平成14年9月議会一般質問
  安田優子 一般質問
                1. 墓地行政について
                
 本市は現在、2つの市営墓地を経営してお
                   りその分譲については「遺骨を持っている」こ
                   とが条件であります。

                
近年、家制度や家族関係、親子関係の変化
                   に伴い、生前に自分の入る墓地を用意してお
                   きたいと願う人が多くなりました。また、自分で
                   準備しておかねばならない境遇の人もおられま
す。

 一人で生活しておられる70代の独身女性は、「いつ死がくるか、その時入る
墓もないと考え、市役所に相談に行ったが、遺骨のない人には分譲できないと
言われなやんでいる」と、訴えられます。他にもいろいろな事情から墓地の生前
購入を求める声をたくさん聞きます。
 こうした方々の要望に応える形で、12年度に中央墓園の分譲をした際には、
市役所始まって以来という程の長い行列ができました。私は、今後ともこのよう
な市民要望に応えていただきたいと願うものです。
 また、中央墓園については、利用者の意見として、墓苑がひろすぎて目指す
墓地を探すのに困る、駐車場が狭いことなどが指摘されています。既に2,730
区画中、2,300区画を超える造成分譲がなされたこの墓園の現状を考慮するな
らば、市は次なる墓地構想を持たねばならない段階を迎えているのではないか
と思うものであります。
 新しい市民墓地は、規制をはずして誰でも求められるものにすると同時に、
現在悩みの種となっている購入後の管理については逆に規制をし、民間業者
への委託なども導入する。また、造成後の分譲だけではなく、予約分を造成分
譲するなどの時代のニーズにあった経営を考えるべきではないでしょうか。
 最後に夕日ケ丘墓地公園についてお尋ねをします。
 新都市土地区画整理事業計画に1.4ヘクタール 880区画の墓地公園が計画
されており、この墓地の完成分譲を期待して待っておられる方もあります。この
事業計画について、市長はどのように取組まれるおつもりでしょうか、伺うもの
です。



黒見市長答弁

 現在の中央墓園の駐車場は、安田議員がおっしゃるように不足しております。
特に今墓地が南側に拡張していることから南側に駐車場をつくる必要があると
考えております。この場合、ご遺骨を保有している方に限定して墓地提供すれ
ば平成24年度までは分譲が可能であります。
 墓地のあり方や形態も時代とともに変化してきており、例えば立体墓地、壁面
墓地あるいは永代供養墓地などが新しい形態として親しまれるようになってま
いりました。
 お墓もこれからのまちづくりの新しい魅力のひとつになると考えております。
 ちなみに中央墓園の状況を申し上げますと、現在の駐車場は、約50区画で、
これは消防の駐車場、清掃センターの駐車場を一部使用するとした場合のこ
とでありますが、これに対して、拡張するとすれば47区画の駐車場ができる見
とおしであります。
 平成12年度に、今の墓地を分譲する場合の制限を撤廃しまして、その年度に
限り、ご遺骨を持たない人も分譲の対象に致したのでありますが、そのときに
は、92区画分譲しました。そのなかで、ご遺骨を持たない方が70件ありました。
そういうこともありまして、未利用区画が目立っている状況でございますが、い
づれこれもお墓をおたてになるであろうと思っています。
 仮に駐車場を47区画つくっても、まだ300区画残っていますので、当面はこれ
で対応できると考えております。しかしながら安田議員がご指摘のように次なる
新しい墓地をつくらねばならない。このことは、最近特に思うようになりまして、
検討しなければいけない時期にきていると思います。候補他の選定や管理運
営などに市民の意見が反映される研究会を早く立ち上げたいと考えておりま
す。
 次に夕日ケ丘の墓地公園の事業計画についてお答えします。
 新都市土地区画整理事業の当初計画では、新都市地区南側の浄化センター
と防衛庁敷地との間にある、1.4ヘクタールの用地を、墓地予定地として計画し
ておりました。
 しかしながらこの用地は、準工業用地を含め夕日ケ丘のまちづくりにとって、
どのような土地利用を図るのがよいのか、多面的に改めて検討しているところ
です。
 魅力あるまちづくり計画の策定等のため設置するプロジェクトチームの中で、
より具体的に前向きに検討していく考えであります。


 
安田優子 一般質問

 2. 合併について

 奈良時代に編集された「出雲の国 風土記」は、国引き神話の最後に、高志
の国から「国来国来と引き来縫へる国は三穂の埼なり。持ち引ける綱は夜見の
島、国堅め立てし加志は、伯耆の国なる火神岳これなり」と、島から半島へと姿
を変えていく往時の我が郷土をしるしております。
 合併問題について語るとき、また本市の将来を思い浮かべるとき、避けて通
れないのが、その昔より出雲と伯耆の国境にあって、三方を海に囲まれた半島
であるという本市の特殊性であります。
 その特殊性故に、重要港湾境港として不動の地位を得、全国に名だたる漁
港として発展してきたともいえるのではないでしょうか。米子空港を持つことと
併せ、面積28平方キロメートル、人口3万7千人の小さな街ではあるが、世界
に広がる街であることを、美しい自然環境にあることとともに市民は誇りにして
おります。
 木瀬秀兮氏は、その著書「境港百景」最終章を次のように結んでおられます。
「悠久の昔から、美保湾に浮かぶこの砂質地を育んできた人々の、幾千年の
営みの息吹が今に生きている。ここにこそわれらの過去があり未来がある。美
しきこの市土の上に、幸多き明日をこそ。」
 今、期限を限られた合併の是非を論じるとき、この思いはお互いに共通のも
のであることをまずもって確認しなければなりません。
 そして、この街の将来を展望するとき、中海圏域の協調と繁栄の中にこそ本
市の未来を託すべきであると思うのであります。
 斐伊川の水系地として、境港湾の背後地として、沿岸漁業の生産地として、
共通の経済圏・文化圏・観光圏として、また学問研究期間としての島根大学の
活用も併せ、山陰の中核地帯として一体となって取組んでいくことこそ地域の
発展に繋がる道であると考えます。
 その方向性を推進するのは、地理的にも、その中心に位置する本市の責務
であろうと存じます。建設中の江島架橋は、そのような県域の未来を嘱望して
計画されたものであります。
 現在、本市が抱える政治的課題の多くが中海を巡るものであることも犯し難
い事実であり、それだけ市民生活に根ざした深い関係にあるともいえるのであ
ります。そうであるが故に、対立抗争ではなく、理解と協調のなかにお互いの
繁栄を求めていくことがやがて県境という厚い壁を破っていくことになるのでは
ないでしょうか。
 限られた時間と許された条件のなかで現在取組んでいる米子市を中心とし
た鳥取県西部地区の合併において、こうした方向性をどのように整合させてい
くのか。新しく形成される自治体のなかにあって、、我が市域が経てきた歴史
や経緯、住民の安全や生活、意識をどう主張反映させていくのか。大きく問わ
れるところであります。
 私は、本市が米子市に吸収されるというのではなく、地域の将来を展望しつ
つ、新しい街をリードして次の時代を目指していく、そのような気概をもってこ
の合併に臨まねばならないと思うのであります。
 そうでなければ、合併によってより大きな都市となった米子市と松江市が中
海を挟んで両雄相対する形となる。お互いに両県の威信を背負って激しい都
市間競争に突入する。そのような状況のなかにあって、市域の安全性、発展
性をどう保障していくのか。合併を論じるにあたって、私の最も憂うるところで
あります。この点について市長のご所見をお示しください。

 さて、今回の合併は、地方分権の受け皿づくりにあるということは皆さんご
案内のとおりであります。住民に最も近い自治体である市町村が、責任をもっ
て防災安全を図り、環境を整え、子どもたちの教育に力を注ぎながら福祉政
策に対応していかねばなりません。何よりも民生の安定が計られねばなりま
せん。
 その任務を遂行すべく、これからの自治体は、しっかりした財政基盤がなけ
ればなりません。分権を受け止めることのできる専門性、人材が必要です。行
政はサービス産業であるといわれた時代は終り、これからは小さな行政とこれ
を補う大きな市民の力が必要です。
 果たして単独市政でこのような課題に答えられるでしょうか。
 公共事業も補助金も見直しという国の緊縮財政方針や、長引く不況、水産業
の不振など市内外を取り巻く厳しい状況のなかで合併しなければこれまでどお
りの交付税措置も受けられないという事実を重く受け止めざるをえません。先
に「単独存続案」としてしめされた財政見通しよりも、実際はされに厳しく推移
するのではないかと案じるところであります。結果として、市民の求める行政
サービスの保証もできないまま、市民負担のみが増していく、そのような事態
になったとき、果たして市民は喜ぶでありましょうか。誰がこの責任をとるので
しょうか。
 また、行政事務量はますます増加するなかで、対応する職員の削減と専門化
は避けられない課題であります。昨年、都市計画法改定に伴い既存宅地の制
度が廃止になった折、市民への周知がなされず、水沢議員がこの議場で取り
上げられたことがありました。本市に窓口がないばかりに国や県から通達もこ
ない、情報もこないで取り残されていく。損をするのは市民であります。
 行革の推進とともに情報公開を徹底し、市民の力を引き出し、参画の方向性
を形づくる場として提唱した市民ボランティアセンターも、予算不足で進展しな
いとあっては単独市政存続に対する危ぐの念は深まるばかりであります。
 単独市政存続について、市長のご所見を問うところであります。
 先般行われた合併に関する市民アンケートによりますと、回答者のうち44パ
ーセントの方が、合併は必要ないと応えておられます。境港市の存続を願う市
民の率直な気持ちではなかろうかと推察するものであります。
 黒見市長は、自ら「決して避けては通れない課題」であると合併問題を語ら
れでこの一月の選挙戦を戦われ、めだたく当選を果たされました。慣れ親し
み、馴染んできた境港市の名前が消えるかもしれないとき、その決断をする市
長として、市民の気持ちが理解できる人としての判定であったろうというふうに
私は理解しております。
 市長というのは、市民の気持ちを理解しつつ、片方においては国・県の動向、
全国の自治体の動き、またこの街の過去、現在を踏まえた将来のあり様をも
見ることのできる非常に高い椅子であることも確かなことであります。この椅子
に座り初めて見えるものもあるかと想うのです。
 どうか、選ばれたことを誇りとし、市民の幸せのために誰に臆することなく、
見えるところに従って所信を貫かれることが市民に対する最大の恩返しと考え
ていただきたいと願うものです。


 
黒見市長答弁

 私は、この合併問題を定例市議会でご質問にお答えできる機会は、今日が
最後になるのではなかろうかと思っておるところであります。総括して改めて私
の考えを申し上げたいと思います。答弁は前後することがあると思いますがお
許しをいただきたいと思います。
 はじめに合併の問題を考える場合に、なぜ合併なのかという一番肝心な部分
でありますが、安田議員がおっしゃるように、一つには地方分権をしっかり受け
止める。そのために行財政基盤を強化する必要がある。それが第一の理由で
あります。二番目には、やはりこれは政治の基本に関わる問題でございます
が、境港市がより発展していくためには、そして市民の民生の安定がいかに図
られるかということに視点を置いて合併問題を論じる必要があります。そうした
ことから、私はこれまで合併説明会を二回にわたって開催し、そして二回目に
は「境港市が存続するための方策」といる資料をお示し致しました.その内容
は、先ほど松下議員もおっしゃるように、厳しいというよりも過酷な内容である
と考えております。そういったことを、合併議論を抜きにして単独生き残り策を
かけるために、市民の皆さんこれで頑張ってくださいというだけで結論を出して
いいのかという疑問を持っております。そうしたことから、存続のための資料を
作った段階、合併についても真剣に議論しなければならない、そういった必要
性を強く感じたところでありまして、その後米子市長に、この圏域がお互いに
発展するための問題を議論する場として合併協議会をつくるべきだと、それを
隣接の首長さんに働きかけをしていただきたいという申し入れを致したわけで
ございます。
 私の合併の理想は、申し上げておりますように拠点都市となる20万人規模
の合併を望んでおります。そういった状況でありますから、初めから米子市と
合併するということは考えていないということを申し上げているところでござい
ます。
 しかしながら、今安田議員がおっしゃるように、これから松江と米子、この山
陰では大きな、この二つのまちが中海をはさんで都市間競争が一段と厳しく
なっていくだろうということは、おっしゃるとおりだと思います。そうした中で、境
港市が、私のまちには港湾があり空港があるというだけのことで単独生き残り
を図っていくことができるのか、という疑問も持っております。従って、将来的に
はいつのことかわかりませんが、中海圏域が全ての面でやはり一体になる、そ
ういった時期が来るであろうと思っております。そういった展望をもちながら、こ
の地域の拠点都市づくりを進めていく必要がるというもの私の合併の大きな狙
いであります。
 それから米子市に吸収されるのでなく、境港市がリーダーシップを取っていく
という気概をもって合併に臨むべきであるというご意見でありましたが、私はま
さにそのとおりであります。だから安易に米子市だけの合併を考えて米子市に
呼びかけたのではありません。周辺の町村も手を取り合って、米子市が中心と
はいえ、皆で力を合わせこの圏域を良くしていこうという、そういった取り組みを
する必要があると考えております。その中で、当然、境港は港湾、漁港、空港と
いう他の都市にはない、しかも山陰でも境港市くらいこれだけの基盤を持ってい
るまちはありません。境港は将来、中海圏が仮に一つになるとしても、世界に
開かれた海と空の玄関口になっていく、そういった重要な使命を帯びていると
思っております。そういったことを協調しながら、仮に合併できたとした場合で
も、境港が将来の中心地になるよというそういった想いをこれから強く述べて
いかなければならないと考えております。
 それから、単独生き残りが市民のために果たしていいのかどうか、この点も
よくよく考えてみる必要があります。今、全国で、7月1日現在でございますが
3,200あまりの市町村のうち約八割が合併問題に取組んでいるところでありま
す。中には合併協議会ができたところもありますが、まだそこに至るまでには
なかなか多くの問題を抱えているように思います。こうした中で、国は合併市
町村に対する支援策を新たに打ち出しております。これは、例えば市町村が
抱える公債費の繰上げ返済に対する財政支援措置など、新たに23項目を追
加して合併支援策は併せて80項目になったところであります。そのうち、私ど
もが一番心配しております交付税改革というのは、合併しない市町村が合併
市町村への財政優遇措置に犠牲を強いられる改革であると思っております。
従って合併しない市町村は、貧乏くじを引くことになりかねないといったような
状況が今作り出されております。境港市が単独生き残り策の財政計画のなか
で、向こう10年間で交付税が43億円減るという見通しをたてております。これ
については、まだ甘いのではないかというご意見もありますが、ちなみに14年
度の普通交付税はすでに1億7千万ばかり減って、その率は5.9パーセント、こ
れからまだまだ厳しい状況が続くことは、これからの見通しをたてる上で大変
重要なものになってきております。
 仮に米子に合併するところがどこもなく周辺のいわゆる西伯郡の南部あたり
が合併をして2万5千人規模のまちができたとします。そうすると、そこには交付
税が10年間、そして15年間は保障される期間があるわけです。優遇措置があ
る期間の中で、そのまちが行政改革、財政改革をしっかりたててやれば、地方
分権の受け皿づくりは可能であります。一方、境港市が合併しないとすれば、
優遇措置は全くありません。そうしたことを考えると、財政基盤というのは、境
港よりも人口が少なくても合併をした町村の方がはるかに有利になるという10
年間か15年間の期間ができるわけでございます。その間に、福祉サービスに
しても向こうの方は低下させなくても、行政改革を図りながら充実させていくとい
うことが可能になるわけですけれども、境港の場合は生き残り策に示しておりま
すように、住民サービスは低下のやむなきに至る。そして負担はいくらか増や
していかなければいけない大変厳しい状況に追い込まれることはもう明らかで
あります。
 そういったことを充分に念頭におきながら、私は先般の集まりの中で20万の
拠点都市が可能になるとすれば、そのポイントは米子市が中心のまちといえど
も周辺の町村にどれだけ目配りができるか、それがひとつのポイント。そして合
併した後、行財政改革をいかに進めることができるか、そのことが合併が成功
するかしないかの大きな分かれ目になると考えております。
 いろいろ申し上げましたけれども、市民のアンケートの結果は市民の大方の
ご意向として受け止め、と同時に安田議員がおっしゃるように、私は私の立場、
市議会は市議会の立場で今申し上げましたような視点に立って、これから残さ
れた時間でありますけれどもお互いに協力していくことが必要であると考えてお
ります。


 
安田優子 追及質問

                 私は今、行政区域をどうするかという、まさに行政
               がもっている基盤そものが、旧来の秩序ではやってい
               けない段階にきているこのといきに、やはり求められ
               るのは政治のリーダーシップではなかろうかと思うの
               であります。
                 政治の要諦は、市民の働く場を保障することであ
               り、民生の安定と市民の生命財産を守る、基本的に
               このことを心がけていかねばならないのではないかと
               おもいます。そしてこれは、これから合併に向かおうと
               するときに、個々の課題について見当していく合併協
               議会の次元の話とはまた趣を異にしたものではなか
               ろうかと存ずるところであります。
 黒見市長が、政治家として大きな山場を迎えられるときにあたりまして、もう
一度、この政治の原点を見直し、決意も新たに取組んでいただきたいと切望し
て私の質問を終わります。
           
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