平成19年11月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

 皆さんお疲れのことと思いますが、もうしばらくお付き合いをいただきたいと思います。
 平井知事には、この度の江原道(カンウォンドウ)訪問、大変ご苦労様でございました。
 強行スケジュールだったということで、さぞお疲れのことと思いますが、まずは2年8ヶ月振りの交流再開を心より喜び合いたいと思います。
そしてこのことが、懸案のソウル便存続に向けた大きな力になること、そして新たな交流展開の幕開けとなることを期待したいと思います


境港湾の伸展に向けて

 本日の私の質問は、ソウル便を有する米子空港とともに、世界に向けた本県の窓口である境港湾の伸展についてであります。
 平井知事が就任されて7ヶ月が過ぎました。4月の選挙戦で訴えておられた「鳥取新時代の道を切り開く次世代改革」の姿が、少しずつ県民の目にも明らかになりつつあるように受け止めております。
 厳しい状況下にある本県の経済振興に、重点的かつ真剣に取り組んでおられる姿から、貴方の誠実なお人柄と相まって、まさに伸び伸び県政、風通しの良い県政が始まったと実感しております。

 しかしながら、本県を取り巻く情勢は誠に厳しいものがあります。
 少子化や若者の県外流出で、本県の人口は遂に60万人を割ってしまいました。
 これまで本県の経済を支えてきた農業や漁業は、地球環境の変化や社会構造の変化による大きな打撃を受けつつ、世界市場の荒波に立ち向かっていかねばなりません。
 全国的に都市と地方の格差が大きな問題となるなかで、本県においては、中山間地域と中心市街地のあり様が問われ、地域の高齢化への対応が迫られております。
 更に有効求人倍率0.76の解消が本県の大きな課題であるにも関わらず、今般、鳥取労働局は、境港と郡家のハローワーク廃止を一方的に通告してきました。県下でも最も厳しい雇用情勢の所に追い討ちをかけるような今回の国のやり方に強く抗議するとともに、方針の撤回を求めるものであります。

 そして、一人一人の県民、一軒一軒の家庭の生活基盤を確たるものとすべく、新たな展望のもと、本県経済の振興・活性化を図ること。市町村と連携協力して、支え合い、助け合う地域社会の構築を図ることが、今、県政を預かる我々に課せられた使命であろうと考えるものです。
 就中、経済の振興・活性化は、県政の最重要課題であります。
 国家財政の悪化や、全国の都道府県との熾烈な生き残り競争の中で、本県はどこにその活路を求めていったらよいのでしょうか。

 平成9年、竹内団地を会場に開催された夢みなと博から10年、西尾県政、片山県政と引き続き本県は、文化、スポーツ、学術等を中心に、環日本海、アジアの国々との交流を進めて参りました。
 今、ロシアを含むアジアの国々が世界経済を牽引する時代を迎え、本県が刻んできた交流の歴史を踏まえ、新たな展開が期待されるときにあたり、平井知事は、先の北東アジアサミット開催、この度の江原道との交流再開を果たされたことは、誠に意義深く、そのご努力に敬意を表するものであります。

 さて、アジアに向けた本県海の玄関である境港湾は、5万トンの国際コンテナターミナルを有し、昨年の取扱貨物量は、455万8千トン、輸出入については過去最高を記録する程になりました。
 この実績は、全国の港湾中、94位でありますが、コンテナ貨物に限れば、14,891TEUで34位という頑張りようであります。
 そこで、本県経済の振興、活性化を図る上で、境港湾の果たす役割、意義についてどのようにお考えか、知事に伺い、壇上からの質問と致します。

         

○平井知事

安田議員のご質問にお答えを申し上げます。
 昨日、いま議員のほうからもお話しをいただきましたが、私も少々今日はくたびれております(笑)。鉄永議長と一緒に、江原道のほうに行って参りました。2年8ヶ月振りに交流が再開するということ、議員の皆様の御努力の賜物であり、県民の皆様のご貢献の賜物でありまして、私も等しく喜びとさせていただくところであります。
 この今回の江原道との交流再開は、ソウル―米子便の存続問題にも良い影響を与えるというふうに期待をいたしておりますし、それに併せて私が特に昨日も議論をさせていただきましたのは、北東アジアの時代において我々のこの地域が、共に手を取り合って、それぞれが役割を果たしながら経済交流・文化交流・人的交流を進めて、中心となりうる、そういう基礎を固めるスタートラインに立ったということだと思うんです。
 昨日もキム・ジンソン知事、そしてイ・ギスン議長と鉄永議長で、ご一緒にお話しをさせていただきました。その時にもいろいろと将来の考え方にも言及がありました。
 キム・ジンソン知事は、かねて東北アジア経済圏――あちらは東北アジアという言い方をするのですが――という構想を述べておられます。これは今、韓国でいうと釜山(プサン)がさまざまな物流の中心になっているんですが、それからさらにユーラシア大陸を抜けていく鉄道が、重要性を帯びてくるだろうと。これが江原道を通っていく。また日本海側に草束(ソクチョ)、東海(トンヘ)という2つの大きな港がありまして、これも活用されていくのではないかという期待感があるわけであります。
 おそらく江原道側は私共と交流を再開するにあたりまして、いろんな議論をされたと思うんですけれども、あちらはあちらでこれまで手を取り合ったパートナーでやってきたこと、そして一緒に描いてきた北東アジア経済圏での繁栄の道筋というものを共有できるんではないか、そんな思いが、先方にもあったと思います。
 私のほうもそういう意味でこれからは単なる文化交流、人的交流ということに留まらずに、共同で例えば航路の開設など、実現できることをトライしていきましょうと、一緒になって運動を起こしていくような、そういう関係になりましょうというお話しを申し上げました。
 この提案をキム・ジンソン知事も、それからイ・ギスン議長、それから当日はチエ副議長、ペク副議長もおられましたし、その他イ委員長さん、それからイソンミルさんという韓日交流協会の方もおられました。こういう方々も議員さんも皆等しく、そうだそうだというお話しでございました。
 境港の今後の展望を考えますと、先の北東アジアサミットでの議論もありましたし、これまでの今お話ししたようなコンテナの隆盛に向かっている動向等も見ればですね、この辺にやはり鍵が隠されているのではないかと考えております。
 境港はお蔭様で、従来コンテナ航路等を様々な海運の基地として発展をしてきております。歴史を振り返れば、夢みなと博、10年前にあったというお話しがございました。夢みなと博自体、環日本海時代を夢見て、環日本海時代の中で鳥取県がどういう役割を果たしていったらいいか、関係の地域との交流を考えながらの博覧会でありました。その夢が竹内の団地で花開き、それがその後の航路の強化に繋がっていっていると思います。
 現実問題として釜山へ行く航路、それから上海・大連へ行く航路、これが関係の海運業者と一緒になりまして拓かれてきておりますし、荷もある程度伸びつ戻りつということはありますが、順調に総じて動いているという状態だと思います。全国的に見てこの日本海側では、新潟等と並ぶ港湾という位置付けになりつつあるだろうと思います。
 私はこの段階でもっとそうした地位を高めていく必要が、あるんではないかと思っております。色々と企業誘致をしたり、経済界の方々とお話しをしたりするにつけ、お話しが出ますのは、境港がもっと使い易い港で、活発であれば、いま中国や韓国、ロシアといった対岸地域を抜きにしては、日本の物作り・産業というものは考えられないわけでありますので、すぐにでも立地が集まってくる、大化けするんじゃないかというお話が出てくる訳であります。私もそうだと思うんです。ですから就任いたしまして、物流を見直す会議を県庁の庁内でもやりましたし、また上海に行きまして現地で実際に荷を出しておられる方、また荷を出す可能性のあるような、向こうで製造業等営んでおられる方々と意見交換をさせていただきました。こういうなかで色々と境港に対する期待もあれば、ネックとなるという点についてもご指摘を頂いております。私はそういうのを整理をいたしまして、できる限り活用度を広めていったら良いと思っておりました。北東アジアサミットに臨んだ時も戦略を持って臨んだ訳でありまして、従来束草とかザルビノ、ウラジオストクに行くこの貨客船が、鳥取の境港の方に入って来るという構想は、正直言ってあまりなかったんですけれども、せっかく首長さんたちが鳥取に集まる機会でありますので、しかも境港の目の前で行う訳でありますから、目の前の境港を利用して、ぜひにここに航路を持ってきましょうという話を仕掛けた訳であります。
 お蔭様で沿海地方の知事も、江原道の知事も賛意を示され、吉林省のほうも協力をするというお話しでございましたので、これが一つのきっかけになって物事が動き始めればなあと思っております。束草とか東海とかそうした港がありますので、これと結ぶ航路の実現可能性というのを――私は夢だと思います――これは非常にチャレンジとしては難しい夢かもしれませんが、私はこれを追いかけてみたいというふうに思っております。
 その意味で、昨日も敢えて知事同士の協議の場でも、話を持ち出させていただきまして、こうした束草・東海と結び、また沿海地方とも結ぶような航路の開設を共同でやる仕事として考えていきませんかというお話しを申し上げました。一般論ではありますが、キム・ジンソン知事は賛意を、そうした共同で行うようなこと、次のステップの交流ということに対して賛意を示された訳であります。これから私共も、色々と荷をどうするかとか、また現実に運用してくださる会社がおられるかどうか、障害・ハードルが高い訳でありますが、それに向かっていきたいと思います。
 この上でこの機会に、江原道も協力を積極的にやるというふうに、個別にお話しをした時も知事はおっしゃってましたので、私はその辺を念頭に置いて向かっていきたいというように思っております。
 境港が基点となって世界に向けて航路が拓かれること、これが鳥取県の物流の可能性を飛躍的に伸ばしていく。さらにはそこにこの物流をあてにして産業が立地をする。そんな姿をぜひ作り上げていきたい。そういう意味での境港の役割に期待するものであります。以上です。

○安田議員(追求質問)

知事におかれましてはお疲れの中を、大変素晴らしいご答弁をいただきまして、嬉しゅうございます。
 夢から語りたいんでありますが、まずは現実の脇を固めるところから、同様の港湾の伸展という共通認識の下に、個別・具体の課題について順次質問をさせていただきたいと思います。
 最初に境港湾と、いま一生懸命県も私共も力を入れております県内高速道、米子で言えば山陰道、米子道、これのインターまでの間をスピードをもって物流を運ばなければ港湾というのは、発展しないだろうと思うわけでありますが、431の渋滞ぶりが大変ひどいと思っております。先般も西日本高速道路株式会社に行って米子道の4車線化をお願いした折に、1車線1万台が採算ベースだというお話を伺いました。431は今、日量が37,400台という状況でございます。これについて高速道の整備ばかりが進んでも、そこへのアクセスが整わなければいけないのですが、どのようにお考えか、まずは第1点。
 それから次に、神戸税関境税関支所の移転新築について、お伺いをしたいと思います。
 境港の昭和町に出入国や輸出入の手続をする入国管理局・税関・検疫所それに海上保安部・運輸局等の国の出先機関が入る合同庁舎があります。昭和45年に建築された建物で、大変古くなっておりますし、港勢の伸展やそれに米子空港の国際線への対応等で業務や人員も増えて参りました。
 特に税関は、平成7年に10名だった職員が現在45名、外にいる方も合わせると49名というふうに大変多くなりまして、部屋に入りきれず別のビルを借りたり、それからちょっと離れた所のプレハブに入っておられたりと合計3ヶ所に分かれておられます。大体他の港には、貨物の検査場というものがあるわけですが、境港にはこれが税関には用意してございませんので、駐車場であるとか、その合同庁舎の前の道路で検査をしているような状況でございます。業務の遂行上、大変支障をきたしているんじゃないかと思います。いずれは建築が昭和45年ですので、全体の建物の移転新築ということが考えられるんですが、とりあえず税関だけでも別途に庁舎を整備して、港湾利用者のニーズに対応できるような体制を作らなければいけないんじゃないかと思います。県のほうでどのようなお取り組みをなさっているのか、どのように国の対応を捉えておられるのか、その辺り2点、お答えをお願い致します。

○平井知事

まず境港に通ずるアクセス道路として、米子インターチェンジからの大動脈になっております431号線の整備についてであります。
 これは議員のご指摘の通りだと思います。折角高速道路ができても、そこからのアクセス道路がなければ絵に描いた餅になります。431号自体は規格も立派な道路だと存じますし、県内でも誇るべき道筋になろうと思いますけれども、でもおっしゃるように、確かに最近渋滞が目立つようになってきたと思います。詳細は県土整備部長からお答え申し上げたいと思いますが、私は今まで調べたことを含めて総括をしまして、来年度から渋滞対策をやるべきだと思っております。詳細は部長の方からご答弁を致したいと思っております。
 次に境税関の支所についてであります。
 今、色々とつぶさにお話しを伺って、なかなかの状況だなと思いました。確かにかつては、これ程までに貿易が発展するとは思っていなかったと思うんです。ですから10名もいるかいないかという、そういう現場だったと思うのですが、今は米子空港もありますし、それから貿易でコンテナも入ってくる。まあ49名になるというお話しがございました。それが実際には検査場もなくて、道路の上で検査をするというような窮状であるというのは、非常に痛ましいことだと思いますし、由々しきことだと思います。
 先般、上海に向かいました時に、何かこれから境港を飛躍的に伸ばすとしたら、使いやすくなるとしたら何でしょうかというお話をお伺いしましたら、下関のようになることを目指したらどうですか?というお話がありました。下関はCIQの対応が非常に良いんだそうであります。もちろん境港と比べて、船がたくさん来るということもあると思うのですが、そうであってもその通関の時間というものが短い。これを国と地域とが一体となってやっている。そういう例があるという話しがありました。
 今はまだ、下関側に行って調査ができてはいないと伺いましたけれども、これは速やかに下関ですとか、そうした先進地の調査をしていただきまして、いかにして早く通関ができるか。これは製造業の業界の皆様、輸送関係の方々にとって、一番関心のあることでありますし、行政的なサービスとして関われる最大のところだと思いますので、ここをもう一度洗いなおしてみたいと思います。これとの関係で今の建物とか設備が、あまりにももう一つだというお話しでございますので、これは当然税関のほうで国の財政当局のほうに話をしてるんだと思いますが、私共も応援をして一緒になって要望をしていきたいと思います。以上です。

○谷口県土整備部長(補足説明)

431号の渋滞対策のお尋ねに対して、お答えをしたいと思います。
卸団地入り口から労災病院、特にこの間の渋滞が激しいということでございまして、議員ご指摘のように交通量も平日で37,400台、これが休日になりますとさらに跳ね上がりまして、43,200台という数字になっております。渋滞の度合いを示す混雑度というのがございまして、これは交通容量に対しましての評価ということで、大体2倍以上になっていると。非常に慢性的な渋滞が続いている区間だというふうに認識しております。
 これは沿道に、店舗が張り付いているということがございまして、非常にその出入り、車の出入りが多い。それから信号も多いということで、このような状態になっているということでございますが、現在県が真に必要な道路ということで中期計画を策定している中にも、渋滞の要対策箇所として位置づけているという状況でございます。
 具体的な対策といたしましては、この区間、特に卸団地入り口と労災病院入り口の交差点に右折左折のレーンを整備しようということで、来年20年度から工事を行うということにしております。併せて信号時間の調整などについても、県警と連携を図りながら渋滞の解消に努めていきたいと考えております。
 それから実際の先ほどの交通量にもありましたように、もう431号はオーバーフローしていると、こういう状況でございます。これを解消するためには、中海側のほうの県道にこれを転換させていくという、こういう渋滞対策を図る必要があるんじゃないかということで、これの整備ということも現在、米子市、境港市さんと連携・調整をしながら県道・市道の整備を図っていきたいというふうに考えております。以上でございます。

○安田議員(追求質問)

ご答弁いただきました。国道431につきましては、大変幹線の大事な道路でございますが、利用者が増えているということもまた、嬉しいことのように思います。私は個人的にですね、警察のほうに信号機の調整で若干なりとも何とかできないだろうかということをご相談いたしましたら、早速に県警のほうが信号機を調査して、調整を既にしていただきました。走ってみて大変効果が出ているように受けとめております。本来であればここで本部長に、ご披露していただくところでございますが、私がちょっと手違いでできませんでしたので、代わってご披露させていただきます(笑)。またそういうお金をかけずとも、大きな工事をしなくっても知恵と工夫で何とかしのげるところをどんどんやっていって、スピードアップを図っていけたらなというふうに考えております。また先ほどの右折レーン・左折レーンで改良して、少しでも解消をしていただければと、重ねてお願いをしておきたいと思います。
 それから先ほどの税関の話は、これも長いことこの問題に取り組んでおりますが、なかなか国も財政事情が悪いようでして、やってくれないんですね。これは県にも、市のほうも随分、毎年毎年要望しているようですが、国に対して県も、力添えをしていただきまして本気で取り組んでいただきたいと思います。先ほど知事が言われたように、大変細かいことではありますが、こういうところできちんと港としての機能が、確保され担保されておらないと、どんなに頑張っても荷は増えないだろうというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 それから次に、本題に入らせていただきたいと思いますが、先ほど来、何回も出ております貨客フェリーの話でございます。この話は正に願ってもない朗報であると、地元の境港でも大変歓迎の声が上がっております。知事のご提案でサミットに出されたというお話しをいま伺いまして、嬉しく思っております。このフェリーの航路が開設されるとなるとですね、今まで境の港のメインは貨物だった訳ですね。それが外国航路との間で、人も入ってきていただけるということです。そして米子空港のほうは、人がメインではありますが、貨物便という手もあるということもあって、これからいろんな利用客のニーズに従って、色んなコースが選択できる、そういうことがまた逆にお互いの活性化に繋がっていくんじゃなかろうかなと、そんなふうに考えております。港湾というものの新しいステージというのが見えてくるんじゃないかと、期待をするところです。
 客船については明治以来内航で隠岐航路を持っておりまして、現況でも14万人近くがここを利用しておられます。それから近年では、今朝もテレビでやっておりましたが、豪華客船飛鳥IIというのが境港にも、今年2回入ってきておりまして、今年は合計19回、18隻の船が入港しております。飛鳥IIは5万トンを超える豪華客船ですので、竹内団地のほうには入れません。昭和町の南岸壁にしか着かないわけですね。そうしますとご案内の通り、原木であるとか、王子製紙のチップの山の中に、男の人も女の人も大変着飾って非日常の旅を楽しむんだというので、いま流行のクルージングなんですが、降り付いたところがチップの山と。そういう状況でございまして、本当に折角のビッグチャンスが、マイナスになっているんじゃないかなあというふうに、危惧をするところであります。
 それからこういう問題も含めて、いま管理組合が定めております港湾計画、平成32年度を目標にした計画の中でも、竹内団地の南側に客船バースを計画をしている訳でありますが、今回の貨客フェリーの入港・受け入れの岸壁というものも含めて、そろそろこの新たな客船バースというものにも、本気で考えてみる時が来たんじゃなかろうかなというふうに考えますが、知事はどのようにお考えでございましょうか。そのことをお伺いします。

○平井知事

まず国道431については、議員ご指摘の通りできるだけ色んな知恵と工夫を出して、またあんまりお金をかけなくとも、快適な車の旅ができるような環境を整えることが必要だと思います。私からも県警本部長にお礼を申し上げたいと思います(笑)。
 それから次に、境税関支所につきまして、財政事情が確かに困難だろうというのは解ります。特に庁舎の建設に腰が引けるのは、我々も同じ行政マンでありますので、気持ちは良く解ります。ただ先ほど申しましたように、例えば下関であれば、通関がスムーズに行くこと自体がポートセールスの目玉になるという例もありますので、私はこれは実情をよく先進地で調べてみて、こういう工夫ができるんではないかという訴えかけをしていきたいと思います。
 それから3点目として、貨客船の就航の色んな構想がある中で、旅客船バースの整備に、そろそろ本腰を入れて取り組んではどうかということでございます。現在も私共の境港で色々とポートセールスをさせていただいた結果として、海外からの客船も入りますし、今おっしゃった飛鳥2世号とか、あるいはパシフィックビーナスといったような日本の大きな船も入ってくるようになりました。特に海外系統ではスピリッツオブオセアナスとか、あるいはクリッパーオデッセイというような船が入ってくるわけでありまして、これはアメリカとかそうした遠くのほうから、日本の情緒を求めてやって来る訳であります。小さな船なら竹内のほうに入っているわけでありますが、確かに飛鳥みたいな大きな船になりますと、チップの山の中に踏み入れていくという情景が目に浮かぶわけであります。私も今の状態が正常だとは、正直思いません。あそこは貨物用に作って、水深も深く作ってあるバースだと理解をいたしております。ですからできれば竹内の本来、計画のあります所に客船用といいますか、人の旅客ターミナルのようなそうした設備を、岸壁ごと作っていくことが求められようかと思います。ですから今回我々のほうで推し進めております構想が、実を結ぶかどうかということも影響しますが、この旅客ターミナルの整備については、ぜひ検討、可能性を考えていく必要があると思います。
 ただ、これは国のほうの色んな仕組みもありまして、これだけの需要が出てきますと、こういう需要があって、この岸壁を使うということになりませんと、いま特に地方港湾は、残念ながら国の補助枠が相当厳しいです。いまは大きな港湾のほうにお金がシフトしているという不合理がありまして、地方港湾のほうで事業採択を、私共が取っていかないと財政的にはなかなか回らないということがありますので、そのためにはある程度実績作りといいますか、そうした旅客船バースの必要性が高まる実績を重ねていく必要がありますし、そこのところも選定の条件として考えなければならないということだと思います。
 いずれにいたしましても、片方でポートセールスをして新しい貨物以外の需要を掘り起こし、できれば新規の航路なども開設を実現させるなどして、何とかこう実績を作りながら、そうした旅客専用のバースの整備の実現に動かしていきたいと思います。以上です。

○安田議員(追求質問)

いま、前向きのご答弁をいただいたように受け止めております。
 先ほど知事は冒頭、夢を追いかけたいということをおっしゃってくださった訳ですが、いま昭和町、外国の船が毎日のように来ているんですが、ここを昭和35年から1万トン岸壁の構想を持って造成に掛かった訳です。その当時は本当にそんな船がどこの外国から来るのかと、笑われるような状況であったと。それがいま半世紀近くを経て、ここまで辿り着いているということを考えると、やはり目の前のことだけでなくて長いスパンで50年先、100年先ということもまた視野に入れる必要があるのではなかろうかなと考えておりますので、その事もまたお考え置きをいただきたいと思います。
 もう1点、竹内にもし新しい岸壁ができるということになれば、竹内団地、今どんどん商業集積が進んでいる訳ですが、これもさらに一層拍車がかかるのかなあと、そういう側面もあるんじゃないかなというふうに受け止めております。

 それでは次の質問に入らせていただきたいと思いますが、貨客フェリーが就航するということになれば、港を使って物だけでなく人が利用できる。そして港湾としてのグレードもアップする。それからそのような観点からすると、境港と至近の距離にあってCIQも岡山、広島空港と並んで、中国地方で3空港しかCIQ対応がないその米子空港があるということで、こういうところからソウル便が出ているということ、これの存続というのは、私は港湾の伸展という意味からも、ぜひとも存続を願うものである訳です。
 ソウル便については、今、本当に必死のお取り組みをいただいて70%を何とか超える搭乗率を得ている訳ですが、4月以降の存続については、先般11月30日に斉木議員が4月以降の運行について質問をなさって、その後で確か交流再開ということが決まったと思うんですね。交流再開の電話があり、この度の訪韓を得て、この4月以降どういう見通しを持っておられるのか、私は改めてソウル便についてもお尋ねをさせていただきたいなと思いますが、お願いをしたいと思います。

○平井知事

まず境港の整備については、中長期的な長い目で見ていくこと、これは私も大切な視点だと思います。かつてはあそこに何も大きな船が来るような兆候すらなかったけれども、1万トンの岸壁作りから順々に始まっていったというお話しがありました。時代というのはそういうことだろうと思うんです。今はどんどんと変わってきて、かつてこんなに日本海をまたいで交流といいますか、貨物船が行き来することは予想されなかっただろうと思うんです。しかし現実問題として経済が活発化しているこの地域の中で、船舶による海運というのが大きな役割を果たす訳でありまして、貿易港として成長しているという実績があります。一つ一つが足し算のようなものだろうと思います。この次はさらに次の夢として、できれば日本海――環日本海交流のモデルたらんとする江原道等の交流先と一緒になって、新しい航路等の実現ができればこれは本当に素晴らしいことだと思いますし、それが元で向こうの地域もこの流れができるし、こちらにもできるし。我々が遠隔地なれば、他の地域にはないメリットがここからでてくるということにもなりますので、これは一つの夢として追いかけたいと申しあげた訳です。
 いずれにいたしましても、こつこつとしたポートセールスを積み重ねていくのと併せて、ハード面の整備も行い、港も育てていくということであろうかと考えます。
 次にCIQの存続のこともあるので、米子―ソウル便は非常に重要であると。4月以降どういうことになるかというお尋ねでございます。
 議員が今おっしゃったように、交流再開という局面が新たに到来いたしました。この交流再開の直接の効果としては、当然ながらお互いの行政交流も含めまして友好交流は深まってくるだろうと思います。今回も鉄永議長と一緒にあちらの要人とお話しをさせていただく、色んな機会の中で、ぜひ幅を広げていきたいというお話しがありました。例えば議会団がこちらにお越しになるというお話しも、その一つだろうと思います。こういうような色んな行き来が、交流の直接の成果として出てこようかと思います。
 例えば子供たちも今、実は教育委員会と教育庁(向こうの教育委員会)との間でですが、向こうは国の教育庁の関係になりますけれども、交流事業がありまして、これは隔年でやっているんですけれども、これを毎年ベースでやったほうが良いんじゃないかとかですね、色んなアイディアが出てきております。ですから直接の効果としてはそうした米子―ソウル便の利用が見込まれるような交流が、拡大をするということはあろうかと思います。
 それと併せまして、今も注意深く昨日の一件の後の報道を見ておりますけれども、鳥取県に対する韓国側の見方が、私は変わり始めたような気がいたします。確かに報道で色々と過去のことも、いまだに書かれている面はありますけれども、ただお互いの地域が心を開いて、しかも鳥取県が熱心に江原道に交流再開を呼びかけたこと自体は非常に好意的に、受け止めていただいていると思います。従いまして観光PRを行う、あるいはその他にも色々とこちらに来ていただくとか、行事を考えるにあたりましても、障害が大分低くなってくる効果があるだろうというように考えております。
 インバウンド・アウトバウンド、私はこれを掘り起こしていく必要があると思っておりまして、いま隣の島根県との内々の協議も始めております。今年始めました、外から山陰国際観光協議会に呼んでくる事業を、継続発展させていくということはもちろんでありますけれども、更にこちらから向こう側に行くような事業も含めて、何か大きな括りに、例えば組織自体変えてみようかですとか、色んな私共なりの率直な意見交換を始めたところであります。
 併せまして、度重ねて観光キャンペーンを向こうで打っている関係で、あちらから取材が多く入ってくるようになっております。前にも申しましたが、スキーツアーやあるいは子供の教育旅行が入っておりますけれども、それだけではなくてもっと山陰の地域に着目をして、ゴルフ等の需要を韓国側から感じ取って、こちらで招客したいという、そういう動きも出始めております。
 今はまだ萌芽の段階なんですが、これが4月に向かって大きく発展してくる、開いてくることを私共も狙って、後押しをさせていただいておるところであります。
 いずれにいたしましても4月以降、この米子―ソウル便の搭乗率が現在の――大体70%水準になってますが――こうした水準が維持されていくような努力を、最大限我々もやっていきたいと考えております。

○安田議員(追求質問)

最後になりましたが、私は今のソウル便につきましても港湾につきましても、やはり知事は60万県民に選ばれた一番鳥取県で高い所にお座りの方であろうと思います。そういう意味で、先般、横山議員が大変良いことを言われました。一番高い所から見る者が、一番良くその道程が解るんだとおっしゃいましたが、本当にこの県内の閉塞状況を打ち破る道筋というものを、その高みから導いていただく、将来を展望していただく、それにも手を打っていただくということを、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 そしてソウル便につきましては、4月以降の搭乗率というものに、私は正直言いまして――若干?かなり?――70%という数字には、疑問を持つところがあります。しかしながら県が今、財政支援をしてでもこの路線を維持することが境港の進展のためにも、必要ではなかろうか、鳥取県の将来のためにも必要ではなかろうかと思うのであります。
 あとしばらくの4月までの間、アシアナとの協議をされる一方で、いか程までの財政支援であれば県民の皆様の御理解がいただけるのか。そして今、やられているその支援の方法というものについても、色々な異論・反論もございます。その支援の方法はどのような方法が良いのか、内部的な検討というものをしっかりとなさる必要があるのではなかろうかなというふうに考えておりますが、知事、何かありましたらお願いをいたします。

○平井知事

安田議員が御指摘の通り、4月以降全く晴れやかな状況であるとは私も思いません。ですからこれは私共のほうで色々地域を挙げた努力が必要なんだろうと思うんです。これは何も米子―ソウル便を存続すること自体が目的ではないと私は思います。これがあること、これが栄えていくことはすなわち、向こうから来るお客さんが増えている、観光が国際的にリゾート化して鳥取県も変わってきている、その証になっていくことだと思います。ですからそれ自体が目的というよりは、それと併せて地域が大きくなっていく、豊かになっていくことが本当の目的だと思っております。
 ですからある程度これからどういうことになるか、交渉事もありますが、米子―ソウル便について、例えばインバウンド、アウトバウンドの促進策、当面は必要だろうと思いますし、いま特に評判が良いものもありまして、その評判の良いものは県民にも評価していただいているということだと思いますので、そういうものはしっかりとやっていく必要があると思います。
 この意味での負担は、当然ながら他県でもやっていることでありますが、あろうかと考えておりまして、御理解をいただきたいと思っております。
 ただ御指摘のように、言わば赤字補填的に言われておりますが、緊急避難のような緊急支援の仕組みは、私はこれが永続的なものであってはならないと思います。これは私共も広く県民の声をお伺いをして、認識をしておりまして、アシアナ航空とこのあり方をきちんと相談をさせていただきたいと思っております。
 内部的にも検討を始めたところでございまして、アシアナ側とも接触を持ち始めました。明年にかけて交渉事ということになるかもしれませんが、できる限り、といいますか県民の皆様の、あるいはこの議会で寄せられた色んな御意見を踏まえた形の、アシアナ航空との節度のあるお付き合いの仕方を目指して、やっていきたいというように考えております。以上です。

 

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