平成25年6月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

子育て王国とっとりついて

 




 平成22年の国勢調査の結果、本県の人口は58万8,667人でしたが、本年3月1日現在では、既に3千人程減少しており、国勢調査の予測によれば、30年後には、44万人にまで減少するということであります。

 世代別では、0歳から14歳が7万8千人から4万6千人に、15歳から64歳のいわゆる生産年齢人口が35万5千人から22万6千人に減少し、65歳以上が24万1千人から27万4千人に増加するというのであります。

 調査した平成22年を100とすれば、30年後には、0歳から14歳の世代が59.2、15歳から64歳が63.7、65歳以上が115.7となります。

 県内の市町村で見ますと、30年後に人口増となるのは、日吉津村のみで、他の市町村はおしなべて減少、日吉津村にしても、増えるのは65歳以上ですので、人口減少、少子高齢化は本県にとっても、県内市町村にとっても非常に大きな課題であり、県政の将来ビジョンや諸政策の根底に据えてかからねばならない問題であると認識するものです。

 我が鳥取県は、かねてより日本一人口の少ない県ではありましたが、産業振興、社会基盤整備に努め、働く場を確保して子ども達も親元から通えるよう頑張って参りました。 

 また、豊かな自然環境をいかした県土づくりを目指すとともに農林水産業の活性化にも取組んでおります。福祉・生活環境・防災面でも県民が安心して安全に暮らせるよう意を払ってきました。

 特に近年顕著になってきた中山間地域、限界集落、まちなか過疎といった深刻な課題についても、豊かな人情とネットワークで支え合う体制づくりに努め、今後どのような時代状況が訪れようが、小回りのきく鳥取県らしさを逆手にとって県民皆んなで乗り切ろうと頑張っているところであります。

 このような状況のなかで、さらに一歩踏み込まれた感のする平井知事の“子育て王国とっとり”の提唱でありますが、まずは、知事の思いと意図するところについて率直に語っていただきたいと思います。

 

 そして私も、悪戦苦闘しながら2人の子どもを育てた経験者として、また一人の女性政治家としてこの問題に関わらせていただきたいと存じます。

 

 私は、今後の人口減少、就中生産年齢人口の減少が、女性の就業を促進していかざるを得ないだろうと見るものであります。

 私自身も、働きながら、それも親元を離れた地で、頼る人もないなかでの子育てで、今振り返ると恐ろしくなる程の状況にありましたが、さりとて仕事を辞めたいとも思いませんでした。

 今の時代の女性は、さらに高学歴化し、専門化した職業に就いている人が多く、簡単に仕事を辞められない上、今日の社会状況では男性に頼ることは大変困難なことであります。その傾向は、特に本県では一般的に県民所得が低い為、共稼ぎしなければ家計が成りたたないといった地域の事情も現存します。

 その分、女性の負担が増えることも確かでありますが、どのように時代が変わろうと、子どもを産むことが出来る権利を与えられているのは女性のみであります。子育て王国建国にあたっては、女性の立場、判断が尊重されることが第一義であるということをまずもって訴えておきたいと思います。

 そして、女性が安心して子どもを産み育てることが可能な環境づくりこそ、子育て王国の究極の目標であり、そのような鳥取県は、子どもにとっても高齢者にとっても暮らしやすい所になるでありましょう。

 知事の子育て王国の提唱によって、これ迄社会の片すみに追いやられていた女・子どもに、やっと陽の光があたり出したという思いを禁じ得ないのが、私の正直な実感であります。

 

 このような観点に立って、国の少子化対策をみたとき、本当にやる気があるのか、実効性があるのか、多いに疑問を感じるのであります。

 少子化対策は、我が国が直面している一大課題であり、政府はその対応策として、子育て世帯の負担軽減を計るため、兼ねてより幼児教育の無償化を検討しておりました。

 有識者会議では、3歳以上の幼稚園、保育所、認定こども園の無償化を検討し、そのための予算は7千900億円と見通されておりました。

 しかしながら今月になって、関係閣僚が調整した案では、幼稚園から小学校3年までに子どもがいる家庭を対象として、第2子に半額、第3子以上に全額の補助をして、現行保育所並みとするもので、予算規模も300億円に縮小されました。

その上、予算は国が3分の1、地方が3分の2を支出するということであります。

幼児教育の無償化については、昨年の衆議院選挙における自民党の公約でもあり、私自身、大変怒っておりますが、知事はどのように受け止めておられますでしょうか。

また、知事がリーダーとなって結成された10県知事から成る子育て同盟としては、今後どのようにこの問題に取組んでいかれるおつもりでしょうか、お伺いします。

 

この幼児教育無償化論議と連動するのが、安倍首相の「育休3年推進」発言ではないでしょうか。

即ち、無償化というよりは実際には支援になってしまいそうですが、事業の対象は3歳以上として、それ迄は子育てに専念する。3年後に職場復帰できるよう経済団体に自主的な3年育休推進をお願いし、復帰前の学び直しプログラムも用意して、3年間抱っこし放題での職場復帰を支援するというものであります。

安倍首相のこの発言に対して、私の回りの女性達は、「3年間も育休が取れる職場は限られている」、「3年も休んだら食べていけなくなる」といったその非現実性を指摘する声や、子育ては楽しい反面、子どもとの過度な密着と社会からの孤立感が虐待に至ってしまうケースも多い等、母親の立場や気持ちを理解していないという声ばかりでした。

 私は、子どもが0歳のときから保育所に預けられたお陰で働くことができましたので、保育所様々、先生様々で、今でも感謝の念でいっぱいです。

 至らぬ母親と人一倍手のかかる子どもをやさしく支えていただき、昼食やおやつも手の込んだものでした。特に子どもたちのお昼寝を利用して先生方が書きこんでくださった日々の記録ノートは、現在でも我が家の子ども達にとっても宝物のように貴重なものです。

 とても自分で看たとしても、ここまでは出来ないという程よくしていただいた保育所の先生方の待遇には充分配慮してあげてほしいと願っております。

 本県の女性就業率は50.1%、全国でも有数な働き者です。そして、県内における未満児の保育所入所率は、48.8%であります。私は、本県のこうした実情や女性の声を生かした未満児保育の充実こそ、子育て王国とっとりの目玉にしていただきたいと思いますが、知事のお考えは如何でありましょうか。

 

 一方では、女性の考えも生き方もそれぞれで、決して画一的施策を望むわけではありません。

 先日行った地域子育てセンターは、母子連れやおじいさん、おばあさんと一緒に訪れた子ども達で大変賑わっておりました。

 「子育ての間も働きなさい」といっても、働かないで子育てに専念する、専念できる、専念したいという女性も多いわけです。

 少子化対策で、これをやったら全て解決という施策は恐らくないだろうと思いますし、戦前のように「産めよ、増やせよ」といった強要もお断りであります。少子化の原因となっている問題にひとつづつ丁寧に取組んでいくことが大切だと考えます。

 この6月議会でも、多岐にわたって施策が打たれ、大変心強く思っておりますが、なかでも不妊治療に対する手厚い対応は、評判も良く、効果もあるだろうと期待するものです。

 

 しかし、その一方で、本県が人工妊娠中絶実施という点では、全国にも名高たる県であるということも見逃せない事実であります。

 資料からわかる限りの実施数を計算してみましたら、平成11年からの13年間の合計が実に、24,729件となり、計算した私自身も驚いておりますが、この現状に対して知事はどのような所感を抱かれるのか、お尋ねをし、壇上からの質問と致します。

 

 

        平井知事(答弁)

 

 安田議員の一般質問にお答えを申し上げます。安田議員からは、“子育て王国とっとり”につきまして縷々お尋ねを賜りました。

 まず、“子育て王国とっとり”に向けて、どういうように思いをかけているのか、その基本的な考え方につきましてお話をいただきました。

 議員の方からも若干、ご自身のご経験についてもお話がございましたけども、本当に時代を遡ってみて高度成長期の頃は、大変忙しく、みんなが働いていた頃に2人のお子様を育てられて、学校の教師という聖職を勤められるという、その負担は大変大きなものだったというふうに思います。ただ、その中で子育ての喜びを身に沁みて感じられ、逆に言えば、社会的なサービスの大切さも身に沁みておられると、こういうご主旨で、  心に響くものがございました。

 皆さんそれぞれの家庭のことなので、あまり多くを語りたがらないんですけども、それぞれの関わりの中でですね、子育てについての難しさを感じ、なんとか地域的にこれを包み込んでもらえるような、そういう社会になっていただけないだろうかと、そういう切なる願いをどこの家庭もお持ちだと思います。

 今こうした切実な思いが果たされなければ、社会が前に進まなくなってきたんだというふうに思います。

 先般、人口減少の問題に対処する為に、鳥取県として「住もう好きです鳥取未来会議」というものを発足をさせまして、有識者の方のお話も聞きました。

 そこで多く出されたのは、こうした人口問題というのが経済成長、産業成長に大きく関わってきているという認識でございます。

 色々な分析があると思うんですけども、結局、ベビーブームの波があります。ベビーブームで子どもが一気に増えるというのは、それは、むしろプラスに作用するんですね。

 最近よく人口ボーナスという言葉がでますけども、そういう勤労世代、労働生産年齢人口の世代というものが多く増えてきて、従属人口といいますけども、そうでない人口との対比、これが生産年齢のほうが、高まってくるところというのは、どんどん国が伸びていくわですね。

現に、最近の中国がそうでありましたし、それから、ベトナムだとかタイだとか、そうしたところがそうでありました。今、中国は、実は人口ボーナスが失われつつあるわけです。  

 それとともに今、中国経済に陰りが見え始めていまして、世界経済に今日も攪乱要因になっているわけです。

東南アジアのほうに、ベトナムだとかミヤンマーのほうに向いていくのは、若い人が多いところです。インドもそうであります。

今、当分人口ボーナスが膨らんでいくので経済成長が期待されるということになるわけです。

 日本の場合は、その人口ボーナスというものがずっと長く続いてきたんですけども、平成7年の国税調査を堺にして人口オーナスといいますが、人口が減る局面、生産年齢人口割合が減っていく局面に転換をしているんです。このときにちょうどバブル経済の崩壊の時期が重なっていまして、今の経済的な苦境、停滞感というものは、この辺に根本原因があるんじゃないかということです。

そうなりますと、何をしなければならないかといいますと、人口を簡単に増やそうと思ってもなかなかそう簡単ではないわけですね。

 もちろん、少子化対策などをやっていって、それに対する手当もやるわけでありますが、どちらかというと、もっと手っ取り早く改善を図るのは、オランダみたいな社会システムのやり方というのがあるわけであります。

 オランダでは、このたび4月に公表されました、ユニセフの研究所の子供の幸福度調査で世界一の幸福度だということになったわけです。

 そこでは、6歳未満のお子さんを抱えている女性の就業率が日本の倍ほどなんですね。

 6割、7割というベースであります。

 それは、実は昔は、違ったわけです。これは、オランダのなかでも努力をされたわけでございまして、1980年代くらいから、ワークシェアリングをやろうというように動いていまして社会経済システム全体を変えてきたわけであります。  

 その中で、時間労働制といいますか、パートタイム制といいますか、そういうものを男女問わず導入をして、男女問わず子育てに参画をしていくと。こうやって、6歳までの小さい頃に、辞めざるを得ないとかそういうことにしないようにしようとかいうようなことを考え出したわけでございまして、その結果、こういうように変わってきているんですね。

 それが女性の就業率でいうとM字カーブということをいいますが、M字カーブという就業構造が、解消されているわけであります。

 このような努力というのは、海外では、フランスその他の国々でなされてきているわけであります。

 つまり、子育て対策、子育てがやりやすい地域社会を作る、国を作るということが女性の就業環境を整えることになり、それが、人口オーナスといわれるような労働生産人口の割合が例え減ったとしても、支えていく側に回るわけです。

 今の状況で言うと、だいたい、藻谷浩介先生の試算なんかで言えばですね、子育ての時期にだいたい、3割4割女性が職場に帰ってきてくだされば、それだけで人口オーナスは、完全に解消されると言っているわけであります。 

 色々、これは識者の見方によって分かれるところだと思いますけども、当たっている面も多々あるのではないかなと思います。

 こういうようなことから考えますと、我が国のこれからの再興再生を図っていく意味ではですね、アベノミクスの3本の矢も大切なんですけども、それと併せて社会構造自体を変えていく、これは非常に行政的な施策になると思いますが、そちらの方で解決を図るべき時代にきていると思います。その時に考えますと、鳥取県というのは、いいポジションを持っているわけであります。

 これは、たまたま人口が減少してきたというのがあるんでしょうが、例えば、産婦人科医の数、或いは小児科医の数ということで言えば、子どもさん一人当たりの人数は、むしろ、確保されているわけであります。 

 保育所だとか、子育て支援センターも等も他県とは違って、例えば待機児童がゼロだとかですね、そうした状況が生まれていまして、横浜が今頃ゼロになったと言っていますが、こっちでは既に実現していたことであります。

それは、地域社会の絆なりネットワークがあって、社会資源があるんだと思うんです。これを活用していくことで、子育て対策が非常に先進的でいいところだと、そういうところから、この国の社会だとか経済を変えていくリーダーにならなければならないというふうに思います。

そういうことで平成22年に子育て王国ということを建国宣言をして関係者の皆様と色々と施策を積み重ねてきております。

私は、単なるスローガンだとかPR、パフォーマンスで子育て王国の議論をすべきでないと思います。

もっと実像に絡めて、問題点を解決するようなことをやっていくべきだというふうに思います。

鳥取県は実はそういう先人もいたわけでして、例えば、筧雄平さんという方がいらっしゃいました。

この方は、日本で始めて農繁期託児所を作ったわけです。

これは、鳥取市から全国へと広がっていき、現在の保育所の原型になっているわけであります。

こういうようなことから、我々としても、地域のなかには子育て王国のスピリッツが充分あると。それを育てていくことで時代を変えていく責任を果たしていきたいと考えているわけであります。

次に、子どもを産むのは女性であると。ですから、第一義的に女性の考え方をきちんと捉えた政策を組まなければならないというお話であります。

これは正にその通りだと思います。これから議論をひとつひとつ起こしていきまして子育て王国の条例を作りたいと今、提起を始めました。

卵から今スタートするところでありますが、その過程で子育てに当たっておられる女性のご意見をしっかりと入れてですね、条例作りをやっていくことと致したいと思っております。

また、国においても子育て、子どもの新政策をスタートさせることになります。これから徐々にその中身が明らかになってくると思いますが、それと併せて県なり市町村でも、その対応の施策を肉付けをしていくことになるわけでありますが、その際にもそうした子育て王国に対する提言を実際に子どもを産み育てておられる女性の方々のご意見をしっかりと取り入れて作り上げていきたいというふうに思います。

幼児教育の無償化について、今、国の政策ででてきておりますけども、地方の負担がある。これについては、いかがだろうか、子育て同盟として取組むのかというお話がございました。

これはまだ、正直、充分な情報がきておりません。国のほうで幼児教育の無償化という議論を始められておられまして、これが、これから中身が予算時期に向けて詰まってくると思います。その時に財源が、国なのか地方なのかということが見えてくると思いますので、報道のなかには議員のおっしゃるような議論もございまして、非常に気を揉んでいるというのが正直なところであります。

今の国の目論見としては、5歳児の無償化をやろうということを大前提といたしまして、生活保護世帯であるとか、それから、多子世帯、こういうところに対する施策をやる延長線で5歳児の無償化へもってこようということのようでございまして、26年度予算のなかでも多子世帯対策や生活保護世帯対策、こうしたところがでてくるんではないかと思われます。その財源についてはですね、これは国のほうでしっかりと、役割、責任を果たしてもらう必要があると思います

例えば保育所でいえば、国が2分の1を負担して県と市町村が4分の1ずつという大前提のルール作りがこれまでもなされてきております。これから新しい制度になりますけどもそれに関しては国として責任をもって進めてもらわないと地域によって取組めなくなってしまうということになりかねませんので、この辺は注意をしていただきたいと思います。

子育て同盟でもですね、この7月に会議をすることにいたしておりますけれども、当然ながらこうしたホットな育休につきましても議論の対象になるかと思います。

中央団体は、このことにつきまして、今お互い非公式の議論を始めておりますけども、やはり財源のところについてはですね、重要な課題だとみています。

かねて、児童手当、子ども手当などの騒動もございましてですね、今回も同じようなことが繰り返されないように、我々としても声を上げていかなければならないと。こういうように非公式に議論を始めているところでございます。

 

次に3年育休推進発言について言及がございまして、鳥取県独自で未満児保育について取組んでいくのが正しい方向性ではないかというお話がございました。

議員のほうでご指摘がございましたように、これはそれぞれのご家庭、それぞれの母親、父親の状況、家族の状況、いろんなものがかみ合わされながら、ライフスタイルを選択していく問題なわけです。議員のほうでおっしゃいましたように、3年も職を離れてしまったら、働くとこが無くなってしまうような、そういうことになるのであれば、やはり、セーフティネットとして、そこを支えてもらえる、子育て施策の重要性のほうがはるかに大きいという議論もででくるんでしょう。

それからまた、これは他の欧米諸国でもありますけども、むしろ休むことを当たり前にするような選択をしていくそういうご家庭もなかにはあるかもしれない。その辺は、オーダーメードというほどではないかもしれませんが、色々なライフスタイルのパターンに対応できるようなことが重要なんだと思います。

おそらく安倍総理もその辺を念頭において、しゃべっておられるんではないかと思いますが、これから子ども子育て施策の中身がでてきますので、そこで大いに議論をさせていただきたいと思います。

それで、議員のほうからご指摘がございました、未満児保育、特に乳児だとかそうした時期の保育は非常に親としても神経、体力を使いますし、社会的にも重要なところです。特に成長の過程のなかでその乳幼児期というものが、スパートをかけるプロセスにありますのでその時期にきちんと愛情をそそいだ保育がなされる家庭環境が設けられることが重要であるという指摘は色々なところでもでております。

いろんなご意見はございますけども、そういう様々な観点からすれば、未満児保育についてですね、鳥取県としても特色のある施策を打ち出していく方向でこれまでもやってまいりました。

例えば、今回6月補正の提案をさせていただきましたが、届出の保育所がございます。これにつきまして、0歳児については、2万円、1歳児2歳児については1万円相当の助成をおこなうという、また地域でやっていないようなそういう届出の保育の環境整備にあたるようなそういう予算を提案させていただいております。

また、保育所の体制、国のほうの保育基準では充分でないということもございますのでそうしたところにつきまして、加配を行うということにいたしまして、1歳児であれば4.5対1、或いは今回3歳児につきまして15対1という県独自の上乗せをさせていただいています。

こんなようなことを色々と展開をしていって未満児対策を県としても充実をはかってまいりたいと思います。

これから条例づくりであるとか、色々と国のほうの新しい施策に対応したスキーム作りなどで関係諸方面のご意見をいただいて充実を図っていきたいと思います。

 

最後に不妊治療については、有効な手立てだと思うが、人工妊娠中絶については、切実な問題ではないだろうかということでございました。

これにつきましては、詳細を子育て推進局長からお話を申し上げたいと思います。

不妊治療につきましては、今回も提案をさせていただいていますが、やはり、だんだんと結婚年齢が遅くなってくるわけでございまして、子どもを持ちたいという親御さんの切実な思いに応えられるように、我々としても相応の支援をする必要があるだろうという判断をしてきたところであります。

人工妊娠中絶は、本県は比率的に高こうございまして、この辺については、色々な見方があろうかなというふうに思います。

充分に分析をしてですね、アプローチをしていかなければならない微妙な課題かなと思います。

例えばこの人工妊娠中絶の比率の高いところは、鳥取県或いは熊本県、佐賀県といったところが高いんです。ただ、これらの3県はいずれも合計特殊出生率も極めて高いんですね、全国平均に比べて。ですから、その辺はどういうことが現場で起こっているのかよく分析する必要があるかと思います。

性道徳の問題だけでですね、割り切って対策を組むことが正しいのかどうかということもあるかと思います。例えば場合によっては、実際、妊娠される方の割合が高い、その意味でこの人工妊娠中絶をやむを得ず選択されることことも多く見られるということかもしれませんし、この辺の分析をする必要が本来はあるんだと思います。

いずれに致しましても命の尊さ、こういうことをしっかりと若年層から理解してもらうことが大切でありまして、その辺についての対策を今も実行しつつあります。

そうした詳細や今後の方向性につきまして局長のほうからご答弁申し上げます。

 

        岡ア子育て王国推進局長(補足答弁)

 

 補足答弁を申し上げます。

本県の人工妊娠中絶の現状と今後の対応につきまして、私の方から申し上げたいと思います。

まず、現状ですが、知事も申し上げましたが、鳥取県における全年齢を通じた人工妊娠中絶の率は平成15年度の人口1,000人対率が19.3、件数にしますと2,432件となっております。

これをピークに年々減少しておりまして、平成23年度は、件数では1,257件ということで半減しております。しかし、人口対比でいきますと11.4と全国で比較しますと高いという状況になっております。

そこで平成22年度に鳥取大学医学部保健学科でこの調査をしていただきました。

その結果、人工妊娠中絶者には、避妊とか妊娠という知識が不十分であるということとか、意識が低いというふうな状況が見えてまいりました。

そこで、こういう問題意識から性感染症を含めた思春期対策というものが重要であろうということで、一昨年、平成23年度に鳥取大学医学部に委託しまして大学生を思春期のケアカウンセラーということで要請をしていただいて、それを例えば中学生、高校生のほうに重点的に講座を開いて出前でというようなこともやっております。

また、県の助産師会にもお願いをいたしまして将来親になる人たち、高校生、中学生になりますが、「未来のパパママはぐくみ授業」あるいは、「今から始めるいつかはパパママ授業」というのがありますけど、そういうようなことで命の大切さを手づくりの教材でやったりしています。反響なんですが、生徒さんたち、或いは、学校現場の教師さんたちにも良い反響を得ています。例えば、高校生ですけど、命の大切さ、子どもを産むということの重大さ、女性が強くあること、感染症は身近にあることなど学んだ。或いは、中学生は、先生よりも話しやすかったとかですね、理解しやすかった、工夫が聞けて非常に良かった。或いは教員の方の感想は、非常に中学生、高校生ですがグループワークでは思った以上な意見が聞けた、ぜひともまたお願いしたいというようなことでして、その新鮮さと理解度において啓発普及という面では効果があったものだと思っております。

しかしながら、先程も申し上げましたように、妊娠中絶は件数として減っていますが全国に比べまして、まだまだその比率は高いという状況はあります。

そこで今一度、この人工妊娠中絶の原因を分析してみたいと思います。

その結果、この対策を考えていきたいと思ってますが、引き続き各年齢の教育はやっていきたいということでして、継続的な意識啓発や相談窓口などの情報提供などをやっていきたいと思います。

 

 

        安田議員(追求質問)

 

 ありがとうございました。知事から色々と大変アカデミックなご答弁をいただきまして、参考になりました。

 やはり、私は人口がここまで減少してきて、それに対する危惧感というものが皆さん共有せざるを得ないというところまできたというところから、根源的な人口対策という問題に向かわなければいけないだろうと思います。全く知事と同じような思いだろうと思います。

 国に対してもしっかりと対応をしていただきたいということを私たち現場に近いものの方から声を上げていって、27年から新しい子育て支援というか、そういう制度、システムが実施されるという話でありますので、そこに至るまでの間にみんなで出来る限りの声を上げていきたいというふうに思っております。

 そうは言っても国は、3歳以上を対象にせざるを得ない、していくだろうというような方向を私自身感じております。しかしながらですね、鳥取県の実情というのを先程知事は、色々な価値観を持って色々な選択肢のなかで各家庭が子育てに対応するんだと。

 ところがですね、先般、鳥取労働局の発表によりますと昨年度、妊娠・出産・育児休業に伴って不利益な扱いを受けたという相談が26件あって増加傾向だというんですね。

 具体的には、妊娠を理由にして正社員からパートに替わるように言われた。こういう類の相談だそうでございます。だから、子どもを産もうと思ったら、仕事を辞めなければならない。或いは中絶しなければならないそういう実態がまだあるんですね。私はここのところを何とかクリアしないと鳥取県の出生率も子育て環境の整備もアップしないだろうと思っているんです。未満児に力を入れてほしいというのも、産んだら周りが、社会が、行政が、世の中がきちんと対応できるんですよ、しますよというシステムをどこまで整備できるかだろうかと思うんです。そこなんですがいかがでしょうか、この実態。

 昔は、結婚するときに女性は、寿退社という言葉がございましたよね。でも、今結婚しても辞める人は誰もいませんよね。その代わり、妊娠したと言ったら、じゃあ、辞めてくださいとか、パートに移ってくださいとか。そういうことなんです。これが今一番働く女性にとってのネックなんです。そこについてご答弁ください。

 

 

        平井知事(答弁)

 安田議員から重ねてのお話がございました。特に今の社会実情として子どもさんができたところで退職を迫られたり、職の転換を迫られたりということになっているというお話がございました。

 労働局のほうから、26件ですか、そういう件数も示されてということでございまして、これは由々しき問題だろうと思います。私どもとして企業さんの存在は重要だと思っております。女性の就業率が鳥取県の場合50パーセントということで高こうございまして、そういう女性の就業状況からしてもそうですし、また、男性のほうも女性の子育てを支えるという意味で男性の育児休業も奨励をしているということでございます。

 ただこれは、職場の理解がないと進まないことなんですね。従いまして、私どもとしても子育てを応援する企業とか、それから男女共同参画の推進企業だとか、そうした輪を今、広げているところでございますが、そうした仕組みも活用してですね、今のような問題が生じないように企業ないし、事業者の理解を広げていきたいというふうに思います。

 その背景にあるのは、やはりその保育なり、その環境が充分でないというのがあるんだと思います。安心して子どもさんを育てられる状況があれば、企業のほうも新しく子どもさんが誕生されるときにですね、過敏に反応する必要が無くなってくるんだろうと思います。今、その過渡期なのかもしれません。この辺は、例えばスウェーデンのようなところではですね、外国の方に若くして出て行く傾向があるんだそうです。ただ、子育てのときになるとスウェーデンに帰ってくると、鮭が戻ってくるようなものでございますけども、生まれたところに帰ってきて、スウェーデンに帰ってくる。それは、スウェーデンのほうでは、確かに社会保障負担が高いわけでありますけども、その代わり子ども達が安心して育つ環境が出来ているということであります。

 フランスなんかでも保育料が無償化されるとか、そうしたことが恐らく今回の自民党の政策もその辺を見ながらやっているのかもしれないなと思っているのですが。

 そうしたように、各地域、各国がですね、この辺について取り組んでいるところでございますが、日本はトータルでの保育を含めた子育て資質が弱いわけです。先進地域の3分の1ないし4分の1というところでございまして、そういうGDP比の関わり方でありますと、まだ充分な施策がとれていないということも背景にあると思います。

 ですから、企業だとか事業所に対する理解を求めることをぜひ、強力に進めることも大切でありますし、それと併せて国のほうの施策を求めたり我々のほうでも、今未満児保育のお話もございましたが、そうした環境をですね、整えていくことで今のこの不当な慣行を打破していく社会作りに繋げていきたいと思います。

 

 

        安田議員(追求質問)

 今、知事は企業の側にお願いをするという話があったんですが、我が鳥取県の企業というのは、そんなに裕福な余裕のある企業というのは少ないんですね。だから、非常に零細で良くしてあげたくても自分の立場からしてなかなか余裕がないと。そういう中での妊娠・出産の問題であろうと思うんです。

 先般、若いお父さん方からお話を聞く機会がございました。お父さんだけど、結構育メンでして保護者会の会長さんとかもやっておられまして、これも世の中変わったなと

 私どもが若い頃は、女が保護者会の会長でしたよね、だいたい。

 夫のほうが働いていて奥さんがパートで10万円くらいの稼ぎで家計を成り立たせていると。妊娠をして出産するようになって、保育所に未満児で預けると、未満児保育料は非常に高いわけですよ。だから、預けるのをやめて奥さん自体が子育てをしたほうがいいということで辞める人が多いと。そうすると今まで入っていた10万円が家計に入らなくなる。逆に子育てをするための費用がかかるので非常に家計が苦しくなるという話も、子どもを育てる立場の人たちからも話がでました。私は、やはり、ここのところの保育料の無料化ということにも向かってみられたらどうだろうかと。だから、子どもを産めば未満児保育は鳥取県では、ただで預けられるよということを考えてみられたらどうかということを提案したいと思います。

 末長総務部長が局長時代にその話をしましたら、13億円かかると。で、ただにすれば、更に増えるだろうと、その金額がアップするだろうとおっしゃいましたが、知事も私も恐らく生活スタイルをもっているので、それほど異常には増えないだろうと思います。13億は全額県というわけではございませんから、市町村と折半すれば、6億5千万円、だいたい6億、7億。この子どもを1人産むことによって、経済効果というのは計り知れないものがあるんですね。今、県内は、製造業には県が億の単位でどんどんこの間、援助、助成、支援をしております。

 しかしながら、こういう形で子育て家庭に支援をする、子どもを育てていく、人口を増やす一助にするということになったら、その暁には、逆に消費で外にでていくわけですから、県内の経済にとっても、返ってくる形になると思いますので、私は出たっきりのものではないだろうというふうに考えます。そのことについての知事のご所見を伺いたいと思います。

 

 

        平井知事(答弁)

 

 安田議員からの重ねてのご質問にお答えを申し上げます。

非常に小さな年齢のお子さんの保育について支援を強化する、無償化するべきではないかということでございます。これにつきまして、岡ア局長のほうから改めてご答弁を申し上げたいと思いますが、これについては、色々な考え方が確かにあるんだと思います。

 正直申し上げて、これは、社会システムとしてどういうような政策をトータルで選択するかに関わります。それは、北欧のほうの国ではですね、育児休業に対する所得保障という形でやる。両親保険というのを導入している国もあります。それで、家で、子どもさんの面倒を小さいときは見るんですけども、それに対して所得を一定程度保障すると。今の日本の場合ですと、育児休業中の所得保障というものが充分でございませんので、その辺について国トータルとして設計を変えるというのも一つのやり方なのかもしれません。また、おっしゃるように全部、全面的に預けてしまって、それに対する保育料ということでの軽減措置ということもあろうかと思います。全部無償化となりますと、国全体の制度設計に関わることになると思えるところもございまして、鳥取県としては、先程、届出保育の一部助成ということをご紹介申し上げましたけれども、非常に負担感の強いところにですね、我々としても環境整備のことをやっていくことは可能だとは思いますし、一つ一つ丁寧にやっていきたいと思います。

 全体的な考え方につきまして、局長のほうからご答弁を申し上げたいと思います。

 

 

        岡ア子育て王国推進局長(補足答弁)

 

 補足の答弁を申し上げます。先程、議員からもご指摘がありましたけれども、3歳以上の幼児教育の無償化という議論は、今始まったばかりですし、その内容はよくわかりませんが、ただ言えることは、3歳未満児の無償化については、今後の検討課題にされているということは資料の方に載っておりました。そこで、このたびの幼児教育の無償化の議論から外れていますので、国の責任において、実は議論をしていただきたい分野ではありますが、県としてこれまでも3歳児未満を含めまして、県単独で子育ての関係の支援をしております。その内容につきましては、議員もご承知だとは思いますが、先程、知事も申し上げましたが、一歳児3歳児の加配、或いは届出保育所のゼロ歳から2歳児までの加配に対する支援、或いは、障害児に関する支援があります。

 しかし、これだけでもまだまだ現場としては、子育て支援に対する不妊治療足感が非常にあります。それは私も聞いておりますので、現場の声をよくお聞きしながら、県として独自にできることは何か、これから議論を進めてまいりたいと思います。

 その中で国の状況も良く聞きながら、国としての責任、或いは、県・市町村としての支援策について考えてまいりたいと思います。以上です。

 

 

        安田議員(追求質問)

 

 あまり乗り気ではないようなご答弁をお聞きしましたが、かつて、鳥取県では学校の少人数学級に取組んだわけですよね。工夫をして、財源を独自に単県で生み出して、国がやる前にスタートさせてるわけです。国が後を追って実施をしてまいりました。

 今、さっき知事は、自分は子育てのリーダーになるんだというふうにおっしゃったように思いますが、やはり、国がやる前から先進的に取組むというのも一つの手ではなかろうかと、やるべきだとみんなおっしゃるんですね。そちら側からも声が聞こえてまいりますが。それからまず、鳥取県の貧しさがあるだろうと、所得が低いわけですよ。平均所得が。それは頭に入れてかからなければならない。色々企業誘致とかをやっても立地をやっても、働く者がいなくなった地域で栄えていくわけがないんです。大事なのはこの時代、状況のなかでやはり人間であろうと人であろうというふうに思います。

 この「女性自身」という雑誌をたまたま喫茶店で読んでおりましたら、こういうのがでてました。横浜の林市長さんです。「安倍首相も教えてと請うた少子化対策の突破口がここに!横浜市待機児童ゼロ作戦、成功の秘訣はママの本音を聞くことだった!」だから、その地域の実情に合った施策で成功を求めていく。そして国もそれは、習っていくわけですから、ぜひとも私は、考えていただきたいと思います。

 最後に中絶問題でございますが、分析していただき、取組んでいただいているというお話を聞きました。ぜひともやっていただきたい、今後とも。

 というのは、鳥取県は毎年死んでいく人が7,000人いらっしゃいます。子どもは年に5,000人産まれているんです。で、今13年間に24,000人という中絶した子どもの数を言いました。それを均すと2,000人弱なんです。ぞっとしました。実は、私自身も戦争が終わる直前に、防空壕で産まれたんですが、母親がもう4人目でいらないと思ってなんとかおろしたいと思ってがんばったそうなんですが、私が腹のなかであんまり暴れたもので、父親がもう一人男の子がほしいということで産んでもらえたんです。

 今の世の中だったら、絶対、性別判別が出来ますので産んでもらえなかったんですね。ところがそういうことで、世の中に産まれてきましたが、母親はずっと、「お前が男の子だったら」と言い続けました。女が生きる事の苦しさ、辛さというものを言ってたんだと思います。父親の方は、「そのうち女も一人前に扱われる時代が必ず来る」と言っておりました。私はそういう時代を築いていくことが、私たちの政治家の仕事ではなかろうかとも思います。浜田議員も錦織議員も市谷議員も議場にはいらっしゃいますし、男性のご理解もいただいてこれから、頑張ってまいりたいと思いますので、子ども達が健やかに安心して産める鳥取県、育てられる鳥取県を私たちも一緒になって頑張りたいと思いますので、知事、どうぞ今後とも宜しくお願い致します。コメントがありましたらお願いを致します。

 

        平井知事(答弁)

 

 安田議員からの重ねてのお話をいただきました。

 安田議員がこの世に産まれて本当に良かったと思います。こういう議論を議場ですることができて、多分未来の子ども達にもすばらし政策に繋がっていくでしょうから、大変な財産だったと思います。私も先程、申しましたけども、パイオニアとしてこういう鳥取県のような地域が引っ張っていくべき分野だと思いますので、子育て王国については努力を惜しまずにやっていきたいと思います。

 その際には現場の声、実際に悩んでおられる方々の声を聞いて、それに対して県のこの器の中で何が出来るのか、ここを考えていきたいと思います。

 ある程度は、政府与党の問題もありますので、国のほうで取組んでいただきたいことも正直ありますし、ただ、ここは県としても頑張っちゃおうかという分野もそういう話し合いの中であると思います。

 それから、市町村が本来は子育ての主役でございますので、こちらの方にも担っていただくべきことがあり、それを県がトータルで応援していくというやり方もあるでしょう。今の色々なネックになることがありますけれども、解決できない問題は無いと思います。それが人類を進化させてきたわけでありますから、私たちとしても子育て王国として解決をできることをしっかり解決していきたいと思います。








 








 



 

ホーム