平成22年6月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

 高齢化・非正規・低収入時代の農地政策について

きょうは高齢化・非正規・低収入時代の農地政策について、平井知事に質問をいたします。よろしくお願いをいたします。 本県の人口は、昨年統計で59 1,150人にまで減少してしまいました。年齢構成では、14歳までの年少人口7万 9,285人、64歳までの生産年齢人口35 7,181人、老年人口15 4,147人で、それぞれ総人口の13.4%、60.4%、26.1%となっており、年少人口と生産人口の減少化に比して、老年人口の増加傾向は年々着実に進行しております。また、老年人口のうち75才以上の人口が8万 4,290人で、老年人口の増加をほぼこの年齢層が占めております。長年にわたって社会を支えてこられたこの方々が、いつまでも健康で豊かな老後を楽しめる世の中であってほしいと願うのは、私一人ではないと思いますが、現実はなかなか厳しいものがあります。

 Aさんは、ことし92歳を迎えられる方で、御主人を亡くされた後、自分名義の自宅に長年ひとり暮らしの生活です。近くに分家に出た娘一家が住んでいますが、息子2人は学校を終えた後、県外で就職、結婚しております。この方の年金は国民年金ですが、17年しか払っていないため、月にわずか3万円の受給にしかなりません。固定資産税も払えず、3年前に減免措置をしてもらったそうです。

 また、70代半ばのBさんは、元銀行マンの夫と二人暮らしでしたが、夫が要介護5となり、特別養護老人ホームへの入居を希望、長らく待った末にやっと入居できたのですが、支払い額が月に16万円かかり、このままでは自分が生活できないというので、施設を変えざるを得ませんでした。新しく入った施設は、自宅から遠くて通うこともできず、自分の体調もすぐれないため、自宅に引きこもり状態です。

 働くこともできなくなった高齢者の方々の生活を支える年金ですが、いざ施設にでも入居となると決して支え切れるほど受給できておりません。特に、国民年金の受給者は、満額でも月6万 6,000円しかもらえず、施設にも入れないというのが実情であります。

 そこで、生活保護への切りかえをせざるを得ないというケースが全国的にもふえてきております。本県でも、一昨年末より月ごとに大幅な増加が続いてきているそうで、本年5月1日現在の生活保護世帯数 4,503のうち、実に 1,808世帯、全体の40.2%をこうした高齢者世帯が占めているのであります。

 一方で、こうした高齢者層を支えるはずの生産年齢層の実情はどうでありましょうか。

 この春、私の事務所に1人の高齢の男性が飛び込んでこられました。米子市に進出が決まった電気自動車工場に何としても自分の息子を就職させたいので、情報が欲しいという依頼でありました。聞いてみますと、この父親と息子は、市内の大手スーパーにオープンと同時に就職、最初は、頑張れば正規採用の道もあるからということだったそうですが、正規どころか年々勤務時間数も減り、時給は 730円ということでした。果たして電気自動車工場の雇用条件に息子さんがマッチするのか甚だ疑問でありますが、現在の県内の雇用状況の厳しさを如実に物語る話に、いかんとも言いがたく思った次第であります。

 また、Cさんは、勤めていた水産会社の合理化策で転勤、夜勤を求められましたが、共稼ぎの奥さんが看護師で子供たちも小さく手がかかるため、やむを得ず退職しました。境港市も漁業、水産業の不振でなかなか再就職先がなく、やっと国の緊急雇用制度で救われましたが、月給17万円、1年契約の嘱託で、その先の保障はありません。

 今や生産人口世代の非正規就業、低収入はいたし方のない現実の話になってまいりました。そして、この層の方々が年金を受給する段には、国民年金が圧倒的にならざるを得ないだろうと思うのであります。悪循環の連鎖が早々に解決し得る状況にないことは想像にかたくありません。

 私がこれまで紹介してきたのは、県下21 5,000世帯のうちのごくわずかな例にすぎませんが、このような県民生活の実情について、平井知事はどのような感想を抱かれましたでしょうか。まずもって率直な御感想をお願いいたします。

 産業を振興して県民の働く場を確保するとともに、行政の財政基盤を確立して社会保障費に潤沢な予算が組めるほどにする、こんな理想的な県政を実現すべく、平井知事も東奔西走、寸暇を惜しんで頑張っておられることは、疑いようもない事実であり、深く敬意を表するところであります。

 しかしながら、国レベルで既に年1兆円規模で膨張する一方の社会保障費を賄うための増税論議が真剣に検討される段階に入っております。国の増税によって、本県行政の財政健全化に資するのか、県民生活の福祉向上につながるのか、私には甚だ疑問に思えるのでありますが、知事はどのようにとらえておられますでしょうか。お尋ねをいたします。

 私は、むしろ、現下の厳しい時代を生き抜いていくためには、私たちがこれまで築いてきた社会のありようや生活の仕方を大きく転換させることも必要ではないかと考えます。県民生活の中に、既にその変化の兆しを見出せるのではないでしょうか。すなわち、多くの県民が農業に目を向けるようになったこと、なるべく消費を抑える、食の安全安心に注意する、つくる農地がある、土に触れて生きることの大切さ、生きることの原点としての農業が見直されてきております。

 また、不動産業者の話では、新婚世帯がこれまでのようにアパート住まいをしなくなった、親と同居をするようになった、実家で生活するようになったというのです。金を使わなくても住むところがあるということであります。核家族というのは、右肩上がりの時代背景で初めて成り立つ話で、子育てや老後のことを考えれば、今を生き抜くにふさわしいライフスタイルではないということではないでしょうか。

 人は、収入が減っても、失業しても、最低限住む家と食べる物があれば何とかやっていけるものです。たとえ月給10万円でも家族で働けば何十万円かになります。支え合えば生きていけるし、支え合わねば生きていくことが難しい時代になってきました。

 幸い鳥取県は、これまでも県民所得は低くとも、こと住まいに関しては全国でもトップレベルの環境を誇っております。豊かな農地にも恵まれております。高齢者がふえて、自宅から離れた農地までは耕作できなくても、家の周りであれば生涯現役で家族が食べる分ぐらいはつくれる。換言すれば、そのような勤勉性を持つのが鳥取県の県民性ではないでしょうか。

 しかしながら、たとえ県民がそのような生き方、暮らし方を望んだとしても、実際に実行しようとすると、大きな障壁が立ちはだかるのであります。それは、行政の土地規制であり、農地の転用規制であります。

 県民が赤ちゃんからお年寄りまで交えた生活、大家族や複数世帯でのライフスタイルも可能にできる選択肢とすることができる土地政策、なかんずく農地政策について、平井知事の御所見を伺い、壇上からの質問といたします。


○ 平井知事(答弁)

安田議員の一般質問にお答え申し上げます。

 まず、Aさん、Bさん、Cさんといったような具体例を挙げられながら現在の県民生活の実情についてお訴えになりました。そうした県民生活の実情につき、どういう考えを持つかというお尋ねであります。

 議員のほうから切々とお話がありましたように、今の社会は、今ちょうど「ゲゲゲの女房」をやっておりますけれども、高度成長のころのように貧しくとも何か先に対して希望があったような、そういう時期とはまた違った、貧しさもあり、さらに希望もなしという、そういう出口のないような閉塞感が現代の特徴ではないかというふうに感じるときが大変多いです。具体例につきましても、さまざまな要因でそうしたところへ自分が望むでもなく導かれてしまった、そういう過程の漂流状況というのが見てとれたような気がいたします。

 Aさん、Bさんといったようなケースについて、本当はいろいろな制度があって、社会的なセーフティーネットが張れるようになっているのだと思います。その辺の制度的な今の仕組みについては福祉保健部長からお話を申し上げたいと思いますけれども、問題なのは、高齢者について、特に老後の問題ですね。そうしたところに、これから高齢化が進んでくるわけであります。その際に十分な手当てが社会としてできているのかどうか、甚だ備える準備がないのではないかという疑問を感じるわけであります。また、就業状況もそうでありまして、これは世界的な競争ということもありますが、物づくりなどが立ち行かなくなりつつある中で、どうやって鳥取県内のような地域間格差に悩むところで就業の場を確保していくか、これも大変な課題だと思います。

 こうしたところに包括的に今アプローチをすることが必要になっているのだと思うのです。私は、まずは緊急避難的に今そういう状況にある人たちに手を差し伸べることは当面必要だと思います。その意味で、その介護保険の制度などにもし穴があいているのであれば、本来目指しているのはどんな人でも介護サービスを受けられるようにという制度設計でありまして、その制度設計は恐らくできてはいるとは思うのですけれども、ただ具体例によってはうまく機能していないところがあったりする。そうしたことには是正をしていく必要があると思います。

 障害者の自立支援制度もそうだと思いますが、これも反省を求められているところがありまして、今その構造改革をしようという動きになりつつありますけれども、当座間に合わないところには緊急避難的な手を打つ必要が国としてはあるだろうと思います。

 就業に対しても、今、失業率が高い状況にあります。鳥取県も、回復しているとはいえ0.55という状況でありまして、有効求人倍率も1にほど遠いわけであります。おっしゃるような非正規雇用というものが跳梁ばっこしている中で、辛うじて支えられている雇用という現実に私たちは目を背けてはならないのだと思います。緊急避難的には、今、先ほどもお話がありました雇用対策が打たれているわけでありますが、これも一時的なものに今なっておりまして、ではそこから先のところはどうするかということまで手が打ち切れていないということだと理解をいたしております。

 ですから、当面は、緊急避難的に今、非正規労働者なども含めまして、生活対策を考えていくことが重要だと思いますし、あと中長期的には、それを変えていく議論が求められているのだと思います。これは自民党さんも民主党さんもそれぞれのビジョンで語り始めているところでありまして、私は大いにこの国のあり方を議論していただくべき時期だと思います。国家モデルをどこに求めるかということとも関連するのだと思います。また、雇用の受け皿を物づくりなど以外の社会保障の中から生まれてくるような雇用だとか、教育の中から生まれてくるような雇用だとか、いろいろなところに求めていく必要も出てくるのではないかと思います。そういうようにして、これは国民の間で議論が分かれるところはいろいろとあると思いますので、負担の問題とあわせて、こうした構造的な社会のあり方、社会モデルというものを議論しなければいけないのではないかと思います。

 これと関連してということだと思いますが、国レベルでは今、社会保障費を賄うための増税論議が議論され始めている、増税によって財政の健全化に資するのだろうか、福祉向上につながるのだろうか疑問がある、どういうふうに考えているのかというお話がございました。

 これは、今の財政状況、国の財政状況、地方もそうでありますが、それをどうやって打開をしていくか、これが焦眉の課題だということは疑いもないことだと思います。現にギリシャがそうした国の財政危機から経済的な不安定を生みまして、周りの国々まで巻き込んだ状況になっております。日本も同様というか、さらに悪い債務負担を抱えている状況でありますので、これに対する答えを出さなければいけないのは恐らく明らかであろうかと思います。

 ただ、それとあわせて、議員が今第1問目のほうで御指摘いただきましたように、実は社会自体が行き詰まりを始めていると。社会保障はこれからどうなるのだろうか、高齢化がどんどん進んでくるというのに、それに対する備えが果たしてできているのだろうか、また雇用も不安定になってきていて、それを打開するめどがあるのだろうかという不安を抱えているわけであります。ですから、これに対して各党間でもぜひ議論をしていただいて、新しい社会モデルと負担の議論を私は避けずに行うべきではないかと思います。

 自由民主党さんはマニフェストを明らかにされていまして、10%という率での消費税を考えようではないかというお話をされ始めました。連立政権のほうも、今、菅総理になられて、こうした増税論というものも視野に入れた国民の負担のあり方に踏み込もうとしておられます。新しい政権が所信表明演説などで行いましたことによれば、強い財政と強い経済と強い社会保障を3つセットで求めていこうという考え方を出されています。いろいろと議論はあろうかと思いますが、これも一つの私は国家論、国家像としてあり得る議論ではないかと思います。ただ、その具体的な組み方については党派でもいろいろな議論もありましょうし、大いに議論していただければいいのではないかと思います。

 一つには、経済が今思わしくないわけでありますから、新しい産業テーマを導かなければならないと思います。これは環境に特化をして技術開発を発動していく。そこで産業を興していく。電気自動車工場のお話も御紹介いただきましたけれども、そうした新しい雇用の受け皿を産業創造とともにやっていかなければなりません。

 ただ、日本のこれまでの産業政策はどちらかというと腰が引けたような気がいたします。中国だとか韓国が国も力を入れて、国のトップもトップセールスに出向くなどしてやっている中で、日本が果たしてそうした役割を政府が果たしてきたかどうか。民間のことは民間で任せると言わんばかりにやることだけでなくて、やはり政府としても思い切った産業創造に向けたバックアップ策を練ることが必要だと思います。農林水産業もしかりだと思います。

 社会保障もそうでありまして、これは実は雇用の場としても見直されるべきところがあるだろうと思います。教育、人づくりも含めて、欧米では北欧などが国家モデルとしてそこに雇用を大きく創造しています。それで経済成長は続いているわけでありますから、評価すべきところは十分あるのだろうと思うのです。そうした国家モデルと絡めて、強い経済、強い社会保障というのを考えるわけであります。ただ、それには負担が伴うわけでありまして、強い財政というのは、実はその強い国民負担も内包した概念だろうと思います。これに理解を得るためには、こういうふうに国家像を変えていけば、華美な生活をするわけではないですけれども、安心して一生一通りの生活はしていくだけの保障はできますよとか、雇用の受け皿としてワークシェアリングのようなこともやりながらみんなで助け合って生きていけますよという、かつて高度成長時代に我々が考えていたような支え合いの社会構図というものをもう一度呼び戻すことができるかもしれないと思います。ただ、それには思い切った政策転換が必要だと思いますので、ぜひ御議論をいただければありがたいのではないかと思います。

 我が国の消費税は現在5%の水準でありますけれども、先進諸国は総じて高いです。韓国は10%、それから中国でも17%という水準です。ヨーロッパでは15%ぐらいから20%ぐらいのレンジで広がっておりまして、多い国は2025%ぐらいです。日本は同じような社会保障を目指そうとしながら、片方で負担の議論を避けてきているわけでありまして、ここの辺でもう一度正面切った議論も必要なのではないかと思います。

 ただ、議員が疑問を呈されますように、では消費税をちょこちょこっと上げたところで社会保障はうまくいくの、それからプライマリーバランスといいますか、その財政再建は本当にできるのということでありますが、試算をざっと置いてみますと、例えばプライマリーバランスを取り戻そうとすると、15%ぐらい消費税水準を上げていかないと難しいというようなことになりそうでありますし、また社会保障の関係でも医療、福祉関係、賄おうと思えば5%上げるだけでうまくいくかどうか、もっと10%とか上げていかなければならないのではないかというのが現実の数字だろうと思います。ですから、片方で行財政改革を思い切ってやったりしていきながら、何とか適正な負担水準と我々が求めている社会保障や強い経済のあり方、これに結びつけていく相当突っ込んだ議論と工夫が求められるのではないかと思います。

 次に、議員のほうから、鳥取県というものは豊かな農地もある、勤勉性もある、そういう鳥取県の豊かな環境や県民性をとらえて、新しいライフスタイルを選択肢として提供できないだろうかというお尋ねをいただきました。土地政策だとか農地政策を変えていって、それで大家族、複数世帯でのライフスタイルが可能になるような、そういうやり方はないでしょうかというお尋ねであります。

 恐らく議員のほうで具体的な何か仕組みの考え方があるのではないかと思いますが、一般論でお話でありますと、土地政策だとか農地政策、非常に規制が多い分野でございますので、これが住宅など、多世帯の住宅だとか、あるいは農地つき住宅だとか、いろいろな暮らし方があると思いますけれども、今それに即応しやすい規制体系ではないと私も感じることは多いです。

 これはいろいろと議論が分かれるところではありますけれども、地域性が本当はあるのだと思うのです。市町村もそこに思いをぜひいたしていただいて、市町村とも協力をしながら今の土地規制のあり方を変えていく努力は一定程度許される、必要ではないかなと思います。農地でやっていくということでそういう計画になっていたとしても、現状を見ればもう市街化された区域と言わざるを得ないような状況であれば、それにふさわしいことをやっていくとか、あるいは東京や大阪から帰ってくるようなI・J・Uターンの人たちに比較的手軽に土地を利用していただくということも、これからは人口が減少していく中でありますので、鳥取県として工夫されてもいいゾーンがあってもいいかもしれません。もちろんその農地としてもっともっとここは守って育てていかなければいけないというゾーンもあれば、むしろ考え方、発想を転換して規制を変えていくという分野もあってもいいのではないかと思います。

 具体的ないろいろな御提案をこれから住民の皆さん、あるいは議会からもいただきながら、これは市町村も規制緩和にはかかわるところが多いですし、国の制度もかなりリジッドに絡まっていますので、具体論に応じてぜひ住宅だとか暮らし方にいい影響を与えるような規制緩和ができるように努力をしてまいりたいと思います。



○ 福祉保健部長(補足答弁)

  補足説明をさせていただきます。 先ほどのAさん、Bさんにつきまして、こちらのほうで少し試算をしてみましたので、御説明をさせていただきます。

 まず、質問のAさんの場合、92歳の方で国民年金の納付を17年間していらっしゃるという方でございます。それで、この国民年金制度は現在40年満額お支払いされた場合に年金額が79 2,100円というふうになっておりまして、ただし25年以上納付していないといけないという条件がございます。ただ、このAさんの場合には、92歳ということで大変年齢が高く、国民年金制度ができる前の期間に生まれられた方でございますので、Aさんの場合は13年間の納付で受給が可能になる方でございます。したがって、納付期間17年として試算してみますと、月額2万 8,466円という計算になるということでございます。これは分母が40年間の12カ月に対して、納付期間の実際に支払われた金額で年金額を掛け合わせた場合の月額として計算されるという制度になっております。

 それから、Bさんの場合は、特別養護老人ホームのほうに入所していらっしゃるケースでございますけれども、介護保険制度は原則介護サービスの費用について1割負担をしていただくという制度になってございます。そして、この場合、その所得状況によってはこの介護サービス費用1割負担というのが非常に負担として大き過ぎる場合もございますので、所得状況に応じて1割負担を軽減するために高額介護サービス費支給という制度がございます。それで特別養護老人ホームの場合は、第1段階から第4段階まで分かれておりまして、第3段階よりも小さい段階の場合は市町村民税非課税世帯の場合で減額がされているというものでございまして、今回の場合は第4段階と考えられます。そうなりますと、1割負担がそのまま適用になること、それから居住費とか食費についても他の段階に比べると軽減措置がないといったことから、基本的な金額がユニット居室の場合で月額12 8,000 円程度、それから多床室、これは4人部屋等でございますが、これで7万 8,000円程度になります。それでさらに特別養護老人ホームに入所される場合、これ以外にも日用品費とか身の回りの費用、理美容の費用等必要になりますので、県全体で平均いたしますと大体基準外の金額が2万 6,000円程度かかっておりますので、それを足し上げますと、ユニット個室の場合で大体15 5,000円前後、それから多床室の場合で10万円程度かかるといった状況にございます。ただ、市町村ではこの第4段階の場合でぎりぎり第4段階になられる、これは市町村民税課税世帯でございますが、わずかの金額の差で第4段階に入られるようなケースもございますので、そういった場合には市町村で4段階を第3段階に軽減する、そういった制度も設けておりますし、社会福祉法人でも利用料の減免制度といったこともございますので、そのあたりのところはまたいろいろな制度がありますので、ケアマネさんとか市町村のほうの窓口にも御相談いただいたらと思います。

 いずれにしても、老後の備えが十分でなかったり、家族からの支援がないといった家庭の場合は、どうしても介護保険制度、あるいは年金制度等の中ではなかなか負担の多いような世帯といったものもあっているのではないかというふうに思います。今後介護保険制度の中で改善等必要なものにつきまして、また国のほうにも要望等、先ほど知事が御答弁したとおりでございますが、検討していきたいと考えております。



○ 安田議員 (追求質問)
  林部長からは細々と御教示を賜りましてありがとうございました。
 本当に介護保険が始まって10年たったわけであります。始まった当座は、皆さんの老後は介護保険で支えますと、こういううたい文句で始まったわけでありますが、今10年たってみますと、とても支え切れませんということで、地域でサポートしてください、それから予防に努めてください、これが現状であります。しかしながら、今お話を壇上からしましたように、鳥取県の高齢化率というのは大変な勢いでアップしておりまして、老後を支える人たちも高齢者なわけです。突き詰めていくと何が出てくるのかというと、やはり家族というものをもう一度見直したらいいのではないか、そこの必要性というものに思いが至ったということが一つ私の問題提起であります。

 先ほど知事からもるる御答弁をいただきました。どうと言いましょうか、理想像で、かつて同じような質問を片山知事にしたことがありましたが、やはり平井知事も同じかなと。モデルとする国家は北欧のやはり福祉国家である。国民負担が何10%もあって、そこをもとにして、 8,000万人、1億人にもならない、我が国とは人口も大きく違う国をモデルにすることが可能でしょうか、知事。私は、バブルの時代にそういうモデルを目指して国も国民も励んできていれば、今日こういう問題は、状況はなかったのではなかろうかと思いますが、事ここに至って、今さら福祉国家を標榜するのは、やや時代に合わないのではないかと思います。

 そして、産業振興に関しては、平井知事は、打って出る鳥取県政ということで、本当に一生懸命頑張っていらっしゃるのですが、打って出ることも大事であります。弁当を持って通える、子供が一緒に暮らしている、それが一番大事なことです。だけれども、打って出ることも大事だけれども、今現状にある県民の生活をどう守っていくのか、どう保障していくのか、これも同時にやっていかなければいけない。

 社会保障費はどんどん上がっております。先ほど本当はAさん、Bさんにセーフティーネットがあるのだということをおっしゃいました。しかしながら、実際には、年金3万円どころか2万円、1万円、あるいは無年金の人もいらっしゃるわけです。そして、年金をもらう要件にすれすれのところにいらっしゃる人もいる。例えば行政がこういうシステムがありますよ、保障できますよとPRをすれば、ほぼ3倍の受給者数になるであろうということであります。果たしてそういう人たちを行政がどこまで救えるのか、保障できるのかということが私には大きな問題意識でありました。菅首相も所信表明の中で第3の道と称して経済の発展、強い経済、強い財政、強い社会保障ということを3つ一緒に推し進めていくのだとおっしゃいました。しかしながら、実態としまして、先ほど知事も言われましたが、その社会保障で、例えば老人施設をつくったとします。そこに働く人たちはどうですか。ここにたくさんの関係の議員もいらっしゃいますが、7割ぐらい前後が非正規ではないですか。どうでしょう。そういうのが実態であります。果たして、増税をして、一度でさえ県民所得の低い鳥取県民に耐えられるのか。そして、そういう社会保障のために県もこのたび特別養護老人ホームを建てるということで計画をなさっておりますが、そのようなことをどんどんやっていけるのか。現実にそういう施策をしても、乗れない人が、入れない人が現実にいらっしゃって生活保護費がふえている。この現実です。

 そこで私は、今、福祉部長にお答えをいただいたわけですが、福祉の問題を福祉だけで解決する、こういう発想自体を大きく転換していただきたいと思った次第であります。

 土地政策に関しましては、大きく言えば都市計画法と農地法の規制がかかっております。そして、住宅を建てようと思うと、 500平米、 150坪の基準が今鳥取県では適用されております。 150坪の敷地にはほぼ1軒しか家が建ちません。核家族が前提となっております。私は、ここにある程度子供の家も複数の子供たちの家も、あるいは孫の家もあわせて住むほどにできるぐらいの規制緩和をしてもいいではないか。農家住宅は 1,000平米ですが、これももうちょっと拡大してもいいのではないかと、こういうふうに考えております。 このことは、具体的な私の提案にはなりますが、一方で農業ということを取り上げましたが、農業についても、新たに農地を取得しようとすると、1反から5反まで、一番大きいところでは5反までの下限面積があるわけです。そうすると、ちょっとした自分のうちのものをつくろうと思えば、何もそんなに多く要らないわけで、どんどん農地の集積が進む中で、人々がいざ手に入れようとしたときに間に合わなくなってしまう危険性もありますので、この辺も規制緩和したらいいのではないかと。

 これは、社会保障費も増加しているわけですが、一方で高齢化によって不耕作地が非常にふえていて、国も県も公費で不耕作地対策をしているではないですか。境港市は所有者にその不耕作地を何とかするための公金の補助までしている、助成までし出したのです。片方でこういうことにお金を使っているのであれば、これは矛盾ではないですか、知事。規制をかけて所有者が思うように土地を利用できない。片方ではそうやって規制をかけた結果にできた不耕作地に公金を投入していく。この辺の問題からどうお考えかお尋ねをします。


○ 平井知事(答弁)
  安田議員にお答えを申し上げます。
 大きく分けて2つあったと思いますが、一つは、この国のあり方についての議論、それからもう一つは、農地をもっと利用しやすくするというか、規制緩和を働かせるという、そういう2つの議論があったかと思います。

 前段のほうでは、今の状況から北欧を平井が目指すのではないか、福祉国家ということでは限界がある、打って出るよりも県民を守ることも必要ではないか、老人特養施設などもあるけれども、そこも非正規労働者も多いし解決にならないという御趣旨のお話がございました。

 私ももう少しちょっときちんと話せばよかったのかもしれませんけれども、片山知事がどういう国家論を言っていたのかよくわかりませんが、私が申し上げたかったのは、今のような就業構造だけでは多分難しいと思います。物づくりだとか、かつて我々日本が得意としていた分野、それ以外の分野で、ではその雇用の場というのがあるだろうかというふうに考えたときに、やはり人に対するサービス、人的なサービスのところというのは私は大きな分野だと思います。確かに今は過渡期的なことがあって、非正規労働者が中心などでその雇用条件がよくないというお話はあるかもしれませんけれども、この中で社会的に支え合う部分に就業の場も求めていく、そういう社会モデルが必要ではないかということを申し上げております。それでもGDPを換算するときはそれも生産額に入りまして、それが経済成長のもとになっているから、皆さんも不思議に思いますけれども、北欧も経済成長があるわけであります。確かにその片方でノキアだとか、そういう優秀な企業が生まれてきているのは、それは人づくりを一生懸命やる教育のシステムが、かなり無償化も入りまして、なされていることがあると思います。

 そういうようなことでありますので、どこまでの負担を求めるのか、どれほどの社会的なサービスで補うような関係にするのかというのは議論があるでしょう。私は、高福祉高負担の北欧型というよりも、中福祉中負担というふうに言いますけれども、例えばドイツだとか、それから北欧からさらに少し切り込んでいったような、そうした日本人にある程度親和性を持って見ていただけるような国家像というのをつくっていかなければならないのではないかと、私はそう思うのです。その辺はひょっとすると片山さんとはちょっと議論が少し違うのかもしれませんけれども、そういうふうなことで雇用の受け皿を片方でふやす。それから、社会的なサービスも提供していって、先ほどおっしゃるようないろいろな問題点も解決をしていく。ただ、これはどうしてもその負担の問題を避けて通れないので、それは国民の皆さんとよく議論をする、そういう時間が必要だろうというふうに思っております。

 打って出るだけではなくて県民を守ることも必要だというのも私もよく申し上げることでありまして、攻めと守りと両面をやっていかなければならないということであります。

 ただ、生活保護の分野だとか、この辺になりますと、国がやはり一つのきちんとした制度をつくらなければならないと思います。このたびも生活保護の老齢者加算について判決が出ました。ああいうことに象徴されますように、非常にミニマムな部分ですね。国民の最低限度の生活といいますか、これは国として保障しましょうというところは、やはり国は斉一的な制度を設計しなければならないし実行しなければならないと思います。その上に立って、実動部隊で地方団体がさまざまな社会サービスを、物だとか無形のサービスという形で提供していくことは必要ではないかと思います。その中でいろいろな工夫が生まれてきて、議員が後段でおっしゃいますような、ひょっとすると鳥取県型の新しい社会モデルを提供して、それでお金が余りかからずに、しかもみんなが満足できるような制度ができるかもしれません。それは試行錯誤で地域が実験をするような形でやっていく。それを国は、ミニマムのところを金銭的なところを中心にして保障していくというような仕組みを私は考えるべきではないかと思います。

 それから、後段のほうでございますけれども、特別養護老人ホームだとかも入れない人もいると。そうした意味で、恐らく議員は、遊休農地に補助金を出すのではなくて、公金を出すのではなくて、無理に耕作をさせるのではなくて、別の使い方をしながらそうした入居できない人の問題などを解決すべきだという、そういうニュアンスのお話かなと思いました。

 具体的な何かモデルを考えてみてやってみる値打ちは私はあるだろうと思います。今、お話がありましたけれども、境港では公金を遊休農地の耕作にお金を回しているということの矛盾をおっしゃいました。

 私は、恐らく問題の一番の出発点は、余りにも規制が多いことだと思います。素直に見て、これはどういうふうに土地を使いたいということがあるのだと思います。大きな都市計画、あるいは地域のグランドデザイン、これとどうしても相入れないものは、それは公共的な考え方で、曲げて、その公共的な使い方に従ってもらう必要はあるかもしれませんけれども、多くの場合は、正直ただ単に放置をされていると。行政として本来はその規制のあり方を変えて、別の土地利用について変えていかなければならないことに気づかなければいけないのに、みんなが住民も気づいていてそういうふうにしたらどうかと思っているのに、追いついていっていないと。そういうことが往々にして見られるのではないかと思います。そこは、むしろこの際国の制度がおかしいのであれば国に対して特区申請をするとか、あるいは県と市町村でタイアップしてこういうモデル的な事業をやってみましょうということで規制を緩和をして、そこに住宅を建てたいという人たちがおられるのであれば、それにこたえていく必要はあるのではないかと思います。

 今、農地の規制については、その面積制限があったりしまして、農地として使うのにはこれだけ多くつくらなければいけないという議論もあるでしょう。ただ、例えば老後のなりわいといいますか、食いぶち、自分が食べる分ぐらい家庭菜園的にやるぐらいのことでいいからやってみたいという人がいるのであれば、私はそれは合理性があるような気がいたします。具体のケースをぜひお聞かせいただいて、チャレンジを考えてみたいと思います。

○ 安田議員 (追求質問)

ありがとうございます。前向きなお話を賜りました。

 実際に住宅を建てようとすると、都市計画法の規制とそれから農地法の規制がかかります。まず、その土地利用なのですが、 150坪、 500平米までしか住宅としては認めませんよと、こういう規制がかかっております。そうすると、現実に今うちのすぐそばで家を建てている若夫婦がいらっしゃるのですが、1反の畑を分筆するわけです。分筆しなければ申請ができないのです。これ分筆代に30万円ぐらいかかります。手間と金がかかります。そういうことをぜひ緩和をしていただきたい。そして、多くの家族で住めるようにしていきたいというふうに考えます。

 これは家だけではなくて、土地政策として、美保基地の滑走路の真下にあるということで佐斐神町という集落が 300戸、幸神町という町に集団移転をしました。周りが全部農業専用区域でした。自治会長さんが悲鳴を上げられまして、これではこの町内の人たちの分家が1軒も建たない、何とかしてほしいと。これもうずっと昔から私、要望を受けておりますが、今に至るもそうです。結果として、佐斐神町は校区の運動会でいつも優勝する強い町だったのです。今、見るも無残です。子供がほとんどいない、そういう町に、ゴーストタウンにいずれはなってしまうでありましょう。こういう問題があります。

 都市計画法は昭和47年に乱開発を防ぐためにつくられた法律でありますし、農地法は地主から自作農創設のためにつくられた昭和27年の法律であります。いずれも今の時代状況にふさわしくないではないでしょうか。そこのところをお考えをいただき、国はともかく、鳥取県、人口がどんどん縮小しているこの鳥取県においては、こういう土地政策で皆さん方を守っていきますよ、あるいは移住、定住される皆さんにはこういう土地政策を鳥取県はやっていきますからぜひ御利用ください、こういうような形でぜひに鳥取県の独自の土地政策というものを追求していただきたいと思います。いかがでしょうか。


○ 平井知事(答弁)

佐斐神町の問題でありますとか、それから御近所の若い御夫婦のお話だとか、具体的なお話をいただきました。

 私も、不合理な規制というのはやはり緩和していかなければいけないだろうと思います。この分野では、例えば農地関係では先ごろ法改正がございまして、ある程度柔軟にはなったとは思います。ただ、今、市町村と一緒になってやっていかないといけないところもいろいろあったりします。都市計画のほうでも、これも規制があるわけでありますけれども、いずれも確かにかつて創設されたころは、今となっては別の制度目的があったと思います。 よく、これは地元の境港市ですか、どちらも境港市になると思いますけれども、そちらと個別具体の事情もまずちょっとリサーチをさせていただいて、それで話し合いをして、どういうような、こういうケースだったらこういうような解決があるではないかとか、いろいろと話し合いをして、モデル的なものが考えられるかどうか検討してみたいと思います。具体的にちょっと、細かい規制のあり方や、本来はある程度融通がきくようになっていると思います。その状況等につきましては、農林水産部長と生活環境部長から答弁をさせていただきたいと思います。

○ 法橋生活環境部長 (補足答弁)

具体的なお話がちょっとよくわからなかったので、どういうことなのかということなのですけれども、基本的には農地法とそれから都市計画で規制されております。それで、都市計画法のほうでは、34条の11号の条例で指定された区域外、ここにつきましては外部からの転入が厳しく規制されておるということですけれども、11号で指定されておる区域、ここにつきましては、一定の圏外からの転入者等につきましても一定の条件があれば建築が可能ということでございます。

 先ほどありました1反という話がありましたけれども、これについては農地の関係の農地のいわゆる移転の許可に関する問題ではないかということで思います。これにつきましては、農林水産長のほうから話があると思いますが、境港市のほうが一定の措置をとれば可能ではないかというふうに考えております。


○ 鹿田農林水産部長 (補足答弁)

農地の関係について補足説明をさせていただきます。
 先ほど知事が申し上げましたように、農地法の改正が昨年1215日施行されておりまして、大きな要素は農地の減少を食いとめるということで、一部農地転用の規制の厳格化も行われています。ちなみに国や県が行う病院や学校等の公共施設への転用について、今までは許可不要から、これからは法定協議が必要になるというような話とか、あと担い手に利用されていない農地等は農業地区域から除外を認めないとかというところの農業振興地域の整備に関する法律の改正もあわせて行われておりまして、ただ一方、農地を使いやすくしようという動きもやはりありまして、その一つが、今まででしたら下限について農業委員会のほうで自由にできなかったのですけれども、農業委員会の判断で一応権利取得に当たっては引き下げ可能ということになっております。

 あわせて、農地の賃借の関係ですけれども、貸し借りについてもかなり柔軟になっておりまして、農業経営基盤強化促進法のほうの改正も行われまして、市町村、市町村公社、農協等が農地の所有者の委任を受けて、そのものを代理として農地の貸し付け等を行うことができるというふうなことにもなっておりまして、要は農業として農地を利用する場合と、家庭菜園等で利用する場合で、それは貸し借りなのですけれども、そういう場合も一応道が開けてきていると。今まで特区としてしかできなかった部分が法律で定められたというふうになっております。

 あわせて、住宅関係でございますけれども、農業振興地域の中に農用地区域内農地がありまして、そこの部分については一応原則不許可ということになっておりますけれども、それ以外のところでは甲種農地、市街化調整区域等のところを除いてですけれども、第1種農地、第2種農地、第3種農地については一応一般住宅には 500平米以内、農家住宅には 1,000平米以内ということで認められているところでございますけれども、運用につきましては、あくまで指導上のことでございまして、多くの市町村では柔軟に対応されているというふうに、うちのほうも調べたところ、そういうことになっておりました。

 今後なのですが、今農地を厳格にするというような意味合いから、県の段階で確保すべき農地の部分を今年度12月までに国のほうに提出するようになっていまして、あわせて、実態に合わせてそういう農地を市町村においても決めてもらおうということで、これから作業を進めたいと思っております。ついては、農用地区域内農地の中で、先ほど言われましたように、使われていないところがある部分については、実態に合わせてそこから外してもらって、第1種なり第2種なりの農地のほうに持っていければなというふうに思っているものですから、そういうところにつきましては市町村と話し合いをしながら進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。


○ 安田議員(追求質問)

時間が迫ってきましたが、何か御理解がいただけていない。私の言い方が悪いようですが、私は、国が支える、自治体が支える、地域が支える、なかなか難しくなってきているその高齢者を支えるための生き方として、もう一度家族が寄り集まって暮らしていけるようなことも考えるべきではないか。そのために大家族でも複数世帯でも一緒に住めるような、そういう土地政策を求めたいのだと。そのためには、都市計画法であるとか農地法であるとかで規制がかかっている鳥取県の土地規制を緩和をすべきではないかと、こういうことでございます。御理解いただけましたでしょうか。随分事前の勉強会で説明したつもりですが、なかなか御理解がいただけていないようでございまして、面積的にも区域的にも大変厳しい規制がかかっております。そのことをクリアをしていただきたいし、ということですが、いかがでございましょうか。


○ 平井知事(答弁)

安田議員のほうから重ねてお話がありました。大家族なども暮らせるような、そういう土地制度というものを鳥取県の中からつくれないだろうかと、こういうお話、いいですか……(発言する者あり)よろしいですかね。(発言する者あり)よろしいですか。今、議員のほうから、鳥取県で大家族でも住めるような土地制度というものを考えるべきではないかというお話であります。

 議員のお話自体はすごくシンプルでありまして、それはそういうように制度設計を考える必要があると思います。ただ、今るる御説明したように、現状として確かに都市計画法だとか、議員も御承知のとおり、農地法だとか、いろいろな規制があるのを、どういうケースにどういうものが絡んでくるか、どこの要件を外していったりすると転用が可能になるか、これを個別にやっていかなければいけないと思います。

 先ほど、例えば農林水産部長が申しましたように、これから12月に向けて、必要とされる農地と、それからその必要度が相対的に劣るといいますか、低い農地と、それを振り分けをするというのが今のスケジュールになっております。この中で振り分けをしていけば、私はこう理解したのですが、その中で振り分けをしていけば、例えばこのゾーンでは住宅を建てやすくなるということが出てくるのかなと思います。ただ、国の制度はいろいろとトリックがありまして、私も全面的に信用しておりません。場合によってこれはやはりどうしても制度がひっかかるということがあるようでしたら、例えば大家族といいますか、あったか家族ゾーンとか、そうしたゾーニングをして、比較的自然と親しむような鳥取らしい暮らしができるような大家族が入りやすいような仕組みを規制緩和の形で、補助金ではなくて、できるものがないかどうか。境港市がもしその候補地があるのでしたら、話し合いを……(発言する者あり)候補地はないと。それでしたら全県的に、市町村に一度ちょっとプランの募集でもしてみて、例えばそうした規制緩和ゾーンをつくるとかいうことも視野に入れた検討をしてみたいと思います。国規制の問題も正直ありますので、具体論に即して考えていきたいと思います。


○ 安田議員 (追求質問)

なかなか現実を御理解いただけていないように思います。そしてまた、この問題をクリアするためには、農林水産部、それから生活環境部等々いろいろ、福祉もかかわってきましょうし、企画もあるいは関係してくるかもしれません。さまざまな部で取り組んでいただきたいし、こういう横口の問題を解決するために知事は優秀なる統轄監をこのたび任命されたわけですので、ぜひ河原名統轄監に御登場いただきましてお取り組みを進めていただき、鳥取県らしい土地政策というものも検討していただけたらと思うのですが、いかがでありましょうか。


○ 平井知事(答弁)

恐らくその国の制度もありますので、全面的に鳥取県が他の地域と違う土地政策をとることは難しいかもしれません。ただ、限定的な目的を付して、福祉社会的に地域のあるべき住まい像をこういうゾーンで考えてみようとか、そのための規制緩和や何かのパッケージを考えてみましょうということは、私は一考に値すると思います。ぜひ統轄監のほうでそれは各部を取りまとめてプランをつくらせたいと思います。



 

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