平成23年11月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

今年も残り少なくなって参りましたが、私は三洋関連の方々を始め失業、退職、あるいは企業経営等、厳しい状況の中で不安な思いを抱えてこの年の瀬を過ごしておられる方々、また3月11日の津波、原発事故で今なお、不便で辛い生活を送っておられる方々に思いをいたしながら質問をさせていただきたいと思います。
然るに、昨日、本会議場におきまして島根原発との安全協定締結に関して同僚議員から誠に遺憾な発言がありました。
私は心ある多くの議員、そして県民とともに強く抗議を表明するものです。
質問に移らせていただきます。


 一、国直轄事業の地元業者への発注について

 

航空自衛隊美保基地へのC2配備につきましては、地元・境港市・米子市の回答、県議会の議論を踏まえて、平井知事は去る11月2日付けで了承されました。

一方で、境港商工会議所建設業部会は、このC2配備に伴う美保基地の今后想定される施設計画や建設工事等に係る入札・契約制度について防衛省から説明を受けたということであります。

C2配備に伴う関連施設としては、老朽化の進んでいる格納庫の建て替え整備を今年度から実施し、来年度以降に、駐機場整備や、管制塔移設、飛行場監視レーダー移設が計画されておりますが、これに対して、地元業者からは、

〇 最低制限価格を設けて欲しい

〇 地域貢献を加味して欲しい

〇 県外業者が低価格で落札するので地元業者は太刀打ちできない。県内に本店のある業者等の公募条件を設定してもらえないか

〇 県内の公共事業は激減している。防衛省で今后たくさんの工事が計画されるなら、是非それに地域の業者が参加できるような仕組み、支援を考えていただきたい

           地元業者が下請けにでも入れるような仕組みが欲しい

           岩国基地では、市が地元業者を使うように中四国防衛局に申し入れをして、総合評価で運用されているが、美保基地でもそれが出来ないか

等の意見や要望が出されたと聞きました。

こうした声を受けて、私ども県議会自由民主党は、11月10日、11日の両日、中四国防衛局並びに防衛省に対し、要望活動を行って参りました。

C2配備同意に際して、地元の境港市、米子市から特に要望のあった特定防衛施設周辺整備交付金、並びに、防衛施設周辺整備事業について十分な措置を要望するのと併せて、今后美保基地に係る建設工事に当たっては、地元業者が参入できるような配慮を強く求めさせていただき、中四国防衛局の辰巳局長からは、前向きな対応を約束していただきました。

これ迄も、私たちは、国直轄事業の地元業者への発注について、繰り返し主張してきました。

私自身も、質問で取り上げさせていただき、分離分割発注方式によって、中四国農政局発注工事に地元業者の参入が果たせたという経緯もございます。

中四国防衛局は、美保基地の他にも、陸上自衛隊米子駐屯地において、この度の国三次補正による震災関連工事について、かなりの工事発注を予定しております。

局への入札参加資格を有する業者は、県内に217社ありますが、これ迄の工事実績を有する業者は殆ど無いというのが実状であります。

産業振興と雇用の確保は、平井県政の最重要課題であると同時に、この間の大雪や、豪雨、台風等における対応においても見られるとおり、地元建設業者の存在、協力なくしては災害対応もできません。

これ迄の国交省、農水省への働きかけに加えて、防衛省関連の直轄工事についても、是非とも地元業者が参入できるよう、県として、背水の陣で取り組んでいただきたいと思います。

知事の所見をお伺いします。

 

二、本県防災計画における美保基地の関わりについて

 

 私は、3月11日の東日本大震災を受けて6月議会において「弓浜半島における津波の可能性とその対策」について、知事に質問致しました。

海抜0メートルの砂地で、逃げる高台もビルもない弓浜半島の特殊性について訴えさせてもらい、その対策については格段のご配慮をお願いしました。

その后、私は、美保湾からの津波襲来時には通行不能となる国道431号、あるいは県道米子境港線、JR境線のことを考え、更には、津波に次いで島根原発が不測の事態に陥ったときは、境港市民3万6千人に加えて、島根半島や、八束町の人たちも合わせて米子方面に避難することになるわけですが、その避難路について思いを定め、美保基地の上田司令にお願いに行って参りました。

本来であれば、知事や境港市長からお願いするべきでしょうが、私は露払いということで独断で伺わせていただきました。

万一の際に、基地中海側南北にある通用口をあけて基地内を通り抜けさせてもらえないか、避難路として基地内を通らせてもらえないか、と申し出ましたところ、上田司令からは、日を改めて承諾をしていただいたのであります。

司令は、「3.11を受けて、自分も隊員1千名とその家族2千名の安全を守らねばならない」と自らの重い責任を語っておられましたが、私はこの上田司令の地域に対するありがたいご理解ご英断をここにご披露させていただくとともに、改めて心からの敬意と感謝を申し上げたいと存じますが、知事はどのように受け止められますでしょうか。

また、現在進めている県や市の原発・津波の避難計画立案上において、弓浜半島中央部に広大に立地する美保基地の存在は欠くことの出来ない大きな要件であると同時に、本県防災計画上からも、基地の協力は重要な意味を占めることと思います。

この上は、県として美保基地との防災協力協定締結に向けて、具体的折衝を行っていただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

以上で壇上からの質問といたします。

 

          平井知事

 

 安田議員のご質問にお答えを申し上げます。

 安田議員から災害等に関連したお尋ねとC2の関係と二点お尋ねをいただきました。まず、C2配備につきまして、11月2日で了承をということに致したわけでございますが、これに関連をし、防衛省関連の直轄工事に地元業者が参入できるように取り組むべきだというご指摘をいただきました。

 これは、我々もぜひ求めていきたいと思います。安田議員の方で声を上げていただきまして、私自身も渡辺防衛副大臣の方に面談をさせていただきましたときに、この今おっしゃるC2配備について条件つきで承諾をするということを申し上げたわけでありますが、その条件とはまた別にですね、地元の事業者の活用ということを考えるべきであると、強く申し入れをさせていただきました。

 やはり、基地と日頃お付き合いのある事業者さんでございますし、また、地元のですね、応援体制というものも基地の運営にとっては不可欠なものでしょうと、そういうことに配慮して今後、具体的な事業について呼びかけていただきたいと、こういうことを申し上げました。

 渡辺副大臣は、ご自身がルーツが境港だということもございまして、大変に好意的に受け止めていただき、ぜひそういうようにさせてもらうというお言葉がございました。

 それと併せてですね、辰巳局長の方には安田議員の方で出向かれたということでございますが、私どもの方でもですね、企画部サイドを通じまして、先方、中四国防衛局の方へ別途申し入れも具体的に行っております。

 その中で地元の事業者の活用というような観点で分離分割発注をやってはどうだろうかと、また議員もおっしゃいました地域要件というものを加えてはいかがだろうかというようなこと、それから県内の企業の活用といったことをですね、色々と申し入れの中に入れさせていただきました。

 特段の返答が明確に返ってくるというわけではございませんけれども、これから手続きが進んでくる中で、我々も折りにふれて要請を重ねて参りたいと思います。

 今現在の状況を申し上げますと、鳥取県側は、全員協議会でのご議論を経た上で、私の方の責任で条件付きで回答を行うということにさせていただきましたけれども、島根県側がまだ回答がでておりません。

 今のところ、安来の方が異存がないという方向でまとめられましたけれども、松江市の方がまだはっきりと出てきておりませんので、島根県の方もその地元の状況を待っているのだろうと思います。

 ですから、今々ですね、この話が箍が外れて前へ進んでいくということではございませんので、今後の事態の進展を見ながら、折にふれて、重ねて要請をして参りたいというふうに考えております。

 次に美保基地の活用についてお尋ねをいただきました。        

 中海の方にあります南北の通用口を開けて、通り抜けることにつきまして、承諾をもらったことについてどういうふうに考えるか、更に、美保基地と防災協力協定を締結するということを考えてはいかがだろうかというお尋ねをいただきました。

 これは安田議員の方で思い立たれて上田司令と直接お話していただいたことは感謝を申し上げたいと思います。また、上田司令の方でも諸般の事情をですね、よく検討をされた上だと思いますけれども、時間をおいて承諾をする旨のご回答をいただいたという、そのご英断に感謝を申し上げたいと思います。

 今、我々のほうでは、震災関連でいくつかポイントを作りながら、議論しております。

 一つは、原子力発電の避難対策。これについて一時的にその中を通り抜けるとかですね、そういうような可能性を広げるという意味で今回の承諾というのは意味があるだろうというふうに思います。

 それから、津波対策が新しい課題として取り上げられてきております。

 この津波関係は、今シミュレーションをやっている真っ最中でございますけれども、だいたい境港の方では、最大5メートルくらいのシミュレーションになっておりまして、それがどういうように内陸に溯上してくるかというところの今、ハザードマップ作りを検討して専門的にやっているところでございます。

 一般論で申し上げますと、当然ながら外海から来ますので、外海からやってきますので外海からずっと弓ヶ浜に向けて、弓浜半島に向けて押し寄せて来るとしますと、弓浜半島から近いところで津波の被害が発生する可能性があります。 

 後、標高の問題もあります。美保基地の辺りというのは、大体5メートルくらいはございます。従いまして、あそこまで津波がですね、到達するかというとこれから詳細にデータをおいてみないとわかりませんけれども可能性としては低い部類に入るのではないかなと思います。

また、あとこれからですね、具体的にシミュレーションデータを当然ながらよく精査した上で出していきますけれども、ちょっと想像していただきますと、砂浜から駆け上がってきますとですね、一定の水のこぶのようなものが来ます。このこぶのようなものが駆け登ってきます。駆け登ってきて到達するところというのは、最後は水平線のようなものになるのでしょうけど。それがどこまで届くかということですね。

その際に5メートル位、優に美保基地などございます。津波の高さの問題があったとしても果たしてここまで届くかどうかということを想像していただきますと、可能性としては低くなりそうだというように思われます。

そうしますと今回ご承諾いただいたことで美保基地の方に避難をするという可能性もないわけではないと思います。

勿論、それは津波の実際の様子だとかですね、避難経路だとか全部考えた上で最終結論を出さなければいけませんけれども、少なくとも色々な選択肢が広がることにはなるだろうというふうに考えるわけであります。

その意味でいきますと、今回の美保基地を従来の殻を破って中に住民の方が入っていいですよと認めること自体はですね、大変に評価に値することだと思います。

そして、そういう基地内の敷地を例えば一時的な居留所とかですね、あるいは輸送基地というメリットもございますので、避難物資が当然ながら、万が一のときには、美保基地に集まってくると、そういうような場合も念頭において、なんらかの協定を結んでおいたらどうかという趣旨だと思いますが、そういう可能性については上田司令始め美保基地側と今後協議をしてみたいと思います。

今の体制からしますと、県のほうの防災会議のメンバーとして上田司令も入っておられまして、入っておられるということは、私の主催する会議でございますので、いざという時には色々なことを頼めるという法的なスキームになっておりますから、すぐすぐ問題が生じるわけではないと思いますけれども、ある程度の事象を想定しながら、こんな場合にはこういうようにしましょうというようなことを経費負担のことも含めてですね、あらかじめ協定を結んでおいて、スムーズにことが進むように対処することは、一考に値すると思います。

 まだあまり、よそでやっていることではないと思いますが、今回敷地の中に入れるという具体的な提案もでてきたところでございますので、協議をしてみたいと思います。

 

 

          安田議員

 

 大変前向きな対応を既にして頂いているようでございまして、ありがたいと思っております。

 私たち議会も色々な仕事があるわけですが、やはり今これだけ県民が、県下の業界の皆さんが厳しい状況に陥っているときには、率先してそういう声を受けて私たちにできることは頑張ってやっていこうということで、防衛省にも三役で行かせていただいた次第であります。

 地元の建設業者から直接、私も何回か話し合いをさせていただいたのですが、防衛省から大きな仕事が随時出てくるよといってもですね、業者さんは、今までのあまりの実績の無さに半ば、諦めておられるんです。どうせ無理だろう、みたいな。ところが本当にこれから後ろ向きな対応では、乗り切れないような状況ではないかと私は思っております。

 そういう意味で私ども議会も頑張る。そして、県庁、執行部の方も頑張っていただく、そして、今絶望的に思っている業者さん方も、ここまで頑張ってもらって、これで一歩先が見えてきたかなという気持ちになって頑張っていただく。そういうみんなで総力戦でこういう状況を乗り越えていくことが大事なんじゃないかなと思っております。

 私どもは防衛にも行って参ったのですが、今、用地買収が行われております大橋川拡幅工事に伴って、渡の護岸整備の工事について進捗がみられております。23年度予算で工事発注があります。これにつきましてもですね、ぜひ、地元業者を使っていただきたいと思っておりまして、来週には、また、3人で出雲河川や広島地整に伺う予定を立てておりますので、どうか執行部におかれましても、ぜひその方向に向けて一緒に頑張っていただけないだろうかと重ねてお願いをさせていただいておきます。

 それから、美保基地につきましては今、渡辺副大臣のご様子もお聞かせいただきました。 

私どもがお会いした方々、特に辰巳局長も人づてに大変前向きなお話を聞いております。みんなでこのたび、頑張って何とか地元業者にハードルを越えていただければと願っておりますので、今後ともご一緒に頑張らせていただきたいと思います。

 それから、基地司令との話し合いの件でございますけれども、これは本当に私も大変嬉しいことを言っていただきました。感謝を申し上げております。今後とも、そういう事態にならないことが一番必要なことであろうと思いますけれども、まさかの時には、そういうことを言っていただいておりますので、県の方でいい形で折衝をしていただけたらと思っております。

 私の今日の質問は以上で終わらせていただきたいと思っております。

 知事、ご感想がございましたらよろしくお願いいたします。

 

 

          平井知事

 

 安田議員の重ねてのご意見をいただきました。まず、発注についてでございますけれども、防衛省がこれから新しい事業を始められるわけですが、鳥取県内で、そう大きな今迄実績があるわけではございません。ただそれなりにですね、県内業者の参入も図られてはきました。

 例えば、平成23年度でいきますと、8,800万円位は地元の業者が受注をしているということがあるようでございまして、少しづつではありますが県内業者も活用されているのかなと思います。

 ただ、今回はC2という新しい飛行機が入ってくる、これは従来の飛行機よりも大きなものでございますので、格納施設であるとか、関連施設様々あろうかと思います。そういう中には、地元の事業者さんの受注に適するものも、たくさんあると考えます。先程も申しましたように今後の議論の展開をしっかりと見させていただきまして、時期を捉えて重ねて要請活動をやって参りたいというふうに思います。

 それから、渡の漁港につきまして、このたび出雲河川などに要請活動されるということでございます。ぜひ、党の方からも、していただいてですね、私どもも私どものチャネルで働きかけをして参りたいと思います。

 国の直轄事業ですけども、どうしてもですね、過去の実績が加点要素、基礎点的な要素になります。今まであまり工事がないところで、工事が行われるとなりますと従来から工事をやっている地域の業者に、実は有利になります。高速道路もそうでありまして、県内の高速道路が活発に作られ始めた頃には、殆ど県外の事業者になってしまう。

 それは、実績がないから技術の実証ができていないことになるわけであります。

 それは変な話でございまして、地域の事業者が活用されるようなですね、ちゃんとした技術のある事業所であれば問題ないわけでありますから、その辺の入札方法をしっかり考えてもらいたいと国土交通省には今までも要請させていただきました。

 このたびは、いよいよ大橋川関連の事業が動き始めるわけでして、今までにない事業分野が動き出すということになります。

 ですから、かつてと同じようなことが繰り返されないようにですね、地元事業者の活用ということを働きかけて参りたいと思います。

 また、基地司令とのやりとりでございますが、議員が冒頭おっしゃっておられましたように、今もこの年末、津波、原発から逃れられた方々が寒い冬を送っておられることに思いをいたしますと、そういう方々の平安を祈るしかございませんが、私どもの方でもやはり、いざというときの備えを考えなけばならないわけであります。

 地域の形状からいきますと弓ヶ浜の弓浜半島全体の中のですね、美保基地が占めているエリアというのは、いわば、死命を制するようなところを握っています。 勿論、海側を通って行くことも出来ますけれども、それ以外の通路の可能性ということも今後あろうかと思います。

 更にあれだけ広大なエリアでございますので、境港の方から来る、或いは津波を逃れて下からやって来るというような場合にですね、とりあえず待避をするエリアとしては非常に有効に活用し得るところだと思います。

 そういう意味ではいい着想であると思いますので、美保基地側と県民の安全のために話し合いを是非、しっかりやって参りたいと思います。

  

 



 

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