平成21年2月定例会

安田優子議員代表質問 (平成21年3月6日)

自由民主 安 田 優 子


 皆さん、おはようございます。
 アメリカを震源地とする不況の波が、またたく間に全世界に広がり、県民生活の土台を揺るがすような事態にまでなっております。
 一方でこの間、境港におきましては、1月末に地元・日吉水産所属のカニ船が、ロシアに拿捕されるという事態が発生しました。
 関係各位の迅速的確な対応で、10名の乗組員の皆さん全員が無事に早期帰港することができました。
 平井知事にもたいへんお世話になりました。
 地元議員としまして改めましてお礼を申し上げたいと思います。
 さらに2月22日には、待望のDBSクルーズ社の新航路試験運行船を迎えるなど、この間私はいやがおうにも、世界の中の鳥取県、その前線基地としての境港を実感せざるを得ないのであります。
 ついこの間まで私たちはこの議場におきまして、都市と地方の格差について熱い議論を展開しておりましたが、今、世界同時不況という大きな時代の変化の中で新たな地域間競争、生き残り競争が始まっております。
 本県においてもこの間必死の取り組みがなされ、平井知事におかれましては、東奔西走、「知事は忍者か」の声も聞かれるほど素早い対応で、このピンチをチャンスに変えようと頑張っておられますことにまずもって敬意を表したいと思います。
 本日私は会派「自由民主」を代表して質問をさせていただきますが、私の拙い質問が大きな転機を迎えている県政推進の一助になりますように、また厳しい生活を迎えている県民の皆様についても、いささかなりともお役に立てればと願うものであります。
 ご答弁をいただく平井知事をはじめ、執行部の皆さんにはどうぞよろしくお願いを致します。
 早速質問に入らせていただきます。



1 平成21年度予算について

 アメリカの金融危機に端を発する世界的規模の不況下において、知事は平成21年度の一般会計当初予算案を今議会に提案されました。
 歳入面では、景気の悪化により県税収入の激減が見込まれる中、「復元したとは到底思えない」地方交付税と大幅増の臨時財政対策債、県債、国庫支出金、地方譲与税など合わせて、対前年度をわずかに上廻る3387億円の増額予算となっております。
 特に、たとえ財政の法治主義とは言え、財政基盤がもともと脆弱な我が鳥取県にとって、臨時財政対策債の増発は、後に交付税措置されるとは言え、赤字地方債であることは明白であり、あとあと財政の硬直化を招く要因となる可能性が充分にあり、その不安感は払拭出来るものではありません。知事会等を通じて、国に対し“真水”の地方交付税の増額を強く要望してほしいと願うものであります。
 歳出面については、雇用経済対策を中心として、産業振興、中山間地域対策、そして公共事業等に積極的な財政出動を行ない、8年ぶりのいわゆる積極型予算となっております。切迫した財政状況の中、大変なご苦労をされた後の著しい予算配分には頭の下がる思いがいたしますが、知事は去る2月12日の定例記者会見で「・・・このために基金を従来通り取り崩しをいたしましたが、あわせて土地開発基金も20億円取り崩すことといたしまして、従来とは違ったやりくりを必要としたという状況でございます。ただ我々は大目標であります財政の健全化を目指してゆくための財政誘導指標はきちんと守ろうという筋道で考えておりまして、今、見込まれている新年度末の基金残高は310億円でございますので、さらにもう一年ありますが、今、ぎりぎりのところで踏みとどまることが出来ているかなと考えております・・・」と語っておられ、また「・・・ですから将来負担を抑えながら、そういう中で中身の工夫として自由度を極力持って公共投資、あるいは産業政策に臨ませていただこうと、こういう予算組みをいたした次第でございます・・・」とも発言しておられます。要約すると、財政誘導指標も守り、合わせて経済不安の積極的対応も優先させたいとの事であります。
 しかしながら、いつまで続くか分からぬ“百年に一度”と評されるこの経済状況への対策と一方ではセオリー通りの財政基盤の確保とは、景気のいい時代ならば一挙両得となって万々歳でありますが、現在の様な突如発生した不況下での財政運営にあっては二律背反となり、最終的には二者択一、いづれかを優先される決断に迫られることは必定であると思います。今一度、事業内容と支出予定金額を精査し、合理的で無理のない財政出動に基づく緊縮型の予算編成こそが地方自治体の百年の大計と考えますが、それでもなお、この積極型予算で臨もうとする知事の意気込みと所見を伺います。


2 将来ビジョンについて

 平井知事就任からもうすぐ三年目の春が訪れようとしております。
 前知事の突然の三選不出馬表明を受けて、県内各方面から出馬を要請された貴方が、その決意を固められるに当って作成されたのが、「平井しんじのマニフェスト 次世代改革−鳥取新時代へ」でありました。
 そこには、本県が置かれた厳しい状況を誰れよりも熟知しておられた貴方が、この荒波を乗り越えるべく打ち出された六つの視点、即ち、県民主役、地域の活力を生み出す自立と連携、県庁改革断行、そして県民が未来を語って今を考える県政をめざし、近未来の将来ビジョンを作ることでありました。
 県政のあり方について、県民的議論を重ねながら、毎年の予算や事業を決めていく指針とする、としておられたのであります。その将来ビジョンが、やっと出来上がりました。
 県政顧問、経済界の意見やタウンミーティング、パブリックコメントを経て、10年程の間、目指す本県の姿は“みんなで創ろう「活力 あんしん 鳥取県」”となりました。
 そして、ひらく、つなげる、守る、楽しむ、支え合う、育むの六つの扉から、目指す将来の姿が示され、それぞれに、現状と課題、取組みの方向性と主な目標指標が挙げられております。
 この将来ビジョン策定の過程が、知事のいわれる次世代改革をめざす県民運動の始まりでもあったのではないでしょうか。
ご自身が描かれたマニフェストが、60万県民の将来ビジョンとして練り上げられ、いよいよ来年度から事業化・予算化される段階に至り、まさに名実ともに平井県政が本格稼動するわけですが、この間を振り返り、今どのような感想をお持ちか、まずもってお伺いを致します。
 一方で、この短期間に、社会経済情勢が大きく変化し、この将来ビジョンの現状認識そのものを修正したり目標を見直す必要が生じているのも確かであります。
 例えば、県民生活の土台となる就業環境の整備について、有効求人倍率は、現状は0.74となっております。この数字は19年度のものですが、いまや0.53まで落ち込んでいるわけです。
 従って、22年度目標1.0倍以上ということが果たして現実的に可能なのか、その根拠や手だてを具体的に示すことができるのでしょうか。
 毎年度の事業、予算の指針となるものであれば、現実に即して適宜、修正や見直しをしていく必要があるのではないかと考えます。しかし、その基準や方法が、現在、明らかにされておりません。
将来ビジョンの修正、見直しについて、知事のお考えをお尋ねします。
 次に、ビジョンを実現する手法として、本県の持つポテンシャルでもある「顔が見えるネットワークで協働、連携」することにより、県民、NPO、住民団体や地域活動を行う者・団体等の知恵と力を結集するとしています。
 そのために、県は人づくり・教育に力を入れ、人材を養成するとともに、更なる行財政改革、情報公開を推進して県民の活動をサポートする。市町村とも、県民の活動が円滑に進むよう連携、協力するとしています。
 これは、マニフェストの六つの視点を原点とした、まさに平井県政の手法であろうと思うのであります。頑なまでに、官と民、国・県・市町村の役割分担にこだわった前知事との違いが明らかであります。
 強烈な個性と思想を持った前知事の下での8年間を通して、私たちは多くのものを学ぶ一方で、県内市町村や経済界からは、嘆きの声が漏れていたことも確かであります。
 今、平井知事は、この難局を乗り越えるべく、市町村や民間経済界との間に立ちはだかっていたベルリンの壁を打ち破り、お互が抱えている問題を共通の課題として把え、力を合わせて解決に向かおうとされております。それが、鳥取県というひとつの地域の活力を生み出していく方法であろうと受け止めるのでありますが、やはり、官と民、県と市町村との間には、それなりの線引きも必要ではないかと思うのであります。
 先般策定された「鳥取県みんなで取り組む中山間地域振興条例」に基づき予算化された事業等を見ると本当に県が主導すべきか迷うものがあります。
 県と市町村の関係について、また、民間、なかんづく、経済界との関係について知事の所感をお聞きしたいと思います。
 また、このビジョンの中に、「地域」という言葉が頻繁に出ております。「地域の宝である人材」、「地域づくり」、「地域を支える人材」、「地域全体で応援する子育て」、「家庭・地域全体で考え、支える教育」、「地域づくりの主役である県民」、「地域の課題を地域で解決する体制」等々、僅か十行程の間にこれだけ出てくる「地域」とは、全て同義でしょうか。
 云わんとするイメージはわかる気はするのですが、行政が使うのであればもっと厳密さが要求されてしかるべきではないでしょうか。
 それぞれの「地域」が意味する範囲によって、その課題解決の主体や役割が異なってくるのではないかと思うのですが、知事はどのように認識されますでしょうか、お尋ねします。
 加えて、県が行政対象とする最小の「地域」をどこに設定されるかもお示しください。


3 緊急雇用経済対策と今後の課題について

 手塩に掛けて育てた我が子が育ち、やっと働けるようになったとき、自宅から通える職場がないということは、親として大変残念なことであります。
 また、いったんは県外で暮らしていても、親の面倒を看るため帰郷しようとするときに、働く場がないというのも現実であります。
 若者の県外流出やUターン者の受入れは、県政にとっても深刻な問題であると同時に、経済の振興・活性化、就業の場の確保は、県政の永遠の課題であります。
 本県のように、民間資本力が弱く、国策としてのインフラ整備が遅れた地域にあっては、民間経済自体の自己発展力に資するためにも絶えず行政の経済誘導策が求められます。
 長年にわたり、その策の中心を担ってきたのが建設業であったわけでありますが、公共事業の激減で大変厳しい状況に陥っていることは申すまでもありません。
 平井知事には、その就任からして、「失われた8年間」を取り戻すべく、経済振興に寄せる期待は大なるものがありました。
 しかしながら、その真価を問うように、この間の世界同時不況の嵐は、本県へも押し寄せて参りました。
 昨年暮れの12月20日、本県最大の企業ともいえる三洋電機コンシューマエレクトロニクスが1076名に及ぶ雇い止めを発表したのをはじめとして、地域経済の低迷と雇用情勢の悪化は、より一層深まって参りました。失業者の数は、3月末で2300人とも言われておりますし、学生の就職内定の取り消し等も出ております。
 こうした事態に対して、知事は昨年12月22日、緊急経済雇用対策本部を立ち上げ、臨時職員の募集や住宅の手当て、職業訓練校での受入れ、相談窓口の開設等による失業者対応策を講じられました。
 その後の様子を伺うに、住宅に実際に入居した方は1世帯のみであり、採用試験への応募も予想していた程ではなかったのでありますが、その素早い対応は、当事者のみならず多くの県民から共感を呼びました。
 次いで、1月27日、異例の臨時議会を招集。国会で審議中の二次補正予算を先取りした119億円の補正予算を打出されたのであります。
 さらに、本議会における2月補正予算で100億円、21年度当初予算で130億円と合計350億円からなる雇用経済対策事業費を組んでおられます。
 これによって、県の直接・間接雇用や職業訓練、農林水産業の担い手育成、公共事業の創出による建設業へのテコ入れや、雇用確保のための企業支援等を通して、一時的にしろ県民生活を守る体制が準備されたのであります。
 この体制、機会を活用して、一人でも多くの方がしかるべき職業に就かれることを願うものですが、果たしてこの先、本県の農業、林業、水産業が基幹産業としてその任を受けとめることができるのか。建設業は立ち直ることが可能か。電機関係や自動車関連の製造業は今後どのように展開するのか、新たな産業の創出を目指すべきではないか。企業誘致や企業立地の可能性はあるのか。
 多くの課題を抱える本県経済の今後について知事の見通しと、抱負の程を問うものです。


4 新航路開設と成功に向けて

 去る2月22日、境港に環日本海定期貨客船航路の試験運航船が入港しました。
 曇天の境水道を走る白い船体を目にして、私は初めて航路の就航を実感することが出来ました。
 韓国東海港を起点とし、ロシア、ウラジオストックと、境港を結ぶこの航路計画が正式に発表されたのは、昨年1月10日のことでしたが、以来、韓国経済の急速悪化の波を受け、揺れに揺れた1年を経て、遂にこの日を迎えることが出来たのであります。
 冬の日本海を13時間かけて渡ってきた金鶴来東海市長を団長とする199名の訪問団を迎え、平井知事は、「夢は今こそ実現した」と、歓迎されたのであります。
 訪問団の皆さんは、2日間にわたって鳥取砂丘や松江城等を観光されたそうでありますが、どのような感想を抱いて帰られたのでしょうか。果たして航路が安定就航するかを占う意味で気になるところであります。
 運航船の復路で、訪問団とともに韓国に入りをされた青木出納長から、東海側の受入れ態勢の様子等を合わせてお聞かせいただきたいと思います。
 新たな局面を迎えた環日本海航路でありますが、5月末に予定される本格就航やその後の安定就航に向けて、多くの課題が山積していることも確かであります。
 しかしながら、私たちは、永年にわたって求めてきた環日本海交流・交易が、今、時代の要請、必然となったという事実をしっかりと受け止め、課題を乗り越えて本県経済振興の為の起爆剤としていかねばなりません。
 航路成功に向けた平井知事の決意の程をお聞かせください。


5 人材育成プロジェクト事業について

 平井知事は、先の11月議会において、少人数学級の継続を表明されるとともに、地域を挙げて子どもたちの学力向上に取り組むため、1億円の支援費を用意すると語られました。
 この厳しい冬の時代を乗り切る力を教育、人財育成に求められた知事の思いを受けて、新年度予算には、1億2千万円から成る「とっとり人材育成プロジェクト事業」が提案されております。
 地域、PTA、NPOの力や赤ちゃんの力まで結集して、基本的生活習慣の定着から、教材の開発、学力向上、英語教育、科学教育と非常に多岐にわたる事業が準備されておりますが、これらの事業に期待される成果について、教育長の所感を求めます。
 私は、知事の意気込みは理解しますし、これによって本県教育のレベルアップに期待するものですが、教育の根幹を成す学校教育に対する地道で安定感のある配慮をも求めるものであります。
 即ち、先生の身分が保証され、安心して子どもたちに向き合う、授業に専念できるという環境整備こそ肝要なことではないでしょうか。
 自分の生活が安定しないで、生活の不安と闘いながら、本当に全身全霊で教育に打ち込めるのでしょうか。大変疑問に思うのであります。
 そして、その保証を成し得るのは、地域ではありません。
 本県が、平井知事が真に教育に力を入れ、子どもたちを地域の宝として育てたいのであれば、私はまず教員への手当てに意を尽くすべきではなかろうかと思うのであります。
 他の事業を削ってでも、ここに予算を集中させてもいいのではないでしょうか。
 現在、多くの非常勤、常勤講師が、次の雇用の保証もないまま、職務に励んでおります。
 それこそ、本県を担うべき若くて能力のある人材であります。
 教育先進国といわれるフィンランドでは、教員の学歴、資質も高く、その社会的地位も非常に高いと聞いております。
 先生が学校教育の基本となる授業実践で、子どもたちの目を輝かすことが出来るように、自己研鑽に励めるだけの処遇を担保してあげるべきではないでしょうか。
 教員採用のあり方並びに講師制度について教育長の見解を伺うとともに、教員定数の見直しについて知事の見解を伺います。

 ここまでを第一回目の壇上からの質問と致します。
 答弁をいただく際には簡潔明瞭の答弁を期待して、登壇を終えさせていただきます。


○答弁  平井知事

 安田議員からいただきました代表質問に、お答えを申し上げたいと思います。
 まず第38吉丸の拿捕についてのコメントをいただきました。
 答弁は明快で簡潔にとのことでございますので、そのように心掛けさせていただきたいと思います。
 もし不足があれば、またお訊ねをいただければと思います。
 第38吉丸拿捕は、私も同じ岸壁で安田議員と共に入船する船を見守っておりましたが、胸が熱くなるような思いが致しました。それと共にいかに苦労しながら漁に当たられておられるか、その現実に身につまされるようなおもいがした訳であります。境港はこの漁で輝いている町であります。
 基本的な産業でございますので、私もその振興に全力を捧げて参りたいと思います。

 次に2月22にDBSクルーズフェリーの船が入ってきたと、これについても言及をいただき、境港は海に向かう最前線の町であるというお話しをいただきました。
 境港市自体がひとつのオアシスになるくらい、境港市はこの地球におけるオアシスになりたい、そのように願っておられ、そういう市政を展開されております。
 私はその通りだと思います。
 天然の良港でありまして、まさにあれは神様達が作られた地形だと言われておりますけれども、その中で実際に航路が結ばれようとしている訳であります。
 こうした転換点を的確に捉えまして、世界に向けて開かれる鳥取県を作っていかなければならないと思います。 併せて私の行動について忍者のようだというお話しがございました。
 私も願わくば忍者になりたいと思うこともございます。
 ただ一切のことに耳を背けて水の中に沈んでしまう水遁の術はあまり好ましくないと思っておりまして、むしろ身体がいくつか欲しいなと、分身の術を身に付けたいと思っているところでございますが、これからも皆様の叱咤激励をいただきながら私も邁進して参りたいと思います。

 次に財政についてのお話しをいただきました。
 財政については、現在は赤字地方債、すなわち臨時財政対策債があまりにも大きい、知事会としてその解消を求めるべきではないかとおっしゃいました。
 私も全く同感でございます。
 先般の代表質問でもお答えを申し上げましたが、片方で184億円の交付税が下がっておりまして、交付税にいずれ返すよということで100%交付税の身代わりになりますが223億円は借金という形で、今年は我々が担保手当てをしなければならない訳でございます。
 これによりまして起債の残高が膨らんできております。
 法律で返すとは言われておりますけれども、しかしその漠然とした不安感に対して地方全体で声を上げていかなければならないと私も認識致しております。
 知事会を上げて真水の交付税を求めていく運動を展開して参りたいと思います。

 次に今の私共で編成しようとしております財政予算は二律背反的なものであると、厳しい財政運営で財政誘導目標を守ろうとしているけれども、もう片方で経済不安に応えようとする予算になっている、いずれかを優先する決断に迫られる訳でありまして、緊縮型の予算編成こそが本来は必要ではないか。
 敢えて積極型予算で臨もうとしているのはどういうような考え方かというお話しでございます。
 議員のご指摘にありましたように今年は、昨年よりもちょっと予算規模が膨らんでおります。
 3387億円でございまして、0.25%昨年当初予算を上回ることになり、これは平成13年度以来の水準だということになります。
 このようにバックすることは、平成13年度以来のことになるということでございます。
 その理由は我々のほうでやはり今、目を背けてはいけないこと、急に浮上して参りました経済不安に応えなければならない、これこそが県民の共通の願いであると思います。
 そのための財政予算を誠実に組まなければならないというのが片方の使命でありました。
 ただ、もう片方で議員からご指摘がありましたように、我が県は最も貧乏な県の内の一つでございます。
 ですから財政の脆弱性に思いを致す必要がありまして、借金の抑制をする、あるいは事務事業を切り詰める、こういうような努力をやって将来負担を減らさなければならない、これもまた真実であります。
 この二つの難しい課題に直面した訳でありまして、今年も我々は財源の開拓に取り組んだところでございます。 そして出てきました財源としては70億円以上の財源がございました。
 その内の25億円くらいは、事務事業の見直しで賄うということをやりました。
 併せて麻生総理が地方に対して配慮をしようというのが今年の国の予算のテーマになりまして、これは交付税が1兆円増額になるという、そういう構想が述べられましたし、地域に配慮する意味で活性化の交付金を配分しようということになりました。
 それで確かに交付税は増えるはずだったんですが、先ほど申しましたように差し引きますと39億円の増で、大半は借金であるということになりましたが、あともう一つ、地域活性化のための交付金が77億円配分されました。
 これは新年度予算ということだけではなくて、今年度の補正予算の財源にもなる訳でございますが、そういう新しい財源もできました。
 こういうものをいろいろとやり繰りを致しまして、私達としては将来の負担は増やさずに思い切った予算編成をしていく、地域で求められる経済対策、あるいは雇用の対策、また中長期的な課題としてDBSクルーズフェリーのような将来への投資だとか、子供達の未来を保障する為の教育予算の増額、こういったところに意を尽くしたわけでございます。
 その結果として将来の負担に当たります、臨時財政対策債を除いた地方債、普通の借金に、純粋な借金の部分は25億円削減している訳でございましてその意味で財政誘導目標的には去年よりは改善をしているということであります。
 ですから手品をやった訳でもなく、私が忍者になった訳でもありませんが、みんなで努力をして不要不急の予算を削り、あるいは色々な財源の開拓をする中で、何とか今年はやり繰りで、乗り切ることができたと思っております。
 ただこれが明年度以降、さらに次の年、次の年と予算編成同じ調子でいくかというと、時の政権によってその地方に対して手厚い交付金を考えるかどうかということもありますし、それから実際に経済状況がどういうふうに悪化するかわからない。
 今年もすでに84億円、税収が減っていますがそれが更にどうなるかわからない。
 こういうことに思いを致せば、むしろ兜の緒を締めなければならない状況であると認識いたしておりまして、議員のおっしゃるような緊縮型といいますか、実際に締めるべき時は締めるという、そういうものは今後、もっと大切にして参りたいと思います。

 次に将来ビジョンについてお話しをいただきました。
 今回の将来ビジョン作成過程が県民運動の始まりだったのではないか、いよいよ将来ビジョンが始動して、予算化されるという段階になって、本格稼働になった。
 この間をどういうふうに振り返るのかというお話しでございます。
 議員のお話しの中にございましたけれども、考えてみればもう2年前になりますが、まだ選挙に出る前に県内を駆けずり回っていたのはちょうど今頃でございました。
 その折、色々な方々からお話しをいただきました。
 そして現在の県政がいいこともあれば、また足りないところも色々ある。
 特に企業活動だとか農業だとか、疲弊感があると。
 それを何とかしてくれというのが、本当に泣くような声で訴えられたこと、これは事実でありました。
 また障害者の皆様からは、障害者まで自立をしろと、今の県政から言われている。
 特別医療費制度というものがあって、これを撤回しようというドラスティックな動きになっているけれども、これを止めてくれと、いうようなお話しもいただきました。
 そのように色々な訴えをいただきながら、私自身もマニフェストをまとめていった訳であります。
 その時に考えましたのは県民みんなでこの鳥取県を立て直していこうじゃないかと、確かに全国的に賞賛されるような芽は出てきたけれども、ただ本当の地に足がついたところで一人一人の暮らしに還元されるところまで、県政の暖かさはいっているだろうか。
 むしろそれが後退しているという意見すらあるではないか。
 そこを率直に反省しながらチェンジをしていこうというのが次世代改革のモットーだった訳でございます。
 それで県民の皆様から意見を集めていこう、将来ビジョンを作っていこうということから始め、またその片方で選挙中のお話しなども受けて、一つ一つ解決できる課題をクリアしていったり、マニフェストに与えられた課題も乗り越えようと、実現に向けて努力をして参りました。
 例えば障害者の自立支援の関係で、当初問題になっていた特別医療費助成のことも、最初に私が取り組んだ課題でありまして、スキームを大幅に入れ替えまして、無理のない負担感のところに修正をさせていただきました。
 あるいは打って出なければならない、地産地消もいいけれども、外から稼がなければ何にもなりはしないという声もありましたので、アンテナショップを作ろうとか、それから色々な商談会を商工関係でも作ったりしましたし、また新しい航路を拓こうとか、それから米子−ソウル便が低迷してくる、こうした国際交流から地域を開いていこうという課題にも直接に向き合うということになりました。
 大交流時代が始まる、グレーター近畿ではないか、こういう提言もさせていただきまして、お陰様でこの考え方もこの議場でも繰り返し述べていただけるようになりましたので、段々と地域の見方、自己像が変わってきたのではないかというふうに思っております。
 ただ、まだまだ乗り越えるべき課題は多いと思います。
 将来ビジョンはできましたが、これは単なる土台作りに過ぎません。
 むしろこれからが本番でありまして、地域に於ける企業さん、NPOさん、あるいは色々な団体、JAさんだとか水産業者だとか色々な方々がいらっしゃいます。
 そうした皆さんで、それぞれの分野でご活躍をいただきながら、将来ビジョンに入れられました活力がある、そして安心感がもたらされる地域を実現していかなければならない。
 そのために地域の運動の再構成をしたり、それぞれの分野で頑張っておられる方々を我々もサポートしていくことで伸ばしていく。
 これが与えられた課題ではないかと思います。
 次世代改革というふうに申し上げた一番中心的なところは、地域の中に顔が見えるネットワークを作って、それで総力戦で他の地域と闘おうではないかと。
 そこから改革の果実が地域に還元できるようにしていったらどうではないかということであります。
 確かに、そうした動きも出てきているという手ごたえも見え始めたと思っておりますが、これからが本骨頂だと思いますので、県民の皆様と共にこの道を邁進して参りたいと思います。

 次に将来ビジョンについて更なるお訊ねをいただきまして、毎年度の事業が予算の指針となるのであれば、ここに盛り込まれた指標をやり直していく、見直していくことが大切ではないか。
 その基準が方法が明らかにされていない、考え方を問うということでございます。
 確かに今、議員からご指摘いただきましたが、有効求人倍率を1倍にしようではないかという大目標を立てておりまして、これは平成30年度までに達成するとしておりますが、平成22年度までの達成を目指すと。
 目指すという表現でありますが、そういう問題設定をさせていただいております。
 この他にも短期的に期限を切った目標設定を致してございます。
 この0.53という有効求人倍率の状況でありますので、これも本当に達成できるのかということでございますが、現下の全国の状況を見ますと、世界中がそうでありますが、我が国でも0.67という有効求人倍率まで下がってきております。
 1倍を軽く越えていた訳でありますから、それが今こうなってきていると。
 中国地方は比較的全国的にも恵まれた地域でありましたが、全ての県で1倍を切っているという状態でありますので、いわんや低迷に喘いでいた鳥取県が1倍になる、それももう2年経ったらなんるんだというのがいかがかと言われるのは、率直に認めざるを得ないと思います。
 ただ私共としては、今は目標を立てたばかりでありますし、現下の厳しい状況だからこそ高い目標も見ながら我々としての最大の努力を払っていくべきではないかと考えております。
 ただ、いずれ、例えば2年経ったようなところで一斉にそうした指標も見直すべきではないかと思います。
 何年か経てばその指標の見直しもしながら具体的な目標を県民の皆様と共有することもまた、大切だと思いますので、議員がおっしゃったように、適切に修正や見直しをしていく、そういう時期を考える必要があると思っています。
 将来ビジョン自体も4〜5年もすれば、我々の任期も大体4年で設定されていますので、大きく見方も変わるし世の中も変わると思います。
 ですから4年だとか5年だとか、そうしたところで全体も大幅に見直すような時期もあっていいだろうと考えております。
 いずれにせよ今回、作ったばかりでありますけれども、あまり硬直的にすることはなく、実績が上がるように現実を踏まえた柔軟な見直しも視野に入れさせていただきたいと思います。

 次に県と市町村、民間や経済界との関係についてというお訊ねがありました。
 これまでは官と民、国・県・市町村と民間の峻別をするということでベルリンの壁があったのではないか、それを打ち破ろうとしていることは解るけれども、ただ現在逆にその関係が見えなくなってきている、それなりの線引きも必要ではないかということでございます。
 これは私も同じ思いを多分共有しているんだと思います。
 極端に自立ということを強調しますと、これはそれぞれが孤立することになってしまい、折角小さなコミュニティの中で、協力し合える関係にあるところの力が発揮できないのではないか。
 ですから市町村と県とのパートナーとしてのお互いの役割分担があるのは当然でありますが、その上でこれは重点を置いてやろうと、県も、こういう分野はできますから応援していきましょうということを話し合って、戦略を展開していく。
 これまで断ち切ってしまうことはいかがか、ということであります。
 民間との関係でも言えば、企業は、それぞれが採算を取って企業活動を行うべきであります。
 しかし今その前提としてインフラストラクションを整えるとか、あるいは企業さんの現在であればフローの資金、日々借りて賄っていく現金に不足をきたすということでございますから、借り替えの融資制度を設けて当面は返さなくてもいいよというようにして、銀行さんの協力を仰ぐような制度を公的に県のほうでセットをするとか、こういう応援の仕方はあるんだと思います。
 全てを切り離してしまって、農協のことは農協でやりなさい、商工業者のことは商工業者でやりなさい、県はそれとはまた別の自分達のことだけをやります、というような姿勢ではないということを申し上げている訳であります。
 そういう意味でパートナーシップの新時代を作ろうと、ただ、この関係性は試行錯誤の下にやっていますので、議員のほうで何か具体的なことがあるのかもしれませんが、これは市町村との関係、経済界との関係、もう少し向こうに寄せてもいいんじゃないかということは正直あるかも知れません。
 色々とご指摘をいただきながら私共なりの距離感を持っていきたいと思っております。
 例を挙げて申し上げれば中山間地域の振興をやろうじゃないかというのは、私達が任期を始めてかなり早い段階からこの議場でも何度か議論されました。
 その結果として中山間地域の振興条例を作りました。
 中山間地域の振興というのは、これは一次的には市町村の仕事だと私は思います。
 市町村がそれぞれの市町村の中の集落に当たります中山間の地域をどうやってサポートをしていくか。
 これが一次的なことであり、それは市町村だけでなく当事者であるそこに住まわれる方々だとか、あるいは農業の関係をしておられるJAなりの力とか色々なファクターがセクターが係わり合いながら、中山間地域の振興をしていくのだろうと思います。
 ただ看過できないというのがこの議場での色々な議論でありました。
 限界集落どころかもう本当に失われかけてしまっている集落が出てきている。
 このまま放置しておいて良いのだろうかというのが共通の理解だったからこそ、条例を作ろうということになったんだと思います。
 この度、市町村とも話し合いをさせていただき、当事者の方にも色々と入っていただきまして東部中部西部それぞれの地域で中山間地域の振興のスキームを、行動計画を作ろうと最終準備をさせていただいております。
 中には集落ごとのこともございますが、これは専ら市町村のほうがやるようなことになると思いますし、ただその中で、こういう取り組みが全県的にあったらいいねというモデル的な事業というのも私はあり得ると思います。
 その場合は市町村がいきなり取り組むには、やはり力不足もあるので、県のほうでのファイナンスの面での若干の応援も必要だということもありましょうから、そういう場合は県としてモデル事業のセットをする。
 そうした関わりが集落内に及ぶようなことであってもあり得るのではないかと思っております。

 次に地域という言葉について、これは多分今のお話と関連してのご質問ではないかと思いますが、将来ビジョンの中で多用されているけれども、もっと厳密に使われてしかるべきではないかということが一つ。
 それから行政対象の最少単位としての地域は、どこに設定して考えているのかということでございます。
 これは、詳細は文言に関わることなので、企画部長の方から地域の言葉使いなど、お話しを申し上げたいと思いますが、地域というふうにいってもそれぞれのところで微妙にニュアンスが、言葉の意味に違いがありますけれども、地域という言葉に私が思いを描いていることは、それは豊かなふるさとの地面があり、川が流れている。また借景としての山がある。
 そこの中で家があり、営まれている農業があり、生業あり、それを営んでいる人がいて、またその人の集まりの中に子供がいてお年寄りがいて、それから学校があって、そうした公共的なサービスがあって、トータルの存在というものが私は地域ではないかと、そうした漠然とした私の言葉のイメージであります。
 それを使い分けていく訳です。
 確信として自分の行政的なビジョンとして持っていますのは、そういうものは切り離せないものだろうと思います。
 人とそれから地面だとか産業だとか、あるいは教育だとかそういうものはそれぞれの分野でありますけれども、縦割りにものはできているかもしれません。
 しかし、そうしたそれぞれの要素が、ひとつの総体となって地域と言うものは存在していて、その地域にある資源を生かしながら総力を動員して、それで初めて一番いい地域として望ましい地域づくり、地域の発展の方向性が出てくるのではないかと思います。
 ですから例えば教育の面で言えば、学校と地域の係わり合いと言いましたが、例えば老人クラブの方が見守り活動をやってもいいじゃないだろうか、子供達の教育の場に、保護者だとかあるいは保護者からさらに遠い存在として、隣町やその隣の町あるいは県外の方が、ボランティアで参加して社会の実態について世の中について教えてもらうことがあってもいいではないか。
 そういういろんな工夫が成されるのではないかと思います。
 それを地域ぐるみで、地域のためにやっていくというそういう総体としての地域と言うものを大切にしたいというおもいは私のコンセプトの中心にはあります。
 具体的に将来ビジョンで書いてあるのは、これはそれぞれ意味合いがあたえられて書いておりますので担当の方から申し上げたいと思います。
 それから行政対象としては、、どこが最少単位になるかということですが、県は広域行政でございますので、市町村のなかにまで、過度に踏み込むべきものではないだろうと思います。
 その意味で、私達が一般論として地域性をいう時は、多少広い範囲が前提になるのかもしれません。
 ただ、先ほど申しましたように現在は非常に市町村や限界集落の問題が切迫してきております。
 ですから、そういう意味で市町村の中に場合によってはモデル的にだとか、あるいは交通事業であれば、交通というような観点で、農業であれば農業という政策の観点で市町村の中の、地域集落的なところまで入り込む施策もあり得るのではないかと思います。

 次に、緊急経済対策の今後と課題についてでございます。
 農林水産業だとかそれから建設業、また商工業といった製造業などを含めて、企業立地などこういうものが今後立て直していけるのだろうかというお話しがございました。
 まず農林水産業についてでございますけれども、これが全部を引き受ける受け皿になれるかということでは、安田議員のおっしゃる程には大きなものにはならないかもしれません。
 ただ、今は過小評価されているのではないかというのが言えるのではないかと思っています。
 鳥取県は農林水産業に非常に適した所です。清流があります。水自体が商品として売れるような所であります。更に肥沃な大地、くろぼくをはじめとして、いろんな土壌がございまして、そうした所から恵が生まれているわけでございます。
 海は対馬海流と遠くリマン海流が出会う。そういう広い地域が我々の魚場になっておりまして、そういう意味で我々のところには豊富な魚種があるわけであり、まず紅ズワイガニとか色んなものがある。林業も山がちなところでございますから発展の可能性がある。
 ですから、農林水産業のフィールドとしては、鳥取県とは優れたところであろうかと思うのですが、今担い手が急激に減少してきている。
 片方で全国に失業者があふれようとしている。この矛盾は何だろうかと思うわけであります。
 ですから鳥取県のほうでそれを引き受けて、農林水産業の次の活力に結びつけるチャンスではないかと思っています。
 その意味で経済雇用対策のなかで私どもは意識的にうちだしているところであり、1月の臨時議会でも皆様方のご了解を承ったところであります。
 現在のところ、日々増えておりまして、例の農林水産業の新規受け皿にこられようという方が、今度は242人になってまして、108の事業体から応募が来ております。
 まだまだ増えるのではないかと思います。
 こういうような状況でございますし、それから新しい試みも強まってきました。
 例えばアグリフードEXPOという行事を2月の始めに大阪の方でやりました。
 これにシンエイ農産とかそうした県内の農業法人が参加しまして、それで実際に商談会をやりましたけれども、商談が出てきているということでございます。
 林業で言えば、東部の森林組合の方で県内企業とタッグを組みまして、10人ほど雇用の受け皿になるような山の整備をしようじゃないか。
 更に、一部の森林組合の方では、竹材をチップ化して紙の原料とすることで、プロジェクトが進行していたり、様々な展開が出てきております。
 こうした芽が生まれてきているのも事実でございます。非常に厳しい経営環境は当然あるわけではございますけれども、ただ産業の構造がこれからシフトするのではないか、農林水産業に対する見直しが強まるのではないかと思えば、決して値打ちのないチャレンジではないと思っています。

 次に建設業で立ち直ることができるかということでございますけれども、建設業に対しては、今回は私共で、1月、2月の臨時の予算を入れれば、698億、約700億円の公共投資をすることを致しました。
 対前年で3.7%の増だということでございます。
 この増額の予算になったことは最近はないことではございますけれども、かつてよりはやはり5割6割少ない額でございまして、この5割6割少ないものを、すべて前のバブル期の水準に戻せるかといえば、これは正直に申し上げて、国も地方もそんな余力はないと思います。
 ですから当面はここで我々としては、建設業者の皆さんに対して、今倒産も増えてきていますので、一つのエチケットとして踏ん張りたいと思いますけれども、ただこれを急激に増やすような土壌にはない、というのもまた実情だと思います。
 ですから、そういう意味で私共としては建設業の皆様で、是非技術力や経営力を磨いていただきたい。
 それから更に別の作業他新しい芽も出てきておりますので、別の業態への転換など我々としても精一杯真意を申し上げたいと考えております。
 競争のやり方もあまり価格だけにとらわれて、利ざやの薄い業態になってはいけないということで、随時見直しをしてきております
 先般最低水準価格を見直しさせていただきましたが、更に総合評価制度を充実をしようといいますか拡充をしようということも考えておりまして、このような見直しもしながら、片方でいわばセイフティネットをある程度張るようなこともやり、身の回りの事業を中心とした単独の公共投資も今回は思い切って増やし、支えることもしながら業態転換等も皆様のほうにお願いを申し上げて参りたいと思います。

 次に商工業だとかあるいは製造業、電気、自動車関連、あるいは企業誘致、企業立地の可能性についてお訊ねを頂いたわけでございます。
 一つは議員からご指摘がありました三洋電機コンシューマーエレクトロニクスの課題はあります。
 パナソニックとの資本業務提携が本格化しまして、今その協議をしている真最中でございます。
 ただ企業間で、世界戦略が絡んで最終的な調整まで至っていない、と言うのが現実のところであります。
 これについては、私は、竹内鳥取市長、それから八村商工会議所会頭と共に、三洋の佐野社長それからパナソニックの本社をお訪ねをさせていただきました。
 そのパナソニックの関西の本部のほうもお訪ねをさせていただいて意見交換させて頂きましたけれども、まずは地元の三洋電機CEがどれだけ頑張れるかだと。
 それを直接的にはシャットアウトしようと言うことではむしろなくて、そこを頑張って荒波の中で乗り越えていってもらいたいという話がございました。
 私共のほうからは、雇用に与える影響、経済に与える影響、産業活動に与える影響非常に大きいので、配慮してもらいたいということを強く申し上げまして、この点は一応の理解は得られているのではないかと思っております。
 ただ、決して予断を許さない状況であるというのは変わらないのではないかと思っていますので、地域としてもできる限りの応援をする必要があると考えております。
 それからご指摘の自動車産業、電気産業、非常に低迷をしておりまして、先般も申しましたが、企業回りをしてみますと半分以上の企業が半分以上売上が減っているという事を言われてまして、深刻という形容詞があたる状況になりつつあると思っています。
 そういう中でございますので、金融機関の協力も是非頂いて、まずは今は支えていく事が大切だと思いますし、特に中小企業社にはそうしたことは必要だろうと思います。
 それと併せて将来を見据えて構造転換を図っていくことも大切であります。
 今出始めておりますのは、これだけ厳しい状況になってきておりますので、国内での事業所を整理をする動きが大企業の間で広まっていることであります。
 これは非常に注意をしなければならないことでありまして、私共としてはできる限り、その集約を仮にするのであれば、鳥取の方に集約をしてもらえるように、我々なりのアプローチをかけていく必要があると思っていまして、今もそうしたプロジェクトも進行中であります。
 一つはそれでうまくいった例でありますが、エプソンイメージングデバイスは、鳥取の方に基盤を移そうということになってますし、追加的な若干の投資もいずれあるのではないかと思っております。
 この他にも製造業系で、同じように鳥取の方にも企業集約をしてもらうという企業さんをお願いをしているものもございまして、今我々の方ではそうした防衛線をはりつつ、逆に鳥取の中での存続の可能性を増やしていく取り組みをしたいと思っております。
 また、新しいビジネスへの挑戦、それはバイオビジネスでありますとか、健康産業ですとか、あるいは食品加工業、木材加工業とかこういうふうな分野があろうかと思います。
 健康食品の関係では、先般境港のほうで、甲陽ケミカルさんが拡張していただけるということになりました。
 こういうように私達の足下には、伸び行く産業の芽もあると考えておりますので、こうしたチャレンジも果敢にしていって、1年2年ではないかもしれませんが、5年10年経ってみればパイが膨らんでいるというように持って行かなければならない。そのために全力をあげたいと思います。

 次に新航路の開発についてがございました。
 議員の方からもご指摘いただきましたけれども、ほんとに感慨深いものがあったと思います。
 船体が入ってきたその時の何ともいえない高揚感は、安田議員も覚えられたという話がございますが、私もあまりの船の大きさに圧倒されるおもいが致しました。
 つい先だって、韓国側からも、それから我々のほうで接触している船舶の会社のほうからもお話しがございましたが、DBSクルーズフェリー社で、予ねて取得をしようとしておりました船舶クィーンコーラル号の取得の目処がここにきて確実になったと。
 3月度いっぱいで引き渡すということで、最終的な今調整に入ったというお話しが情報としては入ってきたところです。
 いよいよ船も揃えば会社も立ち上がってますし、後は船影を待つばかりでございます。
 ドラの音が聞こえてきたような気が致します。
 そういう状況になってきましたので、いよいよ私達は今度は次を見なければならないと思います。
 これまでは、何とか就航実現ということを私達の最大の目標にしてやってきました。
 本当に苦しい道でありまして、安田議員をはじめとして、議員の皆様にも応援をして頂いたり、また経済関係者の皆様だとか、あるいは境港市などの地元の企業さん、色んなところで応援をしていただきながら、何とかここまでやってきました。
 しかし、これは単なる一過性のものに終わらせてはいけない訳でございまして、ここから先で産業の構造が変わってくる、流通が変わってくる、港町という風情にふさわしいようなことが鳥取県全域に山陰全域に広がってくる、世界の玄関口だといわれるようにしなければならない訳であります。
 課題は色々多いわけでございますが、ポートセールスをきちんとやっていかなければならないと思います。
 今まで仕掛けていたポートセールスの中でお話しが出てきておりますのは、例えば大阪の商工会議所さんだとか、東大阪の商工会議所さんだとか、こうした所から境港に視察に来てもらう。
 これを今、取りまとめをしかけているところであります。
 後、我々のほうで、グレーター近畿ということで加入をさせて頂き、近畿の中に入ったということの効果だと思いますが、関西経済連合会も境港あるいは鳥取県のほうへの視察をしたいという事になって参りまして、これも今調整中でありますし、近畿の知事会も境港を観てもらう、そういうタイミングを作ってもらおうと思ってますし、色々と仕掛けをしていきたいと考えているところでございます。
 韓国とかロシアでも商談会やあるいはロシアで鳥取週間をやるとか、そうしたプロジェクトもしていきたいと思っておりまして、近々ロシアのほうにもその訪問団を出させて頂き明年度どうだろうかということを考えたいと思っております。
 つい先般は江原道から代表者が来まして、私どもの副知事以下とお話しをさせて頂きました。その中でDBSクルーズフェリーについてもお話し合いを致しまして、その結果私共鳥取県、江原道、それからロシア沿海地方、我々は今でもパートナーでございますが、これを三地域で速やかに集まって、この新しい航路をどうやって振興させていくか、現実に輝く存在にさせてゆくか、その戦略を話し合おうではないか、こういう事になりまして、早ければ4月にでもそうした会議を持ちたいと思っております。
 こういうような色んな多重的な取り組みを進めていって、ほんとの意味でこの航路が西日本全体で使われる航路になるようにしていきたいと思います。
 私達は夢の航路だと申しておりましたら、韓国の江原道のキムジンソン知事から手紙が来まして、キムジンソン知事は新しい航路の実現、すなわち海のシルクロードの実現に平井も協力してくれていることにほんとに感謝をしたいと書いておられました。
 海のシルクロードと韓国側では形容されているのだと思います。
 シルクロードは文化だけではなくて経済をつないで、そして世界中をつなげていったものでございます。
 そこから生み出された富は数え切れないものがありますし、後々の世に伝えられるものも多いわけでございます。私達はそうした歴史的瞬間に今立ち会おうとしているのだと思います。
 これを大切にして、最大限我々の汗を振り絞って参る必要があると思います。

 次に人材育成のプロジェクトについてお訊ねをいただきました。
 教育のレベルアップに期待をしたいと思うけれども、安定感のある配慮をしなければならないのではないか、教育への手当てという事が必要ではないかというご指摘でございます。
 教員定数の見直しについて、平井の見解を求めるという事でございます。
 私は、安田議員のおっしゃることを否定するつもりは毛頭ありません。恐らく根っこは同じだと思います。
 ですから、一番私が望んでおりますことは、国として、中教審などでも議論をしたといわれておりますけれども、どれ程の成果があったかと言うと、今何の成果もない。
 30人学級にもっていくのは世の中の趨勢のはずでありますけれども、それに見合うきちんとした手当てが国全体でなされていないわけであります。
 これは学級編成を国として支えるということに今なっていますから、そうであれば、国全体で30人学級なり何なりを普遍的に行うという意志決定をして財政的にも支援するという事にしなければならないと思います。
 あるいは、教育については国は完全に手を離すと、学級編成は全部地方のことにしますので、交付税なり何なりの財源は与えて地方分権化しようではないかと。
 後は地方でやってくださいというのであれば、我々も十分な財源を持って30人学級編成なり何なりやらせていただくということだろうと思うのです。
 しかし、そのことがどちらもなされてなくて、中央集権的なしばりが残ったままで、学級編成について厳しい動きが続いているという事でありますから、ほんとはここを解消しなければならないのだと思います。
 それが本来だと思いますが、今我々としては30人学級の実現に向けて色々と知恵を絞っているところでございます。
 詳細は先般申し上げましたので、細かくは繰り返しませんけれども、指導方法工夫改善教員定数という定数がございましてこれは、少人数学級の編成にも使えるし、あるいは少人数指導というティームティーチングなどにも使えるというものでございまして、他県はこれを少人数学級に当てているわけでありますので、私共もそれを一部当てさせていただこうではないかと、ただ、あまりドラスティックなことをやるといけないという事で、抑制をさせて頂いて、今年でいえば前年並みのところで留めさせていただいております。
 それから、ティームティーチングに回るところも従来の規模を縮小する事のないようにしようじゃないかと。
 ですから非常勤講師を当てることにしたのはそういうことでありましたし、それを逆に増やしていくのはもっと現場に忠実に時間数が足りなくなるということにならないように手当てしようという趣旨でございます。
 こうしたことだとか、理科の指導教員あるいは、新指導要領に対応する教員などで、40人、16人と増やしておりますので、非常勤のかたが増えたような格好になっているのは事実でございます。
 これが正常かどうかというと、これは難しいことだと思います。今、現実問題として子供の数が減ってますので、学校の先生の数は自然としては減っていく傾向にならざるを得ないといいますか、正直学級数との関係から言えば当然のことだと思います。
 そういう中で正規の教員を採用していくという事は、後々一生の分だけ雇うだけ学級編成がどうなるかということまで保障できるかという事になりますと、教育委員会のほうで若干抑制的にみているところもあるのではないかとは思います。
 ですから、私共としては、議員のようなご指摘もありますので、できるだけ保障された身分のかたというものを増やせるだけは増やしていって、ただ、後は定数の全体の問題だとか、それから財源のことも加味させて頂きながら、毎年毎年相談をさせていただく必要があるのではないかと思っております。
 また自己研鑽に務めるだけの事だとか、教師の資質を高める工夫が必要というのもあるわけでございまして、エキスパート教員の導入をさせて頂いております。
 実はこれは私のマニフェストに書いていたものを教育委員会のほうで実行していただいた訳でありますが、こうした模範となる教員の方には、他の先生方のご指導もして頂いたりして、そして、処遇上も配慮していくという事があると思いますし、今日副校長とか、そうした新しい職種での処遇という事もさせて頂いたり、こういうことも片方でやっているところでございます。
 非常に難しいところではありますけれども、私としては、少人数学級を維持しようという皆様の総意でありますので、それを実現をすることを第一義と致しながら、どういう工夫があるかというところも私共なりに考えをめぐらさせて頂き、随時ご相談をさせて頂きたいと思います。
 そのあり方については、皆様方のご意見なりご指導も賜りながらまた次年度、その次の年度と続いていくことになると思いますので、改善を図るべきは図って参りたいと思います。


○補足説明  企画部長 青木由行

 将来ビジョンの中に出てくる地域と言う言葉の意義定義について。

 この将来ビジョンで使用しています地域という言葉でありますけれども、作りましたほうとしましては、いわば県民が主役となって色んな取組みが展開される場、こういった意味合いで使っていることが多い言葉なんですが、場といいましても知事がお話し申し上げましたように物理的な土地という事だけではなくて、例えば人材とか、そのネットワークであるとか、地域資源とかそういった総体を指している事も多くございます。
 その意味では場としてという事と、それから主体として使われている場面、こういったものあろうかと思います。
 その範囲あるいは意味するところというのは、おそらく設定されます課題でありますとか、あるいはアプローチ、こういったものによってくるわけでありますけれども、我々と致しましては県政の主役である県民、企業、それから各種団体、NPO等多くの活動主体が、それぞれの地域の自らのポテンシャル、こういったものを生かして顔が見えるネットワークなどによりまして、活動を行う場、あるいはそういった主体、こういったもであるべきという風に考えました。
 そういったことから将来ビジョンの中で、少し多く出てくる言葉になっているのかなと、こんな感じをもっております。
 ご指摘がありましたように、いささか定義があいまいではないか、あるいは、もう少し厳密に使うべきではないかと言うご指摘、これは大変重要なご指摘と受け止めております。
 と申しますのが、私共非常に自戒すべきと思っておりますのが、いわゆるマジックワードというような言葉がよく言われますけれども、解った気になってしまうというところが言葉によってたまにあります。
 その言葉を使って表現をすると、解けてないのに解けたような、そんな気持ちになる事と言うのは、十分自戒しなければならないだろうというふうに思っております。
 ですから将来ビジョンを色々具体化して施策に落とし込んでいったり、あるいは現場の具体的な取り組みに持って行くという時におきましては、例えば、それぞれ地域という言葉が物理的なエリアがどういったところになるのか、あるいはその活動主体が出てくるとしたらどういった範囲で、どういうアプローチをするのか、こういったところを十分共通認識を行政はもちろんでありますけれども、色々取り組まれる主体の中でも共通認識を形成する。こういった努力をしながら取り組みを進めていく。
 こういったことが大切なのではないだろうかというふうに考えているところでございます。


○答弁  出納長 青木茂

 環日本海定期貨客船の試験運行にともないまして、東海港側の受入れの様子とか、訪日された韓国の方々の感想についてのお訊ねであります。
 1年半余りもかけて、やっと地平線から姿を見せた試験船であります。
 それから、13、4時間もかけての船旅でありましたので、少し、時間をいただきまして答弁を致したいと思います。
 境港、藤井副知事はじめ多くの方と日本海、そして大山、高麗山に見送られるという格好で出航いたしました。
 当日はあいにく強風波浪注意報が出て、美保関の波だは白波がたっているという事でありまして、そうとうな大揺れを覚悟しておりましたけれども、あまり思ったほどの揺れもなく船内ではクルーズスタッフによるサックスの演奏でありますとか乗客等のフォークダンス、そしてカジノの体験、そういう事もあって結構皆さん楽しんでいた状況であります。
 東海港は早朝に着きまして、早朝にも関わらず市民が300人出席されて、歓迎式典がございました。
 熱烈歓迎を受け、ほんとに市民のこの航路に寄せる熱いおもいというものを感じたわけであります。
 東海港はご案内の議員の皆様はおられると思いますけれども、15のバースを持っております。
 内、九つが5万トン級の船が着くという、余裕があるといいますか可能性を秘めた港であります。
 貿易港として開港して30年という節目の年であります。それから港に隣接します工業団地は三つございます。これは今、一部造成中でありますけれども、国家プロジェクトによる開発で、規模が300ヘクタール、大きな団地でございます。
 ここに、この航路によって企業誘致とか、そういうものが弾みがつくという事で期待の大きさを感じたところでございます。
 それから、この度は時間がなくて回ることができませんでしたけれども、周辺には自然に恵まれたといいますか、絶景の名勝地が沢山あります。
 それから、韓国の歴史に触れるような文化遺跡というものも沢山ございます。
 そういう面で観光地としての魅力というものを秘めているなというのを感じたところであります。
 それから、この度も少年軟式野球交流団というのが同行しましたけれども、ほんとにこういう裾野の広い交流というものが、この航路によって芽吹いているなというふうに感じもしました。
 それから、この日に江原道のチェ政務副知事を表敬訪問致しまして、チェ副知事のほうから東海市と一緒になってこの航路の安定就航を支援していくという力強いお話しをいただきました。
 あらためて、この航路の大きな期待というものを感じたところであります。
 一つ気になりましたのが、東海港のCIQといいますか旅客ターミナルの補修がまだ未着工であります。
 近々着工するという事で、工期は1ヶ月という事でありますので、本就航までには間に合うという事であります。
 次に韓国側のかたの日本の感想でありますけれども、金鶴基東海市長からは、鳥取砂丘、そして二十世紀梨記念館、そして松江城、足立美術館、ため息が自然に出てくるほど素晴らしい。
 そして新しい旅客ターミナル、それから秩序正しい運営が素晴らしかったという評価を頂きました。 それから、この度の訪問によって、知事、県議会、そして境港市をはじめとする中海の市長、それから議会、そういう方々と沢山お会いできて、本就航並びに安定運行に協力体制とそれから支援の信頼関係というものが構築できたというコメントもございました。
 それから、ソウル市の教育関係者、旅行業者のほうからは、鳥取砂丘、梨記念館、こういうものは小中学校、高校生の研修旅行として魅力があるという格好で評価を頂きました。
 それから、今ひとつ大山のトレッキングコース、こういうものも新しい開発をしていきたいという提案もございまして可能性を感じたところであります。
 一方で、食事は美味しかったけれども、量が少なかった。もう少し宿泊料が安くならないだろうかという、こういうことも明らかになってきました。
 大ロットの団体旅行等に対応する対応策というものがこれから求められると思います。
 いずれにしましても、日本側、韓国側ともいずれもまだまだ体制というものは正直言ってこれからであります。本就航まで、ほんとに余すところ2ヶ月余であります。
 これから色々な課題、例えば航路の周知でありますとか、それから新しい具体的な旅行商品の造成でありますとか、旅客の確保、こういうものの課題が沢山ございます。
 先ほど知事が申しましたように、やっと船が決まりましたので、これから整備に加速を増して行きたい、そういうふうに考えております。
 これから江原道、こういうところの信頼関係を基軸に、ロシアの沿海州とも連携を機密に致しまして本運航なり、安定運行に全力で働き、努力して参りたいと考えております。


○答弁  教育長 中永廣樹

 安田議員から2点御質問頂きました。簡潔明瞭にお答え申し上げたいと思います。
 まず一点目です。
 1億2千万余の約1億2千万の鳥取人材育成プロジェクトの事業が予算提案されていると、基本的生活習慣や学力向上等、幅広いメニューが準備されているけれども、この事業に期待される成果は何かというお訊ねでございます。
 先般、学力調査の開示非開示で、県民の皆様方の関心が教育に非常に集まった、高まったと思っております。それを受けて、家庭や地域と情報を共有する、そして社会全体で子供達の力を伸ばしてゆくという、そういうふうな観点から、知事から提案がなされまして、これを受けまして、県の教育委員会、積極的に取り組んでいきたいというふうに思って提案して頂いているところであります。
 昨今の子供達の様子で、先ほどの浦安小学校の6年生ですか、沢山みえていましたけれども、浦安小学校のほうではしっかり力をつけて頂いていると思いますけれども、全般として、この間からも申し上げてますけれども、やはり子供達の学力は、もう少し伸ばさなければならないところがあると思っています。
 例えば、学力調査などから、基礎的な力はついているけれども応用力がまだ十分ではない、活用力がまだ十分ではないという事もあります。
 それから、教科によっては二極化の傾向があるという事も申し上げている通りであります。学校からは、子供達は小学校から高等学校まで全部、全体に学習意欲が低下している子供達が目立つというようなことも聞いています。
 それから学習時間の中で、家庭での学習時間が少ないという事があげられております。 
 子供達の学力の問題もそうですけれども、生活の周辺のものが気になります。
 これも申し上げてます通り生活リズムが少し乱れているとか、テレビやゲームや携帯、インターネットの話はこの間致しましたけれども、非常に子供達の関心をそそるものが沢山出てきまして、勉強よりもそちらの方に向いてしまう、遊びや読書よりもそちらに向いてしまうという事が多くなっていると思います
 そういう事も含めて、我慢したり、解る喜びをほんとに身につけたり、それから意欲を高めたりするよう、なそういう人間力が全体に落ちてきていることも指摘されていると私は思っております。
 そういう意味の中で学校での先生方の指導力をつけてもらう、子供達がもっと授業に取り組めるように工夫するというのと併せて、PTAとか、親父の会とか、NPOの皆さん方、県民の皆さん方の力を結集して、まさに県民をあげて、子供達の学力あるいは勉強する姿勢を高めていこうという風なこういう気運を高めて、その環境を整えていくという上で、この一つの大きな刺激剤としてこの事業は役割を持っていると思って期待を致しております。
 ぜひ「勉強頑張ろうキャンペーン」も始めますので、こういうものも併せて、市町村、教育委員会、学校と一緒になって教育していきたいと思っております。

 2題目です。
 現在学校では、多くの非常勤、常勤の講師が次の雇用の保証のないまま職務に励んでいると、教員採用のあり方、ならびに講師制度について見解を伺うというお訊ねでございます。
 県の教育委員会としましては、本県の教育に大きな力を注いで頂いております講師の皆様方の力を更に発揮していただく為に、できるだけ多くの方を正式採用につなげていけたらという気持ちは持っております。
 力のある方を是非正式採用につなげていきたいというおもいはもっておりますが、ただ、今後の教員の数の見込みの問題ですとか、それから色んな仕組みの上で、どうしても廃止させていただかなければいけないような要素がございます。
 そういう事を考えたときに、全ての講師の先生方を即正式採用するということはやはり難しい面も一部にはあると考えております。
 教員の採用については、例えば、教職員の中の退職者の数を大事に、見込みを基に計算をします。
 それから、児童生徒数とか学級数、こういったものも基にします。それから、最近起こってきましたのは、学校の統廃合です。これは以前には予想しなかったような沢山の学校が統廃合のほうに動きを加速しておられます。そういう意味で、学校の統廃合の問題もおおきな要素となってきました。
 こうした中で小中学校に於いては、少人数学級の導入によって教員を多く採りました。
 平成14年から18年までは、相当な数の教員を採用して参りました。
 しかし、その後退職者が減少している、それから学級数が減少している、さっき申しましたように、学校の統廃合が進んでいるということで、19年度以降の採用数は非常に少ない状態であります。
 今後も退職者が増えてきますと、5年位先までは同程度の採用数で推移すると見込んでおります。
 こういう意味で、子供達の数の変動ですとか、県の政策等のいろんな問題との密接な関係をもっておりますので、常に一定して教員を必ず採用していくのもなかなかならない部分もご理解を頂きたいと思います。

 それから、もう一つお訊ねの講師制度についてでございます。
 講師制度については、内容を分けますと三つになるのではないかとおもっております。
 ほんとは教諭で配置すべきところを補充して配置する定数内の常勤講師、それから、病休とか産休とか育休とか、教員の研修などの代替に充てる代員の常勤講師、こういうものは常勤であります。
 それ意外に時間単位で行います非常勤講師と、こういうふうに三つに分かれるのではないかと思っておりますけれども、お訊ねがありましたのは、その中の定数内の常勤講師の部分ではないかと思っておりますけれども、これも先ほど述べましたように、今後の学級数の減ですとか、それから学校の統廃合等による教諭の定数の減少などに対応する必要があります。
 例えば、今年あった学校で、来年度、学級が学校が減っていきます町村ですけれども、日南町が6校あったものが、来年度1校になります。
 江府町が4校あったものが1校になります。
 若桜町も2校あったものが1校になります。というような形で統合が進んできます。
 それから来年度以降もやはり、琴浦町等、今まだ検討中でありますけれども、そういうふうなこともあります。かなりこれが進んでいくのではないかなという事も思っておりますので、そういう意味ですべての定数を教諭で配置すると、定数削減ができない、対応ができなくなるという事が十分に考えられますので、そのようなことのご理解を頂きたいと思います。
 ただ、議員がお話しのようにできるだけ、正式の教員のほうでという事は良く解ります。
 おっしゃるとおりでありますので、教育委員会としましても、定数内講師の数を減らすように最近努力しておりますけれども、今後も最小限の必要なものにとどめていきたいというふうに考えております。
 ちなみに、定数内講師ですけれども、小中学校では平成14年、350人位おりましたけれども、そのかたは、平成21年度、来年度は254名の見込みですけれども、減らしていってるところであります。
 高校につきましても平成14年、223名位でしたけれども、平成21年は丁度100人位まで減らしていこうと思っています。
 引き続いてできるだけの努力をしていきたいと思っております。


○追求質問  安田議員

 それぞれに御答弁を頂きました。
 私は、平成21年度予算で、知事が守りと攻めの両面をどちらかを選択するのではなくて、やはりお人柄そのままに、守りながら攻めていくという皆様のお声をお聞きになって配慮をされている、そういうスタイルというものがほんとに予算だけではなく、全ての事業に垣間見られて非常に興味深いものを覚えました。
 それがずっと続けばいいのですが、どこかの段階で、やはりどちらかを選択していかざるを得ない局面にはいるのではなかろうかという事が一番危惧されるわけでございます。
 この予算のことにしていえば、現在の不況というものが全世界的なものでありまして、県内だけで片付くわけではございませんが、どういうふうに今後推移していくのかで、根本的に対応が変わってくるわけですが、そのあたりを知事はどうご覧になっているのかお聞かせ願えればと思います。
 それから、将来ビジョンについてですが、知事もマニフェストをおつくりになって選挙の最中色んな地域を歩かれたと思います。
 その実感に裏打ちされたかなりのものがでてきているかなあと推察します。
 私も実は、知事とは比べ物になりませんが、平成19年の選挙におきまして、今は産業振興だろうということで旗を掲げて一軒ずつ歩いているうちに、地域が大変な状況にあるということを認識致しました。
 通りの中で何軒も高齢者の独居所帯、それから高齢者高齢者で住んでらっしゃるお家、そして病気のお家があったり、介護施設のお家があると、そこは空き家になっております。
 そういう諸々の事実を受け止めまして、境港は中山間地域ではございません。
 全市が平地で対象外ではありますが、そういう地域ですらも、ほんとに地域が支えあうことの必要性、難しさと言うものを実感したわけです。
 どうしたらこの産業振興に加えて地域づくりというものをやっていくのがいいのかというのが大きな私自身の課題でもありました。
 色々考えてみてみますと、老人会のかた、婦人会のかた、色んな方々が各自治会単位で、あるいは小学校単位で、自治的な自助、共助のその段階を自己回転させるというのでしょうか、自分達でまわしておられる。
 私はその地域のやり方がとてもいいと思いまして、卑近な例ではございますが、境港の場合は、行政も大変厳しい状況の中で、この小学校区というものをどうしても残す事が行政の一番大きな仕事ではなかろうかとおもいながら県政の場に臨んできたわけでございます。
 今、将来ビジョンとか、中山間地域条例に伴って、地域のことがほんとに県が出向いて市町村がやる以上のその大きな視点でとらえようとなさっているという事自体は評価させていただきたいと思います。
 その中で、教育問題と絡ませてですが、今教育を地域で支えるという事が大きなテーゼになっております。
 ところが、私は地域の中に学校があることがその地域を支える、守る、あるいは振興させる上で最も肝要なことではなかろうかかな、学校の存在感というものを抜きにしてこういう集落対応であるとか、地域振興というものはあり得ないのではないかとすら思ったりします。
 そういう視点でこの間の小中学校の、特に小学校であろうと思います。
 推移を見てみますと、平成6年に小学校の本校が168校あったものが、平成21年、今教育長がお話になった江府、日南、若桜を含めると、21年度には139校まで減ります。
 それから、分校が15校あったものが6校になります。それから分校の休校は8校から18校まで増えると。
 この学校の問題は市町村の一義的な問題であろうし、市町村、教育委員会が取り組むべき課題であり、現在はそういうふうになされております。
 今、赤松分校の問題がマスコミを賑わしておりますが、21年度予算で現実に県が、そこの市町村の本来はやっていかれるであろうその前段としての中山間地域対策にまで一生懸命取り組もうとされるのであれば、やはり、こういう学校の存在というものについて、そこがなくなったときに地域はどうなっていくのか、そこも大きな視点から検討されて、そういう資料も市町村に渡されなければいけない、検討にもある程度関与されてしかるべきではなかろうかと。
 卵が先か鶏が先かにはなりますが、学校が失われた地域がどうなっているかという事をお訊ねすると、皆さん一様にそれは大変なことであろうと、とにかく地域から子供が失われるという事の意味は大きいものがあろうかと思います。
 そのことを私は、具体的に指摘をさせていただいて、この将来ビジョンの質問に変えさせていただきたいと思います。
 以上二点、知事お答えを願います。


○答弁  平井知事

 まず、守りと攻めというそういう二つの視点が、今後永続的に成り立つかどうか、それが経済状況を踏まえていかがだろうかというお訊ねがありました。
 これからの見通しという事でございますが、私は急速に好転するという感触は持ちません。
 今朝のニュースでも流れていますが、GMがいよいよ経営がもつだろうかというニュースが飛び込んでますし、シティバンクも1ドルをきるという株価になってきた。
 ですから政府が本来アメリカで支えたはずの銀行ですらそういう状況になっておりまして、まだ底が抜けた状態が続いているだろうと、思います。
 アメリカの経済が世界に影響し、そして、日本の輸出産業を中心として関わってくるわけでございますから、こうなりますと急に好転することにはならないだろう。
 厳しい状況は続くかもしれないという事であります。
 私は、今ここで行政を担当して、議員の皆様と責任を共有してるわけでありますが、私は現下において厳しい経済状況があり、雇用が一挙に失われたという事であれば、それに対するセ−フティネットを働かせる事は責務であろうかと思います。これは一時的なものであり、将来取り戻さねばならない財政の穴は若干空けるかも知れませんけれども、ただ、それだけの責任を我々は担っているだろうと思いますので、その意味では、守るところにもしっかりやらなければならないと思います。
 後、大切なことは、今は確かに厳しい状況でありますけれども、在庫調整が進めば変わってくるようなことがございますし、隣りの中国はいまだ8%の経済成長をやるんだと国家を挙げて宣言をしてるわけでありますし、現実にそれだけの地力がないとは言い切れないわけでございます。
 アジアが牽引役となって変えていくかもしれないのであれば、鳥取県はアジアに非常に近い所にありますから蘇えるときのためのストーリーを、我々なりに組み立てなければならないだろう。
 放って置いてただ沈んでいるだけでは、国内での事業再編の中で鳥取にある事業所を閉鎖されてよそへ持っていかれてしまうかもしれない。我々もそういう意味で攻めも必要だと思うんです。
 そうした意味で、攻めと守りと二つの剣を持って臨まなければならない。
 いわば、しんがりを務めて戦線から撤退するような戦いを強いられているのではないかと思います。
 これは厳しいものでありますし、将来の経済が続くかというとそうではありませんので、見通しとしてはまだ不透明であるという事だと思います。
 ただ、私は今、財政誘導指標を皆さんと共有しておりまして、この財政誘導指標が守られる限りはこの攻めと守りの財政をする値打ちはあるだろうと思っております。
 この財政誘導指標が立ち行かなくなるという所で、いよいよその攻めと守りとどちらかを捨てるという選択が出てくるかもしれませんけれども、当面はその中でやってみたいと思います。
 先ほど申しましたように、今年度予算編成した限りでは、むしろ将来負担を減らす方向の予算編成になっておりますので、まずはこの攻めと守りのチャレンジを続けさせて頂きたいと考えております。
 将来、更に厳しくなることも予想されますので、向こう1年間、新年度、議員の皆様からもご提案をいただきながら、不要不急な事務事業、こういうのがあるのではないかとか、そういうご提案をいただきながらスリム化も片方で図って、対応力を増すように致したいと思います。

 次に、将来ビジョンと絡めて現状の非常に切迫したところと、学校の統廃合についてお訊ねをいただいた訳でございます。
 今、安田議員の話で非常に身につまされるし、これは課題だなあと思いましたのは、都市における孤独という事だと思います。
 中山間地での限界集落での孤独が片方で深刻化しておりますけれども、同じように都市でも若者が流失する中で起こってきているわけでございまして、都市のコミュニティの崩壊という事を考えねばならないのかもしれません。
 欧米で言えば、極端な話、スラム化というような事があるわけでございまして、インナーシティ問題、都市の中心部がかえって活力が失われる、それが逆にあながち都市という一定の装置をもっているものですから、地域に対してマイナスの影響を与える可能性もあるというぐらいでございますので、都市の中のコミュニティを再編するという事は大切だと思います。
 境港では、今言われたように婦人会とか、老人会とかそうした地域のネットワークが機能していて、それで支えていることは力強いと思いますし、そうした意味で、都市のコミュニティを支えていく道具立てについて防犯防災のことも含めて、私達は今考えなければならないと思います。
 実は県でも防災の街づくり条例を作ってまして、今、皆様のご意見をいただいているところでございますが、これは問題意識としては都市も含めてコミュニティが失われることで安全、安心の力が失われないようにしようというのがテーマであります。
 そして、そのコミュニティの一つの存立基盤として学校区というものがあるから、学校区の統廃合には、県も関わらなければならないのではないかというご指摘でございます。
 私は、ある意味理解できるところもあるのですが、ある意味権限の問題もありまして、禁欲的に考えなければならない所もあるかなと思っております。
 非常に固い話からしまして、権限のことを申し上げれば、これは市町村の教育委員会に学校の設置権はあります。
 それに対して、県の教育委員会は、一定の関与をしえるわけでありますがこれは、届出制でございまして、要は権限は市町村にあって、届けの方はその情報に預かるという程度の関与になっております。
 まして知事部局になりますと、教育委員会に全面的に教育のところは権限がいっておりますので、我々の方では財政的な調整だとか条例的な調整の権限しかないというのが現状でございます。
 ですから、市町村が責任をもって教育委員会で考えていただくべき事柄であるというのが、権限上の問題として申し上げればそのようなことだと思います。
 何が我々知事部局、執行部のほうで関係があるかといえば、先ほどおっしゃたような中山間地域のような別の行政テーマだと思うんです。
 我々は、正直申し上げて、教育の方はドライに考えるべきかと思いますが、どうやって教育を向上させるか、子供達の視点で物事を考えて学校の統合などをするかどうか、するのであれば、このようなことに配慮しようとか、これは、地域の教育現場でしっかりと考えていただくべきことだと思います。
 私は統廃合を全面的に否定するものではありません。一般論として申し上げれば、よく言われますのは、学校の生徒数が増えることで、一定の競争性といいますか社会力が育つところがありますし、それからPTAの負担も小さな学校になるとすぐに役割が回ってきますが、ある程度大きな学校であれば、そういうところが軽減されるとかですね。教育の効率化だとかあるいは、最近では小学校の統合が進んできましたので、中学校のカリキュラムを統一的に一本の線につなげて考えることも可能になってくるとか、いろんな教育的なメリットは片方ではあるんだろうと思います。
 これは私は評価されていいと思いますし、そういうことも含めて、ただ後は子供達の観点で考えなければなりませんが、子供達の教育を支えるという観点でどういう学校の作り方が必要かというご判断をしていただきたいと思います。
 ただ、われわれの方は、議員がご指摘になるように学校がなくなった途端にコミュニティがなくなってしまう、そういう事になるのを防止しなければならないというのが次のことだと思うんです。
 これは、我々執行部側の問題意識に近いところになってまして、中山間地の振興の中で学校が閉鎖されたからといって、途端に住民のコミュニティが断ち切れてしまったり、、それから活動の場が失われてしまったりというようなことにならないような手当ては考えられていいと思いますし、モデルがあれば、県としても直接市町村を飛び越えて、市町村と協力して推奨していくことがあってもいいと思います。
 例を挙げて申し上げれば、先般私も日南町に行った時に、そちらの非常に元気な地域の活動をされてる方々と話し合うチャンスがありました。
 阿毘縁とか、そういう所は、学校が統合されてなくなった訳ですが、そこを今度は活用して地域の、コミュニティ活動を活発化しようと。例えば物販をやったり、地域の買い物のお手伝いのアイディアが出たり、あるいは観光開発も含めて地域の振興のビジョンが出てきたり、むしろ、学校が失われたわけでありますけれど、それと併せて、今度は活動の場がそこに提供されて、地域の活性化の意味でプラスになってるのかなと感じる部分すらありました。
 これも一つの例かもしれません。いろんな例があると思いますけれど、そういうようなことで、学校が失われるという事が、地域に与えるインパクトは非常に大きいですから、その後のことをもし、市町村、教育委員会が最終的に判断するのであれば、それをフォローすることも行政課題として取り上げて、一つの中山間地域の振興のテーマとして考える値打ちはあると思いますし、その応援のプログラムを設定するのであれば、それも値打ちのあることではないかと考えております。
 確かに学校が閉鎖されるという事は、非常に感情的にいたたまれないものがあります。
 私も大山の香取分校の閉校式に敢えてご招待頂きまして、お伺いをしました。
 累代の卒業生の方も集まっておられまして、皆様が学び舎に対する感謝の気持ちを述べられ、そして、その集まったこと自体が香取という一つの行政境を飛び越えた村の結束を象徴してるように思いました。
 ただ、その際皆様は、ただ単なるだけ悲痛感だけではなかっただろうと思います。
 今、実はこういう活動を我々はやっていると、学校とはまた別の意味のコミュニティとしての活動について自慢げにお話しをされたり、これからの香取についてこういう機会に話をされていたり、そういう姿を見ておりまして、学校が失われていくということは大変なインパクトを与えるけれども、もっと大切なのは、その地域がどういう結束力をもってみんなの力を糾合していくシステムを備えることであるかとそこに本当の村づくりがあると、そういう教訓も得たような気がしました。
 一つの旅立ちの瞬間に立ち会ったわけでありますが、議員がご指摘になるようなその統廃合がもたらす地域のインパクトには、あらためて光を当てるべきものがあるだろうというふうに思います。


○追求質問  安田議員

 前向きな御答弁を賜りましたが、今鳥取県が地域づくりだとか中山間地域対策という事に、これだけ熱心に取り組まれるのであれば、やはり学校が地域にもつ力、核である、シンボルである、そういうものも考えなければいけないのではないでしょうかということを私は指摘をしておきたいと思います。
 時間がございませんので、3番の緊急雇用経済対策と今後の課題に移らせていただきます。
 今、知事の御答弁を賜りまして、大変知事自身も厳しいような状況を必死のご努力をいただいておりますことはありますが、その中で、再質問、追求質問をさせていただきます。
 この間も45%位の企業が正規採用はしないという報道を聞きました。
 また、私が致しました教員の定数問題に致しましても、企業の正採用はない、逆に失業者は増えている、そして、県民の多くは、パートであるとかアルバイトであるとかいわゆる非正規就業を余儀なくされていくのではないかと、それも知事の見通しによればそんなに近々好転するわけではないという見通しをおっしゃいました。
 私は、県民の皆さんが現金収入が減るという事を覚悟した生活スタイルというのが求められている、その中で一番大事になってくるのが食生活ではなかろうかとそういうふうに考えます。
 さきほど知事もおっしゃったように農業が見直されている時代風潮の中で、この度の農林水産業の担い手育成と併せた緊急雇用対策事業でも農業研修については目標が95名でございましたが、私が聞いた段階では127名、知事の今のお答えも少し増えているかもしれません。
 こうした研修を通して、本県の農業を担って世界市場にすらも参入するだけの農業法人や、企業、個人農家が大きく育ってくれることを私も願うものです。
 しかしながら一方では、県内に多くの不耕作地を抱えていることも事実であります。
 これを利用して誰もが自分の家庭で食べられるだけの食糧を生産できるようにしてあげることも、この経済雇用対策の一環からしても、必要な施策ではないかと考えるわけであります。
 現在、農地を取得したり、賃借するときには、農地法の許可が必要で、農家の資格要件としてその場所場所で、最低2反とか3反とかの最低制限面積が求められる訳です。
 しかしながら、実際畑などを耕しておられるかたはご存知だと思うのですが、一人で1反がせいぜいというふうに私は聞いております。
 それで、この際、この制限を外してわが鳥取県では誰もが農業をできるようにすると、どの様に厳しい状況化にあってもせめて自分の所で食べるだけの農地が確保できるようにすべきではないかと思います。
 農地法の規制を緩和するための特区申請を考えてみたらいかがでありましょうか。一点でございます。

 それから、農林水産就業サポート事業、今の研修生の募集については、農業や林業に比べて水産業の応募というものが少ないようでございます。
 境港市内にある総合高校には水産科や海洋科もありますが、やはり卒業生のうち漁業とか水産業に向かう子供さんが、殆どいない現状です。
 それから市内の水産会社が奨学金制度を設けているわけです。この利用者も、就職するときは違う分野に就職してしまう。そういう実態であります。
 海を相手の命がけの過酷な職業である、そして生き物を相手の漁業は水物と言われますが際どい仕事である。
 そういう基本的なリスクがある上に、一人の後継者を育成するまでには大変なご苦労があるんだというふうに
 聞いております。
 それだけに研修費も、他の農業や林業に比べて、金額も多く手当てをされているようですが、私は、以前からこの鳥取県はせっかく、この海と土地という恵まれた自然を生かして、この土に立つ堅実な県民性と共に目の前に広がっている大海原に向かって漕ぎ出す勇気を持った県民性を求めたいと常々訴えて参りました。
 平成23年には、本県で天皇皇后両陛下をお迎えして、「豊かな海づくり大会」が開催されることになりました。この大会に向けて、海の魅力や漁業水産業の可能性について、機運を盛り上げ貢献者や担い手の参入を図り、本県の漁業水産業の振興につなぐべきではなかろうかと考えます。
 「豊かな海づくり大会」について、知事の思うところをお聞かせ願えればと思います。
 三点目です。
 建設業についてであります。
 先ほどもお話しがありましたが、15ヶ月予算で3.7%前年度比増の公共事業費を出されました。
 これまでも最低制限価格を85%にするとか色々なやり方で、入札制度というものも考えてきてもらっているわけですが、先年、去年の9月ですか、国は地域の建設業に対する緊急対策として建設産業者ら地域産業の中核に持続的に発展することができるようにという事で適正価格での契約推進、そのための公共事業の入札契約の改善を早急に行う必要があるとして、八点にわたって県にも緊急要請を行ってきております。
 この中に、予定価格の事前公表を取りやめるということもあるわけです。
 今、この通達に従いまして全国的に色々な県が、この事前公表を見直そうとする動きが出てきております。
 事後公表にした県が、12月末で11道県、そして事前事後の併用が12県という状況です。
 本県はどの様に対応なさるおつもりでしょうか。お伺いをしたいと思います。
 以上、この三点お願いします。


○答弁  平井知事

 まず、農業についてでございますが、食生活が重要であると、農業の雇用の問題も現在急浮上してきておりますし、不耕作地という事を考えれば、食べる物を生産するという基本を考えるべきではないかと。
 翻って、今の農地法が厳しすぎると、大きな農地でないと借りれないというか取得できないというのはおかしいのではないかという事でございます。
 私も、いろんな農業の形態があると思うのです。
 例えば、我々がU、I、Jターンで帰ってきたとします。
 U、I、Jターンで帰ってきていきなり大きな農地を耕すのではなくて、それなりに今までの貯えもあって、自分が日頃食べる物を趣味ではありませんが、それ位のことを規模を限ってやって,売れれば良し、売れなくても自分が食べる分位はと、そういう農業のやりかたといいますか、U、I、Jターンのパターンも考えられていい時代になってきていると思います。
 このように多様な形態がありますので、農地法はあまりにもリジッドにすぎるところがありますから、改正が必要だというふうに考えておりますが、現在、政府も石破大臣のほうで提出されて農地法の改正案が議論されているところであります。
 この中に現行法では、知事が認めた場合は10アールまで移転を認めることを特例的に市町村について与えることもあるわけですが、この10アールが、ほんとの意味での最低限になっているのをこれを見直しうる条項も入っております。
 今、国会での審議も進んでおりますので、一つは特区というやり方があるかもしれませんが、法律が成立する可能性があり、その法律に基づいた農林省の方の政条令改正がなされればここは緩和されるのではないかと期待はしておりますので、その状況を見て議員のおっしゃるようにいち早く地域の期待にこたえられるようにしていきたいとい思います。
 それから二点目でございますが、総合技術高校、産業高校の生徒さんが、あまり漁業に入られないというのは、残念なことだと思いますし、それだけ過酷だというふうに若者達も思っておられることだと思います。
 そうした中で、先般も拿捕という痛ましい事象が発生したわけでありまして、危険と隣り合わせの中で、漁業者の方が日々私達のため、あるいは日本全国でそれを待っている人のために漁をされているという事が痛切にクローズアップされてきていると思います。
 こういうタイミングで、平成23年度の「全国海づくりの大会」をやってはどうかという事で、国と話ができたところでございまして、是非議会のみなさま、あるいは関係者の方々のご意見を頂戴しながら心のこもった、これからの水産業の未来をみんなで考えられるようなそういう大会にしていきたいと思います。
 鳥取は、海へ向かって漕ぎ出して行ける所だと、それだけの勇気を持とうではないかというお話しがございましたが、その海と向き合って育った者たちの県でございます。
 この美しい日本海というものを全国のかたに知って頂く、そういう機会になればいい。
 即ち雄大な自然を、これは大山だとかあるいは鷲峰山、氷ノ山なども含めまして雄大な自然を知って頂くチャンスになればいいと思いますし、それから生業としての水産業の振興を進めることだと思います。
 放流が必ず行事として予定をされるわけでございまして、その放流ということを通して、海をみんなで育てていくのだという意識も高めていきたいと思います。
 併せて「食のみやこ鳥取」を標榜している我々として、お見えになる皆様に「食のみやこ」に親しんでいただき、できればリピーターになっていただき買っていただくというそういう機会にもなればいいと考えております。
 財政的には限りがある中でございますので、手作りでみんなの力で心のこもった大会にできればと考えております。
 4月に入って新年度に入って、関係者の方々とまずは準備委員会を作るところから具体的な開催のあり方を検討していくことになろうかと思います。これから、おいおい議論を進めていきたいと思いますので、皆様方のご理解とご支援を賜わりたいと思います。
 最後に公共工事についてのお話がございました。
 現状だとか考え方等につきまして、県政部長の方から詳細を申し上げたいと思いますが、私は、今、議員からご提示がございました予定価格の事前公表をこのままおいておいていいだろうかという事を考えるべき時期にさしかかったと思います。
 ただ、まずは当面やりたい改正点が、多分説明があると思いますが、用意がされてまして、例えば総合評価制度をもう少し範囲を広げて適用してはどうだろうか、そのほかにも細かい点がございますが、そうした改正をまずはやるべきではないかというのが一つありますが、それと並行して、こうした事前公表がいいのか事後公表がいいのかという論点も議論を立ち上げていくべきではないかと思います。
 もしまとまってくれば、事前公表を試験的にも一定の領域を限って事後公表にもっていくというところくらいから検討されてもいいのかなと思っておりますが、まずは急ぐべき課題を片付けながら、そうした論点にも検討を進めて参りたいと思います。


○補足説明  県土整備部長 谷口真澄

 それでは補足説明させていただきます。
 通知が出まして全国各県で対応を色々検討されておるという状況でございます。
 施行を含めた事後公表を行っている県というのは25道県、約半数という状況でございまして、色々とこのことにつきましては業界、それから議会の皆様方の意見を伺いながら取り組んでいる状況でございますが、ただ、業界のほうには事前公表を望む意見というのが約半数くらいあるというのがアンケートで出ております。
 事前公表は透明性が確保されるという事があります。
 事後公表は、積算能力の低い業者が排除されるという、各々の利点がございますが、これは業界のほうで期待されております落札率の上昇はどうなのかということでございますが、この点につきましては、他県も非常に苦慮しておられまして、最低制限価格を見直してあげるとか、色んな策を講じておられると。
 しかし、現在、他県の状況を伺いますと、予定価格を事後公表にしたことが必ずしも落札の上昇には繋がっていないというような事も伺っております。
 先ほど知事の方から答弁がありましたが、やはり、現在行っております総合評価入札、これをもう少し充実していくと、これで落札する率が上がるようなことも考えながら他県の動向というものもふまえさせていただいて、また皆さんにお図りして検討をしていきたいと考えております。


○追求質問  安田議員

 航路の話に移ります。
 今、青木出納長からも現地の様子などをお聞かせ頂きました。そのこともあわせ、質問に入らせて頂きます。 私は、この航路が成功するかどうかというのは、多くの皆様がおっしゃっているように、今は人が中心になりますけれども、その先は、境港から積み出せる貨物がどうかという事が一番問題になってくるのかなと思います。
 その件ですが、これ迄裏日本というのは表日本が明治以来社会資本の集中投下を受け、そして民間の企業も立地をして、そしてそこでアメリカとの貿易が盛んに行われてきた。
 今回アジアゲートウエイという21世紀アジアの時代であるという一つの日本の国策に基づいてのこの度の私達の願い、実現という方向であろうと受けとめております。
 そうであるならば、これ迄、太平洋側に集積している貨物を、この山陰両県、中海圏域だけではなく、どう運んでくるか、持って来るか、そこまで、やはり国は、自分達の国策でありますから、保障して頂きたい、力を貸して頂きたいと、当然すべきだというふうに考える、まず第一点でございます。
 先般、去年秋、私達、企画土木常任委員会では、秋田港、新潟港、そして富山新港、伏木富山港を見て参りました。
 その際に、秋田の港で東北地方整備局がシーアンドレール構想というのを取り組み、実証実験なさった。
 要するに、仙台であるとか盛岡の貨物を秋田港まで鉄道で運んで、秋田の港から海路ボストチヌイに運び、そこからシベリア鉄道でサンクトペテルブルグまで運んだ。
 そうすると、25日間で運べると、これ迄太平洋側を使って40日かかっていたものが、大変時間的にも圧縮できると、そういう実験をなさった話しをお聞きしました。
 やはり私は、こういう構想というのを中国地方整備局あるいは近畿地方整備局が、この度の国交省の地方整備計画、そういうものに盛り込んでいただくことがまず大事ではなかろうかと思っております。
 中国地方整備局に、去年の秋、浜田副委員長と共にうかがった折に、東北地方整備局はこういうことをなさってる、貴方達中国地方整備局も中国地方の中でアジアゲートウエイという構想をどう具現化していくのかという事を考えて頂きたいと重ねて訴えて参りましたが、その辺が今3月末で計画も出来上がるようですが、どういう状況になっているのかお示し頂き、知事としてもどうお取り組みいただくのかお聞かせ願いたいと思います。
 それからその辺も含めて、アクセスの整備というものがなされなければ、貨物も移せないわけでありますが、考えてみますと、やはり米子道の4車線化であるとか山陰道の整備であるとか、あるいは、もう少し具体的にいうと431の渋滞解消というものが保障されない限り、やはりこれは実際には難しいのではなかろうかと思うわけであります。
 また、来年度は、姫鳥線もいよいよ完成するわけですが、ここがグレート近畿、近畿地方と結ばれていき、そして、山陰道が整備が遅れていくならば、折角の新しい航路が鳥取県全体の利益、活性化に繋がらない危険性もまた、おこりうるのではなかろうかと、分断状況になる可能性も危険性も考えなければいけないのではないか、そういう意味で山陰道の整備というものには、どういう今状況なのかお示しを頂きたいと思います。
 それから、多くの港を見ておりますと、やはり今定時性であるとか環境面での優位性であるとか、コストの面で鉄道貨物というのが見直しをされてきております。
 境港については、この鉄道貨物の可能性というのがどうなのか。そこの検討もする必要があるのではないかと考えております。その辺もお願いをしたいと思います。
 それから、至近のところに港と一緒に米子空港というのがあるわけです。この米子空港と港湾を相乗効果を生み出すような形で生かすようしていかなければいけないだろうと思います。
 今、空港はソウル便が就航しております。先般アシアナ航空のほうからも知事にご面会があったようでございますが、この辺との整合性と言うのは、貨客船との整合性というのは、どの様にお考えになっているのかお示しを頂きたいと思います。
 それから、米子空港の方も21年度には2500メートル化が達成できるわけでありますが、この便を使って例えば、ロシアとの経済交流を、船よりも別の形での展開というものを求めてもいいのではなかろうか、チャーター便を記念に就航させるというようなことも考えてもいいのではないかと思うのですが、いかがでありましょうか。
 それから、これから週2回の貨客船が入ってくるわけでありますが、先ほどの青木出納長、そのほかの皆様の感想等を踏まえ、観光対策についてはどういう体制が整えられようとしているのか、準備は如何かお訊ねをします。
 この間は砂丘まで訪問団のみなさん、行かれたそうですが、そのさきに世界ジオパーク加盟を目指す山陰海岸というものがあるわけですが、私はここの地質学上の成り立ちというものが、学問的に解明をされていくならば、やはり、韓国、アジア大陸との新たな関係というものも期待できるのではなかろうかと思って期待をしておりますし、そういう面からも観光というものにも加えていただけたらと思います。
 それから、ソウル便は、大変厳しい状況を乗り越えて、今やっと軌道に乗ってる状態ですが、これを支えたのは韓国との草の根交流というのでしょうか、そういう県民の力というものが交流の歴史というものが、厚みというものが非常に大きかったように受けとめております。
 今、韓国ではなくロシアとは経済交流の方が先んじて行われようとしてるような現下の状況ではなかろうかと思いますが、先ほど知事からもお話しがあったように、やはり色んな文化交流であるとか、教育交流であるとか、スポーツ交流等が進められる必要もあるのではなかろうかと思います。
 その辺、境港の商工会議所では、先般からロシア語講座が開かれております。そういう動きもありますがそこのところはどの様にお考えでございましょうか。
 CIQはお褒めをいただいたという先ほどのお話しがございましたので、これは、前から私も問題にしておりましたが、これはOKという事で外させていただきたいと思います。
 それから、いくら経済的なメリットがありましても、県民生活のうえで、色々不安を与えたり、害が出たりしてはいけないわけですが、その辺、警察のほうでは治安対策は万全でありましょうか。
 お取組みをお聞かせ願いたいと思います。
 それから、先ほどの知事のお話しにもございましたが、とにかくこいう航路を持っている、こいう港であるというPRをどんどん発信していかなければいけないだろうと、これが一番大事ではないか、そして近畿知事会に加盟され関西機構に加入されたという知事の先を読む目というものの大ヒットではなかったかなと、私も受けとめておりますが、6月2日に、本県で近畿知事会が開催されるやに伺っております。
 大阪の橋本知事も、是非その時に境港を観たいという事をお聞きしておりますが、この機会に是非境港で開催をされるべきであろうと考えるのですがお聞かせを下さい。


○答弁  平井知事

 新航路関係について重ねてのお訊ねを頂きました。
 山陰まで全国から荷物をもって来る国策が必要ではと、その意味で議員のほうも、秋田、新潟、富山、伏木富山、そうした港もご覧頂きながらこれからの戦略を考えなければならない。
 国のほうにも働きかけをしてきたという事でございましたけれども、私どももそうした皆様方の応援をいただきながら、今、国のほうで地方の国土形成計画を作っておりますので、地域ごとの国土形成計画にこの構想が乗っかるように働きかけをしてきました。
 現在のところ、中国地方、それから近畿地方の両方におきまして、何らかの言及が出てくるだろうというような期待をもっております。
 特に中国地方は、最初は全く、そういう議論すら入る余地がなかったようでありますけれども、議員の皆様からの訴えかけもあり、私共も大分運動いたしましたが、北東アジアゲートウエイ構想というのをかなりの量を割いて計画の中で訴えかけをしようということに今なりつつあります。
 近畿の方でもアジアへのゲートウエイを陸海空でネットワークを作ることでやっていこうと、こういう文言も入っておりまして、境港もその中に位置づけて頂けるように、これからも働きかけをしたいと思います。
 今後の展開は、新年度に入って、おそらく夏頃までかかるのではないかと思いますが、最終取りまとめに向けて私達も働きかけを強めたいと思います。
 それと、これと関連して山陰道のお話しがございました。
 山陰道が分断されてるようではどうしようもないではないかという事でございまして、山陰道は現在供用率40%くらいでございます。
 更に今、焦点になっておりますのは、瑞穂、青谷間6.4キロが事業化すらなされてないわけであります。
 これを社会資本の整備審議会にかけていただきまして、事業化のゴーサインを出していただくことが第一条件になります。
 これを、できれば、この週明けとか、そうした時期にでも審議会が開かれるのではないかという情報もありまして私共としては期待をさせて頂いております。
 先般も大分お話し申し上げましたので、省略いたしますが、田村耕太郎議員が参議院の国土交通委員会を連れてきて、川上議員も入っておりましたけれども、そこで訴えかけをさせていただく機会を貰ったとか、色々と議会からもお出ましいただいて、何度も何度も要望させて頂いております。
 正直やりつくすことはやったと思います。後は何とかいい結果を待ちたいというのが現状であります。

 次に、鉄道輸送が見直されている時代であって、JR貨物の利用を更に推進できないかという事でございます。
 1902年に境、御来屋間が開通して山陰の鉄道時代に入ったわけです。
 以来100年あまりを越えて変遷を遂げてきました。かつては、貨物の往来が活発になされていたのですが、これは実はJR貨物になったこともありまして、順次撤廃をされてきております。
 現在県内で残っている鉄道によるJR側の貨物輸送は、米子までございまして伯耆大山、それから米子のコンテナヤードというところでございまして、こちらの便が岡山のほうに走っているというのに限られた格好になってます。
 後は、これはJR貨物も関与しているのですが、東の湖山ですとか、西の方ですと松江ですとか、これは更にそうしたところから、湖山の場合は姫路から運ぶのですが、トラックをJRが使いまして運んでくると、そういう意味で鉄道代替の貨物輸送もやったりしています。
 このような現状ではありますが、昨今エネルギー改革が叫ばれておりましてモーダルシフトといわれる化石燃料形の輸送手段から、別の輸送手段へ転換をする、エネルギーを節約するやり方ができないだろうか、これに対する興味が深まっております。
 ですから、今回、新航路の開設もありますので、県としては同じタイミングで、、このモーダルシフトの応援をすることをこの予算としても提案をさせていただいております。
 1万円助成をするということで、例えば300キロ動かそうという貨物があったとして、その300キロの貨物が鉄道を使うのと、トラックを使うのと比較すると、正直トラックの方が安いのです。
 ただ、その1万円を我々のほうで助成をして試験的に使ってもらおうではないか、それで、トラックを全線使うよりは、少しは安い額になるという設定もさせていただいて、モーダルシフトに対する実験を民間の事業者さんでもやっていただけないだろうかというのをやっております。
 更に、理想を言えば、境港まで貨物の鉄道が行くという事も望ましいわけでありますが、現在、電化で、ある一定のところに限ってJR貨物自体が運用するという事になってまして、なかなか境線の終点まで貨物をもっていくのは今は難しいと思います。
 むしろ、モーダルシフトを進めていって、願わくば米子でおろして境港から運ぶというようなことが定着をしてきて貨物量も増えてきて、境線もやらなければならないなとJRが行くように仕向けていくのが手順ではないかと思います。
 次に、貨客船と米子ソウル便との関係でございますが、先般、ヒョンドンシュ本部長が、アシアナ航空を代表して鳥取県のほうにお見えになりました。それで、次年度も今年度と同じ様に運行するというそういう表明をして下さったわけであります。
 その際にヒョン本部長とも話をさせていただきましたけれども、米子ーソウル便の航空路線と新しい貨客船とはこれは両立しうるだろうというのがアシアナ側の見方でありました。
 私も実は同感でありまして、と申しますのも、客層だとかターゲットが、大分異なります。もちろん重複している人は少なからずおられるかもしれませんけれども、ただ、飛行機で行かれる方は、例えば乗り継ぎのかたがおられたり、それから利便性では飛行機の方が上でございますので、早く着きますし、それからソウル近辺の観光でありましたら、ソウルに直接行くほうが早いですし、そういうようなことであります。
 また航空路線の場合はどうしてもいろんな所にソウル便が行っておりますので、山陰をターゲットにした客層になります。
 今度の貨客船は、日本で唯一の貨客船でありますから、西日本、山陽だとか四国だとか近畿だとか、その辺はターゲットになりうる所でございますし、船でございますから、飛行機より単価が安くなります。
 しかも大量に動ける、船の中で合宿的に時を過ごすことができる。違った旅の提案がなされるという事です。
 DBSクルーズフェリー社も通常の船よりは、内装のグレードを上げたいといっておりまして、それで、エーゲ海の様にクルーズを日本海で楽しめる時代を、自分達が作り上げたいと言ってますから、そういう意味でもターゲットは違うだろうと考えております。
 更に、貨物輸送がございますし、ロシアまで抜けていくという事になりますし、今までになかった韓国の東海岸に到着するという事でございます。
 ですからこれは、パイが膨らむ方向で動くのではないかと、ヒョンドンシュ本部長も言ってましたし、私もそうでなければ貨客船の成功はないと思います。
 そういう意味で整合性が両者で取れるように、我々としても戦略的に展開をしていきたいと思います。

 次に米子空港2500メートル滑走路の供用開始を控えて、チャーター便の運行をしてはどうだろうかという事でございます。
 私も同じ指示をしておりまして、と申しますのも、2500メートルになったからこそ、あそこに行けるのだというところに飛行機が飛ばなければ意味がないと。
 それをやろうと思いますと、今は2000メートル滑走路で結構広い範囲行けるのですが、ハワイですとか、オーストラリアですとかアメリカの西海岸等は今はいけないけれども2500メートルになったら燃料が沢山積めますので、行ける所になります。
 こういうような所をターゲットにしてチャーター便の計画を練ってはどうかと事務局の方に指示をさせていただいておりまして、今、観光関係者と話し合いを始めたところです。
 おそらく2500メートル化の完成時期ですと冬場になろうかなと。
 冬場という事になりますと、そのとき夏のオーストラリアだとかあるいは常夏のハワイ辺りがお客さんにとってはターゲットで、我々には作りやすいのかなと言う話が出ているようでございます。これは、これから詰めていきたいと思います。
 実はロシアは、2000メートルでも飛べるのですが、ロシアと言うアイデアもありますよという事はそうした中で話し合いの中に入れてもらえばと思っております。
 次に試験運行で明らかになった課題もあるけれども、観光客の受け入れ態勢はどうだろうか、山陰海岸ジオパークという事もあって、そういう興味も湧いて来るのではないかというお話しがございました。
 この度、新しい船の旅が加わることになります。
 修学旅行をやろうじゃないかというソウル首都圏などの教育者の方が結構おられました。
 日本とは色々と作法が違ったり、値段の問題があったり課題があるというのは、出納長のほうからお話しもありました。そういう事を解決していくという事を私達の方でもやっていかなければならないと思います。
 例えば、子供さんが沢山泊まるのにふさわしい宿泊施設などを探したり、あるいは食事の提供の仕方もありましょうし、又、PRもこれから、韓国側、ロシア側ともやっていかなければならないと思います。
 現在、米子ーソウル便の利用促進の協議会があり、それから山陰両県で作っております山陰国際観光協議会がございます。
 これを機能的に一体化させて島根県と鳥取県と一緒になって、こうした旅の掘り起こし、受け入れ態勢づくりをやっていくべきではないかと考えております。これも島根県側と話し合って進めていきたいと思います。
 あわせてジオパークのテーマは日本列島が誕生した、それがテーマで、重要な要素になっております。
 これは、朝鮮半島、アジア大陸と繋がっていたところに裂け目ができまして、それが徐々に分かれていって日本列島がしなるように押し出されていったわけでございます。
 その押し出されていく過程で生じた地層でありますとか、その後堆積してできた地層、即ち砂丘だとか、そうした状況だとか、こういうものが痕跡として山陰海岸に残されているのでございます。
 韓国の東海のほうに行きますと、先ほども報告もありましたが、非常に景勝地も多いという話がございましたが、実はこれは裂けてお互いに分かれていったからだということがあります。
 ですから、こうした歴史を紐解くことで韓国側の興味もひけるのではないかという議員のご提案でございますが、そうしたストーリーもこれからの観光開発の中に入れていったらどうかと思います
 次にロシア側との交流を今以上に進めることが必要ではないかということでございます
 議員ご指摘のように、経済交流促進協議会のほうで民間ベースでの交流が盛んに行われようとしています。
 実は安田議員もご当地のほうに行かれましたし、その他の議員もロシアに行かれたと伺っておりますが、あちらとの交流は沿海地方とやってきておりまして、今もロシアの沿海地方ウラジオストック市のゴーリキー図書館ですとか、中央児童図書館は、私共の県立図書館と交流をしておりまして、向こうでも大切に我々の書棚を作っておられますが、保存されて活用されてます。
 あるいは、今までもバドミントンで中学生レベルでの交流がなされていたり、それから、新体操の交流があったり、こうした沿海地方と鳥取県との交流は、今までなされてきました。
 新しい取り組みとしてゴルフの協会が年末にこちらにやってきまして、ご覧頂いて、こいう交流も始まろうとしておりますし、更に剣道でロシアと鳥取県との交流はいかがかという提案も寄せられてきてもおります。
 皆様方がお会いになったゴルチャコフ議長も、かねて鳥取県を訪問してはどうだろうかと、我々の方でも議会を通じて呼び寄せ活動をさせて頂いておりますが、それも春に実現するかもしれません。
 色々と、私共のほうで交流の輪を広げて参りたいと思っております。

 それから、最後でございますけれども、近畿ブロック知事会議が6月2日に開かれるということでございまして、この開催地についてのご提案がございました。
 境港が、新規航路の地であるので、ここで開催してはどうかという率直なご提案を頂いたわけでございますが、我々も、色々頭をめぐらしてやってきておりましたが、まずはこちらに誘致をしようという事から始まりました。
 できれば、加入して早々に、鳥取の実情をみてもらう必要があるだろうと、それは境港も含めてでありますけれども、いかにアジアに近いところに我々がいるか、日本海側がこんな所である、そしてそこに高速道路が開通しようとしている。
 時代は変わりつつあり、近畿と鳥取県との関係性が生まれ変わるのですよということを、我々なりに教える機会をもちたいと思いました。それで、誘致をすることに致したわけでありますが、その過程で近畿のほうから進出している電気機械工業がございまして、この会長さんだとかいろんな方が、関西の経済圏でも非常に影響力のある方でございます。
 そちらの方のお声がかりで、鳥取県内に研修所が開設をされまして、非常にきれいな施設でございますし、鳥取自動車道や山陰自動車道についても考えて頂くポジションの所でもありまして、そういうお話しを申し上げましたら、非常にいい所だから、自分達も是非行ってみたいと先方の知事さんたちからもお話しがございました。 それで、知事会の誘致と併せてその施設をご説明を申し上げましたところ、そこでやろうじゃないかという決定が和歌山の知事さんの差配のもとでなされたというのが現状でございます。
 ただ、我々の目論んでおりますのは、議員と全く同じでありますけれども、境港を通してアジアへ向かって開かれているとか、あるいは大山だとか、砂丘だとか、そうした色んな資源があること、これを、我々はまだ、近畿の中で顔が良く見えてませんので、見て貰う事だと思ってますので、やり方を是非工夫してみたいと思っております。
 橋本知事からは個人的に商店街の復活を遂げるという意味で、境港に非常に注目をしているという話があったものですから、私は、是非ご覧頂きたいと申し上げ、行ってみたいというふうに橋本知事もおっしゃって下さっています。
 忙しい方ですので、日程の調整は必要でありますけれども、この知事会の機会にそうした他の知事さん方に県内を見て頂く工夫を行いたいと考えております。


○答弁  警察本部長 佐藤幸一郎

 新航路開設に対する治安対策についてのお訊ねがございましたので、お答えいたします。
 県警察では、国籍の如何に関わらず、県内のすべての方の安全、安心を確保することが重要だと考えております。日本語会話のできない外国の方が事件、事故に遭遇された場合であっても迅速に措置を図ることができるよう平素から対策を講じておるところでございます。
 具体的には警察本部において、110番通報を外国語で授受した場合の三者同時通話制度、こういうものを実施しております。
 この制度につきましては、日本語で会話のできない外国の方が110番通報してこられた場合に、通報授受者や警察本部の通信司令管に勤務する警察官、これと通報者との会話の中に、あらかじめ登録された警察職員でございますが通訳人、これが携帯電話等で繋がりまして、この三者で同時に通話ができるというシステムでございます。これによりまして、緊急事態等迅速に対応に務めているところでございます。
 また、昨年8月からは外国の方との会話での意思疎通、これをいっそう図るという事で、コミュニケーション支援ボードというものを活用していることでございます。
 このボードにつきましては、昨年の8月、東京の健康財団、こちらから寄贈いただいたものですけれども、外国の方など、会話によるコミュニケーションの難しい人が、事件事故にあったとか、道に迷った、こういう様子を素早く、このボードを指を指すことで、意思を伝えるという事で工夫されているものでございまして、現在、韓国語、中国語、マレー語の三ヶ国語で表示されているという事でございます。
 今後、ロシアもございますので、ロシアにつきましてもロシア語会話できるものもございますので、今後とも工夫して参りたいと思います。
 これら、ボードにつきましては、今後、警察署とか交番、他にもパトカーにも備え付けて、活用を図っているところでございます。
 一方で、過去において来航した外国船員と住民との間で発生した交通事故など、言葉や交通法令等の違いに起因して、地域住民の皆様に不安を抱かせるような事案が発生した事もあったように承知しているところでございます。
 この度、新航路開設に伴いまして、現時点で、治安に対してどのような影響が生じるかというのは、今のところ、はなはだ予測はしがたい状況ではございますけれども、県警察では、境港警察署、ここを拠点と致しまして、住民の安心と外国人観光客等の安全を図るために、境港国際旅客ターミナル周辺を警戒発動を強化すると共に、先ほど申し上げました三者同時通話とか、コミュニケーションボードの活用等、外国からの観光客に配慮して参りたいと思います。
 また、住民の方が、不安に感じるというような場合につきましては、是非110番通報で、お知らせいただきたいと思うわけでございます。
 この点につきましても、警察にご連絡いただけるよう積極的に広報してまいりたいと考えております。
 以上のように諸対策講じますけれども、やはり、警察だけでは限界がございますので、境港管理組合や、海上保安庁、税関、入管等、関係機関との連携を密に致しまして、外国人観光客との安全を確保すると共に地域住民の皆様の不安解消に向けました各種警察活動というものを的確に今後とも推進して参りたいと考えております。以上です。


○追求質問  安田議員

 ありがとうございました。
 再々追求になりますが、一つは、私は、空と海と陸と、鳥取県としてどういう交通政策をトータルに打ち出していくのか、やはり、今、この航路の話と空港の滑走路延長がどうだったのかというような問題も地元では色んな具体的な例で取りざたをされることがあります。
 だから一体的に大交流時代を生き抜くための施策を形成し推進する部署というものが、一体鳥取県庁にあるのかという事が私は疑問なんです。どうも不在のようですので、そこはまた、検討して頂きたい。
 それから、私は今、そういう形で色んなお話しを青木出納長にも聞かせていただきました。
 知事の色んな意気込みもお聞かせ願いまして、ほんとうにイメージが徐々に湧いてきたように思いますし、本格就航した暁には是非私もこの船に乗らせていただいて、1年前に東海市に伺った折に金市長が、大雪の中お邪魔した私達に、韓国では雪が幸運を運んで来るんだという喩えがあると、貴方達が幸運を運んできてくれたと、ほんとに暖かくお迎えいただき、その市長に再びあの岸壁でお会いをできて、私も嬉しゅうございました。
 是非、また再び東海にも向かわせて頂く、そういう日が1日も早く来ますようにと待ち望んでおります。が、やはり、あの岸壁はいかがかと言う気持ちは、今、船をお迎えしました昭和北岸壁というものは暫定的なものであると、これは先ほど田村参議院議員のお話しもありました、私も国土交通委員会の皆様には是非、新港岸壁のPRもしておいてくれということを管理組合等にお願いしておきました。
 衆議院の予算委員会で、赤沢衆議院議員が、実績ができれば、岸壁の建設にも取り掛かれるという言質をとっておりますので、是非こういう実績をバネにして、新しい夢の実現に知事とともに向かわせて頂けたらと思っております。
 鉄道の可能性というのもそこから新しいプランが見えてくるのではなかろうかと期待するものです。
 私は、先般のお迎えの時に、歓迎式典で大変気になる言葉があります。定かではないのですが、どなたかの言葉の中に、「太陽が昇る東海」これは市標も太陽のマークが入っておりますが、東海は大変朝日がきれいだと聞いてます。そして対して、「太陽が沈む境港」という言葉があったような記憶がします。
 実を言いますと、大山から美保湾の間を朝日は物凄くきれいに上がります。だから、太陽が上がる東海から、太陽が上がる境港、それが見える新しい岸壁にぜひとも向かいたいと、こういうふうに願っております。
 そのあたり、知事お考えがございましたらお聞かせを下さい。


○答弁  平井知事

 今、確かに時代は変わると思います。
 ですから、いままでのように2500メートル化の滑走路がある、そして、新航路があるという、全く違ったことになってくるこの鳥取県を交通施策全体から考えねばならない事だと思います。
 その意味で、組織的な対応は、現在、実は交通政策の課がありまして、そこがやりうる訳でございますけれど、正直申し上げまして機能を果たしてません。
 機能を果たしておりませんので、次世代改革のプロジェクトを今やっておりますが、その中で、そうした交通の体系について、特に、鉄道だとか、航空だとか、バスだとか、それからレンタカーや、あるいは日常の自家用車の交通ですとか、全体を考えて、どういう交通施策というのを考えうるのかということをみんなで話し合うような機会といいますかプロジェクトをもつべきだと思いますので、それは、その様に改めて参りたいと思います。

 それから、二つ目としまして、昭和の北岸壁でございますけれども、これは、確かに今、横に材木が積んであったり、体裁として見栄えが良くないとは、これはいなめないところだろうと思います。
 本来は、議員がご指摘のように、竹内の中に国際フェリーターミナルを作るべきでありまして、そこに私共も向かって参りたいと思います。
 ただ、赤沢議員の、国会でやり取りがあったという事でございますが、それは、我々も胸に刻みまして、是非、実績になるように、この航路を安定的に就航させて、将来も続くのだという事を見せて、その上でフェリーターミナルを建設にこぎつけたいと考えておりますので、一歩一歩努力を致して参りたいと思います。
 後、新しい航路の位置づけでありますけれども、私も非常に舌足らずだったかもしれません。
 お詫び申し上げなければならないかもしれませんが、私が申し上げたかったのは、東海の人たちというか韓国の人たちにとって、東海岸というのは朝日の名所なんです。朝、陽が登る所の名所な訳です。
 それから、実は山陰は、境港は地形上、港側から見ると朝日があるかもしれませんけれども、中海だとかあるいは宍道湖だとか、あの県域の山陰中央のあたりというのは、夕日がきれいな所という事で、全国的なランキングで上の方にいくところであります。
 そういう意味で、例えば一つのレトリックとして、朝日が昇るような所と、それから夕日がきれいな所とこれが結ばれて新しい大動脈ができましたということを申し上げたわけでございます。
 その時に、一番言いたかったことは、要は、我々が何気なく接しているこの自然環境だとか、美しいもの、素敵なもの、評価できるもの、これをそれぞれの地域が、お互いにもっていることです。
 これが結ばれて、観光客がクルーズとして行き来をするようになる。あるいは、それぞれの地域が結ばれて、経済的に港町を中心として発展系が周囲に広がってくる。これは、今まで東海でも、正直なかったことですし、山陰は山陽と比べて衰えていた所だと思います。
 ですからそれを解決してく、打開していく転換点を今、私達は歴史的に共有できたという喜びを申し上げたかったわけであります。
 議員も、この航路を大きなきっかけとして地域を転換させていきたいという情熱に燃えておられる事は私もよく解りました。私も、できれば就航したら、その船の上に乗りまして、雪が降らない季節かもしれませんけれども、乾杯をさせていただければありがたいと今から願っている次第でございます。


(午後の部)

○追求質問  安田議員

 午前中一つ追求が抜けたようですので、人材育成プロジェクトですけれども、教育長、知事からそれぞれお答えを頂きました。
 私、これは大変大きな問題であろうと受けとめておりますが、あまりこの問題が、この議場で語られたことがございませんでした。
 いわば、開かずの扉を今日、叩かせていただいたということでございます。
 過去に集中改革プランの中に教員の定数というものも組み込まれているというような事であるとか、ニューディール政策の実施の中での今の問題点があるとか、あるいは、今話題の少人数学級の存続の問題であるとか、ほんとに色んな事が絡んで、この問題のことを複雑にし、大きくしているのではないかと思います。
 今後、議員の皆様にも、どんどん議論を尽くしていただきまして、みんなで考えていくべき問題ではなかろうかと思いますので、今日はここまでにしておきたいと思います。

 壇上からの2回目の質問に入らせて頂きます。


6 ポルフィリン症と闘う兄弟に理解と支援を

 ポルフィリン症とは、赤血球の中のヘモグロビンを合成する二つの蛋白質、ヘムとグロビンのうち、ヘムを作る過程の異常で起きる病気です。
 ヘムは、色々な酵素が関与して作られますが、この合成過程の物質をポルフィリンといいます。
 ポルフィリンは、本来、速やかに排尿、排便され、体内には殆んど残らないのですが、合成過程に何らかの異常があると体の中に蓄積、沈着してしまいます。光にあたると毒性を持ち、沈着した部所を破壊してしまうという働きがあって、もし皮膚に沈着した場合は、日光に当たることによって潰瘍を起こすということになります。
 臨床的には、腹痛・嘔吐・便秘等の消化器症状や、運動麻痺、四肢知覚障害の神経症状が前面に出る急性ポルフィリン症と、皮膚症状を特徴とする皮膚型ポルフィリン症の二つに分類されます。
 さらに、欠損する酵素によって、8種類のポルフィリン症が知られ、全てのポルフィリン症において重篤な症状を呈します。若くして肝不全により死に至ったり、医師の誤診などで診断が遅れたり、禁忌薬の投与によっては死の転帰をとることもあります。
 慈恵医大皮膚科の調査によると、極めて稀な疾患ではありませんが、一般外来においてかなりの確率でポルフィリン症患者を見落としている可能性は否定できず、事実、急性ポルフィリン症では、初期診断による誤診率が約80%と極めて高いことが統計学的に分かっています。
 その上、この病気に対する根本的治療法は全くなく、専門の医療機関も殆んどありません。
 患者や家族の皆さんは、大きな不安と負担を抱えながら必死でこの病と闘っておられるというのが実情であります。
 池谷鉄兵君は、現在、日本福祉大学2年生ですが、野球少年だった境港市立上道小学校5年生のときに発病しました。野球をやっていて、日に当たったところが腫れて、酷いところは水疱になってただれるという症状でしたが、入院先の病院では、単なる日焼けによるやけどとしか診てもらえませんでした。
 3才歳下の弟の栄治君も、同じ年に発病しましたが、病名も原因も対処もわからないままの状態が続きました。
 2年后の平成12年、神戸大学の市橋教授の「太陽と上手に付き合うには」という講演が鳥取市で開催されることを新聞で知った兄弟のお母さんは、藁にもすがる思いで参加、初めて、ポルフィリン症の一種、骨髄性ポロトポルフィリン症という病名を知ります。
 市橋先生の勧めで、早速、神戸まで出かけ検査の結果、正式な診断がおりたのです。
 以来、神戸まで通いながら、先生の指導に従い、紫外線を避けてサンスクリーンを塗るとともに、外に出るときは、傘をさし、黒いズキンをかぶり、手袋をするようになりました。周りの方々にこの病気のことを知ってもらわねばというお母さんや支援者の思いから、市橋先生を境港市に招いて二度の講演会も開きました。
 先生の大学退官に伴ない、現在は近畿大学の川原先生の下に年に3回通いながら、愛知県で大学生活を送る鉄兵君は、今、新たな運動に取り組んでおります。
 同じ病気の仲間やその家族を中心に結成された全国ポルフィリン代謝友の会、さくら友の会の一員として、この病気の難病指定を国に求める請願に向けて、9万人の署名を集めようという運動であります。
 全国で8百余名の方がポルフィリン症の診断を受けておるそうですが、友の会の会員は僅か66名だそうであります。
 ポルフィリン症が難病指定を受けることによって、病気に対する理解が広がるとともに、治療方法や治療薬の研究が進み、患者や家族の精神的、経済的負担が軽くなるよう、この運動の成就を願うものであります。
 就中、多くのハンディを抱えながら、周囲の暖かい愛に育くまれ、自らの不条理に負けずに大きく一歩前進しようとしているこの“とっとりの若者”が取り組んでいる署名活動並びに難病指定について平井知事のご理解とご支援を賜り、難病の指定につき国への働きかけを強力にお願いするものです。知事のご所見を伺います。


7 子育て応援パスポート事業について

 この事業は、県が妊娠中の方も含めて、18才未満の子どもを育てている家庭に、パスポートを発行し、協賛する店舗等がパスポートの提示を受けて料金割引等のサービスを提供するというものです。
 地域の商店や各種企業等と、県・市町村が連携して子育て家庭を応援するという目的で「とっとり子育て王国」創造事業の核を成すものであります。
 19年11月のスタート以来、登録者は該当世帯の約6分の1の1万世帯、協力店舗は、連携する島根県を含めて一千程ということでありますが、このパスポートの利用状況については調べておられますでしょうか。
 私自身は、この事業を県がやることの意味が見い出せず、「子育てをする人が得をするサービスを受ける」という発想自体、理解に苦しむところがあります。
 私も、二人の子どもを育てましたが、損得で子育てをした訳ではありません。上の子は、故郷を離れた地で、働きながらの子育て、下の子は、頼りとする自分の母親が亡くなってからの出産ということもあって、悪戦苦闘の子育てでありましたが、それでも0才保育や周りの人たちに助けられ、鍛えられて曲がりなりにも親としての勤めを果たしたと思っております。辛いことも沢山あったけど、楽しいことや嬉しいことも経験させてもらい、誰しもが通る人としての道のりであったと受け止めております。その上で、働きながら子育てを経験した立場から、市議会議員の時代から0才保育の拡充や、ファミリーサポート事業の立ち上げ、放課後クラブの設置、ブックスタート事業の提唱等の子育て支援策に取り組んで参りました。今最も切実に願うのは、小学校低学年も含めた病児保育であります。
 しかしながら、こうした私の思いは、昔々に子育てをした者の感覚であって、今の若いお母さん方が、この事業をどのように見ているのか、思い直して聞いてみました。
 10名以上のお母さん、お父さんからも話を伺いました結果、パスポートを取得する手続きが面倒とか、取得してもメリットがあるとは思えないとの理由から、取得している人が圧倒的に少ないし、パスポートを持っていても、使ったことがない人が殆んどでした。使える店が少ない、ガイドブックに掲載されていても全て覚えている訳でなく、行った店自体に表示してないと実際には利用できない。要は、余りメリットがない、得になってないということでした。
 飲食店を営んでいる登録店にも聞いてみましたが、スタート以来、利用者はたった一人ということでした。県の人が何回も頼みに来られたので登録したが、店は一方的にサービスを提供するだけで何の得にもならないので、店内にラベルも貼っていない。組合の人たちも同様であると語っておられました。
 結局、私の調べた限りでは、誰も喜ぶ人のない事業の為に、県は多くの予算と人手を使って仕事をしている。しかも、来年度は更に事業を拡大していこうとしているわけですが、この実態を知事はどう受け止められますでしょうか。
 私は、平井知事が真に子育て王国を目指されるのであれば、住民に最も近い事業を展開している市町村の意見や、他県の例等をよく研究され、時間をかけて県としての関わり方を再検討された方がいいのではないかと考えます。
 知事のご所見を伺います。


8 新型インフルエンザ対策について

 いつ発生してもおかしくないと言われる新型インフルエンザへの対策についてお尋ねします。
 これ迄、鳥インフルエンザ感染による死者数が世界最多であったインドネシアでは、昨年の感染者が24人、死者は20人と減少した一方で、今年に入ってから、中国での感染者が増加していると聞きます。かってない速いペースでの死者の増加に中国政府は、警戒を強めているということです。
 鳥からヒトへの感染が続けば、やがてウィルスが進化してヒトからヒトに感染するタイプが現れる可能性も強くなります。まさに、いつ発生してもおかしくない状況であると云えます。
 19世紀、全世界で3千万人の死者を出したというコレラや、20世紀に世界人口の半数、6億人が感染したといわれるスペイン風邪に次いで、今、私たちは、この新型インフルエンザと否が応でも向き合わざるを得ませんが、その対策は万全でありましょうか。
 本県では、国外若しくは、県外に新型インフルエンザ患者が発生した段階で知事を本部長とする対策本部を設置することとしております。対策本部は、医療対策はもとより、防災・危機管理、学校、事業所等への対策、交通・流通対策等、多岐にわたる機敏な対応が求められ、これ迄経験した災害対策とは異なる新たな対応が必要になってくるのではないかと考えます。
 去る2月15日には、鳥取空港を舞台に、対策本部としては初めての実動訓練も行なわれたわけですが、その結果についてはどのように把えておられますでしょうか。
 県内への患者第一号を想定しての訓練でありましたが、その成果を踏まえ、初動体制における課題についてはどのようなことを想定されるか知事にお尋ねします。
 次に、患者が発生すれば、やはり医療機関が対応の前線基地になろうかと思いますが、その整備・確保については如何でありましょうか。
 計画では、対策本部の設置とともに、県内4ケ所の保健所に発熱相談センターを置いて電話で相談を受け付け、疑わしい人には病院を紹介するというシステムになっております。
 しかしながら、一般的に考えて、風邪をひいたから、体調が悪いからといって、誰が保健所に電話するでしょうか。また、保健所の電話番号をどれ程の人が知っているでしょうか。大変疑問に思います。
 新型インフルエンザの相談窓口となる発熱相談センターの周知徹底について、改めて知事の見解を求めます。また、電話ではなく、直接保健所に行く者への対応はどうされるのか、併せてお尋ねします。
 最后に、発熱外来と入院医療機関についてお伺いします。
 本県が予想する新型インフルエンザ罹患者数は、15万2千5百人、うち、医療機関受診者数は、最大で12万人弱、入院患者数はその1割の1万2千人余とされております。
 これらの患者に対応する為の体制整備については、今なお、二次医療圏毎に、医師会や医療機関等と協議中とのことでありますが、一刻も早く具体的方針を決定し、準備に入っていただくことを願い、現在の取り組み状況について知事の説明を求めます。


9 アンテナショップの現状と今后の方向性について

 平井知事がマニフェストで取り上げられた「食のみやこ」鳥取県のアンテナショップが、東京新橋にオープンして早や半年がたちました。
 12月までの実績を見ますと、物産販売については、一日平均の来店者200人、一人あたりの売上げは1300円で、月平均売上げが750万円程であります。
 レストランについては、一日平均来店者が83人、一人あたりの売上げが3500円程で、月平均売上げは709万円ですが、月を追って売上げが上がってきております。
 レストランの順調な経営に比して、物販の不振が気になるところであります。
 先日発表された1月の結果を見ても、この傾向は一層進んでいるようです。
 私も、オープン以来二度程行ってみましたが、店に入って最初の感想は、「鳥取県って、こんなに都会的でスマートな所だったのかな」という素朴な思いでした。
 一階の物販店は整然と商品が並べられ、はみ出たものや、積み上げられたものもなく、余りに整いすぎていて温かみや親しみやすさが感じられませんでした。
 螺旋階段を上がる二階のレストランは、鳥取の食材を使ったやや高級で、都会的なメニューが出され、オーナーの人脈も含めて固定的な利用者があるように見受けました。
 ちなみに、私が注文したのは、夜間メニューで最も安価な1800円のパスタでしたが、どうしてもと勧められたワインの替わりに県産のミネラルウォーターがついて、請求は2400円余でありました。
 恐らく、レストランはこの先も順調に経営されていくことと思います。問題は、物産販売であります。
 お隣の島根県は、平成15年に日本橋に開設し、当初は経営不振を県議会からも厳しく追及されたと聞きましたが、それでも初年度の物販月平均売上げは2千8百万円余でありました。18年度からは外商部門も加わり、19年度物販売上げは3億6千万円と、全国のアンテナショップの中でもトップクラスの実績を誇っております。
 私も、本県のアンテナショップ開設計画に絡み、出来れば香川・愛媛両県のように、共同で ”山陰館”として設置した方が良いのではないかと思い、委員会の皆さんと一緒に視察してみましたが、店内は活気があり、経営強化に当たられたという県職員の方の自信に満ちた語り口が大変印象的でありました。
 そもそもアンテナショップのねらいは、首都圏における県産品の販路開拓ということにあり、その為の情報発信基地という位置づけであったわけですが、そのねらいを成就する為にも、今はもっと売上げを向上させることに意を尽くすべきではないでしょうか。
 2月12日に開かれたアンテナショップ報告会で、物販店の店長から、首都圏の消費者の声として「地元の有名ブランドがない」、「取り扱い商品が少ない」等の指摘がなされたようであります。
 食のみやこを標榜するに当たらざるとも受けとれる厳しい評価にも聞こえますが、アンテナショップ生みの親でもある平井知事は、どのように現状を把えておられますでしょうか。
 そして成功に向けての今后の取り組みについてもお考えをお聞かせください。


10 消費生活センターの拡充について

 多様化する消費生活上の安心・安全を保障するために、県は東・中・西部の三ケ所に消費生活センターを設置、専門相談員8名を配置しております。
 米子市、境港市が設置しているセンターも含めて、県民からの相談件数は、平成15年度の1万3千件をピークに、19年度は6千6百件と減少しつつありますが、相談内容については、多重債務・ヤミ金融相談や、携帯電話・パソコンでのアダルトサイト、出会い系サイトの利用トラブル、架空請求、不動産貸借に関するトラブル等が多く、高度、専門的対応が求められております。
 相談者も、若年から高齢者まで幅広く利用されており、消費生活の困りごと相談所、駆込み寺的存在になっております。
 センターは、こうした相談業務の他に、自主的な判断のものに行動できる自立した賢い消費者をめざした普及啓発活動や消費者教育活動等に取り組んでいます。
 しかしながら、昨今、食品表示の偽装や悪徳商法、事故米の不正流通等、消費者の安心安全を脅かす事件が多発しております。
 こうした事態に、国は消費者の立場に立ち、その利益を守る消費者庁を設置し、消費者に直結した相談業務の一元化と、ネットワーク化による迅速な対応、関係省庁の垣根を越えた調整権限による問題解決の司令塔を目指すこととしました。
 これを受けて、本県においても消費者行政の拡充が求められております。
 即ち、国の交付金1億6千万円を県の基金として積み、来年度から3年間で取り崩して、県と市町村の事業展開をめざす「消費者行政活性化計画」の策定が義務づけられております。
 この計画に基づき、来年度は、
  ○ 多重債務相談強化キャンペーンの実施
  ○ 県内消費者団体や相談員の人材育成・ネットワークの強化
  ○ 専門的相談への対応力強化
   の3事業とともに、特に
  ○ 消費生活相談機能強化事業として、土、日における相談受付の開始と、市町村の相談窓口の設置強化が挙げられております。
 私は、消費者庁の設置と、その活動展開が、トラブル続きで信頼を失った我が国の生産流通業界に画期的なインパクトを与え、消費者サイド、消費者ニーズに呼応した新たな産業構造へと転換して欲しいと願うものですが、その為にも、出来るだけ現場に近い相談窓口の拡充が望まれるところであります。
 窓口設置についての県内市町村の意向と、これに対する県の関わり方について、知事の所感を求めます。


11 大橋川拡幅に伴う中海護岸整備について

 やまたの大蛇に例えられる暴れ川、斐伊川を治めることは、島根県にとって暦年の大きな課題であり、ダムと放水路の建設と大橋川拡幅という三点セットの事業が計画実施されております。
 これらの治水計画は、斐伊川最下流に位置する本県にとっても避けて通れない重要な課題であり、お隣、島根県松江市の治水については十分理解するものの、県土の保全と県民の安全についてはこれを保障しなければなりません。
 大橋川拡幅については、平成13年の鳥取・島根両県と、中国地方整備局の三者合意による確認事項、即ち、国交省の責任による中海護岸堤の整備と、環境影響調査の実施、堤防開削が条件であり、未だ残る唯一の条件となった護岸整備は、他の2条件同様、当然のこととして、その完成が拡幅工事の前提条件であると私は理解しております。
 この13年合意における護岸整備の扱いについて、知事はどのように解釈しておられるのか、伺います。
 現在、出雲河川事務所が提案している計画は、平成9年の河川法改正に基づいて、一級河川斐伊川について昭和51年に策定された基本計画を見直すものであります。
 新法は、基本計画を方針と整備計画の二本立てとしており、基本方針については、既に平成14年に国が案を策定し、社会資本整備審議会を経て、現在、大臣の決裁待ちの状態です。この基本方針に基づいて、今后20年から30年の間に進めるための整備計画案であるため、松江市が早急に工事着工を求める大橋川改修工事と、その前提となるはずの中海護岸整備が、時期もスパンも同列に並ぶ形になっております。
 この新整備計画に従えば、護岸整備に同意すれば、即、大橋川拡幅工事にも同意することになるわけです。私は、まずもって、これ迄の7年間、護岸整備に積極的に動かなかった国交省の責任を指摘せざるをえません。
 それにしても本県の、大橋川拡幅に対する基本的スタンスとしての平成13年合意を、この新整備計画にどのように具現化するか、平井知事に求められる重たい課題となりました。改めて、知事の所見を伺います。
 県内に残る未整備箇所の再確認や、個別具体的対応の困難性、内水排除の問題等々、国の関わりが未だ不透明な中で県は、1月20日の整備計画案提示に対して保留の態度をとりました。
 私は、この対応について議会人の立場からして、誠に賢明であったと評価をするものです。
 そして、この間、平井知事がこの問題に対して終始一貫、慎重な構えを見せてくださっておりますことについても、安心と信頼を覚えるものであります。
 一方で、年末に境港市で行なわれた地元説明会以降、短期整備箇所として位置づけられた渡漁港については、渡町自治会を中心にした関係者からなる対策委員会が組織され、最も危険な所でありながら、これ迄何の対応もなされてこなかったことに対する怒りと不安をテコに、すでに防災対策も含めた地元要望案を作成され、協議に向かわれようとしているという実態もございます。
 部会における境港市の「大橋川拡幅とは切り離し、護岸整備についてのみ了承」の背景に、こうした地元住民の思いがあることも事実であります。
 今回、事業主体が決まったことで、ようやく整備への道筋が見えてきたわけですが、今后、更に地元との協議を進めていただくよう国に対して要望してもらいたいと思いますが知事の所見を伺います。
 さらに、今回の整備計画案について言えば、上流における2つのダムと放水路の完成と稼働との整合性が不明であります。
 私たち、企画土木常任委員会は、昨年実地調査に行って進捗状況を見て来ましたが、ダムは22年に完成予定、放水路も20年代前半には完成の見込みであるということでした。
 斐伊川治水のための三点セットのうち、ダムと放水路が完成するということは、非常に画期的な出来事であり、下流の大橋川改修にも大きく影響すると思いますが、これらの施設が完成すれば、即、稼働するのでしょうか。国交省はこのあたりを明らかにした上で、大橋川改修計画に臨むべきであると考えます。知事はどのように理解されておられますでしょうか。お尋ねします。


○答弁  平井知事

 安田議員の重ねてのご質問にお答えを申し上げます。
 まず行財政改革プランについてご指摘がございました。
 これはコメントだけだということでございますが、大いに皆様でも、議論を賜りたいと思います。
 我々が申し上げていたポイントは、いかにスリムな県庁を構築していけるかということでございますが、議員が、パンドラの扉といいますか、今まで開いていない扉を開けたとおっしゃいましたけれども、実はその人件費の一番大きなところは教職員の人件費ということになっておりまして、これをどうするかということで、県の行財政というのは大きく右へ行ったり左へ行ったりカーブをすることになります。我々としてはそのバランスをとりながら提案を申し上げているところでありますけれども、考え方が錯綜するところもあろうかと思います。例えば先ほどの処遇ということで言えば、確かに30人学級云々の問題がございましたけれども、それよりも実は数が大変に多いのは常勤の講師の数が、今は非常に多うございまして、こういうところを教員の定数との関係で、正式な教員のほうとの境目をどうするかというのが、よほど非常勤の数のところよりは大きな問題にはなるのかもしれません。
 色々と課題のある分野だと思いますので、今後とも議論をさせていただきたいと思います。
 次にポルフィリン症についてのお尋ねがございました。
 これはどういうふうに治していいか、それが確立されていない病気でございまして、しかもこれはヘモグロビンを生成をいたしますヘム、そのうちのプロフィリン、これが形成に関わりますが、その異常に基づいた病気ということまでは解かってきている訳でありますが、じゃあそれを治療していくことの確立ができている訳ではない訳でございます。太陽の光というのは命を育む源泉であるはずでありますが、その太陽の光が故に赤血球のほうに異常をきたしてしまい、外出することもままならない。溜まり溜まっていくと肝臓にも障害を来たす可能性もある訳でして、重篤な状況に至る原因を作るかもしれない。
 その恐怖の中で暮らしていかなければならない患者の方々、それからそれを支えていかなければならないご家族の方々、医療関係者のご努力、誠に並々ならぬものがあると思います。私たちはこうした難しい病に対して、きちんとした支えをする心を持たなければならないと思いますし、国が中心になろうかと思いますが、そのシステムを確立しなければならないのだと思います。
 本県におきましても、議員のほうからご指摘のありました池谷鉄平さん、そして栄治さんのご兄弟が苦しんでおられることがテレビでも報道されて、全国にも知られるところとなりました。
 しかし国のほうの難しい治療を確立するための研究事業、難病ということには指定が至っていない訳でございまして、この度多くの疾患がこの難病指定を受けることになりましたけれども、今回のポルフィリン症はその中に入っていないというのが現状であります。
 鳥取県の場合、その治療ができる医師がおられるわけでは必ずしもありませんし、遠くまで通うことのご負担だとか、日常生活を暮らす上で帽子を被ったり、あるいはマスクをかけたり、そうして覆うようにして生きていかなければならないことの苦しさなどを考えれば、一日も早く国において難病指定を行い、その暮らしや治療についての道筋を与えるべきであると思います。それこそが国の医療保障の責務ではないかと考えるところであります。
 先ほどのお話の中でさくら友の会で輪を広げようじゃないか、難病指定という輪を広げようじゃないかということでございまして、私共も賛同申し上げたいと思います。県として国のほうにもこの難病の指定を強く働きかけて参りたいと思いますし、この議場での議論でありますとか、それからご家族、それからご本人の苦しみやご努力につきまして、国のほうにもしかるべく伝えたいと思います。
 またこの難病の指定のためにはやはり世論が大切なんだと、今までの経験から思っています。ですから署名を集めるという活動を今、一生懸命されているということでございますので、私共も微力かもしれませんけれども、ご協力を申し上げて参りたいと思います。
 次に子育て応援パスポートについてのお話がございました。
 議員からご披瀝がありました通り、子供を育てるということは本当に厳しいものがありますけれども、また喜びも伴うものであると思います。
 二人のお子様をお育てになったご経験から、働く者としてファミリーサポートセンターだとか、あるいは0歳児の保育だとか、そうした取り組みをやってきたというお話がございました。
 最近の子育ての状況でございますけれども、確かに子供の数は減ってきました。じゃあ昔のように子供の数が減った分だけ子育てが楽になったかというと、むしろ逆のように言われるのが実際ではないかと思います。その内の一つの原因は、子育てを行っている家族が孤立をしているんではないかと言われることであります。核家族化が進んで参りました。私自身もそうでありましたけれども、おじいさんおばあさんと同居をして子供というのは育つのが当たり前であった時代から、親御さんだけのことになっている。しかも近所の輪というものが、以前ほど強くないかもしれません。昔であればご近所の誰々ちゃん、というのはみんなが知ってましたけれども、ちょっと都市部になりますと、一体あの子はどこの子だろうかということになる訳でございまして、これは決して良いことではないのだろうと思います。そういうことから疎外感を覚えて、母親が一人ノイローゼになってしまう。育児を抱えて、一体どうやってこの子を大きくしていったら良いのだろうか。確かに大変手がかかりますし、解からないことだらけでありますし、昔なら相談相手としておじいさんおばあさんがいたり、あるいはご近所の方々とのコミュニケーションが確立していたかもしれませんけれども、今はそれがない。そういうところを変えていくための努力が必要なんだということだと思います。
 鳥取県では子育てサポートセンターを、保育所が一緒になってやりまして、そうした知恵を共有しようじゃないかという取り組みだとか、いろんなことをやっています。ファミリーサポートセンターも、おかげ様で全国に誇れるくらいのネットワークができつつあると思います。
 その中で一つのアイディアとして持ち上がりましたのは、町全体で子育てを応援しようじゃないかと。そういう暖かい絆を町としても用意しようじゃないかということでございまして、これが子育て応援パスポートの考え方な訳でございます。
 確かに議員がご指摘いただきましたように、現在導入されて間もないところで、成熟した状態になっておらず、不備やご不満もあろうかと思います。そういう点では率直に議員がおっしゃったように、市町村の意見や他県の状況を見て改善をすべきだと私も思います。
 現在、鳥取県も比較的早い段階だったと思いますが、導入いたしましたけれども、ほぼ全国の都道府県が取り組む施策になりました。47のうちの40の都道府県がこれに取り組んでおる訳でございまして、いわば子育て施策の標準形になりつつあります。その理由は市町村が主として子育ては行政分野になりますが、市町村の仕事でありますけれども、やや広域的に地域全体で子育てを応援する仕組みということで都道府県が比較的手掛けやすい、ないし手掛けるべき領域であったということではないかと思います。
 我々のほうでもアンケートをとって調査をしたことはございますので、そうした実情や反省すべき点、それからこれからの方向性につきまして福祉保険部長から詳細をお答え申し上げたいと思います。そのアンケートの中でもありますけれども、やっぱり現代的だなあと思いますのは、特にお父さんお母さんが喜ばれておられて、ポイントが高いのは、買い物をするときポイントが溜まるとか、あるいは割引が受けられるとか、それからちょっとした特典が得られるとか、遊び場があるとか、そういうようなことが評価の対象になっているようでございまして、いろいろとニーズに即応しながらカスタマーサイドに立った事業に変えていくべきだと思います。
 次に新型インフルエンザ対策についてに対してでございます。
 これについては、議員もご指摘いただきましたけれども、かつてコレラが大流行した、スペイン風邪が大流行した、同じように新しい爆発的な感染症が発生をし、致死率が高いことになるのではないか、そういうように言われます。いつ発生するかということでありまして、事実上のカウントダウンに入ったといっていいだろうと思います。国も対策に取り組み始めましたし、各地でも自治体が上げて取り組んでおります。
 鳥取県は他県に先駆けてマニュアルの整備をしたり、実動訓練をやったりということになってきておりますけれども、だからといって十分ではないと思っておりますし、改善しなければならないことは逆に山ほど、進めば進むほど見つかっているというのが現状でございます。
 2月15日に実動訓練を鳥取空港で行いました。その結果についてどういうふうに捉えているか、またその実動訓練の成果も踏まえて、初動体勢における課題について、どういう想定がなされるかと、いうお尋ねをいただきました。
 この度の実動訓練は、東京のほうから飛行機に乗ってやって来たという想定でありまして、感染が疑われる方がいて、さらにそれと濃厚に接触をされた方がいて、そうした状況でその後病院のほうに連れていくというステージの訓練をさせていただきました。ただ訓練を我々だけで行うだけでなくて、評価者の方にも入っていただき、専門のお医者さんですとか医師会の方ですとか、そうした方々にも見ていただいて、講評をいただいて、評価をいただいております。
 今回の実動訓練で、色々とやってみて問題点があるなあというように言われることがございます。例えば乗客の方の誘導だとかスムーズにやらなければならない、それが特に誘導した後で状況についてご説明をしたり、それから疫学的な調査をして、感染がどういう状況にあるかということを調べたり、またその感染が疑われるようなグループだとか、一定の方々に対しては、こういうことに注意してください、これから一旦はお帰りいただきますけれども、こういうことに注意してくださいということを申し上げて、その後の対策に繋げなければならないわけであります。
 しかしまだ手馴れないということもありますが、そうしたところに結構な時間がかかったり、まだあまり機能的にできていないなというような反省がございました。それとかあと、消毒のことですが、マスクをしたり防護体制は取っておりましたけれども、特にその乗客の方について手指の消毒をきちんとやったほうがいいと。飛沫感染だけと思われていますけれども、そうした手指の消毒も必要ではないか。いろんな細かいことまで含めて、指摘がなされてきております。そうしたものを初動における課題として整理をさせていただき、マニュアルのほうに反映をさせていただきたいと考えております。
 一番大切なのは初動のちょっと前の段階から初動にかけてでありますけれども、住民の皆様に、いざ新型インフルエンザが国内で発生するような段階になれば、どういう点を注意して考えてもらわないといけないかというのを理解してもらうことだと思います。今はそれがまだできていないと思いますので、特に発症が見られるような時期になりましたら大々的なPRが必要であろうかと思います。
 それから体制の課題といたしましては正確な情報を収集するということ、それからその正確な情報に基づいて色々と相談を受けたりして、指示ができるようなヘッドクォーターの確立をすることだと思います。
 今、我々の県庁の中でも相談を始めましたのは、この間の初動訓練の結果も踏まえて、専門性の比較的高いグループを県庁の中に数名でも作っておく必要があるのではないか。そういう人達を、もし事が起こりそうな時になったら、日常業務から切り離してコアのメンバーにする必要があるのではないか。
 こんなことを今、話し合ったりいたしております。
 また疫学調査のやり方だとか注意事項など、システマチックにしかも短時間で行うことが求められますので、そのマニュアルを徹底する必要があると思いますし、適切な消毒のあり方だとか、あるいは交通運搬のツールだとか、関係者の参集のやり方だとか、初動において確立すべきテーマというのは見られたと思っております。そうしたところをマニュアルの中に、書き込むようにさせていただきたいと思っております。
 次に新型インフルエンザの患者が発生した場合に、医療機関が対応の前線基地になろうと考えられるけれども、その整備や確保についていかがかということでございます。
 この状況について福祉保険部長からお答えを申し上げたいと思いますが、海外発生期から県内の発生の初期の段階においては、県内では済生会病院、それから県立の中央病院、また厚生病院、それから鳥取の医療センター、この4つを基本的な医療の基地として活用することにいたしております。
 さらにそれが大流行へと向かっていく段階になった場合には、発熱外来、あるいは入院を受け入れるところを増やさなければなりません。この調整を今はまだ、正直なところやっている真っ最中でございまして、これを急げという趣旨だと思いますが、そこを今やっている真っ最中でございます。いくつか受け入れについて協力いただけるという医療機関も出てきておりますが、まだもっと努力をすべき部分もございますし、公共施設を活用するということも視野に入れなければならないと思っております。
 次に本県が予想する新型インフルエンザの患者数は15万2500人、医療機関の受診者は最大で12万、入院患者が1万2000とした場合に、その体制についてはどうかということでございました。
 これは今申し上げたことと重なります。詳細を保健福祉部長のほうから申し上げたいと思います。
 いずれにしても一刻も早く具体的方針を作るべく、新年度に入って早々にでも一応の案を求めたいと思っております。その意味で医師会はじめ、関係者の方々のご協力を仰ぎたいと思っておりますし、鳥取大学とも近々協定を結び、例えば済生会で医者の応援をすることができるように協定を結びたいと考えております。
 次にアンテナショップの現状について、あるいは今後の取り組みについてということでございますが、首都圏での県産品の販路開拓、情報発信基地という位置づけであるけれども、売り上げの向上が、特に物産で必要ではないだろうか。商品が少ない、有名ブランドがない等の指摘もあると。どういうふうに現状を捉え、今後の取り組みを行うべきかということでございます。これも度々この議場でも、ご議論いただいております。
 1月の売り上げは、実はよその県もそうだったんですが、12月の歳末商戦の後で売り上げが各アンテナショップで落ちておりますけれども、当県も落ちました。その後、2月が600万を越えるくらいの売り上げに回復してきておりますので、そういう意味で一応の線には戻りつつあるのかなあと思っておりますが、まだまだ課題はあるかと思います。
 私もアンテナショップはもちろん歩きますし、色んな方からご忠告を順番にいただくものですから、ああ、そういうこともあるのか、こういうこともあるのかと、自分の頭にもだんだん入って参りました。
 一つはまず品揃えの問題があるのではないかということだとか、それから特にアンテナショップに求められる、鳥取のアンテナショップに求められるのは生鮮系のものでありますけれども、そういうところが弱いとか、いろいろと課題があるとお伺いをしておりまして、これは実は私共のチームでも、その解決を一つ一つ当たっているところでありますし、実際に受けていただいています事業者にも相談をして動いていただいております。例えば冷凍冷蔵の陳列棚を増やしたり、それから野菜を置く棚を新設いたしましたり、そういうように中のあまりにも整然としていて物が少ないという状況から、今変えようといたしております。
 あと賑わいが足りないじゃないかということがあります。ですから通年的にいろんなフェアをやるようにできないだろうか。今の季節はイカのフェアをやっていますよ、今の季節は梨のフェアをやっていますよ、というようなことがずっと続くような形になって、お客様を呼び込んだり楽しんでいただく、そういうことが必要ではないかと。島根なんかはそこ上手にやっていますので、そうしたことも勉強させていただこうと思っておりまして、新年度フェアの通年化を図ろうといたしております。
 その他にもいろいろとテーマがありまして、品揃え少なくてすぐ欠品になると。これは3階に少し倉庫といいますか、物を置けるようなスペースも作って、欠品率を低くしていつでもお買い上げいただけるように改めていこうとか、現在一つ一つ改善の手立てを打っているところであります。そしてできれば元々常任委員会などで申し上げていましたような経営の状況に持っていって、安定的な運営に繋げていきたいと考えております。元々の設定が、売り上げが島根県の売り上げよりも小さめの売り上げの設定になっておりますが、逆に店舗にかかります費用が鳥取の場合は圧倒的にこじんまりといたしております。ですから大きく商売をして、大きく物を売るかということと、我々の場合はどちらかというとアンテナでございますので適当な規模でというふうに思って始めた次第でありまして、少なくとも今の経営目論見を達成していきたいというように考えております。
 議員のご指摘のような共同店舗も実は検討させていただきまして、何軒かとアプローチをいたしましたけれども、なかなかこれは縁組がうまくいかずに今回のようなことになっているわけでございます。それでも近所に愛媛、香川のアンテナショップがあったり、銀座界隈そういうものが多うございますので、見て歩きながら、買って歩きながらというお客様を迎え入れるようにして補って参りたいと思います。
 次に消費生活センターについてでございますが、できるだけ現場に近い相談窓口の拡充が望まれる。県や市町村の意向と、これに対する県の関わり方について問うということでございます。
 安田議員が大変に強調されましたように、これからは消費者という視点を行政の一つの軸に据えなければならないと思います。今までは消費者という視点のところが、国の各省庁の縦割りの中で分断されていたんだと思います。農林水産関係が食品の関係、あるいは経済産業省が商売の関係とか、こういうように分断をされていた。そういうものを統合して、逆に住民の目線で、消費者の目線で、必要なサービスを提供することができるようにするべきではないか。その意味で、身近なところに相談窓口を作るということを、まずはやってみようということだと思います。
 私も大賛成でございまして、将来ビジョンの中にも市町村でそうした消費者生活の相談窓口を全市町村で作ろうじゃないかという呼びかけをさせていただいております。現在は4市と江府町で消費生活の窓口が誕生いたしております。
 さらに今、我々のほうでも市町村に働きかけをさせていただいておりますけれども、今のところ4市と14町村で検討に進んでいると。実はあと伯耆町なんですけれども、伯耆町が検討の前の段階でございます。ただ伯耆町さんもまずは人材育成をしなければいけないと、相談に当たれる人を作らなければならないというような考え方でございますので、根っこから閉ざしている訳ではございません。
 県も消費生活相談の窓口を充実しようと思いまして、土日の開庁でありますとか、それから相談員の数を増やす、それから食品の監視員の制度を設けるなど、こういうことを新年度でやってみたいと考えております。暮らしの安心局をまず設置をしまして、消費者の視点に立った行政の展開を図って参りたいと思いますし、市町村の指導とか相談にこれから乗っていこうと思っていますし、まずは開設するに当たりまして、我々のノウハウがありますから、消費相談の研修だとか、我々からの派遣のような形だとか工夫をして参りたいと思います。
 次に大橋川についてお尋ねを賜りました。
 まず第1点目として、大橋川の拡幅について、国交省の責任によって中海護岸、環境影響調査、堤防開削という条件の合意をしたわけでございます。
 この合意についてどういうように考えているのかというのが、まず第1のお尋ねでございました。
 平成13年6月にこの合意が持たれた訳でございまして、鳥取県と島根県、それから国との間での合意ということでございます。その内に入っておりますのは堤防の開削のことでありますとか、それから環境影響調査のことですとか、今そういうところで解決が進んでいるところがございます。あともう一つ残されていたのが中海護岸のところでありまして、今まであまり進展がしていなかったというのは我々も非常に残念であると言わざるを得ないと思います。
 それについて一日も早く、まずは中海護岸の整備のあり方を決める必要があると思いますし、それから整備の急がれる箇所を実施していっていただきたいと思います。その目処が立つということが、我々のほうで大橋川の着工に安心して同意ができる環境になるんだろうと考えております。
 これについて隣の島根県の溝口知事とも話をこれまでさせていただいておりまして、島根県もこの中海の護岸整備に協同して国に対して訴えかけをするんだと言っております。この点では一応できるということだと思いますので、この取り組みを強めて参る必要があろうかと思います。これとの関連で大橋川拡幅に対する基本的なスタンスとしての、この3点の合意について、新たな河川整備計画にどういうふうに具体化をしていくのかというお尋ねでございます。
 先般も若干申し上げましたけれども、今、重大な局面に入りつつあるんだと思います。それは松江市のほうで市長も、それから議会も大橋川の拡幅を洪水との関係で考えなければならない、この理解を皆さんがされた訳でございまして、急速に事態が進展する可能性が出て参りました。その際に大橋川の上流はとりあえず置いておいて、中・下流から着工してはどうだろうかというアイディアな訳であります。これが進むということになりますと、鳥取県のほうに島根県から今までの合意に基づきまして協議がくると。これに着工しても良いのだろうか、進んでも良いのだろうかという、協議かくるという、そういう時期になってきたということであります。
 我々のほうで注意しなければならないのは、先ほど安田議員もおっしゃったように、かねてから水害のあるところでございまして、最近でも平成18年の夏の集中豪雨で実際に水が溢れてしまい、松江市街が水浸しになりました。命や財産に関わることでありますので、その解消には我々も理解をしなければならないと思います。ただそれによって、下流側の安全、安心が損なわれることになってはならない訳でございまして、大橋川の流量が変わってくる、つまり今回の工事での影響が下流側に及んでくるという時期の前の段階で、その中海の護岸整備が特に緊急性を要するところから整備がなされていると、完成をしている状態に、もっと持っていかなければならないわけでございます。
 実はここの共通認識が、なかなか国との間で去年の秋頃、うまく生まれませんでした。我々のほうではこのままでは合意できないという、かなり強硬なことまで申し上げた時期もございました。
 大分、今は国も計画の作り方が変わってきておりまして、議会にもご説明があったと思いますし、米子、境港両市にも話を説明に行っているところでございます。まずはそうしたところで今出てきている国の案、まだ不十分なところも色々とあると我々は感じておりますので、それを地元の両市、あるいは我々の間で、条件はこういう条件があるということを確認をして、それで国に対して求めていくことが必要ではないかと思っております。それが受け入れられるかどうかが、最大の焦点に今後なってくるだろうと、大橋川の拡張を認めるかどうか、合意するかどうかの争点になってくるだろうと我々は考えております。
 次に渡の漁港についてでございますけれども、これも私も現場のほうに先般行って参りました。
 大変に道幅も狭いところでありますが、漁港として機能しておりますし、海といいますか中海がすぐ下のところにありまして、そんなに高低差がある訳ではない。ですからこれは水が高くなった場合にあっという間に、ということは良く解かりますし、人家がそこまで迫っておりますから、解消が急がれると思います。地元でぜひこれをやってもらいたいという声が上がるのは、私も、議員のおっしゃる通り当然のことだと思います。
 国の今も我々に示している計画の中でも、ここは短期的に整備をすべき箇所だと、国の国交省のほうの責任でやるとなっておりますので、ぜひ進めていただきますように持っていかなければならないと思います。県としてはこれは国に求めているんですが、一刻も早く地元のほうに説明をしてほしいと、地元との協議を進めてほしいというように申し上げております。
 こうした渡漁港の問題だとか、その他にも色々な課題がございますので、そういうものを我々としては整理をしながら、国にまとめてぶつけていきたいと考えております。
 それから次に、いわゆる3点セットと言われますが、斐伊川水系上流のダム、それから出雲の放水路、これらと大橋川でございますが、その大橋川改修にこの上流のダムの放水量も大きく影響すると思うと。これらの施設が完成をすれば即稼動するのだろうか、その見通しと言いますか、理解を聞くということでございます。
 これは国の方から私共がこの点についてお尋ねを申し上げますと、国のほうの説明としてはダム、それから放水路、完成次第すみやかに使うように供用したいというふうに、我々は国からは伺っております。ですからこれ以上のことは申し上げようがない部分でありますけれども、ただ片方で出雲市の議会で一定の議決がなされたことがあったり、それから地元でも様々な議論が出ているのも報道されております。ですから実際には大橋川のこれからの進捗と、それからその施設の実際に供用できるか、地元の合意が島根県側で得られながら供用が本当になされるかというのは、まだ微妙な状況が残っているのが正直なところかなあという感触は持っています。
 ただ我々としては国のほうからそういうような説明を受けておりますし、それから上流側の問題なら上流側の島根県のほうでよくよく采配をしていただきたいと思いますが、いずれにせよ下流のほうに安全、安心上の課題が発生することがないように取り計らっていただきたいと考えております。


○補足説明  福祉保険部長 磯田教子

 子育てパスポートと新型インフルエンザについての補足答弁をいたします。
 子育て応援パスポートにつきましては、議員ご指摘の通り、1年経っていろいろな課題も見えてきております。
 登録世帯につきましては、おかげ様でスタート時よりも1.7倍増えて今1万1000世帯近くになっております。しかし協賛店舗がやや伸び悩んでおりまして、1000店舗に留まっております。
 実は昨年の12月にこれらパスポート利用者に、アンケートを実施致しました。約2200人に実施し、400人近くの回答が返っておりますが、その中では、
 「よく利用している、子育て世帯にはありがたい」という意見もあるやら、
 「子供がいて良かったという気持ちになる」とか、
 「非常に素晴らしい事業で大変助かっている」という意見がある一方、
 「PR不足である」とか、
 「協賛店が解かりにくい」とか、
 「利用しづらい」等のご意見もいただいております。
 一方、企業さん、協賛店舗さんのほうに約570店舗近く伺いましたが、140店舗からお答えが返っております。
 主な意見は、
 「この事業に参加し、子育てを応援する企業としての意識が向上した」とか、
 「親子連れが増えて店内の雰囲気が暖かくなった」とか、そういうお手紙もいただいております。
 また一方、
 「パスポートを知らない人がいるのでもっとPRすべき」とか、
 「もっと子育て家庭に利用していただきたい」とのご意見もいただいております。
 今、これらの結果を分析いたしまして、今後の施策に生かすよう、取り組んでいるところでございます。
 新年度の取り組みと致しては、日々利用する店舗の拡大でありますとか、大手スーパーでの子育て応援デー開催するとか、市町村と連携していくとか、直接その利用者と協賛店さんとの意見交換会を実施する予定でございます。
 また新規事業といたしまして、新年度から子育て応援企業開拓員を東中西部に配置いたしまして、協賛店の確保でありますとか、いろんな連携をとっていくよう計画しておりますし、またパスポート利用者にお試しキャンペーンとして保育を、一時預かりしていただくファミリーサポート等を体験してもらう等、色々な工夫を今考えておるところでございます。皆様のお知恵を借りながら、本当に子育て応援鳥取県を創造していきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
 次に新型インフルエンザの医療機関の整備状況と、発熱外来、入院医療機関の体制整備の状況でございます。
 本当に刻一刻と迫っておりますが、まず海外発生期、国内発生期、県内初期におきましては、先ほど知事が答弁いたしました通り、中央病院とか厚生病院、済生会を指定をしておりますし、協力期間として鳥取医療センターがございます。
 また、すぐに大流行期となりますが、その際への対応といたしましては医療機関への併設でありますとか、公的施設への設置等の、大規模流行の発熱外来が考えられ、今は協議を何回も重ねているところでございます。
 ただその時に入院医療機関の確保に当たりましては、医師等のスタッフの確保が大きな課題でございます。先ほど知事も答弁いたしましたが、鳥取大学等の医師派遣の状況についても今、最終の詰めを行っております。
 またスタッフ等の確保の際に絶えず出て参ります問題が、感染時の保障はどうするのか、というのが出て参っておりまして、これは全国的な課題でもありますし、国の危機管理事項といたしまして、法整備でありますとか保障制度について、本県やら5県知事会議、さらには全国知事会として国に要望しているところでございます。
 次に、発熱相談センターの周知徹底についてでございます。
 新型インフルエンザに対する一般的な相談につきましては、現在は健康政策課および県内4箇所の福祉保険局で対応しております。
 じゃあいざ、海外発生期におきました時は、次にどうするかといいますと、3箇所の、東部、中部、西部の3福祉保険局が主体となって対応することといたしております。
 まず新型インフルエンザの感染を疑う方が直接医療機関に駆け込まれますと、かえって感染拡大の恐れがありますので、発生時にはまず発熱相談に電話で相談していただくよう、周知をして参りたいと思っています。まずその発熱相談センターでは、保健士とか医師等が状況をお聞きした上で必要に応じて発熱外来を紹介し、受診していただくこととしています。
 また発熱相談センターが周知不足ではないかという提言もあるんですけれど、それにつきましては県政だよりとかチラシ等で啓発に努めておりますが、まだまだ十分ではないと認識しております。
 相談につきましては電話対応が基本ではありますが、直接福祉保険局に来所されました方につきましては専用の相談員室で相談に応じること等を今、予定しております。以上でございます。


○追求質問  安田議員

 追求質問をさせていただきたいと思います。
 ポルフィリン症と闘う池谷兄弟に、理解あるお言葉を賜りました。
 また署名活動にもご協力をいただくということを言っていただきまして、ありがとうございます。難病指定についても頑張っていただけるということで、本当に喜んでおります。
 先ほど世論の喚起ということをおっしゃっていただいたわけですけれども、この地元の境港を中心にして、兄弟を応援する会も今結成されつつありまして、13日には発会式という段取りになっております。
 私は個人的にも昔から親しいものでして、最初の市橋先生をお呼びした時から加わっているのでございますが、やはりそういう形で前に向かって、自分の病気のこと、子供の病気のことを皆さんに訴えていくという段になるまでの親子の辛さというものが、非常に私も子育てをした経験で解かりますので、やはりそこのところが応援してあげたいなという気持ちでいっぱいでございます。
 既に12月議会の段階で、議員の皆さん、そして議会事務局の皆さんには私のほうから署名にご協力をいただいております。皆さん、どうもありがとうございました。今度また県庁のほうでもお世話になりたいと思っておりまして、よろしくお願いしたいんですが、そういう意味で支援があるわけですけれども、やっぱりそれだけではない。まだ理解をいただいていない場面というのもそれなりにあるわけでございまして、県警本部長にお尋ねをしたいと思います。
 昨年の10月、弟の栄治君が学校の帰りに米子の駅前で通学用の自転車に二人乗りをしていて、警官二人に職務質問をされたということがありました。
 その時に二人のうちの一人が、
 「おい、その変な格好した奴停まれ。お前はタリバンか。お前の自転車じゃねえだろうが」
 と、こういう言葉をかけられたんだそうでございます。栄治君は車輪証明というのが駐輪場にあるんですが、それを示して二人乗りについては謝って、そして自分の病名も告げてその場は終わったそうでありますが、その時の警察官の対応はおかしいのではないかと、疑問だということを翌日、お母さんに話したそうでありまして、親子で揃って翌日米子署に出向いて経緯を話したそうであります。担当の方はメモをとられたそうですが、肝心のその言葉についての記録というものはなかったそうであります。誰がその職務質問をしたのかということをお尋ねしても、2日後にまた来てくれということで行ったけれど、その時にも不明であったということでございます。
 私が警察のほうにお話しをいたしまして、この間の経緯につきましては県警のほうにも確認をしていただいていると思います。佐藤本部長はご着任前のことになりますけれども、この職務質問についてどのように思われて、そして栄治君に対してはどのように対応されようとするおつもりか、お尋ねをさせていただきたいと思います。


○答弁  警察本部長 佐藤幸一郎

 ただいま安田議員のほうから、ポルフィリン症と闘う高校生に対して、不適切な職務質問を行なったというお尋ねがございました。まずこのご質問につきましての事実関係からお話申し上げたいと思います。
 昨年の10月28日午後4時30分頃ということでございます。自転車の盗難が多発しておりました米子駅前付近におきまして、犯罪の抑止と検挙活動に従事しておりました警察官二人、これが自転車に二人乗りをしていました高校生、当該高校生でございますが発見いたしました。一方の警察官が高校生を呼び止めまして職務質問を行なった際の事案でございます。警察官は高校生が自転車に二人乗りをし、さらに自転車を運転していた高校生が頭から黒頭巾を被っていた。これを目撃しまして、自転車を停止させたというものであります。この警察官でございますが、当該高校生がポルフィリン症という病気であることを全く知らなかったために、その外見につきまして不適切な発言を行なったということでございます。で頭巾を取るように要請したという事実でございます。これに対しまして、高校生のほうから、身体に紫外線を浴びると皮膚に障害が起きる病気に罹っているので、頭巾は取れませんと回答をしたということでございます。一方の警察官につきましてはこの病気のことを知っていたということで、
 「大変だなあと、テレビを観て知っているよ」
 と、ねぎらいの言葉をかけたということでございます。さらに高校生を呼び止めた警察官は、自転車の二人乗りが違法行為に当たるということを注意すると共に、事実関係を確認するために、
 「だけと二人乗りはいけんだぞ」
 と、米子弁ではそう言うらしいんですけれども、
 「この自転車は誰のだいや、君のや」
 と強い口調で申し述べた、質問したという事実も判明しております。
 またもう一人の警察官につきましては、
 「確認するために自分達を証明するものを何か持っていないか?」
 というようなことも申し述べているという事実でございます。
 もとより警察官の職務質問にあたりましては、犯罪の予防および検挙のため、積極的に実施するよう、私共も指導をしているところでございますが、と同時に職務質問の方法につきましては、常に県民の皆様の立場に立って対応することを心掛けると共に、不適切な言動、これによって県民の信頼を損なうことがないよう指導しているところでございます。
 先生がご承知の通り、私2月16日に本県の警察本部長に着任いたしました。この事案の報告を受けまして、直ちに事実関係の調査を命ずると共に、本件事案に対する組織内における情報の共有化、それと県民の皆様の立場に立った適切な職務執行をとるよう厳しく指示したところでございます。
 またご家族からいただきました、高校生が病気と闘っている、正に強く逞しく生きているという、それを収録したDVD、これを私も拝見させていただきました。ご家族とご本人のご労苦を省みまして、改めて警察官の不適切な言動を遺憾に思った次第でございます。
 今回の事案を踏まえまして、米子警察署では再発防止策として、このような病気の高校生がいらっしゃるということにつきましては、勤務開始前に各警察官に指示を行い、さらにご家族からいただいたDVD、これにつきましても県下全警察署に配布いたしました。順次職員に視聴させて、周知させることにより、この病気に対する理解を深めさせているところでございます。また高校生のご自宅を警察署長が訪問して、警察官の職務質問での不適切な言動について、深くお詫びを申し上げた次第でございます。
 警察の業務というものは、県民の皆様のご理解とご協力がなければ行い得ないのであるということを、改めて私は痛感した次第でございます。今後とも県警察といたしましては、県民の立場に立った職務執行に努めることにより、安全で安心できる鳥取県の実現に向けて業務を邁進して参りたいと考えているところでございます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。


○追求質問  安田議員

 今の県警本部長のご答弁、私は指摘はしたんですが、どうやら米子警察署と県警の間の回路というものが、不十分なところがあったように思っております。途中の経緯をずっと聞いておりますけれども。それでそのことが1点と、それから本人や家族は形だけじゃなくって署長が謝ってくれればいいという問題じゃなくって、知らないが故に直接声をかけてくださった警官の方に、きちんと理解のなかったことについて、あるいは職務質問のあり方について、謝っていただきたいと、こういうことを言っておりますが重ねてご答弁をお願いします。


○答弁  警察本部長 佐藤幸一郎

 先生からご指摘ございました本件につきましては、ご家族から申し出を受けた米子警察署の担当者、これは地域係長でございますが、上司である地域課長に報告致しまして、同課長から地域警察を統括する課であります地域交通管理課、ここまでは報告が上がっておりました。これは全て私共、この事案を先生から2月16日にお尋ねを受けまして、本部員をして事実関係を調査した結果でございます。同課長につきましては、地域交通管理課までは報告しましたけれども、ご家族が2回いらっしゃっているんです。それぞれ一定のご理解が得られたと、いうようなことで個人で判断したということから、署長へは一切報告が上がっていなかったというような状況でございました。署長には報告が上がっていなかったという状況です。本来であれば、事案の重大性を真摯に受け止めまして、署長を経て警察本部へ、担当課まで報告がなされるべき事案だと私は考えております。
 いずれにいたしましても、議員からのご指摘も受けました。県警察としても本件事案を重く捉えまして、その事実確認につきましては今後不適切な言動のあった警察官はもとより、全県下の職員に対して、直接指導して参りたいと考えているところでございます。
 それと先ほど警察署長が謝りに来て、それだけじゃなくて当事者に謝れという話でございましたけれども、私、本件事案を直接監督する者として、本日、この議会におきまして警察本部長として、県警察の組織全体を代表いたしまして職員の不適切な言動につきまして遺憾の意を述べさせていただきます。その点はご理解をいただきたいと思う訳でございます。
 県警察は正に職員が一丸となって、治安維持に向けてこの取り組みを強化したいと思いますし、県民の皆様に今後とも安心して住んでいただけるような警察の実現を目指して、警察活動を展開して参りたいと考えておりますので十分その点につきましてもご理解をいただければと考えております。


○追求質問  安田議員

 本部長、今、本部長自らが謝られたというふうに解釈してよろしいんですね。はい。
 私は県警が最近では犯罪被害者の支援であるとか、そういうことにまで動きを始められたことは大変けっこうなことであろうかと思いますが、県警自身がいわれのない傷つけ方をして、そういう被害者を生み出している、傷つく人を生み出している、そういうことに対しても、自ら敏感であっていただきたいと重ねて訴えておきたいと思います。
 また警察官の職務質問については、警察官の権限に関する基本法ともいえる、警察官職務執行法に基づいております。その権限を行使することによって、国民の生活を守ることが目的であります。その乱用は厳しく禁止されていると私は認識をしておりますが、本部長のご所見を伺いたいと思います。


○答弁  警察本部長 佐藤幸一郎

 二人乗りの自転車を停めて職務質問をするという、その適法性の話だと思うんですけれども、ご質問がございましたけれども、二人乗りはそもそも、道交法だとか県の施行規則で禁止された行為でございます。
 この事案の発生した米子駅前のショッピングセンター、この周辺で自転車盗難の多発地帯だということでございます。不適切な言動のあった警察官も、そのために自転車等の警戒をしていたという実態でございまして、このような下で、自転車に二人乗りをするという違法行為、これを目撃した場合については、自転車を停止させた上で、犯罪の抑止および青少年の健全育成を図る観点から問題がないかどうか、事実関係を伺うということならば、私は警察官の当然の職務ではなかったのかなと思います。
 ただしそこでの不適切な言動、これは先ほど申し上げた通り私は遺憾と思います。これについては改善をし、是正をさせてもらいたいと考えておるところでございます。


○追求質問  安田議員

 私は二人乗りということについての職務質問であったと、今本部長がおっしゃいましたが、二人乗りがそうであったのか、職務質問のそういう対象であったのか、むしろ変な格好をした奴という、それが職務質問になってるんじゃないですか?おかしいじゃないですか。


○答弁  警察本部長 佐藤幸一郎

 私も最初は二人乗りということで原因を確認いたしましたが、先生がおっしゃる通り、そういうような黒頭巾を被っていたということについても不審に思ったということが、職務質問の部分だったと思います。ただしこの部分についてはやはり、病気を正しく理解していないということが、そういうものの必要性と、実際そういうふうな外見から見ての判断でございまして、直接職務質問をして高校生からご回答いただいて、病気だということが解かったということでございます。当初は職務質問をした警察官につきましても、そういうような状況を全く承知していなかったということで警察官職務執行法に基づいて職務行為を行なったという報告は受けております。先ほどは言葉足らずで申し訳ございませんでした。


○追求質問  安田議員

 今後理解を深めていただきまして、このようなことが重ねてないように、くれぐれもお願いをしておきたいと思います。私の元には色々な話が聞こえてくるわけでございまして、これに限らない、やはり警察官の対応というものに対する疑念は常々ありますことはお伝えをしておきたいと思います。
 それから次に進ませていただきます。
 子育て応援パスポートでありますけれども、平井知事がこのことは随分色んな場所で、こういうことをやってるんだよとおっしゃっるものですから、どんな事業であろうかということで、期待を持って実は調べさせてもらい、話を聞かせていただきました。そしてちょっと個人的にも疑問を持ったものですから、私の周辺の若いお父さんお母さんにも話を聞いてみましたし、店舗の人にも話を聞いてみましたし、市町村のほうにも話を聞いてみました。それでこういう声が出てきたものですから、これはこれとして私としてはお伝えをして、県のほうでも検討していただくべき筋合いのものであろうと思いまして、お話をさせていただいたわけでございます。
 私はこの事業については今問題を呈したのですが、あのガイドブックの中で後半に各市町村の子育て情報がだーっと出ている、あの辺については非常に評価をさせていただいております。ああいう一覧情報というのは、ぜひ欲しいなというふうに思っておりました。若いお父さんお母さんは家を建てたりするのでも、子育ての環境が整っている場所に気軽に移動をされて暮らされるという、そういう面もありますので、それは評価をさせていただきたいと思います。
 いずれにしても市町村が随分色んな取り組みでこの子育てには関わっておられますので、そこにやっぱり話を聞かれて、協力をお願いをして、申請もやはり窓口でしたほうがいいんじゃないかと市のほうも言っておりました。そうすれば母子手帳であるとか、検診であるとかの機会もあるわけですから、そういう折にお話もPRもできるんではなかろうかということでありました。そういうことで、今度ファミリーサポートの利用券ということも出ましたが、こういう事業をまだやっていない市町もあるわけで、そういう形で拡大をしていくことがかえって問題を膨らますことになりはしないかという懸念もございます。
 島根県は申請を市町村でやっておりますし、石川県は県がチケットを出す人の対象を子供3人以上にして、その企業からはお金を貰って財団運営をなさって、その財団が赤ちゃん抱っこ事業や何かも、そのお金で回してらっしゃるという、明確な事業運営がなされておりますので、ぜひこういうものを検討していただきたいと重ねてお願いをしておきたいと思います。
 新型インフルエンザでございます。
 実は先般、伊藤議員は沖縄に視察に、勉強に行かれたというふうに語っておられましたが、私は沖縄までよう行きませんでしたが、映画館に研修に行って参りまして、上映中の「感染列島」という映画を観て参りました。大変その映画を観まして、それは新型インフルエンザとは違うウイルスでありましたが、ウイルスが日本列島に入ってきて、街が廃墟と化すまでの過程を非常にリアルに描いて、病院が舞台でございました。発病した人は亡くなる。診た医者も倒れていく。看護婦も倒れる。そういう形で次々に悲惨な状況、困難な状況が起こって参りまして、私は映画を観て大変怖くなりました。
 実は私なんかが質問してもどうしようもない、襲われたらおしまいかなあというような気持ちになったことも確かで、質問を止めようかなとさえ思ったほどでございます。
 大変、経済対策で今は汲々としているんですけれども、地域が存亡を問われるのは、もしかしたらこういう病気に対する対応が右か左かによって、分かれるかもしれないなとさえ思いましたので、一つその点を踏まえてお尋ねをしたいんでありますが、今、知事、磯田部長から一応、話を聞いたんですが、実は私が恐れていることは、私がもしその病気に罹った時、おかしいと思った時、私はどうすればいいんだろうと、こういうことでございます。今の計画、今の状況ではまだどうするのかちっとも解からないじゃないですか。例えば鳥取中部と東部は、県立病院が初動の対応をしてくださる。境港は済生会でございます。県立病院は坂出病院管理者がおられますので、知事からの委任を受けて動かれると思いますが、済生会病院は救急医療指定の病院にはなっておりますので、初動はいいかもしれませんが、その次の発熱外来というような段階になった時、いったいどういうふうになるのか、その辺が私には不安でたまりません。実際に県の感染指定病院であります中央病院、厚生病院の管理者である、初動の受け入れ病院の管理者である、坂出管理者のほうから、具体の対応をどのように考えておられるのか、また医療現場からこのインフルエンザ対策に対してどのような見解をお持ちなのか、その辺の視点からもお話をいただいたほうが、より具体的に理解ができるんではないかと思いますが、質問いたしたいと思います。


○答弁  平井知事

 まず子育て応援パスポートについてでございますけれども、今ご指摘いただいた通りでございますが、我々も今は試行錯誤の中でやっておりまして、島根県のように市町村が窓口になって受け付けられるところもございますし、石川県のようにさらに取り組み方が違った面で、民間の財団が中心になってやっているような例もございます。よく他県の例も調べまして、市町村とも相談させていただきたいと思います。
 私共は実は、スタートする時に市町村を窓口にしてやろうということで調整しかけたんですが、市町村側との調整が最終的にできませんで、ホームページでの受付も含めて県が受け付けるという形にさせていただいたところでございます。これで良しとしているわけではございませんので、実際に市町村の現場のほうで、日頃の子育ての話も交えてやられるということであれば、そのほうが効果が高いと思いますから、そういう市町村にはぜひ輪に加わっていただきたいと考えております。また子育て情報が有用であるというお褒めをいただきましたが、あれも我々独自のものでございまして、他県とは違った特色として取り入れさせていただきました。さらにこの度の新年度の予算の中で、時期を限りましてファミリーサポートセンターで一時預かりをして子育て負担を軽減していただくのを体験していただく仕組みがあると、それもパスポートの事業として、これは県のほうが中心になって取り組むというのを加えさせていただいているなど、子育てプロパーのものもこのパスポート事業とうまく組み合わせて充実をしていければと考えております。
 次に「感染列島」と絡めて新型インフルエンザ対策のお話がございました。
 今我々のほうでPR、といいますか、啓発活動をさせていただいておりますのは、患者の皆様にはまず県の福祉保険局のほうに連絡をくださいということでございまして、それで電話で異常があれば、それで発熱外来を紹介させていただきまして、中央病院だとか済生会だとか、そういうところを紹介させていただくというシステムを出しております。しかしまだその周知が十分でないということなど、問題もあろうかと思いますので、さらにPR等に努めていきたいと思います。議員がご指摘になりましたことで正に本質を抉っているんですが、済生会病院と県知事との関係はどうかというと、これは感染症医療の関係しか今はありません。これは誠に不十分でございまして、国に対してその改善を求めて、制度の改正をすべきだと、これは重ねて言っております。若手の知事の間でも、私のほうから発案いたしまして、そうだそうだとなったんでありすが、例えば災害救助法に準ずるような形でお医者さんに保障するとか、また国民保護法に準ずる形で、私共県のほうが例えば現場で、新型インフルエンザ対策に対して責任が与えられるのであれば、済生会病院だとか色んな病院に対して発熱外来を開きなさいだとか、入院患者を受け入れなさいだとか、一定の強制権限といいますか、システマチックな系統も設けていただく必要があるんではないかと思いますが、今はそれが制度的に欠けていると思います。その面で現場で難しさがあり、話し合いが進んでいないというところがあると思っておりまして、国に対しても改善を求めて参りたいと思います。


○答弁 病院事業管理者 坂出徹

 新型インフルエンザに関わります県立病院の対応、今、福祉保険局が中心となって協議・調整をやっているところでありますが、今時点での考え方ということでお話をさせていただきます。
 私共の発熱外来は、海外発生期から県内での初期、まだ患者さんが少ない時期まで、病院、あるいは病院の近くで開こうということで考えております。
 感染症病床4床のところまででございます。それ以降は他の機関に発熱外来の機能を受け持っていただいて、県立病院のほうは外来のところは閉鎖すると。重症患者さんの入院治療のほうに集中していくという考え方でございます。
 この入院の関係は、今申しましたように国外発生のところから進めて参りますけれども、病院の職員がやはり新型インフルエンザに罹って出勤できなくなるという事態が予想されます。今のところそれを4割というように想定して、順次病棟を閉めていくようなことを考えております。最終的にやはりどうしてもやらなければならない病院の機能がありますから、それでいきますと、まず新型インフルエンザの患者さんを受け入れる病床、これは中央病院では50床、それから厚生病院では30床、これぐらいの受け入れしかできないであろうという想定致しております。それ以外にあと救急救命のところ、それから周産期小児医療のところ、いわゆるICUですとかMFICFですとかNICUですとか、そういうところはぜひとも医療を確保してやっていかなければいけないと、そんなふうなことで考えております。これをどういう段階でどういうふうにしていくかというところについては、今はとりあえずは絵に描いておりますけれども、時期時期にここは開けておく、ここを閉めておくということをやっていますが、今後また県との調整を進めることによって変えていきたいと思っております。
 現場からの考え方というか、意見というか、それをというご質問がございましたが、病院を運営するという立場でお話をさせていただきますけれども、今いろいろ実地訓練などもやられておりますが、これは今私が言いましたところでの県立病院で発熱外来を開けておく、ごくごく初期のところの訓練をまずやりまして、それから先はまだ具体的な姿としては見えてきておりません。正直申しまして医療機関でこのインフルエンザ対応を全部できて、解決できるというふうには絶対なりませんので、そこのところの認識を皆さんに持っていただきたいという気持ちでございます。知事のご答弁の中にもありましたけれども、入院患者が1万2000人というのを想定が今されておりますけれども、先ほど申しましたように、最終的に提供できる病床数が中央病院で50床、厚生病院が30床ですから、それが何回転すれば、大体これがまかなえるかということがございますので、やはり感染する患者さんの全体の数をできるだけ少なくするようなことをやっぱり考えなければいけない。それからもう一つは、ピークの山の高さをできるだけ低くするようなことを考えなければいけない。そういうことを考えますと、例えば個人でいいますと手を洗うとか、うがいをするとか、マスクをするとか、あるいは人ごみに出掛けないとか、そういう個人の行動でまず防いでいただくということも大事でありますし、それから感染の機会をできるだけ少なくなるように、人の移動の制限をしていく。そういう社会的な規制といいましょうか、対応というのも大事であろうなというふうに思っております。ぜひ今後そういうところに目が向けられて、そういう動き、あるいは計画というものが煮詰まってくることを期待をいたしております。
 以上でございます。


○追求質問  安田議員

 今、坂出病院管理者から話を聞きました。
 先ほどの知事の答弁と併せまして、私は県でこの問題に対応するということは大変難しいというふうに考えております。個人の行動で防ぐ、移動を制限するといっても、そういう権限が今の段階では、知事には与えられておりませんね。それから発熱外来を作るといっても、そこには医師、看護士、技師等々のスタッフが必要になってきますが、その任命権は知事にございますか?今の段階ではありませんね。やはり国がもっと本腰を入れて、この問題には取り組むべきではなかろうかと思って、大変私も危惧をしております。今後とも一層、皆で声を上げて、何とかしなければいけない大きな課題ではないかというふうに思います。
 それからアンテナショップは頑張っていただきたいと思いますが、私はアンテナショップの考え方として、PR、情報発信であるというならば東京でやるだけではないんじゃないかなあと。この間から、いろんなところでの設置方を知事も言っておられますけれども、例えば県内の一番多い観光地というのは水木ロードではなかろうかなあと思いますが、170万お見えになっております。で、東京でいくら頑張っても10万そこそこかなあというふうにも考えたりします。それで、そういうところにアンテナショップを出して全国からお見えのお客さん、あるいは海外からのお客さんに、鳥取県、食のみやこをPRしていくっていう、そういう発想もいいのかなと思ったことが一つ。
 もう一つは鳥取県の食材というのは大変素材が良いもので、それが食材として加工される技術というものは、まだ十分にはできてないんじゃなかろうか、磨きがかかっていないんじゃなかろうかなあと、いうふうに思ったりします。素材が良い、そしてやはり家庭でそれを利用して、美味しいものはお店になくって、それぞれのご家庭の中にあって、おばあさんやお母さんがそれを伝えていらっしゃるというのがまだ鳥取県の現状じゃなかろうかなと、いうふうにも考えるわけです。そうなってくると、食のみやこを目指す県民運動みたいなもので、うちの家ではこういう食材を、料理をしてますよ、というものを並べる場としてのアンテナショップを考えても良かろうかなあと考えて、一つの提案をさせていただいたわけでございます。これはぜひ知事、研究をしてみていただけませんでしょうか。外側を作れば出展者はそれぞれコーナーのお金、利用料を出してやるわけですから、そんなにお金はかからないんじゃなかろうかなあというふうに思っております。
 それから消費生活センターでございますが、実はご相談の方々っていうのは、私なんかにも夜分とか土日に、けっこう電話がかかって参りますが、やっぱりなかなか顔を出してくださらないものですから、市町村に設置をしても、あまり効果がないんじゃないかなと当初私も思っておりました。
 ところが実際に窓口を設置している市に聞いてみましたら、そんなことはないと。やっぱり窓口を設置すれば相談数が増えるんだというお話がありましたので、それは相談内容によって、市を使うか、あるいは米子のセンターまで、あるいは鳥取ですか、そういう県のセンターまで出向くかは、それぞれがご判断をされて確実に相談件数は増えるんだというお話を伺ったものですから、やはりいろんな問題もあるように聞いておりますが、県としては設置の方向で頑張っていただけたらなあというふうに思った次第でございます。


○答弁  平井知事

 新型インフルエンザ対策につきましては先ほど来、出たような論点で我々も国に対して働きかけるなど、充実を求めていきたいと思います。
 そしてお尋ねのアンテナショップの関係でございますが、水木しげるロードのように170万人を超える観光客のあるところもいいのではないか。それから素材が良いことを生かして加工する、県民運動のようなことを展開できないだろうかというお話をいただきました。
 アンテナショップといいますか、そうした県の食材を食のみやことして売り出していく場所については、先般来、様々なご提案がこの議場上でもあります。いろいろと考えてみればよいと思いますし、高速道路が通ったところとか、あるいは観光地ですとか、そうしたところで、可能性はいろいろあるだろうと思います。
 境港であれば、最近またいろんなお店もできておりまして、マグロを食べさせるところがないといったらマグロのラーメンが開業したり、それからさらに障害者の方も輪の中に加わっていただいて、マグロバーガーを売るっていうことも始められたり、その存在自体が、街中自体が一つの食の博覧会的になってきつつあるのかもしれません。そうしたものを捉えてもし境港市とか、あるいはJAと話をしたり、あるいはJFでもあるかと思いますが、そういう店舗を作ってやってみようかという話があれば、我々も相談に乗っていきたいと思います。
 また素材が良いわけでありますから、もっと美味しいものをこうやって食べたら美味しいですよということをPRしたり研究したり、そういう県民運動を発展させる必要があるのではないかというのは、おっしゃる通りだと思います。境港でもお魚を食べる会が、漁業関係者の女性のグループがあって、サワラの料理の研究をされてサワラ飯を作ったり、あるいはつみれを拵えられたり、いろいろとやっておられます。それからそれに留まらず地域としてマグロの研究をやろうとか、カニにからめたことをやろうとか、あるいはサバのシャブシャブをやろうとか、本当に今、輝くようにいろいろな取り組みが出てきているなと思います。そうした県民運動を、食のみやことして盛り上げていくことは大切ではないかと思います。
 ひとつアイディアとしてどうかなと思いますのは、調理師会だとか、実際に包丁を持って調理をされるプロの方々がおられますが、こうした方々に地域の食材で料理の提案をしてもらう、そのコンテストといいますか、発表の場といいますか、皆様も食のみやこを体感していただいたり、それを他の方にさらに伝えていただく伝導者となっていただけるような、そういうイベント仕立ても可能ではないかと思います。議員がご指摘の論点を膨らましてみて、食のみやこの県民運動を盛り上げて参りたいと思います。
 最後に消費生活センターについてお話がございました。
 市町村の窓口を充実すべきだということでございまして、先ほど申しました通り今呼びかけをしておりまして、けっこう輪が広まってきつつあります。意外と早いタイミングで、全市町村まで広まるかもしれません。
 大切なのは安田議員がおっしゃったように、住民の皆様にとって何が利用しやすいかということだと思います。我々は米子だとか、あるいは鳥取もそうですけれども、拠点に相談センターがありますけれども、もっぱら電話で受けるというのが多いです。直接ご来庁される方もいますが、直接ご来庁される方が決して多いわけでもありません。市町村の窓口であれば、行って話を聞いてもらいながら頭の整理をするっていうことは可能になりますので、身近なところに窓口を開く必要性というのは十分あると思います。そういう意味で、我々も新年度の予算も作りましたので、これも活用して、市町村への働きかけを強めて参りたいと思います。


○追求質問  安田議員

 最後に質問をさせていただきたいと思います。
 中海の護岸の話ですけれども、大体理解はできるんですが、今の国交省が示している計画案が十分なものではないと、これから求めていくというふうにおっしゃっていました。その求めていく内容に、ぜひ私は内水排除の問題についてもご配慮をいただきたいということをこの場で重ねてお願いをしておきたいと思います。
 普通、河川については地元の市町村がやるべき仕事であるというふうになっておるわけでありますが、米川という水系は非常に特殊なものでございまして、これは河川ではございませんので、それが米川水系が弓浜半島の全ての水系の元になっておるわけでして、上流では農業用水路です。中流、下流になって都市下水になっているわけです。上流のほうの農業用水路というのは米川土地改良区が管理していますし、下流の都市下水路については市のほうがやっていると。農業用の用水路でありますので、普通は下流に向かって川幅が広がるのが普通なんですが、中流から狭くなっているわけですよね。非常にこれは特殊な水系であると、河川ではない、そして境水道や美保湾、中海に流れているわけですけれども、今のご案内の通り、地球温暖化のせいで水位がどんどん上がってきている、21世紀末には1980年から99年の平均海面の水位に対して、18cmから59cmまでも上がるんではなかろうかという国際パネルの報告も出ているくらいでございます。そういうどんどん上がる、排水がしづらくなっている、それに対してゲリラ豪雨のような実際の水害も先般あって、上流で、米子市地域で降った雨、排水も同時に受けて下流まで行って、川幅が狭くなり、排水ができにくいので、下流域で爆発して浸水、冠水したという、これが実態でありますので、ぜひその辺のところを踏まえていただきまして、市だけに処理させることは、私はちょっと可哀想かなということを思っておりますので、国に対しても、これは中海干拓の用水問題も絡んでおりますね、米川については。今までは、米子だけで水を取るなと、境まで水をよこせということで、よこせよこせということだったわけですよ。今は米子の空港、滑走路の下で改修工事を現にやっていただいているくらいですが、いざやっぱり今度水害の恐れとなると、逆の危険性もまた孕んでまして、そういういろんな経緯の中での今回の大橋川拡幅であるということを踏まえて、国に対しても県に対しても、協力方をお願いしておきたいと思います。そのことを計画のほうにも、よろしくお願いをしたいと思います。


○答弁  平井知事

 残された課題として内水対策があると思います。これは国に対しても、当然県の役割の部分もございますので、訴えかけをしていきたいと思います。
 議員のほうからつぶさにご説明がありまして、なるほどと思いましたが、確かに通常の河川の系統とは全く違うのが弓浜半島の水であると理解をしなければならないのだと思います。本来は農業用水で引き込んだものが都市下水となって、それが内水になる危険を孕んでいるわけでございます。片方で今、防衛省の協力も得て、空港の下に水路を通しておりますけれども、そういうものも含めて水系の大系だった整備が求めらるわけでございます。
 今度、境水道、これは実は川という扱いになりますが、境水道のところもこれまで計画があまりできておりませんで、この計画作りも求めていかなければならないと思います。外江などの高潮対策と併せて、国も国の役割として樋門の管理のようなこともございますし、一緒になって解決してくれとこれを求めていき、こうしたことも条件の中に入れた上で、国と今からやり取りをします項目の中に、境港市、米子市と話し合いながら組み込んで参りたいと考えております。


○追求質問  安田議員

 長時間に渡りまして、皆様方にもご協力をいただきました。ご回答をいただきました執行部の皆さん、本当にありがとうございました。
 私は、知事が大変お疲れじゃなかろうかなあというふうに心配をしております。この質問をするに当たりまして、いろんな方から声を聞いて参りました。知事にお礼を言っておいてくれと、ようやってもらっていると、そういう声がけっこうございまして、お伝えをし、そして健康に気をつけられて、県政発展のために頑張っていただきたいとお祈りいたしまして、終わりにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

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