか。米子・境港都市計画区域内における市街化調整区域内の開発許可は、米子市で年間50件ほど、西部総合事務所で20件ほど、合わせて年間70件ほどのようでありますが、このうちの何割かに許可がおりなくなれば、その経済効果は建設業界にとどまりません。その影響も考慮すべきであると思います。
 最後に、県民に対する説明責任であります。
 この法律については、難解な面もあって広く理解されているとは言いがたいのですが、皆さんがマイホーム建築、人生の一大事をやろうとするときに、このような規制強化でこれまで許可がおりていたものが突然おりなくなったという事態を知れば、大きな波紋を呼ぶこと必須であります。この問題については、県民の理解と協力、市町村の努力を抜きにして、県がこのような見直し作業によって軽々に結論づけることは避けねばなりません。今後、市町村の都市計画プランの作成、見直しを受けながら、慎重に審議、協議していくべきと考える次第ですが、知事の御所見をお聞かせください。
 次に、農地に関する規制についてお伺いします。
 昭和27年に制定された農地法は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当と認め、地主から小作農に農地を開放した画期的なものでしたが、半世紀を過ぎた今、戦後の農業を担ってきた自作農も代がかわり、高齢化や後継者不足で耕作不能状態に陥っている農家も多いようであります。こうした状況の中、国は認定農業者や集落営農組織、農業生産法人等の新たな担い手農業者へ農地を再集約し、大規模農業の展開による世界市場への参入を期しております。
 本県の認定農業者は、9月末で法人62を含めて1,052で、達成目標2,389に対し、59%の達成率となっておりますが、農産物自給率61%、不耕作地3,410ヘクタール、65歳以上の高齢従事者が66%という本県農業の実態を見るに、いま一歩進んだ施策が求められているのではないでしょうか。
 私はかねてより、どのような社会状況になろうとも、乗り越えることのできる堅実な鳥取県民を育てるため、すべての県民が豊かな自然の中で土に親しみ、農にいそしめるようなライフスタイルが好ましく、必要であると考えております。しかしながら、県民が自家消費程度の農作物を栽培したいと考え、農地を取得しようとしても、農地法の適用がかかり、農地の取得は困難なものとなっています。つまり必要な農地を確保しようとしても、所有権移転や賃借権の設定には下限面積が設けられており、自分が必要な農地を取得することができないのです。下限面積については、一部に10アール、1反が認められていますが、これらの地域は中心の市街地内であり、それ以外は2反から5反の範囲が下限面積として設定されております。将来の日本の農業、鳥取県の農業を担っていく大規模農業の展開も大いに必要でありますが、それと並行してだれもが土に立つ、農に参入できるように、この規制は農地法特区で撤廃すべきと思います。本県では、県民総参加で自給率100%を目指していきたいと思うのですが、知事のお考えはいかがでしょうか、お尋ねをするものです。
 次に、農業振興地域の整備に関する法律に基づいて設定されている農用地についてお尋ねします。
 農用地の指定は、市町村が定める農業振興地域整備計画で決定、農用地除外についても市町村の計画変更を受けて県の農業振興地域整備基本方針の変更ということになっておりますが、これら一連の取り扱いが不透明で、市町村ごとに対応が違い、除外や転用に当たって多くのトラブルを起こしております。中には、訴訟になるケースもありますが、農用地の指定は的確に行われているのでしょうか、知事にお伺いします。中には、農地として利用されておらず、将来にわたってもその可能性のない土地まで農用地として指定し、除外も認めないという市町村もあります。
 整備計画の変更については、5年ごとの基礎調査の結果や社会情勢の推移も含めて行われることになっておりますが、この調査は実際に行われているのでしょうか。県の定める農業振興地域整備計画基本方針の策定方法に問題はないのでしょうか。この制度が、優良農地の確保・保全という本来の趣旨よりも、単なる開発・転用に対する規制の盾になっているような面があると思うのですが、知事の見解をお尋ねします。
 次に、境漁港の活性化についてお伺いいたします。
 境漁港については、これまで日本海における漁獲の最盛期と、県の行政主導による漁港整備が時を得、功を奏し、今日の発展に至ったと認識しております。昭和37年、内港に県営の水産会館が建設され、県営魚市場の開設を見た時点ではいまだ5万トンほどの水揚げ量しかありませんでしたが、イカの豊漁を契機に一挙に漁港としての躍進を遂げてまいりました。その後、外港に県企業局による154ヘクタールの埋立地を造成し、市場の移転を果たすとともに、背後に水産加工団地を形成したことがイワシの大漁に対応でき、水揚げ日本一の座の獲得に大きな要因になりました。
 しかしながら、近年の境漁港は、韓国との漁場問題やエチゼンクラゲの大量発生、漁船燃料の高騰、後継者問題等、大変厳しい環境の中で水揚げ量も減少し、昨年はついに10万トンを割ってしまいました。
 このたび、国は水産基本計画の見直しと、新たな施策の展開を方向づけました。国際競争力のある漁業経営体の育成・確保、国際化に対応した流通コストの低減、漁港・漁場の整備と漁村の活性化を三本の柱とするもので、50億円の漁船対策費、10数億円の流通拠点対策費も含まれていると聞いております。世界市場に向けた日本漁業の強化と業界再編を通して、新たな担い手を育成していこうとするこの国の方向性に応じて、再度境漁港の活性化が図られるよう期待するものであります。そして、県もまた、新たな時代展望を持って、境漁港の再編整備に臨む時を迎えているのではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか、知事にお伺いします。
 以下、4点にわたって知事のお考えをお尋ねします。
 私は、2年前の代表質問で、消費者ニーズに呼応した安心・安全な魚市場のあり方について質問をしました。その後、防風防暑施設や見学者用の学習室、屋外展望場等が整備されたのを初め、多くの改善努力が見受けられます。今後は、処理能力や衛生管理の高度化とともに、セレクターの導入や仕分けによる販売も視野に入れた境港産のブランド化に迫っていかねばならないと考えますが、魚市場の整備について知事の御意見をお聞かせください。
 漁港がにぎわい、市場が活気づくには、まずは多くの漁船が入港してくれなければなりません。漁業生産者に魅力ある港であるために、船員用の福利厚生施設の整備や、緊急の入港・出漁にこたえ得る水、氷、燃油等の供給体制、とりもなおさず好条件での漁獲物の取引等が考えられますが、基本的には、漁船が入港できるか、係留施設があるかであります。境の港は御案内のとおり、漁港であると同時に重要港湾としての機能もあって漁船の係留場所が限られており、係留施設の増設整備を求める声をたびたび耳にしております。この問題について、知事の答弁を求めます。
 市場は衛生上からも関係者以外が勝手に入ることは好ましくありませんが、その周辺には人が集う施設が必要ではないでしょうか。境港の水木ロードは、今や県内一の観光地になっておりますが、訪れる人たちの不満は、せっかく境港に来たのに魚が食べられない、カニを食べるところがないということであります。観光も今ではその地ならではのものが求められる時代です。大山、皆生と結んで、境港の新鮮な魚を求めたり海を眺めながら食する場が欲しいという声はちまたにあふれております。現在ある仲卸センターは老朽化も進み、市場法との絡みもあってニーズにこたえることができませんが、生産者にとって、みずからがとってきた魚を喜んで食べてくれる人の姿を見ることができる距離が大切であろうと思うのであります。市場周辺で魚を食べたり買ったりすることのできる集客施設の設置について知事はいかがお考えでしょうか、お伺いします。
 市場に隣接して港湾合同庁舎が建っております。昭和45年の建設で、建物も古くなっている上に、境港湾における物流の増加に伴い、入庁機関である境税関支署、広島入国管理局境港出張所等の業務量や職員数がふえ、庁内駐車場とも狭隘で事務に支障を来しております。特に境税関支署は事務室を分散しており、問題が深刻であります。この合同庁舎は漁港機能よりは、港湾機能に関係するものではないかと思うのですが、漁港区域外への移転を含めた今後の見通しについて知事の所見を伺います。
 次に、7月豪雨の経験から中海問題についてお伺いいたします。
 本年7月17日から降り始めた雨は、経験したこともない豪雨となりました。18日午後には米子地域に大雨洪水警報が発令され、境港市では18日の降水量289ミリと観測史上2位、降り始めからの積算雨量は483ミリに達しました。市内では、道路や農地の冠水のほか、床下浸水9件の被害があり、砂地という土地柄ゆえ、これまで水害等経験したことのない市民を不安におとしめたのであります。被害のほとんどが、米川とその支川の下流域で発生しており、これらの河川が流入する中海・境水道の水位上昇により、護岸堤防を挟んで陸地より海面の方が高くなったことで雨水の排除に支障を来したということでした。
 地球温暖化による海面上昇が着実に進行する中、今回のような異常降雨を経験して、改めて中海問題・大橋川拡幅問題を考えたとき、護岸整備のあり方についても言及しなければなりません。今後整備が急がれる境港市の渡漁港など9カ所の護岸整備については、こうした内水排除対策を含めた整備方法をとっていただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
 また、既設の整備箇所の改善については、地元市と協議の上、適切な対策を講じなければならないと思うのですが、知事の所見を伺います。
 さて、降雨が一段落した7月19日、マスコミ報道で宍道湖の水位が上がっていることを知りました。美保湾の満潮時とこの宍道湖からの流入が重なることを心配して、中海・大橋川の様子を見ながら松江に向かってみたのですが、松江市内は大橋川のはんらんで交通どめになっておりました。近くにある国交省出雲工事事務所のコミュニティーセンターでそのあたりの様子がわかるのではないかと訪ねてみましたが、5時を過ぎており、職員は帰宅した後でした。せっかく宍道湖の様子を見るため松江まで出向いたのに、目的を果たせないまま帰ったわけですが、この体験から一つの提案をさせていただきたいと思います。
 それは、斐伊川水系の上流から順次監視カメラを設置して、下流域の者にも実態がわかるようなシステムを設置してほしいということです。かつて九州雲仙岳で火砕流が発生した折、島原市では役所の一室にカメラモニターを設置して現場各所の画面を見ながら対応策を講じておられました。このシステムを導入して、初めて的確な対応ができるようになったと職員の方が語っておられたことを思い出します。斐伊川水系においても、こうしたシステムを設置、作動していただき、最下流の境港市役所や米子市役所、できれば鳥取県庁でも各現場の映像をキャッチできれば、まさかの折の状況判断や対策に生かせるのではないかと考えますが、このシステムの設置について知事の見解を伺います。
 次に、隠岐航路存続に支援をお願いしたいと思います。
 日本海の孤島、隠岐島と境港を結ぶ定期航路は、明治18年、隠岐4郡が共同で購入した汽船隠岐丸によって始まっております。その後、明治28年設立の隠岐汽船株式会社がこれを引き継ぎ、現在に至っています。島民や観光客の足として、長年にわたって利用されてきたこの航路が存続の危機に陥っていることは、皆様も既に御承知のことと思います。
 このたび、隠岐汽船から支援要請を受けた島根県が、経営再生計画の実施を条件に、隠岐4カ町村とともに、同社所有のフェリー1隻を20億円で購入し、無料で隠岐汽船に運行委託をする支援方針を明らかにしました。これによって、会社倒産による航路廃止という最大の危機は回避できる模様でありますが、加えて、係船料、施設使用料、固定資産税の減免について寄港地である松江市、境港市とともに、境港管理組合並びに鳥取県による行政支援も要請されているように仄聞しております。
 私は、ぜひともこの支援要請に本県もこたえていただきたいと願うものであります。現在、フェリー、高速旅客船から成る隠岐航路の本土側の寄港地としては、島根県松江市、旧美保関町の七類港がメーンとなっておりますが、そもそもの隠岐航路の始まりは、さきに述べたとおり境港を起点としており、今日に至る間の長い歴史的交流によって多くの島民が鳥取県人となり、県内で活躍されております。人とともに隠岐島民の生鮮食料品等はほとんど境港から供給されており、漁業、水産業を含めて経済上のつながりも深いものがあります。
 後鳥羽上皇、後醍醐天皇配流の地、隠岐島は歴史に会える島として、またすぐれた自然景観を生かし、大山隠岐国立公園の一角を占める観光地として、多くの人が訪れております。活溌化する中海圏域観光の要所として、貴重な役割を担っております。フェリーしらしまの船体に鬼太郎のロゴが入り、話題を呼んだことも記憶に新しく、本県との観光連携も進みつつあります。
 幕末維新時には、隠岐騒動の絡みで鳥取藩預かりとなり、廃藩置県で本県に編入されて、明治9年、ともに島根県になったという歴史的経緯も存在するのであります。
 長年にわたって培ってきた隠岐との深い御縁を大切にし、今後とも、ともに栄えていくことを期待して、島民の足である隠岐航路が存続できるよう、本県としても支援してあげたい、支援すべきであると訴え、知事の所見を伺います。
 2回目の質問を終わります。

 

◯副議長(初田勲君)答弁を求めます。


 片山知事

 

◯知事(片山善博君)安田議員の御質問にお答えをいたします。
 最初に、答弁漏れということで失礼いたしました。
 1つは、草の根自治支援室がいわば公民教育とでもいいましょうか、学校に出向いていって住民の権利、自治に関します住民の権利などについて情報提供なりをすることはどうかということでありますが、これは可能であります。ただ、学校側の受け入れの体制もありますから、よく学校の御意見も伺いながらということでありますが、行政としては対応は可能だと思います。
 簿外経理に関して、論理のすりかえがあったのではないかというお話がありましたが、私9月議会で答弁したことを今でも思い起こしているのでありますけれども、絶対ないと言って胸を張ったつもりはありません。これはよく調べてください。自分自身で精いっぱいシステム改革をやってきたことを申し上げました。それは繰り返しになりますけれども、予算の柔軟化、それから予算を使い切る悪慣行をやめる、それから透明化をしてチェック機能を強化する、監査委員に従前に増してチェックをしていただいているという、こういうことをやっていますので、まずあり得ないと思いますということを申し上げたわけであります。絶対あり得ないとは言っていないはずであります。そのとき、あわせて稲田議員の御質問だったと思いますし、鉄永議員の御質問もありましたけれども、もし何かそれに関する端緒でありますとか情報があったらお届けいただきたい、それがあれば調査をしますということを申し上げたわけであります。絶対ないから、何もしませんということを胸を張って言った覚えはありません。ないと思いますということは言いました。ですけれども、それはあるかもしれないということを前提に、もし端緒があればおっしゃってください、調べますからと。そうしましたら、端緒があったわけでありまして、その端緒に基づいて調べたら今日の結果になりました。これは、私は本当に一生懸命この種の不祥事がないように自分なりに精いっぱい尽くしてきたつもりでありますけれども、やっぱりこの3,000数百人の職員に対して隅々まで徹底することができなかった。そのことはみずからが管理者である管理者としての能力の限界を感じるということを石村議員の御質問のときにも率直に申し上げたつもりであります。そのみずからの管理能力の限界について、県民の皆様におわびを申し上げたつもりであります。ですから、議会に対して何も言ってないではないかと言われましたけれども、私は責任を痛感しておりますから、石村議員のときに率直に申し上げたわけであります。お聞き届けいただいていなかったことは非常に残念でありますけれども。
 あえて申しますけれども、私は常々この問題に限らず議場でも申し上げているつもりなのです。完璧というのはやっぱり無理なのです。完璧にしようと努力をしておりますけれども、ですけれども、やっぱり自分自身、個人の問題でもそうでありますけれども、組織、集団になりますとやっぱりこれはなかなか難しいことであります。
 ですから、絶えざる自己規律とチェックとの補完、これが重要であるとつくづく思っているのであります。そのことを申し上げたわけで、論理のすりかえをしようとか責任転嫁をしようとしたつもりは毛頭ありません。
 以上率直に申し上げておきます。
 身体障害者補助犬法が施行されたけれども、補助犬の普及啓発についてどうかとこういうことでありますが、この身体障害者補助犬の普及ということは非常に重要なことだと思います。現在、啓発などについてどういう取り組みをしているかということは、福祉保健部長の方から答弁申し上げたいと思いますし、障害者自身、障害者の方自身がこれをもっと積極的に活用することによってみずからの行動範囲を広げるということ、このことも重要だと思いますけれども、ここのところもなかなか当事者の皆さんが必ずしもその有益性について十分な理解がないということもあるのかもしれません。これも普及啓発することが必要だろうと思います。
 私も先般、実は直接この盲導犬の普及について、経済的な支援をされている方々からお話を伺ったことがあるのです。これは倉吉の方で、伊藤県議の関係の会のときだったと思いますけれども、倉吉グレートライオンズクラブという会なのですけれども、せっかくお金を集めて、鳥取県内で必要がある方に盲導犬を提供するというこういうことなのですけれども、申し込みがなかったのです。私も直接もっとこれを当事者の方に聞いていただけませんかということを伺って、再度県を通じて関係者の皆さんにこういうことがありますけれどもいかがでしょうかということを再度改めて確認をしたのですけれども、やっぱりそれでもなかったのです。そこでしようがないので、この奇特な篤志というものはよその県に恐らく行くことになったのだろうと思いますけれども、こんなことも実はありまして、一方では普及啓発ということよりももっと進んで、経済的にお金を出して提供したいという方も、県内にはそういう善意の方も実はおられるということもあえて御紹介しておきますけれども、であるがゆえに、当事者の皆さん方が可能ならば盲導犬を使おうというそういうふうな意味での啓発と、それから一般社会の盲導犬に対する理解を促進するということは重要だろうと思います。この点につきましても、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。
 あわせてトラブルの解決、トラブルがあったときにどうするか。専門の機関をというのはちょっとこれはなじまないと思います。やはり市町村でありますとか県もそうでありますけれども、関係する機関が該当の方の理解を得るためのサポートをするということが現実的ではないかと思いますが、この点についても現状などを、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。
 都市計画上の規制についての御不満がありましたけれども、市街化調整区域に家を建ててなぜ悪いのかと。建てやすいのに。土地も安いし。市街化区域ならば土地が高くなる、みすみす安い土地が調整区域にあるのになぜ高い土地に回らなければいけないのかとこういうことでありますが、これは都市計画の概念を全く否定するものなのであります。都市計画でなぜ線引きをして市街化区域と調整区域に分けているかというと、これはいろいろな理由がありますけれども、1つは、できるだけコンパクトに計画的に市街化する。そのことによって何が起こるかというと、住んでいる住民の皆さんの利便性もありますし、むやみやたらなスプロール的な開発を避けるということが可能になります。そのことによって、公共投資が膨大にならなくて済む。こういうことで線引きをしてまちづくりを整序しているわけであります。したがって何が起こるかというと、市街化区域は、開発をしてもいいということでありますから、したがって需要が多くなるわけです。開発したい人がそこに土地を求めますから。したがって、需要が多ければ、地価が上がるわけです。調整区域は、基本的に開発できませんので、開発可能性が非常に低いので、そこに対するニーズは低くなって、したがって地価が安い。地価が安いのは開発できないから安いのであります。
 ところが、その現状を前提にして、地価が安いところになぜ建てられないのかと。これは全く堂々めぐりの矛盾したことになるわけであります。それならば、その町は調整区域も市街化区域も線引きをやめたらどうですかと。得手勝手にやったらどうですかということになるわけです。これは選択の問題であります。ですから、よくよくこれは町で考えていただきたいと思うのです。境港市なら境港市で。自分のところはもう整序しなくてもいいと、スプロールしても何でもいいのだと。公共事業はインフラは後でついてくる、下水道にしても何にしてもというのであれば、一切線引きなんか要らないわけであります。倉吉市などは線引きをされていないはずであります。都市計画区域はありますけれども線引きはされていないわけでありまして、この種の問題は基本的には余り起こらないわけであります。
 調整区域に代々住んでいて、分家をしたりするときにおかしいではないかと言われますけれども、一応、昭和46年に都市計画法ができて、47年だったでしょうか、線引きしたのですけれども、そのときに一種の既得権というものが発生したわけです。もう既に農家住宅で住みついておられる方を、調整区域になったから立ち退けというわけにはいきませんので、ごく限定的にその方々について例外的にごく近所なら分家を認めるとか、こういうことなのです。一般の皆さんは、そこを開発できないわけです。ですから、一種の既得権が発生しているわけです。この既得権をどうするかということで、この既得権をどんどんどんどん拡大して、遠方でもいいし親戚でもいいということになってしまうと、公平性が著しく阻害されるわけです。やっぱりそこの行政における公平性というのは必要だろうと思います。これがその都市計画の理念と仕組みなのであります。これをどう考えるかということであります。安田議員のおっしゃるようなことを言われると、都市計画はやめた方がいいと、こういうことになるのであります。とはいいましても、現状につきまして生活環境部長の方から御答弁申し上げます。
 農地法に基づく規制についても似たようなことがあるのでありますけれども、安田議員のおっしゃることもここの点は私もよく理解できるのです。今農地が余っていて、農家として農業経営をするわけではないけれども、ホビー農家にかなり毛が生えたようなそういう農業経営もあってもいいのではないかという気はするのであります。そうすると、自家消費のためにある程度の耕作ができる。これをどう考えるかということだと思うのです。
 今は、農地の転売というのは基本的には20アールでしょうか、それから例外的にといいますか知事特認で10アール以上であれば取得は可能だということになっているのですけれども、なぜ下限をつけているかというのは、これは農地の細分化を防ぐということです。これは必要だと思うのです。今農政は、いろいろ御批判はありますけれども、認定農業者に代表されるように中核的な農家に集約をしようというこういう動きでありまして、これはこれで私は自立した農家をつくるには間違っていないと思うのです、基本的には。それと軌を一にしてといいますか、同じ平仄を合わせた形で農地の細分化を防ぐというのも、これも一つの農業政策としてはあり得ると思うのです。そこで、細々としないためにまとまった移転しかできないと、こういうことになっているのです。昔から田んぼを細かく細かく分けて、田分けという、たわけ者というのは恐らくは細分化する人のことを言うのだろうと思いますけれども、たわけ者をつくらないためにまとまった農地でないと移転できない、こういうことになっているわけであります。これは、私は正しいと思いますので、これをもっと下げろということには余り賛同いたしません。ただし、特区で、安田議員がおっしゃいましたけれども、特区で下げる手もあるのではないかと、これはありますので、特区はだれでも申請できますから、県は申請するつもりはありませんけれども、例えば境港市で申請されるのならそれもあり得ると思います。
 もう一つは、最近そういうホビー農家とかホビー農家に毛が生えたような農家用には市民農園という仕組みがあるわけでありまして、これは10アールでなくてももっと小さい面積であっても、一件ずつの家庭菜園的なことを営めるような仕組みがあるわけでありまして、ニーズがあるのならば境港市でもそういうことをされたらいいのではないか。鳥取市などでも現にあるわけでありまして、そこにサラリーマンの人が日曜日に野菜づくりに行ったりされていますけれども、こういうことは可能だろうと思います。農用地区域の指定が的確に行われているのかという御質問でありますが、農用地区域の指定は市がやることになっておりますので、的確かどうかは市で判断するしかないのではないでしょうか。市が指定するのですが、たしか県の同意があるのですね。県の同意手続がありますので、もし県の同意手続の中にふぐあいなことがあるとかがあれば、具体的に指摘していただいたら結構でありますけれども、基本的には市が農用地区域というのは指定も除外も決められますので、市の方でよく検討していただければと思います。
 農振計画に関する基礎調査が実際に行われているのかということつきましては、これも市町村の仕事なのです。ですから、市町村で行うことなのですけれども、県が把握しております状況につきまして、農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
 今度は県のことですけれども、農業振興地域整備基本方針というのを県が定めるけれども、この基本方針の策定方法に問題はないのかということでありますが、これについてはこれも農水部長がお答え申し上げますが、もし具体的に何か策定方針について問題があるのでありましたら、具体的な御指摘をいただければ議論が深まると思います。とりあえず策定方法をどういうふうにやっているのかということなどにつきまして、農水部長の方からお答え申し上げます。
 農業振興地域制度、要するに農地の規制というものが本来の優良農地の保全という趣旨ではなくて、単なる開発とか転用の規制に陥ってしまっているのではないかという御指摘でありますが、先ほど言いましたように農用地というのは、農用地域というのは優良農地を保全しようということで制度ができていて、それを市町村が定めるわけでありまして、市町村が定めたものについては、やはり優良農地は保全しなければいけないので転用はある程度、かなり厳しくなると。これは当然だろうと思うのです。優良農地として指定したけれども転用が簡単ということになりますと、優良農地の保全になりませんので。ですからそれは当然だろうと思うのです。ただ、優良農地の指定のところが、もし市町村の方で妥当性を欠いていて、本来保全しなくてもいいものまで農用地区域に指定されているとすれば、単なる規制のための規制になっている可能性はないわけではありません。そこはしたがって地元の市町村で本当に必要な農地を指定するかどうかという見識、判断にかかっているのではないでしょうか。市町村においてぜひこの農用地区域の指定という自治事務でありますので市町村の。ですから、市町村の自治事務として適切に運用していただきたいと思います。
 境漁港部分の再編整備についてどうかということでありますけれども、漁港についてもいろいろ環境が変わってきます。環境といいますのは漁場でありますとか魚種でありますとか、国際環境、魚をめぐる水産物をめぐる流通の問題もありますし、それから陸地での加工などの関連産業の動向などもありまして、これらは中期的にはかなり変わってくるわけでありまして、その変化をどういうふうに漁港の施設整備機能に反映させるかというのは、これは常に考えておかなければいけない問題だと思います。したがって、境漁港についても関係者の御意見も伺いながら、これから検討する課題だろうと思います。どんな点が課題か、計画をつくるとすればどんな点に留意しなければいけないのかなどにつきまして、水産振興局長の方から補足答弁を申し上げます。
 あわせて魚の市場です。県営の卸売市場でありますけれども、これは昭和37年から整備、維持してきておりますけれども、今後の整備のあり方はどうかということでありますが、この市場につきましても、昨今の安全、食品安全というような非常に重要な問題について市場自身も質の高いサービスが提供されなければいけない、こういう時代になってきたと思います。そういう時代の変化に応じた質的向上というものも当然果たさなければいけない。それに伴って新しい機能の拡充なども必要になってくると思います。こういう新しいニーズにどういう手法で対応していくのかというのが、今当面の課題だと思います。
 今政府も地方もそうでありますけれども、この種のことをすべて直営でやっていた時代ではなくて、より機能的に、より効果的に事業を進めたり、施設を維持管理する手法というものが可能になりました。いわゆるアウトソース。例えば、それこそ市場化テストというものもありますし、指定管理というものも出てきたわけでありまして、従来のように官が直接何でもやるという時代から、そうではなくて、よりふさわしい形でよりふさわしい経営形態にもっていくということが可能になったわけでありまして、この県営の市場もこれからどうしていくのかというのは、これは大きな検討課題だと思います。特に新しい機能を付加して、関係者の所得も上げていただかないといけませんし、市場自体の収益性も高めなければいけないというこういう要請の中でありますので、新しい経営形態をどうするかということは、今後早急に検討しなければいけないと認識しております。そういうことはそれとしながらも、当面どういう問題点があるかなどにつきまして、水産振興局長の方から御答弁申し上げます。
 境港といいますか、境漁港、両方が併存しておりますので、係留施設などについて不足を生じることがあるという、これはかねがね問題として指摘されております。なかなか広げる余地がそれぞれありませんので、思うに任せない面もあります。一時期、広げられる可能性があるところということで、物色をしたこともあるのですけれども、そこで実現しようと思いましたら膨大な施設の移転費用がかかる。現在事業をやっておられる企業に立ち退いていただくということになりますと膨大な移転費用がかかるということで、二の足を踏んだような経緯もないわけではありません。いずれにしても、現状の中でどうやって漁港と港湾とをやりくりしなければいけないのかというのが頭の痛い問題だと思います。現状などにつきまして、県土整備部長の方から御答弁申し上げます。
 境漁港には、いわゆる仲卸施設が併設されているわけでありますけれども、これと関連して、市場の背後地に集客施設のようなものがあればいいのではないかと、こういうことであると思いますが、それはあったらいいと思います。そこで大いに関係者の皆さんが集客をして販売をされて所得を上げるということ、これは漁業にも非常にいい影響を与えますし、流通加工業界の皆さんにも非常にいいと思いますし、境港の観光にも大きく裨益すると思いますのでいいと思いますが、だれがやるかということになりますと、少なくとも県がやることではないと思います。それはだれがとは申しませんけれども、県ではないのではないかと思います。
 関連しますのは、先ほど言いました仲卸店舗がありますけれども、ここをどうするのかというのは前々から、つくったときから問題になっておりまして、今は本来の仲卸機能ではないわけであります。これは当初からそうなっているわけであります。かなり老朽化しておりまして、この行方にはいろいろな議論があるわけであります。
 今後どうするかということはよくよく考えなければいけない問題だと思います。今は市場施設として市場法の適用を受けておりますから、使い勝手が悪いと言うと変でありますけれども、使い方にかなり制約があるわけでありますけれども、これを、仲卸店舗としてつくっているけれども仲卸機能を発揮していないのならば、市場法の対象から外して規制を外したらどうかという意見も当然あるわけであります。そんなことも含めてこれは検討しなければいけない問題だと思っておりますけれども、これも水産振興局長の方から補足答弁を申し上げたいと思います。
 境港の国の機関の合同庁舎をどうするのかということでありますが、これは県の施設ではありませんので、国の機関でありますから国の方でよく考えていただかなければいけない問題だということが基本であります。ただ、それこそCIQ、税関でありますとか出入国管理でありますとか検疫でありますとか、そういう機関は境港にとりましても、それから近接の米子空港にとりましても大変重要な政府機関でありますので、我々としても大変重大な関心を持っているわけであります。ぜひこの境港にあります国の関係官署の施設というものがより充実するようにということを願っておりまして、その面で現場の機関が仕事をしやすいようになっていただくということは大切なことだろうと思っております。そこで、それぞれの現場の機関がどういうお考えであるのかということを伺いながら、国の予算編成のときなどにはしかるべきところに要請をしたり要望をしたりしてきているところであります。この点につきましても、現状などを企画部長の方から御答弁申し上げます。
 中海の護岸整備について、あわせて境港の一部などについては内水排除対策も含めた整備をすべきではないかということでありますが、基本的には内水排除はそれぞれの内水をもたらします河川などの管理者の責任であります。これが基本だと思います。今回、斐伊川、神戸川の改修計画に際して、鳥取県側が弓浜半島の護岸の整備が着実になされることということを条件に出しておりまして、そのときにどこまで要望するのかということだろうと思います。基本は全く無視してくださいともなかなか言いづらい。ですけれども、せっかく護岸整備をやるときに、できる範囲以内では協力をしていただきたいというのは、これは人情としてはやまやまであります。この辺をどういうふうに話を持っていくのかということだろうと思いますので、この点につきまして、国との協議の場などもありますので、その辺のことも含めて県土整備部長の方から御答弁申し上げます。
 この斐伊川、神戸川の改修計画に関連して、上流の状況はどうなっているのか。例えば、豪雨のときとかなどでありますけれども、上流がどうなっているのかということを下流の米子や境港でも映像上といいますか画面でわかるようになれば、対処の方針もあり得るし、安心感も出てくるだろうし、不安な場合は早くそれなりの行動もしなければいけないしということに結びつくということはそのとおりだろうと思います。
 現在、国土交通省の方で現場に幾つかテレビカメラを設置しておりまして、これが見られるようになっております。私もいい機会なのでみずからのインターネットで確認してみましたけれども、例えば宍道湖から大橋川に入る接合部分のところ、今水位がどうなっているのか。それから上流部、これは斐伊川の方でありますけれども、上流部でも一部どうなっているのかというのはわかるようになっております。これはインターネットでも携帯電話でも万人が見られるように既になっているところでありまして、ぜひこれはごらんいただければと思います。あとはできれば鳥取県側の、これは中海ですけれども、鳥取県側の主要な地点も国交省のテレビカメラでこれが見えるようになればそれにこしたことはないので、こんなことはさらに要望していきたいと思っておりますが、いずれにしても安田議員が言われた上流の地点については要所要所が見られるようになっております。その地点が十分かどうかは議論のあるところだとは思いますけれども、最重要なところは見られるようになっているところであります。
 隠岐汽船から負担軽減についての要請が出ているけれども、これをどうするのか、ぜひ隠岐汽船の要望に沿った形で鳥取県も財政支援をとこういうことであったかと思います。
 隠岐汽船から鳥取県の方と境港管理組合の方にそれぞれ支援の要請が来ております。鳥取県に対しては、みなとさかい交流館の使用料の減免という案件であります。これは県有施設でありますので。それから境港管理組合に対しましては、係留料の減免でありますとか、管理組合が持っております土地の使用料、駐車場に使っておりますけれども、この使用料の減免とかなどについてであります。あわせて、島根県からも私も松尾副知事さんから直接要請を受けたり、両県知事会議のときに島根県側からも知事さんの方からも話があった案件であります。
 これは、実は境港管理組合に対する要請も、究極のところは鳥取県の方で負担するかどうかということにかかっているわけで、いずれにしてもこの鳥取県側で対応方針を決めなければいけないということであります。
 現在、財政当局で検討してもらっております。金額としてはそんなにびっくりするような金額ではないのですけれども、ちゃんと理屈が立つかどうかというとちょっと言い方が変化もしれませんけれども、説明責任が果たせるかどうかというそういう点について検討しているところであります。
 隠岐島は島根県でありますけれども、隠岐と本土、これは七類もありますけれども境港との航路もあるわけで、隠岐と境港の関係というのは非常に歴史的にも深い関係にありますし、隠岐島の動向、特に隠岐島との交通アクセスの確保の問題は境港にとりましても大変重要な課題だと思っています。できるだけの協力をしたいと考えておりますけれども、先ほど言いましたような説明責任がちゃんと果たせるかどうか、こういう点についてできるだけ早急に検討して結論を出したいと考えているところであります。

 

◯副議長(初田勲君)上場企画部長

 

◯企画部長(上場重俊君)境港の合同庁舎につきまして補足の答弁をさせていただきます。
 お話にありましたように、国の6つの機関がお入りでございますけれども、古いことに加えて、大変狭くて混雑した状況になっております。特に境税関支署は、当初は10人以下だったようでございますが、現在51人いらっしゃいまして、その合同庁舎の中は14人しか入れませんので、残り2カ所にそれぞれ32人と5人が分かれて分散をしていらっしゃいまして、大変業務に支障も来しております。そういうことで、税関の境支署ではその3つを移転の候補地としては福定町、境港管理組合所有地を候補地といたしまして、新営をしたいということで昨年から予算要求をなさっていると聞いております。そういうことで、私ども県といたしましても、国の関係先並びに選出国会議員の皆さんに要望して側面支援をしております。しかしながら、今のところ予算にはまだ盛り込まれておりませんし、来年度の予算についてどうなるかということはまだ未定という状況でございます。

 

◯副議長(初田勲君)田中福祉保健部長

 

◯福祉保健部長(田中謙君)身体障害者補助犬に関する県の取り組みについて、3点補足答弁を申し上げます。
 まず、身体障害者補助犬の普及啓発に関する取り組みでありますけれども、平成14年に身体障害者補助犬法が施行後、県といたしまして身体障害者補助犬に関する普及啓発に取り組んできたところでございます。今回、盲導犬同伴の拒否の状況につきまして、鳥取ハーネスの会、これは盲導犬ユーザーの集まりでありますけれども、聞き取りを行ったところ、現在では盲導犬の同伴を拒否されることはほとんどないということでございます。しかしながら、一部の小規模飲食店で初めて行く際に、盲導犬同伴の同意を得ることに説明を要することがあるということでございます。
 これまで、県といたしまして法律上の補助犬の受け入れ義務について、ラジオ放送等の各種メディアの利用とか、あるいはチラシの配布等により、幅広く普及啓発に取り組んできたところでございます。今後は個別にということで、飲食店等に直接協力を呼びかけたり、市町村と連携して盲導犬ユーザーの地域での協力を呼びかけるなど実効性のあるPRを実施してまいりたいというふうに考えております。
 2点目でありますけれども、障害者自身の理解を得るためのPRについてということでございますが、これまで、先ほど申し上げましたように、盲導犬に関して利用者の方に県政だよりとか県政ラジオスポット、あるいは障害者の福祉協会の総会とか会報などにより、定期的に盲導犬貸与制度の周知を行ってきたところでございます。
 鳥取県の盲導犬貸与者についてでございますが、人口10万人当たり1.32頭でございまして、全国平均が0.74頭でございますので、約2倍の数字になっております。希望者につきましては貸与されているというふうに思っております。
 盲導犬のさらなる普及のためには、視覚障害のある方が盲導犬のメリット、例えば活動範囲が広がるとかそれからデメリット、飼育の経費がかかる、手間がかかる、そういうことをよく理解していただいた上で判断していただくことが重要であるというふうに思っております。そのためには盲導犬利用者との意見交換、それから盲導犬を実際に利用して体験いただくことが必要であるというふうに思っております。今後は視覚障害者の福祉協会の総会であるとか、あるいは視覚障害者の方が集まりやすい会議等の開催に合わせて、盲導犬を理解していただくための取り組みを検討していきたいというふうに思っております。
 3点目でありますけれども、トラブル解決に対する対応策ということでございます。
 施設での同伴拒否等のトラブルは、補助犬に対する認識不足から生ずるというふうに思っております。施設の管理者とか、あるいは従業員の方に制度をよく理解していただくことが一番の解決策となるというふうに思っております。トラブルがあった場合の対応につきましては、議員がおっしゃいました専門機関を設置するのではなくて、県あるいは市町村も補助犬周知の役割があるわけですから、そういうところの障害福祉担当部署、あるいは法務局等の既存機関において、お互いに連携しながら対応していきたいというふうに思っております。

 

◯副議長(初田勲君)石田生活環境部長

 

◯生活環境部長(石田耕太郎君)都市計画、特に市街化調整区域の問題についてでございますけれども、現在、市街化調整区域についての認識でございますけれども、特に弓浜の地域についてということで見ますと、非常に虫食い的に住宅が建ってきていると。ガソリンスタンドでありますとか、あるいはコンビニといったようないわゆる沿道サービス施設と言われるものが道路の沿線にずっと立地をしてきていると。そういうものも含めて、事業の撤退による空き地でありますとか廃屋、そういったものも見えると。そういうような現状があるのではないかというふうに思っておりまして、その辺を考えてみますと、本来の市街化調整区域の目的であります市街化の抑制というものが十分に図られていないのではないか、そういう問題意識を実は持っております。そういうことを踏まえて、県としまして分家住宅の取り扱いも含めた調整区域における開発許可制度のあり方、あるいは運用基準のあり方、それを市街化区域と市街化調整区域の線引きがそもそも今のままでいいのかどうかということも含めて、率直にあり方を検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 検討する際に、これからの社会認識として人口が減少する、あるいは高齢化が進む、さらには経済自体がなかなか拡大が望めない、そういう現状の中で持続可能な地域づくりを考える場合に、やはりコンパクトなまちづくりというものも一つの重要な視点として持たないといけないのではないか。その一方では、安田議員の御指摘もあったのですけれども、農村集落をどう維持していくのか、それも一つの重要な視点だろうというふうに思っております。これらを両方にらみながら、この開発許可制度等のあり方も検討していく必要があるだろうというふうに思っています。
 既に、市町村ともいろいろ意見交換を行っていますけれども、市町村の方はどちらかというとこういう開発許可制度の運用の見直し、あるいは線引きの見直しということについてはどちらかというと消極的かなというふうな印象を受けております。
 いずれにしても、まちづくりの主体というのは基本的には市町村だというふうに思っています。この都市計画というのはその一つの手法でありますし、線引きなりあるいは開発許可制度というのもその都市計画をつくっていく上での一つのツールといいますか手段だと思いますので、このそれぞれの開発許可制度なり線引きのあり方というのは、まずはやはり市町村でよく考えていただくことかなというふうに思っていますし、我々としてもできるだけそれは尊重していきたいというふうに思っています。そういう意味でも、県として拙速にこのあり方について判断をしようというふうには思っておりません。市町村の意見を十分聞いて、できればきちんと合意できる形で運用基準の見直しをしていきたいというふうに思っておりますので、これからもそういう意見を聞き、あるいは県の開発審査会なり都市計画審議会なりの御意見もよく伺った上で見直しをしていきたいというふうに思っております。

 

◯副議長(初田勲君)河原農林水産部長

 

◯農林水産部長(河原正彦君)2点についてお答えをいたします。
 まず1点は、農振計画に関する基礎調査の実施状況でございます。
 おおむね5年ごとに行われますこの基礎調査は、平成11年度の農振法の改正により新たに盛り込まれた規定でございます。
 現在、鳥取県における実施状況でありますけれども、現在までに17市町村において基礎調査を実施し、農業振興地域整備計画の見直しが行われているところであります。このうち、9市町村では既に実施済みとなっておりまして、現在見直し作業中なのは境港市を初め8つの市町村で実施中であります。未実施が2市町村ということになります。まだ行っていません市町村におきましても、今後の農業振興地域整備計画の見直しに際しては、基礎調査を行った上で見直しが行われるというふうに聞いておるところであります。
 2点目であります。農振計画基本方針の策定について問題はないのかというお尋ねでございます。
 農業振興地域整備基本方針は、農林水産大臣が定める農用地等の確保に関する基本方針、これを踏まえまして、国と協議の上、都道府県知事が策定する仕組みになっております。
 基本方針の内容でありますけれども、農用地等の確保に関する事項、それから農業振興地域として指定すべき地域の基準に関する事項、農業生産基盤の整備等、あるいは農業振興地域における基本的な事項等を明記することになっておりますが、どちらかといいますと、ガイドライン的なものでありまして、市町村の土地行政といいますかそういったものをがんじがらめにするというものではないというふうに考えております。農業振興地域整備基本方針の策定に当たりましては、いずれも法令で基準が定まっておりまして、これに沿ってやっておりますので、基本的には問題はないというふうに思っておるところであります。

 

◯副議長(初田勲君)田所県土整備部長

 

◯県土整備部長(田所正君)2点についてお答えいたします。
 まず1点目、境漁港の係留施設の状況でございます。
 漁港の利用漁船数は春と秋に多いわけでございますが、境港につきましては、今の計画は平成9年の実績を基本にしておりますが、大体多いころの漁船利用数が約96隻でありました。それに対して、現有施設が31隻分ということで、その実情に基づいて、現在の計画においては新設施設を求めなければいけないということで検討を進めてきておりますが、先ほど知事の答弁にありましたように、どうしてもいいところが見つからないということで今推移しております。ただ、平成16年時点でその利用数を同じように多い時期の評価をしますと、47隻ということでございます。平成16年時点の利用漁船数が47隻で、使える現有施設が38隻分、残るところは9隻ということなのですが、これがいわゆる繁忙期にはいわゆる船が2隻並列になったりとか、窮屈に、なるべく間隔を狭くして使ったりということでしのいでいる状況ではあります。
 今どういうふうなことが御提案できるかということなのですが、境水道にあります境漁港を挟むように港湾区域がございまして、今その港湾区域の中に係留する際に5トン未満の船であれば無料でありますし、若干規模が大きく20トン程度、例えばイカ釣り漁船だとか、その程度の規模でありましたら、仮に7日間係留する場合には882円と、そういう料金で係留することができますので、現状におきましてはぜひ港湾区域内も利用していただきたいということでございます。
 2点目は、中海の護岸等の検討状況でございます。
 平成17年、昨年7月に、国・県・市を中心とした中海護岸等整備促進協議会というものが発足しました。これは、島根、鳥取にまたがる両県の課題ではあるのですけれども、その下に鳥取県部会というものがございます。その中でいろいろこれまで3回の会合を持ちまして、具体的な議論を進めてきているわけでございますが、今の議論の対象は護岸の整備ということでありまして、内水排除の議論は入っておりません。また、今知事が申し上げたとおりでございまして、いろいろ詰めた実務的な議論を行う場だというふうに認識をしております。何となく国と県と市が腕組みして距離を置いているようではやっぱりいろいろな答えは出てこないと思いますので、県としてはできるだけそういう場を活用して具体的にどういうことができるのか、そういったことをとにかく意見をぶつけ合って議論し、とにかく進めていこうと、そういう姿勢で取り組もうと思っております。

 

◯副議長(初田勲君)安住水産振興局長

 

◯水産振興局長(安住正治君)3点についてお答えを申し上げます。
 まず最初に、境漁港の再編整備についてでありますが、国は水産基本法に基づきまして、14年3月に水産基本計画を策定されました。この計画というのは、向こう10年間の水産施策の基本的な方向を示したものでありまして、5年ごとに見直しを進めるというものでございまして、今ちょうどその見直しがやられております。
 内容と方向は議員御指摘のとおりでございまして、1つには水産資源の回復、管理の推進。2つ目は将来展望の確立と国際競争力のある経営体の育成確保。次に、水産物の安定供給に向けた加工、流通、消費施策の展開。それから漁港、漁場、漁村の総合的整備と水産業、漁村の多面的機能の発揮というようなものが今の見直しの中身でございまして、このことにつきましてことしの9月には水産庁長官が境港に来られまして、皆さんと意見交換されたということでございます。
 こういう方向を受けまして、境港でどういうことができるかということでございますが、ベニズワイ資源の回復計画の推進ということで、これは自主休漁ということでベニは7月、8月の2カ月が休漁でございますけれども、さらに1カ月休漁をふやして資源を回復を図ろうかということで、県では18年から助成措置もやっております。それから、アジ、サバの境港水産物の中国への輸出ということで、これからはもっと販路も開拓していかなければいけないというようなこともこれからの検討ではないかと。さらに赤ガレイ等を対象とした新漁場の開発ということで、沖合に養殖場の開発というようなこともこれから考えられるかと。それから民間活力を導入した衛生管理の行き届いた市場の整備、運営等というようなことがこういう方向に基づいて考えられるのかと思っております。今後も国の施策展開、地元関係者の方々の意見も踏まえて、県として可能な対応ということを検討してまいりたいと思っています。
 2つ目でございます。魚市場の整備についてでございます。
 37年から県営市場になったわけでございます。それからいろいろな整備を重ねてまいりまして、議員御指摘のとおり最近では海水の滅菌施設、防風防暑施設、廃棄物の集積場等整備をしてまいりました。こういうことによって市場の衛生管理対策を進めてきました。大体ハードにつきましては概成したという感じがしております。
 さらにこういうことを進めるために、衛生管理型の市場を目指すということで、高度衛生管理型整備プラン策定検討会というものができまして、1711月、利用者の方々の幅広い意見を聞きながら、境港高度衛生管理型市場整備プランというようなものを一応つくっておられます。この中では、安全・安心な水産物の供給、付加価値化による魚価の安定対策等、量から質に市場機能の転換を求めることが急務であるということを確認しております。
 こういうことを受けまして、対応事例といいますか、そういうことでは、水揚げの状況、現況では巻き網は冷凍事業としてのトン単位でのスケール取引が主体。これをこれからは養殖の需要用途から食用としての用途に持っていく必要があるのではないか。そのためには生鮮での出荷、あるいは食品加工用の原料の仕向けというような形になっていかなければならないのではないかと。
 競り場の状況でございます。現状は、人、物、車が混然一体となっておりまして、異物の混入等の可能性がございます。これに対応するためには、魚を置くところとか人が通るところというものもきちんと分けて、いわゆるゾーニングによりまして相互汚濁の防止を図るということで、1号上屋につきましては今年度こういうものをする予定でございます。1号上屋はマグロなどが水揚げされているところでございます。
 さらに出荷の状況でございます。競り後の卸売場を仲買業者さんが仕立て場としての有効利用活用をというような形で、今後は仕立て場の指定、あるいは使用料の徴収、清掃の義務化ということをやっていったらというようなことを考えております。今後は消費者ニーズにマッチしました安全で高品質な水産物が供給できる魚市場を目指して、指定管理者制度の導入等々考えながら、効率的な施設運営や事業主体、費用の負担のあり方等考慮しながら、施設整備を検討したいと思っております。
 最後に3つ目でございます。集客施設の設置についてでございます。
 もともと市場は生産流通の拠点でありますが、こうした市場が本来有する機能もですけれども、周辺の関係者が観光等の集客にうまく利用していただけるということが大事ではないかということを思っております。境港の市場もこういう要素は十分あるというぐあいに認識しております。県といたしましても、今まで小学生を主体とした水産業の学習の場として学習室、さらには見学用の屋外展望室を整備してきております。こういうものもこういう集客に役立つのではないかというぐあいに思っております。
 さらに、市場施設内の仲卸店舗、これも協同組合の境港水産物直売センターの組合員の方が入っておられますけれども、境港市の集計では年間15万人ぐらいがここに入っておられるとお聞きしております。これも地元の魚が買える施設として定着しております。しかし、市場内の卸売店舗というのは、小売等の規制等の営業の制約が多いということがありますので、むしろこれは民間施設になれば、魚の小売や食事の提供とかいうこともできるということになりますので、民間活力による地域の観光拠点としての一層の集客力が期待できるのではないかという観点で、県は今この仲卸店舗につきまして、市場施設としての利用の廃止というようなことも検討しております。

 

◯副議長(初田勲君)10番安田議員

 

10番(安田優子)知事の先ほどのお話につきましては、責任問題はまた最後にお話をさせていただきたいと思っております。
 障害者補助犬の問題でございますが、今の国会で法が改正される見通しがついておるようです。今まで努力義務となっていた職場と民間住宅、いわゆるアパートなどですが、少なくとも職場については補助犬の受け入れを義務化するという法案が通るようでございます。
 先ほどちょっと知事が無理だとおっしゃった件もひっかかるのですが、拒否事例などの相談対応は都道府県の責務にするという改正になるようです。そうしますと、片方では身体障害者の自立というのも今話題になっているところでありまして、県としてもこの利活用の促進というものとあわせて相談体制の充実というものに努めていただきたいと。
 ちょっと調べてみましたら、本県で盲導犬の貸与対象になる条件を持っている人は2,355人いらっしゃるそうでして、うち8件なのです。全国的には希望者が7,800人今いらっしゃって、実際の貸与は952頭しかないのだと。待ってらっしゃる方が非常にたくさんいらっしゃるというのが実情だそうでございます。
 私も余り犬は得意ではないのですが、どうも周りを見ますとペットブームで、犬に対する皆さんの関心が大変高いようでございますので、私もこれは新聞でちょっと読んで感激もしたのですが、盲導犬の育成というのが法のもう片方の趣旨にあるのですが、生後2カ月から1歳ぐらいまで一般家庭でボランティアで無償で育てるのだそうです。そして、訓練センターに1年ぐらいたつと戻して、そこで本当の訓練が始まるのだそうですが、盲導犬になるのはそのうちの3割だそうでして、あとの7割は結局だめであるというふうになるシステムになっているようです。無償でそういうことに協力しておられる方が随分たくさんいらっしゃるのだということに、本当にいい時代だなと逆に思ったりして感銘を受けました。それで、利活用もPRすべきですけれども、こういうこともやっているのだ、あるのだということも同時にPRしていただくと、そこからまたこういう盲導犬とかに興味とか理解とかが進むのかなと思っております。これはぜひ県としてもいずれにしても努めていただきたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
 土地利用でございますが、生活環境部長の方から先ほどお答えをいただきまして、これは本当にまずは市町村が取り組むべき課題だろうと思いまして、今市町村の方もやはりもう一度いろいろな問題を含めて建設、都市計画の単一のところだけではなくて、全体のチームとして考えなければいけないのではないかなというような動きを私は聞いております。いつも県は、何でも市町村市町村と言うのに、この件については県がこうやって先走るというのはいかがかなと私思っております。いろいろ受け付けている窓口であちこちお話も聞いてみました。皆さんいかがかなという御意見でございますし、いろいろな業界筋の方々の御意見も伺いまして、大変これは問題がありそうでございますので。それはおわかりでしょうから詳しくは申しませんが、以前県土整備部が所管していたときに、やっぱりそういう今と同じような問題に取り組んでいらっしゃったのです。平成16年度に市街化調整区域現況調査事業というのを240万の調査費をかけて、境港市と日吉津村で現場調査というのでしょうか、現況を調査して、それを行政に生かしていくというようなことをなさっているのですけれども、こういうのが移管されたらそういう積み重ねがほごになるというのもちょっとむだなような気もしますので、やはりこの辺も頭に入れてお取り組みをしていただいたらいかがかというふうに思ったりしております。先ほどの部長の答弁で満足をしておりますので、これ以上お答えは要りません。
 農用地の件なのでございますが、これは河原部長からお答えをいただいた件でございますが、市町村の仕事であるということでございまして、ただ私が話しましたのは、県が出している基本方針というのがガイドラインではございますが、やっぱりこの基本方針に市町村から面積とかを報告する形になっています。これを除外申請するときには、ここの計画変更というものが県の最終的な決定で、最終的に農振除外は県知事という流れになっております。だから、市町村ばかりではないということを、私一件具体的に、この間たまたま常任委員会で経済産業に出ておりましたら、経営支援課ですか、農地を守る直接支払交付金制度の中で、農用地を集落と市町村で協定を結んで補助金をもらっていたのだと。ところが農用地内に家を建ててしまっていて、それが2つの県庁にそういう事実があって、会計検査院に指摘をされて補助金を返還しなければいけないのだというようなことが議題に上っておりまして、聞いておりましたら、議員側の方がだれが悪いのかと言ったら、はい市町村でございますで、それ以上は話が進まなかったのでございますが、私はやっぱり除外の最終決定権は県知事でございますので、この補助事業についてのチェックというのは、当然市町村が協定を結び責務を負われなければならないでしょうけれども、もう片方チェック機能として家を建てた許可というのは、農振除外の許可とそれから農転の許可もとっておられたそうですので、これは補助金返還について2つのチェックがかかるシステムになっているのですが、やはりこういう点で農用地の扱いが非常にずさんであるということは、これはだれしもが認めざるを得ない問題で、私はこれをやはりある程度是正していかなければいけないのかなと思ったときに、方針の立て方の中に県が目標の面積をまず立てますね。あれに合わせて市町村は非常に割り当てられたように思って、それなりの面積を出すようでございますので、その辺の方向性の間違いがないように、これからも気をつけていただかなければいけないのではないかと思っております。
 下限面積のことでございますが、下限面積は現実に、では新規に農家になろうかと思う人は、2反ないと買えないとか3反ないと買えない、現実には5畝しか買わないよというときには、げた履かせて申請しますね。だから非常に私はむだなことをしているのではないかという気が、実態はそうなので、みんなが心得ていることでございますので、それよりはそういう基準を撤廃して、だれしもが楽に土地を買っていく。これは私は大規模農家を否定するものでは全くありませんで、むしろ今のそういう状況の中では不耕作地が大変無視できないほど大きな状態になっていることに対する一つの手だてであり、それから親子関係、家庭関係、それからもろもろの社会関係、仕事上の関係、非常にストレスの大きい今の世の中で、ここをどうやって人間関係なり人間性の復活なりを図っていくのかといったときに、やはり基点に土というものとのかかわり合いというものがあるとないとでは全然違うというふうに私は思っております。親子関係でも、密室の中で親と子が子育てをするのではなくて、やっぱり外に出て土に立って、その上で子育てをするということが非常に大切な時代に入っているのではなかろうかという認識が一点どうしてもございます。
 そのために、市民農園はレクリエーション用という範疇の都市型農業ということなのですけれども、私は鳥取県は都市だとは思っておりませんので、むしろ田舎っぽい生き方、泥臭い生き方を県としてもお勧めしますよみたいな、そういう心を込めて県民に訴えるような形での施策としてこういうものが出てくれば、私は実態の上でも有効ではないかというふうに考えて御提案をいたしました。もちろんすぐに、はいはいというわけにはいかないだろうと思っておりますが、アンチテーゼでございますので、また御検討をいただきたいと思います。
 境漁港でございますが、御丁寧に局長からお話をいただきまして、私も新たな時代展望というのは今までの境漁港というのは大量漁獲、大量流通、大量加工、大量販売、こういう流れになってきております。水産基本計画の方向性を見ても、国際化に向けての対応力というのは、境の場合業界も持っておりますので、ぜひ国の力もかりて、これはこれでひとつ向かっていただきたい。だけれども、今のこれからの時代で元気の出る、活気のある港というのは、現況いろいろな港の実例を見ても消費者ニーズ、そういうものを無視できない、それを取り込んだ港が今勝ち残っておりますので、やはり境の港も時代に取り残されないようなそういうブランド化、消費者ニーズにこたえる側面をこれからは取り込んでいかなければ、沈没してしまうのではないかなというところで御質問をさせていただいたわけで、仲卸を市場条例から外すというのが今回常任委員会で提案されておりました。これの活用もどういう形になるのか期待をしたいと思っております。そういう意味合いで、漁港、市場の中の整備というものも、これからやはり県は取り組んでいただけたらというふうに重ねてお願いをしておきたいと思います。
 田所県土整備部長からお答えをいただきました漁船の整備の問題でございますが、これはやっぱり大変ゆゆしい問題のように私は思っております。
 今現況を聞きますと、境の港に入れないので、浜田に行く船が大変多くなっていると。浜田がこのごろいろいろな意味で境港に比べて元気が出てきているようでございますが、その辺で思っておりまして、実は以前にも知事、区域の拡張をする計画があったのですね。私も資料でいただきまして実はびっくりをしたのでございますが、大変いい計画、先ほどのお話に出ていたように、平成14年に水産庁長官の名前で鳥取県知事あてに特定漁港漁場整備事業計画の決定というのがなされているのですね。官報にも出ていますね。御存じでしたか。こういう資料を私もいただきまして、実は夕べ初めてあけてみてびっくりをいたしまして、漁港、漁船の係留場の整備計画が国からも平成14年にちゃんと許可をもらって決定通知が出ているのですね。知事先ほどいっときとおっしゃったのはこのことだったのでしょうか。やっぱりその後、この計画がどういうわけでだめになったのか存じませんが、その後の流れは田所部長がおっしゃるようになかなかないというのが現況であろうと思うのですが、せっかくこれだけの立派な計画書で許可まで、決定通知までもらっているものが、いい計画だと私は思うのですが、これ、どうなのでしょうか。お尋ねをしたいと思います。とりあえずそこまで。

 

◯副議長(初田勲君)片山知事

 

◯知事(片山善博君)盲導犬の普及、理解に努めることはこれからもやっていきたいと思いますが、補足を福祉保健部長の方から御答弁申し上げたいと思います。
 土地利用につきまして再度お話がありましたが、開発許可をめぐっていろいろな問題があるのですけれども、これらも本当は境港市、米子市、日吉津村が1つの都市計画のエリアになっていますけれども、それぞれ私は開発許可もまさに権限移譲で、市・村でされたらいかがかと思うのであります。鳥取市はこれは自前でやっておられます。開発許可も、一般的には県でやるべきことになっている開発審査会の事務も、鳥取市は自己完結的にやっておられますので、鳥取県では鳥取市の区域はこの種の問題はなくなっております。したがって、今開発審査会で許可の案件を議論するのは実は西部だけなのです。倉吉も必要ありませんので。
 というようなことを考えましたら、まさに権限移譲で自分たちのまちづくり、まさにまちづくりでありますから、土地利用のあり方を決めるわけですから。積極的に権限移譲を受けていただければ、県議会でこの種の問題を議論することもなくなると思うのであります。もっと言えば、開発許可の事務だけではなくて、線引きも含めて本来市町村がやるべきことで、町村はちょっとともかくとしまして、市がやるべき事務だと私は思います。市の区域の土地を何に利用するのか、その前に都市計画区域をどこにするのか、その中の線引きをするとすれば、市街化区域と調整区域をどこで分けるのか。これはまさにまちづくりでありまして、まちづくりといいますと何やらイベントをやったりすることだと認識している人が多いですけれども、本当はまちづくりというのは都市計画のことだと私なんかは思っているものですから、まちづくりは市がやられるべきだと思いますので、都市計画全般にわたって権限移譲を積極的にお受けいただければいいのではないかという気がします。
 組織変更をしたので取り扱いが変わったのではないかということでありますが、多少変わる面はあるかもしれません。それは従来、県土整備部にありまして、どちらかというとちょっと言い方が悪いかもしれませんけれども、公共事業の部局のちょっと隅の方にいたような面もないわけではなかったのであります。これを環境とか景観とかそういう別のミッションを持ったところに移したものですから、景観的な観点とか環境的な観点とかという面で新しい点検が加えられるということは、これは当然あるわけであります。ミッションの再確認ということであります。激変になってはいけませんし、それからさっき申しましたようにもともと市町村で、市でやっていただいたらいい事務だというふうに私なんかは認識しておりますので、この種の問題につきましても県独自で独走することは決してしないようにしたいと思います。市町村の仕事、意見も伺いながら見直しは進めたいと思いますが、ただ、この問題で冒頭でも私申し上げましたように、やっぱり都市計画の理念だけは失ってはいけない。
 線引きはして規制はあるけれども、いいとこ取りのいいかげんなことをするということだけは、これはやっぱりやめなければいけないと思っております。
 農地の問題で、農用地区域の指定は市町村の仕事ですけれども、農振地域の指定は県の仕事になっておりまして、ちょっと先ほどの御質問の趣旨が私もよく具体的には理解できなかった面もありますので、この点につきましては、農林水産部長の方から御答弁を申し上げます。
 農地の移転の下限面積をもっと子育てとか土に親しむという観点で下げたらどうかという御提案でありますが、こうなるともう農政ではなくなるのだろうと思います。
 農政の観点からいうと、やっぱり優良な農地をきちんと守っていく、農地の細分化を防ぐということ、これがミッションでありますから、一定の下限は必要だろうと思います。おっしゃるように、やはり土に触れる、みんなが農業に親しむということになりますと、これは農政ではなくてある意味では教育であったり福祉であったりすると思いますけれども、それは別の観点からとらえられるべきで、それこそさっき言いました市民農園というのが1つの手法としてあるのではないかと思います。鳥取県は田舎だから市民農園は関係ないとおっしゃいますが、市民農園というのは都市だけのものではないです。市民というのは町民とか村民を排除する意味ではありませんので、要するに市民、村民、住民の皆さん方が利用する農園ということでありますから、当然郡部でも市民農園はあり得るわけでありますから、その辺は誤解のないようにしていただければと思います。
 境港の魚市場の整備をということでありますが、これは先ほど局長の方から答弁いたしましたが、必要な機能の強化などはこれからやらなければいけないのだろうと思いますけれども、それをどういう手法でやるのかということがやはり問題になってくるわけです。そこで、お役所が直接やるという今の方法ではなくて、より有機的、機能的、効果的な投資と、それから投下資本の回収ができるような、そういう手法がとれないかということでありまして、例えば最近一般論でいいますと独立行政法人にするとかそれから指定管理者制度に付すとかというのがあるわけで、究極的には民営化というのもあるわけであります。現に、卸売市場などは民営化でやっているところも全国にはあるわけでありまして、県直営というのは多分数が少なくなってきているのではないかと思います。ですから、これから必要な投資というものをどういう経営形態で実施をするかということ、これが当面の課題だということであります。聞いていただいているでしょうか。(笑声)
 漁港の整備につきましては、境港に入れないから浜田の方に行かざるを得ないという実態は、必ずしもないのではないかと思います。確かに2列に係留をしているというのはありますけれども、そこまで逼迫しているということはないと思います。
 それから、以前に計画があったのになぜやらないのか。先ほどちょっと私触れましたけれども、造船所を移転していただいて拡張するというそういう考え方を持っていたこともあって、多分それを国と相談をして計画の承認を得たのではないかと思いますけれども、しょせん相手がある話でありますので、話がつかなければこれはなかなかうまくいかないわけであります。
 いい計画だからなぜやらないのかとういことですが、いい計画でも膨大な金がかかるとやっぱりそれは無理なのであります。いい計画が非常に少ない経費でできれば問題はないのですけれども、やはり一つの事業体の移転ということになりますと、それはそれでお金だけではなくて、その事業所にとっては大変大きな痛みも生じるわけでありまして、その辺でうまくいかなかったということはあったと思います。この点については、県土整備部長の方から補足答弁を申し上げたいと思います。

 

◯副議長(初田勲君)田中福祉保健部長

 

◯福祉保健部長(田中謙君)盲導犬につきましてのお尋ねがございました。
 県内に利用の資格者というか対象者が2,000人くらいおられるのだけれども、足らないのではないかとか、あるいは子犬を育てるようなこともPRをしてはどうかということでございましたが、先ほどおっしゃいました数字につきましては、視覚障害者1級の方は現在2,881人おられるのですけれども、そのことをおっしゃられたのではないかと思います。
 盲導犬を貸与とする対象者の要件として定めておりますのが、1級の視覚障害を有するとか、18歳以上であるとか、あるいは現に就労することが確定しているとか、施設に入っておられない方、居住する家屋の所有者とか管理者の承諾を受けた方、適切に飼育ができる方と、そういう要件を定めておりまして、知事が先ほど申し上げましたように、倉吉グレートライオンズクラブから県に対して盲導犬を寄贈したいという話が昨年ございまして、これにつきまして視覚障害者の協会の方とか、あるいはラジオスポット等、あるいは県政テレビで広報したわけでありますけれども、結果的に希望者はございませんでした。そういうことで、今のところ数は足りているのではないかなというふうに思っております。
 2点目の子犬を盲導犬訓練施設に引き渡すまでの1年間、子犬を育てるボランティア、パピーウォーカーと言っておりますけれども、こういうことのPRをしてはということでございますが、パピーウォーカーとなるためには盲導犬訓練施設、これは県外にございまして京都とか大阪とか神戸であります。そういうところとの連携を図って、頻繁に行き来をしながら育てるというふうなことが条件となっております。したがいまして、県内には盲導犬訓練施設がないために、県内にお住まいの方がパピーウォーカーとして子犬を育成するということは少し難しいのではないかなというふうに思っております。したがいまして、パピーウォーカー希望者を掘り起こすための普及啓発につきましては、必要性が低いものというふうに考えております。

 

◯副議長(初田勲君)河原農林水産部長

 

◯農林水産部長(河原正彦君)農業振興地域整備基本方針、県が作成するものですけれども、この中に将来県として確保すべき農地面積というのを明記するようになっております。これがあるばかりに、市町村の方でその意向を踏まえて無理に農地面積を確保しているような面もあるのではないかという話だったと思います。
 実は、以前でしたら大いにあったと思います。実は私が担当課長、6〜7年前になると思いますけれども、現実を踏まえて将来の面積を担当課の方で国に協議したわけですけれども、それでは少な過ぎると。国が示す550万ヘクタールとかいうものがありまして、それを各県トータルするとそれに合わせなくてはいけないものですから、少な過ぎると言われたのですが、どう考えても無理な計画だということで抵抗したことがあります。したがいまして、県から市町村に恐らくしてないと思いますので、けれども、念のためにそういう押しつけをしてないかは確認をしてみたいと思います。

 

◯副議長(初田勲君)田所県土整備部長

 

◯県土整備部長(田所正君)境漁港について補足いたします。
 先ほど御質問等でお話のありました特定漁港漁場整備計画というものが平成14年につくられております。私、説明で平成9年の実績に対して、施設がどうであるかということを引用しましたが、それはその計画、平成14年の計画の基礎になっている数字であります。もう一度申し上げますと、平成9年の実績に基づいて14年の計画がつくられているのですが、利用漁船数が96隻、現有施設が31隻と。それでは余りにも足りないので、あと30隻分の新設施設をつくろうという計画になっておりまして、それが今お話のありました造船所を移転してそこに拡張しようという話ですが、結果的にそれは実現不可能という状況であります。その後に私がずっと補足して申し上げましたのは、利用漁船数が平成14年の計画の96隻に対して、今47隻という状況であります。それに対して、今の現有施設が38隻ですから、あと足りないのは9隻分というところであります。その実態を踏まえてどうするべきかということは、課題としてはまだ残っております。ただ、私最後に申し上げましたように、隣接する港湾区域内でお安く停泊することもできるので、それも一つの手段として考えていただければということで補足した次第でございます。

 

◯副議長(初田勲君)安田議員

 

10番(安田優子)ありがとうございました。
 先に進みたいのですが、都市計画法の権限移譲につきましては、知事から境港市長に受け取るようにという旨、言っていただければいいと思います。私は市長ではございません。
 それでは田所部長、今のそのお話、計画、やっぱり課題は残っているのでありますが、今後この計画を使うことはもう無効になっているのでしょうか。その辺を確かめさせていただきたいと思います。
 次に行きます。
 合同庁舎の問題は、県の方からも国に話していただいていることは大変ありがたく思っております。昭和45年の建築でございまして、これは耐用年数が40年。そうしますと、平成21年には建物トータルがやっぱり建てかえの時期を迎えるのでありますが、それまでの間においてでも、この税関だけでも早く移転をしたいと、新しく建てたいということでございますので、ぜひとも県としても知事が一生懸命誘致をしていただいた結果、いろいろな意味で有効にこの機能が使われて、港湾利用も活発になってきているその成果でもありますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 中海問題につきましては、松江市もこの間の被害を受けて、どうも国の方に要求を出していくような話を聞いておりますので、やはりその辺もにらみながら国と当たっていただきたい、要望していただきたいと思っております。
 とりあえず、そうしましたら今の漁港の整備について、もう一度この計画、以前の計画をどうされるおつもりなのか聞いておきたいと思いますが、お願いできますでしょうか。

 

◯副議長(初田勲君)田所県土整備部長

 

◯県土整備部長(田所正君)私に御指名でありましたので、私からお答えいたします。
 平成14年にいわゆる決定されたこの計画は廃止はされておりません。ただ、いわゆるそこで対象となった計画箇所が実施困難であるということと、その後の情勢が変わっているということを踏まえて、現状を踏まえてやっぱり検討する必要があるということで先ほど答弁した次第です。

 

◯議長(山根英明君)再開いたします。
 引き続き、県政に対する代表質問を行っていただきます。


 10安田優子議員

 

10番(安田優子)教育をめぐる諸問題についてお伺いをいたします。皆さんお疲れのことと思いますが、もう少しだけおつき合いをお願いいたします。
 いじめと自殺についてお伺いをいたします。
 学校でのいじめを苦にして自殺する子供が相次いでおります。幼くしてみずから命を絶った多くの子供たちの苦しみに深く思いをはせつつ、御冥福を祈り、少なくとも本県においてはこのような子供を一人たりとて出さないように質問する次第です。
 本県におけるいじめの実態については、さきの常任委員会で調査結果の報告を受けたばかりであります。すなわち昨年度の発生件数は、小学校で4件、中学校で30件、高校で6件の合計40件で、全国に比して大変低いということと、減少傾向にあるということでありました。この調査は各学校からの報告をもとに、教育委員会を通して国に上げられていったものの公表でありますが、その数字の扱いに今疑義が持たれております。すなわち、法務省や警察庁が把握している数字と整合しないということから、国も実態の再調査に乗り出す構えでありますが、本県においては今後どのように対応されるのか、先般の調査結果への再度の所見と合わせて教育長にお伺いします。
 私はこの間、学校関係者やPTA、またこども110番を設置している鳥取地方法務局等いろいろな方にいじめについて聞いてみました。うちの学校にはないと言い切った方もおられましたが、鳥取地方法務局は1週間で5件の相談を受け、うち1件は調査の必要もあるような案件だったようです。概していじめはないとは言えないということと、いじめ方が陰湿執拗でなかなか表面化しないということでありました。
 さきの調査で報告されている本県17年度のいじめ件数40件のうち、38件は解消済みということでありますが、本当にそうでありましょうか。再度追跡調査をする必要があるのではないでしょうか。教育長に伺います。
 加えて、現在も県内にいじめで悩み苦しんでいる子供や家庭が存在しているという事実は歴然としてあるわけですが、この事実にどのように向き合うのか。長野県では我が子がいじめに遭い、自殺で子供を失った父親を教育委員会に迎え、プロジェクトチームを発足させ、親や子の相談を受けて学校との仲介、あっせんを行っていると聞きます。本県でも独自の取り組み、第三者機関やホットラインの設置等について、どのようにお考えか教育長にお伺いします。
 次に、教育委員会のあり方について、お尋ねをいたします。
 いじめ問題への対応に加えて、高等学校における世界史未履修問題の発覚で、教育委員会の対応やチェック機能が問われ、そのあり方をめぐる論議が活発になってきております。
 昭和23年公選制でスタートした我が国の教育委員会制度は、昭和31年から知事による教育委員の任命を議会が同意する現在の制度になっておりますが、最近の大きな変化として教育の地方分権、地方における教育行政の強化充実に向けた動きが挙げられると考えます。国による教育長の任命承認制度も廃止され、国から県へ、県から市町村へと権限が移譲される傾向とともに、より開かれた教育委員会とするための方向性も示され、教育委員の選任に当たっては幅広い民意が反映されること、会議の原則公開や教育行政に関する窓口の明示等がなされました。本県教育委員会についても、知事の委員任命に当たっての配慮がうかがわれるとともに、委員会の活動も一段と活発になってきていると受けとめております。しかしながら、今回の事態の生起で、国はこれまでの方向を見直し、国、都道府県教育委員会、市町村教育委員会を再度強化再編し、国の意向の徹底化を図ることと明言しております。一方で、市町村サイドからは教育行政を首長部局に移管し、首長の諮問機関として教育審議会を設ける案等が提案されております。
 全国市長会の調査によると、現行制度の維持を望むのは34.5%、廃止が6.2%、教育委員会を設置するか首長の責任のもとで行うか、選択可能な制度を求めるものが54.8%となっております。県教育委員会のあり方については、いまだ市町村ほどの論議が見えてきておりませんが、人事権を市町村に移譲する等が検討課題として上がっているようであります。知事はこの問題についてどのようにお考えか、全国知事会の動向などもありましたら、あわせてお伺いします。また教育委員長からは、決定機関としての委員会と執行機関としての事務局の関係について、さらに民意の反映という委員会の意義について、御自身の経験からの率直なる御感想と御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、国語の乱れについて伺います。
 自殺した北海道の女の子は、人からきもいと言われて、とてもつらくなったと遺書に書いております。自殺した他の子の残したメモの中にも、きもい、うざいと言われたことが記されてありました。言葉は自分の置かれた状況を表現するだけでなく、語ることで限界を破って向かうべき方向性をも指し示してくれます。豊かな言葉は、より的確に状況を知らしめてくれ、確かな道筋を開いてくれます。きもい、うざいといった相手を否定し、コミュニケーションを断ち切るような言葉の向こうに、果たして子供たちの前進する未来が見えてくるのでしょうか。孔子は、社会が衰退すると言葉も衰退する。国の指導者になったらまず言葉を正すと言ったそうですが、現在の我が国における言葉の乱れは、日本という国の乱れそのものなのでしょうか。幾多の戦火をくぐり抜けてきた経験から、ヨーロッパの国々ではとりわけ母国語を大切にしていると聞きます。失って初めてわかることかもしれませんが、自分の国の言葉を大切にしない国民には、いずれそれだけの報いがあるということではないでしょうか。生きる力としての日本語、健全なコミュニケーション手段としての言葉の使い方が乱れたことが、今日子供たちのいじめや自殺にもつながっているように思いますが、国語の先生として教壇にお立ちになっていた中永教育長にお答えを賜りたいと思います。
 また、日ごろ大変豊富な語彙力と鋭い表現力を発揮しておられます片山知事からも御答弁を賜りたいと思います。いずれも美しい正しい日本語で答弁をしていただきたいと思います。
 県警の使命と今後の課題についてお伺いします。
 私は地方紙に連載中の「わがまちのお巡りさん」を愛読しております。署から遠く離れた山間部で35集落、約1,000世帯を受け持つ三朝町穴鴨の駐在さん、登山者の救助などもある大山寺の駐在さん。それぞれの地にあって、地域の方と親しみながら頑張っておられる様子がうかがい知れて、その御苦労に敬意を表するものであります。しかしながら、県警の業務全体から見れば、こうした県民からよく見える業務、身近な業務はごく一部で、高度複雑化する社会情勢の中で、県民の治安を守る業務も多岐多様化する一方であります。広範な分野への求められる対応と、各分野ごとの目標達成を遂行すべく、昨年は組織の再編もなされ、「県民の期待に応える警察、再編効果を高めて築こう安全・安心な鳥取県」を目指しておられますが、県警の使命達成は結局のところ一人一人の職員の肩にかかっております。職員本人の資質、教育とともに、職場環境の整備充実を通して使命感を育成持続させていくことが肝要ではないかと思いますが、先般来の県警職員をめぐる不祥事続出に対しては、どのように説明されますでしょうか、警察本部長の答弁を求めます。
 また、警察官採用試験の申込者数と合格者数の直近5年間の推移を見ると、倍率はおおむね7倍から10倍。警察事務職員や県職員に比べて、当該年度の採用人数により倍率は異なるとはいえ、明らかに警察官の採用試験の倍率が低いのであります。さらに組織の年齢構成を見ると、現在50歳代が39%、40歳代が23%、30歳代が16%、20歳代が22%という比率になっております。10年後には現在の50歳代がすべて退職し、20歳代以下が39%を占めるというときを迎えるわけでありますが、現下の志願者減少傾向の中で、真に使命感を持ち、任務を遂行できる能力を持った警察官をどのように確保されるのか、将来に向けた大きな課題であろうと考えるものです。これは本県治安の根底を問い、県民生活の安心安全を確保する上で大変重要な課題でありますが、公安委員長は対応としていかなる策をお考えか、またその中で県警組織として改善すべき点はないか、警察本部長にもあわせてお尋ねをいたします。

 

◯議長(山根英明君)答弁を求めます。


 片山知事

 

◯知事(片山善博君)教育委員会制度のあり方、特に、県の教育委員会制度のあり方について考え方を問うということでありましたが、現在、教育委員会制度のあり方が正面から取り上げられておりますのは、実は市町村の教育委員会であります。県の教育委員会については、必ずしも存廃でありますとか選択制でありますとか、そういう議論はなされてないように思いますけれども、しかし、問題は実は根底ではつながっておりまして、県教委も市町村教委も問題の所在という面では共通したことがあると思っております。この問題で、知事会で何か議論があるのかということでありますが、知事会では県の教育委員会をめぐって正面から取り上げた議論はなかったように思います。もっぱらここ数年は、例の三位一体改革の関連で、義務教育費国庫負担金を廃止する、しないというそういう財源論がかまびすしく議論されましたけれども、本当の教育論、本当の教育を行うための地方教育行政体制のあり方などは、余り議論されなかったように思っております。
 私は別途、中央教育審議会の方に知事会代表ということではありませんけれども、委員として入っておりましたので、この中で教育委員会制度のあり方などについてはかなり議論をした者の一人であります。そういう経験も踏まえて少しお話を申し上げたいと思いますが、一つ出ておりますのは、先ほどちょっと触れましたけれども、教育委員会制度にいろいろ問題があるので、やめたらどうかという議論があります。それからそれの応用問題として、とりあえず市町村段階の教育委員会は自治体の選択制にしたらどうかという議論もあります。これについては、私は実は教育委員会制度、特に市町村の問題について言いますけれども、市町村の教育委員会制度があった方がいいのか、ない方がいいのかというのは非常にアンビバレントといいますか、どっちつかずと言ってもいいかもしれませんけれども、非常に悩ましい問題だと私自身も思っております。といいますのは、いずれにしても一長一短あるのです。よくよく考えたら現行の制度というのは、なかなかうまくできているという評価も実はあるのでありますけれども、では、しからば問題はないのかというと問題もあるわけです。例えば、教育委員会制度に対する批判としては、中途半端であるという批判が1つあります。首長が選挙で選ばれて、それなりの権限を持って自信を持って行政を執行できる。だけれども、教育委員会というのは間接的に選ばれた、議会の承認という行為を経て首長が任命するわけですけれども、必ずしも民意を背負って出てきた人ではないので、必ずしも自信を持って行政を断行できないと。こういうことを指摘された上で中途半端な存在だという指摘があります。それから、そのことと関連しますけれども、責任の所在が不明確であると。知事部局のこと、首長部局のことでありますと、いろいろな問題があるとそれは最終的には首長の責任ということになって、責任の所在はかなり明確なのでありますけれども、教育行政で起こったときにどこに責任があるのかといったら、学校なのか、市町村教育委員会なのか、義務教育の場合ですと教員を任命している県教委なのかというようなことで責任が非常に不明確であると。それから予算の編成権がない。首長は自分の思ったことをやるときに、予算を編成して議会に出す権限があるけれども、教育委員会はそれがないので、その点でも弱いのではないかというようなことで、以上のようなことをまとめると教育委員会制度はやめた方がいいと、これはいっそのこと民意を代表する首長のもとで教育行政、地方教育行政をやった方がいいとこういうことになるのであります。
 では、長がやりますかということになると、これまたいろいろな問題が出てくるわけでありまして、すぐに国の方で心配されますのは、1,800人も首長がいるといろいろな人がいて変な人も出てくると。変な人で官製談合で汚職する人も出てきましたけれども、夕張市のように財政を破綻させる人も出てくるし、中には教育現場に自分の肖像画をかけさせるような人も出てくるのではないかと。要するに、政治的に教育現場を利用する人が出てくるのではないかという懸念なんかもあるわけであります。それはどうかわかりませんけれども、ひょっとしたらそんな人もいるかもしれないという懸念はあるのだろうと思います。それからそんなひどい人はいなくても、首長というものが選挙で選ばれてきて、それが本当に教育に造詣が深くて教育問題に関心があって、ちゃんとやれますかという懸念もあるわけです。首長選挙というのはいろいろな要素で選ばれますので、教育だけを論点としておりませんので、そうすると教育に全く無関心な人も選ばれてくる可能性がないわけではない。その点をどう考えるか。首長に任せていればいいというものでもないというこういう批判も出てくるわけであります。というようなことで、私も思いあぐねているわけであります。
 私なりに整理しますと、今の制度は比較的よくできている。改良の余地は随分ありますけれども、おおむね大筋では基本的にはよくできていると思いますのは、教育委員は首長が任命しますので。議会の同意というプロセスもありますけれども。そうすると首長が教育に熱心で造詣が深くて、こういうことをぜひ実現してもらいたいという希望があれば、それは委員の任命を通じて間接的に実現可能なわけであります。そこが一つ重要なポイントだと思います。文部科学省が選んだわけではありませんので、教育委員は。
 もう一つ、首長が全く教育に関心がないときには、私はこんなことを言うと失礼かもしれませんけれども、一種の防波堤になると思っております。教育委員会というのがあるので、首長が教育に関心がなくても教育に造詣の深い教育委員の皆さん方がちゃんと教育行政を行うという、こういう一種の防波堤機能というのもあると思っておりまして、よく仕組まれた制度ではないかという気はします。ただ、予算についてもう少し自主性があってもいいのではないか。例えば通常の場合、アメリカの教育委員会は課税権まで持っているわけであります。もちろん課税して調整するという意味ではなくて、自治体の固定資産税に対して自分のところの取り分を上乗せするというその権限があるわけであります。そういうことをやって財政の自主権というものを確立しているという面があります。こんなのは参考にしてもいい制度、すぐ導入はできないとは思いますけれども、一つ参考になる制度ではないかと思います。
 実は、私もこれは反省しているのですけれども、地方教育行政の組織や運営に関する法律をよくよく読んでみますと、教育委員会の予算、財政に対する権限というのが実は書いてあって、全国どこでも大体無視されてきているのがあるのです。首長は教育に関係する予算については、教育委員会の意見をちゃんと聞かなければいけないという規定が実は地教行法にあるわけであります。もちろん、予算編成のときには必ず委員である教育長の意見を聞いていますけれども、それで済むのかどうかという点検も必要だと思いますし、教育長が委員を兼ねるようになったのはついこの間でありますので、それまで教育委員の意見を直接聞いていたかというと聞いていなかったわけでありまして、その点は反省もあるのですけれども、全国の自治体でもっとやっぱり教育委員の皆さんの教育予算に関する意見を聞く、聴取する義務、これを実行するべきではないかと思います。あと、それも含めて現行制度をもっと、現行制度であっても創意工夫とか努力によって、かなり教育委員会の持っている問題点を克服したり改善できる余地があると私は思っております。1つはさっき言った人事権でありまして、教育委員の任命権が首長にありますので、これをちゃんと実行する、ふさわしい人を選んでいくということが一つあるだろうと思います。私の同僚、知事の中にはあからさまに教育委員会はよくないと言う方もおられます。その方々が言われるのに、すぐ教育委員がだめだということを言われるのですけれども、私はそれはおかしいと思うのであります。まるで天につばをするようなものでありまして、自分が選んでおいて教育委員がおかしいと言う。あなたの責任でしょうと言われるに決まっているのですけれども、そんなことを言う人がいるというのが現状でありまして、もっと委員の人選にやはり長は意を払って責任感を持つべきだろうと思っております。
 委員の処遇がこれでいいのかという問題もあります。教育長の処遇は別ですけれども、教育長以外の委員の処遇が本当にこれでいいのかどうか、この辺が中途半端であるかどうかという議論にもなると思います。これもよく点検してみる必要があると思います。
 それから、委員会のミッションは何かということをやはりいま一度これも整理する必要があると思います。実は委員会は処遇もそれなり、あの程度の処遇でありまして、素人を持ってくるということになっていまして、これが教育委員会の売りになっているわけです。レイマンコントロールと言って、素人が──素人というのは変ですけれども、教育行政の専門家でない人たちが教員集団、教育行政の専門家の人たちをコントロールする。1つの専門家の集団というのは、ともすれば暴走するとか、偏ったところに向きやすい。そこでいわゆるシビリアンコントロール、軍隊に対するシビリアンコントロールと同じように、レイマンコントロールというのが教育委員会の一番のセールスポイントになっているわけですけれども、これで本当にいいのかどうか。もっと教育行政に知見、専門的経験を持った人によってリードするという教育委員会の方がいいのではないかということもあるわけでありまして、こんな点を私も考えてきたり、発言したりしてきておりますけれども、結論は、県教委については現行の制度を維持しながら、その中で関係者、私を含めた関係者が最大限の努力をするということがいいのではないかと思っております。
 日ごろ言葉を大切にしているという私に御質問いただきましたけれども、言葉の乱れがやはり社会の乱れにつながるということはあると思います。ただ、どちらに因果関係があるか、どちらが原因であるのかというのは検証がなかなかできないですけれども、難しい問題ではないかと思います。
 いずれにしても、人間は言葉で物を考えるわけです。どうやって考えるかというと、やっぱり言葉を介して考えているはずであります。それから言葉を介して人との間のコミュニケーションをとっているわけであります。もちろんいろいろ言葉以外のボディーランゲージを含めたいろいろなコミュニケーション手段がありますけれども、一番重要なコミュニケーション手段は言葉であります。ですから、我々の生きている社会では言葉というのは本当に大切だと思います。よって、国語教育、言語教育というのは殊のほか重要だと思っております。
 その中で、できるだけ美しい言葉、心を豊かにする言葉、これを身につけるのが教育の大きな目的、役割ではないかと思います。そのためにやはりちゃんとした本を読む、読書習慣を身につける。それから、私は美しい言葉ということでいうと、言葉の持つ意味もそうですし、音感、リズムも大切だと思いますから、そのためには詩が非常に重要だと思っております。もっと詩を読む教育というのがあってもいいのではないか。これは、教育現場だけではなくて家庭でもそうだと思いますけれども、詩というものを大切にする必要があると思っております。
 その言葉ですけれども、汚い言葉を聞くと心が汚くなるということもあると思いますけれども、心がしっかりしていれば汚い言葉を聞いてもはねのける力ができてくると思います。逆に心が汚くなると汚い言葉を発するようになる。心が乱れてくると汚い言葉をすっと受け入れる素地ができてくる。言葉と、それを発したり受けとめる心の問題というこの相関関係だろうと思うのです。どちらかというと、私などはやはり心の方が重要ではないか。汚い言葉がきても、心がしっかりしていればはねのけるということの方が大きいのではないかという気がします。よって、やはり自分を大切にして、そして自分と同様に他者をも思いやる、大切にする、そういう心をはぐくんでいくということが言葉の乱れを防ぐ、それこそ美しい国、総理になりかわるわけではありせんけれども、美しい国をつくることになるのではないかと、こんな感想を持って伺っておりました。

 

◯議長(山根英明君)武田教育委員会委員長職務代行者

 

◯教育委員会委員長職務代行者(武田勝文君)教育委員長職務代行者の武田でございます。安田議員から教育委員会のあり方について、教育委員長への御質問でございますが、山田教育委員長が所用により本会議への出席ができませんので、議長のお許しをいただき、私、職務代行者の武田が教育委員長にかわりまして御質問にお答えさせていただきます。
 お尋ねは、決定機関としての委員会と執行機関としての事務局の関係及び民意の反映という教育委員会の意義についてでございます。
 初めに、民意の反映から入らせていただきます。
 このことにつきましては、まず教育委員は選挙で選ばれた知事、議会の選任同意によって任命されております。したがいまして、強い使命感と説明責任意識を持って職責を全うしようと努めております。
 現在の教育委員は、地元企業の社長、会社経営者で郷土文化に造詣の深い文化人、学校教育の出口である大学の学長、義務教育の経験者、高等学校教育の経験者の5名でありまして、経歴、社会体験等多様でバランスがとれていると感じております。委員は教育行政に関する指示や提言、事務局の企画した事業等のチェックに当たっては、県民各層の願いに沿うものかどうかの観点に立って議論をし、検討をしております。また、事務局が専門家集団として陥りやすい思い込みなどは見直すよう心がけております。また、使命感だけでは、あるいは経験と使命感によるだけではこの困難な時代に民意を十分反映することは難しいので、委員会機能の強化に努めているところでございます。具体的には委員自身が住民の意向や教育の実情をつかむよう現場に出かけ、児童・生徒、先生、保護者等との意見交換会などを行っております。先般も、この4月から続けておりますスクールミーティングの訪問先として養護学校及び、来年から始まる特別支援教育への移行の準備状況を視察するとともに、教員や保護者と親しく懇談しました。そのとき、障害がある子供を持つ親の生の声を聞くことができ、とても印象深い訪問になりました。そのことは教育委員会の広報紙にも執筆して、教育委員の活動を県民に知ってもらうよう努めております。また現場はどこにでもあるもので、先週ですが、散歩の途中、小学生のいじめらしき場面に出合いました。同じ目線にかがみ込んで話を聞き、両方の子供が和むまでつき合いました。後で通りすがりの者として当該学校に状況を知らせました。学校からは登下校指導には苦慮しています。学校外の方に関心を持ってもらうことは、子供にとってとても大きなことであり、学校にとってもありがたいことですと感謝されました。
 そのほか、当面する教育の重要課題について、十分時間をとって勉強するため、フリートーキングの委員協議会を設け、活発に開催しております。このような活動によって、県民の意向が反映されるよう努めているところでございます。
 次に、委員会と事務局との関係についてのお尋ねですが、よく事務局主導で委員の意見が通りにくいとか、政策決定に委員の参画が弱いなどのことが言われています。
 しかし、鳥取県においては、現在の事務局職員は優秀で高い力量を持っていますが、委員も使命感と説明責任に基づく主体性を発揮しております。定例の委員会における委員と幹部職員との話し合いは、必要な情報はすべて提供され、オープンな雰囲気で行われております。事務局との議論は時に厳しいものになりますが、いずれの場合も真摯に問題追求に向かって協力して成果を挙げております。また、委員会が事務局に頼られる面も強いと思っております。
 この間、事務局主催の会議で鳥取県教育の現状について、生徒1人当たりの教員数、30人学級の普及率、生徒1人当たりの図書費などについて、全国一、二の教育県だと説明したところ、保護者の代表から、それでは鳥取県の子供たちは全国一、二の教育を受けているのですかと問われました。居合わせた教育委員がすぐ次の教育委員会で全員に報告し、緊急協議として意見交換を行いました。その中で、予算要求の成果は教育委員会の努力も大きいが、措置したのは知事、議会である。その予算を執行して全国一、二の生徒の健全な成長と保護者の満足とが得られてこその教育委員会だと改めて確認いたしました。事務局には仕事の入り口ではなく、出口にこそ目を据えた事業執行になるよう改めて奮起をお願いしたところです。
 なお、今後の教育委員会の課題や、教育の根本的な問題にかかわるようなことで、年に1つくらいは委員独自の発想による企画が打ち出せることだと話し合っているところでございます。鳥取県の場合、委員会と事務局とはよい意味での緊張関係と信頼関係が保たれ、教育委員会制度が本来目指しているレイマンコントロールは、きちんと機能しているものと感じています。したがいまして、この制度は教育行政における中立性、安定性、継続性を確保しつつ、地域住民の多様な意向を反映させる適切な制度であるというのが経験からの率直な感想と意見でございます。

 

◯議長(山根英明君)中永教育長

 

◯教育長(中永廣樹君)安田議員から4点御質問をいただきました。正しいきれいな日本語になるかどうかちょっとわかりませんけれども、お答え申し上げます。
 まず1点目ですけれども、国がいじめの調査をするようだけれども、本県ではどのように対応するのかというお尋ねでございました。このいじめの件ですけれども、先般の石村議員への答弁とちょっと重複しますけれども、幾らかお話をさせていただきたいと思います。
 まず、安田議員御指摘の文部科学省が行っていますいじめの調査の定義というのは、こういうふうに定めてあります。自分より弱い者に対して、一方的に身体的、心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの。こういうふうな定義でございます。定義をもとにしまして、いじめに当たるか否かという判断は、文科省の方では表面的形式的にしないように、いじめられている児童生徒の立場に立って行うように、あわせて注意を促しているところであります。各学校ではこういうふうな定義に基づいて報告をしますので、それが市町村の教育委員会から県の方へ、そして県から文科省の方へという形で報告がいっております。
 学校では、いじめというふうに確認できたものをさっきの報道のように報告をしていますけれども、定義されているいじめまで至らないもの、からかいですとか、いたずらですとかというふうな生徒間のトラブルのようなもの、それから議員御指摘のように陰湿で巧妙なものがあったりしてなかなか表面に出てこない、学校の方もなかなか把握し切れないというふうなものもあるということは考えられると私たちは思っていますので、そういうことができるだけないように、全力を尽くしてその把握をしてくださいというふうにお話ししています。学校だけではなくて、地域や保護者の方から、あるいは関係機関の方からもそういう情報をいただきたいというふうに思っているところであります。
 文部科学省の方は、いじめ調査を来年3月くらいまでのうちにやりたいようなことを言っていますけれども、まだはっきりしていません。そうではありますけれども、さっき申しましたように一番大事なのは、一番重要なのは、学校がとにかくいじめを絶対許さぬということを毅然として言うこと。それから、あった場合はできるだけ早く把握をして解決の方にもっていくことというふうに考えておりますので、先般も急遽市町村の教育長さん方に集まっていただいて、この辺のことについてかなり詰めた意見交換もしたりしました。通知もしました。それから子供たちや保護者の皆さんに相談の窓口をつくったものを一覧表にして、これもすべての子供たち、あるいは保護者の方に配布できるように依頼をしているところであります。そういう意味で、そういう対応をしっかりやっていきたいと思っていますので、現在のところ県独自の再調査は行わないというふうに考えております。
 2点目でございます。解決済みのいじめ事案は本当かと、再度追跡調査をする必要があるのではないかという、そういうお尋ねでございます。
 さっきお話がありましたように、17年度のいじめの件数は小学校が4件、中学校が30件、高等学校が6件で計40件でございます。そのうちの38件というのは、年度内に解決をしたというふうに学校の方は把握をしています。未解決の2件については、今年度に入りまして4月以降に解決をしたというふうなことを、当該の市町村教育委員会を通じて報告を受けているところであります。解決したかどうかというときには、学校の方では、子供ですとか保護者から直接に解決していることを確認して一応報告をいただいているということになっています。
 ただ、そういいましても、一たん解決した後も尾を引くことはあり得ます。実際あることはあります。それから再発することもありますので、学校では十分に引き続き様子を見てくださいというふうなことで、学校も今対応をしておられるところであります。教育委員会としてもそういうふうな通知もしたところであります。そういう意味で、現在のところ各学校でしっかり対応していただくことを一番中心に考えておりますので、改めて再調査をすることは県の教育委員会としては考えていないところであります。
 3点目でございます。いじめ対策として本県独自のもの、あるいはホットライン、こういうふうなものを設置したらどうかというふうなお尋ねであります。
 県の教育委員会は、これも石村議員にお答えしましたけれども、教育委員会として県の教育センターにいじめ110番を設けております。それだけではもちろんいけませんので、教育委員会事務局の小中学校課とか高等学校課の電話番号等も一覧表の中に載せて配布をしているところであります。それからまた、市町村の教育委員会の方は小・中学校の子供たちとか保護者にとって一番近いところにありますので、学校に相談できにくいことも市町村教育委員会の方に相談できるということも当然あると思っていますので、そういう意味で、先ほど言いましたように、意見交換会をしたときに、市町村の方でもホットラインをぜひつくってくださいということもお話をしているところでありまして、前からつくっていらっしゃったところも含めて、今ホットラインがあるのは鳥取市、倉吉市、境港市、北栄町、大山町であります。こういうふうな県や市町村はもちろんですけれども、これ以外にも国ですとか、それから民間団体においても窓口を設けていらっしゃいます。先ほど言いましたように、民間の方の電話番号も全部まとめて一覧表にしてお配りしておるところであります。こういう皆さん方の力をかりて対応について考えることが必要だと思っていますので、意見交換をする場を設けてみたいというふうに考えているところではあります。
 最後に4点目でございます。いじめにつながる言葉の乱れについての所感というふうなことのお尋ねでございました。
 私も最近の社会全体での言葉の使われ方というのがちょっと気になっています。言葉が大事にされてない部分が目立つところがあると思っています。ただ、しっかりした言葉を使われる大人ももちろんおられますし、子供たちもいますので、全部が全部だとは私は思っていません。
 ちょっと私の感想なのですけれども、例えば言葉の問題では、私は語彙が全体に非常に乏しくなっていると。もっと語彙が幅があってたくさんあったら、もっと自分の気持ちだとか理論でも、あるいは感情でも伝えることができるのだけれども、だんだん語彙が貧弱になってきているのではないかというのが一つは私は心配です。例えば、すごいとかかわいいという言葉がありますけれども、あるテレビを見ていましたら、ある方が出てきて話しておられたのですけれども、すごいとかわいいしかおっしゃらないのです。かわいいも本当の昔のかわいいではなくて、すばらしいという意味も含めたかわいいのようですけれども、それだけの言葉でほとんどあらわそうとしていらっしゃるので、そういうことも一つかと思っています。
 もう一つは、ちょっと自分中心的な言葉が多くなってきていて、そして、しかも感覚的といいますか、そういうふうな言葉がちょっと自分中心的に使われることが多くなっているのではないかと。もっと言葉が、さっき知事の答弁にもありましたけれども、人間関係をつなぐものでありますし、言葉のやりとりをしながら人間が人間をつないでいくというふうな、そういう大きな力を持っているのが弱まっているのではないかというふうな気が私は非常にしております。
 そういう意味で、本県のいじめ調査の中にも、うざいとか臭いとか、そういうふうな言葉をよく考えないで投げつけてしまったとか、そういう言葉を使っているうちにだんだん言葉の何といいますか、そういう言葉がエスカレートして、さらに深いいじめの方につながっていったと、そういうふうなことも報告をされています。どの言葉に対して子供たちが言葉の重さといいますか、そういうことが気づきにくくなっているのではないか。その裏には、さっきこれも知事おっしゃいましたけれども、やっぱり心の問題、心の中の問題がその言葉と非常に密接に関係があって、言葉がしっかり育っていないといいますか、心がしっかり育っていないといいますか、自分がしっかり自分に対して自信を持ったり、しっかりした物の考え方を持っていないために、言葉の方が正しくない言葉になって出てくるというふうなこともあると思っています。
 そういう意味で、学校での教育というのは非常に大事ですので、学校での言語教育、言葉の教育を大事にしていただきたいと思っています。そういう話をしていきたいと私は思っています。例えば、国語の中ではさっきもありましたけれども、詩なんかを大事なものだと思っています。俳句ですとか、それから昔よく私教員しているときに四字熟語とかやりますと、四字熟語は結構子供たちといいますか、生徒たちは難しいのですけれども、喜んで飛び込んできて学習したのも思い出したりもします。
 難しい言葉でも、何か獲得しようというそういう力を持っていますので、学校教育の中でも詩やすぐれた小説や俳句や、あるいは芸術作品を通じて心を鍛えるとか、あるいは体験活動、こういうものを通じて心を鍛えて言葉と結びつけていくとか、そういうふうなことをしっかりとしていく必要があるのだろうと思っています。
 ただ、問題なのは、よく学校の先生方と話すのですけれども、携帯電話とかテレビとか、それからインターネット。特にインターネットの書き込みで人を極めて誹謗中傷する文章がたくさんありまして、これを子供たちが目にします。そうすると、そこの中の言葉をそのまま使ってしまうというような非常に心配な部分があります。携帯も非常に言葉が簡単になっていて、深く使われない部分がありますので、そういう部分もあります。それからテレビのトークショーで人をやゆしたり、からかったりするような場面がたくさんあります。学校で学習しても、それに本当に気づかないで、そういうものの力によって壊されてしまう部分も私は多分にあると思っていますので、それは社会の全体の責任だろうと思っているところであります。少し長くなりましたけれども、そういう意味も含めて、ただそういっても学校教育も大事でありますので、しっかり話をして、関係者なんかにも話をしながらやっていきたいというふうに思っております。

 

◯議長(山根英明君)足立公安委員会委員長

 

◯公安委員会委員長(足立統一郎君)公安委員会委員長の足立でございます。安田議員の質問にお答えをいたします。
 理路整然かつ警察行政全般にわたり関心を持っていただき、なかんずく地域警察に温かいまなざしをいただき、公安委員として大変感謝をいたしております。
 大量退職に伴い、優秀な警察官を採用することにつきましては、鳥取県警察を管理する立場の公安委員会といたしましても、本県の治安、すなわち県民の安心・安全にかかわる極めて重要な課題として認識しております。今、優秀な警察官を採用することにつきましては、さきに東京で1120日の全国公安委員会連絡会議におきましても議題として取り上げられ、全国警察の共通した直面している問題と承知をいたしております。
 さて、鳥取県警の警察官の採用につきましては、採用方法や採用の実施内容について、適宜警察本部から報告を受けております。公安委員会といたしましては、警察本部に対し採用、警察学校教育、現場教育、この3つを一貫として考えることを指導しているところであり、具体的には我々公安委員の民間人の立場として、例えばことしから県警察が取り組んだ警察学校等の見学会の取り組みに当たりましても、受験者だけでなく、保護者や高校の進路指導の先生も対象に含めてはどうかと、一人でも多くの受験希望者を得て、優秀な警察官等を採用できるように、必要なアドバイスを行っているところであります。公安委員会といたしましては、今後とも優秀で執行力のある真に警察官たるにふさわしい人材が確保できるよう、警察本部に対し、適宜適切に助言していきたいと考えております。
 以上で私の答弁は終りますが、議長にお許しをいただきまして、今一番関心があります北朝鮮の松本京子さんに対する拉致問題であります。
 去る1120日に、警察庁が北朝鮮による拉致であると断定をいたしました。これは鳥取県警その他、いろいろな関係者の地道な努力の積み上げの結果であります。
 ちょうど国の公安委員会の会議が開かれておりましたので、漆間警察庁長官並びに警備局長に対し、鳥取県の公安委員会として決断に大変敬意を表しますという言葉を差し上げてまいり、大変喜んでいただきましたことをお伝えして私の答弁としたいと思います。

 

◯議長(山根英明君)吉村警察本部長

 

◯警察本部長(吉村幸晴君)安田議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、県警の使命と今後の課題に関する御質問でございますが、時間の関係でしょうか、大分質問の方が実際は警察の実績評価といいましょうか、そういったありがたい部分がたくさんあったのですが、(笑声)すべてとれまして、厳しい部分ばかりの質問になっておりますので、そういう前提のもとでの御質問ということでお答えをさせていただきたいと思います。(笑声)
 鳥取県警の活動につきましては、いろいろな新聞記事でも御紹介してもらっておりますが、きょうは安田議員の方からは「わがまちのお巡りさん」という地元紙の記事を御紹介いただきました。私もいつも見ておりまして、きょうもございましたが、警察官、特に駐在さんの人間的な部分にスポットを当てていただいて、御家族も含めて第一線で頑張っているという様子が伝わってまいります。大変新聞記事、新聞社に対しましても、また第一線の駐在署に対しましてもありがたく思っております。
 私も各県を回ってまいりましていろいろな県を見てまいりましたが、総じて鳥取県警のお巡りさんは本当にまじめな方が多いというのが実感でございます。そういった中で、県民の期待に反して信頼を損ねるような警察職員を含めた不祥事案が続きました。そこで、議員からはどのように説明されるのかという御質問でございました。
 県警職員をめぐる不祥事案につきましては、一部の職員の行為とはいえ、やはり警察職員は法令を守って県民を守る。特に、より高い倫理観が要求されるといった仕事でございます。そういったことでまことに残念であります。県警の責任ある立場として重く受けとめております。
 不祥事案の原因としましてはいろいろな原因がございますが、業務に関連した事案につきましては、これまでのところやはりチェック機能が欠落しているという部分などが一番大きくあるという感じがしますし、また、すべての事案について共通する部分は、やはり基本的な部分でありますが、職責への自覚に欠けている点が最も大きいというふうに考えています。
 現在、再発防止を図るために、主としまして職責への個々人の自覚を促す方策をいろいろな工夫をしながら取り組んでいるというのが今の現状でございます。自分自身も幾つかの警察署の朝礼にも顔を出しまして話を、自分の思いを説明したり、また小グループでいろいろな意見を聞いたりしています。その中では、ほとんどのすべての職員が今回ありました不祥事案について大変悔しい思いで意見を述べているという実態がございます。また、作文を書いてもらって、その作文を見ましても、そういう意見が大変たくさんございます。したがって、大半の職員には私個人的には改めて職責の自覚を促すことは必要ないものと思っておりますが、ただ不祥事案が発生しました現実を踏まえて、このような不祥事を起こすことがないように、組織全体で警察職員としての責任を常に自覚できるように、一時的な対応ではなくて、年間を通して継続して繰り返しそういった訴えをしていく必要があると思っております。
 議員からも発言されましたような、県警に対する大きな期待にしっかりと仕事の成果でこたえていこうということで、信頼の回復は仕事の成果で示そうという姿勢で、今県警職員一人一人が仕事に取り組んでいます。引き続き、責任感を抱いて取り組んでいけるように努力していきたいと考えています。
 警察官の採用問題でございます。
 今、足立委員長からもお話ございましたように、これは当県のみならず全国すべての問題でございます。当県警におきましても、やはり優秀な警察官を採用したいということもございますが、何といいましても平成22年をピークにしました大量退職時代を迎えます。ということは、その補てんが要ります。したがって、今から大量採用時代を迎えてまいりました。そういう意味で、現に先ほども数字をお示しいただきましたが、景気の回復、あるいは少子化といったことをもろに影響を受けておりまして、かなり競争率が下がってまいりました。そういった意味で私も危機感を持っておりまして、この春からはそういった状況を踏まえて、優秀な人材を確保するというために警視の人材開発の担当管理官を配置しまして、いろいろな取り組みを試験的にやっているというのが現状であります。
 先ほども公安委員長からは学校の見学の話が出ましたが、それ以外にも本年からはテレビスポット、CMをお願いしたり、また地元の大学、高校に対しまして説明会を開かせていただいて、そこで説明をするとか、さらには警察学校のホームページをつくりまして、学校の生活なり授業とか講義、そういったものを紹介する、そういうものも今公表しています。さらには、今考えていますのは、若手警察官を自分が巣立った出身大学、出身の高校に派遣しまして、一種のリクルーターとしての活動をしてもらおうということも今検討中でございます。何といいましても、警察の組織は人が最大の資源であります。警察の使命が果たせるかどうかについては、この人によって変わってくると思います。能力と適性を有したよい人材が確保できるように可能な限り知恵を絞って、一層この種の取り組みを強化していきたいと考えています。
 また、改善すべき点につきましても御質問がございましたが、採用方法とか、また面接の方法とか、いろいろな点で改善すべき点がまだあります。これにつきましては、十分に問題点を探りまして、その上で問題点の解消に努めていきたいというふうに考えています。

 

◯議長(山根英明君)10番安田議員

 

10番(安田優子)ただいまは、武田教育委員会委員長職務代行者、また公安委員長にもお答えをいただきまして、本当に貴重な御意見をありがとうございました。
 先に警察の方から追及をさせていただきたいと思います。
 公安委員長や本部長から余りいい御答弁をいただきまして、追及のあれがうせたのでございますが、私は、やはり優秀な人材を採用することと教育をしっかりすることと、さらにその意欲、力というものを発揮せしめるような職場体制の整備、充実ということにもお気をお使いいただけたらということを思っております。やはり、今ごろの若い人というのはどうしても楽してお金をもうけたいという気持ちが当然あるのではないかと私は志願者数を見ながら思ったのでありますが、やはり正義感を持った、本当にみんなのために働いてくれる警察官の存在抜きにして、私たちの安心・安全はあり得ません。そして、このたび私は警察の業務についていろいろと学ばせてもらいましたら、そこであることに気がつきました。それは、やはりわかってもこの席ででもやはり言えないこともあるということに気がつきました。そこで、大きな意義を持つのが公安委員会制度というものの存在は大きいなと、私は改めて思ったのです。やはり、そこのところをある種県民の良識とか常識とか、その辺は公安委員さん、公安委員長さんにゆだねざるを得ない面がどうしてもあるのかなというふうに、このたび認識いたしました。その点におきまして、委員長さんには再度県民のそういう民意を反映するような、負託にこたえ得るような警察管理というものを心がけていただきたいと思うのでありますが、もう一声その辺につきまして御返答いただければ、よろしくお願いいたします。

 

◯議長(山根英明君)足立公安委員会委員長

 

◯公安委員会委員長(足立統一郎君)ただいま御指摘のとおりでございまして、一生懸命努力をいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

◯議長(山根英明君)10番安田議員

 

10番(安田優子)ありがとうございました。
 そうしましたら、最後に教育委員会に質問をさせていただきたいと思います。
 いじめの問題なのですが、私はこのいじめの問題につきまして、一つ問題を指摘したいのは、この間テレビでもやっておりましたが、イギリスというのが世界で一番いじめが多い国だそうですが、6万件のいじめのうち2万件が不登校であるという──逆でしたか、不登校6万に対していじめが2万でしたか、大変な相関関係にあるということでございました。
 本県の不登校の現状を見てみますと、大変増加傾向にございます。高校だけ見てみまして。1年生が特に多いということであります。これは全国的には減少の傾向にある中で、やはりそういう数字が出ている。そして、高校でそういう現象が出るということは、小学校、中学校からやはり尾を引いているのではないかと、これは当然推測ができるわけです。
 もう一点、高校の中途退学者も多うございます。平成17年度で1.49%、大体横ばいの状況であります。こういう中で、県がやってきました教育支援センターが来年度からは廃止になるわけでございますが、私は確かに不登校の小・中学生を面倒見るのは市町村でいいとは思うのですが、もう一歩、やはり県として、そういう不登校の子供たちの相談に乗ったり、あるいはこの子供たちが抱えている問題というのは、今の教育が抱えている問題であろうと思います。いじめの問題も当然入っているだろうと思います。原因の中に学校生活に起因するものが37.6%数字が出ております。大変高い数字でございますので、このセンターをなくされた後の県としてのこういう問題に対する取り組みはどのようになさるお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。
 国語の乱れでございますが、この問題は、この間童話作家の肥田美代子さんも言語力というのがすべての社会活動や地域社会の基礎、基盤であると。その力を養うのは読書しかないということをおっしゃっておりました。知事からも先ほどそのようなお言葉がありまして、まさに私もそのとおりではなかろうかというふうに認識──読解力という問題であろうと思います。幸い、本県の教育委員会は図書館に大変力を入れておるわけでありまして、すべての高校に専任の司書が配置をされております。
 それから、行ってみても、先日も境高校の図書館をのぞいてみましたが、県産材利用でしょうか、木の香る大変立派な図書館ができておりまして、専任の司書さんがおられたわけでございます。先ほど来、図書館の効能というのは午前中も知事もおっしゃったわけですが、さらにこのごろの言葉で死にたくなったら図書館に行けという言葉もあります。私は、こういういじめを受けたり悩んだりした子供たちが、そういうときこそきちんと本当の読書というものを通じて世界を広げていただきたい、根っこを深めていただきたいと思いまして、今保健室には大変子供たちがたくさんいるわけですが、図書室登校というのもあってもいいのではないかと思うのです。そうすると、図書室の司書さんというのは、いじめの問題、いろいろな個々の学校の中の問題に対して職員チームの一員にならないといけないわけです。そういう存在で、仲間であっていただきたい。そういう職場体制ができるとありがたいなというふうに思っております。
 さらに、本県では朝の読書運動に対して大変熱心に取り組んできております。この辺の成果もどのようにお考えであろうかということもあわせてお願いをしたいと思います。
 私一つ御紹介をしたいのは、県ではないのですが、市町村で今ブックスタート事業というのに取り組んでいる市町村が結構出ております。私もこれを境港で市議会のときに取り組みまして、ゼロ歳の赤ちゃんのときから子供たちに絵本を贈る運動なのですけれども、これが大変皆さんに喜ばれているようで、費用は大変安いのだけれども、大変いい事業であるように皆さんから受けとめていただいているようです。この始めた時点から考えて、もうそろそろそういうブックスタートを受けた子供たちが小学校に入ってくる年を迎えつつあるのかなと。数えてみますに。そうしますと、ブックスタート、朝読、図書館、こういう一連の本県の読書に対するかかわりというのがずっとつながっていくように私思いますし、またその辺に私たちの教育への思いというものも入れ込んでいけるのではないかと期待するものでありますが、教育長からその辺について御返答をいただければと思います。お願いいたします。

 

◯議長(山根英明君)中永教育長

 

◯教育長(中永廣樹君)3点お尋ねをいただきました。
 まず1点目ですけれども、県の教育支援センターを廃止した後の県の支援といいますか、役割ということであったと思います。
 お話がありましたように、18年度をもって今まで置いていました教育支援センターというのは廃止をするというふうに県としては決めたところであります。これは、目の前に子供たちがいますので、目の前にいる子供たちをしっかり見ていただくということにおいて市町村の方の役割といいますか、使命だろうというふうに考えているところであります。ただ、県の教育センターの方ではいろいろな相談ももちろんやっていますけれども、このいろいろな相談をもとにして研究をしているところがあります。研究機能的なものを大事に持っているつもりでありまして、これはこの市町村の教育委員会の方が県のかわりに支援センターをつくったとしても、県の教育支援センターとしてのいろいろな蓄積しました研究的なものはしっかりお渡ししていきたいし、出かけていって役に立つような役割を果たしていきたいというふうに思っているところであります。情報等も提供していきたいと思っているところであります。
 2点目であります。何か不登校的な傾向のある子供たちの居場所としての学校図書館の活用のような、そういうふうな御質問でしたけれども、今までも不登校で教室には入れないけれども保健室に行けるとか、時には図書室に行けるという子たちもいないわけではありませんでした。保健室が圧倒的に多いのですけれども。ただ、最近図書館は非常に充実しておりまして、図書館にたくさん子供たちが来ますので、そこに居場所としての、子供たちをそこで何といいますか対応していくということは難しい部分もあると私は思っています。ただ、そういうのがさっきお話がありましたように、司書さんが不登校の傾向のある子供たちに本を話をして聞かせるとか、本をもとにいろいろな話を聞いて、そこで元気を取り戻していくということはあるというふうに思っていますので、そういう意味で、学校全体の中で子供の状況に応じて図書館の本なんかの力を大事にしながら対応していくということも1つの方法としてはあるとは思っています。
 3点目であります。朝読ですとか、読み聞かせ、ブックスタートなんか、この成果がだんだん上がってきているのではないかというふうな話であります。
 朝読ですけれども、今鳥取県は全国で一番高い実施率を持っています。小学校・中学校・高等学校を通じて91%の学校がやっています。ですから、数字的にはかなり高い数字であります。その中で、当然余り読む習慣がなかった児童・生徒が高校生も含めてですけれども、本を読むようなきっかけになったとかということがあります。先般、私も行きましたけれども、担任の先生が教壇の上に立っておられて一緒に本を読まれます。その他の先生も教室の後ろについて、学校全体がしーんとして朝読をやっていました。これは高校の例でした。その子供たちは図書館でそのための本を借りてきたり、自分で持ってきたりして読んでいましたので、言葉の問題がありましたけれども、言葉を獲得するという意味においても非常に意味がありますし、本を好きになるという意味がありますし、それから、朝しーんとして静かに10分か15分か静かにするということが、学校の教育活動に大きな力を持つこともあったのだということに気づいたというふうにおしゃっていました。そういう意味で大事だろうと思っているところであります。
 ブックスタートで始まった子供たちが、やがて小学校・中学校に入って、さらに本から離れないように本に親しんでいくということは大事だと思っていますので、これは市町村の教育委員会の方で市町村の図書館をしっかり充実してもらったり、あるいは民間の方の今の読み聞かせなどのグループの方の力を引き続いておかりしていったり、あるいは県立図書館等もしっかり使ってもらったり、小学校・中学校の学校の図書館もしっかり大事にしていただきたいというふうに思っているところであります。

 

◯議長(山根英明君)10番安田議員

 

10番(安田優子)教育問題なのですが、私は先般フィンランドの教育を視察してきた人から具体的にいろいろ詳しくお話を聞く機会がありまして、日本では学力低下がいろいろな問題の根本に問われているわけですが、フィンランドは御存じのようにOECDの調査で学力世界一になった国なのですが、やはり地道な努力、そして底辺の力の劣った子供たちにてこ入れをすることによって全体の平均点を上げていっているという、そういうやり方がやっぱり大事なのではないかというふうに私は思っておりまして、そうなってきますと、やはり少人数学級のさらなる前進といいましょうか獲得、そして格差のない、弱い子に、格差を受けている子にてこ入れをしていくような地道な努力を現場から積み重ねていくことが大事ではないかと思っております。みんなで力を合わせて本県の教育を守り育てていかないといけないのではないかと思っておりますので、今後ともまた教育委員会におかれましても御尽力を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。
 そして、最後になりますがもう一言、知事にお話をさせていただきたいと思います。きょうは本当に朝からいろいろな課題について質問をさせていただきました。そして、県政の課題というものがたくさんある中で、今知事の去就が問われているわけでございますが、私は御縁がありまして知事30歳の地方課長の時分から知事を存じ上げておりました。平成9年に私が市議会に出た折に、知事は当時総務省にいらっしゃったと思いますが、お便りをいただきまして、これからの議員には透明性と情報開示、説明責任というのが大事ですよというそういうお励ましを賜りました。今でも覚えております。私はその言葉に導かれて、その後ここまでたどり着いたのかなという気持ちも持っておるのでございます。だから、県議会に出てきましてから実際に私が経験したことは、知事が言うことと現場の職員の実態は違うのだなということを何度か経験させていただいております。そういう知事のおっしゃる、標榜される透明性、説明責任、情報開示、そのような開かれた県政と、もう片方では実態としての職員のそういう残滓というのでしょうか異物の残存、それが二本立てで今回、ないのではない、明るみに出てきたのがこの問題、裏金問題であっただろうと思っております。知事が県民にお約束をされた公約でもありますその姿勢というものを今後とも貫徹されるためには、今なお道半ばであるという課題が、現実が明らかになったわけですから、これに対して責任をとられるのが私は筋ではなかろうかというふうに、私自身も困るのであります。(笑声)だまされてそうだと思って出てきたら違っていたで、私はもうこれで終わりますよでは、これはちょっとうなずけないものを感じるのであります。やはり、県民に対して知事が言ってこられたことをさらに現実を踏まえて前進させていただくことを私としては期待をしたいと思うのでありますが、もう一度知事、その辺についてお答えを願いたいと思います。

 

◯議長(山根英明君)片山知事

 

◯知事(片山善博君)今回の県庁の中の簿外経理に限らず、課題は山積であります。私が解決を自分の手でしたいと思っていた課題で、先般も申し上げましたけれども、自分の手で何とかめどがついたものもありますれば、そうでないものもあって、本当に課題はまだまだ山積であります。しかも、常に課題というのは日々新しいものが生起してくるわけでありまして、絶えざる運動だろうと思います、行政といいますのは。そのことはよく認識をしております。
 そこで、御質問いただきました来年春の統一地方選挙にどうするのかということだと思いますけれども、これにつきましては先般も御答弁申し上げましたとおり、今気持ちの整理をしているところでありますので、この整理が終わりましたら、改めてまたお話を申し上げたいと思います。

 

◯議長(山根英明君)これをもって、県政に対する代表質問を終了いたします。

 本日の議事日程は、すべて終了いたしました。
 これをもって散会いたします。


       午後4時50分散会