平成19年9月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

 今日は皆さんに、浜絣はまがすりのPRをしようと思いまして、絣の服を着てまいりました。如何でありましょうか?(会場より拍手)前に代表質問の時には、絵絣を着てこの席に立たせていただいたんですが、今日はちょっと趣向を変えまして、格子縞を着てまいりました。早速、それでは質問に入らせていただきます。

一 弓浜絣の伝承普及について

 浜絣の伝承普及についてお伺いをいたします。
 弓浜絣ゆみはまがすりは、江戸時代から弓浜半島で織られてきた絣で、昭和50年に国の伝統的工芸品の指定を受け、昭和53年には県から無形文化財の指定を受けております。

 弓浜絣の歴史は、その原料である浜綿、木綿の歴史であり、日野川の流砂によって形成された砂地に、一本の川もないという悪条件と闘いながら、黄色い綿の花を咲かせた、弓浜農業苦闘の歴史でもあります。

 綿の実が境港に入ったのは、1676年(延宝4年)と伝えられ、換金作物として農家の大切な収入源となりましたが、高温多湿を好むため、夏場の水やりを欠かすことができず、その苛酷さは「嫁殺し」と称される程でありました。

 浜の綿は保温性と弾力性に優れ、伯州綿として鳥取藩の移出品の中で最高の売り上げを記録しております。栽培範囲も広がり、明治10年には全国で第5位の生産高を誇るまでになりました。

 この良質な浜綿を使って織られた浜絣は、やわらかな手ざわりが大きな魅力となっております。
 さらに、浜絣が他と違うのは、その絵柄の素朴さにあるのではないかと思います。
 これは元々、浜絣は売る為ではなく、農家の主婦が自家製の綿糸を使って、家族のために織ったものであるからではないかと思います。
 花鳥山水や鶴亀、松竹梅等の定番模様の他に、子どもの誕生や成長を祝って名前を織り込んだものも見たことがあります。
 昼間の農作業で疲れているにも関わらず、夜仕事よーなべと称して薄暗い明かりを点し、土間の織機おりきに向かうのは、ただひたすら家族の為を思う母心でしかありません。
 浜絣には、浜の女のやさしさと、どんな苦労にも負けない強さが秘められています。

 昭和50年に発刊された小説「絣の花」は、そんな浜の女性の半生を描いております。
 主人公登紀は、度重なる不幸のなか、「浜の絣を売りはたにして、日本中に絣の花を咲かすのだ。きれいごとで死ぬより、ぶざまな生きざまをさらしても美しい野の花、絣の花を咲かせて死にたい」と言います。
 著者の北泉優子さんは、東京の民芸店で見つけた浜絣の魅力に惹かれて構想が浮かび、境港市内の旅館に2ヶ月滞在して執筆したといいます。

 江戸時代末期から大正年間にかけ、最盛期には年間十数万反も織られ、全国に普及していた浜絣も、原料の綿が外国綿花に押され衰退。
 かつての綿畑は桑の木畑に変わり、綿の産地弓浜半島は、長野県と並ぶ養蚕王国となった鳥取県にあって、その中心地へと変貌をとげていきました。
 現在の弓浜絣伝承館ゆみはまがすりでんしょうかんも、昭和12年に鳥取県蚕業試験場西伯分場として設置されたものでありますが、第二次大戦下、この地の養蚕製糸業も姿を消し、県の試験場も軍の施設として使われて、再開は昭和24年のことでした。
 戦後、化学繊維の発達普及やアメリカ文化の影響を受け、日本の伝統的技術や文化が悉く否定される風潮のなかで弓浜絣の出番も失われていきました。

 しかしながら、その間にあっても、浜絣の復興保存や研究に努めた人達がいます。
 嶋田太平、悦子夫妻は、鳥取の吉田璋也と知り合い、昭和28年から東京の民芸店「たくみ」に勤務。やなぎ悦孝よしたか悦博よしひろ兄弟の指導助言を受けて、昭和44年に帰郷、悦子氏の実家、稲岡呉服店を拠点に浜絣保存運動に乗り出しました。
 昭和50年、5業者で「鳥取県弓浜絣協同組合」結成がなり、同年9月4日「伝統的工芸品弓浜絣」の指定を受けることができました。

 また、再開後の県の工業試験場々長であったみなと光朝みつとも氏は、絣を含めた繊維関係の研究を進められ昭和57年の退職後に、自宅に工場を開いて、浜絣の新しい開発に努められました。厚地のジーンズに絣模様を織り込んで、洋服生地として使えるように幅広織りを考案製作されました。
 昭和47年には常陸宮が、53年には皇太子(現天皇陛下)こういった人が視察された試験場も、昭和63年に「境港分場」としては廃止され、「弓浜絣現地指導所」となりました。が、この建物を使って、境港市が浜絣の講習会を開催したことで「浜絣あいの会」が発足し、その会員の皆さんの学習活動や普及運動が大変大きな力になっております。
 一方で、志半ばにしてお亡くなりになった嶋田太平氏や湊光朝氏を含め、組合加盟業者も今では4業者に減少し、高齢化と後継者の育成は、産地存続をかけた大きな課題となっておりました。

 このような状況を踏まえ、県には、弓浜絣産地維持緊急対策事業に取り組んでいただき、この度、米子・境港両市とともに、組合主体で後継者育成の研修事業が実施される運びとなりました。
 去る9月1日、その開講式があり、私もご近所のよしみで覗かせていただきました。
 48名の公募者の中から選ばれた3名の研修生は、全員が20代で、うち1名は男性でありました。
 組合の村上理事長も、「予想を上回る応募に弓浜絣への期待の大きさを感じた。有望な研修生を迎え、大変喜んでいる」と感慨深く挨拶され、主任講師の嶋田悦子さんは、「習うより慣れろ」だと研修生を励まされました。

 嶋田さんは、倉吉絣の福井貞子さんと並んで、浜絣における第一人者であり、県の無形文化財保持者であります。この方に講師役を引き受けていただいたことが、今回の事業実施の最大の成果であろうと思います。嶋田さんの作品は、県庁では青木出納長の部屋のテーブルセンターが大変素晴らしい作品でありますので、皆様また見てあげてくださいませ。
 研修生の皆さんも大変意欲的で、今後3年間で、紡ぐ、くくる、染める、織るの4つの手仕事による基本的な製造工程、並びに機械化工程、販売実習やデザイン等の技術・知識を学ぶことになっています。
 この研修が実を結び、250年の歴史を伝える弓浜絣の技と美、そして心がしっかりと受け継がれますよう期待するものであります。

 同時に、これを機会に、更なる弓浜絣の普及策を図っていくべきではないかと考えます。
 言い換えれば、3人の研修生の周辺にどれ程多くの人を巻き込んでいくか、生産体制の強化充実を図っていくこととともに、商品としての開発と販路開拓が今後の課題になるのではないでしょうか。

 県は今、経済振興、地域振興を目指し、県内物産の販路拡大を目指して都会地への進出、アンテナショップの開設をも視野に入れておられますが、民芸品としての弓浜絣の販路開拓とその見通しについてお伺いいたします。

 次に絣のみならず、品質の高い浜綿についても需要が高まっているという話も耳にしておりますが、絣の生産を担保する意味でも綿の生産、栽培を奨励すべきでないかと考えます。私は、県下一の荒地、弓浜半島にもう一度夢を取り戻したいと念じております。セイタカアワダチ草ではなく、綿の花を咲かせたいと思っております。農業振興策、不耕作地対策としての、その可能性についてお伺いをいたします。

 3点目に、現在、県の担当課が開設している弓浜絣のホームページについて、もっと工夫充実させるべきであると感じました。外部委託を含め検討すべきではないかと思いますが、如何でしょうか。以上3点に渡って、平井知事の答弁を求めます。

二 直轄事業の県内業者受注について

 次に、直轄事業の県内業者受注についてお尋ねをいたします。
 先般、中海干拓事務所長と一緒に、半世紀にわたる国営事業のいわば最後の幕引きともいえる工事箇所を巡って参りました。
 中浦水門の撤去工事も進み、森山堤防は待望の開削に向けて、仮設道路が完成したところであり、弓浜工区では調整池の建設工事が進捗中でありました。
 かつてこの席で、中浦水門撤去方法をめぐって議論した際に、工事には地元業者の指名を求めたこと等思い出して、農政局の発注状況を調べてみました。
 本年度、鳥取県内分については、7件で総額6億5,700万円程の発注で、うち5件、3,100万円が県内業者の元請受注でありました。件数は多いのですが、金額はわずか4.7%でありました。

 同様に、国交省の直轄事業についても調べてみました。
 山陰道、姫鳥線、殿ダム、米子空港等の事業で、92件、275億6,800万円余の工事があり、うち県内業者の受注は、件数で47%、金額にして24.7%となっております。

 農水省、国交省とも、共通していえることは、件数は多いが金額は低いということであります。

 元請として受注できない原因は、これ迄知事がこの議場で答弁してこられたとおりで、国交省について言えば、「一般土木で3億円以上、舗装で1.2億円以上のA級・B級クラスの大規模工事、並びにダム本体、トンネル、橋梁上部等の特殊工事に入札参加できる業者が県内にいない」ということであります。
 農水省については、県内A級土木業者69社のうち40社が、2億3,000万円未満のB級工事へも入札可能でありますが、特殊工事には参入できないことは、国交省と同様です。
 知事はこれ迄、ことある度に下請を含めて、地元業者の受注が増えるよう訴えてこられ、各部長もそれぞれの担当部局に向けて運動をしてこられておりますが、この現状を踏まえて、今後どのように対応していくお考えなのか、改めてお尋ねする次第であります。

 現在のままでは、大規模工事や特殊工事の元請には、未来永劫地元業者が受注を増やせず、ついては県内資材の使用も期待できません。
 また先般の興治議員の代表質問にも答えておられたとおり、今後県は橋梁の点検補修等についても継続的に取り組んでいかねばならないのですが、今のままでは有資格者不在で、県発注工事についても県外業者を指名せざるを得ないのであります。
 直轄工事の県内業者受注に向けて、現況打開の道はどこにあるのか、国、県の入札システム改編をも視野に入れて、ご所見を伺いたいと思います。以上で、壇上からの質問を終わります。

平井知事

安田議員のご質問にお答えを申し上げたいと思います。
 本当に美しい藍色に、そしてストライプの入りました格子縞の弓浜絣に見とれておりまして、しばし質問を聞き逃すかと思いましたけれども、本当に素晴らしいこの手仕事の技というものを、感動を受けて拝聴させていただきました。ぜひ出納長室も訪ねたいと思った次第でございます。
 弓浜絣の販路開拓でございますが、長い歴史と伝統のあるこの弓浜絣、特に女性たちの手によって支えられてきたものであると、こういうご指摘を縷々お伺いをいたしました。もともと厳しい気象条件、そして生育条件の中で伯州綿、浜綿の生産をし、それがさらに農家の手仕事として、その生業として作業着、さらには外に販売していく…隆盛を極めた弓浜絣が鳥取県にはあったわけであります。残念ながら大正年間ぐらいで一旦その幕を閉じる訳でありまして、大きな工場の紡織事業に押されてしまったということでありましたが、戦後志ある人たちが、再度復興を遂げられ、今日こうして日の目を見ているということであります。この弓浜絣の素晴らしい伝統は、実はブラント力にもつながっているようでありまして、現実にどういうふうに売っているのか、今も4つ残る業者さんのお話を伺いますと、それは非常に引き手がありますということでありました。
 特に着物の反物などで根強い需要があるということでございますし、裏返してみればこうした絣が全国的に伝統産業が衰退していく中で、ややその供給量が落ちているという面もあるんだと思うんです。そういう意味で根強い需要が認められるということだと思います。
 現在は大都市部向けに直販事業だとか、また問屋さんでの取引などの開拓をしておられまして、しっかりとした販路を持っておられるというふうに伺っております。
 今、ご指摘がございましたようにこのたび9月に入りまして、3名の若き後継者がやって来たわけであります。そのうち1人は境港まで帰ってきて、この弓浜絣を継承したいと言っておられるわけでございます。こうした方々の熱意が、新しいデザイン性のあるものだとか、商品開発などにもつながっていって、現在の感性と古き伝統が融合し産品として成長していく、そういう姿を見たいものだと、つくづく思う次第でございます。
 鳥取県といたしましてこれまでも、県外での物産展・展示会でありますとか、そうした鳥取の匠を支援しようという事業でありますとか、また県内でも量販店におきまして弓浜絣を展示販売するというものの支援等も行ってまいりました。これからもこうした販路開拓の手助けをしていくことといたしたいと思いますし、今おっしゃったような新しい感性で生まれるいろんな動きを、しなやかに私どもも捉えまして、応援していくことを事業化していきたいと思っております。
 次に浜綿についてでございますが、これも需要があると、セイタカアワダチ草よりも綿の花が私は好きでありますし、そういう意味で共鳴をさせていただきたいと思いますが、この生産振興の経緯を鑑みますと、平成16年に安田議員のほうから提案があって、米子の改良普及所のほうで試しに始めてみたというのがきっかけだと伺いました。それからだんだんと生産の輪が広がってきて、今日に至っているというふうに伺いました。このように古い伝統を活かして地元にもう一度根付くかどうか、やってみる試みは大切だと思います。現在も精力的に取り組んでおられる方々がおられますが、ただ若干いろいろな、栽培所の問題ですとか、時間的・コスト的な問題もあります。その辺の詳細は、農林水産部長のほうからこの綿花栽培についての状況を、ご報告を申し上げたいと思います。
 総じて申し上げますと、やはり収益性が白ネギに比べますと半分くらいに留まっているということでございまして、どちらかというと退職をされたりして、自分の生活の豊かさを求めて綿に興味を持って栽培をされるとか、そういう形態の方がまだ多いように思います。特に手間がかかるのは収穫の後のほうで、綿ぐりだとか、そういうステージに入ってからが手間がかかるようでございます。確かに植えて置いている間はネギなどと比べるとまだ労力は少な目になるようではありますが、全体としては後のほうでの手間をどうするかという課題があるんではないかと思います。
 現在も色々と販路開拓の努力をしてまして、もちろん弓浜絣の生産者にも使用していただいてますが、これはあまり大きなロットにはなりません。あと最近は、高級布団の綿として使ってもらおうと、こちらのほうが一定の需要が出ているということでございます。そちらの布団屋さんのほうからは、オーガニック(有機栽培)での栽培を求められていまして、それも収量のほうにどうしても制約の出る原因になっていると思いますが、こういう綿の活かし方、不耕作地の活かし方があるということでございますので、色んなところで紹介をしたりして、賛同者を増やしていければありがたいかなと思います。色々と工夫すべき点もあろうかと思いますので、研究などもしながら実証を進めていきたいと思います。
 次にホームページでございますが、弓浜絣のホームページ、ややまだ説明調のホームページになってまして、そのホームページを拝見して、なるほどと魅力が増すような状況ではまだない部分がございます。せっかく若い参入者も出てきたことでありますから、そうした若い方々の顔が見えたり、また弓浜絣をどういうふうに活用しているか写真なども多用したりして紹介をするとか、弓浜絣はここで買い求めることができますよといった基本的な情報とか、まだまだその点検すべきところがあろうかと思います。そういう意味でホームページにつきましては早急に見直しをさせていただきまして、再掲載をしたいと思います。
 次に直轄事業の県内受注についてでございますが、地元業者の受注が増えるように現状を踏まえて今後どう対応していくかということでございます。これもこの議場で何度かこのたびもご説明を申し上げましたが、確かに国の直轄事業の場合制約がありまして、下請で地元を使うという県のやり方とは異なっております。ですから一つには国のほうの契約のやり方を見直していただきたいという働きかけをしていく必要があると思います。今のご指摘の中でもわかった訳でありますが、ある程度金額を分けて、分割発注をしていただくというのも一つのやり方かも知れませんし、技術力に乏しいということでオミット(排除)されてしまう業者さんなどもありますので、技術力を育てる観点からジョイントベンチャーをできないかとか、そういう働きかけもあろうかと思います。また入札においても、総合評価制度が導入されてきております。その中でも地元貢献として地元の業者さんを使うとか、地元の資材を使うとかいうことが評価されないだろうか、そんなことも提案していけるんでないかと思います。まあ色々とアイディアを出しながら国のほうに制度改正を働きかけていきたいと思いますし、その運用にあたりまして、ぜひとも地元の業者の方の活躍の場ができるように、地元でも技術者が育つように配慮を求めていきたいと思います。
 それからこれと関連いたしまして、今後、県は橋梁の点検保守などもやっていかなければならないけれども資格業者がいないわけであれば、県外業者にどうしても流れてしまう、国・県の入札システムの改変を求めると。今申し上げたような、こうした様々な制度改正をやっていかなければいけないというふうに思います。そういうことを求めていくことと併せまして県の工事については、例えば建設技術センターで所定の研修を受けた場合、この技術力は一定程度ありますよと、お認めをさせていただいて、それについては入札資格・参加資格を緩和するとか、県としてはある程度のことは速やかにできるのではないかと思います。国にもそうした緩和ができないか、今後働きかけをさせていただきたいと思います。以上です。 

河原農林水産部長

浜綿の栽培状況につきまして、補足説明をさせていただきます。
 先ほど知事も申し上げましたけれども、現在弓浜地区では浜綿の試験的な栽培が始まっておりまして、平成17年度は2戸の方が4アール、18年度は同じく2戸の方が7アール、それから普及所のほうで栽培を呼びかけたということもありまして、平成19年度は10名の方が約2反で栽培をされるという状況になっております。この間、米子の改良普及所では農家に委託をしまして、栽培の可能性を色々と検討しております。私もそういう世代ではないものですから、自分の知識ではありませんが、報告の範囲で少し説明をさせていただきます。
 まず栽培綿でありますけれども、概ね順調に生育したということでありますけれども、一部の圃場ではネキリムシ、こういった害虫が発生して収穫が4分の1に減ったというようなことがあります。それから労働時間でありますけれども、栽培自体は約反当で30時間ということで、白ネギの約4分の1という比較的軽い労働だということでございます。その後収穫・加工という作業があるわけでありまして、まず収穫は、これはブルーベリーと一緒で、木によって花が開く(採る)時期がバラバラなので、かなり綿摘みに時間がかかるということがございます。それから、収穫した後に種を外す綿ずりですとか、それから繊維を揃えて仕舞う綿打ち、こういったことをしなければいけないということで、こちらのほうに相当の時間がかかるということで、栽培から加工まで合わせますと、かなり白ネギの何倍かはかかるということになっております。収量のほうは反当で30kg〜70kgということです。目安としては絣1反につき1kgというようなことであります。
 それから販売でございますけれども、先ほど知事からもお話がありましたけれども、絣の他、東京の高級布団店に一部販路を、今捕まえているということでございます。
 総括しますと、まず経済性の面では、時間当たりの収益性は白ネギの約半分程度ということ、それから、これから栽培が拡大していくということになりますと、既存の出荷市場がないということで、販路を個別に掴んでいくということが一つの課題になろうかということであります。現在は退職者ですとか、趣味的に取り組んで栽培をされているという方が多い状況でありまして、経済性の面ということだけで見ればですね、農業振興や不耕作地としての可能性というのは、現時点ではなかなか判断がしにくいものがあるなあと、いうふうに思っておりますけれども、やはり地域で取り組みが広がるというのは、非常に地域の活性化にとっても良いことだろうというように考えておりまして、引き続き今後は種子の増植、それから栽培技術の支援を行っていきたいと思っておりますし、実需者の情報提供をするということで、需要に見合った生産の輪、これが広がっていくように大いに支援をしていきたいというように考えているところであります。以上です。

安田優子

大変、綿の花に負けないような美しい答弁を平井知事からいただきまして、喜びました。綿、絣のことですが、私もこの間デパートに行って布団売り場を覘いて見まして、一時のように羊毛布団だけではない、和の材料というのが大変今、見直しをされているということで、今後県におかれましてもこういう販路開拓に、取り組んでいただきたいと思います。大変収益性が低いというお話もございましたが、実は私も収益とは関係なく、毎年自分でささやかに栽培をしておりまして、最初5粒からスタートしたんですが、今は大分毎年のことで増えてきております。誰にでもできる、これは茶綿ですので、白綿とはまた違います。これ(自分の服を指して)入っているのが茶綿でございます。でこれは花が大変可愛いのでですね、そういう点でも実だけではなく花としても楽しんでいただけないかなと。ガーデニングブームというのが今凄いんですが、そう思いまして実は花回廊に郷土の花として綿も咲かせていただきたい、花も綺麗ですが生け花やなんかには、綿の実をそのまま使った生け花なんかも見ますので、ぜひそういう点を皆さんに見ていただきたいと思います。それから綿の種、これ(実物を出し)一部で売っているんですけれども、種、それから苗にして、よく皆さん売ってらっしゃるんです。ああいう栽培の仕方もやってみたらどうかと。その時に普及員の方に出していただいて、ぜひこれにレシピを付けていただきたいなと、思っております。それからそういうことが徐々に、畑での耕作、荒廃地の解消に向けて頑張ろうという気運が盛り上がっていくんじゃないかなと思います。私もそういう方向で頑張りたいと思いますので、また関係の県の皆さんにもその方向で、お力を貸していただきたいと思います。
 それからさっきお話がありましたが、販売というのが非常に高いんですね。高いものですから、店舗経営というのが大変難しい。それで一つにはインターネットでの販売というものも、PRだけじゃなくって販売そのものも、インターネットでやれないだろうかということも考えております。たださっき知事にも言っていただいた販売する場所なんですが、これは(小物数点を取り出し)水木ロードの福祉の店で、こういう小物を売っております。これは反物と違って、大変安く買える…これはマンボウの(境港の資料館に今マンボウが展示してありますが)、こういう小さいものですが、これを作っておられるのが障害者の方の通所施設・まつぼっくりさんでございます。これはちょっと余談になりますが、先ほどの浜崎議員からも障害者の方の雇用というのが語られました。私は企業とか役所は、障害のある方を雇用してそこに雇用する側にお金を出していくという、今のシステムは、ちょっとおかしいんじゃないか。こういうふうにまつぼっくりさんのように、今、綿の栽培にも取り掛かろうかと、大変弾んでおられるんですが、いわば業を起こす、あるいは自分でやっていこうとする、そういう方たちにもぜひ支援の方向を、策をお考えいただきたい。障害者自立支援法の見直しにぜひそういう側面も、加えていただきたい。これは綿の綺麗な花を見たり、あるいは絣になっていくその過程に自分を実現していく、そういう、障害であるからマイナスであるというイメージじゃなくって、ひたすら何十万回も織っていく、その過程に向いている障害者の方もいらっしゃる、そういう発想の転換をぜひ図っていただけたらなと思って、私もまつぼっくりさんを応援したいと思っておりますので、ぜひまたよろしくお願いしたいと思います。
 次に、直轄事業の件であります。
 公共事業、大変先細りであります。また今お話ししたように、低い県内受注の現状であります。でも直轄と言っても、地元負担金を払っている訳でございますので、いくら私共が負担をし、公共事業の配分を求めていっても、儲かるのは都会地の大手企業だけっていうこういう現状を見ると、本当に私も忸怩たる、憤懣やるかたない思いがいたしております。そして今お話しをいただきました、方向性、一つには分離発注を求めていく、そして下請に県内業者を義務付けていく、そういうような国への具体的な策をも、今出していく良い時期ではなかろうかと。先般赤沢代議士にも、私はこのことを話しまして、「一生懸命頑張るから」というお約束はいただいたんですけど、具体的に何をどうという具体策を、案として、そろそろ県として出すべきじゃないかなあという思いから、この質問をさせていただきました。知事と全く同じ考えでございます。ぜひ、今は見ないんですけれども、ジョイント(JV)のやり方というのは、けっこう見直しをしても良いんじゃないか。県の技術センターで、技術を習得し、それを県工事で実績として見てもらい、その実績を踏まえて、実地についてはジョイントで学んでいく…こういう方向性も、一つあるんではなかろうかなというふうに私も考えております。
 最後になりましたが、その方向性も進めながら具体的に言うと、農政局ではこの秋から、いよいよ淡水化の代替水源としての米川改修に取り掛かります。総額で32億円位というふうに聞いております。また水産庁は、今年度から平成26年まで、8年をかけて本県、島根県、兵庫県の沖に65億円のフロンティア漁場整備事業を実施する予定でございます。またこの間、大山のインターチェンジ開通式がございましたが、今後国交省整備局では姫鳥3年あるいは山陰道10年と言われる工事もまだ続いておるわけでございます。こうした具体的な直轄事業に向けて、具体的に今後どういうふうに見通しを持たれているのか、取り組み状況等ありましたらお聞かせを願って、私の質問は終わりたいと思っております。

平井知事

まず綿につきましては、安田議員ご自身が、そうして生産なさっているとということで本当に感銘を受けました。こういうことを実践としていろんな人が見習っていただきまして、不耕作地を綿の花で埋め尽くすように変えていく、そういう夢を持ち続けたいと思います。県としてなかなか実際にこれで収穫をして、ご飯が食べられますよというレベルではないかもしれませんが、ただ綿の花自身の美しさに共鳴をする人だとか、伝統工芸とのかかわりに対して興味を持たれる方など、ファンはおられるような気がします。そういう意味でこれからも種だとか、苗もあるとおっしゃいましたが、その栽培のレシピ(栽培方法)のインストラクション、その教示書も併せまして今後いろんな所に働きかけをしていくようにいたしたいと思います。花回廊につきましては、花回廊のほうと相談させていただき、綿の花があそこに馴染むかどうか、よく相談してみまして良い場所があれば植えてみたらいいと思います。中にはハーブを植えたり、いろんなコーナーもありますので、場所を探してみたいと思います。
 それから弓浜絣のほうでございますが、インターネットでの販売などの手立てもあるのではないか。確かに高級品でございまして、意外と県内よりも県外で売れると思ったほうが良いようであります。いろんな所に弓浜絣という名前に惹かれたファンがおられまして、そういう方に一つ一つ販路を開いて売っていくことでありまして、インターネットでの販売方法の支援につきまして、これは検討すべき値打ちがあると思いました。併せてまつぼっくりで弓浜絣を使っての作業所活動を行っておられるということでございまして、今、障害者自立支援法が転換すべきこともありまして、これについて経過措置で作業所などの支援のプログラムなどがございます。1,200億円位いろんな経費に使えるお金があって、この中で場合によっては道具ですとか、作業所の体裁を整えることぐらいに使える余地があるかもしれません。もし無くとも、例えばこういう伝統工芸の中でそうした障害者の方の能力を活用できるようなタイプの仕事があって、それをやってみようというのは、一つのモデルになると思いますので、どういう対応がとれるか検討させていただきたいと思います。
 それから次に、国発注事業につきましてでありますが、都会地の企業だけが国直轄事業をやるというのはおかしいというのは、おっしゃる通りであります。国に対して県として、先ほど申し上げましたような具体策を提案をしていきたいと思います。それから、そういう中でできる限り地元のほうに発注するように働きかけをさせていただきたいと思います。今おっしゃいました米川改修の話しについては、農林水産部長のほうで現在の進捗のことを把握していると思います。山陰自動車道等、国交省関係の直轄事業、それから水産庁関係ですね、漁場フロンティア事業なんかもこれから始まりますが、この辺も県土整備部のほうで把握しているものがあります。そうした状況は両部長のほうからご報告を申し上げたいと思います。いずれにいたしましても、県内企業の活用、それから県内資材の活用を図られるような方策を推進していきたいと思います。 


河原農林水産部長

米川改修に係る地元企業の参入について、補足をいたします。お尋ねの米川改修事業でありますけれども、これは中海淡水化事業の中止に伴う代替水源対策として、米川の水路を改修するものでございまして、この9月20日に土地改良法の手続を終了いたしまして、ようやく工事の着手にこれからかかるということになっております。今後平成22年度までに、約32億円が投入されるという事業でございます。この事業の中身ですけれども、用水路の改修ですとか、それから水路の中に設ける転倒堰、それから取水堰、こういったものを製作・設計、こういうものが主であります。従いまして県としては、樋門あるいは転倒堰の製作等の特殊な部分以外は一般的な水路改修工事であるというふうに考えておりまして、工事の発注規模を工夫したりしてもらって、県内企業の実習機会、これを拡大できるんではないかと、そんなふうに思っております。これまでも農政局なり中海干拓事務所には地元企業の受注機会の拡大ということでお願いしてきております。先週も9,000万円までは現場の事務所の発注権限、それ以上は農政局ということでありましたので、事業所の所長さん、それから農政局の担当課長さんのほうに現在の県の思いを十分に伝えたところでありまして、農政局なり事務所のほうでは可能な限り、一定の基準はあるものですから可能な限りということだったですけれども、「地元県内業者への発注機会が増えるように工夫したい。そのことによって工事のほうも円滑に進むのではないかと思っている」というような返答を貰っているところであります。今後も機会あるごとに要望なりチェックをしていきたいと考えております。以上です。

田所県土整備部長

はい。国交省の直轄事業について、若干補足します。
 姫鳥山陰道やその他のことにつきましては、先般お話しした通り、中国地方整備局に参りまして十分実態を話して要望してきたところであります。水産庁のフロンティア漁場の整備事業が正に今年度から始まって、本格的には来年度から工事が始まることになっておりますが、正にこれからでございますので、8月の末に水産省の担当部に参りまして、部長に地元の状況、意見、そういったことを十分申し上げてきたところでございます。漁場の整備につきましては、これまでも県内の企業でやってきた実績もありますので、県内業者の皆様には技術力を高めていただいて、それをきちんと示しながら直轄事業に取り組んでいただけるように引き続き、関係する県も一緒になって揺り起こして参りたいと。以上です。

 

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