平成26年9月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

1.    隠岐航路寄港地問題について

 

 




 

去る8月19日、島根県隠岐の島町の松田町長が、松江市で開催された人口減少問題

についての島根県との意見交換会の席上で、隠岐航路の本土側寄港地問題に言及し、島根県に対して境港への一港体制を検討して欲しいと述べられました。

 隠岐と本土を結ぶ隠岐航路は、現在、フェリー3隻と、高速船レインボー1隻で運航されており、フェリー2隻は松江市の七類港に鬼太郎フェリーと呼ばれるフェリーしらしま1隻が、境港に寄港しております。高速船レインボーは、午前の便は境港に、午後の便は七類港に寄港するという形をとっております。

 この体制で隠岐航路を利用する観光客にとっては、旅行スケジュールを組むのがややこしい上、JRや米子空港と七類港へのアクセスの悪さ、マイカーを出発港に置いて出かける人が帰着時に違う港に着く場合の不便さ等のマイナス面が指摘されてきました。

 松田町長は、この二港体制を決着し、人口減少の著しい隠岐諸島の経済振興と再生を期すため、水木ロードで賑わい、空港やJRへのアクセスも優れている境港に一本化することで観光客を増やしたいという意向であります。さらに、「境港とは、昔からのつながりがある」とも述べられ、境港一本化に向けた意向を示しておられました。

 しかるに、9月24日の町議会では、この境港一本化論を大きく後退させ、一本化の必要性を強調しつつ、七類港が境港と比べ、駐車場や岸壁等の施設面で優位性があり、候補地として境港と同様に議論していくべきとの認識を示されました。

 隠岐の島町内をはじめ、隠岐四ヶ町村において、今後、この議論が展開されていくことになるでありましょうが、いずれにしても一本化は避けては通れぬ前提として、本土側寄港地をどちらに絞るかという結論が求められることになりますが、平井知事は、この事態をどのように受けとめておられますでしょうか、ご所見を伺うものです。

 松田町長が言われるとおり、隠岐と境港は深い縁で結ばれております。

 隠岐航路の開設は、明治18年のことで、幾多の困難を経て就航に至った100トンにも満たない隠岐丸が、日本海の荒波を越えて向かったのは、境港でありました。

 明治28年、隠岐四軍から経営を引き継いだ隠岐汽船株式会社の株数1,000株のうち、171株の株主は境の人々であり、同社の二代目社長に就任した栢木節蔵こそ、大阪商船から隠岐丸を購入するに当たり、多大な尽力をした人でありました。

 こうして、航路開設以来、境港を本土側の唯一の玄関口としてきた隠岐航路でありましたが、昭和47年に至り、初のフェリー、くにがの就航を機に、七類港への寄港が始まりました。

 このとき、島根県側は、七類港一港化を計画していたようですが、境港の隠岐出身でつくる隠岐会の方々が、島民12,000名の境港寄港を求める署名を集め、島根県知事に提出し、計画を阻止したという逸話も残っております。

 島根県との本土側寄港地をめぐる攻防は、その後も続き、平成5年、高速船レインボー就航の際にも両県の綱引きが繰り広げられたと仄聞しております。

 一方で、平成18年、隠岐汽船が経営難に陥った際には、島根県から多大な支援を受けて乗り切ったという経緯もあります。これを機に、航路の船舶は、隠岐四カ町村から成る隠岐広域連合が所有し、同社に運航を委託という形に変わりました。

 しかしながら、その後も航路の利用者は減少を続けており、このまま推移すれば、再度の赤字化は避けられないという状況のなかで、再建計画に記した経営の効率化を図る上でも、隠岐汽船にとって、本土側寄港地の一本化は避けては通れない大きな課題となっております。

 

 私は、これまで述べてきたように、そもそもの隠岐航路の始まりからしても、永きにわたる本土側唯一の寄港地としての歴史の重みからしても、境港の一本化を強く主張するものであります。

 また、境港市をはじめ、県内には多くの隠岐島出身者やその子孫の方が住んで折られます。日常生活の上で、漁業はもとより、経済活動全般にわたって、大変繋がりの深い隠岐との縁を、一層深めていきたいと考えます。

 特に、本県との関わりで言えば、明治維新の際の隠岐騒動との絡み故、隠岐は明治1年、松江藩から鳥取藩に移管となり、翌年、単独で隠岐県設置となるも、大森圏、浜田県、島根県と次々に変遷した後、明治4年12月、再び鳥取県となり、明治9年8月、鳥取県とともに島根県となったという歴史的事実も存在するのであります。

 万一、七類港一本化ということになれば、境港は唯一の国内航路を失うことにもなるわけで、境港湾の伸展という意味でも大きな痛手をこうむることになります。

 私は、是非とも平井知事には港湾管理者としても、境港一本化の旗を高く掲げていただきたいと願いますが、知事は如何ようにお考えでしょうか、お示しください。

 

 

2.    クロマグロの漁獲規制について

 

 日本が加盟する太平洋クロマグロの国際監理機関、中西部太平洋クロマグロ類委員会WCPFCの北小委員会が、9月1日から福岡市で開催され、「2015年から、30キロ未満の未成魚の漁獲量を、2002年から2004年の平均から半減する。」という日本の提案が大筋合意となりました。

 この合意は、12月開催予定のWCPFCの年次会合で報告され、正式決定ということになります。

 背景には、太平洋クロマグロの資源量の減少があり、2012年の成魚の資源量約2.6万トンは、歴史的最低値と言われる1984年の約1.9トンにまで近づいており、資源の回復を図るためには、未成魚の漁獲を半減するという厳しい規制をかける以外に方法がないということであります。

 そして、今回の取り組みにより、今後10年以内に、約4.3万トンまで資源回復させることを目標にしております。

 さらに、未成魚に加えて、30キロ以上の成魚の漁獲量についても、2002年から2004年の平均漁獲実績を上回らないよう措置を講じるということであります。

 こうした動きを受けて、クロマグロ水揚げ日本一を誇ってきた境港では、その影響を大変不安視しております。

 境港港は、日本海を漁場とする地元境港や北陸、九州の巻き網船団がマグロ水揚げ基地として活用しており、今年の水揚げ量は、成魚で1,918トン、水揚げ金額で14億6,800万円であり、夏枯れの港を活気づけるとともに、全国第3位の水揚げ港境港を代表する魚種として欠かせぬ存在となっております。

 

 境港におけるマグロ漁の歴史は、1982年、共和水産が長崎沖に初出漁したことに始まり、2005年塩釜港を抜いて以来、引き続き全国トップの座を占めております。2008年には、水揚げ金額30億円を超えるという記録も残しております。

 境港のマグロ漁がゼロから出発して今日の座を占めるようになるまでには、漁業者のたゆまぬ努力による漁獲技術や船の改良がありました。また船からあがるマグロを瞬時にさばく優秀な割裁人集団の育成等、荷受けの協力や、仲買業者による販路の開拓努力などにも支えられましたが、何よりも、排他性がなく、一漁業者のチャレンジ精神を業界全体で受け入れるという浜の男たちの心意気があったからこそ、と思うところであります。

 境港産のマグロを出荷する東京築地市場では、残念ながら、大間のマグロの半値以下にしかなりませんが、生、天然、量の多さで評価を受けております。

 高級寿司店でしか口にすることの出来なかった生マグロを誰でも食べられる程の量と値で供給する境港は、まさにこの世界の風雲児であるといっても過言ではありません。

 今回の大幅な規制が、資源の枯渇を懸念する国際世論の高まりのなかで、最大漁獲国

で、かつ最大消費団としての我が国の取り得る唯一の道であることは充分理解できますが、マグロの基地境港の存亡をかける事態であり、400人から500人といわれる関係者にとって、まさに死活問題であることも自明のことであります。

 平井知事には、先年マグロ感謝祭にもご出席いただき、境港産クロマグロのPRにも努めていただきましたし、ご理解もいただいていることとは存じますが、今般のクロマグロの漁獲規制について、就中、境港への影響について、どのように認識しておられるか、ご所見を伺うものです。

 

 

○平井知事(答弁)                      

 安田県議から、境港が今、直面しております2つの視点につきましてお尋ねをいただきました。

 まず、第一点目としては隠岐汽船の隠岐航路の本土側での寄港地問題についてであります。

今回の境港一本化、或いはそうではないという議論がありますがこういう事態をどういうふうに受け止めているのかというお尋ねでございます。

 これについては、松田町長がですね、8月19日に発言された、これは市町村長さんの集まりの会議のときに切り出されたわけでありますが、その発言が端を発しまして、いっきにイシューとしてヒートアップしてきたという感じがします。

これにつきましては、その後ですね、つい先日になりますが、9月24日の町議会で七類の案とそれから境港の案と一本化については2案あると、こういうスタンスでのお話をされたというふうにも伺っております。

 直接、松田町長とお話をしたことはありませんが、その他の隠岐の町長さんたちとお話をしたり、関係者とお話をすることは、これまでもありますが、やはり境港に隠岐の島の皆さんが特別な気持ちを持っておられる。そのことは痛感をするところでございます。

 また、隠岐会の方々とも西部の方のお医者さんとか、いろんな有力な方もたくさんいらっしゃいまして、そういう隠岐会の方々ともお話をしますが、元々出てこられたとか、  親戚付き合いがあるとか、そういうことで、海は隔てていますが、境港と隠岐とは、いわば地続きのようなそういう心理的距離にあろうかというふうに思います。

ただ、かつて島根県と鳥取県の間で色々と対立の絶えない時代の遺産が若干ございまして、過去の対立の歴史のなかで、この隠岐航路の扱いというのもそのたびに議論としてヒートアップして、右往左往してきたということではないかなと思います。

今回のことにつきましては、元々は平成18年の経営危機のことがございました。

遡ってみますと平成10年ごろのピークのころから比べますとお客様が大分減ってきているわけですね。その背景には、最近の話で言えば、ここ10年くらいで、人口が隠岐の島全体で1割以上減ってきている。

更に貨物ということで言えば、公共事業のウエイトが大きいわけでありますが、その公共事業が島根県内でだいたい半分とか6割とか、どんどん減ってきているわけでありまして、そういう状況がやはりあって、貨物の料金が減るわけでありますね。

また、旅客のほうでも、お客さんも、観光客、色々隠岐の島でも観光振興をやっておられますが、実態としては半分くらい多いときからは減ってきているという状態がありましてどうやってそれを維持するのかというのが議論になるわけであります。

平成18年のときもその過程にございまして、このままだと大変なことになるということで、航路の一本化ということが議論をされたわけでありますが、最終的には境港と七類とそれぞれの寄港地を持つということで決着をしたということになりました。

その過程の中で、安田議員がおっしゃったように島根県のほうで経営支援を12億円ほどですね、出してされたということもあり、こちら鳥取県側でも港の岸壁の減免だとか、そういう支援措置を組んだということであります。

こういう状態が実は今でも続いておりまして、安田議員も境港管理組合の内情もよくご存知だと思いますが、これについて減免するという形でこちらの境港管理組合側もやってきているということであります。

これについては、その後も経営条件が悪くなってきておりまして、なんらかこう手を打たなければならないという議論が隠岐の島の方、即ち隠岐汽船の経営者の皆さんの間で始まっているのだろうと思います。

私は最終的にはこれは、隠岐の島の皆様が利便性として航路を活用されているわけですから隠岐の皆様の最後のご判断というものが尊重されるべきものだろうと思います。

それについて絶対にどっちがどっちということは、島根と鳥取の間の綱引きのような形でやるのは、得策だとは思いません。

むしろどうやったら解決できるのかそういう考え方でこれからアプローチしていくべきなのではないかなと思います。

仮に境港のほうで一本化するということであれば、どういうことが考えられますか等、我々のほうになんらか話があれば、それはきちんと膝を折ってご相談を申し上げ、これは同じ山陰のなかの悩みでありますので、その同じ山陰のなかの悩みとしてわれわれもどういうサポートが出来るのかということは、その場合には考えなければならないだろうと思います。

ただ、現実には今、境港管理組合だとか鳥取県側にそういうアプローチがきているわけではございません。

また、結局今回も色々ありますけれども安田議員もおっしゃったように水木しげるロードなど観光との結節を考えれば、境港のほうが観光誘致としては有利性があるという面があるでしょうけど、七類のほうも駐車場が広いとかそういう有利性もあるという主張もございまして、仮に、両方使ったほうがいいという決着もあるかもしれません。

そういうような場合であれば、それを利便性という意味で山陰全体の観光を考えたときにルート化を考えたときに、どういうような更なるサポートなりシステムが組めれば隠岐汽船の利用者にとっても利便性が高まって山陰全体の観光地或いは生活の大動脈を守っていく上で有効かとそんなような工夫も考えられてもいいんではないかなというふうに思います。

これからどのように議論が展開していくかわかりませんが、私どもとしても真摯にこの議論には向き合って参りたいと思いますし、勿論境港という片方の当事者の皆様もいらっしゃいますので、境港の皆様の考えも今後、折りに触れて伺って参りたいと思います。

次にマグロにつきましてお尋ねがございました。

このクロマグロの漁獲規制について境港への影響をどういうふうに考えているのかというお話でございます。

議員もいみじくもおっしゃいましたけどもこれは海の男たち、浜の男たちの気概そのものでクロマグロが境港の名物として育ってきたと思います。

私も今シーズンにはですね、伊丹ですとかそういうところにマグロの関係者の皆さんと一緒にキャンペーンに歩かせていただきました。

やっぱり、色々な魚介類がありますけどもカニとマグロというのは別物でありまして、お客様、大消費地の皆様の把え方もぜんぜん違います。

そのマグロが日本で一番獲れるということが境港の新しいプライドになったわけでございます。ただ、ここに至るまで、まずは漁業者の苦労がございましたし、ここ数年で急速にですね、マグロを揚げた後の陸の上での後処理等に付きまして色々と対策を練ってまいりました。

例えば、冷凍や冷蔵のしくみのことだとか、割裁人のお話がございましたが、そういう技術を磨くとかですね、マグロ研究会というものも作りまして進歩をしてきました。

最初は、出始めた頃は、境港のマグロというと2級品という見方で築地でも見られてきましたが、今では処理もよく、非常にいいものだということで特に夏場、港が枯れるようなときにですね、境港は重要視されていると思います。

そういうように皆さんの本当に大きな力の結集の中でクロマグロの産地化が進んできたんだと思っております。

しかしながら、海の資源につきましては、先程、沢議員のほうからもご指摘がございましたが、どうしても乱獲が進みますと資源量が減ってしまうという隘路がございまして育てる漁業と違って、獲る漁業については、どうやって自然と共生をしていくのか、そこが問い直されるときがあります。

今、大西洋のクロマグロに続きまして太平洋のクロマグロにつきましてもそういう漁獲規制の波がやってきました。実は境港の漁業者の皆さんは、懸命に今まで自主的な規制をされてこられています。ただ、それをやってきたんですが、そこに更に今回の話が来ているということであります。議員がおっしゃるように大きな地球レベルでの問題でありますので、ある程度その大きな流れを受け止めざるを得ないと思います。

しかし、それが地域の産業に甚大な影響を壊滅的な影響を与えるということがないようにしなければいけませんし、やはり、未来まで見えるような、そういう将来展望が開けるような形で物事を進めていく必要があるだろうと思います。

正直申しまして、まだ不透明感が強うございまして、注意すべき時期だと思っております。

中西部太平洋クロマグロ類委員会の北太平洋の会議が9月1日から4日まで福岡で開催されまして日本側のほぼ想定どおりの形で、一応の決着ということになったのではないかと見ております。

そうは言っても、その中で決着したのは未成魚の部分でございました。30キロで線を引くわけでございますが、未成魚につきましては、これは2002年から2004年の水準から半減をさせる、ざっと見て我が県から見て4,000トンレベルということになります。

そのうちの2,000トンが巻き網という配分になるのではないかというふうに考えられているわけでありますが、その2,000トンの巻き網のなかで、どれ程がこの地域に割り当てられるのかは、まだ不透明であります。

こちらの方は半減というドメスティックな制限となりました。

あともう一つは、成魚のほうですね、こちらのほうにつきましては、2002年から2004年の平均水準をキャッピングにしましょうと。

実は、その程度のことは今までもやっていた話でありまして、仮にそうであれば、この成魚については、境港にはそこまで大きな影響はないのかもしれませんが、ただそこはわからないです。

2002年から2004年のときには、実は境港の漁獲量が低かった時代でございまして、そこからスライドさせてくるのか、或いは現状レベルを追認するのか、この辺の決着がまだ見えていないところでございます。

ただ、それに上乗せしたことをするのかどうかについては、これまで我々も水産庁の方に働きかけに行ったところでは、更に上乗せするようなことまでは考えていないようでありますが、どういうふうにそのスキームを組むのか、これからが正念場ということになるんではないかと思います。

未成魚のほうはぐっと減りましたけども、境港での漁獲高から言えば、やはり成魚のほうが圧倒的に多いです。

しかし、問題はですね、我々大中巻き網の船団で出て行くわけではありますが、巻き網船団では、未成魚と成魚を区別して獲ることは出来ないわけでありまして、枠の小さな未成魚がある程度ロットで掛かります。

そうなると、あるところで成魚も含めて獲れなくなるということになるわけでありまして、未成魚の割り当てがあまりにも過少になりますと成魚のほうの量にも影響してくるということになります。

このマグロでありますが、陸に上がった後の割裁人から仲買から流通から場合によっては加工から、色々流れていくわけでありまして、そういうところへのいわば、川下への影響を考えますと、この動向について我々としても注目をしていくところだと思います。

これは境港の関係者の方ともよく話し合いながら、今後作戦を練ってどういう活動をしていくのか、よく協議をしてみたいと思います。

一気にこう、反対、反対ということでもいけないだろうと。地元の空気はそういうところでございまして、今後、具体的なロケーションが出てくる、その動きに従ってですね、私どもといたしましても必要なときには意思表示をしていくと、働きかけをしていくというような戦略で望まなければならないのではないかと思います。

 

 

  安田議員(追求質問)                  

ご丁寧にご答弁をいただきました。

 最初の追求質問としてクロマグロのことから追及をさせていただきたいと思います。

知事には大変深くご理解をいただいておりまして何も言うようなことはございませんが、敢えて加えさせていただきますと、もうご案内と思いますが地元ではこの問題につきまして、資源保護のためには、やはり未成魚については納得せざるを得ないのではないかということで、ただですね、急激な規制の強化というものについては、あまりにも大きな経済的な影響が懸念されるというので、これまで段階的な削減というのを国にも求めてまいりました。

 それで水産業界だけではなくて、市や商工会議所とも一緒に要望をしてきたような経緯がございます。しかしながら、今お話しが出てきておりますように、未成魚について大変厳しい規制となった。更にその上追い討ちをかけるように成魚についても措置が講じられるという事態を迎えてしまったわけでございます。

 知事もおっしゃってくださいましたが、成魚については日本海でマグロ漁を操業する大中型巻き網業者組織において資源確保のために、自主規制2,000トンを上限値として、既にこの数字を実施してきておりますし、この数字というのは、境港のマグロ漁を支えて継続していくというそういう意味で譲ることのできない数字でございます。

 しかしながら、今回その2,000トンというのの半減も考えられるのではないかというような大変厳しい事態に至っております。

 その上、知事もおっしゃってくださいましたように巻き網船団の特徴というのがございます。

 未成魚、成魚どちらかの量が上限値に近づけば出漁そのものが出来なくなるというこういう境港の大きな特徴があるわけでございまして、地元としては、やはり納得しがたいものがあるのであります。

 資源管理というのは、知事も言われました、私も申し上げましたように必要なことであることは、誰しも否めないことではございますが、今、マグロ漁というのは、生産者のみならず、荷受、仲買、流通、製氷そしてたくさんの飲食店等々、大きな裾野に広がっております。その影響の大きさというものを国にも考えて貰いたいと思うのです。

 知事には地元と協議をして、これからも国に対して要望をしていただくということでございますが、その見通しについては、如何ように受け止めておられるのか、地元を力づける様なご答弁を期待して追求質問をさせていただきたいと思います。

 

 

  平井知事(答弁)

 

安田議員のほうから重ねてクロマグロについてお尋ねがございました。

議員も危機感を今、おっしゃっていただきましたように、せっかくここまで育ててきたクロマグロという大切な鳥取の特徴ある水産です。

 それをこれからも持続可能な形で産業活動に寄与していかなければなりません。

 この大命題は、地元の境港市の皆様と私ども県とも共有をして参りたいと思います。

 これからどういうふうに動いていくのかというのは若干不透明でありますが、12月に中西部太平洋マグロ類の委員会が開催をされる、年次総会が開催される。そこで最終的には一つの決着が図れるでありましょうし、国内での配分ということについて水産庁も関わりながら、出て行くのだろうと思います。

 8月12日にですね、境港市長とか漁業関係者が行かれたときに水産庁側のお話しとしては、我々も同様のことを聞いておりますが、未成魚と成魚との区分けをいじるだとかそういうようなさらにドラスティックな影響のあるところには手をつけませんということでありますので、成魚のほうについては一定の歯止めはかけながら、日本国政府も運用していくだろうというふうに思われます。

 それもひとつのポイントになろうかと思いますが、その際に2002年から2004年の数字を使ってはいますけども、現状の漁獲の現状をどのように考慮していくのか、この辺を今後よく水産庁のほうに植え込んでいくということ必要であるだろうと思います。

 この鳥取県など境港の場合、日本海のなかのマグロの漁獲が問題になりますが、私どもとしてもここ数年については、2,000トン未満という自主規制をですね、日本海水域でやってきたわけでありまして、そういう努力を政府の方も日本国政府としても認識をしてもらいながら、やっていくのがまずひとつのポイントかなというふうに思います。

 あと未成魚については、過少な配分にならないように。この辺が2つ目のポイントなのかもしれません。なかなか難しい、日本だけが禁を破れば韓国も禁を破る。そういうことになってきますとマグロ全体がなくなってきてしまいますので、なかなか難しい課題ではありますけども、踏ん張りどころとして地元の皆様と一緒に国に対する働きかけ等取組んでまいりたいと思います。

 

 

  安田議員(追求質問)

 

 マグロにつきましては、地元と一緒にという知事のご答弁をいただきました。

 これから実際の漁獲量の割り当てが論議されるときが至ると思いますが、ぜひ大きな力になっていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 隠岐航路の問題でございます。知事は8月の松田町長の発言、境港一本化論のときに記者会見で今日と同様のような答弁をなされておりました。

 すなわち、隠岐のご判断であるというような話を私も読ませていただきました。

 しかしながら、この問題はこれまで島根県側が大変強く一本化というものを図ってきている。それに対して鳥取県側が一生懸命、抵抗、対抗してかろうじて現在の二港体制というのが痛みわけというような結果論として私は現状を見ております。

 知事が今言われたように両方という決着もあると、そういうようなスタンスでは少々甘いのではなかろうかなという危惧をもっているわけでございます。

 一本化というのがどうしても必要であるという隠岐の或いは隠岐汽船の意向というものもございます。

 このままいくと七類港一港化という事態になりかねないという危惧を持つわけです。

そうなれば境港にとって、先程壇上でお話させていただきましたように境港と隠岐との深い、永いご縁が途切れてしまう。そればかりか、境港が唯一持っている国内航路というものを失ってしまう。これはとても大きな問題であろうかと思って質問に立たせていただきました。

 知事がおっしゃるように、今後、隠岐4ケ町村や隠岐汽船がどのようなご意見を出されてくるのか。そして島根県や松江市がどう対応されるのか、その状況を気をつけて見守らなければならないと思います。知事には的確な政治判断が求められておりますし、迅速な対応が必要な問題ではなかろうかと思っております。

 おっしゃたように歴代の知事がこの問題では苦慮して対応をしてきておられる政治課題でもあります。間違っても平井知事の時代に隠岐航路が境港寄港を止めるようになったと、こういうようなことがないようにだけはしていただきたいというのが私の願いであります。

 政治家平井知事を信頼し、期待をしながら、私があまり突っ込んだ質問をしますと悪い方に影響するといけませんので、このへんで止めておきたいと思いますが、知事の決意の程をお聞かせいただきたいと思います。

 

 

  平井知事(答弁)                      

 

議員の方から重ねて隠岐汽船につきましてのお尋ねがございました。

これにつきましての基本方針は、先程申し上げたとおりでございますが、平成18年

度に、経営再建のときに航路の工夫をしなければならないと。これが一本化の根拠というふうに言われておりますが、そこのところの書き方としては、6つの港に寄っているものをどうするかという書き方なんですね、実は。

 ですから、知夫だとか西郷だとか来居だとかですね、そういう隠岐側のものもあれば、本土側のものもあると。そういうものをどういうふうに航路を再編していくのかという問題提起が残った形でこれをどう紐解いていくかということで多分、松田町長の発言がでてきているんではないかなというふうに思います。

 これについては、隠岐の島の皆様のまず、観光だとか生活の足として絶対なくてはならない、隠岐航路を残さなくてはならない。そのためには持続可能な形にしなければならないという痛切な思いがありますし、その問題状況を我々本土側も理解しなければいけないと思います。

その上でどういうふうに、解決をすべきなのかということで、向こうの方からも問題提起があれば、我々もそれに答えて出来るだけの力を出していくということだろうと思います。

 ちなみに本県につきましては、私は、おっしゃたように8月の記者会見の頃からですね、こういう趣旨で申し上げていますが、隣の溝口知事も今回の島根県知事は同じように隠岐の島の人たちの最終判断でしょうということをおっしゃっておられまして、多分、基本的なスタンスとしては、そういう大くくりのところでは、同じような土俵の上で話を今後もしていくのかなという気持ちでおります。

 いずれにいたしましても、境港なりですね、そうした他の関係地域の皆様のご意向もしっかりと踏まえながら、この隠岐汽船の経営の安定化問題に、我々も我々の立場で寄与して参りたいと思います。


 

 

 




 

 

 

 




 

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