平成20年2月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

        

 皆さん、おはようございます。
 議場の外はすっかり春になりました。今日は、私は県政にも春を迎えるべく「環日本海交流の新たな幕開けを迎えて」と題し、知事に質問をさせていただきたいと思います。
 なお、このテーマに関しては私の所属する企画土木常任委員会の所管するところでありますが、県政の重要課題でもあり、直接この議場におきまして知事のご答弁を求めるものであります。
 早速質問に入ります。


環日本海交流の新たな幕開けを迎えて

 先の十一月定例会におきまして、私は、本県を取巻く厳しい状況にあって、一人一人の県民、一軒一軒の家庭の生活基盤を確たるものとすべく、新たな展望のもと、本県経済の振興、活性化の為、北東アジアに向けた境港湾の果たす役割と伸展に向けた諸課題について質問いたしました。
 平井知事は、境港を基点とした航路開設による本県の物流や産業の発展に期待を寄せられ、北東アジアとの航路開設の夢を追いかけてみたいと答弁されるとともに、国道431号の整備や、CIQ体制の向上、旅客専用バース・ターミナル整備等への取組みについても意欲的に語っていただきました。
 実は、この時点で既に水面下で、DBSクルーズフェリー社から、境港〜東海〜ウラジオストックを結ぶ定期貨客船の航路開設に向けた協力要請を受けておられたということを後で知りました。
 正式発表は、年明けの一月十日でありましたが、環日本海初の定期貨客船航路開設ということで、大きな明るいニュースとして受け止められました。観光に加えて物流があるという点で、民間の期待や動きも活発のようであります。
 私自身、一月二十一日に江原道との交流再開を受けて、ドラゴンバレー雪花祭に参加される知事や、前田宏団長、福間県議らの一行に加わらせていただき、東海市を訪問する機会を得ました。東海市役所挙げてのお出迎えを受け、金市長からの航路計画への熱い思いをお聞きできて大変感激致しました。
 また、東海の港をこの目で確かめることで、航路開設をより実感するとともに、今後の境港の整備等についても参考にすることができました。
 海洋水産庁では、この航路から、さらに北東アジアの貿易拡大への期待をお聞きするとともに、韓国政府からの協力も約束していただき、もう一方の地元東海においても、航路実現に向けた確かな手応えを感じることができました。
 加えて、二月十三日には、懸案のソウル便につきましても、四月以降の継続運行が決定となりました。
 昨年八月の衝撃的ともいえる突然の運休通告から半年間の必死の努力や、多くの議論を呼んだ県費投入によるアシアナ航空への直接補てん補償が功を奏した訳ですが、ことこの定期航路開設という点から見れば、ソウル便があることも寄港地選択の大きな要因であったし、今後とも空と海、二つのツールを確保して、相乗効果による観光、物流ビジネスへと発展させていくべきであります。ソウル便の存続は、主体を民間にシフトさせつつも、引続き取組むべき県政の課題であろうと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 環日本海を取り巻く政治状況についても、この間大きな変化がありました。韓国における李明博(イ・ミョンバク)大統領の就任であり、ロシアにおけるメドベージェフ大統領の誕生であります。ともに経済界出身の新たな指導者の下、両国における経済優先の実利実用政策の展開が予想され、今後は中国を含んだ北東アジア経済圏への動きも、より活発化するものと思われるのであります。
 まさに、二十一世紀はアジアの時代であり、我が国も、安倍政権下に打出されたアジアゲートウェイ構想を踏まえて、アジアの一員としての国づくりに向けて動き出しております。
 現在策定中の国土形成計画においても、グローバル化、人口減少化に対応する新たな国土形成の戦略として「広域ブロックが東アジアの各地域と直接交流・連携し、アジアの成長のダイナミズムを取り込んでいく」ことを挙げております。
 このような状況の中で、韓国・ロシアと本県境港がダイレクトにつながることの意義は計り知れない程大きいものがあります。
 二月二十一日には、DBSクルーズ社に対し、韓国政府から、航路許可も降り、本年八月〜九月の就航に向けて船の準備などが進められていると聞いておりますが、私は、平井知事の描かれた夢の実現に向けて、事態は着実に進んでいると受け止めております。
 そしていま本県は、日本海を結んで人と物が往き交うまさに知事の言われる大交流時代の幕開けのときにあると思うのでありますが、知事は、これ迄の経緯とご努力のあとを踏まえて、どのように受け止めておられますでしょうか、お伺いを致します。
 永きにわたって裏日本、日陰の地に位置づけられ、高速道路の整備も産業の立地もままならぬ悲哀を味わい尽くしてきた本県が、環日本海交流の夜明けに期待をつなぎ、努力を重ね、地の利、ときの利を得てやっと迎えた今回の好機であります。
 この機会を生かして、本県の経済振興に、県民生活の向上につなげていかねばなりません。その為に、県がなすべきことは何なのか。果たすべき課題に向かって間違いのない対応と、遺漏なき対策が求められております。
 以下、現時点における基本的課題について、知事にお伺いします。
 最初に、交流拠点の整備についてであります。
 韓国東海岸最大の貿易港、東海港には、客船専用2バース、840坪のターミナルビル、1300坪の駐車場が整備されており、港からソウル、釜山に向かう高速道路が走っております。この港を出航し、390kmの船旅を経て日本に到着する観光客や貨物を迎える為の受入れ地点の整備であります。
 現在予定している昭和北岸壁は、あくまでも暫定的なものであり、港湾計画にある竹ノ内南への施設整備については、やはり、早急に取り組むべき課題であろうと思います。
 竹ノ内団地は、霊峰大山や、江原道の海岸線を髣髴させる白砂青砂の弓浜半島を見る絶好のロケーションであります。
 平成9年、この地で開催された夢みなと博覧会は、「翔け、交流新時代へ」をテーマに環日本海交流の西の拠点を目指したものでありました。多くの関係者、ボランティアの汗と努力で、入場者は予定の倍、193万人にのぼり、その果実は、夢みなと博記念基金として、今日に至る迄の本県国際交流を支えて参りました。
 夢みなとタワー、夢みなと公園、みなと温泉館、公共マリーナと、基盤整備も充実しており、国道431号にも直結しております。
 周辺には、大型スーパー、飲食店、みやげ物店等も立地し、観光地としての条件整備も進んで参りました。
 さらに、昨年秋には、第12回北東アジアサミットがこの夢みなとタワーにおいて開催されました。このサミットにおいて、平井知事はこれまでの交流から一歩踏み込み、環日本海航路の開設を提案されたという、知事の夢発祥の地でもあります。その延長上に、今回の航路開設があります。
 本県の環日本海交流拠点の地として歩んできた竹ノ内団地は、今、新たな交流の舞台となるべく、そのときを待っております。
 ターミナルビルや、駐車場、野積場等の埠頭用地3.2haも確保済でありますし、物流企業の立地に備え、特別業務区域内に5.3haの未分譲地も残っております。
 竹ノ内団地における定期貨客船ターミナル施設の整備について、知事のご所見を伺います。
 次に、一便につき300人から500人と伝えられる客と、貨物の動き、即ち、観光客と物流のエリアについて伺います。
 かつてソウル便開設の折には、採算エリア人口を50〜60万人とみて、中海圏域を対象としたと聞いておりますが、今回の貨客船については、もっと広域的に取り組む必要があるのではなかろうかと思います。
 今後の対策の土台になる点ではないかと思い、知事のお考えをお尋ねするものです。
そして今後は、ソウル便、客船一体としての観光対策が求められると思います。
 現在、県庁内におけるソウル便への対応は、企画部交通政策課がアウトを担当し、文化観光局観光課がインを担当しております。
 さらに、韓国との交流を担う山陰両県官民による米子―ソウル国際定期便利用促進実行委員会と、外国人観光客の受入体制を整備する山陰国際観光協議会があります。
 船便が加わることで、観光の広域化や商品の多様化、ビジネス客の参入等が考えられますが、これに伴い県庁内外での体制整備、組織の改編については、どのようにお考えでしょうか。
 以上お尋ねし、壇上からの質問といたします。

○平井知事(答弁)

               

安田優子議員のご質問にお答え申し上げます。
 冒頭お話しがありましたように、一月二十一日には安田議員、あるいは前田議員、福間議員はじめ、関係者の皆様にもご同行いただきまして東海市のほうを訪れさせていただきました。思えばあの頃が、一つの転機と言いますか、地歩が固まってきた時期だったかもしれません。
 いま確かに議員のほうからいろいろご指摘がありましたように、環日本海時代が新しい時代を迎えつつある、というように思います。議員のほうから空と海との、二つのルートを拓かなければならない、そのための努力を県庁を挙げて、また地域を挙げて為すべき時であるというご指摘は、正にその通りであろうかと思います。
 冒頭お話しのご質問でありますが、ソウル便の存続につきまして、主体を民間にシフトさせつつも、今後とも引続き取り組むべき県政の課題と考えるが、その所見を問うとのお話しがございました。
 このソウル便につきましても、八月二十日に突如運休通告があって以来、大変に議会の皆様にもご協力いただき県民のご理解を賜わりながら、何とかソウル便の存続に向けてその道筋は固まって参りました。
 八月二十日の運休通告の後に直ちに議員の皆様、また経済界の皆様と共にソウルのほうに出掛け、そして交渉をし、ターニングポイントを得た訳でございます。あの時に私共は赤字運行支援という、緊急運行支援というものを先方に提示させていただきました。これが最大のブレーキになりまして、アシアナ航空は運休を回避すると、保留するということになった訳であります。
 ただその後、県民の皆様、山陰圏域全体の皆様の多大なるお力添えを賜わりまして、今は随分と搭乗率が変わってきております。おかげ様で年が明けてぐんぐん上がってきておりまして、特にこの年度末にかけての予約状況も好調であります。現在の見込みでは恐らく67%台後半くらいに、換算後の搭乗率(アシアナ航空と協定を結んで緊急運行支援の基礎となる搭乗率)は改善をしてくるだろうと思われます。したがって恐らく緊急運行支援の幅も、最終的に31日が終わってみないとわかりませんが、500万円台に留まる可能性も高くなってきたのではないかと思います。
 これもひとえに県民の皆様、そして山陰両県の関係者の方々のご協力の賜物と、私も心から感謝を申し上げたいと思います。
 ただ現在は、実はまだ玄関の扉を開けたところだろうと思います。何とか運休の回避を成し遂げ、アシアナ航空の米子−ソウル便の存続を果たすことはしました。しかし何のための存続かと言えば、これは畢竟、北東アジアのゲートウェイとして空の道を拓き、これが元でビジネスや人の交流が盛んになり、日本海を挟んだ両国、両地域がお互いに結ばれることで経済的にも繁栄を果たしていこう、あるいは文化だとかスポーツだとか人的な交流も果たして、それぞれの生活の豊かさの実感にも繋げていこう、子供たちの成長にも繋げていこう、そういう目的こそが重要なのであります。
 今はツールとしての飛行機便の存続を得ることになりましたけれども、これもそうした本当の意味の地域の発展が保障されるというか、その方向付けがなされて、それと期を一にして飛行機が存続することでなければ意味がない訳であります。そのために私たちは地域の視点を変えて北東アジアの中の鳥取県、山陰だという考えに立って経済や観光の発展に軸を置かせていただきたいと思っております。
 幸いいくつか好材料が、最近は生まれてきております。一月に入りまして県内のゴルフ場と韓国のゴルフネットワークとの協定が成立をし、その関係もありまして、四月四日から大山の山麓で韓国全土で放映されますSBSのトーナメントツアー(韓国のプロゴフルツアー)が始まることとなりました。
 これに留まらず先般も倉吉のゴルフ場の関係者がお見えになり、韓国の旅行会社が招客をしたいというお話しも飛び込んできております。
 このように次々と観光の輪が広がってきております。
 実はテレビショッピングも随分と成果が上がっておりまして、既に500人くらいの誘客に成功しておりますけれども、これも三月で終わる予定が六月まで延長しようと、韓国側のエージェントの熱も高まってきております。
 それから経済の面でも、いま議員からご指摘もありましたけれども、片方で東海、ウラジオストックに向かう航路が開設をされ、これと合わさって米子−ソウル便の活用策も広まってくるだろうと思われます。
 また中海の市長会など広がりも出てきておりまして、先般も中海圏域の経済界の方が皆さんで韓国に出掛け、あちらでジェトロの方のお話しを聞いていただいたり、また様々な商談に向けたステップを踏み出されたということであります。
 こうしたことが複合的に備わってくることで、本当の意味の生きた航空路線になってくるのではないかと思います。これからは民間の皆様が中心になってという議員の表現通り、そういう活力に繋がるような航空路として育てていきたい、それを応援していきたいと念願しております。
 次に大交流時代の幕開けということについて、どのように受け止めるかというお訊ねであります。
 安田議員のほうからご指摘がありました通り、いま丁度環日本海の地域で首脳が入れ替わってきております。韓国では李明博大統領が二月二十五日に誕生しました。李明博大統領は実用主義、実利主義を掲げられて、これからの交流は歴史だとか過去ではなくて未来志向で実用主義でいこうではないかと、このようにおっしゃっています。これは日本との経済のパイプを太くするという宣言でもあります。
 またこの度、大統領選挙が行われましたロシアにおいて、メドベージェフ副首相がさらに上に上がられるということになりました。福田総理とも電話で会談をされたところでございます。この福田総理との会談の中でメドベージェフ次期大統領が五月の就任を前にして、非常にプライオリティーの高い対日関係は、これから発展させなければならない外交関係である、という認識を示されておられます。このように韓国にしろロシアにしろ、日本との交流を盛んにしたい、それへの決意を今から示されておるわけでございます。
 これはそれぞれの政府の事情もありますけれども、経済交流に与える影響もかなり大きなものがあるのではないかと、期待をしたいと思っております。そういう背景の中で私共はいよいよ日本海に向かって開かれている、この鳥取県という地域を生かしていかなければならない、地理的な特性を生かしていかなければならないと思います。
 米子−ソウル便は元よりといたしまして、新しい航路である東海、ウラジオストックへの航路も何とか夏に実現させるように我々も最後の努力をしていきたいと思っております。
 こういうことからお互いの地域が経済的にも行き来をするようになることで、北東アジアの経済共栄圏が生まれてくる、それをぜひ目指すべきだと思います。それが実現できるようになれば鳥取県という地域が日本の中で果たす、我が国に果たす役割は正に大きくなるだろうと思います。
 これは昔から天然の良港としての境港を備えていたこの地理を生かすことにもなります。正に私共の念願の夢が今、適おうとする時代がよくやく来たのではないか。問題はこの波にしっかりと乗っていくだけの知恵と、情熱、努力を払っていかなければならない。これは行政だけの問題ではない。県議会の皆様、そして県民の皆様一丸となって果たしていかなければならない、将来への責務であると考えます。それこそが北東アジアの時代の中の鳥取県のこれからの方向性ではないかと思っております。
 次に竹内団地に客船バースを整備する、その建設を具体的に進めるべきではないかというご指摘でございます。
 議員のご指摘をお伺いしながら、確かに一昔前を思い出してみました。
「羽ばたけ、環日本海交流を始めよう」このように銘打ってあの竹内団地は夢みなと博の会場になりました。それは環日本海地域の皆様を集め異国情緒が漂う中で、全国の皆様にも境港の存在、鳥取県の果たす将来の方向性を示す絶好の機会となった訳であります。
 その竹内団地がいま、次の時代を迎えなければならない、ということだろうと思います。
 現在の環日本海航路、DBSクルーズフェリーが開設しようとしている航路に対しまして、本議会では仮のCIQの上屋としていま昭和北のところをご提案申し上げております。ただこれ自体は恒久的なものではなく、将来的には倉庫として活用できるという目論見の下にお願いしている訳であります。これは八月に予想される航路開設に向けた準備という趣旨でございます。
 問題はその後だと思います。現在でも例えば客船の飛鳥が入ってくるですとか、それから順次にこれから春になったら参ろうと思っておりますけれども、欧米の方々をお迎えするような外国船のクルーズフェリーも入港してきております。
 そういう実績に加えて新しい定期航路ができることになれば、境港のフェリー貨客船に対する岸壁の需要は飛躍的に高まることになります。
 これから国土交通省とも相談をしていかなければならないだろうと思っております。二月二十二日に国交省のほうにもお伺いして、今残っているこのフェリーターミナルの計画について、国のほうの協力を求めたところでございます。
 正直申し上げて、まだ夏になるまでどんな波が押し寄せてくるかも解りません。今、DBSクルーズフェリーの会社のほうでは船の調達を算段されておられるところでございます。船が決まってくれば、いよいよ先が見えてくるかもしれません。またそうなりますと、そのために様々な誘客だとか、荷物集めも必要になってくる訳でありますが、そうしたことを見ながら恐らく夏の航路のスタートを決めようとされるのではないかと思います。
 諸条件が整うことが、まず何よりも大切でありまして、当面はそのスタートに私共も全力を挙げて応援をして参りたいと思います。しかしこれが一段落して実際に航路が開かれて、その後人や貨物が安定的に乗ってくる、利用されるということになれば、これはDBSクルーズフェリーの国際航路の存続が将来的にもある程度認められることになると思います。こういう諸条件が整ってくれば、国との協議も整ってくると思います。
 そういう意味でフェリー岸壁の整備、あるいはフェリーターミナルの整備に向かうことは可能になってくるだろうと思います。
 まずは当面はこの航路の実現に全力を挙げると共に、現在、国のほうがそこに防波堤を作ろうとしております。と申しますのも、夢みなとタワーの辺りの波の性質を保つことが、フェリーの停泊の前提条件になります。この岸壁の整備はいま十八年度からスタートしてきていますけれども、新年度からがいよいよ本格的な整備ということになります。これも四十五億円程お金がかかるものでございまして、決して安い額ではありません。この整備を国の直轄でやっていただくこと、その推進がまず一つありますし、国のほうには今からフェリーターミナルの可能性とその実現に向けてのご協力の依頼を年度早々から始める必要があるだろうと思っております。
 次に貨客船航路について物流・観光の両面から考えた場合に、鳥取・島根だけではだめで、西日本一円で取り組まなければならないというご指摘でございます。
 これもおっしゃる通りだと思います。米子−ソウル便の場合は、同じような韓国路線が岡山空港、広島空港にもこの近辺で飛んでおります。ですからどうしても圏域・ターゲット、ゾーニングとしてはその周辺が地域的なものになります。
 もちろん中には遠いところと一緒になりまして、例えば関西空港と米子空港との両方を利用してやるお客さんもおられると思います。最近入ってきたびっくりするようなお話では新しいゴルフツアーをいま韓国側で考えておられまして、日本のゴルフ場を征服するツアーだと銘打って、和歌山の白浜のほうでゴルフをして、その後皆生温泉で泊まりながらゴルフをするという、とんでもないツアーをいま考えておられすそうでありますけれども、こういうように広域的に周遊される観光客は中にはおられるかもしれません。しかし基本は周辺圏域というところだと思います。
 鳥取・島根両県併せて百三十万人、これが基礎票的なベースであり、さらにどこまで広げられるかというのが航空路線の場合の考え方で、アシアナ航空もその思いで航空路を開いておられました。しかし航路の場合ですと、これはそんなに本数がある訳ではありません。現在韓国の東海岸に行っている航路は、これが唯一の構想になります。
 もう一つ新潟への航路の構想もありますが、これはいま出資段階で難航しているというふうに伺っております。
 さらにロシアへの定期航路でございますけれども、これは現在富山の伏木からウラジオストックまでの貨客船があります。これは現在境に入ろうとしているものよりはやや小振りな船になります。ロシアの会社が運行しているものでありまして、ロシア人がけっこう乗って観光に来られると伺っております。こうした航路が一つあるだけでございまして、あとは例えば新潟からウラジオストック、ナホトカに行っていたものも現在では運休しておりまして、不定期の扱いになっております。
 貨物船、コンテナ船ではこれもロシアとの間には開かれてはおりますけれども、これも各港を転々と結んでいるようなものであります。ですから希少価値といいますか、非常に存在感のある航路になるだろうと思います。
 これから日本はいまアメリカのほうのドルがどんどん下がってきておりまして、97円とかとんでもない状況になってきている訳でありますが、そういう意味で市場としてはアメリカ一辺倒ではなくて、アジアだとかヨーロッパ世界へと開かれなければなりません。その意味でこの航路が果たす将来的な可能性というものは十分あるだろうと、ビジネスマンは考えると思います。ですから西日本全域で考える必要があるだろうと思います。
 例えば自動車関連産業ですね、中京圏だとか中国圏にも立地をしておったり、それから電機の電子機器パネルなどを実際には韓国側に供給している会社がかなりあったり、いろいろと歩いてみて掘り起こしをしていく必要があるだろうと思います。それから観光の面でも、ユニークさのある航路になると思います。
 現在は富山の持っているフェリーの場合、ロシア人のお客さんが中心であると伺っておりますが、しかし韓国の東海からソウルに向けて4時間で辿り着くことができますし、これも一晩の夜行航路で距離もかなり短い訳であります。それからウラジオストックへの貨客船という意味もありまして、クルーズを楽しむという、そういう旅も提案できるかも知れません。
 ですからこれも山陰圏域だけでなくて、西日本全体で――富山に行かれるお客さんもおられるかも知れませんが――鳥取を利用されるお客さんもおられると思います。それを大手の旅行会社なども含めて私共もPRに歩く必要もあるのではないかと思います。その際単にロシアに遊びに行くということだけでなくて、できれば境港の辺りもブラブラしてもらったり、米子とか鳥取県内も歩いていただいたり、そういう複合的な旅のプランなども含めて提案させていただくのが良いのではないかと思っております。
 そういう意味で西日本一円で取り組みを進めたいと思っておりますが、議員のほうから重ねてご質問いただきましたのは、そうした観光対策を進めるためには県庁内外での体制整備、組織作りが必要ではないかというご指摘でございます。
 これもその通りだと思っておりまして、私共今回、四月から今までのインバウンド・アウトバウンド、日本に来るお客さん、日本から向こうに行くお客さんで、米子−ソウル便の観光対策についてそれぞれ部署を分けてやっておりました。しかしそれはいろいろな効率も悪いですし、計画を立てにくいということもあります。航空会社は一つでございますし、そういう考え方から私共は新年度には国際観光振興室を文化観光局の中にこしらえさせていただくというようにいたしております。
 それから先般、島根県庁のほうに当方も出掛けまして、新年度に向けて米子−ソウル便、あるいは新航路に係る観光開発について、話し合いをさせていただきました。それで山陰国際観光協議会という既存の島根県、鳥取県の間にある組織を活用していこう、それから米子−ソウル便の利用促進の協議会にも両県で協力してあたっていこうということは確認をされておりまして、これから具体的に中身をつめていこうといたしております。
 これに併せて中海4市の市長会ですとか、観光連盟の皆様がソウルの観光に出掛けられたり、このように圏域をまたいでいまいろいろな動きが広がってきています。さらにできれば、境港の経済界の方々とか4市の地域、中海圏域の皆様、経済界の方々が中心となって、いま境港の貿易振興会がありますけれども、ああした取り組みを今回拓かれます東海、ウラジオストックに向けた航路にあたって新しい組織を立ち上げて、それでセールス活動をするのが本来ではないかと思っております。これについてはいまいろいろと事務的な話し合いを始めさせていただいているところでありまして、そうした官民挙げての組織作りもこれからの課題ではないかと思っております。以上です。

○安田議員(追求質問)

              

知事からお答えをいただきまして、大体同じようなことを考えて夢の実現に向かっているんだなというふうに受け止めております。
 最初にソウル便につきましては、先の常任委員会で二月末、674万1000円の支払いというお話しを聞いて補正を組みましたが、今日お聞きいたしましたら、さらにその額が下回ったということで、本当に関係の皆様方のご努力を多とし、今後とも引続き安定した路線の確保というものを願っております。
 それから同じような見解を踏まえて交流の拠点整備につきましては、いま知事が言われた順序を追って整備に向かうべきであろうかと思っております。
 その中で私はやはり航路の実現を図ること、そしてその船の実績を作ることと同時に、やはりこの拠点の整備というものも同時に進行させねばならない課題ではないかと受け止めております。その理由とは現在の停留港というのは私自身何度も立って確認するんですが、たいへんお世辞にもこことは言えるるような場所ではございませんし、もう一つは岸壁の建設というのは三年から五年もかかる、たいへん時間がかかるものということであります。
 防波堤の整備は直轄で現在行われております。新たな岸壁はやはりマイナス9mの岸壁ということで、補助事業で組まなければいけないのではないかと思いますが、問題は国策としてここに拠点を整備していただくことが肝要ではないかと、私も考えております。
 そのことで一つ、追求をさせていただきたいのですが、現在の計画が今月末で国の国土形成計画がまとまる訳ですが、一年後には地方計画も策定されるということで、中国圏域地方計画に対して本県は「経済発展目覚しい北東アジアに対する地理的優位性を活かして、日本海側の地域がゲートウェイ機能を果たすことで中国ブロック全体の発展が可能となる。そのために国策としてインフラ整備を進め、北東アジアとの経済交流を推進すべきである」と主張をしております。この主張の見通しについて知事はどのように見ておられるのか、お伺いをしたいと思います。
 それからいま交流エリアの設定は私はせいぜい中京圏とまでかなとは考えておりますが、知事はさらに大きく西日本と出てこられました。実績・成功に向けて既にポートセールスも水面下でぼちぼち始めておられるんじゃないかと思いますが、手応えの程がどのようなものか、お聞かせ願えることがありましたらこの場でお聞かせください。以上二点。

○平井知事(答弁)

まずソウル便については安定した運行を促進するということで、議員のほうからもご理解をいただきました。
 それから交流の拠点作りについて重ねてのお話しがございまして、ぜひ国のほうの動きをこれから引き出していかなければならないのではないかとおっしゃっています。
 確かにマイナス9mの岸壁でありまして、これは補助採択が前提となるものだと思います。そういう意味でこれ自体で21億円くらいはかかる…まあ20億円は突破する額になると思います。さらにその上にターミナル施設を整備しようと思いますと、面整備も必要となりますし上屋も必要となります。これはどの程度のものを作るかにもよりますが、16億円とか15億円とかそうしたオーダーのものが必要になる。ですから全部で40億弱くらいの負担と見てターミナル関係で必要になってくるだろうと思います。ですがこれをやるにはかなり年月もかかりますので、できるだけ早くその航路の動きと連動してこの整備が始まるように、国のほうに働きかけて参りたいと思っております。
 さらに国土形成計画の中で、我々のほうで北東アジアのゲートウェイという主張をする訳でありますが、これが中国圏の計画の中に盛り込まれるかということでございます。
 これについては十一月に私も各県の知事が揃って――広島市も参加しておられましたけれども――地方の自治体の意見を聞く場でもその旨発言をさせていただきました。
 私共の中国地方全体は地図で見ていただければ、正に手を差し伸べるように朝鮮半島に向けて、大陸に向けて地勢的に延びている地域であります。ですからこの中国地方全体がゲートウェイとしての機能を当然果たすべきではないか。これは国全体がアジアへのゲートウェイという話をしておりますので、その中で中国地方の役割を明記すべきであると。特に日本海側については北東アジア地域へのゲートウェイとしての特殊性を発揮できるところであるから、その旨を掲げたい。そのための大動脈であるハイウェイネットワークの実現など担保すべきだと。こんなお話しをさせていただいております。
 それを受けていま現在、中国地方の計画作りが進んでいると伺っております。いま水面下でも随分といろいろな折衝をさせていただいておりますが、何とか北東アジアのゲートウェイとしての機能を日本海側が果たすということを理解を得て、計画の中に盛り込まれるように努力をして参りたいと考えております。
 計画作り自体は現在の道路事業の余波を受けておりまして、大幅に遅れる見通しになっているようでありまして、本当は年度末にまた各県知事を集めて話をするということだったそうでありますが、これは中止をされております。ただいずれにせよ我々としての主張をこれからもぜひ盛り込んでもらえるように働きかけをしていきたいと思います。
 次に現在のポートセールスの状況についてでございます。
 まず韓国側へのポートセールスとしては、この週末くらいに、出納長をトップとして出掛けさせていただこうと思っております。それであちらのほうでディーラーのトップの方々とお話しをさせていただいたりして、これからの航路開設の実現に向けてぜひ実行していただきたいと、その実現への働きかけを改めてさせていただいたり、これからの動きを私共なりに応援をしていくということを、お伝えさせていただこうと思っております。
 併せて国内ではいま庁内に、環日本海航路の推進の本部を立ち上げさせていただき、プロジェクト方式で手分けをして始まっております。
 ご指摘のビジネス関係のほうは、商工労働部などでいま取り掛かっているところでございます。いろいろと大手企業を回るアポイントをいま順次取っているところでございます。
 私自身もトヨタの渡辺社長と愛知県豊田市でお会いをした時に、この航路の話を申し上げましたところ、非常にトヨタの皆さんも興味を持っておられました。これは私共のところに決まるのかどうかということはありますけれども、いずれにせよ日本海側からあちらのロシアに向けての足を確保しなければならないだろうと、この思いが非常に強いものですから、我々としてはやっぱりこういう戦略があるのかなあということを実感しながら、そのお話しを聞きました。
 このように韓国の東海岸を経てソウルの首都圏だとか、あるいはロシアに向けて、ロシアからヨーロッパとか、そういうことに興味を持っているという情報のある企業さんもおられますので、そういう企業さんをこれからピックアップして回っていくことにしたいと考えております。これも順次精力的に進めつつあるところでございます。以上です。

安田議員(追求質問)

たいへんビッグな情報をお聞かせいただきました。トヨタにはかつて副社長を務めておられた、池渕さんも今もいらっしゃると思います。そういう人脈も生かして、ぜひ境港から出していただけるようになったらなあと、願っております。
 先般議会のほうで道州制に関する議員研修会を持ちました。
 中国地方における道州制の動向と今後の行方、鳥取県としての道州制に対するあり方ということで、中国地方総合研究センターの本郷氏にお話しを伺ったんですが、境港について大変興味深いお話しがございました。
 中国地方の貿易通関高が9兆円であると、これは10兆円の九州と共に全国で群を抜いているんだと、そして国際経済との結びつきは中国地方は大変強いんで、全国トップだけれども、港湾については弱いと。今は瀬戸内海の港が主流であるが、船の大型化であるとか、そして距離の点でこれからは日本海側にシフトせざるを得ないだろうと、こういうことでございました。
 そして北東アジア地域との交流実績とか、今回の定期貨客船航路、そして米子空港があるという点で、鳥取県の役割とか存在感は中国地方でたいへん大きなものであると。
 今も計画の推進、将来像の実現に向けた18のプロジェクトの中に、東アジアとの交流推進とか、日本海沿岸地域活性化というものが盛り込まれているからということをお話しになりました。知事も一生懸命お訴えになっているということでありますが、私もその席で、「それは解るけれども岡山や広島といった山陽側が、果たして境港の重要性というものについて認識しているんですか、できるんですか?」ということを質問したんですが、「今は県の枠組みで考えているので、他県の港への認識は薄いが、中国地方で考えれば境港を重要港として整備すべきと誰もが考える」と、こういうふうに答えられました。
 この本郷さんというのは中国州の推進のために頑張っておられる方ではありますが、道州制について境港を持つ鳥取県が大変強く評価されているという点で、私も非常に興味が深かった訳でございます。
 そのような見方を捉えて、今後中国地方の整備計画に担保してもらえれば、国の具体的な目標というものに対しては対象を非常に絞り込んでいると、絞り込んでそこに対しては国も金を出す考えではないかというふうに言っておられましたので、ぜひ知事には形で残していただきたい、担保していただくようがんばっていただきたいと思います。
 さらにもう1点、興味が深かったのが、平井知事がこの度近畿知事会に加入されるということに対する反応でした。
 本郷さんは、「鳥取県は近畿圏では北東アジアに対して端っこの一つの窓口に過ぎないが、中国地方では唯一最大の窓口になるので、近畿州よりもぜひに中国州に加入を」というふうに、結ばれたのでございます。
 知事の近畿知事会加入については、先ほどの交流エリアの話にもありましたように十分私共は納得、理解ができるものでありますし、国土形成計画についても中国圏域と同じように、同じ主張を近畿圏域にもなされている訳でございます。しかしながら知事会加入ということが、その本郷さんが言われるような見方をされるということもまた事実でございます。
 平井知事はこれまでマニフェストにおいても、将来計画においても、またこの議場においても、道州制については一言も触れておられていない訳でございます。この機会に知事の口から近畿知事会へ加入されたことの経緯の説明と、道州制についての基本的なお考えというものを、お聞かせ願えればと思います。

○平井知事(答弁)

まず境港を利用してもらう、新航路で利用してもらうことに関連して池渕相談役の話がございました。
 池渕相談役も境港にルーツがある方で、お墓参りなどにも帰って来られると伺いました。私も先般、お会いさせていただきました。池渕相談役にも私共の航路の構想をお話しを申し上げたところ、池渕さんご自身が港湾の専門家、物流のほうの専門家ということでいらっしゃいまして非常に興味深く聞いていただけたと思いますし、これからも相談役には広い立場で鳥取県の県政について、アドバイスをいただきたいなというように思っておりました。
 いろんな人脈を駆使しながら、トヨタが実際にするかということは全く別問題ですが――これはビジネスでありますので企業が最終的にいろんな選択肢の中から選ばれるんだと思いますが――トヨタに限らずいろんな企業さんの関心を惹きつけてこの航路を活用してもらうことが境港、あるいは鳥取県西部、鳥取県全域に波及効果をもたらすように努力をしていきたいと思っております。
 それから2点目として中国地方の計画に盛り込むように、何とか努力をしてもらいたい、形を残してもらいたいということについては先ほど申し上げた通りでありますが、ぜひご理解を得てそのようにしたいと思っております。
 ややもすると、いまの安田議員のお話にもございましたが中国地方全体で見ると、結局瀬戸内側の港湾のほうに実は興味があります。
 昨年も六月頃、随分港湾を巡ってヒートアップして我々も事務的議論をしていたんですけれども、どうしても広島側とかあちらのほうの港湾の話が中国地方の課題として取り上げられる訳でありまして、ややもすると浜田とか、境港とか鳥取港の視点が落ちてしまう、そういうことがままあることでありまして、この日本海を生かした中国地方の計画を作るように、我々も働きかけていきたいと思います。
 次に近畿ブロックの知事会に参画をすることの趣旨、経緯などを説明して欲しいということであります。併せて道州制についてのお訊ねもございました。
 私は今回、近畿の知事会に加入をしてはと思いましたのは、それはこれからの鳥取県の発展の方向性を考えてみた時に、大交流時代が始まるということ、ハイウェイネットワークが出来上がるということが一つあります。現に鳥取自動車道が開通をすることが見えて参りましたし、県境を挟んで兵庫側と東浜居組道路が今年中に開通するという目処も立っております。ですからこのようにして近畿側との動線が太くなる、これは米子道とも併せまして、太くなるということは明らかであります。
 これが経済面で、あるいは観光の誘客面など、あるいは農業の出荷などに与える影響というのは私は必ずあると思います。ですから中国地方の中の鳥取県という従来の視点に加えて、近畿地方と連携したグレーター近畿の中の鳥取県という視点も必要になってくるだろうと思います。そういう意味で経済的な連携をとったり、観光面での協力をしたり、行政的にも一緒にやっていくことが多いだろうと思っております。
 例えば経済的にはお互いの地域が結びつきあってビジネスをすることができるようになりますので、商談会をセットするとか、あるいは近畿圏の企業さんがこちらのほうに展開をするのも、物流的にもやり易くなる訳でありますから、その動きを強める時に近畿全体でまとまって動くようなこともありますので、そういうところも活用できようかと思います。
 観光面で言ったら国の内外に対して関西一円で情報発信をしたり、買い物ツアーを呼び込もうという構想もあります。こういうのにも参画することができるのではないかとか、あるいは鳥取豊岡宮津自動車道など日本海側共通の課題があります。これも圏域を挙げて、グレーター関西で協力してやっていくということは、行政的にも意味があるだろうと思います。
 実は徳島県も、鳴門の大橋が出来ることの関係で関西・近畿の知事会に加入をしておりまして、それと同じような発想が私共にももう必要になったのではないかと思い、そして近畿知事会各知事さんに働きかけをしてきているというところであります。
 それからこれは道州制との関係でどうかということですが、私は再三申し上げていますが、まず道州制の議論は国と地方との関係、中央政府と地方政府との関係をやり変えることが本筋であろうと思います。この議論がとばされてしまって、それで単に圏域というかゾーニングの議論だけになってしまうと、これは鳥取県は中国地方の中でも端っこになりますし、近畿の中でも端っこになる…そういう意味でこれはあまり取るべきでないと思っております。ですからまず本筋のほうをやるべきだと考えております。
 それと関連して近畿の知事会に加入することで、近畿のほうの道州に組み入れられる懸念があるというご指摘かもしれませんけれども、私はまだそこまで一足飛びにはいかないだろうと思っています。
 実は中国地方と近畿とは、道州制についての温度差が随分あります。近畿地方と比べて中国地方は特に山陽側で、妙に熱意が高いのではないかと思っております。ただ近畿のほうは、実は中はかなり反対論が強くて、特に兵庫県、滋賀県は明確に道州制に反対をしております。それから奈良県とか、同じ近畿知事会に入っている福井県、これも道州制に消極的というか否定的な立場をとっています。ですから近畿のほうはむしろ実利的に連携をしていく、そういう方向を当面は目指しているんだと私は理解をしております。
 ですから今回近畿知事会に加入をすることが、一足飛びに近畿の道州制論になってくる、組み込まれるということには直接にはならないだろうと思っております。
 ただいずれにせよ道州制については今、政府側での検討もなされておりまして、それから与野党問わず議論がこれから非常に活発化してくるだろうと思います。それを睨みながら県民の間でどういう道州制についての考え方を模索していくのか、そういう議論は始まってもいいかと思います。
 その中に例えば地域性として、どういう地域なのかと自己分析をされる方がいろいろおられると思いますので、そういういろんな議論は私は否定すべきではないとは思っております。

○安田議員(追求質問)

              

ご答弁をいただきました件ですが、近畿知事会の件で取り急ぎ追求をさせていただきたいと思います。
 今のご説明で理解できるんでありますが、この近畿知事会が他の知事会と違うのは、関西機構がからんでいるということであろうと思います。今回の新年度予算にも関西機構に対する費用925万円と、職員1人分を入れるとトータルコストで1832万3千円が計上されております。
 この関西機構というのは、会長は関西経団連の前会長の秋山さんでございますが、度々この方のコメントも目にするんですが、たいへん道州制に対して熱心で2年後には地方自治法に言われる広域連合への移行というものを目指しているんだと、そして防災とか観光とかで一体的な取り組みを始めたいとおっしゃっておられます。
 そこでお訊ねをしたいと思いますが、09年と言われればもうすぐでありますが、いろいろな意見がある中で、もしこういった広域連合加入というような事態になった場合、議会に図られるおつもりなのか、それとも知事がその段階で機構、知事会を脱会されるおつもりなのか、どういうお考えなのかをお聞かせください。
 さらにもう1点、今もお話に出ましたが地元ではたいへん活発に、航路開設にも共同連携して取り組んでおられます。これの取り組みというのは、将来も道州制があろうとも、どういう事態になっても耐え得る地域作りということで、4市長さんが一緒になって取り組んでおられる訳ですが、こうした動きに対して知事はどのようにご覧になっているか、2点お聞かせください。

○平井知事(答弁)

まず関西広域機構についてでございますけれども、これは民間とそれから行政とが一体となって共同して様々な取り組みができないかということで設立をしているものであります。現在加入しておりますのは2府7県、それから4つの政令指定都市、それから7つの経済団体というふうに伺っております。この中にいくつか部会がありまして、いまおっしゃったような地方分権について検討するようなグループと、それから観光などそうしたことを共同でやっていこうというグループというか組織、こうしたものがいくつか複合的にありまして構成をされています。
 この中で今議論されているのは、確かに広域連合の議論がございます。広域連合と関西広域機構というのは一体ではありません。広域連合は行政的な問題でありますので、最終的には県議会の議決をいただいて加入するかどうかと判断をすべきものであります。
 現在、私共はまだ入っておりませんので議論の詳細とか狙いについて全て承知している訳ではありませんけれども、いま議員がご指摘のように例えば観光レベルで連携をしていこうとか、あるいは防災レベルで連携をしていこうというのは、正に一部事務組合で今やっているような話でありますが、そういうふうに部分的に、言わば仕事をちぎってやれることがあって我々が提言できるものであれば、共同してやることの意義は私はむしろあるかもしれないと思っております。ただもちろんこれは財政的な負担を伴う部分もありましょうし、効果としてどういうものが期待できるかということと、見合いで天秤にかけて正しく議論すべきものだと思いますので、それはその時にまたご相談をすべきものかなと思います。
 そういう意味でありますので、広域連合に加入するかどうかについてはこれは行政的には自治法上、全くの裁量権が与えられていますので、関西広域機構との脱退とか、近畿知事会の脱退とか、そういうこととはあまり連動しないのではないかと思っております。ただもちろんこれは近畿知事会の中の議論によって判断すべきものであろうかと思います。
 それから次に共同連携について、4市の市長会が一緒になって動いておられるということであります。
 私はこの動きについては、率直に歓迎いたしております。これからの時代はあまり市の間に境があるとか、県の間に境があるとか、そういうことが利益を与えてはいけないと思っておりますので、そういう意味でそれを取り払う努力として、4市の市長が連携してやっていこうという動きは歓迎したいと思います。
 これから道州制の議論がどうなるか解りませんが、今後の議論の動きの中でいずれ将来こうした4市の動きが意味を持ってくる時代がくるかもしれません。これはまだ誰にも予測がつきませんけれども、ただ少なくとも現時点で4市が連帯をしていくことは、私は高く評価できることだと思っています。

○安田議員(追求質問)

時間がありませんので、最後に広域化ということになりますと、道路アクセスの整備というのが非常に大事な課題になってくるのではないかと思います。その点について改めてどういうふうにお考えになっているのか。
 そのことと、いま私のほうの地元で声が上がっているのは、先に大連の県の事務所を廃止したんでありますが、この時代に必要なのは今こそじゃないかという声が聞かれるんでありますが、そのことについてどういうふうにお考えか、再設置というものをお考えになる気があるかどうか、その辺、2点をお訊ねしたいと思います。
 たいへん今日は有意義な質疑が出来たと思っております。知事の描かれる夢は、私も同じ夢でございます。そしてさらに多くの県民の方に加わっていただきながら、実現をして参りたいと思っております。ご一緒に頑張らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○平井知事(答弁)

まず道路のアクセスについてのお訊ねでございました。
 これは私は議論が正念場を国会が迎えておりますけれども、ぜひとも鳥取県としてはこの山陰を貫く山陰自動車道だとか、鳥取自動車道あるいは北条湯原道路などの高規格道路も含めて実現を図るべきだと思います。そのための担保をこの難しい局面でどうやって取り出していくか、それが求められているんだろうと思います。
 この道路のアクセスについては暫定税率の問題がいま議論されていまして、私は非常に今の国会の状況を憂慮いたしております。円が急騰する中で日銀の総裁も決められないというのは、これは与野党がぜひ努力をしてもらわなければならないだろうと思います。
 私はこの選挙を通じて国民が、こうした混乱まで選択した訳ではないんだと思います。いろんな利害関係を持つ人達が相談をして、国民のために一番良い結論を出してもらう、そのことを願ったのだろうと思います。今の状況はその国民の期待とは違うところに来ているんではないか。これは道路についても言えるんではないかと思います。
 このまま突き進んでしまいまして、チキンレースが3月31日に終了してしまった場合、暫定税率が下がっただけで民主党さんがおっしゃっているような地方への穴埋めもできなくなります。そうしますと私共の予算にも大きな穴が開きますし、それから国のほうの直轄事業でやる道路の目処も立たなくなる、言わば最悪のシナリオであろうかと思います。ですから私はぜひ与野党で冷静な協議をしていただいて、3月末までにきちんと結論を出していただきたいと思います。
 私は先般、知事会のほうから話がありまして、20日に急遽全国知事会の緊急集会を開こうかというお話しが、麻生会長のほうから飛び込んで参りました。ぜひお伺いさせていただき、鳥取県の特殊な道路整備を抱えている実情を訴えさせていただこうと考えております。
 併せてこの道路財源とは直接関係はありませんが、JHのほうが、米子道の暫定2車線のところを4車線化していくのは、これは道路財源とは実は関係ありません。この点についても働きかけをやっていきたいと思います。
 併せて海外の事務所についてであります。
 私は将来的にこれは考えてみる値打ちがある課題だとは思いますが、かなりお金もかかりますので1県だけでやるのが良いか、あるいは共同して事務所を置くのが良いかということだと思います。これも先ほどの議論にありました関西広域機構の中でも議論をされているんですが、協同で海外事務所を、グレーター近畿で設置してはどうかという構想もあるそうです。いろんな選択肢の中からこれから考えるべき課題かなと思っています。
当面は外務省のほうにお願いをして、いま私共のほうで派遣している職員をウラジオストックのほうに配置してもらうように、働きかけをしてみたいと思っておりますし、それから韓国では現在、駐在員を置いております。こういうものを活用したりあるいは民間の金融機関の事務所を活用したりして、当面はその任を果たしていただけるようにしていきたいと思います。
 安田議員のほうから環日本海時代、北東アジアの中の鳥取県の夢を共に描きたいというお話しを、力強くいただきました。私も同じ夢を見ていると聞いて、うっとりと眠れるような気がいたしております。そういうことで頑張って参りますので、これからもよろしくご指導いただきたいと思います。

 

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