平成22年9月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

環日本海交流 新たなステージに向けて



















先般、韓国富川市で開催された韓国マンガフェスティバルにおいて、鳥取市出身の谷口ジロー氏が海外作家賞を受賞されました。水木しげる氏も同賞を受賞されており、3人の日本人受賞者の内、2人が本県出身者ということであります。さらに同フェスティバルと同時開催の第11回国際マンガサミット韓国大会において、平成24年の日本開催が承認され、その開催地として鳥取県が正式に決定されました。
マンガ王国鳥取県の都、我が境港市でもこの夏「ゲゲゲの女房」効果で水木ロードは大賑わい。その数、250万人突破という嬉しいニュースもありました。重ね重ねの朗報に心よりお祝いを申し上げたいと思います。また、平井知事におかれましては、この追い風に乗って引き続き県政のリーダーとして頑張っていただきたいと願っております。

 今日は、私は「日本海交流 新たなステージに向けて」と題し、知事に質問を致します。
 環日本海交流は、本県県政の永きにわたるテーマであり、草の根交流の積み重ねがやがては大き な実を結ぶことを願うとともに、決して豊かとはいえない財政の中から、基盤整備に努め、その 日に備えて参りました。
 ソウル便の継続運行に加えて、韓国、東海、ロシア、ウラジオストクを結ぶ定期貨客船の就航を実現したことは、平井知事の業績として永く本県の歴史に残ることと存じます。
 就航から一周年を経たこの航路の現状と問題点については、先の我が会派の代表質問で稲田議員が指摘されましたので、ここでは省略致しますが、現下の国内外の情勢を鑑みたとき、交流の推進は、大きな時代の要請であろうと考えます。
 航路の開設によって、経済交流だけでなく、文化、スポーツ等の交流が一段と進んだことは確実であります。とりわけ地域や国の将来を担っていく青少年にとって大変喜ばしいことであります。
 日本海側の港湾を有する各県が、こぞって航路開設を求めて必死の取り組みをしているなかで、本県が先陣を切って勝ち得たこの環日本海定期貨客船航路を、より確かで豊かなものにするためにも、私たちは次なるステージに向かっていかねばなりません。
 本日の私の質問が、その一助となることを願っております。

一、吉林省との交流推進と図們江開発計画について

 中国吉林省との交流は、平成5年、吉林省図們江地区開発交流団の来県に始まり、翌6年には、「友好交流に関する覚書」に調印、平成9年の夢みなと博にも出展してもらう等今日に至る迄、友好的に継続しております。ロシア沿海州、韓国江原道、モンゴル中央県とともに北東アジアサミットの一員でもあります。
 平成1910月、夢みなとタワーを会場に開催された第12回サミットにおいて、平井知事が打って出られた貨客船構想に対しては、陳偉根副省長からも同意を得たと聞いております。
 私は、その前年、吉林省で開催された第11回大会にも出席させていただいたのを始め、これ迄に何回か、視察させていただきましたし、個人的にも深い思い入れを持っている所であります。 特に長春にある経済特区には、その規模の大きさに驚きました。
29カ国、2,275社の企業が立地しており、玄関入口に立ち並ぶポーチにそれぞれの国旗がはためく様は、まさに大陸を実感させました。
特区に限らず日本企業の参入もあり、トヨタも工場を構えていて、吉林省の公用車もトヨタ製でしたが、今は如何でしょうか。いづれにしても大きな可能性を持つ地域であると感じました。
最近になって、その吉林省から交流促進の声がかかっていると聞きます。
 私も、今年3月に、電気自動車を活用した地域活性化をめざして、県が主催した経済成長戦略フォーラムにおいて、吉林大学副学長の王勝今氏の講演を聞きました。
 吉林省では、新エネルギー車を重要な戦略的産業として育成しようとしており、琿春を窓口として、日本海への進出に期待を込めておられました。
 この度、その図們江開発計画(GTI)が、いよいよ国連の支援を受けることとなったわけですが、この計画に取組んでいるのは、中国、ロシア、モンゴル、韓国の4カ国であり、まさに本県が北東アジアサミットを通して、交流を重ねている地域であります。
さらに、環日本海定期貨客船航路が、図們江開発計画運輸事業サブプログラムに盛り込まれることとなりました。本議会にも提案されているとおり、本年12月、この計画に携わる専門家セミナーを本県で開催する運びとなっておりますが、

・今後の吉林省との交流推進について

・吉林省が積極的に取組んでいる図們江開発計画の現状と可能性について

・計画と環日本海定期貨客船との整合性についての3点につき、知事の所見をお伺いします。

二、国内フェリーの誘致

 この間、境港は、新規の直轄港湾整備事業の着手対象となる重点港湾に選定されました。
 全国の重要港湾103港中43港が選ばれた訳ですが、そのうち、日本海側は、境港の他に秋田、酒田、金沢、敦賀、舞鶴、浜田の計7港で、これに、特定重要港湾である新潟、伏木富山の2港を加えて、今後熾烈な生き残り競争が展開されるものと思われますが、とりあえずは、来春に予定される日本海側拠点港の指定を勝ち取らねばなりません。
 その点についての知事の見通しは如何でありましょうか、お伺いを致します。
 さらには、補助事業となる竹内南地区フェリーターミナル整備事業についても、着手が急がれるところでありますが、現時点における予算要求の手応えは如何なものか、併せてお聞かせください。
竹内南地区フェリーターミナルの建設需要については、国内初となった環日本海定期貨客船の安定就航に必要不可欠、喫緊の課題であります。
 また、これ迄も実績を重ねてきた、昭和南岸壁への大型客船の寄港も引続き好調で本年度は10隻が入港の予定です。うち、6回は定員800名の飛鳥Uであります。
 加えて、シンガポールからも、国際クルーズ船の寄港について、話が来ていると聞いております。観光立国の推進に向けた客船クルーズの振興は国の新たな政策課題でもあります。何としても早急なる事業の着手を望むところです。
 かつて、明治新政府から“陸の孤島”といわれた本県でありますが、以来150年を経た今になって、ようやく高速道路が県庁所在地に繋がったというのが現実であります。
姫鳥線開通についで、山陰道の完全開通を待たなければ、知事の云われる西日本全域をエリアとする環日本海航路の集客、集荷は果たせないのではないでしょうか。政権交代によって、その日が一層遠のいた感がするのは私一人でありましょうか。
 “環日本海ゲートウエイ”を標榜し、自負するのであれば、陸路ばかりでなく、海路を使う手だてを考えてもいいのではないかと思うに至った次第であります。
 日本海の向こう、北東アジアにおいても、韓国、中国、ロシアを陸路で結んでヨーロッパに繋いでいくことが、終局の課題のようであります。
日本国内においても、かつての北前船航路のように、現在は、点でしかない、日本海側のそれぞれの地域が互いに交易し、交流しあえるように繋いでいく中で、唯一の環日本海航路を持つ境港の地位も自ら高まっていくであろうと思うものです。
竹内南地区フェリーターミナル補助事業の採択に向けて、別途、国内に日本海側フェリーの誘致に取組むべきと考えます。知事の答弁を求めます。

三、港湾の民営化

 国は、我が国の港湾の国際競争力強化を図る為、港湾の選択と集中、港湾経営の民営化を実行することとしました。
 このうち、既に、国際コンテナ戦略港湾として阪神港、京浜港が選定されましたが、東京港については、既に平成20年に外貿埠頭公社を民営化済で、大阪港、神戸港は来年度より株式会社化を予定、横浜港は24年度導入を検討中ということであります。
 戦略港湾候補に挙がっていた名古屋港も、23年度導入を検討中とのことで、あるいは選考基準そのものに、この民営化という視点が取り入れられていたのではないかと推察します。
 いづれにしても、国は、港湾民営化によって、

・官民の資金により、必要な港湾施設を整備し、

・「民」の視点からの創意あふれる経営により、業務拡大、サービス向上を図り、船会社や荷主企業、物流企業から選択される港湾の実現を目指すため、

・民営化された、埠頭公社を中心に関係民間企業も出資する、株式会社形態で、コンテナ物流を一元的に経営する港湾経営主体を設立するための法改正を検討中とのことであります。

私が知る限りでも、公設民営方式では、苫小牧港が外貿コンテナ事業共同組合、博多港ふ頭株式会社があり、新潟港の株式会社リンコーポレーションは、自分で臨港埠頭を建設所有し、管理運営をやっております。
特筆すべきは敦賀港で、本年10月併用開始の国際ターミナルを経営する、敦賀港国際ターミナル株式会社を21年11月に設立しております。
資本金は1億2千万円、株主は、福井県と敦賀市、民間企業12社で、代表取締役には敦賀市長が就任し、大変な勢いでポートセールスや定期航路誘致にあたっているということです。
 現在、境港では、境港管理組合が主体でポートセールスをやっておりますが、荷主や商社等との話も結局は金額の面で行政では対応しきれません。
 加えて、これから行われる日本海側拠点港湾の選定にも、この国の民営化方針への対応が問われるのではないかと危惧するところですが、平井知事は、外港昭和南地区国際コンテナターミナル、あるいは、竹内南地区、国際フェリーターミナルの民営化について、どのように把えておられますでしょうか、お尋ねを致します。

○ 平井知事(答弁)

 安田議員の一般質問にお答え申し上げます。まず冒頭「ゲゲゲの女房」の大盛況でありますとか、国際マンガサミットについてお話があり、引続き県政をというお尋ねを頂きました。これには、代表質問でもお答えを申し上げたところでありますが、議員がおっしゃるようにいろんな課題が出てきております。今日は安田議員も環日本海ということでマリンブルーのスーツで決意も新たにいらっしゃったわけでありますが、私も思いは一緒でございまして、これから環日本海の大きなチャレンジをしていかないと、鳥取県は上へむいていかないとという思いであります。これに宣伝を付けるような形になりました、DBSクルーズフェリーだとか、米子-ソウル便の復活だとか、そうしたことがございましたが、ここに共にしております議員の皆様といっしょにですね、これに取組んできたことは、私にとってもひとつの誇りに感じるところはございます。
 ただ、これで全て終わるわけでは全くなくて、むしろ今日えぐりだして頂いたいろんな課題があるわけでございまして、よほど気合を入れていかないと永続していかないということであります。
 そういう意味で、今後に向けて更なる展開を図っていく必要があると感じておりまして、責任を痛感しますし、また、これからの将来について使命感も感じるところであります。今しばらく時間を頂いて、考えさせて頂きたいと思いますが、私としてはぜひともガイナーレ鳥取が上に上がるかどうかの正念場であったり、ジオパークの問題、更に雇用対策や、今、おっしゃるような環日本海の課題、そうしたことに丁寧にあたりながら自分の考え方をまとめたいと思っております。
 次に環日本海交流について何点かお尋ねを頂きました。

 まず、吉林省との交流などのご提案がございました。これは議員の方でもこれまで様々な行事に参画をされたり、視察をされたりして吉林省といった中国東北地域の将来性に大いに感銘を受けておられるということでございます。その吉林省のパートナーとして我々も友好交流しておりますが、その友好交流の推進についての考え方、図們江開発計画の現況や可能性、その図們江開発計画と環日本海定期貨客船との整合性、そのつながりについてお尋ねを頂きました。
 中国の吉林省とはですね、環日本海というご縁がありまして、これで16年目の友好交流を行ってきております。その最初の志は日本海をはさむ対岸のパートナーとしてお互いを結ぶ航路だとかですね、交流をきちんとやっていきましょうと、それがおそらくは将来開いていくでしょうという信念に基づいて先方とも折り合いながら進めてきたものであります。今般開かれました、上海万博におきましても吉林省からは楽器の演奏をですね、二胡だとか、そうした中国の楽器の演奏の楽団を送り込んで頂きまして、鳥取県のステージに立って頂きました。中にはしゃんしゃんかさ踊りのメロディーを吉林省の皆さんに演奏していただいたりしまして、日中のコラボレーションが実現し、聴衆の感激を誘ったこともございました。
 このように、非常に深みのある交流に繋がってきたと思います。議員の皆さんにも度重ねて吉林省のほうにもお運びをいただいたりしておりますし、投資貿易博覧会には連続して鳥取県からも出展するなど、経済交流や議員交流など様々なジャンルに深まりをみせてきたところであると思います。

 その吉林省でありますが、今、国家プロジェクトとして力をいれているのが、安田議員がおっしゃいました図們江開発でございます。この図們江開発は、元々はあそこはロシアと北朝鮮と中国が重なり合った地域でありまして、その真ん中にある図們江をはさんで、ここから交流、海外との通過点、通過地として作ろうじゃないかと。元々は1991年にUNDPの方から提唱があったものでございますけれども、図們江地域を経済特区のような形にして、そして国際的な物流だとか産業のセンターにしようと。当時はですね、中国東北地域にしろ、北朝鮮、あるいはロシアにしろですね、経済開発から取り残されていたところでございましたけれども、そこに光を当てることで、アジアや世界の流れを変えていこうというプロジェクトだったわけであります。

 ただ、北朝鮮やロシアの方からですね、そうしたプロジェクトに土地を提供するというのはいかがなものかという異論が出てまいりまして、このプロジェクトは先行きが難しくなってきた状況がございました。
 しかし、2005年にグレーター図們でございますが広域的な図們江開発のプロジェクトが新たに採択をされまして、これには中国東北地域全域だとか、北朝鮮やロシア、さらにモンゴルの東の地域、こうしたところも含めたですね、プロジェクトを起こそうということになってきました。
 そして、更にこの度は中国政府のほうが国家プロジェクトとして図們江開発を位置づげてきたわけであります。それでだいぶ急速に物事が進んできております。例えば、出口としては、図們江を通ってロシアという出口もあるわけですが、あと中国東北部からしますと、北朝鮮のラジンのほうにですね出て行くというルートもあります。そのラジンの方では、埠頭を中国側で整備をするとか、それからラジンに行くためには川を渡らなきゃいけませんが、川を渡る橋を架けるプロジェクト、これはこのたび6月に完成をしております。
 また、さらに今月9月の段階でありますけれども琿春の方に抜ける高速道路がありますが、これが全線開通ということになりました。したがいまして長春からですね、トヨタの話もございましたけれどもそうした工場立地がたくさんある長春だとか、そうした中心地域からですね、更に図們江開発が進められているそうした地域に向けて大動脈の道路が繋がり、その向こうには北朝鮮に向けて橋が架かり、北朝鮮の方ではラジンで港の整備を中国が行うということになってきております。
 ですから、かつて図們江開発が夢見てきたことが中国側のかなり財政的な支援によりまして今、動きつつあるという状況だと理解を致しております。
 その図們江開発と鳥取県、更には環日本海定期貨客船との関係でありますが、元々、この図們江開発の議論があったものですから、鳥取県としては対岸航路をですね、吉林省に向けてもっていけないかというのも、日本の船社だけでなくて外国の船社にも働きかけをしてきました。当時、競争があったわけでありまして実現したのは秋田、ポシェット航路でございました。これは今では休眠状態にあります。それから、やはりザルビノと新潟という航路もありましたけれども、これも今再び休眠状態に入ってしまったと、こういうような状況でありまして、なかなかチャレンジが難しいわけでありますが、今でも束草とザルビノを結ぶ航路はですね、週に2回というペースで運行は続いております。これにですね、私どもの元々の構想としては中国の東北部という構想もございますのでそちらのほうに繋げないだろうかという議論はございまして、我々もDBSクルーズフェリー社側とですね、これは非常に正直な話を申し上げればそうした構想もですね、ありうることはこれまでも申し上げてきております。
 議論的にはですね、可能な状況はあります。つまり、このたび航路計画が変わりまして、従来よりはゆとりのある航路になりましたのでこうしたことで組み替える余地はですね、ないわけではないと思います。
 また、中国側には私も昨日からもお話がございましたが北東アジアサミットの時にこの航路を紹介を申し上げてグレーター図們の開発計画の中にプロジェクトとして位置づけるように申しました。
 この計画はサミットの席上でも認知をされまして、その後GTIといわれます図們江開発にも我々のほうでも参加をさせていただく道を開かせていただきました。
 現にその後、釜山で開かれたGTIの運輸部会の会議の席上で鳥取県の航路、この環日本海航路があること、この航路もですね、プロジェクトのひとつとして位置付けられることになったわけであります。
 いよいよ12月に、もしお認めいただければ鳥取県でそのGTIの会議を行うことになります。 そのセミナーでも当然ながら我々としてはですね、もし来ていただけるのでしたら境港の港を見てもらうような機会をもったりセミナーを活用しまして海外の皆さんにもこの航路の活用の可能性について訴えかけをさせていただきたいというふうに考えております。
 これは直接ですね、ザルビノやポシェトに船を入れるということに限りません。つまり、ウラジオストクに陸路で運ぶという可能性もあります。これを今追っかけておりますのが、テスト、荷物を動かしてみようじゃないかということでございまして、今数社にですね、県内の数社にその働きかけをおこなっております。
 このテスト貿易は、この議会でも既にお認めを頂いている予算で執行しようというプロジェクトでございますが、現に今、数社に当たっているところであります。私どもとしては、是非これを実現してですね、吉林省だとか、あるいは黒竜江省、中国東北部からウラジオを経由して鳥取県境港に物が動いてくる、逆のパターンも含めまして物が動いていく、これをですね、テストケースでもやってみせてほしいと思っております。
 願わくば、その永続的なものとして利便性やコストパフォーマンスを確認していただいて続けていただけるようになればというふうに願っているところであります。

 次に環日本海の拠点港湾の見通しやあるいは竹内南地区のフェリーターミナルの整備につきまして予算の見通しなどのお尋ねをいただきました。 これは今まだ、現在進行中のことでございまして途中経過の話になると思います。
 まず、環日本海拠点港湾に関しましては、この間新しい内閣が発足しまして馬淵大臣が就任をされました。その会見の中でですね、これから環日本海拠点港湾についてそのスキーム作りを始めていきたいというところでありました。当初、環日本海拠点港湾の構想は、この夏おそらく参議院選挙明けというイメージだったのかもしれませんが、その時期からですね、応募を始めるとか動き始めるという構想だと我々のほうでは聞こえていたものですからそれに向けて要望活動を行ったりしてまいりました。
 しかし若干その時期がずれ込んできたかというように思えます。我々としては、環日本海拠点港湾の資格はあると思ってまして、ユニークな環日本海航路があることはもちろんでありますが、釜山、上海、青島、そして大連に向けまして、定期貨物航路が走っております。それから、その他の貨物輸送でもですね、例えば木材だとか、パルプだとか、全国的にも指折りの状況にございます。環日本海を囲む港湾としてはですね、もちろん、うちがトップというわけではありませんが、新潟だとかそうした色々な港と肩を並べ得る、そういうところに今、行こうと成長しようとしている港湾であることは我々のセールスポイントだと思っております。
 更にリサイクルポートをですね、実現しようとしてこれはこの夏、7月に境港管理組合の方から申請を出しました。今、国において審査中であります。そうした魅力も加われば、またひとつ大きな武器になるというふうに思っております。
 これからが正念場だと思ってまして、私は境港についてそうした環日本海港湾の拠点を目指すそうした構想を世の中に問うていく必要があると思います。いわば、境港ゲートウエイプロジェクトとでも命名できるようなですね、そういう将来にわたるビジョンをこの際急いで策定をしてみたいと思います。それに基づいて環日本海拠点港湾のですね、訴えかけを政府側に精力的にはたらきかけていきたいと思っています。
 正直な話を申し上げれば、大変ライバル港湾は多いです。強敵揃いでありまして、なかなか一足飛びに簡単にということではないかもしれませんが、これは我々としてもですね、決意を持って応募をしていきたいと考えているところであります。

 次に竹内南地区フェリーターミナルの整備についてのほうでございますが、これは予算要求してほしいと我々のほうでですね、国に申し上げているところでございまして、国のほうではまだ概算要求の段階では入っているかどうかわからない箇所付けでございますので、現段階では判明しないという状況であります。
 ただ、国全体ではですね、公共投資10%減ということになってございまして非常に厳しいなかの要求であることであります。ただ復活枠として、1兆円の復活枠を政府与党の方で議論をしていただいておりますので、こうしたところに果たして絡めていただけるかどうかですね、今後の帰趨をよく見極めていく必要があると思っております。
 これもですね、我々としては国のほうに精力的に働きかけをしていきたいと思いますが、議員の方からご指摘もございましたようにどういう使い道があるんだというところは常に問われているところでありまして、港の活性化、特に貨客船だとか、大型客船こうした活性化がですねこれからの大きなテーマであろうかと思います。そうしたチャレンジをしていきながらこうした国際フェリーターミナルの整備に道筋がつく可能性が高まるということだと理解を致しております。そしてその使い方についてですね、二点ほどお話がございました。
 まず一点は、国内のフェリー誘致を図るべきではないかということでございます。この国内フェリーでありますが、これまでもですね、国内のフェリーの誘致活動に走ったことがございました。私が就任する直前になりますが平成18年にですね、東日本フェリーのほうで一つの打診といいますかやりとりがございまして、境港に寄港する可能性をですね、調べかけた時期がございました。ただ、残念ながらですね、これはその後すぐに、立ち消えになっております。これは船会社側の事情が大きくございまして、実際にはそうしたフェリーの経営自体がですね、難しくなったという事情でございました。その折にも調査もしたわけでありますが、例えば九州方面だとかあるいは直江津とかですね、そうした他地域への貨物の需要がないわけではない。勿論、人の需要も無いわけではないわけでありますがフェリーを走らせるというと、ベースカーゴ的な貨物の動向がですね、船会社としては非常に気になるところだと思います。
議員の方からご提案がございましたのは、国際貨物船だとか貨客船と結びながらですね、フェリーを走らせてみたら需要があるんではないかということでございますが、そうしたお話も含めてですね、国内フェリーの可能性、関係の会社の方にも我々も働きかけをしていきたいと思います。
 実は、私どもも同じような思いはございまして水面下の話ではございますが、そうしたフェリー会社のほうに境港管理組合の議員でもいらっしゃいますので、ご存知なんだと思いますが我々のほうでも言ってきております。よし、わかったというような返事は今、いただけておりません。ただ、我々としてもですね、そういう貨物の可能性だとかこれからの観光需要だとかその辺もぜひ、材料にしてですね、改めて働きかけをしていきたいと思います。これと併せて、そうした大型の船を入れ込む材料としてですね、今アジア各国で協調して進めようとしております、クルーズ船構想、これを境港に引き込もうとしておりまして、こうしたこともですね、実現に向けて関係国と一緒に協議をして頑張っていきたいと思います。

 最後に境港の国際ターミナル、竹内の南地区に建設を考えている国際フェリーターミナル、そういうものの民営化についてどういうふうに考えるかということであります。
 結論から申し上げれば、まだ国際フェリーターミナルはですね、予算要求の段階ではありますけれども、他地域の状況を我々も調べてみたいと思います。今、議員の方からお話いただいて、拝聴させていただきましたが敦賀はですね、国際フェリーターミナルを作るときに新しい会社を作ったということであります。
 そのメリット、デメリットは色々あると思います。メリットとしては、国の方がこれを慫慂しているには理由がありまして、国費が足りないものですからPFIというかたちでですね、こういう民間会社、第3セクターなどで作らせてしまえという思いが、多分あるのだと思います。ですから国のほうはそれを推奨しようとして、税制上のメリットとかですね、今、色々制度改正を目論んでいますけれども、そういう動きも横にらみしながらですね、他地域の状況も見てみたいと思います。苫小牧などは純粋に民間だけでやっております。新潟もそうでありますが、そうしたところだけでなくて公も入ってですね、やるようなタイプもあると思います。
 大切なのは、整備が柔軟に機能的に行われたりですね、それからポートセールスがやりやすくなるかどうか、その辺がポイントだろうと思います。
 民間に移行して効果がどれ程上がるかどうかですね、我々も見極めたいと思いますのでまずは、調査をさせていただきたいと思っております。


○ 安田議員(追求質問)


  色々な事を聞かせていただきまして、直接、一番こういう国際的なことも含めてですね、語れるのは知事しかいらっしゃらないだろうなと思いまして、今日は取り上げさせて頂き有意義な御答弁を聞けたと思っております。

 まず最初に、境港の港湾整備というものは、やはり昭和30年代から始まっておりまして、一つは背後地を中海圏域を射程に入れたもので作っているんじゃないかなと推測します。今この環日本海航路というものを持ってもっと打って出る港になろうとするのであれば、知事は見直すということをおっしゃいましたので、ぜひそういう新しい視点でもう一度取組んで頂きたいと、私も願っております。

 吉林省とのことでございます。大筋としては私も今のお話を聞いて納得をしたわけですが、この間、吉林省の延吉にアンテナショップを出されました石田商事さんの方の話を聞きました。
 九社でアンテナショップを出して売れ筋の商品を見つけてそれをこちらから送っていく、輸出して行くんだと言う話でした。大連から延吉まで1200q、汽車やそれからトラックでは2日がかりとかいう話もありました。いづれにしましても長春だけでなく琿春であるとか延吉であるとかこういう所にどんどん、この航路の関係もありますしソウル便も関係して、仁川から延吉まで本当に近いらしくて昼に米子を出れば夕方にはもう延吉に着くと。これが60万の都市だそうでして、大変、可能性を語っておられました。
 そういう交流が深まれば中国との航路というものも視野に入れざるを得ない時期が来るのだろうというふうに私も認識しております。それがラジンであるかウラジオであるか、このDBSであるか、新しい航路であるかその辺がこれから問われていくのであろうというふうに受け止めておりますが、それでよろしいでしょうかね。大変難しい判断をしなきゃいけない時期があるかもしれません。

 次にいきたいと思いますが、国内フェリーについては航路マップを皆様に議長のお許しを頂きまして近郊港湾の港勢とともに資料として出させていただいております。先程、知事もお話がありました通り、これまで要望したけど駄目であったケースも語られましたし、今現在の話もお聞かせを頂きました。
 先般ですね、管理組合の視察で敦賀港と舞鶴港に行ってまいりました。それで私の実感と致しましては、特に敦賀は大変な強敵であるなということを実感した次第です。人口も敦賀は6万8千、舞鶴が8万8千、それから過去の環日本海といいましょうか、大陸との交流の歴史の厚みですね、実績、そういうものも両港、しっかり持っているわけでございます。そういう中で境港が唯一突出していたのは、外港の国際ターミナルをいち早く、平成16年から既に5万トンバースを建設していたことではなかろうかなということを思いまして、本県の先人たちのその何ていうんですか、先を見る目というか努力というものに改めて感激を致しました。それがあって初めての現在の港勢であろうと思います。これを見ていただきますと境港と敦賀、舞鶴を比べますと2008年、2009年の取り扱い貨物量を見ていただきたいと思いますが、境港が2008年で日本海側で6位であります。舞鶴は4位、敦賀が2位です。これの敦賀や舞鶴の1542万1千トンであるとか、952万3千トンの内訳を見ますとですね、この5万トンバースはこれからなのに多いということは、内港フェリーの取扱貨物量が非常に大きい。これが総取扱量を伸ばしている、そういうことが読み取れたわけであります。外港コンテナでは境港、がんばっているんですが、総取扱量では非常に低い。それが内港フェリーが底上げをしている他港の状況というものを目の当たりに致しました。敦賀は特に、フェリーで、新日本海フェリーが就航していますが、人よりも物、物の積荷が大変多いということでした。舞鶴は人が中心で敦賀は物が多くて、それが大変好調で岸壁に立っているターミナルビルも3階建ての9億円で作ったという大変立派なターミナルだったわけですが、これも新日本海フェリーが建てたのだそうです。
 土地を出したのは県だそうですが建てたのは新日本海フェリー。私もその辺をぜひ頑張らなくてはいけないんじゃないかなと思いまして、この全国主要フェリー航路マップというのを確認を致してみましたところ、国内のフェリーというのは、舞鶴から西が、九州までストンと空いているわけですね。ここの所がエリアとして中国地方、四国地方をエリアにして何とか結んでいけないだろうかなというふうに思った次第でございます。その辺のことも含めて、ぜひ。それから、先般は東京港のフェリーの埠頭にも行ってまいりましたが、ここも大変、コンテナ、トラックで賑わっておりました。今、時代はそういう方向に向かっているのかもしれないと思います。もう一度、その辺含めて知事の御所見を伺いたいと思います。宜しくお願い致します。 

○ 平井知事(答弁)

 安田議員からの重ねてのお尋ねにお答え申し上げます。
まず、第一点目として、境港、中海圏域を後背地として出来ているけれども、それのみならずもっと外に打って出るべきだということでありますが私も全く同感でございます。特に海外とのゲートウエイを目指そうという我々の考え方からすれば、単に中海圏域だけでなくて鳥取県全域はもとよりでありますが、中四国各地やあるいは、近畿圏なども視野に入れた貨物や人の流れの拠点にならなきゃならないと思います。その為にですね、必要なことを起こす、そしてテスト的にも物や人を動かしていく、これをですね心掛けていく必要がある、それが我々のチャレンジではないかと思います。それに絡めて、吉林省のことでラジンやウラジオストクといった出口を求めていくわけであるけれども、こういう所に絡むことについてのお話もございましたが、先程も申し上げましたように、やはり我々も世界地図をもう一度見直すべき時だと思います。やはり対岸には非常に近いところにあるわけでして、特に中国東北地域は経済成長が極めて、猛スピードで動いております。
 今は上海だとか、あるいは浙江省だとかですね、ああいうところが目覚しく伸びていると思いますが、中国東北三省はですね、更にこれから伸びてくるところだと思いますし、東アジアの中のポジションからしますと、それだけのポテンシャルは持っていると思います。その為にこそ日本海への出口を求めているわけでありまして、このムーブメントにですね我々も乗っかっていく事を模索しないといけないと思います。
 その意味で12月のGTIの会議を出来れば成功裏に導いてこれからの一つのステップアップにしていきたいというふうに思います。これはただ今迄ですね、1991年以来やっていて全然動いていないに等しいプロジェクトでございますから、なかなか一朝一夕には難しいかも知れませんが、おそらくここから5年、10年位がターニングポイントだと思いますので、そういう中長期的な目でですね、私たちも働きかけを続けていきたいと思います。

 そして三点目として国内フェリーについてのお話がございました。敦賀や舞鶴を考えれば、内港フェリーが重要な貢献をすると、それから今、日本の地図を見てもこの辺りにフェリーがないという状況のご指摘がございました。我々も同じ思いでございまして、改めて今日もご質問がありましたので、各船社だとかですね、関係先に働きかけを改めて行うことに致したいと思います。実は、行ってみてフェリー会社のお話を聞きますと、一つは今経済環境が非常に悪いというお話をされます。それから、あと高速道路の無料化のことをですね、大変に心配をされてまして高速道路無料化とフェリーとはですね、経営が大きく乖離するものですから、このことの動向を気にされていることがございます。ただ、我々が非常に驚きますのはですね、議員も今、いみじくもおっしゃいましたけれども、こういう時代が来ているのかもしれないとおっしゃいましたが、フェリー会社の認識では足の早い貨物、これはフェリーの方が向いているという選択になってきているというのです。つまり、北海道からですね、荷物を持ってくることになりますと通常ベースで普通に来ると3日かかるというのが相場なんだそうです。ただその3日間かかるという相場観からしますと、敦賀とか舞鶴にフェリーで来ますと1日で着くと。ですから、生鮮品だとかですね、そうした品物には有意性があると、ただ、フェリーの場合はどうしても他の輸送手段よりは若干コスト高になるようでありますが、足が早い、つまりすぐに傷みやすい時間との勝負のものはですね、そうしたフェリーにも一定の有意性があるというお話がございました。我々も今、DBSクルーズフェリーで海外へ輸出している物の中にはですね、生鮮品もございまして北海道のほうから入れているものもございます。ですから、全く伸びる余地がないかというとそうでもないのかもしれないなと思います。その意味で、我々もですね、粘り強くこの辺は、働きかけをしてみたり、また我々が気が付かない人や物の潜在的な需要があるかもしれません。
 これをですね、掘り起こしていくように努力したいと思います。

○ 安田議員(追求質問)

 ありがとうございました。もう一つ、外港コンテナの取扱貨物量なんですが、先程お話を致しました通り、境港は5万トンバースが16年に出来ている関係で、今は多港に比べて優位を誇っているんですが、舞鶴、敦賀もこれから大変な勢いで供用開始になれば伸びていくと思いますので、決して、うかうか出来ないというのが現状だろうと。そして、その大きな決め手になっているのがこの民営化であろうと、これ、地元紙の報道でして、真偽の程が私もはっきりわからないんですが、今年の上半期ですね、敦賀港ではコンテナが5割増えたということが報道されております。この原因として、第3セクターでプロジェクトチームを作って一生懸命、航路の開設に励んで韓国、釜山との間に週に2回ですけどもRORO船の航路を持ったとか、それから企業の方を回ってそのコンテナの需要を増やしていったということが報道されているんですね。
 やはりこれは見逃せないことであろうと思っております。前々から境港管理組合の議会におきましても色々なことでもっと荷主の皆さんが使ってくださるような港にすべきだという声をいっぱい繰り返し出てきておりますので、そのことも含めてぜひ私は検討しなければならないことではないかなということも考えておりますので大変難しい問題であろうかと思いますが、ぜひお取り組みを頂きたい。統轄監もおられるわけですから、宜しくお願いをしたいと思います。

 これから、環日本海、進んでいくわけでして決して良い事ばかりがあるわけではございません。戦争もまた一つの交流の形ではなかろうかと、私はそういうふうに受け止めております。しかしながら、地形とか歴史とかを考えてしっかり向き合っていかなきゃいけないと思っております。宜しくお願いいたします。 

○ 平井知事(答弁) 

 港の民営化につきまして、重ねてのお尋ねをいただきました。先程も申し上げましたけれども、ぜひ調査を早速にしてみたいと思います。統轄監のところにですね、色々と港の活性化、国際航路だとかございますが、どうしても観光だとか物流などにまたがっているところでございますので、よく調査をしてみたいと思います。
 民営化して良いことはおそらく、マインドが変わることがあると思います。新しい血が入ってきてですね、しかも民営化すれば、荷物がないと、あるいは人が来ないと、動かないと商売にならないという意識に変わってまいります。
 今はどうしても予算主義でございますので経営については公金で賄うということになりますから、そこの意識の変化をもたらすものがあると思います。我々もポートセールス、色々と回るんですけれども我々のマインドとまた民間のみなさんとは違った視点、着眼点があるなと時々思い知らされることがございます。ですから専門人材なんかをですね、活用できるような体制を考える必要があるだろうと。民営化も一つのそういう意味での選択肢だと思いますし、また我々のポートセールスのやり方もですね、変えていく部分は十分あると思います。敦賀や舞鶴が実は相次いで議員がご指摘のように大型岸壁が供用開始しまして、我々が知らないところではありますけれども、向こうでは大変なお祝い事になっています。それは、関西地域でもよく知られておりまして敦賀や舞鶴はですね、関西の経済界も興味を持っております。だからこそ我々もその関西とですね、きちんと結びつきを持とうとしたところもあるわけではありますが、我々の方でもそういう可能性があることをですね、色々な人に理解していただけるような努力をしたいと思います。民営化はですね、選択肢として十分考慮に値することだと思いますので、しっかりと調査を致したいと思います。

 

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