平成2211月定例県議会 一般質問   128

 

 

 先般、島根県安来市の養鶏場で、鶏インフルエンザが発生しました。県内3業者も移動禁止処分の対象となりましたが平井知事を先頭に執行部の皆さんには、迅速適格な初動対応をしていただきました。

 そして昨日は、知事が農水省に出向き、卵の安全性をPRするとともに移動制限区域の緩和等についても要望されたということであります。

 私の所にも、処分対象となった業者さんから電話があり平井知事が忙しいなかわざわざ出かけてきてくれた、御礼を言っておいてくれということでした。

 私も養鶏場に行ってみましたが、丁度処分が解除となった日で、卵の自販機の前は何事かと思う程の客で安心致しました。

 私は、県政のリーダーたる知事のこの間の言動が現場の方を励ますとともに、風評被害の発生を封じ「気の毒に」とか「頑張って」という世論の喚起、形成につながっていく大きな道筋になったと思うのであります。

 

本日、私は地域の農業、漁業が直面している個別・具体の課題について質問いたしますが、平井知事におかれましては、この間の鶏インフルエンザ対応に示されたような、適格な判断と対応によって現場の信頼が得られますよう期待し質問に移らせていただきます。

 

一、中海土地改良事業の完成に向けて

 出雲神話になぞらえて、「昭和の国引き」と称された中海干拓事業が、計画から半世紀を経て、いよいよ最終局面を迎えております。

 この間、平成14年に淡水化が中止となり以後、国営中海土地改良事業として、代替水源の施設整備が進められております。

 米川の改修と併せて、彦名・弓浜の両干拓地には、新しくため池が造成されるとともに、用排水の整備も進み、既に彦名干拓地においては、本年4月から送水が開始され、工事の進捗率は、本年度末で98%となりました。

 しかるに、この状況のなかで、未だに、施設完成後の維持管理について、国と地元の合意が整わず、工事の遅れと事業延長という事態になっております。

 

中海干拓は、戦後の食糧難に端を発し、計画された巨大プロジェクト事業でありましたが、時代状況の変化と、人々の環境意識の高まりを受けて、大きく事業の変更がありました。

 しかしながら、結果として、鳥取県側では、彦名・弓浜2つの干拓地、212haの農地を取得することができました。

 貿易自由化が語られ、小規模零細農業から大規模営農への転換が求められる今日的農業経営に適合する農地として、かつ埋立て造成という利点を生かして、多いに活用されるよう願うものであります。

 その為にも、私は、農水省には、単に干拓地造成の任に終わることなく、農地の造成という本来の意図を完遂させるべく、施設整備と併せて干拓地の営農に対しても指導的役割と責任を負っていただきたいと考えます。

 歴代県政の大きな課題であった中海干拓事業の総仕上げの任務を背負う平井知事は、事業の最後の課題となった、干拓地完成後の維持管理について、就中、管理者と管理費について、どのように対応されるお考えか、お示しをいただきたいと思います。

 

二、境港地域プロジェクト改革計画について

 

  平成13年6月、21世紀における水産に関する施策の基本的指針として、水産基本法が制定され、水産物の安定供給の確保と、水産業の健全な発展という基本理念の実現に向けて、水産に関する施策の総合的かつ計画的推進を図るため、水産基本計画を定めることとし、翌14年3月に初めての基本計画が策定されました。

 しかるに、その後、我が国の水産業をめぐる状況は大きく変化し、貿易自由化の進行と、世界的な水産物への需要の高まりがある一方で、資源の悪化、漁船の老朽化、就業者の高齢化・減少化の進展、加えて燃油価格の高騰等により、生産量の減少化という大きな課題に直面しております。

 平成19年3月、見直しをされた基本計画では、改革の具体的施策として、

1. 水産資源の回復、管理の推進

2. 将来展望の確立と国際競争力のある経営体の育成・確保

3. 水産物の安定供給に向けた加工・流通・消費施策の展開

4. 水産業の未来を切り開く新技術の開発及び普及

5. 漁業・漁場・漁村の総合的整備と、水産業・漁村の多面的機能の発揮

6. 水産関係団体の再編整備

                     を掲げております。

 

 水産業を基幹産業とする境港では、この計画に沿って、境港地域水産業構造改革推進プロジェクトを設置し、「地域の水産物水揚げを支える各種の漁船漁業が、将来にわたって水産物の安定供給という重要な使命を果たしていけるよう、漁業経営の収益性向上のための対策を総合的に講じていくとともに、産地としての競争力強化に向けた新たな流通加工システムづくりを進めることとし、

1. 漁船漁業経営における収益性向上のための改革計画

2. 産地機能強化のための流通構造改革プラン

3. 漁船漁業経営及び流通の構造改革の推進

4. 市場のあり方

 等について、各々専門部会を設置して、協議を進めて参りました。

協議会のメンバーについては、生産・流通・加工に関連するオール水産業者に加えて、産・官・学・商のあらゆる団体、機関が参加して平成19年8月1日の第1回協議会から今日迄、地域水産業の生き残りをかけた計画策定への努力を続けてきたところです。

 この間、21年には、かにかご船第55吉丸の建造がなされるという成果を見ております。

 次いで、今回、大中型巻網漁業を対象として、生産コストの抜本的引き下げを図るため、安全性、居住性及び経済性を向上させ、長期使用に耐え得る250トンの網船を建造して、従来の5隻体制から4隻体制に移行し、漁獲量の削減による資源管理型漁業の推進を図りつつ、トータルコストの低減及び高付加価値製品の生産による採算ラインの確保に取り組む計画をたてました。

 

 しかしながら、この境港の改革プロジェクトは、本年8月26日の中央協議会において、JF山口の反対により、認定を受けることができず、今日に至るに保留の状態が続いております。

 私は、国の計画に基づき、国の指導と助成を受けながら策定されたプロジェクトが、最終段階で、このような事態を迎えていることに、到底、納得がいかないのであります。

 水産庁は、我が国水産業の将来を切り開いていく確かな方向性と、説得力をもって、プロジェクトの認定をすべきものと考えますが、平井知事は如何様にお考えか、伺うものです。

 

 

○ 平井知事 答弁

 

 安田議員の一般質問にお答えを申し上げます。

 まず、鶏インフルエンザに関する対処につきましてコメントがございました。昨日、農林水産省のほうに参りまして県内で移動制限が解除されて、鶏卵の出荷ができるようになりました。その現物を持って農林水産省へ参りました。それはいずれも付加価値の高い卵でありまして、例えばビタミンEやDHAを配合しているだとか、あるいは酵素を活用しただとかまた、桜色の卵だとかですね、そうしたキャッチフレーズのあるような売れ筋の商品であります。これを農林水産省のほうへお持ちしまして、ぜひこうして頑張っている地元のためにもう一汗かいてほしいと、例えば移動制限の区域が10qとなっているわけでありますが、現実に県内の10q以内の大規模養鶏農家以外の農家ですね、鶏肉とか卵を使っているところですとか、全て調べましたけれども陰性であったと。島根県側の調査も勿論あるんでしょうけど、速やかに可能な限り、そうした移動制限などの解除や緩和を進めてもらいたいというふうに申し上げました。現在、鶏卵農家のほうでは卵は動かせるようになったんですけれども鶏糞のほうの移動ができない。結局この鶏糞は肥料になるものですから抱えておくわけではなくて、売ればいいわけですけども移動ができないものですから、どんどん溜まってくるということになります。これは非常に厄介な問題でありまして、できれば10q範囲というのを5qにするとかですね、そうした対処法を考えてもらいたいということを強く申し上げました。いずれにせよ、今27日を目標に島根県側での防疫処理終了に伴う、撤退作業を進めておられますけれども、是非とも早期に解決するように我々も頑張っていきたいと考えております。何より今、そうして迷惑を被っている鶏卵業者の皆様にはぜひともですね、地域でしっかり支えますので養鶏業を誇り高く続けていただきたいというふうに考えております。

 そして、2点目としまして「昭和の国引き」といわれた国営中海土地改良事業についてお尋ねがございまして、まだ地元との合意が整っていない状況であるので、農林水産省には干拓地の営農に対しても指導的役割と責任を負ってもらう必要があるのではないか、干拓地完成後の維持管理についてどういうふうに考えているのかというお尋ねでありました。

 この国営中海干拓の問題でございます。これは併せて淡水化の事業もございました。平成14年度に中海淡水化が終了すると、ストップすると宣言が出されまして、方向転換をし米川を活用しながら従来落ち水といわれて水が抜けるようなことがありましたが、そういうことがないようにするとかですね、できるだけ現在の水利を活用した水利政策への転換をしました。これは、国が責任を持ってやるということで鳥取県も島根県も了解をし、それに協力をしてきたというのが現状であります。

 ちょうど昨日農水省を訪れたときも、農水省の外は大変な騒ぎになっておりまして、それは結局九州の方でですね、やはりギロチンの問題がございまして、これの諫早干拓が漁業者の利益を害するという判決が出され、大騒ぎになっていたときでありました。松木政務官には卵を贈呈させてもらいまして、鶏インフルエンザの話などをした後、その後TPPのことであるとか、それから色々な農業問題についてこの議場で話されている問題意識を中心にして、要請活動をさせていただいたところであります。

 その一環として外で大騒ぎになっていますけども、諫早干拓と同じような課題が鳥取県、島根県にはあるんですよと。今、中海干拓、淡水化事業の後始末の事業を農水省がやっていますと。ただこれがもう1年で終了することになりますけれども、未だに国と地元との合意がなされていない、このままでは終われないことになってしまいますよと、ぜひ農水省として責任をもって後始末のつけ方について地元とよく話をして合意点を見い出すように努力をしてもらいたいと申し上げました。

 松木政務官はですね、非常に率直なタイプの方でいらっしゃいましてTPPのことについては、「それは知事さんの言うとおりなので、どんどん意見をだしてくれ」と農水省のほうはですね、TPPはいずれ無くさなければいけないと頑張ってますので、そういうご意見をされるくらい率直な方でございました。

 その方でございましたので、この問題は非常に関心を持たれまして即座に、居合わせた事務方の皆さんにも一体、今どんな状況だということを問いただしておられました。

 ぜひですね、農林水産省には今、安田議員がおっしゃった通り責任を持って、この事業、幕引きを迎えるわけでありますから、きちんとした対応策を考えるべきであると思います。

 今、協議が全然進まないというもどかしさを我々は感じているんですが、農林水産省の方は、ある程度負担軽減に繋がるような事業を行って地元の農家の方々にですね、維持管理の負担が課題にならないようにしようという提案はありました。

 それから、今後の施設の管理については、米川の方で管理をしてもらいたいと、そういう風なお話をおっしゃるわけであります。しかし、干拓営農組合の方ではですね、その農林省の提案で本当に永続的にですね、今迄負担してきた範囲内に留まるのかどうかというかなり根深い疑問が提示されています。それから米川土地改良組合の方では、今迄持っていた例えば、ろ過池ですとか色々な施設がございますけれども、そういうものと比べますと格段にスケールが大きくなりますので、果たして自分たちでこれを維持管理できるだろうか、という不安を持っておられるわけであります。ですから国の方ではですね、今、事業を執行してまして、これは明らかに国のものでございますから、国としてこれを米川土地改良組合に管理させようというならば、その不安を解かなければならないですし、それから営農組合の方のおっしゃるようなですね、負担軽減策、こういうふうにしますから永続的に大丈夫ですよという提案をしなければいけないと思うのです。ただそこが出来きれていませんので、結局テーブルを3回ほど作って協議をしましたけれども、未だに結論が出ないままに終末期を迎えているという状況であります。これは猶予期間がですね、それ程長くございません。昨日も松木政務官に申し上げまして、ひょっとして農水省側の反応が何か出てくるかもしれませんが、我々としてはですね、ぜひ地元の考えをよく聞いてもらって解決策を出してもらいたいと国に働きかけて参りたいと思います。

 それから3点目としてですね、本年8月の境港地域水産業構造改革推進プロジェクト計画が策定されたことを受けて現在審議が続いているわけでありますけども、山口県の漁業者から反対意見が出されて計画認定が保留になっている、このことについての所見を問うというお話でございます。

 安田議員も縷々ご説明ございましたとおり、随分息の長い検討をしてきました。19年の8月、ちょうど私どもが4年前に選挙戦をやっていた頃に、こういう水産業の構造改善がですね、大分具体化をし始めてまして、選挙戦でもそういう議論が多く出されていました。

 なんとかこういう構造改革のプロジェクトを境港、鳥取県でも導入をして、そして付加価値の高い水産業とかそれから魅力のある産地作りをですね、やっていこうではないか、こういう気運に燃えていたわけであります。

 平成19年の8月から現実に会議を進めまして、水産振興協会とかですね、色々な所が関わりながら、勿論、水産関係の事業者、あるいは、先ほど産・官・学・商とおっしゃいましたけれども、そういう各界の皆さんの知恵を入れながらですね、境港地域でプロジェクトが進められてきました。

 その一つが第55吉丸という紅ずわいがにの事業であったわけであります。

 そして二つ目に巻網船団の事業がでているわけでございまして、これはようやくまとまってきたということであります。このまとまってきたプロジェクトは非常に魅力のあるものであります。進めてこられたのは共和水産という大きな会社が絡むわけでございます。先だって和田社長がお亡くなりになられましてご冥福をお祈り申し上げたいと思いますが、その生涯をかけてですね、水産の振興を図ろうとしてきた、その願いが込められたようなそういう事業であります。

 船団として隻数を縮小すると、正直申し上げて漁獲量は12%程、減る見込みであるけれども、しかしコストをそれ以上に下げる、そしてその中での船内の居住性ですね、いわば就業環境にも当たると思います。乗組員の皆さんの就業環境を改善をしたり、それから冷凍設備、冷蔵設備といったそういう保管の技術を現代の素晴らしいものを投入することによりまして、魚の鮮度を保って付加価値を上げようとかですね、いわば、これからの水産業のあり方を提言するような魅力的なプログラムでありました。

 また、合わせて地上においても先日も議論がありましたけれども魚体の選別機のようなですね、ああいうシステムを導入するなどしまして、トータルでの産地作りをしようというものでありました。

 正直申し上げて水産庁の関係者も度々このプロジェクトを見ておられまして、評価は高かったはずであります。

 ところが8月26日の水産庁の中央審査会の場におきまして強力な反対意見が出され、それであえなく保留となってしまったというのが現状であります。

 我々としては、水産庁の方に度重ねて強力に働きかけをしてまいりました。地元の事業者はもとよりでありますが、市長さんだとかそうした皆さんも同じように働きかけをされております。

 これは少々誤解もあるんではないかと我々は思っているんですけれども、大量に獲っていく為のですね、ものではないか、250トンの船を作るといったら更に根こそぎ獲るんじゃないかと、山口の漁業者の皆さんが警戒をされているということがあります。

 あと、地元からは様々なですね、漁業についての問題が国のほうに提起をされていたようでありましたけれども、残念ながら国のほうで、それにスピーディにスマートに対応できてなかったというような不満も山口県側にはあるようでございまして、色んな事が綯い交ぜになって保留へといってしまったことではないかと思っております。今、当事者の事業者の方々、共和水産さんとかですね、それから境港の関係者の皆様、そして水産庁、更に水産庁をはさんで山口県側の考え方、この間で勢力的な議論がなされている真っ最中であります。これで話し合いをすることによりまして、理解を得てですね、このプロジェクトを何とか前に進めて欲しいと思っております。

 我々もその意味で事業者の方、共和水産を始めとした地元の方に環境整備でこういうようなことが必要だとかですね、いろんな事があるかもしれません。我々も協力できる部分があれば協力をしながら実現を模索して参りたいと思います。

 次の中央審査会は年が明けて来月か再来月くらいに行われるのではないかといわれております。今、一つの節目に来ていると思いますので、地元の境港の皆さんとよく情報交換をさせていただいて、地元が納得できるような結論へと向かわせていただきたいと思っております。

 

 

○ 安田議員(追加質問)

 

 前向きな御答弁をいただきまして、知事が私の考えと全く同じようなお考えで、今後、現場の地元の皆さんの気持ちに対して頑張っていただけるというお話を聞きまして私も安心を致しました。

 干拓地のことにつきましては、今、諫早の話がでましたが、私どもが近くで見ております、古くは外江の干拓地、今、西工業団地となっております。それから崎津の団地、これらはみんな農水省が干拓地として造成した土地でありますが転用をして、今、大変違う形の干拓地になっております。私は、農水省は国交省ではございませんので、土木工事に終わることなく、やはりこれから、今、とやかく、かしましい農業でございますので、これからの農業は干拓営農はこうあるべきというモデル的な展開をもやっていただきたいくらいに思っております。その為には、来年3月でさようならではなく、後は岡山の農政事務所にお任せしますではなくて、やはり現地に、駆け込みができる事業所が置かれたら、それは一番望ましいのではないかというふうに思っておりますので、ぜひ知事にもそういう方向でお力を貸していただきたいと思います。

 それから水産の問題でございます。もう既に知事からお名前をお出しになったわけですが、和田耕治さんは、わずか60歳で水産業境港を背負う本当に期待のかかった方であったんですが、早逝をされましたこと、誠に私も痛恨の極みでございます。和田さんは、大変世界の漁業に通じておられる方でありますと同時に、大変、心優しい方で周囲の方に対する気遣い、そして乗組員の皆様方に対しても本当に気配り、目配りを欠かさない方で信頼の厚い方でありました。私はいつだったでしょうか、テレビで水産の先進国といわれるノルウエーの漁船操業を見たことがあります。本当に、恵まれた生活条件の中で、それも若い人から熟年者に至るまで、大変バランスのいい年齢構成で乗組員の方が仕事をなさっているのを羨ましく思ったその後で、和田さんと劣悪な労働条件におかれている日本の漁船漁業従事者の皆さんのことについて話し合ったことを懐かしく思い出しております。おそらくこのたびの計画の根底には和田さんの漁業、危機的状況が言われている今日の日本の漁業、水産業に対して、やはり後継者の皆さんを育成することこそ、生き残りの最も要ではないかという彼の経営哲学、そして優しさが込められたものではなかったかと推察し、どうしてもなんとか成就をすることによってその遺志を地域に生かしていただきたいと願っております。知事にはその辺も含めて充分なご理解を賜っておりますこと、感謝申し上げますとともにどうかこのプロジェクトが成就できますように、一段のお力添えをいただきますように重ねてお願いをしまして、私からの追求質問にさせていただきます。コメントがございましたらお願いを致します。   

 

 

○ 平井知事 答弁

 

 安田議員のご質問にお答え申し上げます。

 まず、中海干拓についてのお話でございますが、事業所が今後どうなるかということについて、これはひょっとして決まった話かもしれませんが、農林水産部長からお答えを申し上げたいと思います。

ただ、事業所の問題はともかくといたしましても、議員がおっしゃるようにやはり農業のための事業なんです。その為には、水利の問題とかトータルでいわば、夢のような農業のスタイルを描いたわけですね。干拓地という広大なところで、いわば大規模に展開できるような農業、しかも水利はちゃんと用意される最初は淡水化だったわけでありますが、それが後に、米川を通してということに変わったわけでありますが、いずれにせよ、そういうモデルの姿を描いてきたわけであります。ですから外江の干拓地だとか、崎津の干拓地のように作りっぱなしで終わるのではなくて、少なくとも全体としてですね、営農活動に対するトータルの支援を国は、国家プロジェクトとして責務を果たしていただきたいと思います。

 県もそこから逃げるわけではございません。一緒にですね、我々も汗をかいていきたいと思いますし、解決を本当にもう1年でしなければならないとなると、それはそれなりのエネルギーも必要だと思います。 我々も応分の汗をかきながら、このことをですね、次の段階へ、時代を開くような段階へと繋げていきたいと思います。

 それから第2点として境港のプロジェクトについてコメントをいただきました。これは、議員もおっしゃるように大きな願いが込められたものだと私も感じました。

 ですから、ぜひ成就するようにしたいと我々も全力を挙げて取組みたいと思います。議員がおっしゃられたノルウエーの場合は、非常に大型でそしてすごく現代の技術を駆使したですね、例えばレーダーであるとか、それから漁法もそうでありますが、そういう装備を備えた船でノルウエーでさばを獲ったりされているわけであります。そこには、若い人達も生きがいを感じて乗り込んでおられます。ちょっと垣間見ますと優雅なくらい、魚を獲っている時間以外はですね、しっかりと余暇を楽しむくらいの余裕を持って漁業を営んでおられる。こういうようなことができればですね、日本でも水産業の後継者に悩むようなことも無いでしょうし、それから水産業の効率化を図って、付加価値が高く、そして地元の所得にもなるような、そういう産業に再生していくと思います。

 その意味で今回のプロジェクトは、元々国としても推奨できるものだと認めかけていたものでございますので、確かに漁業権だとか難しい問題もありますが、ぜひ解決をして実現をしていく必要があると思います。

 これは、色々な関係者の協力が必要になると思います。これは境港の当事者の皆さんを含めて最後の詰めの段階にきているかと思いますが、我々も身を乗り出して解決策の取りまとめに協力していきたいと思っております。

 

 

○ 鹿田農林水産部長

 

 中海干拓建設事業所の取扱いについての補足の説明をさせていただきます。

 中海干拓建設事業所につきましては一応、来年の3月に閉鎖ということが決まっているようでございまして、私どもは今年5月から、知事が要望した際にも事業所を置いてくれと頼んでいるわけですけれども、方向としては、先月11月に私が国の方に要望した際にも、事業所の関係は、どうも閉鎖の方向だという話があるものですから、私どもでお願いしていますのは、工事自体が当初22年度まで来年3月に終わる話だったんです。1年延びるという話もあるものですから、駐在を置いてくれと、地元の要望にすぐ応えられるような体制にしてくれと、今、お願いしているところでございます。国の方では中国四国農政局が対応するから大丈夫だという話があるわけでございますけれども、やはり農家の方もかなり不安に感じておりますので、引続きそれについては要請してまいりたいと考えているところでございます。