平成29年2月定例会

安田優子議員代表質問 (平成29年2月28日)

県議会自由民主党 安 田 優 子

 

一 世界情勢の変化と平井県政の方向性              知事

二 平井県政の課題 −少子高齢化・人口減少への挑戦−

1 合計特殊出生率と人口増                  知事

2 子育て王国とっとりについて                知事

3 女性活躍推進課設置の意義                 知事

4 移住・定住対策の成果と今後の課題             知事

5 観光振興について                     知事

(1)大山振興本部の取組みと今後の展開について
  (2)外国人誘客への対応

6 交通基盤の整備促進について                知事

(1)国際定期便とインバウンド対策の展開
  (2)新貨客船ターミナルの着工と課題
  (3)高速道路の早期開通と4車線化の促進
  (4)山陰新幹線と在来鉄道の高速化について

7 農林水産業の振興について                 知事

(1)新規就業者の確保について
  (2)外国人就労者への対応について

8 高齢ドライバーの事故防止対策について     知事、警察本部長

三 中部地震と豪雪「災害に強い地域づくり」について       知事

四 大福丸転覆事故の原因と今後の対応について          知事

五 県立美術館の整備について              知事、教育長

六 平成29年度当初予算の編成方針について           知事

七 参議院議員選挙の合区解消に向けて              知事

 

                   

皆さん、おはようございます。今日は会派自由民主党を代表して平井知事、山本教育長、井上県警本部長に質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

今日は、いつも浜絣を着るのですが、ウールの普段着の着物を着てまいりました。これは、祖母がくれたものであります。私の祖母は浜絣のプロの織り子でございましたが、自分は絣が嫌いだと言って私にくれたのがこのウールの着物でございました。機織りは、大変苛酷な労働でありましたが、農家の現金収入として大変貴重なものでございました。私の叔父は、そのお陰で大学を出してもらい裁判官になって、そして勲二等までもらったのでございますが、姉である私の母は女学校にすら出してもらえませんでした。

今日は、私は会派でただ一人の女性議員として、そして高齢者であるという立場から、平井県政の最も大きな課題である少 子高齢化、人口減少問題に迫ってみたいと思っております。
私の祖母も母も私がこのような高いところに立っていることを知らずに亡くなっておりますが、今日の質問にあたり、私は改めて貧しさの中で懸命に生きた祖母や母の時代の女性たちの思いをしっかりとこの身に受け止めて、そして職責を果たさせていただきたいと思った次第でございます。
今朝着せていただいた渡辺光子さんから、そんなウールの着物で議場に立つなどということは、お断りをしておかなきゃいけないということを言われました。御無礼の程を冒頭にお詫びを申し上げ、そしてお許しを賜わりたいと存じます。早速質問に入らせていただきます。

一 世界情勢の変化と平井県政の方向性

本年1月20日、第45代米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏は、就任演説で米国第一主義を宣言し「再び誇り高く、安全で偉大な国にする」ことを国民の前に誓うと同時に、医療保険制度オバマケアの撤廃を、3日後には環太平洋連携協定TPPからの永久離脱や、メキシコ国境への壁建設、難民やシリア等イスラム圏7か国からの入国禁止を命じた大統領令を次々に発し、オバマ政権が推進してきた国内改革にとどまらず、これまで政治、経済、安全保障等全ての分野にわたり、民主主義、自由主義の旗手として世界を牽引してきた米国の旗を、自らの手で降ろしたのであります。

このようなトランプ旋風が米国内ばかりか全世界に大きな波紋を広げるなかの2月10日、注目の日米首脳会談が行われ、両国間の同盟及び経済関係を一層強化するという共同声明が発表されました。懸念されていた課題のうち、日米安全保障体制については、日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎないとの確約のもと、沖縄尖閣諸島における日米安全保障条約第5条の適用が確認された上に、会談直後の北朝鮮のミサイル発射に対しても、抗議声明を発表する安倍首相の隣に立ったトランプ大統領が100パーセント日本を支持するとの発言までありました。

しかしながら、経済関係については、米国のTPP離脱を踏まえた2国間の枠組みを含めて、麻生副総理とペンス副大統領が主導するハイレベル経済対話を新設し、財政・金融政策、インフラ投資等の経済協力を今後協議していくこととなり、会談前は、TPPのもつ戦略的、経済的意義から継続を訴えていた日本側も、これにより2国間協議の道に踏み込まざるを得なくなりました。

一方で、ヨーロッパにおいては、国民投票でEU離脱を決めた英国のメイ首相が、離脱交渉にあたっては、単一市場からの完全離脱と移民規制の優先という大変ハードな方針をとることを発表するとともに、トランプ大統領との間で2国間通商協定に向けた協議に入ることにしました。

今後、ヨーロッパ各国におけるEU離脱も争点とした国政選挙の結果次第で、世界情勢はさらに大きな変化も予想されますが、平井知事はこのような世界情勢の変化をどのように捉え、県内にはどのような影響があるとみておられますでしょうか。

既に新年度予算には国際経済が大きく変動することを見込み、海外展開を行う県内企業の戦略再構築に向けた最新情報の提供や、専門的知見によるサポート強化や制度金融が提案されておりますが、これまでTPP対応を主軸に講じてきた対応と、どの辺りが変わっていくのか、どの様に見直す必要があるとお見通しか、知事の見解を伺うものです。

さらに、こうした米国や英国の政治的変革をもたらした要因として、全世界がボーダレスになったことと、それぞれの国内における格差社会の出現とその不満があげられるのではないかと思いますが、平井知事はどのようにみておられるでしょうか。

加えて、ボーダレスな国際社会の到来や、正規・非正規といった労働格差、貧困の格差等々の問題は、既に県内においても現実のものとして出現しております。国としての対応が問われるのはもちろんでありますが、目指す社会のあり方として、県政の方向性として平井知事はどのように受け止め、対応されるおつもりかお伺いします。

この間、日本海をめぐっても大きな変化がありました。昨年12月15、16日の2日間にわたって、日ロ首脳会談が行われ、永年の懸案事項である北方領土問題については先送りとし、平和条約締結に向けた第一歩として、両国の共同経済活動の協議を開始することが合意されました。これに基づき、安倍首相が昨年5月に提案した8項目の経済協力プランに沿った80事業の推進が確認され、このうち68事業を民間の日ロ経済協力として行うこととなりました。

日ロ共同経済活動の主な舞台となるロシア沿海州は本県と25年にわたる交流を重ね、昨年は平井知事とミクルシェフスキー知事の相互訪問がなされ、互いの地域間交流が、両国関係強化の基盤であることを確認しております。

さらに、韓国江原道、中国吉林省、モンゴル中央県を加えた5地方で1994年から毎年開催している北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミットは、昨年21回目を数え、我が国唯一の環日本海定期航路の開設も、このサミットでの提案から実現に至ったものであり、今回の日ロ経済協力の合意と推進は、我が県にとって、これまでの努力と成果をいかした大きなビジネスチャンスをもたらすのではないかと考えます。

新年度予算には、継続事業としてのDBS航路への支援や、本年倉吉市で開催される北東アジア地方政府サミット事業、これまで展開してきたウラジオストクビジネスサポートセンターの運営に加えて、今後の日ロ間の貿易拡大を見込んだ新規ビジネス創出支援事業や、ロシアビジネス拠点化構築事業が提案されておりますが、知事は今後のロシアビジネスの展開にどのような見通しと期待をお持ちでしょうか。お聞かせください。

こうした、新たな日米・日ロ関係の進展が、今後の日中関係にどのような影響を与えるのか、また、アジア地域における日本の立ち位置も大きく問われることになるのではないかと想像します。連日マスコミを賑わしている北朝鮮や韓国の動向も含めて、この先、日本海の波が高まることも危惧されるなかにあって、地勢学上からも、歴史的経緯からしても、環日本海、北東アジアゲートウェイの看板を掲げる“鳥取丸”の進路はどうなるのか、平井知事はどのように舵取りをなさるのかお聞かせください。

二 平井県政の課題 −少子高齢化・人口減少への挑戦−

1 合計特殊出生率について


去る2月21日、昨年の本県人口移動調査結果が発表され、出生数過去最少、死亡数過去最多で自然減が過去最大となり、これを補う社会増も、善戦したものの補いきれず、結果として、1月1日現在の人口は、20年連続減少の568,775人ということになりました。

これに対して、鳥取県元気づくり総合戦略及び鳥取県人口ビジョンは、国立社会保障・人口問題研究所が2040年に44万1千人と推計している本県人口について、5万人増の48万9千人と目標を設定し、2080年頃には人口を安定させることを第一の目標としております。

そのため、2015年の合計特殊出生率1.65を4年後の2019年には1.74まで、2030年には1.95まで引き上げ、最終的には人口置換水準といわれる2.07を目指すということであります。

しかしながら、果たして自然人口増が合計特殊出生率の向上だけで実現できるのでしょうか。

ちなみに本県では、2015年の合計特殊出生率1.65に近い1.64という出生率を1997年に出しておりますが、2015年の出生児数が4,624人なのに対し、1997年には出生児数5,603人を記録しているのであります。

すなわち、出生率の分母である15才〜49才までの出産可能年齢の女性を増やすことを一方で図っていかなければ、自然人口の増加につながらないということであります。

過去20年余りで本県の人口は4万人強減少しておりますが、そのうち3万人強を出産可能な年齢層の女性が占めております。

全国の半数の自治体が消滅する可能性があるとして衝撃を与えた日本創成会議の増田レポートも、若年女性の減少が都市の消滅のバロメーターであるとしております。

本県の人口増加のためには、出生率の向上とともに、若い女性にとって「魅力的な鳥取県」、「住みやすい鳥取県」を目指すべきだと考えますが、平井知事のご所見を伺います。


2 子育て王国とっとりについて

子どもは家庭の宝、地域の宝であり、未来であります。

出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで、切れ目のない支援体制の構築を図ろうとする「子育て王国とっとり」の建国、取組みに対して、まずもって賛意と敬意を表したいと存じます。

県議会においても「子育て王国とっとり推進議員連盟」を立ち上げ、県内外の先駆的な取組みを視察するとともに、本県の子育て施策に対して積極的に提言してまいりましたし、実際に施策として実現していただいたものも少なからずあります。

私は、現在のように生産年齢人口が著しく減少し続ける社会においては、女性が出産・育児とともに、社会を支える役割を果たしていかなければならない時代になったと認識するものです。

そして、戦後70年、男女平等から男女共同参画への歩みは、女性がそのような役割を遂行し得る能力と意識の向上を育んできた過程であったと考えます。

女性の子育てと社会参画を車の両輪として捉えたとき、その役割を全うするためにも、また担保する上でも、保育所の整備拡充と保育士の待遇改善は必須の課題であり、国も2017年度末までに、待機児童ゼロを目指すとともに目標達成の大きな障害となっている保育士不足に対し、新たな昇給制度の導入を検討しておりますが、県内における待機児童の実態と、ゼロ目標達成の見通しについて平井知事に伺います。

3 女性活躍推進課設置の意義

男女共同参画社会の実現は誰もが願うところであり、本県においても永年にわたり取り組まれ、理念としては一定程度の県民理解が進んだものと受けとめております。

私は、その目標を達成するためには、男性中心の社会構造の中に女性が一歩も二歩も踏み込んでいくことこそ、今肝要なのではないか、そして、行政もそのような女性を応援するスタンスで施策を実施することが、戦略として男女共同参画社会の実現を達成する方途ではないかと考え、従来の男女共同参画推進課を女性活躍推進課へと名称変更していただくことを提案させていただきました。

折しも、女性の職業生活における活躍を推進するための「女性活躍推進法」の成立、施行と重なったこともあり、女性活躍推進課の誕生となったのでありますが、設置から1年、この間の取組みは如何様なものだったでしょうか。また、その成果についてもお聞かせください。

併せて、私は、鳥取県が女性にとって魅力のある地域、住みたい県として認知してもらうためには、単に職場、企業における女性活躍にとどまらず、様々な職業への進出や社会全般への参画が求められており、そのためにもこの課の役割とその活躍に大きく望みを託すものですが、平井知事はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。

4 移住・定住対策の成果と今後の課題

本県人口の増加を図るためには、県外からの移住者を受け入れ、定住してもらうことが大変効果的であります。

特に、県内で日本創成会議から消滅可能性があると指摘された13の町にとっては、子どもの数を増やすこととともに、移住者を受け入れることは、生き残りをかけた最大の行政課題であります。

本県では、平井知事就任の平成19年度から移住定住サポートセンターを設置し、積極的に移住・定住の促進事業に乗り出し、平成21年度から5年間で、全国トップの  4,344人の移住者を受け入れることに成功しました。

さらに、平成27年度から5年間で6千人の移住者の受入れを目標に取り組み、既に平成27年度に1,952人の受入れを達成したということであります。

全国的に各地方が熾烈な移住者の獲得競争を展開する中にあって、本県の取組みの成果は特筆すべきであると思います。

東京への一極集中が停まることなく続く一方で、脱文明・脱都会を志向する若者も多くなってきていることも事実であり、今後ともIJUターンなどの移住ニーズは減らないだろうと推察しますが、この間の移住定住策の成果と今後の課題について、平井知事のご所見を求めます。

5 観光振興について

(1)大山振興本部の取組みと今後の展開について

人口減少で地域の活気が失われていく中で、外から観光客を呼び込み、交流人口を増やすことで地域の元気を取り戻さなければなりません。

同時に、観光産業を本県の主要な産業に育てていくことが必要であります。

私は昨年の9月議会において、「交流新時代への対応」について質問し、大山の大きさと恩恵の深さを語らせていただきました。

そして、大山開山1300年祭を控え、博労座牛馬市が日本遺産に登録され、国立公園満喫プロジェクトのモデル地区として選定されたこの機会に、県庁挙げて一体的に大山振興に向き合う組織の必要性を訴えさせていただいたのであります。

その結果として、林副知事を本部長とする大山振興本部が立ち上げられ、西部総合事務所に大山振興室が設けられたのでありますが、この組織体制は本当に当初の目的に沿って動いているのでしょうか。はなはだ疑問に思えてなりません。

大山開山1300年祭は、依然として西部総合事務所が所管し、国立公園満喫プロジェクトは本庁の生活環境部が所管しており、その2つの部署が連携不十分なまま動いているのではないでしょうか。

今必要なのは、大山振興について、全体の工程を描き、2つの部署にまたがる各事業を有機的に配置して、結果として大山を一大観光地に仕上げていくことであります。

環境省の発表によると、昨年全国33か所の国立公園を訪れた外国人観光客は前年比11パーセント増の545万7千人であったということであります。

トップは富士箱根伊豆の257万7千人、2位は支笏洞爺の82万7千人、3位は阿蘇くじゅうの67万5千人で、我が大山隠岐国立公園は僅か1万4千人、全体の0.2パーセントにすぎませんが、それでも前年比2.3倍でありました。

国は2020年、1千万人を達成目標にしておりますが、ナショナルパーク化を目指し、全国8か所のモデル事業に選ばれた大山隠岐国立公園については、知事は如何程の目標数を設定しておられるのでしょうか。

大山振興本部は、大山について目指すべき最終の目標をたて、環境省の支援を受けられる5年間のうちに、「何をどこまで遂行するのか」、その中で「開山1300年祭までに実施しなければならないことは何なのか」を、明確に設定しなければなりません。

全国に名を知られる水木ロード、鳥取砂丘に加えて、今後は大山の振興こそ、本県観光の要になるものと確信いたします。

大山振興本部のこれまでの取組みと今後の展開について、平井知事にお尋ねします。

 

(2)外国人誘客への対応

国は、外国からの誘客目標を上積みし、平成32年に4千万人、平成42年には6千万人と設定するとともに、質の高い観光交流を加速するということであります。

本県も、DBSフェリーやクルーズ船による海からの誘客、ソウル便や香港便を使った空からの誘客等で増加する外国人観光客への対応として、平成27年度から構造改革特区を活用して、島根県とともに、山陰地域限定の特例通訳案内士を養成しております。

従来からある国家資格の通訳案内士は、英語・中国語・韓国語の3言語に限れば、平成28年末で本県に26名、島根県に37名合わせて63名がおられますが、これだけでは対応しきれないとして、始められた制度であり、初年度の平成27年度は、英語、中国語、韓国語を対象に、107名が養成され、平成28年度は39名が養成中とのことであります。

さらに、平成29年度はロシア語、フランス語を加えて実施する予定とのことでありますが、国家資格者ですらほとんど仕事の依頼が無いと嘆いておられる現状の中で、特区制度を使って養成した山陰地域限定の特例通訳案内士の人たちのその後はどのような状況か、所期の目的が達成されているのか、平井知事にお尋ねします。

6 交通基盤の整備促進について

(1)国際定期便とインバウンド対策の展開

昨年、米子鬼太郎空港には念願の香港便が就航し、LCC化されたソウル便とともに、2つの定期便を持つ国際空港としての地位を得ることが出来ました。搭乗率も、10月の中部地震による打撃の後、ソウル便については、本年1月に就航以来最多の搭乗者数4,218名、1月の搭乗率としては過去最高となる77パーセントを記録し、2月は初の90パーセント超えとなる予約と、LCC化による効果をあげており、香港便についても、11月70.9パーセント、12月72.9パーセントと順調に推移しております。

両便の安定的就航を目指す意味でも、インバウンド対策の一層の展開に努めなければなりませんし、クールジャパンの一翼を担う山陰のブランド力を高める必要があります。

昨年4月、山陰両県の官民16団体から成る広域連携DMOである「山陰インバウンド機構」が設立され、両県をセットにした「山陰」ブランドとして、「新たな発見、新たな出会い、もう一つの日本」をサブタイトルとした「縁の道〜山陰〜」が、日本が世界に誇るべき広域観光周遊ルートとして認定されました。

このルートで周辺の岡山空港や関西空港とどのように結び、連携していくのかが、今後の国際空港としての米子鬼太郎空港の明暗を分けることになると思いますが、その取り組み方について、平井知事のご所見を伺います。

(2)新貨客船ターミナルの着工と課題

2020年に訪日クルーズ旅客500万人を目指すという国のかけ声を追い風に、境港へのクルーズ船寄港が飛躍的に増える中、3月12日にはいよいよ待望の竹内南地区貨客船ターミナル整備事業の着工式が挙行される運びとなりました。

国土交通省の泊地・岸壁の本体工事と併せて、境港管理組合もターミナル上屋・埠頭整備事業に着手することとしており、2019年度末には、竹内に新たな港が姿を見せることになります。

ここまで港湾整備が進み、名実ともに北東アジアゲートウェイの地位を築きつつある境港にとって、残る課題はただ一つ、高速道路への接続あるのみであります。

2006年度の国土開発幹線自動車道建設会議において凍結され、全国で唯一凍結されたままとなっている境港と米子を結ぶ高規格幹線道路の凍結解除・事業化に向けた新たな展開に期待するものであります。今後の見通しについて、平井知事の答弁をお願いします。

(3)高速道路の早期開通と4車線化の促進

県の東西を結び、地方創生の基盤となる山陰道については、今月17日、唯一の未事業区間であった北条道路13.5kmの都市計画手続きが完了したことで、新規事業化に向けて大きく前進する運びとなりました。待望のミッシングリンク解消、全線開通の見通しについて平井知事に伺います。

また、先月の大雪と今月の豪雪で山陰道、鳥取自動車道や米子自動車道などの高速道路をはじめ、県内の幹線道路で多くの車が長時間にわたって立ち往生したり、通行止めになる事態が発生しました。平成22年の大雪により県中西部で多くの車が立ち往生したのに続き、あらためて大雪に対する本県道路網の脆弱性が露呈した形となりましたが、6年前の大雪の教訓が活かされた点、今回新たに浮かび上がった課題について、平井知事にお尋ねします。

さらに、かねてより問題が指摘されてきた高速道路暫定2車線の課題も改めて浮き彫りになりました。

特に米子道については、「有料道路でありながら、その役割を果たしていない」とのブーイングの声が大きかったと聞きます。暫定2車線区間のうち、江府インターチェンジ付近の3.4キロについては、昨年、付加車線設置箇所として決定され、今後5年間で整備されることになりましたが、全線4車線化のためには、岡山県との連携、協力が必要となります。その辺りを含め、知事は米子道4車線化実現について、どのような見通しをお持ちでしょうか。お伺いします。

(4)山陰新幹線と在来鉄道の高速化について

今年6月から運行予定の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」の県内乗り入れは、鉄道への憧れを喚起する喜ばしいニュースであります。

一方で、北陸新幹線の延長ルート選定にあたり高まっていた山陰新幹線への期待は、結局実現に至りませんでした。しかしながら、新幹線基本計画路線には山陰新幹線と中国横断新幹線も入っており、国は来年度、今後の新幹線のあり方について検討していくための調査費を増額計上しております。

私たちはあきらめることなく、今後も継続して国に山陰新幹線実現に向けた働きかけをしていく必要があると思います。一方で、差し迫った現実的課題として、山陰本線の電化、複線化の取り組みと山陽新幹線に繋ぐ方途を追求していかねばならないと考えます。とりわけ、既に調査済みの伯備線と因美線の高速化については、その後の展開が見えてきません。県として、調査の結果をどのように分析し、どのように国に要望していくのか、そろそろ態度を明らかにすべきではないでしょうか。平井知事のお考えをお尋ねします。

7 農林水産業の振興について

(1)新規就業者の確保について

本県の基幹産業である農林水産業においては、従事者の高齢化とともに、従事者の減少という大きな問題に直面しております。農業では平成22年27,675人から5年間で4,239人の減、漁業は平成20年1,568人から5年間で248人の減で、昭和55年3,000人の半分以下という有様です。振興のためには、後継者の育成、新規就業者の確保が最大の課題であります。

しかしながら、平成27年度における新規就業者は、農業が136人、林業が58人、水産業にいたっては僅か21人となっており、それぞれ若干の増減はあるものの、近年同じような数で推移しています。

そして、この新規就業者の確保に、平成27年度に国及び県が投じた事業予算は実に、農業で約7億7千万円余、林業で約2億6千万円余、水産業で約9千万円余に昇っており、一人当たり530万円近い予算を費やしております。

なかにはこうした行政支援を受けて、気概を持って取り組んでいる若者が誕生してきていることも確かであり、何よりの救いではありますが、全体としてこのような実情では、本県の基幹産業である農林水産業を今後とも背負っていけるのか、不安はぬぐえません。

更に「食のみやこ鳥取県」が世界市場に参入しようとするときにあたり、第一次産業従事者の減少や高齢化とともに新規就業者の確保は本県産業振興の大きな課題ですが、投じられた予算に対して思うように新規就業者が増えていない理由はどの辺りにあるのか、また、今後どのように対応していくのか、平井知事のご所見を伺います。

(2)外国人就労者への対応について

県内では人手不足の農業や漁業の他にも、水産業、製造業、縫製業等の現場で多くの外国人が技能実習生として働いております。

技能実習生の制度は、1993年(平成5年)に人材育成を通して、日本の技術を開発途上国に伝える国際貢献を目的として作られましたが、その後の制度改正により、最低賃金が適用される雇用関係の下、最大3年の期間で、我が国の産業を下支えする大きな戦力として機能し、今や全国で21万人が働いていると言われています。

本県でも、昨年、法務省の調べで1,115人の存在が確認されております。

ベトナム、中国、インドネシアなど東南アジアの国々から250名近くの実習生を迎えている境港市では、言葉や宗教、生活習慣の違い等からトラブルも多く、事件や事故に至るケースもあることから、雇用する企業が集まりネットワーク協議会を立ち上げ、まずは日本語講座開設の計画を進めているということです。

昨年11月の法改正で実習期間が3年から最大5年に延長されることになり、人手不足に悩む企業にとっては、ありがたい反面、雇用する企業側や受入団体側にも問題があるとして、国は外国人技能実習機構を設立して、受入側の規制・監督の強化と実習生の保護を図ることとしました。

今や本県の産業振興に欠かせぬ存在となった外国人就労者をどのように受け入れ、共生していくのか、企業だけでなく、地域・行政にとっても非常に大きな課題と考えますが、平井知事はどのように受け止め、対応されるおつもりかお伺いします。

8 高齢ドライバーの事故防止対策について

高齢化社会の到来とともに、高齢ドライバー数も増加し、本県における65才以上の高齢者免許人口は現在約9万人、10年前の1.5倍とのことであります。

昨今、全国で高齢ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えるなどにより引き起こした事故の模様や、高速道路の逆走の例などが紹介され、大きな社会問題となっておりますが、本県の実態と高齢ドライバーによる事故防止への取組状況について、井上警察本部長に伺います。

高齢ドライバーの事故防止策として、国は自動運転や自動ブレーキ等の安全技術の開発と普及促進を図る一方で、本年3月から道路交通法を改正し、高齢運転者対策が強化されることになりましたが、この法改正により期待される効果について、井上警察本部長にお尋ねします。

一方、本県における65歳以上の高齢者の運転免許証の自主返納件数は、年々増えているものの、平成27年度は1,507件で高齢者免許人口の約2パーセントに満たない状況です。高齢者にとってある種のステータスである運転免許証を返納することへの抵抗感が強かったり、公共交通機関が十分でない地域では車がないと生活が成り立たないことなどから返納を躊躇していることが考えられますが、そのような方々にどのようにして自主的に返納していただくのか。井上警察本部長のご所見を伺います。

また、高齢ドライバーの運転免許証自主返納や取消しが進めば、高齢者は移動手段を失い、日常生活に支障が生じたり、外に出なくなる分、より認知症が進んだりするという問題もあり、超高齢社会に突入している本県にとって、今後ますます深刻な課題となっていきます。この問題に対して、平井知事はどのように捉えておられますでしょうか、お尋ねします。

まだ途中でありますが、1回目の壇上からの質問とさせていただきます。

                   

○ 平井知事(答弁)                             

 安田議員の代表質問に対してお答えを申し上げます。まず、冒頭に目を見開かせましたのは、議員が今日着ておいでになりました和装でございます。お話をよく伺いますとウールというお話もございましたけれども、弓浜絣の伝統というものをしっかりと身にまとい、そしてこの場に現れたわけでございます。考えてみますと、境港そして弓浜半島はこうした伝統工芸の故郷であり、これは古くからその織物が営まれ、またそのための綿花の生産もされてきました。近年これを復活しようという動きに安田優子議員も立ち上がられまして、この議場を通じて様々なご意見をいただきながら、今結構若い人たちもこうした分野への参入を始めてきたところでございます。嶋田先生を初め、多くの皆様のご尽力に敬意を表したいと思います。

安田議員の今日のお着物を拝見していて伝統的な型織りのそうした趣向の凝らされた素材かなというふうにも思いましたけれども、こういう模様を拝見させていただきまして、実は一つの謎かけかなと思いながら見ておりました。これは、渡辺さんが選んだのかもしれませんけれども、六角形を基本として、そこに花びら、花弁が六つ現れるというような柄になっていたわけであります。よく拝見をいたしますと、どの六角形をとっても、それがそれぞれ花になる重なり合った模様でございまして、大変幾何学的にもおもしろい模様になっているかなと思いました。

考えてみますと、私たちは今一種の閉塞状況のなかにあるような気がいたします。目を凝らして色々とそれぞれの花を見つける。地域の中の魅力を掘り出す。それを新たな未来への挑戦の足がかりにしていく。そういう姿勢が多分必要なのだろうと思います。そんな意味で、着物の中に幾つもの隠れた花があらわれてくる。そんなお着物かなというふうにも拝察をいたしました。

また、六角形をいうのはおもしろい形でございまして、これは蜂の巣の形でございます。蜂というのは、六角形が好きで六角形の蜂の巣穴を作っているわけではないのだそうであります。実は、丸い巣穴を作ろうとしている。そのミツバチたちの活動が組み合わさりますと、一番効率的で組み合わさった形が六角形でありまして、自然の結果として六角形になるのだそうであります。ですからストローを束ねて持ちますと、ぎゅっと握り締めていくとそれぞれ六角形になってくる。そういう意味で私たちの社会を象徴しているようにも思えるのであります。

山陰、鳥取県は、地域における人々の絆の強いところ、これを私たちの売りにしなければならないのだと思います。先の震災にしても、また今回の豪雪にしても、そうした地域の人々の絆が光りました。私たちは、そういう意味でそれぞれの家と家、人と人とが結びつきあった社会、これをモチーフにしながらそれぞれの花を見つけ、将来へと挑戦をしていく。そんな道筋かなと思いました。そういう決意を込めたいでたちかなとも思いましたけれども、単なる思い込みなのかもしれません。ともかくそのような目を見開かせるようないでたちにまずは喝采をおくらせていただきます。

議員のほうで、冒頭取り上げられましたのは、国際情勢についてであります。私もこれはご炯眼だと思います。今、新しい年の議会が始まりましたけれども、今年の一つの焦点といいますか、我々が最大の関心をはらわなければならない一つは、世界の情勢、そのなかにおける日本、また鳥取県、私たちの地域の村々であろうかと思います。そういう視点が必要になるのは、議員のお尋ねがございましたように、欧州各国の国政選挙、或いはトランプ政権、TPPのことなど国際情勢が変わってきている。どういうようにこの国際情勢について考える必要があるのか。或いはボーダーレス社会になってきたことや格差社会、これが世界の調査のなかで表れてくるのでありますが、これに対してどういうふうに考えるべきなのか。また、私たちが目指すべき社会は、県政の方向性としてはどういうものなのか。これをリンクさせて考えなければならないということだと思います。             

  昨日は、色々と象徴的なことがございました。それはアカデミー賞の発表でございます。結果として一つの取り違いがありましたけれども、「ラ・ラ・ランド」ではなくてそれ以外の「ムーンライト」という映画のほうが作品賞だったという落ちもありました。「ムーンライト」というのは、いわば人種差別が多分内在された問題であって、その中で一人の少年が自立をしていく過程を描くというものでありますが、おそらく伝統的なアメリカ社会の価値観の象徴なのだろうと思います。そういうものが選ばれる中で、数々の著名人たちが、トランプ政権の移民政策に対して批判を行うということになりました。「セールスマン」が外国語映画賞をとられましたけれども、イラン人の監督がその場を欠席をしたわけであり、それは抗議の意思の表れということでした。このような大変な波紋を今のアメリカの新政権は投げかけたわけであります。

そして、この度は、トランプ新大統領が、アメリカの連邦議会におきまして、初めての演説を行うという日取りとなりました。また、隣の韓国を見ても、2月28日という日に一括して大統領へのいろんな疑惑がございましたけども、その関連につきまして一括起訴をするという報道もなされているところでございます。これはヨーロッパにおいても議員のご指摘がございましたように、最近でもオーストリアのこと、或いはイタリアのこと、占拠や国民投票におきましてかなりいろんな騒動がありました。結果はそれぞれでありますけれども、表れてきたのはボーダレス化が進んできて移民が入ってくること、これに対する是とするか否とするか、こういう論争がかなり切迫した感じでヨーロッパで起こってきている。今回の米国のトランプ政権誕生も、これに連動するものでございました。それと併せて国際情勢としてアジアに目を転じて見ますと習近平氏が連続して政権を担うかどうかの節目の年ということでありまして、中国は中国で今年はかなり先鋭な動きをする可能性があります。

また、北朝鮮においては、金正男氏がマレーシアで暗殺をされるということになりました。これに対するマレーシア或いは、インドネシアという本来の友好国までもが北朝鮮との対立関係に動こうとしているところであります。この情勢が韓国の中の来るべき大統領選挙への影響も考えられ始められているわけであります。世界の流動性が高まってきておりまして、これがどういう方向に動くのかということでありまして、これを見極めなければならない。

どうしようもなく実は、ボーダレス化が進んでいるんです。それはトランプ政権がどうあろうが、それからヨーロッパにおける国々がどう考えようがでございます。経済の実相を言えば、例えば日本の企業でも自動車の企業さんは大体1割5分とか、大体国内販売は1割から2割ですね、。残りは海外販売であります。それを現地生産をする。或いは、それに伴った部品の輸出を行う。この部品の輸出の中に組み込まれているのが、実は本県経済が組み込まれているわけでございます。仮にトランプ政権が対外的には保護主義をとり始めるとします。そうした場合にTPPについては撤回をすると表明をされたわけでありますが、今度はNAFTAでございます。NAFTAについては、メキシコとの関税がどうなるかということになったりしますが、実はこうしたメキシコ絡みで、輸出をしている、或いは向こうに拠点を持っているそういう企業は、本県にも少なからずありまして、こうした結びつきのなかで本県の生産活動・雇用も生まれているという構造にあります。この辺が脅かされる危険があるのではないかとういうことに一つは目を見開かなければなりません。その意味で、鳥取県としては、新年度予算の今、ご審議いただくのを計上させていただいておりますが、特別の融資制度やそれから補助制度、更にはアドバイザーの制度を作らせていただきまして、アジアにおいても、また欧米においても変わっていくそうした国際情勢を捉えた動きをそれぞれの企業さんが経済活動を行っていく。その支援をしようではないかということであります。そういう意味で戦略的に取り組まなければなりません。象徴的な一つは、昨日神戸で始まりましたRCEPであります。交渉会合が始まりました。まだ実務レベルではありますけれども、とりあえずキックオフということになりました。本来はおととしまでに締結をしていることを目標にしていましたが、中国等いろんな関係国の温度差があり、進まなかったわけであります。今の情勢は日本やオーストラリアはどちらかというと自由貿易派でございます。代わりにインドや中国、こちらは保護主義型であります。こうしたパワーバランスの中でどういう合意が生まれてくるのか。この辺は注目していかなければなりません。こうした交渉も昨日始まったばかりであります。このように我々としても今後どういうように対応をしていくかを見ていかなければなりません。
また、実はこうした背景には格差社会ということがあります。ジニ係数という指標がございまして、これが米国で高まっておりますし、日本も実はその中にございます。そういう中で途上国においても、こうした格差社会が広がってきて、中国、韓国もそうであります。韓国の今の様々な政情の不安定の背景には、若者が就職できないということがあります。また、就職した後でも給与の格差が大きいということでありまして、日本以上にその辺の深刻さが言われているわけであります。この辺に対して、やはり国全体としても取り組まなければなりませんし、本県としても一定の政策が必要だと思います。そういう意味で本県におきましても、例えばアウトリーチ型で支援をしていく。そうしたことを今回の予算の中でも盛り込まさせていただきました。また、ファイナンシャルプランナーの人材を活用しまして、様々な相談事に当たっていくとか、また、子ども食堂、こうしたものなど子どもたちの居場所を作る。こうした対策もとらなければならないわけでございます。そうした中で、私たちが目指すべき方向は、どの辺にあるのかということです。それは、一つは、地域、地方創生ということが言われてきたおりまして、私はその方向性自体は間違っていないと思っています。地域の魅力というものを一つ発揮をしながら、何とか一つには活力を作っていかなければならない。また、もう一つの軸としては、安心というものをセーフティーネットで用意していかなければならない。これらは矛盾するようでありますけれども、ともにやはり追いかけていかなければならない方向性なのだと思います。その為に一つの本県なりのモデルを作るとしたら、冒頭申し上げましたような蜂の巣のような緊密さを人と人、家と家、或いは地域と地域で作り上げていく。そういう中で、鳥取らしい地域発展のいわばツールを作ることも大切なのではないかと思います。今回の震災等の経験を考えますと、やはり非常に機能的に動いたのは自主防災組織などがはっきりと機能したところであります。経済などもそうでありまして、鳥取県は中小企業の集合体であります。その中で戦っていく力を得るのであれば、それは、企業間連携、これは業際連携ということもあるかもしれません。また海外と繋がっていくようなそうしたこともあるかもしれません。色々な方向性でですね、企業も自由に動いていくことが必要ではないだろうか。また、併せて働く方々の正規雇用というものを確保していく。そうした方向性、これは本県としても今一定の成果も上げつつありますけど、そうした機軸もしっかりしていかなければならないのではないかと思います。
こうしたことを支えていく人材の育成、今、急速に人手不足になり始めています。そんな意味で、人材というものを一つのキーワードとして鳥取県としても取り組んでいく必要があるのではないだろうか。こうしたことが格差社会だとかボーダレス社会、そうした難しい課題を紐解いていく目印、リード役になるのではないかというふうに考えているところでございます。そういう国際化の波の中で、議員のほうからお話がございましたのは、ロシアビジネスの展開にどのような見通しがあるのかということ。また、環日本海北東アジアゲートウェイの鳥取丸の進路という点でどうなのかということにつきまして、引き続きお尋ねがございました。これにつきましては、今鳥取県もここ10年くらいで大分変わってきたかなと思えるのは、こうした方向性だと思います。安田議員にも今、境港管理組合の議長もしていただいておりますけれども、そうした方面でもハード面で、整備が進み始めてます。現に来月の12日には、いよいよ竹内南の岸壁着工ということとなりました。これによって国際フェリーターミナルが完成をすれば、今以上に機能が高まるということは必定なのであります。

また、実は、今日の飛行機で最終的には見えてくるんですけど、今のところの見込みとして言いますとエアソウル、これはアシアナの後継フライトでありますが、エアソウルが2月の搭乗率が91.1%になると見込まれています。また、乗られるお客さま、搭乗客数も4,200人を超える。そして、韓国、外国人、韓国のお客様これも月間で3,700人を超えるというレベルになります。実は90%を超える搭乗率は初めてのことでありますし、4,200人、3,700人という搭乗客数や外国人搭乗客数、こうしたことでも新記録になります。いよいよ米子鬼太郎空港の海外便でこういう活況を呈することになってきました。この背景には、鳥取県中部地震もあって、危機感を持ちながら、そして最初の頃、いろんな不具合で不具合といいますが不幸が重なりまして、地震だとかそれから円高傾向だとかいろんなことが重なりまして厳しかったわけでありますが、そういうことの危機感のなかから、キャンペーンを行い鳥取県のカニ、或いは雪、温泉、こうした素材が韓国で認められ始めたということが大きいのではないかと思います。また、香港便だとか、国際クルーズ船、そうした方向性につきましても、従来なかった動きがいよいよきているわけでございます。そういう意味で、世界に或いはアジア、北東アジアに開かれた鳥取県というものを作り上げていく上でも、こうした海や空の扉を開いていく。これは、我々としても追求してきたことではありますが、ここに一つの自信も持ち始め得る状況になってきたことと思います。ぜひ、この方向性をかねて安田議員も主張しておられるとおり、追及していく必要があるのではないかと思います。昨日からですね、実はシノコーさんとフンアさん、この2つの海運会社がコードシェア的に共同配船をすることになりました。これによってお客様にとっても使いやすくなるわけですが、実はその背景には、24,900TEUという過去最高の貨物取扱高ということがあります。そういう意味で大型の配船をすることを可能にするためにもそういう措置がとられるようになったわけであります。つまり、輸送量が増えてくるのが昨日から始まりました。更に今、日本通運さんがトランジットを活用しまして、世界に行っていく、小ロット混載サービスというものもこの度スタートさせるわけでございまして、こうしたことなど、今後に向けて更に拡大する方向性というものを追求できる素材もできたのではないかと思います。貨物のRORO船につきまして、定期化を目指す。そういう意味でも新年度も更なる挑戦を継続していければと思いますし、クルーズ船の寄港、これも慫慂していくための方策も必要ではないかと思います。そういう中で、一つ新しい素材となり得るのはロシアのことだと思います。議員も安倍総理とプーチン大統領の会談に始まる一連の動きについて言及をされました。実はこれについては、イニシアチブとも言うべき先導的方策を作ろうということで、日露間での実務的な連携が始まってきています。これは我々が先回りして動いてきたところでございますけれども、それをぜひ鳥取県としてもこの波に乗っかっていくべきではないかと思います。そういう意味で国でも作っていますけども、プラットホームを鳥取県版としても作っていってはどうだろうか。この辺も新しい予算の枠組みの中で提案をさせていただいております。最近の動きでいきますと、ウラドエキスボというそういう見本市がモスクワで開催をされました。ここに出した食材等につきまして、ロシアの日本料理店のレストランチェーンのほうから買い付けの契約が入りました。3月8日の国際婦人デーに間に合うように入荷をしたいという、非常に現実的なお話がございまして、こういうような動きがあったところでありますし、またエカテリンブルクで行われますイノプロムにも出展すべく、今予算のほうも作らさせていただいたところでございます。この辺は、新年度どうなるかわかりませんが、予定されているところでは、またプーチン大統領と安倍総理の会談も予定されているわけでありますし、その中には9月に見込まれます東方経済フォーラムへの参加もあるようです。東方経済フォーラムはかねて沿海地方で行われてきたものでございまして、私もパネリストで呼ばれたこともございます。こうしたものに、本県としても新年度、ここには経済界の枢要な方々も集まる可能性もありますし、いわば一種のメッセ的な会合にもなるかも知れません。こういう機会も本県としても活用し得るのではないかと考えております。 次に、人口増に向けた取り組みにつきまして、出生率の向上とともに若い女性にとって魅力的な県や、住みやすい県を目指すべきではないだろうかと、こういうお尋ねがございました。 これは、全く同感でありまして、その辺は政策的にも強化してもいい分野かなと思います。現実には、今年度上半期で1,952名の移住者がございました。後半を合わせても、2,000名は超えるでしょうし、3,000名は超えてくるかもしれません。そうした、今状況にありまして、色々と各地域間の競争も激しくなっている中ではありますけども、何とか私どもとしてもそうした移住定住を引き込んでいくことも一つの要素になるかもしれません。そういうなか見過ごせないのは、女性の動向であります。実は全国的に見ると一つの傾向があると研究分析がなされております。それによると、大体2,000年くらいを境にしまして、東京など大都市圏と地方圏、私どものところで顕著な逆転現象があったというのです。それは従来は、男性が都会のほうで多くて、かつての三ちゃん農業の時代のようなことかもしれません。それで、地方部においては、女性のほうが多目であるというような傾向があったということでありまして、それがひっくり返りまして、逆に2000年以降、今世紀に入ってからは、地方部のほうから女性が流出をして都市部に留まる、そういう傾向に逆転をしたというように言われています。実は、本県もそういう傾向がございまして2000年の前くらいから急速に女性の流出のほうが多くなるという傾向があって、向こうに踏みとどまるという傾向が見え始めたのですけども、ただ、私が就任した頃からちょっと傾向が留まりまして、全国平均並みに鳥取県もあるのですね。これは理由はちょっとわかりません。ですから、一般的な地方部とは違って、女性もここで働こう、ここで住もうという方がそこそこいる県ということになっています。ただ、それでもやはり都会部ほどには女性はいないとうわけになるわけです。 議員がおっしゃるように出生率が上がるだけでは駄目でありまして、女性の活躍の場、女性が住みたいと思うところ、そういうふうになることで初めて人口のほうも自然増も社会増も生まれてくるわけでありましょう。その辺を私どもとしても考えていかなければならないのだと思います。そういう意味で、新年度、今、例えば就職の先輩である就活サポーターのような存在を今年度作りましたが、そうした就活サポーターが、特に女性のいわば女子会的なこと、そうしたことをやるとかですね。少し今日のご質問とかご提言の趣旨も踏まえた方向性を考えていく必要があるのかなと思ったところでございます。そういう中、県内の待機児童の実態、待機児童ゼロの目標達成の見通しについてということでございます。これについては、この度政府のほうも平成29年度における待機児童ゼロ目標は撤回せざるを得ないと言う状況になりました。本県のほうは御考証の通り待機児童ゼロというのをここ10年くらい続けてきておりまして、今のままでいけば、そこを新年度においても継続し得る状況にもございます。新年度、そういうことを担保する意味でも市町村も頑張っていまして、350名の受入れ定数増を今見込み得るところに来ております。348名ですけども。おおむね350名ということでございますが、それを一つ加算をしながらですね、新年度もこうした待機児童ゼロというものを続けていけないだろうかということでございます。ただ、厄介なのは、年度途中のことでありまして、従来から新生児の受入れについてですね、やはり中途でなかなか入れないという場合もでてきている。これは従来からの傾向であります。ですから、県としてもそこの定数加配、保育士の加配ということの支援を行ってきているところでございますが、こうした課題が今も残っているところではないかと思います。

実は、鳥取県の場合は、保育所に入られる方が多くてですね64%、全国平均は41%でありまして、実は保育所というものの整備を相当本県としては、前向きに進めてきている市町村の状況だと思っています。それを更に受け皿を拡大をすることで、こうした課題をクリアしていく必要があるのではと思います。こうした定数の増を図っていく意味では家庭的保育といわれるものだとか、小規模な企業内保育、こうした新しいやり方、これは国が作ってきているものでありますが、そうしたものも促進をしていかなければならないと思います。そうしたもので補完をしながら、従来型の保育所、或いは子ども園と併せて入所の幅を作っていくということになります。今議会には、私どものほうから税制改正のご提案をさせていただいております。地方税の特例措置として、私どものほうでそうした家庭内保育とか小規模な保育、こうした事業者について不動産取得税の3分の2の免除措置、これを今回提案をさせていただいております。予算的にも加配等の予算を作り、或いは処遇改善の予算を作らさせていただいておりますが、そうした税制上の措置も併せて、こうした保育の受け皿作りに県のほうでも市町村に協力をして参りたいと思います。      

  次に女性活躍推進につきましお尋ねがございました。これにつきましては、安田議員から昨年度ですか、ご提案をいただきまして女性活躍推進課という課を創設してはどうだろうかと、こういうお話がございまして、私どもも熟慮の結果、そのような組織改正をさせていただきました。これは、役所だけではしょうがないわけでありまして、片方で企業側、経済界、労働界、そうしたところで結集をしながら、女性活躍推進のための会議を設置をし又、、その中での女性のグループで様々な提言をしていただいたりして、こうした活動の輪を広げてきているところです。現実にも今年度は、女性活躍のための男女共同参画推進計画を策定をさせていただきました。ここに至るまで、各界の方々のご意見も入れるようにさせていただきました。こういう中、イクボスの取組みであるとか、女性の起業であるとか、そうした件数は増えてきております。例えば、岩美町のほうで、それは智頭の木材を使うわけでありますが、そういうものを使った製品を作っておられます小畑明日香さんという、あすなろ手芸店、こうしたものであるとか色々な起業の輪が広がってきているわけであります。また、先般の鳥取県中部地震の際におきましても、これも磯谷さんをはじめとして倉吉のほうでいちごサロンを皆様方がそうした被災地の支援、自分達の活動を実際にされたりしたこともございました。色々な意味、つまり防災であるとか、起業活動であるとか、女性の活躍の目立つ年であったのかなというふうに思います。特にこの女性活躍推進につきましては、重要なのは、現実にその企業だとか組織の中で女性の地位向上ということも現実のものとしなければなりません。民間の企業におきましても、課長相当職で18%を超えるとか、国全体を上回るような動きになってきていますが、正直、最近数値が向上してきました。多分、経済界の呼びかけとか、社会全体でのそうした空気感というものも大きく作用し始めているのではないかと思います。元々女性の働きの場の多いところ、就業率の高い県でありますので、当然といえば当然のことではありますが、人材も育ってきておりますし、そういう方向に動いてこなければいけないと思います。そういう中、県のほうの管理職につきましては、この度、東京都を抜きまして、全国で最も女性の管理職比率が高い47都道府県のトップとなりました。議会の皆さまのこれまでの様々なご指導の賜物だと思います。

次にI・J・Uターンなど移住定住政策の成果や今後の課題につきましてお尋ねがございました。これにつきましては、議員も少し触れていただきましたけれども、平成19年、人口が60万人を切ったときから、本県においてこういう移住定住政策がスタートしまして、最初は窓口を作るとか、おういうバーチャルなサイトを立ち上げるとか、そういうことでございましたけれども、平成20年には移住定住のための交付金が創設しまして、また24年には、相談員を市町村に設置をする応援をしたり、その後も、例えばつい最近は移住定住を考える方のメンバーズカードを作りました。これも最近加入も増えてきまして、600件の加入がございまして、店舗の方も1,000件を超える店舗という応援体制となってきまして、これを活用しながら、現に移住定住される方が出てきております。色々とですね、扇動的なことをやってきたわけでございますが、大切だと最近感じていますのは、地域における移住定住組織、これをピュアカウンセリング的に実際に移住定住された方にも入っていただいて、特に若い方々20代30代が多いわけです。この20代30代で、本県約7割くらいの移住定住者がいます。ですから、そうした年代層の方々にも関わっていただきながら地域組織が生まれることが大切ではないかと思います。岩美町におきますうみねこ舎でそうした意味でシェアハウス、ゲストハウスといったようなこと、カフェといったことをやるとかいうことがありますし、また、石村さんという方が日野町の方で、そうした活動を始められたり、江府だとかいろんなところで似たような活動が生まれてきております。西部でも大山等と目指すところであります。大山地域におきましては、私どもで、今、新年度も強化をしようとしておりますアートピアとでもいうべき芸術家が住みたいところとして、住んでもろらう。そういう先駆けとして、この度もこのデザイナーの方の移住があったところでございますし、そんなように色々と成果も生まれ始めています。

この度、平成28年の人口動態につきまして、その集計結果が出たところでありますけれども、西部の日吉津、南部、江府の三つの町におきましては、転入超過ということになりました。今の日吉津は、聞いておられてそうかなと思われるかも知れません。南部もそれに近いかもしれません。しかし、江府町も入っているわけですね。明らかに子育て施策等を本県でやってきたところに共鳴をしながら、そうしたところが転入超過に結びついている面もあるのではないかと思われます。

  次に大山地域振興につきまして、お尋ねがございました。大山隠岐国立公園につきまして、どういうような目標を持ってこれから、海外の観光客の向上を目指していくのか。また、大山振興本部の取り組みや今後の展開ということでございます。大山振興本部につきましては、これは部局横断型の組織として作らせていただきまして、詳細は、副知事が本部長をしておりますのでこの後、今の活動の詳細についてお話を申し上げたいと思いますが、実際に現場に出掛けていきまして、市町村とも協議をしたりして、実際、大山振興の政策立案に結び付けてきております。これを基にして一つの成果といいますか、通過点として大山1300年祭を成功させなければなりません。議員のおっしゃるように大山振興本部で全て賄えるとも思えません。これは、どちらかというと、大山の観光だとか、それから様々な環境関係だとか、様々な施策を総合的に、例えば生活環境部だとかいろんな部局の本庁の者と現場の者とを組み合わせながら作っていこうという組織でございまして、具体のプログラムの実行はなかなかこれだけでは難しいわけであります。

24日の日に大山1300年祭についての実行委員会が開かれまして、新たに松村さんが会長に選出をされたところであります。最近も2月に入ってからですかね、料理の発表がございまして、各店舗さんが集まってアイデア料理を作り出されたところであります。実行委員会のほうでもはかられたわけでありますが、例えば星を初めとした自然、ウォーキングであるとか、更には刀剣の魅力であるとか、勿論大山寺、大神山神社というものがありまして、そういうところでいわば、調うということ、祈るということ、そうした地域性のあるそうしたことも地元でもされる。組み合わせながらやっていくということになります。

県側の実行本部をきちんと動かしていかなければなりません。そこで大山振興本部の一つの傘下として、こういう大山1300年祭の鳥取県実行本部をこれは西部のほうにまた設置をしまして、分かりやすい形で機能的に動かす組織も構えていく必要があるかなとも思います。新年度もですね、そうした形で強化をして参りたいと思います。

そういう中、大山隠岐国立公園は、ナショナルパークとして国としても海外からの観光客を呼び込める公園にしようと。そういう動きとなりました。新年度はそれに向けまして、7億円の事業費を計上させていただいたところでありまして、例えば、トイレを初めとした利便施設の整備であるとか、それから展望施設であるとか色々とそうしたハード面の整備も今、国の方に要求しようと、私どもの予算に計上させていただいたわけであります。この大山地域のものでありますけども、なかなか指標がないんですね。議員はさっき環境省の多分データのお話をされたと思います。私も拝見しましたが、1万4千人、大山隠岐国立公園を訪れた外国人ということになっていました。ただ、大山隠岐国立公園というのは、もちろん大山というのもありますし、あと松江城のエリアだとかですね、また隠岐のほう、三徳山も含めて、蒜山も含めて観光地でございます。実は鳥取県の米子や大山に泊まっている外国人のお客様だけでも4万人いるんです。ですから、1万4千人というのは、これは多分環境省側の集計であります。これは、正直申しますと、主要な国際空港で調査をして、アンケート調査でどこに行くのですかと聞いた結果でありまして、そのルートに乗っていなければ入らないということになります。ただ、環境省は環境省の考え方でやっておられますので、そうは言っても議員のおっしゃるようにあの数字はおかしいと言っているだけではだめですから、ちょっと目標は考えないといけないと思います。一つの考え方としては、米子・大山地域でだいたい4万人のお客様が外国人が泊まっておられます。これは、宿帳でわかるわけですよね。そうした4万人が実は、県全体のインバウンド観光の目標でもあるのですけど、だいたい31年には1.5倍に伸ばそうと。近い将来になりますけども、平成31年度までに、そうしたこういう米子・大山地域、そうした大山エリア、大山隠岐国立公園エリアに行くような外国人観光客について、やはり1.5倍の6万人というものを目指すくらいの目標があってもいいのかなと思います。そのためにも大山1300年祭を成功させてリピーターを作っていく必要があると思いますし、色々なタイプのお客様を呼び込んでいく必要があるだろうと思います。    

次に広域観光周遊ルートにつきまして、岡山空港や関西空港などと結びながら連携していくことが大切でなないかというお話がございました。これ、全く同感でございます。現実の状況を申し上げますと、その国によって違うのですね。ですから、その国による戦略ごとにどういう空港や地域と連携していくかということかもしれません。さっき申し上げた韓国でいいますと、7割方は米子鬼太郎空港で出入りされます。4分の1くらいが境港、DBSクルーズフェリーということでありまして、その余なところが関西空港等々なんですね。また、例えば中国系のお客様ですと、大体4割が関西空港、そして3割・3割が、広島空港、岡山空港といったところであります。ですから、中国のお客様を呼ぼうと思いますと、米子鬼太郎空港はもうチャーターフライトしかありません。そういう意味で関空だとか広島・岡山エリアとの連携が大切になります。

また、香港はこれは急速に今、香港航空が就航して、お客様が伸びていますけども、これはちょっと我々の予想を反したところではありますが、7割は米子イン・米子アウトでございます。従いまして、米子エリアへしっかりこのイン・アウトを組むということが一つ。あと、他空港との連携は米子、関西がおおむね3割くらいでございます。意外でしたけども、岡山、米子というところの旅行商品はあまり売れていないということでございました。それから、そのほかにも東南アジアのほうでいいますと、これは関西空港が主でございまして、残りは羽田や成田ということでございます。こういうように実はエリアごとにですね、色々と別れているところでありまして、その辺の戦略を組まなければなりませんが、一つ米子鬼太郎空港と境港だけを見ていればいいということではないわけでございます。

そういう意味で平成29年の事業として、例えば山陰・岡山エリアパスであるとか、ウエストパスと言われるようなJRのパスというようなこと、更に高速道路を活用してレンタカーで歩かれるFITも増えています。これは、NEXCO西日本に私どもも申し入れをさせていただいておりましたけれども、先方でもそういうエリアを周遊できる、そうした料金の商品を作られました。こういうものをまた活用するとかということがあります。また、関西広域連合と共同しながら、関西のプロモーションに鳥取県側も参画をしたり、また中国エリアでのこうした広域観光、これも一つには山陰DMOがあり、また瀬戸内DMOがあるわけでありますが、山陰DMOのなかだけではなくて瀬戸内のDMOと結んだそうしたルート作り、この辺も考えていく必要があると思います。

  例えば、サイクリングで台湾のお客様が来る。この辺が一つ、大分やりかけていたのですけども、ちょっとここ最近は、目立った成果に結びついていないところであります。これも新規巻き直して台湾のほうにプロモーショナーを派遣して、新しいサイクリングルートが次々と本県内でも開かれます。また併せて、近々公表されると思っていますけども、ずっと広島方面から、島根を抜けて鳥取、大山に至るルート、この辺のルート公表ということもなされ、これを共同でプロモーションしていこうと、今、中国各県の実務協議も進んできております。このようなことなど色々と新機軸も打ち出しながら広域的な観光というものに挑戦をしていきたいと思います。

  次に境港と米子を結ぶ高規格幹線道路の凍結解除、事業化についてお尋ねがございました。

  これにつきましては、議員のほうでもおっしゃられましたとおり、平成18年の国幹会議におきまして、事業を当面中止するという決定に至りました。この時期は、実は山陰道におきましても、北条道路の山陰道化がストップをかけられた時期でもあります。当時はこういう本県の中の一つの空気というか、流れとして大規模公共投資に対して一定の歯止めをかけようということだったのかもしれません。しかし、議員も今おっしゃいましたとおり、考え方としては、境港がどんどん今、取り扱い高が増えてきている。それから、海外のインバウンド客も含めた周遊性のある旅行。それからまた、新しいテーマとしては、原子力発電所の災害があるかもしれない。そうしたときの避難路にも成り得る等々、色々な意味合いで弓浜半島を貫くような高規格の道路の必要性は高まってきていると思います。

そうした中、全国では同じ国幹会議で凍結をされた、そうした道路としての北海道縦貫道路や、北海道横断道路、新名神、これらが次々に凍結解除されてきています。ただ、現状を申し上げますと当初の勢いよりも少し事業が年度遅れになっておりまして、切迫感はやや薄らいできているのかもしれませんけども、ただ、私どもの地域もですね、同様に凍結解除をすべき必要性というのも逆に高まってきているわけでございまして、この辺を国にしっかりと働きかけていかなければなりません。国の事業でありますから、国の意思決定が必要であります。

そういう意味で地元を交えて調査や協議を進めてきておりますけれども、今、私どものほうでも、ワーキングチームで国の事務所も入れた形でこの地域の将来のあり方について、一つの考え方を出そうというところまできております。新年度はこれを加速させていかなければいけないと思います。この際、私どもで一つ念頭に置いてもいいのかなと思われますのは、米子において市長選挙が行われることであります。この度の市長選挙におきまして、現職の野坂市長がご退任されるということを明らかにされておりまして、昨日選管の説明会があって4陣営が集まったという報道でありますけども、どういう結果にになるにせよ、従来の考え方から変わってくるのがデモクラシーの常であります。ですから、出来るだけ早いタイミングで、私は新しく就任される米子の市長さんと様々な政策課題があると思います。例えば、南北一体化の課題であるとか、それから今、都市計画のグランドデザインであるとか、色々と今後どういう方向性で市政を作っていくのか、その辺に基づいて県としてどういう後見役が果たせるのか、その辺の話し合いも必要があるのかなと思っています。ですから、そうした政策協議を一つには新年度やってみる必要があるのかなと思っています。

こうしたことも含めながら、今まで正直申し上げて地域的な考え方の違いもありまして、まとまっていない協議でありますけども、いずれか一つにまとめなければ、国のほうに働きかけをすることも事実上難しいということもございますので、その辺は胸襟を開いた話し合いをする必要があるかなとも思います。これは私に限らず地域同士でもそうしたお話し合いもしていただければと思います。境港の中村市長であるとか、日吉津の石村長であるとか、色々と沿線のご意見もあろうかと思います。出口を作らないと物事は前に進まないということもありますので、局面の転換をですね、新年度できれば図っていきたいと思います。

  次にミッシングリンクの解消の見通し、山陰道の全線開通につきまして、お尋ねがございました。これにつきましては実は、2月15日に石井大臣のところに私も参りまして、国土交通省にこの北条道路、山陰道事業着手につきまして、働きかけをさせていただきました。北栄の松本町長初め、関係自治体、関係者の方々と一緒に、要請活動に行ったところであります。大臣のほうからは、それにつきましてしっかりと検討したいということでありました。実はその際、後ほど申しますが、雪の話も併せて強く働きかけたところでありまして、そうした意味でもミッシングリンクの解消ということについて国側の理解は深まったという感触をもちました。2月17日に都市計画決定の公示に至りまして、後は国のほうの事業着手の決定を待つばかりということになります。この点につきまして、13.5kmについて私どもとして希望しておりますのは、社会資本の整備 審議会、道路の分科会の事業評価の部会におきまして、ゴーサインをだしてもらうことであります。スケジュールはちょっとよくわかりませんけれども、来月がそのステージになると思いますので、それに注目をしてまいりたいと思います。また、残るミッシングリンクの鳥取西道路につきましては、これは既に国のほうの公表もございまして平成30年には、全通をするという見込みとなりました。今の道路進捗のための予算の状況を見てみますと、平成29年度の国の当初予算のなかで、ミッシングリンク関係、これは6千億あまりありますが、対前年で5%の伸びというふうに算定できます。

  これは一つの仮定計算を組みまして計算すると5%ほど伸びているのかなというような見方になるのですけども、従いましてその辺の事業進捗を図りうる状況かなと思います。現に国のほうでもゼロ国債を鳥取西道路について組みまして、前倒しで事業を進めようという意思表示もなされております。私どもとしてもしっかりと、その完成に向けて、今後も働きかけをして参りたいと思います。         

  次に大雪の関係につきまして、2点ほどお尋ねがございました。一つは、今回浮かび上がった課題、それから6年前の教訓が生かされた点はどうだったのか。また、併せて米子自動車道の全線4車線化する必要がでてきたのではないだろうか。こういうお尋ねでございます。今年に入りまして1月23日から25日にかけて、また2月9日から12日にかけまして、ずっと雪が降り続く。しかも異常な勢いで降るということになりました。これによりまして私どもの県民生活にも大きな支障をきたすことになりましたし、全国でも本県の様子が報道されるという結果となりました。議員がおっしゃいましたように、平成22年の大晦日から降り続いた平成23年のお正月の雪の際には、2泊3日位だったと思いますけども国道9号線がとまりまして、これも一つの騒動になりましたし、また、境港におきましては、200隻を超える船が引っくり返る、転覆するというような事態になりました。大きな被害はビニールハウス等にもあったわけでございます。こうした教訓を生かして私どもでもそうした雪対策は、これまでも一定程度講じてきたところです。道路について申し上げますと、例えばあの時は、国のほうでは道路事務所に人がいないという状態でした。年末年始なので致し方ないということもあったのだろうと思いますけども、所長さんも特急が停まって事務所にたどり着けないというような状況でございました。このようなことがあり、いくら電話しても繋がらないということもございまして、やはり、連絡体制を作るべきだろうと、リエゾンの派遣などそうした国と県との連絡体制ということについては、一定程度の前進があり、今回もそういう状況である程度の情報共有は図られていたところです。

  しかし、今回そういう教訓を生かして一定の情報交換があったものの、例えば1月23日からの豪雪の際には鳥取自動車道がとまるというときにですね、国道373号に下ろすというような誘導が国交省のほうであったのですが、それは、私どもの事後でございました。ある程度、拡幅除雪と言われるような強度の除雪をかけるなどしないと、とてもではないですが今通行している大型車両が行き違うことが難しくなります。当然ながら、交通障害が発生してしまうことになります。私どももそうした状態に陥りました。それで私も、大分現場の人とも話しをしたりしたんですけども、なかなか国との調整が上手くいかなかったというのが今回であります。

  例えば、373に入る大型車を止めなければなりませんので、交通の遮断をすべきではないのかということでありますけども、国のほうは、それはするなというようなことがあったり、なかなかちょっと、国を責めるつもりはないんですけども、切羽詰った状況であったからだと思いますが、取れるべき方策が上手く取れなかった、我々のほうでは、私なども申し上げたのですが、53号線だとか、いろいろな迂回路もあるのではないかと。現に、今から考えますと、29号線や9号線といったルートがあるわけです。それらは、現状はの大型車両の交通は、関西に行くわけですね。ですから、関西に行くのがほぼ、多数でございまして29号や9号線で抜けて行けば何の問題もないわけでありますが、誘導はそうはなされなかったところでございました。

また、石井大臣に申し上げたときに石井大臣もおっしゃっていましてけども、やはり交通を遮断するときはそのタイミングをちゃんと早くとらなければならないということがあります。後半のほうの2月9日から12日の豪雪の際もそうだったのですけども、交通遮断措置等々が、やはりタイミングが遅れますと両方から車が詰まった形になります。上り線も下り線もスタックをしますとそういうことになってしまうのですね。仮に片方の交通が確保されていますと、救援車両が行きやすくなります。実は、国交省の道路局長は。前の22〜23年のときの責任者でもいらっしゃいまして、割と率直な意見交換もしたんですが、そのときの反省で、そういう時には入れまいということは、当然我々はやるんだと言っていました。ただ、現実には出来なかったわけですね。

そういうことで、前回の反省から例えば1部消雪工を施すとか、それかトラック協会に呼びかけて雪道走行を呼びかけるだとか、色々と今回もなされてきたことでがありまして、だからこそ、実は交通障害の時間は、そうはいっても前回みたいなとんでも長いことにはならずに、せいぜい1泊程度におさまったりしました。しかし、やはり起きたのは事実でありまして、私どもからするとやはり反省すべきことは反省をして、同じことが雪のたびに繰り返されないようにしなければならない。このことを強く2月15日に石井大臣にも申し上げました。

また、今我々のほうでそういう話を申し上げましたところ、国交省さんが今主催をするという形になりましたけれども、県だとか、岡山、鳥取両県の県警だとかいろんな関係者が入りまして対策を考える会議をつくったところであります。また、これから新年度にかけまして、地域防災計画のやり直しも必要かなと思います。今日もご質問がございましたように、やはり大きな課題になると思われます。従いまして、地域防災計画の中に雪害対策編というのを新たに章立てをするぐらい少し知恵も出して考える必要があるかなと思います。

今回の状況を見ますと、前回の22〜23年のときもそうだったように、例えば貝がらもなかさんが、最中を配られるというようなことがあったり、また、智頭の大内の集落でコミュニティーセンターを開設して炊き出しをするとか、また、湯梨浜町の原、宇谷等々で同様のことがあるとか、色々と各地でもエピソードが生まれたように、実は私たちの故郷鳥取県というのは、いざというとき目の前の人をほっとかない。それで地元の方が始めたほうが、何事も早くいったり的確にいったりすることがあります。そうしたことも入れながら考えるべきものがあるのかなと思います。例えば、除雪もそうなのですね。除雪も勿論、県もやるべき、雪もかかなければいけません。雪のかき方も工夫しなければいけないと思っております。例えば、前回の平成22〜23年と違って今回大分進んだのはバスの低床化なのですね。バスが低床化しますと、その為に雪のかき方も従来よりも変えなければいけないのですね。まだそこが今回追いついていなかった。それでバス会社がオーケーを出すまでは、やはりバスが運行できないというような状況になってしまった。そうした意味で雪のかき方だとか優先順位、これは生活道路も含めて考え直さなければならないところがございます。

そうしたことなど、行政サービス側でももう一度再編成しなければいけないこともありますし、前回の22〜23年のときから言えば、あの時の反省で、実はあちこちにカメラを設けたのですね。議員も御覧になったかも知れませんが、インターネットで見ますと、私もそれを実は一生懸命あのころは2回にわたってもうそればかり見ていたのですけども、雪の状況と車の動きが見えるのですね。見えるようになったのですが、ただ、まだ十分でないかもしれません。結局、原因がわからないのですね。例えば、渋滞でスタックします。それが、実際に作業員の方、国交省の役人だとか私ども県の事務所もそうでありますけども、結局ここで、目の前で流れていれば、道路は流れていると思われるわけでありますけども、実は行くところに行けばとまっている。それで、とまっている様子が見えたり分かったりすれば、実は今回山形の郵便局だとか、そうしたところと提携もしていまして、情報も来るようになっているんですけども、そういうのがやはり、線として集落でも協力しいただくということが色々と出てくると、また派遣も早くなったりし得るわけです。また、雪かきのことにつきましても、例えば伯耆町の番原というところでは集落の中に除雪機があるわけですね。自分たちでかきに行くわけです。これを町が助成をしている。そのほうがよっぽど早くかけるわけですね。それはなかなか地域の助け合いという負担もありますけれども、地域としても早く通行が可能になるというメリットもあるわけでございまして、いろいろと工夫の余地もあるのではないだろうか。ですから地域の力というのも活用しながら、鳥取らしい雪害対策編というものをひとつみんなと話し合って考えてみる時期に来たかなというふうに思っております。
 次に、山陰新幹線等につきまして調査の結果をどういうふうに分析をし、国に要望していくのかということでございます。これにつきましては議会側とも協議をしながら、さきはフリーゲージトレインを念頭に置いてどういう費用がかかるのか等々の想定の調査をいたしました。結果、伯備線経由では 2,200億円、また因美線、智頭急行経由では 1,500億円という経費がかかるであるとか、また時間短縮効果としては伯備線ルートはなかなか見込みにくい。因美線、智頭急行ルートについては、山陰線に入ってからの特急の動きもありますけれども、速達性が高まる可能性はある等々の話でありましたけれども、かなり費用もかかるということでございました。
 今回、山陰新幹線に絡んで北陸新幹線の舞鶴経由ルートができるかどうかに注目が山陰側では集まったところでありますが、現実は小浜から直行して京都に行くというルートになりまして、その辺がどうかということであります。
 情勢を見きわめなければいけませんけれども、2つの方向性での動きが必要なのかなと思います。一つは、舞鶴を通らずに小浜、京都が直接結ばれるルートにはなりましたけれども、北陸新幹線を初めとした整備新幹線の検討を進めている与党のグループの中でも、やはり山陰新幹線あるいは四国新幹線等々、まだ基本計画路線のようなそうした路線についてどう考えるのか。その辺をはっきりさせるべきだという動きが残っています。また、こちらの当地の山陰の国会議員を中心として、山陰新幹線を推進すべきだというそういうお声も国会のほうには残っております。
 その結果どうなったかというと、国交省のほうでは2億円余りの調査費を計上しまして、そのうちの一部をこういう整備新幹線の建設終了後の次のステージで高速鉄道網をどう考えるかというところを調査すると言い始めています。したがいまして、一つにはそうした山陰新幹線につきまして旗をおろすことなくそうした検討の俎上に残るように、我々としてもこれは息の長い話、超長期的な話かもしれませんが、働きかけを続けていくというのが一つあろうかと思います。
 あと、もう一つは現実的な対応であります。それは線形の改良などで高速化を進めるということでございます。これについては、いろいろと余地もあるのではないかと思われます。現実を申しますと、伯備線についてはそろそろやくもの更新時期に入ってきているのですね。当然ながら、車両を更新しますとスピードがアップするとかいろいろと違いも生まれてきましょう。スーパーはくとのほうも、まだすぐではないですけれどもいずれ遠くない将来にやはり更新時期がやってくるということでありまして、そうしたモーメントとの関係でこうした鉄道路線のあり方を地域としてはどういうふうにJR側と協議をしていくのか、関係会社側と協議していくのかということの段階に入り始めていると思います。
 前回の調査の結果わかってきたことは、例えば因美線、智頭急行ルートでいうと智頭−郡家間、この間の線形が非常に課題がある。ここを改良することで一定程度前に進み得るところということになります。また、伯備線のルートにおきましても、備中神代から新郷の間、ここが特に線形が悪く、新見から根雨の間、これが全体として課題がある。その辺が改良されてくると、スピードアップにつながる可能性があるということです。こうしたことのわかってきたこととコストパフォーマンス、それから地域での事業の進め方、この辺が具体的なものができるだろうか。そうしたことを検討することもそろそろ必要ではないかと思います。
 その前提となるのは、国のほうの事業スキームだろうと思います。現在国交省は、JR西日本はもうかっている会社だとして余り高速化の支援を行っていないという実情でございます。そういう中で、国のほうでもこうした高速化を推進すべきではないだろうかという課題もあろうかと思っています。ぜひ政府のほうでもこういう検討をしていただけるように、これは働きかけをしていく必要があるのかなと思います。
 いずれにいたしましても、若干昨年からことしにかけてステージが変わったと思います。さまざまな御意見がまた議会でもあろうかと思いますが、そうした意見を総合しながら方向性を考えていきたいと思います。
 次に、農林水産業につきましてお尋ねがございました。新規就業者がふえていないのではないだろうか。その辺の理由はどのあたりにあるのか、どういう対応をするのかというお尋ねでございます。新規就業者がふえていない、先ほど農業が 136人、林業が58人、水産業が21人と御質問の中でおっしゃいましたけれども、平成18年のときはそれがそれぞれ62人、4人、3人でございまして、かなり急速に実はこの10年間で伸ばしてきているのもまた事実であります。それは別に自然現象で伸びたわけではなくて、この議場でのやりとりも踏まえながら鳥取型の就農対策、林業や水産業も含めて組んできたこと、初任給程度を保障していこうとか親元就農であるとかそうしたこともあり、あわせてその辺に希望を見出せるような、例えば新しい品種への交植を進めるとか、それから担い手農業者の育成であるとか、また林業の生産拡大に結びつくような低コスト林業化等々も進めてきました。水産業につきましても、昨年また境港は10 7,000トンの水揚げとなりまして、全国5位の漁港ということになりました。さらには、実は養殖でもギンザケの養殖、弓ヶ浜水産がされていますけれども、あちらもトータルですと80人以上雇用されるぐらい事業を拡大しつつございます。こんなように私どもなりの挑戦もし結果も出てきておりますので、多分ポイントとしてはうまくいった政策はさらに伸ばしていくというのが一つのやり方だろうかなというふうに思います。
 次に、外国人の就労についてでございますけれども、先般の大福丸の転覆沈没事故の際もインドネシアの方がお1人乗り組んでおられました。関係者もこちらにお見えになりましたけれども、本当にざんきにたえないことでございました。
 実は、兵庫の例えば津居山とかそうしたところもそうなのですが、今、インドネシアの乗組員が非常にふえてきています。そういうことに頼らなければ水産業も成り立たない。そういう状況になり始めているのだと思います。ですからこの課題に向き合わなければならないわけでありまして、政府としてもこのたび法律を公布をしまして、1128日に技能実習法を制定をし、先ほど議員がおっしゃったような機構をつくられるなど対策をとられ始めています。
 ネットワークが現場でも組織されてきて、境港とか官民挙げた対応をとろうとしていますが、きょうの御質問もございましたので私ども県庁の中にも外国人技能実習対策会議を組織したいと思います。主たる調整役となる事務局は商工労働部のほうに置いて、そこに外国人の生活の視点、交流推進の関係とか、それから場合によっては学校教育のこともありましょう、警察のこともありましょう。そこに労働局もこの際ちょっといろいろとかかわっていただくことが必要かなと思います。
 実は、この分野は労働局、厚労省が先ほどの技能実習法もそうでありますけれども主管でございまして、こちらに許認可権がございます。また、個々の方の入国、出国については入国管理局、法務省のほうが所管をしていまして、実は地方のほうはそんなに権限のある分野ではございません。ただ、周辺対策が必要かということ、趣旨かと思いますので、県側の組織対応もとろうと思います。
 最後に高齢者の生活交通等につきまして、運転免許証の自主返納等のお話がございました。これについては、しっかりと県警のほうでも取り組まれることかなとは思いますけれども、2つの方向性が議員のおっしゃったことであると思います。一つは、社会政策として交通の足を確保すること。これについては西部で地域交通の再編の計画をつくり、また今、本年度東部でそうしたことを進めているところであります。例えばこれにつきましては上長田大木屋線だとか、それから東長田線という西部で南北に貫く路線がございます。これについては、例えば法勝寺あたりで一旦そこまでを厚くしまして、そこからフィーダー線のような形で地域交通をやる。これは今、南部町もかかわりながら地元で今話し合いをして利便性の向上を図ろうということを進めています。
 また、西部のほうの米子を中心としたところでもイオンさんだとかそれから皆生あたり、こうしたところを巻き込んだループ状のバス路線をつくってみる。それによって放射線状に行くだけでないところで南北とか従来ない、米子駅を経由しなくても行きたいところに行けるような意味での交通の改善だとか、そうしたことを今考えようということを進めたりしています。
 また、あわせて今バリアフリーのUDタクシーを大規模に本県は投入しています。議員も見かけることが多くなったと思います。あれは鳥取の特別の財産でありまして、ああいうUDタクシーの活用などを今後さらに地域の市町村等々も巻き込みながら図っていくことが一つのポイントになるかなというふうに思います。
 また、2つ目の方向性としては、議員がおっしゃるのは認知症が進行するのではないか等々の心配のことでありまして、地域包括ケアの推進が今国全体のテーマになっていますけれども、そういうことなどにあわせまして例えばふれあいサロンやまだのように大栄の由良のところでやっておられる事業であるとか、またさっきの山形であれば智頭とか、そうしたところなどで健康管理も含めて今その地域の方々を集めてやるような、そういうコミュニティーとしてのそういうミニデイサービスも始めているところがあったり、こうした取り組みを進めまして引きこもらないで引っ張り出す、みんなで集まる、コミュニケーションをとる、やってみる、そうしたいい循環が生まれるようなそういう政策を、市町村が主となるかもしれませんけれども県もそれを応援をし、日本財団の事業なども組み合わせながら展開をしてまいりたいと思います。

  



○林副知事(補足答弁)


大山振興本部のこれまでの取り組みと今後の展開について、若干の補足の答弁をさせていただきたいと思います。 議員からもありましたし知事からもありましたように、最近は西部のほうに外国人の来訪者というのは随分ふえてきております。クルーズもありますし、ソウル便それから香港便、さらには広域での観光客の動きというのが盛んになってきておりまして、そうした流れになっているというふうに考えております。
 あわせて、大山の地域は従前から米子地域、地形がアウトドアに非常に適しているということで、アウトドアスポーツであるとかあるいはエコツーリズム、そうしたものについても十分な観光資源があり、蓄積がなされてきたというふうに思っております。
 こうした中で、特に最近大山を取り巻くさまざまな動きが出てきていると思っております。まず一つには三朝も含めて三朝、大山での日本遺産の登録というようなことから始まりまして、国立公園の満喫プロジェクト、さらに今進めております大山の1300年祭、そしてこれから予定されておりますディスティネーションキャンペーンであるとか、そうしたものがたくさん予定をされているわけであります。そして先ほども言いました広域での観光客への対応ということで、島根県と共同での縁の道ということでの広域観光ルートも設定をしたところであります。
 こうした動きを受けまして、大山の振興本部としてはまずそれぞれのセクションが取り組んでおります。しっかりと取り組んでおるというふうに認識をしているところでございますけれども、その取り組みをお互いが共有をすること、どういう取り組みになっているのかということを共有をし、そして観光の視点でもってそのそれぞれの取り組みを生かしていくということ、もう一方ではロストボールがないようにするということ、この2つを重点にまずは担当部局での会議を開催をしたということであります。
 もう一つは、こうした動きがあるわけでございますけれども、地域全体で観光地、我々の地域は観光地なのだと。観光をこれからの地域振興のために生かしていくためにおもてなしの地域だ、リゾート地域だということの意識を強めていく必要があるというふうに思っております。そうした意味で地元での観光関係者、そうした皆さんのところに出向いて出前での意見交換会だとか、そうしたものを開催をしたところであります。
 あわせて、その際には1300年祭がこういうものでこれからやりますから一緒になって取り組みましょうということ、あるいは国立公園の満喫プロジェクトというものが全国の中で8カ所に選ばれるぐらい国立公園としての大山隠岐のすばらしさがあるのだというようなことも意見交換の中でお話をしてまいったところでございます。そうした取り組みを進めてまいっております。
 これからもそうした取り組みを進めていくつもりでありますけれども、この予算のときのことを少し申し上げますと、予算でもそれぞれの部局で実施をするのですけれども、1つ2つどうしても抜け落ちたかなというのがあります。それを申し上げますと、一つは先ほどちょっとお話がありました山陰で養成しました通訳士の皆さんをもっともっと受け入れの企業であるとか、あるいは観光地においてそこの外国人を迎え入れる環境づくりのときに、その外国人が来たときだけではなくてあらかじめ通訳士の皆さんを派遣をしてもらったり来ていただいて意見交換をしていくという、そうした通訳士の皆さんの能力をより有効に使わせていただくような助成制度をつくるということが一つであります。
 もう一つは、アウトドアでのサイクリングルートあるいはウオーキングルートについて、これを東のほうまで長く延ばしていく必要がある。そして山陰海岸ジオパークへとつなげていく。そうした流れに持っていきたいということで、ロングトレイルだとかあるいはロングでのサイクリングルートの形成というものについて事業立てを進めていったところであります。改めてでございますけれども、大山あるいは西部地域はこの山陰の観光の中核であると思っております。東に向かって山陰海岸だとかジオパーク、砂丘へのルートとしてウィングを広げ、西に向かっても島根県のほうにも石見銀山なり三瓶山とあるわけです。そうしたものに両ウィングを広げ、そして交通の結節点、ゲートウェイとしての地の利を生かした中核として頑張ってまいりたい。そうした取り組みのエンジンというかチェックをしながら各部署がお互いに活動していく、そうしたセクションとして頑張ってまいりたいと思っております。よろしくお願いします。


○井上悦希警察本部長(答弁)


 安田議員から、高齢ドライバーに関しての3点御質問がございました。
 まず、本県の高齢ドライバーによる交通事故の実態と事故防止対策、これについてお答えいたします。
 本県の交通事故発生件数は減少傾向で推移しております。しかしながら、高齢者が第1当事者となる割合は年々増加の傾向にございます。昨年は交通事故は全体で 987件がございましたが、そのうち 239件が高齢ドライバーで24.2%を占め、過去10年で最高の割合となったところでございます。このうち免許更新時に認知機能検査の対象となります75歳以上の高齢者による事故は99件で、41.4%を占めております。
 議員御指摘の高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違えや高速道路を逆走しての死亡事故とか負傷者多数の重大事故というのは、昨年本県では発生しておりません。しかしながら、重大事故に至っていないまでもハンドル、ブレーキなどの運転操作不適による事故が昨年は16件発生しており、そのうち9件の56.3%に当たるものが75歳以上の高齢者によるものでございました。この背景には、加齢に伴う認知機能、身体機能の低下が運転の判断ミスや操作ミスを招き、交通事故につながっているものと認められるところであります。
 県警では、このような情勢を踏まえまして高齢者自身の運転能力を自覚していただけるように交通安全教育車を使用した参加体験実践型の交通安全教育、さらには複数回交通事故を起こされた方を対象にしました再発防止のための個別の運転指導、さらには各運転免許センターに配置しております看護師さんを活用し、運転適性相談や高齢者交通安全教室を通じまして認知症等の一定の病気の方の早期発見や早期受診の勧奨等の事故防止対策に取り組んでいるところでございます。
 次に、今回の道交法の改正により期待される効果についてでございますが、従前75歳以上の高齢ドライバーの方の認知機能の現状をタイムリーに把握する制度というのはございませんでした。3年ごとの免許更新の機会に認知機能検査を受け、その結果、認知症のおそれがあると判断され、かつ警察が一定の違反を把握した場合に限り医師の診断を受けていただくというような仕組みになっております。
 今回の法改正によりまして、75歳以上の高齢ドライバーの方がまず認知機能が低下したときに起こしやすい一時不停止とかの一定の違反行為をした場合に臨時の認知機能検査を行う。そしてその結果、認知機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼすおそれがあると判断された方に対しましては、臨時の高齢者講習を受けていただく。また、従来の認知機能検査や今回導入されます臨時認知機能検査の結果認知症のおそれがあると判定された方に対しては、専門医による臨時適性検査または主治医の診断書を求めるといったことになります。これによりまして認知機能の現状をタイムリーに把握することによりまして、高齢者のうち認知機能が低下しているおそれがあると判断された方に対する講習内容の充実によります交通事故防止が図られるものと期待しているところでございます。 3点目は、運転免許をどのようにして返納していただくのかというお尋ねでございました。御案内のとおり、道路交通法には運転免許を受けた者はその者の住所地を管轄する公安委員会に取り消しの申請をすることができ、公安委員会は申請に基づき運転免許を取り消すことができる旨の規定がございます。これがいわゆる運転免許の自主返納制度でございます。この制度につきましては本人の自主的な意思によるもので、決して強制になってはならないものでございます。現在、県警としましては運転に不安を覚える方やその家族からの御相談に対応するために、先ほども申しましたが、看護師資格を有する運転適性相談員により、いわゆるこの自主返納制度の周知や助言を行っているところでございます。
 一方で、議員御指摘のとおり地域の特性から高齢者の方が運転免許を返納された場合に自由な移動手段がなくなってしまうことが考えられることから、返納をちゅうちょしているのではないかということも承知しておるところでございます。そこで、運転免許を返納したい方が安心して返納できるよう、公共交通機関の料金割引や商業施設の代金割引などの支援策の拡充を働きかけているところであります。県警察といたしましても、高齢者の代替移動手段の確保など各自治体や関係機関等と連携しまして運転免許の返納しやすい環境整備について推進することが重要と考えております。


○安田優子 (追求質問) 
  
                  



  知事並びに県警本部長には御答弁を賜りました。ありがとうございました。
 知事からは六角形の哲学みたいなものを承りまして、さすが博識の平井知事、いかなる引き出しもお持ちであるなと改めて感心をした次第でございますが、もしかしてこのたびの豪雪で地域の総力戦というものがいかに大切であるかということを知事もお考えなのかなというようなことを思いながらお伺いをしておりました。ありがとうございました。 世界情勢の変化と平井県政の方向性というところですが、アメリカにつきましては私もさすがそのアメリカという国の民主主義の筋金入りだなということを最近改めて思いながらテレビなどを見ております。このほうは今後どういう展開が考えられるのかまだちょっと予測を今からするわけにもならないかなという感じもするのですが、ロシアのほうにつきましては何ですか、ビザの発給要件も既に緩和をされたということで、DBSクルーズのロシア人の乗客というのはちょっと韓国人に比べると低うございますけれども、可能性が高いのかなというふうに期待をしております。  
 先般、国会の予算委員会をテレビで見ていまして、片山さつきさんが新潟県で牧草をロシアから入れようとしてこの間ずっと苦労してきたのだけれどもなかなか進まなかったのに、この日露会談を契機にして大変スピーディーに事が運んでいるということをおっしゃっていました。御披露されておりました。だからこれは非常にロシア側の行政手続も拍車がかかってきて、貿易などは今まで大変苦労されていたことがスムーズにいくようになるのかなというふうに期待をいたしております。

 正直申しまして、私はウラジオストクのビジネスサポートセンターはもうそろそろ撤退してもいいのではないかというふうに内心では思わなくもなかったのですが、こういう事態になりまして残しておいて非常によかったなと。どうかあそこも存分に活用して、いい方向に進みますように期待をするものでございます。
 次の少子高齢化、人口減少への挑戦に入らせていただきます。
 最初に合計特殊出生率でございますが、これは知事も同感をしていただきました。若い女性にぜひ鳥取県というのを住みやすい県である、いい県であるというふうに承知していただきたいなというふうに思います。私も外の人に向かっては、ちょっとこれは言わないほうがいいのかな、どこだかの県と隣り合わせだけれども、うちの県はちょっとハイカラな県だよと。田舎だけれども、ちょっとハイカラだよという表現で鳥取県をPRさせていただいております。田舎暮らしはいいのですけれども、女性にとってはそれが非常に封建的な田舎だと住みにくくなって嫌われます。その辺をぜひその感覚は忘れずに持っておいていただいて、女性をふやしていくそういう方向性で進んでいただきたい。
 それで資料1というのを皆様のお手元に議長の許可をいただいて配付をさせていただいております。福井県、石川県というのはやはり女性施策、子育て施策で大変学ぶべきことが多い県でございまして、子育て議連で行ったときにこういう情報を得させていただきました。進学で地元を離れる方が大変多うございますが、その就活の時点で福井県では就活女子応援員というのを都会の大学の就活をしている女子学生に向かってカフェで女子会をやられるのだそうです。この話を移住定住課にお話をしましたら、早速新年度事業に取り込んでいただいておるようですが、その原型はこれでございます。これは鳥取県は随分頑張っていただいて、企業で男女共同とかイクボスとかいろいろな施策を打っていただき、多くの企業に御協力をいただいています。そういう企業さんから、福井県のようにこういう都会に出ていってぜひ鳥取での働き方は非常にいいよということをPRをしていただきたい。そういうことでございます。これは実は 100%の参加女子学生が大変よかったという、そういう評価を得ているのだそうでございます。働き方、暮らし方、子育ての仕方、そういうことが女子会ならばこそ得られる情報、話が聞けたということで効果が上がっているそうです。
 私は、個人的に高校を出て大学に進学をする人たちをなるべく県内にというのもうなずけなくはないのですが、やはり一度は都会に出るということも必要なことであろうというふうに考えるものです。だけれども、こうやってどうしようかという考える機会を使ってPRをしていただくことは非常にいいことかと思っています。県人会や同窓会が大変鳥取県は活発ですので、そういう折にもぜひPRをしていただきたいと思います。
 資料2をごらんください。去年でしたか、子育て議連で鳥取大学医学部のワーク・ライフ・バランスセンターのほうにお邪魔をいたしまして谷口副センター長さんからいろいろ鳥大医学部のお取り組みをお聞かせいただきました。やはり医師、看護師が圧倒的に不足している中でこういうポスターを、いろんな東京の浜松町であるとか東京駅の地下であるとかさまざまな、鳥取駅にもそうですね、こういうポスターを張り出されて全国募集をかけられたということでございまして、これがまたすごいショッキングな「米子“おなご”の街 シングルマザーを応援します」。私はこの感性にびっくりしまして、浜松町の駅でこのポスターを見たときはかなり、おっと思いました。これがちょっと資料がないのですけれどもテレビの放映をされ、それから森昌子さん主演のテレビドラマにもなって大変な反響を呼んで、その結果として多くの看護師さんが全国から集まってこられたということでございました。大変鳥大医学部は女性支援、男性支援ですけれども新しい手を打っておられまして私も感心をいたしましたが、シングルマザーは在宅にはなれないのですよね。子育ても家で育てるなどと悠長なことを言っておられない。必ず仕事をしなければ食べていけないというところがこういうポスターのすごみかなと思っております。
 鳥取県も今、知事もおっしゃいましたが女性管理職全国トップ、それからストレスオフも全国トップ、そういうもろもろのいい情報をかき集めて、いいポスターなり宣伝キャッチコピーを鳥取県は得意ですからおつくりになって、ぜひ全国ネットに乗るような宣伝をしていただけたらというふうに思います。
 保育園のことです。待機児童についてですが、本県は知事の答弁ではこれまでゼロで来たというふうにおっしゃっておりました。しかしながら、平成28年、去年の4月1日現在で公表は確かにゼロ人でした。ところが、その時点で既に潜在的待機児童1級の扱いをめぐって表には出てこない待機児童が80人おりました。鳥取市が12人、米子が53人、境港が15人。この潜在的待機児童、隠れ待機児童につきましては、全国的に大変問題になっておりまして、待機児童に入れるかどうかは市町村の判断に委ねられていたわけです。これを国はやはり待機児童として扱う方向で、この3月末までに結論を出すようにしております。そうなってきますと、こういう待機児童の数がさらにふえるのではなかろうかと思いますし、既に昨年の10月1日、これは公表はされておりませんが新聞で発表されておりますことを見ると、米子に34人、境港には45人、合計79人の待機児童が既にいるということが発表になっております。この辺、本当に来年4月に待機児童ゼロになるのかどうなのか、もう一度知事に御確認をしたいと思います。
 続けて施設の不足もございますが、ここではこれは市町村の課題でございますので、保育士さんの不足ということをちょっと問題にさせていただきたいと思います。昨年4月の段階で、有効求人倍率、保育士は1.68倍でした。去年の12月の段階で大変求人難になりまして、1.34まで県内の有効求人倍率は上がっておりますが、これよりはるかに多い求人難です。そして今、人手不足で県内は大変正規社員の募集がふえてきているわけです。
 こういう状況の中で保育士さんの正規、非正規の割合を見ますと、私立は正規が56.6%に比べまして公立は何と47.3%なのです。それでこの正規の中には任期つきの採用、期限つきの採用者が含まれているわけです。非正規というのは期限のない、本当に臨時の職員のみがここにあらわれております。それで今、国が考えている4万円あるいは幾らでしたっけ、もう一つありますよね、7年以上の人には昇給の制度が考えられたわけですけれども、これは7年たたないとそこに乗れない、昇給制度に乗れない。そういう人たちには、3年で初めて職務分野別リーダーで 5,000円アップ、これが現状です。 お考えを市町村さんにもいただかないと、最近起こった大きな事件がありました。南部町で2つの町立保育園で25人の保育士さんのうち10人の方が離職をされた。4月から離れられる。これは新たに企業型の保育所というのが国によって設置が可能性が出てきましたので、そういう保育所が近くにできたことによって保育士さんが誘われた。待遇のいいほうに移られた。全員ではないようですけれども。日本生命とニチイ学館もやはり大規模で全国展開でこういう企業型の保育所を設置される。これは松江にもおつくりになるということが報道されておりました。大変な保育所ニーズ、保育士さんニーズの中で、私はかつての介護施設、介護をどうするかという大騒動があったわけでございますが、そういう流れが今現実問題として保育の世界にも進行しているのではないか。今、介護施設は人手の奪い合いだそうです。少しでもいい条件のところに引き抜かれていくというか、移っていく。そういう状況だそうですが、保育業界も町立、私立問わずにそのような時代を迎えているのではなかろうかというふうに認識をするものです。ぜひこの辺を知事はどういうふうに見ておられるのか、お聞かせを賜りたいと思います。 
 続けて女性活躍推進課でございます。私は、いろんなところに女性が活躍をしていくことの具体的なお話を先ほど知事からもお聞かせをいただきました。いいことだと思います。そして今一番女性活躍推進課は企業のほうに法律に基づいて力を入れていらっしゃるようですけれども、いろいろな職業に進出をしていただきたいなということもお願いをしておきたいと思うのです。そういう情報提供をこの課でやっていただけたらと思います。

 私は、県議会に出て新人研修か何かで米子の消防大学校に伺いました。そのときに女性対応がトイレであるとかお部屋であるとかなくて、そのことを指摘をさせていただきました。それ以来、平成17年からでしたでしょうか、消防局のほうに女性の消防士さんが誕生するようになって、現在では13名の消防士さんがおられると聞いて、大変よかったなと思っております。そういう目配りもぜひこの課でしていただけたらありがたいと思っております。 
 私は、去年、南極観測船というのは昔の呼び名で、何と言うのでしょう、「しらせ」が境に入港したときにお邪魔させていただきましたら、何と30人ぐらい女性の隊員さんが乗っておられまして、やはりそういう女性を乗せることになるともう女性対応の手当てをしないといけないということで、自衛隊は何か24時間保育士さんの対応もできるようなことになっているというふうに聞いております。そういう手当てが同時に進まない限り、女性の社会進出はなかなか難しいだろうと思っております。

 もう一つ、皆さんは山根敏子さんを御存じでしょうか。この人は岩美町に台湾から引き揚げてこられて、いっとき教育長、教育委員会に在籍しておられたのですよ。それで沢田廉三さんが初代の国連大使におなりになったときに同郷ということで彼女を連れていかれた。最初の女性外交官さんでございます。残念ながら、飛行機事故で34歳でお亡くなりになったのですね。私は、当時ちょうど父が県の教育委員をしておりましてその話を聞きまして、世の中にそういう職業があるのだなということで非常に夢みたいなものがあったように思います。それでこの方の山根奨学基金というのが設立をされておりまして、国際関係に貢献するに足る人材を育成するために女子学生を対象にしているのだそうです。果たして鳥取県からこういう奨学金を利用してその世界に飛び出そうとする人が今までいたかどうかは確認していませんが、ぜひぜひそういう女性にも出現していただきたい。女性弁護士第1号も中田正子さんでございますので、そういう大きな夢も持てるような、そういう活動にもこの課に加わっていただけたらなというふうに思っております。その辺はいかがお考えでしょうか。
 もう一つ大事なことをお聞きさせていただきたいと思いますが、先般国会において政治分野における男女共同参画推進法案が上程されることが決まったようでございます。野田聖子さんなどが一生懸命頑張っておられまして、いよいよこれが上程され、可決されるような方向が見えてまいりました。そうしますと、国と一緒に自治体にも人材の育成や活用に資する施策が求められてまいります。それから、政治分野における男女共同参画の推進に関して必要な施策を策定し、実施するように努めなければならない。こういうことが県にも求められてまいりますが、政治の分野というのは、私たち4人おりますが、こういう法案が通るとさらに政党はどう対応するのか問われるわけですが、自治体も県もやはり大きく問われるのかなと思っております。知事はどういうふうにお取り組みになられるのか、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
 以上4つ、お願いをいたします。



○平井知事(答弁) 
  
  安田議員から重ねてお尋ねがございました。
 まず、第1点目としては、アメリカやロシアのことについてお話がございました。
 議員がおっしゃったように、豪雪が一つ、私も今後教訓になるかなと思っておりまして、災い転じて福となすような意味で、我が県のあり方、その材料にしたいと考えていたわけであります。
 外国の話は、先ほどいろいろといろんな観点で申しましたが、アメリカがどう展開してくるのか、これは注目に値するところであります。特に、トランポノミクスといいますが、トランプさんの新しい経済政策がどうなるのか、同じような形でレーガンさんが型破りな政治家として登場されたときのレーガノミクスというのがございました。これはどちらかというと新自由主義的な経済を主導するものでありまして、従来のケインジアンのフィスカル・ポリシーとは一線を画すような形で、当時新鮮に映ったものであります。これがサッチャリズム等々、海外がそれぞれ連帯しながらそういう新自由主義の嵐が吹き始めた象徴でありました。
 トランプ政権が目指すものがいま一つよく見えません。ですからその意味で不透明感があって、経済や貿易にどう響いてくるのか、ここはまだ不透明であります。ただ、言っていることは、どちらかというと国際協調主義ではなくて、かつてのアメリカの主流の政治スタンスであったモンロー主義に近いようなことになるのかもしれません。
 そういう中で、日本時間の昨日、トランプ大統領が全米の知事を招いてお話をされたそうでありますが、そこで国防費の大幅増額を提唱されたということであります。その原資が一体どこから出てくるかです。実は片方で減税をおっしゃっていまして、これをどう両立するのかわからないわけです。ひょっとすると歳出カットがこの後ドラスチックに出てくるのかもしれません。その辺がよく、政策の整合性がつかみがたいところでありまして、いろいろと注意をしながら見なければいけないのかなと思います。
 現状を申し上げれば、トランプ政権で減税されるのではないかということ、それから国内投資がふえるのではないかということから、株が上がり、金利がアメリカで上がってきました。これは初動において日本でも株高や円安をもたらしたわけでございまして、そういう意味で、日本の産業にはプラスに働く結果に一旦はなったのかもしれません。ただ、問題は、この後、政策が持続可能な形で展開できるかどうかに、今後、世界の経済をリードする力が出てくるかどうか、その力量が左右されてくると思います。
 ロシアなどの関係でありますけれども、ビザについては数次ビザをとりやすくなるなど、大きな変革が今なされつつございます。片山さつきさんがおっしゃったようなことも起きてくると思います。 今、政府のほうでは、ジェトロを一つの基軸にしながら、北海道や新潟をモデルとしたプラットホームづくりをしているところでございます。正直、なぜ境港が置いていかれるのかなという思いが私などはございまして、勝手にこちらでもプラットホームをつくったり、それから、そうした国のほうのジェトロ等の動きに、我々としても働きかけを今後していかなければいけないのかもしれません。
 いろんなマッチングが今後できようかと思います。そういう意味で、安田議員がその存在意義を再評価されましたビジネスサポートセンター、こうしたものを生かしながら展開をしていくことになるのかなと思います。
 最近の状況でも、八頭郡のほうにあります大洋潜水、これは潜水具をつくるところでございます。個別の生産ではありますが、堅調に受注がロシア側から来ております。
 また、来月早々に、先般もお会いをいたしましたけれども、三光の社長さん初め御関係の方々が訪ロをされまして、向こうでそういう環境問題と組み合わせたような経済交流の動きをされます。実は環境も今回の健康ということなども含めて、日ロのパートナーシップの一環に入っているわけでありますが、そうした意味での技術協力、これがビジネスと結びついて出てくるというような動きもございます。これはまさに政府の動きと連動しているところであります。
 ことし日ロ関係がどういう展開になるのかを見なければなりませんが、北方領土の中だけにとどまるような日ロの経済交流にならないように、我々としても仕掛けるべきところは仕掛けてまいりたいと思います。
 次に、子育て関係や移住につきまして幾つかお話がございました。
 潜在的な待機児童のこと、あるいは保育士の求人など、個別具体の課題につきましては、局長の井上のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、議員がおっしゃるように、女性の視点に立ちますと、田舎というのは悪いことではないのですが、それが住みにくさにつながらないように、それは我々としても配慮が必要なところであります。
 議員が肌感覚で先ほど率直なお話をされたと思いますが、私も感じますけれども、鳥取の場合はどちらかというと助け合う気風がどこかしらありまして、今回の雪の場合もそうでございました。それが子育て、あるいは若い夫婦にも向けられるわけであります。こういうようなことが住みやすさにつながれば、女性がこちらで活躍したいというふうにも思える要因になろうかと思います。ただ、そのためにはいろいろと政策的な仕掛けも必要なのだと思います。
 昨年度、議員のほうからは、例えば私どもでとっとり住まいる事業という県産材の住宅を生かした事業をしておりますが、多世代同居という選択もできやすいようにしたらどうかという提案がございました。これを受けて、今年度から3世代同居も加算対象にしまして、こういう補助金を受けやすくするようにいたしました。
 また、地域で若い方々など、そういうカウンセリングができるような地域組織の応援をしようと、移住定住の交付金の中でそういう支援をしたり、また、トットリズムの支援の中でそうした地域における拠点活動を支援をしているところでございまして、おおむねここはうまく機能していると思います。そうした形を育てていく必要があります。
 特に議員がおっしゃった福井のモデルであります。女子就活支援員という、先ほど写真を拝見させていただきましたが、こういう形で、いわばなかなか相談しにくいこと、特に就職となりますと、相手は究極を言えば会社の社長さんたちに採用されるかどうかということであったり、また、地域で例えば農業だとかも含めて挑戦をしなければならない。いろんな不安があるわけでありますが、相談しにくいということがあります。そういう意味で、少し先輩の女子就活支援員、これは鳥取県でもぜひ展開をしていければと思います。それから、大型の民間の就職サイト、これを活用しながら勧誘をかけるといいますか、情報提供を行う、こうしたことも新年度、展開を強めていければと思います。
 鳥取大学のシングルマザー募集でございますが、これは当時、東京駅にそうした広告を出して、全国的にも話題になりました。北野先生を初め、鳥取大学の方々、それから議員がおっしゃった男女共同参画や子育てを支援する組織が鳥取大学病院の中でも頑張られた成果だろうと思います。「ちょっとは、ダラズに。」というテレビドラマのもとにもなったわけでございますが、内実、現にあそこに院内保育所がありまして、それもなかなかすばらしい施設でございます。また、県も実は応援をして、内閣府の表彰大賞にも鳥大が輝いたのですが、例えば一旦やめた女医さんがもう1回戻ってくる看護師の再就職のプログラム、そうしたことも応援をさせていただきまして、こういうのが機能しながら人材の確保につながっていったわけであります。そういう意味で、こういうシングルマザーの活躍の場が象徴的に鳥取で展開されたのはよいことだろうと思います。 
 こういうことでわかるように、やはり施設保育も当然ながら在宅保育と同様に支援をしていかなければならないわけでありまして、私どもとしても、先ほどおっしゃいました保育士の人材確保のこと、それから潜在的な待機児童があるのではないかという、そういうデータもございまして、そういう意味で、なお一層保育士の受け皿の拡大、こういうことを後押しをしなければなりません。

 新年度の予算から適用しようとしておりますのは、保育士の方、幼稚園教諭の方、こうした方々に対する未来人材育成奨学金の適用でございます。これによりまして、半分ないし4分の1の返済免除ということになります。こういうことが結構呼び水になりまして、他の業種でも県内就職の促進剤になっているところでございます。
 それから、県単独で、1歳児であるとか、加配事業をやっています。そうしたことにつきましても、先ほど4万円の話がありましたが、国の今回の処遇改善、こういうものが単独事業でも展開できるように、応分の市町村への負担を出させていただくなど、後押しをしっかりしてまいりたいと思います。
 最後に、女性の活躍についてお尋ねがございました。消防士のこと、あるいは「しらせ」のこと、あるいは外交官のこと等々、いろんな分野での社会参画を図れないかと、こういうお尋ねでございます。
 賛成でございまして、そういう多様な活躍の道筋を応援していくわけでございます。先ほど消防大学校の施設改善のお話がございましたが、そういう女性消防士向けの施設にとどまらず、各所にやはりそうした配慮の必要なところがあるわけでございます。それに挑戦する企業さんの応援も必要でありまして、そうした改善の支援措置も組まさせていただいております。
 例えば米子第一交通さんというタクシー会社があります。タクシーの運転手さんは基本的には男社会でありました。こういうところで女性が活躍しやすいようにということで、土日を休みにするとか、昼間の勤務を認めるとか、そうした働き方の改革をこの会社のほうでなさいまして、そうした例えば職場環境づくりなどを県の事業などでも応援をするということであります。こうして現に女性の就業が見られるようになってきました。
 あるいは米子自動車学校、こちらも柳谷さんが女性理事長でいらっしゃいますけれども、やはり女性が働きやすい職場にしようと、これは理事長のみならず、職場の中の若手の方々も参加をしてプロジェクトを起こされまして、働き方での配慮等が進められ、環境も変わってきているということであります。
 また、農業でも今月に入りまして、北栄の杉川一二美さんという方、この方はスイカの女性会の幹部をされていたと思います。この方が中心になりまして、そういう女性の就農のネットワークをつくろうと、こういうものが立ち上がってまいりました。いろいろとこのような動きが県内でも出てきたところです。
 先ほどもおっしゃいましたように、残念ながら飛行機事故で亡くなられました山根さん、澤田廉三先生など、そうした郷土の先人たちとの御縁もあって、活躍をされたわけでございます。その志が後進への奨学金として生き続けてきた。あるいは中田さん、全国初の女性弁護士会長でございました。御夫妻で活躍もされましたけれども、こうした方々がきら星のごとく実は鳥取の女性の星として輝いているわけであります。そういう夢を若い方々も含めて追いかけられるようにしなければなりません。
 先ほどそうしたいろんな展開ができるようなことをもっと女性活躍推進課などでPRすべきではないかということ、ぜひ取り組まさせていただきたいと思います。
 女性の政治参画については、今後、国会の場で議論されるでありましょうから、まずはその状況を見させていただいて、地方自治体として果たすべきこと、これは十分にフォローを今後させていただきたいと思います。
 今までも、例えば高校における模擬投票など、いわゆるそういう公民教育というようなものがございました。その一つとして、女性でもそういう役割を果たし得るということはきちんと子供たちにも教えていかなければならないテーマだろうと思います。
 この法案が今後どうなるかよくわかりません。正直申し上げて、外国で女性の参画が急速に進むのは、やはり比例代表制など選挙制度とも絡むところがございまして、クオータ制と言われるような制度を導入している国は、お隣の韓国も含めてあるわけであります。ドイツも基本的には政党のルールとして、内部のルールとして、女性の登用、名簿登載をみずから義務づけることから女性の議員がふえてきて、メルケルさんなどもそうした意味かもしれません。そういう時代になってきているということだろうと思います。 
 この辺は非常に国政の中枢において議論されるべき課題でございます。その辺をしっかりと地域レベルでもフォローしてまいりたいと思います。



○井上靖朗子育て王国推進局長(補足答弁
 
 それでは、私のほうから、いわゆる潜在的な待機児童も含めた待機児童の解消の見通しにつきまして、補足の答弁を申し上げます。
 まず、いわゆる潜在的な待機児童ということでございますけれども、これは厚生労働省の待機児童の調査の中で、いわゆる4類型ということで、市町村の判断で待機児童に含めないことができるということが認められております。具体的に申し上げますと、一つは、これは本県は適用がございませんけれども、地方単独の保育施策の利用者、いわゆる東京都等の認証保育所等を利用されている方です。それから、求職活動中の方で、保育所に入れないので求職活動を一旦取りやめておられる方、3番目に、いわゆる私的理由ということで、特定の保育所を希望されていると、そこにあきがないので待機になっておられる方、4番目に、育児休業の延長をされている方ということでございまして、昨年4月時点ですと80名、県内にございます。特に3番目の私的理由の方が多いというような状況にあります。
 議員が御質問の中で触れられましたけれども、現在、これにつきまして、市町村によってその扱いが違うということで、いろいろ誤解を招くのではないかというような議論がありまして、厚生労働省のほうで検討会が開催されております。年度内には報告書が取りまとまるということで、先般、厚生労働省が新ルールの適用については30年度からするというような方針を示したというような一部報道がございましたけれども、いずれにいたしましても、こういういわゆる潜在的なニーズも含めて、我々としては待機児童の解消を図っていかなければならないというふうに考えております。 その見通しということでございますが、先ほどの80名というのは昨年4月の時点でございましたけれども、年度中途という意味で申し上げますと、昨年の10月は現在まだ集計中ということでございますが、一昨年の10月、平成27年の10月時点でも、いわゆる待機児童、それから潜在的な待機児童ということでは県内で 174名ということでございますので、午前中、知事が申し上げました、来年の保育所の新増設等による定数増が 348名ということでございますので、量的にはいわゆる潜在的な待機児童も含めてその量の確保を図っているというのが現状であります。
 ただ、先ほど申し上げましたように、潜在的な待機児童が発生する理由としては、特定の保育所等、どうしても自宅と通勤場所の近くの保育所を希望される方とかがいらっしゃいまして、このあたりのマッチングがうまくいくかどうかというのは、現在、市町村のほうが入所調整を行っているということでありますので、これはその結果を見てみないと何とも言えないというところであります。我々といたしましては、そういった意味で、市町村とも連携しながら、県としては保育士の処遇改善を通じた保育士確保、こういったものを通じて保育の量の確保ということで、待機児童の解消に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。



○安田優子(追求質問)
 
 今の保育業界の状況をどういうふうにごらんになるか。認識されるか。 



○平井知事(答弁
 
 先ほどもちょっと私も触れましたし、彼も人員確保についてお話を申し上げたと思うのですが、現在の保育業界が介護と比べてどういうふうに見えるかという点でございますけれども、私は、だんだん人の争奪戦になり始めていると見るべきだと思います。例えば東京のほうでは、ある区では、商品券5万円を差し上げますと、これを自分の地域の中で就職していただいた保育士さんには使ってもらっていいですよと、こういうようなことを始めたり、また、地域によっては、自分の子供は優先入所で必ず保育園に入れると、そういうような条件で保育士を募集して、保育士さんが集まってきていると、そんなようなところが出てきたり、また、待機児童を何とか解消しようとして処遇改善をする。そういうところになってきております。  
 先般の南部町のこともその一環でございまして、企業主導型の保育や小規模な保育所、そうした新しい波が来ておりまして、いわば人材が米子とかそういうところに引き抜かれてしまう。それで大量退職につながったということであります。南部町の場合は実は保育士をやめられた方がもう1回復帰するなどして、そこの穴は埋められたということなのですけれども、ただ、そういうようなことがこれからどんどん起きてくる。これは特に首都圏でそういう争奪戦が激しさを増してきて、処遇競争になり始めているわけですね。地方部においても同様のことが起こってくるだろうと思います。
 
私は、この辺も実は先般、市町村長さんとの行政懇談会で申し上げまして、市町村でも正職員の保育士さんにするなど、処遇改善に協力していかないといけないと、そうしないと保育士も集まらないというようなお話を申し上げました。湯梨浜の町長がおっしゃったのですけれども、うちは正規の保育士さんをふやしていくというお話をされました。現にクラス担任をしておられる保育士さんは91%が湯梨浜の場合は正職員になっています。また、トータルでも5253%ぐらい正職員ということで、他の市町村と比べると非常に高目になってきています。

 同じようなことが、各市町村長さんからもそうした言葉が漏れていまして、やはり都会と同じように要は処遇の面でもしっかりやっていかないといけないなというのは市町村も実感し始めていると思います。 
 したがいまして、議員がおっしゃるように、介護のような人の争奪戦が保育業界でも起こってきていて、これもあって、処遇改善にも力を国全体でも、そして市町村にも入れていただくように呼びかけていかなければならないと思っております。




○安田優子(追求質問)

 大変前向きな御答弁を賜りました。安倍首相は、2017年度、待機児童ゼロを断念されましたが、子育て王国とっとりの平井伸治知事としては、ゼロを全うしていただきたいということで、重ねてお願いをしておきたいと思います。
 さっきちょっと話が出ましたけれども、3世代同居・近居の支援なのですよね。実は米子医大に伺ったときに、谷口副センター長、それから救急救命センターに大変元気のいい看護師長さんの森さんとおっしゃいましたか、いらっしゃいまして、具体的におたくらも子育てで大変だったのではないですかということをお尋ねをしましたら、私たちは全然苦労しなかったということをおっしゃって、どうしてですかと言ったら、母親に見てもらったとおっしゃったのですね。やはり原始的にはそれが一番、保育所とセットで見てもらうのが一番安心できることかと思いました。
 それで、ぜひ木の住まいる事業に、今、同居、近居で支援をしている金額をもうちょっと上げてもいいのではないかなと私は思います。実はこの事業、今、上村議員の上村宅が3世代同居でこの制度を使って豪邸が建っておりますので、私も見せていただきたいと楽しみにしているのですけれども、ぜひぜひそういう形で、続けて移住定住でもこの話はさせていただきたいと思っておりますが、いろんな面で前向きな御答弁をいただきました。ぜひ担当課におかれましてはよろしくお願いをしたいと思いますし、また、女性の職業のPRとか、こういうことというのは学校教育でやはり連携して子供のときから教えてあげないと、世の中のこういう仕事があるなどということがよくわからないのですね。ぜひその辺も、片づきましたら、一段落しましたら、教育長、しっかりとよろしくお願いをしたいと思います。 
 次の移住定住でございます。資料3をごらんくださいませ。これ、私、政調政審のときに担当課にお願いしました。大変いい資料をつくっていただきました。現実には部長さんが言われていたような話とはちょっと違っておりまして、半分はUターンだったということですよね。それで、40%の人が賃貸住宅とかアパートにお住まいになっている。自分の家を建てた人がわずかに5%だという、こういう結果が出ました。私は、この40%の方々というのは、鳥取に来てみたけれども、ちょっと気に入らないからまた引っ越したいわとか、そういう可能性があるのではないかなという気がいたします。移住者が多いことは大変成果ではあります。結構なことですが、移住してきた人に定住していただきたい。そのためには、ぜひ持ち家をふやしたい。5%からもうちょっとふやしたいと私は願うものです。

 家を建てようとしたとき、Uターンの人でしたらまた別ですけれども、都会から鳥取に入ってきて、それで都会と同じようにごみごみした町なかにお住みになりたい人は余りいらっしゃらないだろうと思いまして、そうなってくると、調整区域等に、田園風景の中に家を建てようとされる人も結構いらっしゃるのではないかと思います。だけれども鳥取県の今の新築に絡む許可制度、土地制度というのは、農地法と都市計画法に縛られて、規制されているわけです。これが今のこういう移住定住者への対応として、時代的に、都市計画法は昭和47年、バブル真っ最中、そして乱開発を防ぐ、そういう目的でできた法律。農地法に至っては、昭和27年、小作農創設の法律でございます。今の時代に適応しない、合わない、大変問題点の多い法律だろうと思っております。国の法律ですので、県でどこまで規制緩和ができるのかわかりませんが、農家住宅の分家住宅というのが非常に都市計画法ではよく使われた。ところが分家住宅は我々の世代で終わりです。孫分家は使えません。規制緩和を今かけようということで頑張っていただいておりますので、そういう規制緩和の方向性をぜひぜひ進めていっていただいて、そうすればCCRCとかで田舎に来られて、新しい家をお建てになりたい方にも存分に建てていただけば、地元経済も影響よろしいのではなかろうかというふうに考えますので、その辺を、知事、いかにこの法律2つ、基本的認識のほどをお示しを賜ればと思います。お願いします。



○平井知事(答弁)

  安田県議から重ねてお尋ねがございました。
 アンケート調査を今、資料3のほうで拝見をいたしましたが、大体1対4対5でございまして、家を建てる、それから家を借りる、また、親を初め身内のところに身を寄せる、そういう割合でございます。4割が借家ということになりますけれども、これらの方の御意見を実は伺ってみますと、いきなり家を建てるよりもまずは土地になじむかどうかを自分も確かめる必要があるとか、もちろん資金繰りのこともございまして、引っ越して早々借金を抱えることよりも、まずは生活を安定させた上でというふうに考えられる方々もいらっしゃいまして、これはこれで一つのある意味実相なのかなと思います。
 問題は、安田議員がおっしゃるように、家を建てたいと思う方が建てやすくすることなのだろうと思います。別に上村議員がどうということでもなく、お孫さんの3世代住宅については、今回はちょっと予算は間に合わない形になりますが、今後よくユーザーの方の御意見も伺って、拡大、拡張できるもの、それは実相に合わせて考えてまいりたいと思います。  
それとあわせて、都市計画上の規制緩和でありますが、これも安田県議からたび重ねてこの議場でもお話がございました。

 実は、議員のお話も受けて、お孫さんにおいての11号の関係とか、要は開発の規制がかかるところも分家をしながら建てられるように改定しようと、ある程度地域で決められる部分もないわけではございませんので、その辺はマスタープランの改定とあわせて、今、取り組もうとしているところであります。こうした地域のいろんな実情に合わせながら、やはり市街化調整区域の問題なども考えていかなければなりません。
 都市計画の場合は、基本的にはやはり市町村の御意見、それから地域の御意見というのが大切だと思います。市町村の御意見をある程度踏まえながら可能な改正をやっていくということで、基本的には規制緩和の方向だろうと思います。
 実は、新年度、私どもで規制改革会議を設置しようと思います。いろんな行政制度上の規制がかかっているわけでありまして、土地利用規制はその最たるものだと思います。それから、業界の事業のあり方であるとか、そうした規制がございますけれども、ここはこういうふうに緩和したほうがいいではないかというような御意見をいただいたり、また、委員みずから御発想いただいて、緩和できるところの建議をしてもらう。そういう審議会をつくろうと考えております。地域の目線に沿ったような形で、そうした土地利用規制の見直しにも取り組んでまいりたいと思います。



○安田優子(追求質問)

 
  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 次に、観光振興でございますが、大山振興本部の取り組みと今後の展開なのですが、確かに知事がおっしゃるように、大山隠岐国立公園がわずか1万 4,000人というのは私もおかしいと思いますね。なぜこうなったかという原因なのですが、例えば日光国立公園であれば、日光東照宮が核なのですね。私たち、知事もそうでしょうけれども、東京から修学旅行に日光に行っても必ず東照宮にはお参りをするということですね。ポイントになるところが大山にはなくて、みるくの里であるとかどこであるとかという一つ一つの点はいっぱいあって、どこを数えれば全体が把握できるというところがないというのが一番の問題かなと、それが大山振興においても一番問題ではなかろうかなというふうに私は思っております。これを何とかすれば、6万人は幾らでも達成できるのではなかろうかと思います。ぜひ西部総合事務所と生活環境部を結びつけて、本部長さんには情報共有、そして大山王国の関係で、大山開山1300年祭のほうが実行委員会が大変でしょうから、その辺のお助けも重ねてお願いをしておきたいと思います。
 次の外国人誘客への対応でございます。ちょっとこれ、答弁が余り詳しくなかったのですが、特区の限定の通訳案内士の方々なのですが、国の法律が変わって、資格が必要なくなっていくということになりますと、この人たちの扱いを今後県はどうされるのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
 私の知り合いの方で、これは限定ではなくて、特区ではなくて、国の資格を定年後お取りになって、そしてやっていらっしゃる方がおります。この人が私に通訳案内士の立派なレポートを下さいました。ちょっと聞いてみますと、国家資格者でも仕事はほとんどないということでした。それから、バスに乗って鳥取県、島根県を案内するのだけれども、山陰のことだけを聞かれるのではないと、富士山にはどうやって行くのですかと、そういう質問を受けるのだということでした。だから研修というのは、やはり今後も既に受かった人たちにも必要ではなかろうかなと。一体どこが受け持たれるのか、ちょっと私もわかりませんけれども、そういうことを含めてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。



○平井知事(答弁)

 安田県議から重ねて観光につきましてのお尋ねをいただきました。 
 1万 4,000人の理由は、実はこれ、庁内でも調べておりますけれども、実態を申し上げますと、環境省の委託を受けながら、アンケート調査をする。そのアンケート調査で、行き先はどこですかということから推計を置いているというものであります。そのアンケートをとっているのが関西空港、広島空港、高松空港のみでございまして、米子鬼太郎空港や、あるいは境港というのが入っているわけではありません。そこに行った人は当然広島に行くでしょうし、あるいは金比羅山には行くでしょうけれども、鳥取のほうに行く人は、総体的には圧倒的に少なくなる。ですから特定の国立公園だけ膨れ上がるわけですね。特に伊豆、箱根のようなところ、これは成田の数字がかなり大きく出ますから、どうしてもそうなるわけでございまして、ちょっと統計としていかがかなと思うところもございます。ただ、そんなことを言っていてもしようがないので、先ほど申しましたように、宿泊者をふやすような、そういう目標を我々としても立てながらやっていきたいと思っております。

 また、通訳案内士でございます。これも古い資格で、国家資格もございましたし、最近は国のほうの特区制度を適用して、地域限定の通訳案内士が登場してきました。山陰におきましても島根、鳥取両県での限定の通訳士をこのほどやって、今、2回目の人たちがファイナライズしようとしているところであります。その中身につきましても、安田県議のいろんな御指摘もございまして、ロシア語であるとかフランス語であるとか、そうしたジャンルもふやしながら、今、試験を進めてきたわけでありますが、議員もおっしゃったように、今年度、6月の規制緩和の閣議決定だったと思います。この通訳案内士が規制緩和の対象に上がって、閣議決定されました。それで、今、通訳案内士の法律改正が進められようとしていまして、研究会の報告書が出てきたところであります。
 実はこれ、幾つかのものがないまぜになっています。一つは、膨張していく、どんどんふえてくるインバウンド観光客の需要に応えられるようにするために、この通訳案内士、たとえ地域限定通訳案内士を入れてもまだ追いつかないということです。ですからキャパシティーを無限大に大きくするために、これはちょっと乱暴かなと思うのですが、国のほうの今の構想としては、通訳案内士という資格の職業独占を廃止するということです。ですから通訳案内士以外でも通訳案内が事実上できるという、ガイド行為ができるようになるということであります。そういうようなことからしますと、私どもでせっかく試験もやっているわけでありますが、そのあり方も今後どうするか、島根、鳥取両県で話し合わなければいけないようなことになるかもしれません。
 あともう一つは、ちょっとぼったくりという言葉がいいかどうかはあれですけれども、そういうぼったくりツアーと新聞紙上でも言われるようなツアーが出始めていることです。それは、中国からたくさんのお客さんがやってくるわけでありますが、そうしたお客さんをキックバックという手数料戻しのようなことをするお土産物屋さんとか電気屋さんだとか、そういうのがいろいろとあるわけでございまして、そういうところを回りながら、ちょっと日本人でも買わないような商品を売りつけてみたりということがなされていると問題になっています。そういうことが片方である中で、それをやっている受け地観光の人たち、ランドオペレーションというのですが、そういうランドオペレーションの方々は、旅行業法の適用にならないということがございました。したがいまして、そこに何らかの規制の網をかける必要があるのではないかと。この2つが実はないまぜになっています。
 実は境港や米子鬼太郎空港でどうかというと、私どものところでおりてくる人たちは皆正規の旅行業者の扱いでランドオペレーションができていますので、問題はないのですけれども、ただ、そうしたことで、通訳案内士の業務限定が外されてしまう。今、国の研究会では、名称の独占、通訳案内士という名称の継続であるとか、バッジをつけてもらうとか、レベルを保つための研修制度等々が研究会に盛り込まれています。これが恐らくベースになって、近々法案が国会へ提出されると思うのですが、その内容も見ながら今後の対策を考えることになると思います。議員がおっしゃるように、少なくとも、今、通訳案内士を取られた方々についてのレベルを保つための研修制度の創設、これも両県で話し合って、どういう形ができるか考えてみたいと思います。
 また、あわせて、そうした通訳案内士の活用がひいては業務の適正化にもつながるわけでございまして、そうした通訳案内士の活用をランドオペレーションを行っておられる旅行業者に呼びかけていく。こうした働きかけを一層強めてまいりたいと思います。



○安田優子(追求質問)
 
 せっかく港湾整備をしてクルーズ船はたくさん入ってきたけれども、そういういろいろな闇の話で、地元の経済、そして雇用につながらないというようなことは決して望むべきことではないと思いますので、境港にそういう体制をしっかりと築いていただければとお願いをしておきます。
 次、交通基盤です。国際定期便、香港便、ソウル便に加えて、何か来年度というのですか、ベトナムのチャーター便とか定期便を使ったツアー客もお見えになるということで、大変楽しみにしております。
 米子・境港の高規格幹線道路ですが、私、米子市長選に今度お出になる伊木さんに推薦を党としてお願いをされた折に、この道路について確認をさせていただきました。大変主体的にお取り組みいただけるということでございまして、私も大変楽しみにしております。どうぞまたよろしくお願いをしたいと思います。 
 高速道路、知事にも一生懸命働いていただきまして、ミッシングリンクの解消に向けても大山を越したような感じでございますし、大雪の問題はまた後でお話をさせていただきたいと思いますが、やはり4車線化というのも必要でございますし、地域の皆さんのお力添えもなければならないだろうと思います。
 一つどうしても話をさせていただきたいことがございます。新幹線のこと、高速化のことも大変これからの大きな課題ではあろうと思いますが、私が生きているうちに山陰新幹線には乗れないだろうと思います。今現在のことでちょっとお願いをさせていただきたいことがございます。
 私、鳥取に通うのに、最初のころは車を運転して参っていましたが、やはり高齢化で、だんだん大変になりまして、米子駅と鳥取駅の間は特急を使わせていただいております。この米子駅と鳥取駅で汽車に乗ろうとするときに、ホームと列車の間が大変広くあいているのです。しかも列車とホームに高低差がある。列車によって高い場合とちょっと高い場合と、いろんな車両があるようでして、怖いのですね。特に小さいですから、すっぽりと落ちてしまいそうなほど広いのです。雪だとか雨でホームや列車の床がぬれているときなどは、大きな荷物を持って乗りますので、いつ落ちるのだろうかと心配でたまりません。そうすると、次の日の新聞に、老婆、ホームから転落、こういう見出しが出るのではないかなと思いながらいつも乗っておりますけれども、常任委員会で話をさせていただきましたところ、調べていただきまして、去年1年間で3件、ホームから転落事故があったけれども、いずれも私が言うような話ではなかったということで了解したのですが、その後、1月30日の日本海新聞に鳥取市の谷口久美子さんという方が投稿しておられまして、自分の母親がスーパーはくととホームの間に転落したのだと。20年ぐらい前の話で、しかもこのお母さんは障害のある方だったそうです。そういう事実が判明しまして、やはり私の心配は一人だけではないのだと思って、もう一度この場で訴えさせていただきたいと思いました。
 障害者の方に対しては、駅員の方が床板を持って、ホームと列車の間に床板を渡して誘導しておられるのをいつも見させていただいておりますが、私は、ただの一度も大丈夫ですかとか、お手伝いしましょうかとか、一つも言っていただいた記憶もございません。高齢者は大変寂しい思いをしております。ぜひこの辺が何とかならないものでしょうか。お願いをいたします。



○平井知事(答弁) 

  安田県議から、交通問題につきまして重ねてお尋ねがございました。 
 ベトナムにつきましては、チャーターフライトをこの秋ぐらいにということで、今、話し合いを始めているところでございます。複数回そうしたチャーターフライトができるように、ベトナムの旅行業者と話もしており、ベトナムのLCCとの協議も進み始めております。

 その前提として、旅客需要をつくるために、この春からH.I.S.系の旅行会社、それからタガートラベルという向こうの大手旅行会社のほうで鳥取側に送客をしてもらうということを始めることにいたしておりまして、そのための情報発信ができるようにということで、ベトナム語のわかる方に本県の庁舎内に常駐してもらうという事業も今始めようとしているところでございます。ベトナムはこれから中高所得層が伸びる国と言われていまして、今からいわば先手を打っておくことで、旅の目的地として、今は東京、大阪、名古屋が中心の旅行ターゲットらしいのですが、地方で見られるところということで、受け入れてもらえないだろうかという働きかけをしておりますが、砂丘のような自然、大山のような自然、それから体験、特に写真を撮るのが好きだそうです。それから、コナンがドラえもんに次いで人気がある国なのだそうです。そういう意味で、鳥取県の魅力というのも十分アピールし得るというふうに判断して、向こうも送客をするように決めてくれたところです。今後よくフォローしてまいりたいと思います。
 境と米子との間の道路については、新しい市長が今後選ばれた後に、その方とよくまず相談することから新しいステージを始めていきたいと思いますし、ミッシングリンクや大雪対策、この辺も万全を尽くしてまいりたいと思います。 JRの列車、ホームの安全対策でございます。これは非常に身につまされる課題だと思います。この8月16日、お盆のころ、東京の青山1丁目の銀座線のホームで視覚不自由の方が転落をする。そのとき盲導犬を連れておられましたけれども、柱をよけようとして、結局ホームから転落してお亡くなりになったという痛ましい事故がありました。あれを契機に、今、大都市部でホームバーをつくろうというような運動がかなり始まっておりまして、あちらこちらの鉄道会社が計画をつくり始めました。
 もともとは、交通バリアフリー法というのがございまして、この交通バリアフリー法によって、議員がおっしゃるホームと列車との間の間隔をできるだけ小さくしなさいとか、それから、ステップとの段差があります。ホームと列車に乗る間の段差、これをできるだけ小さくしなさいということも法律上規定をされていまして……(発言する者あり)向こうはそういう説明をしているのですけれども、規定をされていまして、その辺の配慮義務はもちろんあるわけですね。ただ、そこに数字が書いていない。ですが危険があるのであれば正さなければならないわけでありまして、この辺は障害者対策もございますし、高齢者の方の安全確保もございますので、きょうの御指摘も踏まえて、JR側に改めて申し入れもしてまいりたいと思います。
 JRさんの御説明ではこういうことなのですが、鉄道のやり方として、ホームと列車との距離が出ることにつきましては、2本のレールの中心からホームまで1メーター84センチの距離というふうに決められているのだそうです。ところが山陰の場合は、今、振り子列車が主流になってきています。振り子になりますと、その分列車の車体が小さくなりまして、レールの真ん中を基準に距離を決めてあるのですが、列車自体が小さくなりますと、ここが伸びるのですね。それで18センチ余りの差が生じているということなのだそうです。だからどうしようもないのだよというお話もあるのですが、そうであればそれなりの注意喚起だとか、そういうこともあってもいいはずであります。
 また、列車とホームとの段差が生じているのは、ちょっと昔を思い浮かべていただければ、ここにステップが昔はよくあったものです。今、特急列車など、そのステップがないわけです。それが段差の原因になっているということでございます。
 もちろん議員がおっしゃるように、ここに板をつけまして、もし障害のある方がおられれば、車椅子でも乗れるように駅員さんがアテンドしてくださるわけでありますけれども、ただ、そういうような事情があって、山陰の場合、特有の危険が隠れているという面もあるのではないかと思います。 
 こうしたことを改善するための実は国の3分の1の補助事業があるわけでありまして、きょうのような御質問もございますから、場合によっては安全対策に県としても一定程度協力してもいいのだろうと思います。この辺、よく今後、JRにも働きかけ、そして不幸な事故が起こらないように、防止対策を呼びかけてまいりたいと思います。




○安田優子(追求質問)

  ありがとうございます。
 12月にくらしの安心推進課のほうからJR西日本に言っていただいたときには、今おっしゃられたようないろんな省令に基づいてやっていて、現時点では列車とホームとのすき間を解消する具体的なハード整備の実施予定はないという返事が来ております。これ以上は知事のお力でぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
 農林水産業の振興でございます。頑張っていただきたいと思います。
 私、突拍子もないことを言うようですけれども、先ほど知事のお口からも出ましたが、農業、女性が結構頑張っていらっしゃって、そういうグループでやっていらっしゃる方もたくさんいますし、林業にもこのごろ林女とかという人たちが入っていかれたようでして、ところが漁業に関しては、女性の漁業従事者というのは全く見たことないので、それがふえない原因にもなっているのかなと時々思ったりはします。共和水産の白須社長に言ったら、そんなことしたら経費がかかってやってられませんとぽんとはねられてしまいました。それはそういうことではあろうかと思いますが、片方では外国人の労働者に頼らざるを得ないという、こういう状況が生まれてきております。大福丸、インドネシアから2人来て、1人がお亡くなりになってしまって、とても気の毒だなという気持ちがしております。
 それで、先ほど前向きな御答弁をいただきましたが、ことし法改正が実施になりますと、国は外国人技能実習機構を設立するわけですが、そういう体制の中で、地域協議会というのも考えられておるようでして、各地方において機構が中心になって、入管とか労基局とか職安とか、それぞれの企業の所管する省庁であるとか集めて、プラス地方公共団体、これに県が加わるというシステムが考えられているようです。そうなってきますと、今、県内に何人の技能実習生がいるのかというのも結局厚労省と法務省では発表の数字が違います。現実何人かは、実態は、どちらがどうなのか、私にもわかりません。そういうところですので、やはり県は、知事もおっしゃっていただきましたが、どこかちゃんと所管課を設置して、実態も調査し、そういう国から呼びかけがあったときには出かけていかせられるような、あるいは相談事も受けられるような担当課を設置していただくことは大変いいことだと思います。今、調べてみましたが、全国でどこも設置している県はありませんでした。鳥取県が初めてになろうかと思います。ぜひぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 そこまでとりあえずお願いします。



○平井知事(答弁)

  安田県議から重ねてお尋ねがございました。
 漁業についてでございますけれども、共和水産のお話はあったようでありますが、ただ、漁港によっては女性の進出はあり得るわけでありまして、今、海女さん、素潜り漁がございます。これについて、女性たちが、例えばワカメの養殖の免許も含めて、東部のほうで動き始めています。また、漁業は別に船の上だけではなくて、丘の上の仕事もございますので、さまざまな意味で、加工業も含めて、女性の活躍の場も確保していけるはずだと思います。いずれにいたしましても、いろいろと関係者とも胸襟を開いた話し合いをさせていただきたいと思います。
 また、外国人労働者の活用とか労働環境の適正化については、先ほど申しましたように、商工労働部を一つのかなめとして、外国人技能実習研修対策という会議を設けさせていただこうと思いますし、また、実は境の警察署が呼びかけまして、境港において官民挙げたネットワークを10月にこしらえてもらいました。こうしたところとも連携をとって、さまざまな民間も含めた関係者同士で話し合いし、フォローアップをしていきたいと思います。基本的な枠組みは、中小企業中央会で組合の管理をするとかということで、そこで技能実習生の受け入れの協議会というのができてきます。それと監督官庁である労働局がかなめになると思いますが、議員がおっしゃるように、就労の実態の把握から始めて、課題のあぶり出しをまずはそうした庁内会議を中心にやってまいりまして、労働局あるいはそうした中小企業中央会等の商工団体等々も交えたネットワーク組織も強化をして、県全体で適正化と就労の確保を図ってまいりたいと思います。  



○安田優子(追求質問)

  高齢ドライバーの事故防止対策に移らせていただきたいと思います。
 最初に、本部長さんにお尋ねをしたいと思いますが、認知機能検査というのが必要な人が出てくるわけですが、そうすると、医師の診断書が必要で、そういう認知症の疾患医療センターというのが、全国に指定病院があるそうでありますが、県内にはどこに行けばいいのか、教えていただきたいと思います。
 また、検査が必要な人というのが島根県は 800人を見込んでおられましたが、鳥取県はどのぐらいの人数を予想しておられるのか、教えていただきたいと思います。 
 自主返納者に対する支援策について、私もちょっと鳥取県の資料をいただきましたが、これの使い方というのはどんなものですか。よく使われておりますでしょうか。その辺もちょっと教えてください。お願いいたします。





○井上悦希警察本部長(答弁)

  安田議員から重ねて2点のお尋ねがございました。
 まず、1点目でございますが、認知症検査、これは医師の診断書が必要になる方、この対象見込み人数、それとあと診断先の確保状況でございますが、まず、認知症検査、医師の判断、診断が必要とされる方というのは年間約 210人を見込んでおるところでございます。
 これをちょっと詳細に申し上げますと、平成2812月末で県下の75歳以上の高齢者の運転免許保有者が約3万人でございます。このうち年間約1万人弱の方が免許更新を受けられ、その際の認知機能検査を受けられています。過去3年の更新者のデータを見ますと、認知症のおそれがあると判断された方の割合が免許更新者の約2%でございます。したがいまして、免許更新時に医師の診断が必要となる方を年間約 200人見込んでおります。あわせて、このたびの法改正によりまして新たに導入されます臨時認知機能検査で認知症のおそれがあるというふうに判断される方は、これは28年中の一定の違反を引っ張り出しましたところ、 673人ございまして、その約2%の約10人で、この足した 210名ということで見込んでおるところでございます。
 また、認知症のおそれがある方の診断先としましては、現在、県下7病院で、東部2、中部3、西部2、専門医34人の方の御協力をいただいておりますが、今後、3月12日から改正法が施行になります。そこで新たに4病院を加えまして、ちょっと詳細を申し上げますと、県立中央病院、渡辺病院、鳥取赤十字、鳥取医療センター、鳥取生協病院、県立厚生病院、倉吉病院、藤井政雄記念病院、養和病院、西伯病院、鳥取大学医学部附属病院、この11の医院で、合わせて専門医51名を確保して、体制の万全を期しているところでございます。
 続いて、2点目でございますが、支援制度の使われ方ということでございますが、現在、県警としましては、運転免許を返納しやすい環境づくりに取り組んでおります。特に平成23年1月からは、鳥取県のハイヤータクシー協会の協力を得て、運賃1割引きの支援策を皮切りに、現在、自治体において、公営バスの回数券交付等、約30項目の支援が行われております。この利用状況につきまして一例を挙げますと、タクシーの1割引き利用につきましては、平成27年度末で開始当時の約 3.8倍に伸びております。一方、支援制度の開始以降、運転免許の自主返納者数は 2.1倍に増加しているところでございます。その関係は明確ではございませんが、支援策には一定の効果があるものというふうに考えております。
 議員御指摘のとおり、高齢者の運転免許返納後の生活は、地域環境にもよりますが、代替交通手段の確保、これが大きな課題でございます。県警としましては、知事部局を初め関係機関、団体と連携しまして、これは社会全体の問題として、免許を返納しても困らない環境の整備について、地域のつながりによります共助、公助を含めて、他県施策の情報収集にも配意し、引き続き移動手段の確保等の支援策の拡充に努めてまいりたいと思います。



○安田優子(追求質問)

  移住定住策でも、知事が答弁なさった中で、カードを持っていただいたら大変効果があったという話でしたが、返納者に対して岡山県は、おかやま愛カードというカードを渡しているのだそうですね。大変返納が急増したらしいです。そういう効果を上げている県警もあるようですので、また御参考になさったらいかがかと思います。
 この高齢者の交通手段をどういうふうに確保していくかは本当に悩ましい、大きな課題で、しかも主体は市町村でして、県ではないということを最初にお話をさせていただいてのことなのですが、今まではバスでカバーしていたのですけれども、最近の流れはどうもタクシーに移ってきたようでして、来年度、県内でも日南町さんがそういうタクシー券を年間50枚お配りになって、このごろのはやりはどうもグループで、乗り合わせで使ってくださいということのようです。そうすると、 400円で1人で使えば足し算をしないといけないところに、4人で乗れば 1,600円までいける。しかも誘い合わせると、そこに一つの小さなグループができる。それが新たなコミュニティーとして考えられる。そしてまた、地元のタクシー会社もやはり残していかなければいけない。そういうもろもろの利点を考えて、 2,200万円の事業費をお組みになったということです。
 前橋市は、やはりタクシー運賃の補助で、登録をしてもらって、予想をしていた人の倍あったそうでして、1万 6,000人いらっしゃるそうですね。やはりバスでは停留所まで歩けない人がいらっしゃるということです。年間予算は1億 4,000万円だそうでございます。
 石川県の輪島は、行政ではなくて商工会議所がやっているのが、ゴルフ場で使う電動カートを改造して、小さな乗り物で住民の足にしていくと、こういうような取り組みがなされているのだそうです。
 今、お隣の福田県議から、八頭町もタクシー代3分の2を補助すると。年 100回まで。各町村、こういうタクシーに切りかえるような方向が出ております。
 それで、絶対これだといいというようなものも私はなかなか難しいなと正直思っております。きょう、そういう中で、本当に解決策ではないのですが、ヒントにちょっとなるかなと思ってこの資料をつけております。これは瀬戸内海の香川県に属する男木島というところで使われているオンバという四輪車です。手押し車ですね。私、これをテレビで見たのですね。実はごみを出すのにちょうどいいかなと思って、欲しいと思って、ずっとたぐっていきましたら、香川大学にたどり着いたのですね。香川大学と香川県庁が共同して、男木島地域連携戦略室というので取り組んでいる取り組みなのだそうです。この四輪車の上に島に移住をしてこられた大島さんという芸術家の方が一人ずつの好みを聞いて、こういう上に載せる箱を自分で描いてくださるのだそうでして、まさしくマイカー、車ではないのですが、マイカーが誕生するわけです。島の人は全員が持っているのだそうです。その男木島は道が狭くて、しかも坂道なので、車ではだめで、こういうものでないとだめだと。だからやはりその地域地域で向いた手だては考えなければいけないのではないかということであります。
 県としてできることは、やはりそういうモデルケースなり、こういう取り組みがあるよということぐらいかなというふうに考えたりいたしております。ぜひ鳥取県も、環境大学とか鳥取大学とか、いろいろありますので、鳥取県のいろんな地域地域に合わせたお取り組みをなさっていただいて、私はこのお年寄りの方の笑顔がいいと思うのですよね。顔が。見てください。お年を召されても、皆さんが家で閉じこもって鬱々としていないで、こういうものを使ってどんどん外に出ていって、いい笑顔になっていただける。そういうものが鳥取県にも考えられたらいいかなという意味で御紹介をさせていただきました。知事、何かございましたらお願いをいたします。



○平井知事(答弁) 


  安田県議のほうから、タクシーの活用やオンバにつきましてお話がございました。  
 高齢化がどんどん進んでまいります。そういう中で、一つには、交通の足の確保、これをやはり地域を挙げて考えなければなりません。あともう一つは、お年寄りの方もいわば地域に出かけていって、活躍をし、みずからの健康をつくり出していく。そういういい循環を起こさなければなりません。ここに大学などの関与のチャンスもあるかもしれないということです。

 タクシーの活用は、県内でも、今、御指摘のございました日南町、あれはチケットをつくりまして、それでやろうということでありますし、古くは高城地区、倉吉で 100円、 200円の実費を取るわけでありますが、残りの部分は県と市役所のほうで地域交通として支援をさせていただいて、送迎のいわばデマンドタクシーを週3回とかやるようなことがあったり、また、大山町のほうでも拠点を回る、そういうタクシースタイルのデマンドバス、そういうものを走らせたり、いろいろと地域の工夫も出てきたところでございます。
 やはり一度テーブルの上に出して、例えば買い物に行く。あるいは病院に行く。それから例えば地域の集まりであるとか、いろんな交通手段の必要な機会というのがあります。それに即したようなことを、行政だけでもないのだと思います。地域も、さっきの高城であれば、自分たちが運転をするということでありますし、そうしたこともあれば、企業さん、例えば県のハイヤータクシー協会は、免許を返納すれば1割引きで送ってあげるというようなサービスを始めていますし、そういういろんな組み合わせで考えていくべきものかなというふうに考えております。
 この辺、今、東、中、西で地域交通の再検討をしておりますので、よく皆さんの議論をまとめ上げていければと思います。
 あわせまして、大学も関与しながらの生きがいづくりで、男木島はいい例ではないかと思います。非常に笑顔が見えるような、そんな島づくりにつながる試みかなと思いますし、そこに大学や若い方々が協力をするということです。
 県内でも例えば用瀬で環境大学の企業部さんが古民家を活用して、そこを地域の交流の拠点にしたりということを始めました。また、これは古くからやっていることですが、江府町のほうでは鳥取大学医学部の保健関係の授業の一環として、またあわせてサークル活動として、地域の健康管理に大学もかかわり、公民館に地域のお年寄りも出てきて、自分で測定をしたりして健康づくりに励む。こんなような循環をつくり出されたりしました。こういうようなことがあちこちでそうした大学と地域とのつながりの中でできてきています。湖山にある鳥取大学の近くに茶屋二区という町内会がありますが、ここも地域の縁側事業ということで、大学生と地域の方々との交流が生まれておりまして、これが地域福祉の推進に役立つとして大賞をとったこともございました。こんなようないい例をもっともっと大学とのかかわりの中で広げていければと思います。



○安田優子(質問)

 2回目の壇上からの質問をさせていただきます。もうしばらくおつき合いをいただきたいと思います。 
 昨年1021日に発災した鳥取県中部地震においては、全壊16棟、半壊 251棟を初めとした1万 4,000 棟以上の住宅被害、約2万 9,000泊に及ぶ県内宿泊施設の予約キャンセルなどの風評被害、農業被害や道路など公共インフラの被害も多数発生しました。

 平井知事みずから陣頭指揮をとり、県はいち早く被災住宅の再建に向けた非常に手厚い支援スキームを構築されましたが、発災から4カ月たとうとしている今日においても、いまだ被災地の多くの家屋がブルーシートに覆われている状況など、住宅修繕のおくれが現場の大きな課題となっております。
 このたびの2月補正で、県外からの職人招致を支援することで、被災世帯の費用負担を軽減するとともに、早期の修繕完了を目指す事業が提案されておりますが、事業遂行により一日も早い復旧を願うものであります。
 新年度予算においても中部地震からの復興が県政の最優先課題とされ、震災からの復興、地震の検証と地域防災力の強化、学校、避難所等の防災機能の強化を通して、災害に強い地域づくりを目指して、34事業、34 1,200万円の予算が計上され、全庁を挙げて取り組むこととなっております。
 地震発生時における迅速な対応に加え、被災を乗り越え、災い転じて福となす復興元年に向けたスピーディーな取り組みに敬意を表するとともに、その労をねぎらいたいと存じます。
 平井知事には、災害に強い地域づくりへの道筋と決意のほどをお聞かせください。
 さらに、このたびは1月の大雪に追い打ちをかけるような再度の豪雪に見舞われ、鳥取市では33年ぶりの記録を出すに至りました。県内の幹線交通は全面ストップし、雪の重みで建物の倒壊や漁船の転覆等の被害を初め、県民生活に大きな打撃を与え、死亡者3名を出すまでの事態になってしまいました。全国的に雪の鳥取県が大々的に報道されましたが、実際の被害状況はどのようなものであったでしょうか。早急に実態調査をするとともに、地震に加えて大雪対応も考えた災害に強い地域づくり事業の見直しが必要ではないかと思いますが、知事はいかようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
 昨年1214日、田後漁協所属の底びき網漁船大福丸が島根半島沖の日本海で僚船に曳航される途中に転覆、沈没するという事故が発生しました。海猿と呼ばれる潜水士に加えて特殊救難隊を導入した海上保安庁や仲間の漁船の必死の捜索救難活動もむなしく、乗組員9名のうちいまだ5名の方は行方不明の状態です。
 事故原因については、海上保安部と国土交通省運輸安全委員会が調査中でありますが、地元では、建造後30年という大福丸の老朽化した船体の機関故障が惨事の発端になったのではないかと言われております。
 このような悲惨な事故を二度と繰り返さぬためにも、また、本県漁業の中核である沖合底びき網漁業存続のためにも、いまだ13隻が対象として残る漁船更新を促進しなければなりません。
 新年度予算では、国の事業を活用した建造船1隻への県分支援費 2,000万円が計上されるとともに、単県リース事業が制度設計されておりますが、沖底船更新への対応として、知事はこれで十分とお考えでありましょうか。事故直後、山本農林水産大臣に要望していただきました現場ニーズの高い水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業への優先的採択についてはどのような見通しでしょうか、お尋ねをいたします。
 県立美術館については、先般、立地場所に関する県民アンケートが実施され、倉吉市営ラグビー場を最も適切とする回答が最多の28.5%を占めました。
 しかしながら、この結果を受けて開催された美術館整備基本構想検討委員会では、候補地を1カ所に絞り込むことができず、最終的結論を委ねられた教育委員会も結論先送りのまま、本議会開催に至っております。
 本議会に美術館整備基本計画の策定、PFI手法導入可能性調査等、 3,000万円の新年度事業費を提案しておられる平井知事としては、肝心の建設場所が決まらないという現在のこのような状況をどのように受けとめておられるのか、お尋ねをするものです。
 また、美術館基本構想検討委員会、教育委員会とも、建設候補地を一本に絞り込むことができずにいるこの間の経緯について、山本教育長の説明を求めます。
 あわせて、今後、いつごろまでに建設候補地を集約し、基本構想案を取りまとめていくおつもりか伺うものです。
 平井知事3期目の後半期に入る新年度予算については、平成2710月策定の元気づくり総合戦略に基づく仕上げの事業に取り組むこととなります。本日、ここまで述べてきました人口減少に対する挑戦に拍車をかけるとともに、人口減でも持続可能な地域づくりを力強く進めていかなければなりません。加えて、中部地震からの復興や大雪被害への対応を柱に、災害に強い地域づくりを目指しつつ、美術館建設という大きな課題に立ち向かう年になりますが、新年度予算編成に当たっての平井知事の基本的認識についてお伺いします。
 政府は、昨年末、97.5兆円に上る当初予算案を閣議決定するとともに、地方財政計画については、過去最高の62.1兆円の一般財源総額を確保したと説明しました。
 しかしながら、実際は、地方税等の増収を見込んで、地方交付税は前年比 0.4兆円の減とし、これを補填する臨時財政対策債を 0.3兆円の増としております。 
 これに基づく本県の財源については、県税収入は増収どころかマイナス 0.4%の 524億円、地方交付税は臨財債と合わせてもマイナス 1.1%の 1,539 億円となり、起債は前年比 6.5%増の 441億円ほどに膨れた内訳となりました。多くの自治体が歳出を抑えたマイナス予算を組む中で、災害復興を目指し、総額で前年比 0.1%増の 3,494億円の予算を計上されておられます。知事は大変厳しい予算編成を余儀なくされたことと、御苦労のほどをお察しするものですが、どのようにやりくりされたのかお聞かせをください。

 また、その結果として、本県予算編成に当たっての3つの財政誘導指標の一つである財政調整型基金 300億円を割り込むことになってしまいましたが、この手当てについては知事はどのように対処されるおつもりか、残された任期2年間の今後の見通しとともにお聞かせをください。
 さらに、新年度予算編成に当たり、知事が特別に留意された点や事業について伺います。とりわけ厳しい財源の調達方法としてお考えの財政改革推進債やPFIの導入について説明をいただきたいと思います。
 我が鳥取県は、小さな県ではありますが、鳥取から日本を変えよう、鳥取から地方創生を果たそうと、一生懸命頑張っている県であります。多くの県政課題の中には国政との連携なくしては解決できないことも多く、また、激動する政治、経済、社会情勢の中、この国のありように対し、地方の声を反映させることも大切で、何としても合区解消を果たし、次の参議院議員選挙では必ず本県から議員を送り出さねばなりません。合区解消は我が鳥取県政の喫緊にして最大の課題であります。その解消に向け、本日最後の質問をしたいと思います。
 平成27年7月の公職選挙法改正を受けて実施された昨年7月の第24回参議院議員通常選挙において、本県は全国で唯一、代表を送ることができず、1票の格差とは異なる合区県における新たな不平等に甘んじることになりました。
 圧倒的県民世論を背景に、選挙後の9月議会において、県下19市町村全ての議会と我が県議会は、こぞって合区反対の意見書決議文を採択し、県内の市長会、町村長会、町村議長会も反対を訴えたのであります。また、平井知事には全国知事会をリードしていただき、選挙直後の7月29日に早速合区解消の決議を行っていただき、以後、全国市議会議長会を除く地方諸団体も知事会に続く形になりました。
 改正公職選挙法にのっとり、次の参議院選挙までに結論を出すためには、来年秋の臨時国会までに関連法案を成立させねばなりません。残された時間は少ない中、国会においては自民党以外合区解消に消極的な党が多く、格差是正によってみずからの党勢拡大を図る方向から、4県2合区どころか2010合区やそれ以上の合区拡大案を主張し、なかなか各党派間での議論が進まないという状況であります。 
 もしこのまま参議院がその独自性を失い、衆議院と同様に人口優先の道を選ぶとすれば、まさに明治以来のこの国の形、統治機構が大きく変わることになり、私たちが求める地方分権、地方創生が大きく後退することは火を見るより明らかであります。私たち地方は、とりわけ人口最少県の鳥取県は、全国の先頭に立って、合区解消を訴えていかなければならないと考えますが、平井知事はいかがお考えでしょうか。

 そして合区解消の具体的方策については、国会法を改正し、参議院選挙区として都道府県を位置づけるとともに、公職選挙法改正によって議員定数の見直しや選挙区及び各選挙区における議員定数を決めるという方法が時間的にも早く、国民の同意も得やすいのでありますが、これでは最高裁において違憲と判断される可能性が極めて高いとの多くの指摘があります。すなわち、これまでの1票の格差に対する最高裁の判例では、憲法上はあくまでも投票価値の平等こそ重要で、都道府県を参議院選挙の選挙区単位にしなければならないとする主張や法律は、現憲法のもとでは認められないということであり、合区解消は、終局、憲法改正によるしか解決の道はないというのが結論になります。
 全国知事会も昨年7月の決議で、憲法改正についても議論すべきと結んでおりましたが、これを受けて、10月には全国知事会有識者研究会が、参議院を地方代表によって構成される院と位置づけ、広域自治体の区域ごとに必ず議員が選挙されるとする憲法改正案を示されました。
 私たちは今、合区選挙で味わった悔しさと無念さをばねにして、国民投票も視野に入れた憲法改正という高いハードルに向かっていかなければなりません。旧自治省選挙部に在籍され、我が国の選挙制度のみならず、世界の選挙制度にも精通しておられる平井知事には、今こそその経験と知見を生かしていただきたい。県民の思いをしっかりと受けとめる鳥取県知事として、地方自治を守り、分権を推進する全国知事会のリーダーとして、合区解消を果たすべく、憲法改正に向けて果敢に立ち向かっていただきたいと願うものであります。知事の御所見を求め、壇上からの質問といたします。



○平井知事(答弁)

  安田県議の代表質問にお答え申し上げます。
 まず、中部地震を経験して、災害に強い地域づくりへ復興していく、その道筋につきましてお尋ねがございました。 昨日12時現在では、負傷された方が24名、また、全壊家屋が17棟、また半壊家屋 280棟、そういうことを含めた損壊家屋1万 4,758棟という大規模な被災となりました。こうした災害を何とか乗り越えていかなければならない意味で、議会の皆様にも12月県議会で非常に温かい御支援を賜り、その復興に向けた道筋を歩み始めたところであります。 また、この2月県議会におきましても、2月補正の中で、県外から職人さんに来ていただく、そういう予算も計上させていただきました。これに基づいて、2月15日から県外の職人さんも県内に入り始めているところでございます。ついせんだってもそうした関係者の方々の御意見が出てきましたが、何とか力を合わせてこの年のうちに家屋の修理を終えたいものだと、こういう意思の統一が図られつつあるところでございます。  
 それに向けまして、倉吉市の中でも例えば北谷地区とか、上井地区だとか、そうしたところで何戸かまとまって地域で屋根の修理を共同でお願いをしようではないかと、こういう動きも出始めているところでございます。

 これを一つのシンボルとするわけでありますが、この年のうちにほぼ概成ということかと思いますが、できる限りの復興をなし遂げて、概成させてまいりたいと思います。
 公共土木施設につきましては、年度内、来月中には全ての復旧工事の契約を終えたいと思います。それによりまして、できるだけ早く、特に水に関係するようなところ、これについて終了させることを中心として、出水期までに6割を完成させたいと考えますし、また、ことしじゅうに全ての工事を終了できないだろうか、雪の前にそうした形をつくれないだろうかというふうに今取り組んでいるところであります。
 また、商工関係、観光関係の傷を癒やし、また、次のビジネスへと向かっていくためにも、精力的に観光振興の予算も計上させていただきました。とり年ということも活用しながら、新しい旅のテーマもつくり、先般の雪でもまた風評被害も発生しておりますが、それを乗り越えるような観光振興策を計上いたしております。
 また、商工につきましても、経営革新制度を活用するなど、鳥取県独自の助成制度もさせていただきまして、新しい年度の間に次の商工の復活に向けまして、それぞれの事業者が取り組める環境を整えたいと考えております。
 懸案となるのは、多分文化関係などが一定程度ことしじゅうには終わらないところも出てこようかと思いますが、急がれていました三徳山三佛寺の文殊堂のところが通行不能になっていることにつきましては、地元で話し合いも進んでまいりました。県のほうで災害調整費という10月の専決予算の中で議会からお認めいただいたもの、これを活用しまして、文殊堂の迂回をしながら新たに鎖をつけるなどしてやるルートをつくって、当座、そちらのルートによって投入堂を目指せるようにできないだろうかと、今、動き始めようとしております。文化庁のほうの御了解もとりまして、こういうふうに進めていきたいと思います。また、新行者道については、復旧させた上で、これは30年度以降にずれ込む可能性があります。
 また、白壁土蔵群など、こうしたところも復旧工事を今進めてきておりますけれども、そうしたところについて、一部、平成30年度以降に残るところも出ようかと思います。これは文科省のほうの仕切りの問題で、いたし方ないところもあると思います。
 大山寺のところで観音様の首が折れた、また石垣が崩れたところは、これはことしじゅうの復旧を目指そうということになってまいりました。
 このようにして、いろいろと手も打ちながら、災害復旧・復興の概成を図りたいと考えております。
 次に、雪の害についてでございます。
 これについては先ほど若干のことを申し上げましたが、雪害編をつくるなど、地域防災計画にも結びつけていきたいと思いますし、地域の力の活用もできないだろうかというふうに考えております。
 今、実は私どもと同じように市町村でも議会が開かれようとしております。11の市町村でこの雪に対する予算を計上しようということになってまいりました。一緒になって農業被害であるとか、そうしたことに向かってまいりたいと思います。
 交通障害については、先ほども石井大臣とのお話を申し上げましたが、広域の迂回路、あるいはまた通行どめ、さらには議員がおっしゃるような4車線化、これが抜本的な解決になります。4車線化につきましては、石井大臣も私どもの雪害の状況も御理解をいただいたと思われます。こういうこともあるので、4車線化については適切に進めていきたいという表現をされていました。私どもも一日も早いそういう実現を目指していければと思います。
 また、鉄道については、2月16日にJR西日本の松岡支社長と面談をさせていただき、その後、21日だったと思いますが、実務ベースでもお話をさせていただきました。まずはホットラインをつくりまして、情報の共有が図られるようにしようとか、また、駅間で立ち往生するということがないように、駅に連れていったとしても、無人駅だと対処がしようがない。そのときに地元で応援していただけるようなことなど、今後に向けて前向きに雪害対策を共同で考えようということを進めております。
 ビニールハウスについては、今のところ 613棟の被害が報告をされております。また、林業の加工施設では10棟の被害、また、漁船も19隻の被害というように広がってきておりますが、4億 5,000万円ほどをかけてこうした対策にも当たっていくように、今、議会のほうに予算で相談をさせていただいているところであります。
 いろいろと今後検証作業をしなければいけません。国交省を初めとした道路管理者との話し合い、それから市町村や実務家も交えながら今後の対策もつくらせていただいて、最終的には県の防災会議にかけて、新年度に地域防災計画の改定を、できれば雪の前までに暫定運用させていきたいと思います。
 次に、大福丸の転覆につきましてお話がございました。
 これにつきましては、一つは、ジャケットの高度化とか、それから無線であるとか、そうしたソフト面での支援措置を組まさせていただこうと、今、提案をさせていただきました。
 あわせて、一番厄介なのは船でございます。議員もおっしゃったように、船体老朽化の課題もあるのではないかという報道もございまして、関係者と12月の沈没事故以降、話をさせていただきました。県内には13の船齢26年以上の古い船がございます。こうした船につきまして、再造船、代替船をつくる意思を尋ねさせていただきましたが、7隻については建造の意思ありということでございます。これを平成31年度までに順次行えるように、今、計画的に進めようとしております。私どもも国のほうに働きかけましたし、また、境港の景山組合長とか国会議員の皆様、それぞれに関係筋に働きかけた結果、議員がおっしゃった一番いい事業、水産の競争力強化の代船建造事業、これは平成28年度は2隻分確保できる見込みになりました。また、そのほかの事業なども国のほうでもつきますし、それから県のほうでリース事業を立てて、これも新年度計上させていただきました。こういうようなことで、大分厳しいことを当初言われていましたけれども、実態のペースに合わせた建造ができる環境を今整えつつあるところでございます。 
次に、県立美術館についてでございます。現在の状況について、どのように受けとめているのかということであります。

 本議会には、美術館整備の基本計画の策定事業、またPFIの検討事業につきまして、御提案申し上げたところであります。これらの本筋のことで話がずれているわけではございませんで、これについてはしっかりと御審議をいただければありがたいと考えております。
 議員が御指摘いただきましたように、どこに建設場所を求めるのか、それからさらに具体的な内容等につきまして、本来ですと検討委員会で計画がまとまるはずだったものが、建設地については、多数は倉吉のラグビー場ということでありますが、1つに絞り込む形での報告にはならなかった。その後、昨日までに2回、教育委員会が開催をされて、今、検討を重ねておられます。 
 どういうふうに受けとめているかということでありますが、私は、非常に丁寧に、さまざまな意見をまとめようとしながら、今、計画を煮詰めているというふうに受けとめております。まだ完全に終わったわけではなく、教育委員会でさらに検討の会を持たれることになりました。今、議会のほうは進行中でございますので、この議会にはいずれ教育委員会の考え方を出そうと昨日も話し合われたと伺っております。私ども執行部としても、その取りまとめを伺った上で、考え方を私ども執行部なりにもまとめていきたいと思いますが、丁寧に、そして慎重にさまざまな専門的知見も入れて議論をし、県民のアンケート調査なども実施をしながら進めていることについては、私はプロセスとして評価をいたしております。したがいまして、教育委員会の検討結果が出た後、その考え方をきちんと私も受けとめなければいけないというふうに思っております。

 次に、当初予算編成につきまして、何点かにわたりましてお尋ねがございました。新年度予算編成についての厳しい財源、基本認識はいかがかということ、どういうふうにやりくりをし、特別に留意はどんなことに行ったかということ、また、財調基金が 300億円を割り込んだわけでありますが、これをどういうふうに対処していくのか、行政改革推進債やPFIの活用についてどういうふうに考えるのかというお話でございます。 
 一括してお話をさせていただこうと思いますが、議員も御指摘ございましたように、非常に厳しい財源状況でございました。交付税や臨財債、こうしたものを加えても17億円の昨年対比での減少ということでございます。片方で、社会保障費関係が17億円ふえるとか、そういう歳出圧力も強まってきているわけでございますし、わけて特に災害対策、これが緊急の事業として今年度の財源を食う形にもなり、また、新年度の当初予算の中にも盛り込む必要がある。これを真摯にやった結果として、 300億円を下回る 270億円の当初予算ベースでの基金残高を見込むこととなりました。必要な事業はやらなければならないと考えておりますので、やりくりをしたというのが実態でございます。

 そういう中でも、未来に向けてやるべきことはきちんと計上しようという考え方でありました。大事なのは震災や雪害からの復興であります。それについては先ほど申し上げましたようなさまざまな事業の計上をいたしました。あわせて、例えば地方創生につながるふるさとづくり、地域づくり、また、農林水産業や商工業、観光業等々、産業の活力と雇用づくり、あるいはパートナーシップの形成、健康づくりや環境対策など、多岐にわたるいろんな課題がございます。議員が冒頭おっしゃいましたように、海外に向けての関係性がことしは特に問われることになる中で、境港の竹内岸壁に21億円を計上させていただいたところであります。
 また、東京オリンピック・パラリンピックをにらんで、いよいよセーリングの世界大会をやることになります。これも体制づくりとして職員を配置をし、大会の事務局をつくっていかなければなりません。そういう意味でも 1,000万円余り計上させていただいたところです。
 鳥取県の独自性のあるものとしては、県立のハローワークを形成しようではないか。これも1億円余りをかけて今回計上させていただきましたが、従来の国のハローワークとはまた違った形で、女性の社会参画、先ほど議員がおっしゃったようなこと、あるいは移住対策、こういうような課題に即したハローワークになるように、これも今、設置をしようということです。
 失礼。竹内南は10億円で、市場が21億円ですね。境港へきのうちょっと行ったもので。境港の市場のところが21億円、竹内のほうは10億円それぞれ計上させていただいたわけでありますが、そうした形で必要な事業は計上をいたしたところであります。
 これをやりくりするために、不要不急の事業の見直しなどを果敢にかけさせていただいて、90億円余り、その見直しを行っております。
 また、竹内など遊休資産の売却で10億円余りを捻出をさせていただきました。こういうこととあわせて、議員が今御指摘いただいたPFIや行政改革債、こうしたものも使わせていただこうと。行財政改革の成果を活用して、20億円以上財源をつくらさせていただきました。ただ、これはどうしても起債という意味合いがありますので、最終的に決算ベースでこれを活用するかどうかということはありますが、予算編成の段階で、ぜひこういうものも活用しながら財源を捻出しようと工夫をしたところです。
 また、あわせまして、PFIでありますが、これは将来への布石が中心になります。PFIについては、一つは企業、つまり県営企業ですね。企業局の発電事業でのPFIの可能性を探る。それから、空港につきましてのPFIの可能性、この辺を計上させていただくとともに、先ほど申し上げた美術館のPFI、この検討事業ものせさせていただきました。将来的にしなやかな県財政をつくっていく上での布石というふうに考えていただければと思います。
 そういう中で、見えにくい工夫としては、これは議会のほうに常任委員会で御報告させていただいたと思いますが、中・長期的な県有資産の管理、これを合理化しようということであります。向こう25年間で 1,000億円以上の維持費がかかると。これは修繕費などがかさむ年があるからでございます。こういうものを適時適切に管理をしていく、修繕を施していくことによりまして、25年間で 320億円の節減を図ろうということにいたしました。これは単年ベースでも13億円の節減ということになります。
 身近なことで申し上げれば、例えば第2庁舎のところの工事がこのたびで終わりました。あれも結局外壁のところの修繕がいずれかさむだろうということで、最終的にはパネル化して、今回対策をしておくということにさせていただいたところでございます。新年度予算の中では、東部総合庁舎でも同じような外壁の対策などもさせていただいております。
 こういうことで、数億円は財源が浮くだろうということになります。このようなことをいろいろと工夫をしながら、今後、 270億円に沈んでしまった基金残高を取り戻していくということに行くわけです。
 新年度に向けては、地方債の借金返しが平成29年度にピークを迎えます。平成30年度以降は若干なだらかに下がっていく形になります。29年度と30年を比較しますと、27億円、地方債の借金返しが浮くことになります。ですから、30億円穴があいたというものを取り戻し得るベースはそこにあるわけでありますが、ただ、片方で、相変わらず社会保障経費のほうで20億円歳出増がある。そのうちの10億円ぐらいは一般財源を必要とする。そうしたいろいろなもう既に見えかけている財政需要もありまして、そう簡単にはいかないだろうと思っております。ただ、これまでの10年間で 1,789億円の節減を県政全体ではやってまいりました。そういう手法をまた新年度もいろいろと工夫をして、それで平成30年度の予算編成に向かいたいと思います。
 最後に、参議院議員選挙につきましてお尋ねがございました。これについては安田県議も御指摘ございましたし、重ねてこの議会でも各会派のほうから選挙制度の問題点の御指摘もなされてきました。
 これについては、私のほうでも知事会で少しとんがった発言をさせていただきまして、昨年7月に知事会の決議を取りまとめることができ、また、先月には斉木議長も頑張られて、県議会議長会でも同様の決議をしてくださいました。また、11月には市長会、町村会それぞれに同種の決議をしておりまして、地方団体はほぼそろってきているところでございます。
 なぜかというと、やはり地域の代表ということの意義をデモクラシー、民主主義全体のシステムの中で感じているからであります。ただ単に人口だけで考えますと、選挙区はいかようにも自由に引けるわけでありますが、ではそこで選ばれた人が私の代表ということで物を頼みに行けるだろうか。あるいはその人たちが果たして地域のことを理解してもらえるだろうか。これはやはりいろいろなつながりがなければならない社会的実態の上に選挙区というのはつくられなければなりません。
 典型的には、アメリカの簡易選挙などで、州議会が選挙の区割りを引くわけであります。それが怪獣のような形をして、ゲリマンダーというふうに言われたこともございました。地域のつながりを無視してしまうとそういうことになるわけでありまして、そういう反省の上に、地方団体など一定の区画を尊重しながら物事を進めるというのが世界的にも選挙区の確定の意味で実務が整ってきているところであります。
 実は我が国におきましても、昭和58年の1224日の大法廷判決でも述べられていましたが、都道府県というものは、歴史的にも、社会的、経済的、政治的にも一つのまとまりであると、この上に住民の意思を反映させる、そういう機能、意義を持たせること、これは立法裁量の形として、そういう選挙区設定、都道府県を選挙区とすることには合理性があると、大法廷判決は本来言い切っていたわけですね。この背景には、戦後、民主主義が誕生した当初から、アメリカの上院を一つの下敷きにしながらつくられた貴族院にかわる参議院選挙の選挙制度がつくられたときの基本にもなってきたわけです。
 ところが、その後、いろいろと社会全体での定数訴訟をめぐる社会運動があり、そういう中で、裁判官の心が変わってきてしまったのだろうと思います。実質上の判例変更が行われまして、平成2410月の大法廷判決の中で、昭和58年4月27日の判決は覆されてしまった。ただ、その中でも社会的実態としての都道府県というものを完全には阻却していない判決文の書き方だったと思います。幾つかの選択肢の中で、人口の不均衡というものを是正されるべきではないかということであったのですが、その中の一つの例示として都道府県の合区という言葉が出て、これがひとり歩きしてしまったというのが実情かなと思います。
 これについては、そうした昭和58年4月の判決、平成2410月の判決、こういうものも念頭に置きながら、各地で今、高等裁判所の判決が出されてきました。中には過激なものもございまして、ここを管轄をしている広島高裁松江支部の判決においては、都道府県というものは選挙区としてもう既にその意義を失ったというように言っている判決も出てきているわけでありますが、その一方で、今回の選挙区の設定、定数配分について、是とする判決も片方である。この上の最高裁判決がどういうふうになるのか、この辺が注目をされるところであります。
 国会のほうでは、今、2月に入りまして、参議院の選挙制度を考える検討会を院内で開始しまして、2回の審議が各党各会派間で行われ始めたところです。
 また、他方において、憲法の調査会が衆議院、参議院両院において立ち上がり、動き始めております。
 我々が本来目指すべきなのは、憲法が今日果たして妥当するかというところであります。憲法が考えている平和主義であるとか、国民主権であるとか、主権在民、基本的人権の尊重、そうした基本理念はいささかも揺るぐ必要はないと思いますし、国民はそこを望んでいるわけではないと思います。しかし、時代の変遷とともに、本来憲法に書かなければいけないこと、憲法で議論しておくべきことというのが出てきていると思います。一つは地方自治であります。地方自治は、我々がその中で仕事をさせていただいているわけでありますが、我が国の統治機構の中で重要な役割を果たしていると言わなければなりません。なぜなら、国会で決め、霞が関がつくった政策だけで住民サービスができているわけではないからであります。我々がやっている仕事というのは、国とは大きく異なるところは、現場に出向いて、現場の住民の皆様の声をもとに、この議場に持ち寄り、意思決定をし、それに基づいて執行しているということであります。これが我が国の統治機構の中で非常に大きな役割を担っている。外交や防衛以外のところは大概ここで始末がつけられるようになっているわけであります。ただ、ここについて、憲法で書いていることが余りにも乏しい。それがゆえに都道府県単位の選挙区というものについて、裁判官の理解がいかないということがあります。
 ですから、都道府県という広域的な自治団体、こうしたことを憲法上もはっきりと位置づけていく必要があると思いますし、地方財政の自主権であるとか、条例の自主権であるとか、従来以上にこれは保障されるべきものではないかと思います。その辺を書き込むこととあわせて、何らか代表制のところ、選挙の仕組みのところに若干でも言葉があれば、判例というのは大きく変わってき得るものだと思います。これが多分究極の目標なのだと思いますが、大分議論が必要です。少なくとも両院における3分の2の発議、国民投票、これらがなければ今申し上げたことは実現しないわけでありまして、今、国会でその議論が始まったところでありますが、我々としても声を上げていく必要があると思います。
 そういう観点から、今、私が大分主張したことを受け入れていただきまして、全国知事会でもそのための特別な研究会が動いております。これがこの夏の全国知事会議で報告ができるように、今、取りまとめをしているところでございます。
 また、これは地方分権の仕組みにも絡みます。私自身が委員長をしております地方分権の特別委員会が知事会にございまして、ここでも研究会を設け、大石先生を座長として検討を進めております。この研究会の中でも憲法問題を扱うことにいたしておりまして、そうした憲法の議論もこうした研究会の中で提起をしてもらおうと思っております。
 こういうようなことをいろいろと積み重ねながら、これは国全体の運動として、鳥取県だけで考えていても多分無理でありますので、同じような問題意識を持っているところと連帯をしていく必要があるだろうと思います。
 今回、高裁判決が続いておりますが、私が予言しておったことが現実になりかけているように思います。それは全国知事会でも全国の知事に向かって申し上げたのですが、決してこれは4県だけの問題ではないということです。安田議員がおっしゃいましたけれども、中には20県で合区をするというような案を今、国会内で言われている会派もございます。もともとの試案の中でもそういうものもございまして、実は2倍以内の人口比ということを追求せざるを得なくなると、そうすると合区の範囲は一遍に広がるわけです。都道府県単位で代表を選出するというのが我が国の参議院選挙の選挙制度の一つのいわば枠になっていたわけですね。だからこそおおむね3倍以内、あるいは5倍以内といった、よくわかりませんけれども、そういうところで最高裁が衆議院の中選挙区時代、判断をしたとか、参議院の選挙制度について判断したという時代があったわけです。ところがそのたがが外れてしまいますと、もうあとは憲法14条に基づく人口による法のもとの平等だけが残ってしまいますと、2倍以内に行かざるを得なくなる。そうすると、とめどなく合区が広がってくるということになるわけでありまして、都道府県単位の選挙制度というのは一挙に失われることになるわけですね。
 今回の高裁判決の中にはそうしたことに向かう判決も少なからずあったところでありまして、そうしたことに危機感を持つ他の地域もふえてきているわけであります。ですから、他の地域の知事さんたちとも連帯をしながら全国知事会で声を上げていったり、また、国のほうへの働きかけということも今後とも引き続いてやってまいりたいと思います。



○山本仁志教育長(答弁)
 

  安田議員の代表質問にお答えを申し上げます。
 検討中の美術館整備基本構想に関しまして、いまだ結論の出ていない建設候補地に係る検討経過、あるいは教育委員会では検討委員会の報告をどのように考え、今後基本構想を取りまとめていくつもりかといったことについてお尋ねがございました。
 県立美術館の建設場所につきましては、基本構想の検討委員会におきまして、美術館のコンセプトでありますとか必要な機能などに即して立地条件をまず定めていただきまして、県下の市町村からその条件に合う場所として推薦していただくなどした13カ所を候補地の評価等専門委員の方々に評価していただきまして、昨年6月、これを4カ所に絞り込んでいただいたところでございます。本年1月には、この4カ所の候補地につきまして、専門委員の評価、あるいは推薦のありました市町、あるいは県議会の皆様方の御意見を反映させた資料を沿えて、 5,000名の県民の方を対象とした意識調査を実施いたしました。その結果、過半数を超える 2,530名の方から御回答がありまして、倉吉市の市営ラグビー場が最適とする回答が 722名、お話がありました28.5%と最も多く、次に旧鳥取県運転免許試験場跡地、これが 643名、25.4%、そしてその次が鳥取市役所の庁舎敷地、 635名、25.1%、4番目が鳥取砂丘西側一帯、 465名、18.4 %といった順でございました。
 これらを踏まえまして、検討委員会では、2月10日と16日の2回にわたりまして、候補地等を含めた議論を行われた結果、会議ではさまざまな意見がありまして、全員が一致して建設地を選定するには至らなかったわけではございますが、14名の委員のうち8名の委員の方が、この県民意識調査の結果はこれまでの専門委員の評価ともおおむね一致するといったようなことから、それらを尊重する意味でも、倉吉市営ラグビー場を選定すべきとされたところでございます。そうしたことを含めて、20日には各委員のそれぞれの意見も付しつつ、倉吉市営ラグビー場が最適とする委員が過半数を占めたとする報告書を取りまとめられて、同委員会の林田会長から提出をいただいたところでございます。
 林田会長を初め検討委員の皆様方、候補地評価等の専門委員の皆様方には、これまで専門的な知見も交えながら、長い時間をかけて、オープンで、しかも真摯に御議論をいただき、基本構想の報告書を取りまとめていただきましたことに、私からも改めて敬意を表し、感謝を申し上げる次第でございます。
 これを受けまして、先週の21日と昨日の27日に臨時の教育委員会を開催いたしまして、附属機関であります検討委員会の検討結果報告書に基づきます県の教育委員会としての基本構想の最終取りまとめについて御審議をいただいたところでございます。
 21日の教育委員会の審議の中では、まずもってこの基本構想の検討委員会の最終報告を最大限尊重するということを確認いたしました。その上で、美術館はこれから未来にわたって何十年も県民の方に使用される施設であるといったことを考えると、教育委員会としても今後の人口減少社会、高齢社会、あるいは共生社会といった中で、持続して発展していくための対応でありますとか、未来を担う子供たちが芸術への関心や創造性を高めるといった視点での対応、こうしたことをもっと十分に議論して基本構想に盛り込むことが必要だということで、継続審議となったところでございます。
 さらに、昨日は、この21日に出されました論点等を初めとして、新たな論点なども含めて御議論をいただき、基本構想にそうしたことをどのように盛り込むべきかを議論していただいたところでございます。そうした中で、人口減の中でも将来にわたって全県域の県民の方に幅広く利用していただける運営のあり方として、例えば子供たちを初め、新たな美術ファンを開拓してリピーターになっていただく、そうしたことなどを含めて、美術に親しむ層をより一層厚くしていくといったことでありますとか、より多くの人に美術館を利用していただけるようにするための二次交通等のアクセスの利便性、あるいはまた障害のある方、高齢者への配慮、そうしたことをより一層高めるような取り組みでありますとか、さらには、子供たちの芸術への関心や想像力を高めていくための一つのシステムとして、美術館の中に学校教育を支援するセンター的な機能を設けて学校との連携を進めていくといったことなどにつきまして、基本構想に追加して盛り込むといったことになったわけでございます。
 これまでの2回の教育委員会の会議の中で、おおむね論点でありますとか意見は出されたのではないかなと考えておりまして、今後、最終取りまとめに向けまして、修正案の整理を事務局のほうで行いまして、教育委員会としての基本構想を取りまとめ、知事、そしてまた県議会の皆様方に御報告をさせていただければと考えておるところでございます。



○安田優子(追求質問)

  御答弁を賜りました。ありがとうございました。
 中部地震と豪雪、災害に強い地域づくりから追及をさせていただきたいと思います。
 一つには、今回の大雪でも、前もそうだったのですけれども、立ち往生した車への炊き出しとか差し入れとかいうのが湯梨浜だとか智頭だとか各所であったわけでございます。先ほどお話があった青谷駅の周辺の皆さんにも大変御苦労をおかけしたということでございます。こういうボランティアの地域の皆様方の活動に知事はどういう評価をされるものなのか、そしてそれに対して、私はこういう炊き出しをなさった方々に手当てというのはどうしておられるのかなということをちょっと考えたりしたのですけれども、その辺は、今までどうされてきたのか、今後どういうふうになさるおつもりなのか、教えていただきたいと思います。
 大雪が結局、幹線道路、高速道路、そういうところは行政のおかげで機械で除雪していただくのですけれども、一般県民はその道路に出るまでが大変で、そこでやはり地域の皆さんが総力戦で動かないと、交通の麻痺というか、全てが機能しないと。たまたま今回は土曜、日曜の大雪でございまして、普通家にいない若い人もいていただいたので、現場からして大変よかったのですね。だけれども、私などは本当に陸の孤島になってしまったようなところに住んでおりまして、こちらの道路に出るのも、こちらの道路に出るのも大変だというところでございます。
 そういう中で、去年まで同じ年で一生懸命頑張ってくださっていた方が、ことしは腰を痛められて除雪が全くできなくなった。そういう例が本当に多いのですね。私の通りは大体同級生がずらっと並んでいるのですよ。去年までは何とかなったのですね。ことしはもう全員が動けなくなってしまって。そういう中で、やはり除雪機があればどんなにいいだろうと思ったのですね。
 調べてみましたら、県下でも鳥取市や東部のほうの市町村はかなり持っていらっしゃって、鳥取市は公民館ですか、置いてあるのだそうですね。それで県庁の方に聞いた話ですけれども、その置いてある除雪機を借りてきて、家の周りを除雪したというお話を聞きました。そういうぐあいにしていただければ皆さんが喜ばれるのではないかなというふうに、何しろ超高齢化県、鳥取県ですので、これも市町村なので、県としてどうするということにはならないかもしれませんが、どういうふうに考えておられるのか、ちょっと知事にもお考えをお聞かせいただければ。
 以上2点、お願いします。



○平井知事(答弁)

  安田県議から重ねて雪害につきましてお尋ねがございました。
 ボランティアなど、大変にありがたいことだと思います。我々鳥取県にとりましても、県民みんなから見て誇りに思えることだったと思います。この様子も報道を通じて全国に行き渡っておりまして、鳥取県民の皆さんの対応は神対応だと、神様のような対応だというふうにもネットでも出るぐらいでございました。これは我々の一つの財産だと思います。したがいまして、今後もそうしたことが多分自発的に行われると思いますが、そういうことをみんなでやりやすい環境づくりも必要なのだと思います。
 先般、実は御礼参りをいろいろしていまして、智頭の大内集落に行ったり、それから原とか宇谷とか、そうしたところにもお伺いしました。例えば原の小林さんという町内会の自治会長さんなどが中心になってされたわけでありますけれども、35名ぐらい公民館のほうに身を寄せられた方がいらっしゃって、夜中からみんなで例えば分担し合って炊き出しをしたり、そういうことをいろいろとされたわけでありますし、情報がないというふうに回る車から言われれば、それを何とか聞こうと思って、小林さんなど、国の事務所のほうに連絡をとったりとか、本当に精力的にされたのですね。そのときのお話、もちろん苦言も含めていろんな話を承ったのですけれども、そのとき感じましたのは、皆さん本当に生き生きとこうしたことに取り組まれたことでありまして、それには本当に頭が下がりますし、これは地域の一つの輝きだなというふうにも思いました。
 それで、皆さんのおっしゃるには、こうした活動がやりやすいように、あらかじめ例えば情報をこういう公民館に渡してもらうとかがあってもいいのではないだろうかというようなお話など、建設的なお話が多かったのですね。こういうことを我々としてもシステムとして考えてもいいのかなと思います。そうすると、途端に、安田議員がおっしゃるように、費用負担の問題などにすぐに今どきの役所は頭が行くのですね。それはやはり割り切らなければならないわけでありまして、自衛隊に出動要請しても後で請求書が来るわけでありますから、それは我々として覚悟しながら、ただ、実際にスタックして入り込んだ渋滞の中で困っておられる方々の立場に立った救援活動が必要なわけでありまして、それは当然ながら御負担のことも含めて議論をすべきものだと思います。
 実は実情を申し上げますと、平成22年、23年のとき、このときも同じような考えがございまして、地元で、例えば琴浦とかでいろいろと炊き出しをしたり、お金もかかったわけですね。そういうことの費用負担を原因者、あるいは県、そうしたところでやりましょうということで、最終的にはこれは始末しております。ただ、現実を申し上げますと、辞退された集落が多いのです。その辺が鳥取県民の優しさのあらわれだと思うのですが、もちろん大したお金がかかっているわけではもともとないのですけれども、そういうお金も、これで皆さんに喜んでもらえたからということで、住民の皆様も満足されて、よかった、よかったで終わっているというのも片方である。これがやはり現実なのだろうというふうに思います。
 除雪体制でありますが、実は初動では、つまり今回でいえば2月9日、10日の晩にたくさん降って、9日、10日、11日あたりが厳しい状況だったと思いますが、どんどん降るわ降るわで除雪が追いつかない。その中で幹線道路がとまってしまうというようなこともある。当然ながら幹線道路をある程度優先的にかかないといけないのもございまして、国のほうの幹線道路に付随した県道、県管理の国道などを中心に除雪が最初は進むわけでありますが、災害対策本部で、通学が月曜日から始まるので、それの対応もとらなければいけない。また、生活道路のほうにも目配りする必要があるということを私のほうで申し上げました。職員の皆様もそれで頑張られるわけでありますが、どうしても限界があるのですね。やはり地域のほうで動きがあるとありがたいというのは、特に市町村の集落内道路ではそうだと思います。 当時の鳥取市役所のほうは、後半の降雪のときは、市道を全部かけるわけではないので、地元でかいていただけるところはぜひお願いしたいというような、そういうメッセージを出すぐらいでありました。それはむべからぬことでありまして、やはり人手も追いつかない中で何とか生活を回復しなければいけないものですから、御協力をという形で呼びかけられたのだろうと思います。
 除雪機など、そういう貸し出しなどはあっていいと思います。現実にも今回、40ぐらい除雪機を県のほうでも貸し出しをしていますし、市町村では合計で 600ぐらい貸し出しをされています。そういうものを活用する。あるいはあらかじめ地域の中にそれを買って備えつけておく。これを、今回の雪害もございましたので、また市町村ともどうしていったらいいか話し合ってみる必要があるかなと思います。
 実は前の平成22年、23年のころの反省もございまして、その後、いろいろとそういう対応がとれる手だてはこれまでも講じてきております。例えば市町村創生交付金、これの活用も可能でありますし、中山間地の支援の交付金、それから雪害対応になるような除雪については防災の交付金、こういうものを充てることができるようになっていまして、現にこういうものを活用しながら除雪機の台数もふえたり、貸し出しも市町村が行ったりというようにつながってきているのは事実であります。ただ、十分かどうかというと、今回もこういう状態でありましたので、今後もよく市町村とも相談して対策をとってまいりたいと思います。



○安田優子(追求質問)

  ありがとうございました。
 ボランティアのことなのですけれども、御辞退をされて、手当ては受け取られなかったという、大変美談で、いい話だと受けとめましたけれども、こういうのを、知事、表彰してあげたらどうでしょうか。何らかの表彰の対象にすれば、地域の方もやはり労を報われるのではなかろうかと思います。ぜひお考えをいただきたいと思います。
 次に、大福丸なのですけれども、今、いいお話を聞かせていただきまして、優先的採択が可能になったというお話でして、よかったなと思っております。
 早速に水産議連、私ども、伊藤会長さんを初め、ライフジャケット、それから緊急通報システム機能つきの無線機の要望を出しておりましたら、すぐさま新年度予算に計上していただきました。大変ありがとうございました。   このライフジャケットなのですけれども、私、海上保安部の部長に聞いたことがあるのですけれども、ジャケットの着用は地域差がすごいのだそうです。北海道あたりはもうかなりの漁船員さんが着用をされていて、どこが違うかというと、そういう海難事故に対する認識が違うのだそうです。だからやはりこういう講習会みたいなことをしっかりなされてPRにお努めにならないといけないのではないかなと思っております。せっかくいい制度をつくっても生かされないといけませんので、その辺はよろしくお願いをいたします。
 県立美術館なのですが、何か教育長のお話を聞いていましたら、教育委員会では場所はもう決まったと、検討委員会の意見を尊重するのだと、だけれどももろもろの考えねばならないことがあるので、基本構想としてはまだまとまっていないのだと、こういうことでようございますか。確認します。



○平井知事(答弁)


  水難事故につきましてお尋ねがございました。
 これについては、議連のほうで御要望もいただき、事故直後だったと思います。あのときのお話も受けて、現場の方々のお話を聞いた上で、高性能のライフジャケットと緊急通報機能つきの無線機の配備について、このたび上程させていただいております。高性能のジャケットはひも状になっていますけれども、これが実際水の中に落ちますとぱっと開くというものでございまして、作業の邪魔にならないものでございます。また、無線のほうは、ボタンを1つ押せば、文字情報も含めて、どういう状態であるかということも瞬時に地上局のほうにも伝わる。さらに、ペンダントが附属品でございまして、このペンダントを各船員が装着しておられますと、水の中に落ちた段階で、おっこちた場所だとか、そういうことも含めて局のほうに伝わると、そういうすぐれもののものを今想定しながら導入をしようとしています。 ただ、議員がおっしゃるように、講習会などで周知をしなければいけません。それぞれの漁によって時間のある時期とそうでない時期とございますので、何回かに分けて講習会もして、そういうライフジャケットの着用の重要性であるとか、当然ながらこれは本来装着義務がありますので、つけなければいけないものでありますが、こういう実例だよということだとか、また、生き延びるすべ、実際、海の上に投げ出されたときに救命ボートがあって、どうやって生き延びていくのか、こうした実例なども豊富にあるわけであります。そうした研修もする必要があるだろうと思います。これも新年度の予算の中で開催をさせていただきたいと思います。



○山本仁志教育長(答弁)

 安田議員から重ねての御質問をいただきました。

 教育委員会では、各委員にそれぞれ立地場所をどう考えているかといった格好で意見を聞いて、それについて議論をしているといったような進行は実はしておりませんでして、検討委員会で出された報告書などもつぶさに見ながら、その中で、検討委員会では14名中8名の方が倉吉市のラグビー場を推しておられたわけですけれども、そうではない意見の方もいらっしゃったわけでして、そうした方々の意見も見ながら、ではそうした方の意見についてはどう考えていくのだろうかというようなことも含めて、全体を議論してきているということでございます。最終的にではどうしましょうというそこでの全体の合意というのはまだこれからなわけでございますが、中島教育委員長も教育委員会として1つに絞り込んだ報告書をつくるべきだということをおっしゃっていますので、最終的には教育委員会全体で一つにまとまって、最終報告書を提出するといったような形になろうかというふうに考えております。



○安田優子(追求質問)

 合区のことでございます。知事からいろいろなお話を聞かせていただきました。国会がいよいよ動き出したように私も受けとめております。参議院の改革協議会が持たれまして、これが動き出しましたし、衆参の憲法審査会のほうもいよいよ動き出すような気配でございます。自民党の中にあります憲法改正推進本部も2月24日に開催されました。ここでも合区に賛成する意見は一人もいなかった。解消は改憲以外にはないというのが共通の認識であったと、保岡本部長は語られております。そして国民投票で問う改憲の項目としては、1回につき3つ程度が妥当であろうということもお話しになっておられました。
 このことなのですけれども、私のほうも県連で3月11日にそういう憲法改正について、まずは合区を入り口とした県民の皆さんに御理解をいただくための考える会県民大会を開く予定にしております。私も多くの皆さんにお声をかけさせていただく中で痛感をしておりますことは、憲法改正というと、何条何条で、御意見をお持ちの方がたくさんいらっしゃって、特に9条が問題なのですけれども、改憲というとすぐだめというリアクションが来る方が結構いらっしゃいます。これは合区のことがメーンでお願いするのですよと言っても、国民投票のやり方がわかっていない方が非常に多い。一律で憲法改正マル・バツではなくて、項目ごとに賛否を問うわけですから、それはそれだろうと私は思うのですけれども、なかなかそれが理解していただけないということを今痛感しております。
 そこのところの御理解については、本当は憲法の勉強も、今の教育では現代史はやっていませんので、教育の世界でも大きな大きな課題だろうと思いますし、含めて本当は教育長にもお尋ねをさせていただきたいのですが、それはまた日を改めたいと思いますが、知事、実際に合区解消を実現しようと思ったら、そこも乗り越えないと実現しないわけですが、県としてそういう御理解をいただくような方策というのはないものでしょうか。そこのところを知事はどうお考えになりますでしょうか。



○平井知事(答弁)


  安田県議から重ねて合区につきましてお尋ねがございました。
 平成241017日判決で修正されましたけれども、昭和58年4月27日の判決が基本的都道府県の役割ということを言ってきておりまして、これはいわば常識にかなうものだと思います。そういう地方自治のあり方というのを憲法上もはっきりさせる、そういう形としての憲法改正というのはあるかもしれません。
 実は各党各会派間でいろいろと憲法についての議論がありますが、当然ながら9条の問題だとか、非常にハードルが高いと思っておられる会派は多いわけでありますが、そうした環境とか、あるいは地方分権、地方自治だとか、そういう分野によっては憲法改正の議論にも乗ってもいいのではないかと、そういう考え方の会派もあるように報道されています。まだそこは始まったばかりで、どういうようにこれも憲法改正の項目立て、例えば先般、衆議院ですか、参政権というものを項目として提示されたけれども、まだそこで合意に至っていないとかというようなことがあるようでありますが、今からそうしたいわば改正の玉をつくっていく、この議論になると思います。それが全部出た上で、憲法改正がではどういう形で発議をされて国民投票を仰ぐかというのが徐々に見えてくるのだろうと思います。今段階で憲法改正の具体のところまで県民の皆様に県が説明に行ったら、今どき何かなということになりますが、ただ、時来たりなば、国民の基本的な人権や、あるいは国家の統治の基本にかかわる憲法という大切な法律に係ることでありますので、しっかりとしたPR活動、啓発活動をその時点ではする必要があるだろうと思います。
 恐らく国民投票ということになりますと、その時点で選挙管理委員会が管理することになり、これは国を通じて国民投票の啓発事業が組まれると思います。それはその時点になってからということだろうと思いますが、県としてもそういう大切な憲法という法律の性格だとか、そのときにかけられるであろう投票の中身についての解説だとか、県側でもある程度お手伝いできることもあるのではないかと思います。ただ、今段階では中身が何も見えませんので、今直ちに何かするという環境ではないと思っております。



○安田優子(追求質問)

 最後の合区の話、大変ありがたいお話をいただきました。私、この機会にお礼を申しておきたいと思います。民進党さんは、党本部はまたそれなりの御意見があるようですが、鳥取県連として決議にも御一緒していただきましたし、わざわざ東京まで御意見を言いに行っていただいたということは、大変ありがたく思っておりますし、公明党さんにつきましても、同じように決議に賛成していただきまして、御自分の党は党として、この鳥取県という土俵の上ではみんな御一緒に、今、知事にもいろいろいいお話を聞かせていただきましたが、今後ともスクラムを組んでやっていけるところまで一生懸命いきたいというふうに念じております。頑張りたいと思います。
 きょうは長い時間にわたりまして、執行部の皆様にも、また議員の皆様にもおつき合いをいただきまして、大変ありがとうございました。御礼申し上げます。ありがとうございました。


                    
                    



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