平成29年11月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

 

県立高校における遠隔地からの生徒受入れについて


 

 平成16年、当時大きな問題となっていた、不登校等の理由で挫折した生徒を受け入れる高校として、鳥取市に緑風高校が新設されました。
 県下全域からの入学を認めていることから、様々な理由で学校に行けなくなってしまった子ども達が持つ、誰も知らない新しい所で生まれ変わりたいという願望を叶えるために、また、親と一定の距離を置くことの効果も併せ、是非、寮を設置して欲しいと訴えましたが、かないませんでした。
 実際に、開設初年度に境港から入学した生徒がいて、その成り行きを案じていたところ、やはり、アパート暮らし、自炊、部活動をこなしながらの学校生活に耐えられず、早々に退学したと聞き、忸怩たる思いを禁じ得ませんでした。
 さらに、今年の春、県セーリング連盟恒例の全国高校選抜ヨット選手権大会に参加してくれた隠岐水産高校の生徒のなかに、倉吉出身の生徒がおり、何で境港総合高校に来てくれなかったのかと尋ねたところ、「だって寮がないんだもん」との返事に、今さらながら、この問題に向き合う必要性を感じた次第であります。
 現在、本県では、すべての県立高校において、県下全域からの入学を認めております。さらに、平成28年度からは、スポーツ部活動の活発な学校等8校においては、県外生徒の入学も受け入れております。
 少子化の進行はとどまること無く、多くの高校が自校の魅力を特化、看板にして、県内外を問わず、遠隔地からでも生徒を受け入れていかねば生き残れないというのが実情であります。
 現に、平成10年度は県下に28校あった県立高校は今や24校に、学級数も154から来年度は104へと縮小再編が進んでおります。
 しかるに、寮が整備されているのは、倉吉農業高校と中央育英高校の2校しかありません。既に県外を含め遠隔地からの生徒を受け入れている学校は、その対応に大変苦労しておられます。 募集はするがその生活については何の保障もしないという現状は、余りに無責任と考えざるを得ませんし、このまま放っておけば維持出来なくなる学校も出る可能性も否定できません。山本教育長のご所見を問うものです。

 お隣の島根県では、財政破綻に直面したまちの未来を教育の力で輝かせよう!ローカルの課題をグローバルな視点で考え実践出来るグローカル人材の育成こそ地域創生の核となる、という高い志をもって高校存続に取り組んだ海士町と島前高校の成功事例を全県下に波及させようとする高校教育魅力化推進事業が展開されております。
 平成23年、島前高校を視察された溝口知事が生徒との対話の中から発案され、スタートしたという事業で、島前高校改革の立役者岩本悠氏を県教委に迎え入れ、所管課長には前島前高校校長を据えての体制であります。
 現在、県立高校35校のうち、15校で実施されており、地元自治体、地域、高校の3者からなる11の協議会への活動支援を主な柱に、本年度は1億5千万円の事業費が投入されております。
 しまね留学と称する県外生の募集についても、知事部局とタイアップするほかに、独自に県外での説明会を開催したり、県内高校を巡るバスツアーを実践して、事前に生活の場となる寮も見てもらう等の積極的な活動が展開されております。将来的には、高校と小中学校を連携させ、ふるさと教育として集大成する方向であります。
 その取組の結果、成果を資料1、2、3、4として議長の許可をいただき、皆さんのお手元に配付しておりますので、御覧ください。
 この島根県教委の取組に対し、山本教育長はどのような感想を持たれたか、お伺いします。
 島根県教委は、「うちは、鳥取県のように高校再編に成功しなかったからですよ」と、こともなげに言われましたが、教育長は本県の高校再編についてどのように総括され、今後の方向性についてはどのように展望されますでしょうか。
 私はこの度の質問にあたり、多くの高校を視察させていただきましたが、やはり島前高校と同校を支える周辺の多彩な人材には圧倒されました。
他所の高校ではなかなか実現出来ないけど、やっぱり必要と言われている島親、里親となって寮生・学校を支える地域の人たちの存在はもちろんですが、帰国子女や外国からの留学生を含めた意欲的な生徒達、やる気満々の教師陣、天下の松江北高から赴任された校長先生にも驚きました。寮や学習センターのスタッフにも、全国から志を持った若者が集まっております。
 県からも2名の若者が行っておりました。

 霞ヶ関の役所を辞し、他県での教職を捨て、一流企業やIT企業に見切りをつけた人たちが、自らの高い能力と先端技術を駆使し、国内外に広がる人脈を活かして、一人一人の生徒の夢実現に力を貸している様子を見て、ここに新しい教育が、新しい国づくりが始まっていることを実感するとともに、山内町長が唱えた「まちづくりは人づくり」が半ば達成されたのではないかとさえ感じた次第です。
 そしてその流れが海士から島根県全域に広がりつつあることを知り、私は、何年後、何十年後の両県の未来を想像せざるを得ません。
 この流れの発端が、僻遠の地から狼煙を上げた山内海士町長であり、狼煙を全県につないだ溝口島根県知事の英断であったことを思うとき、平井知事にも本県教育にもっと強くコミットしていただきたいと切望するものです。
 東京一極集中、少子高齢化、人口減少による地方の衰退と言いますが、そのような地方の課題を解決しようとする人材がいないということこそ、地方の衰退に他ならないのではないでしょうか。
 将来にわたり、持続可能な鳥取県を目指し、企業誘致に、移住定住促進に、子育て支援に頑張っておられる平井知事から、本県における教育振興、人材育成について、ご所見を伺いたいと存じます。




  平井知事(答弁)





安田優子議員の一般質問にお答えを申し上げます。

教育長と同様に私のほうにも教育についての考え方、そしてその周り、地域全体で教育振興を図るというそのことの尊さについて、考えをお聞きしました。

安田議員ご自身も教育者として、長くそういう色々とご経験も踏まえながら、人を教えること、また、それが地域と関わりながら、学校というものが存在することにつきまして深いご認識をお持ちと拝察を申し上げております。

そういうなか、海士の隠岐島前高校のお話がございました。ここのすばらしいところは、単なる学校ひとつの問題ではなくて、地域のあり方をこの学校をひとつのモデルとして、やっておられることであり、移住者を今呼ぼうと各地が一生懸命になっていますが、それを教育のレベルでもやはり、子どもたちに未来を開くために、この隠岐を使ってくれとこういうフィールドを提供し、また、新しい親子関係のような関係、それから、その子どもたちが地域で活動される。

それによって還元する、そうした地域作りのエネルギー、そういうものが融合しながら町全体が変わり始めていることではないかなと思います。

この海士町の地域づくりを指導しておられる、山内町長ご自身も、実は鳥取県の琴浦にご縁がございまして、そのDNA自体は鳥取県民のものと言ってもいいのかもしれません。

同じ山陰のこうした良き例というものを我々としても、ぜひ取り入れたいというふうにも思っております。

そういう意味で、教育委員会が今、特色ある学校づくりを地域と一緒になってやろうとここ数年間、我々も財政面等でサポートさせていただいておりますし、また今月も町長さんたちと出会いますが、日野郡の3町の町長とはよくこの話をさせていただいておりまして、日野郡との協議のなかでは、日野校問題というのが常に取り上げられます。そこで役割分担をしながら、地域で手を組んでやっていこうというふうになってきておりまして、そうなかで今、例えば片平さんという方が来られまして、そうした学校作りを或いは地域との関わりを今、指導していただいているわけです。 

まだ充分な成果が届いていないかもしれませんが、例えば最近ソフトテニスを復活させようとかですね、それから日野町の役場のなかで、高校生が自分たちがボランティア活動として、それを支えていこうとか、そういうことがだんだんとでてきているようにも思います。

また、岩美町におきましても、やはり、地域おこしのコーディネーターなどが協力をしまして、例えばアニメをいかした街づくりの伝道であるですとかですね、地域を学ぶような活動。こういうものをおこしたりされています。

ただ、まだまだレベルとしては、海士町或いは島根県の域には達していないところもあるのではないかなというふうにも思われます。

そういうなか、ただそれぞれの高校等でも特色ある教育もあって、寮生活も含めてやっておられるところもあるわけでありまして、倉吉農業高校。こちらのほうでも先般全協で活躍した宮崎さんという高校生がいらっしゃいましたが、全協の4区の説明をされた。そういう大役も担われたわけでもありますけれども、普段は寮生活をしながら、酪農中心であろうかと思いますが、別の牛作りに勤しんでいらっしゃる。こういうように親元を離れて生活をしながらですね、学ぶことの大きさというものもまたこれあり、なんだというふうにも思います。

私ども知事部局では、実は、私学の振興のほうに力を入れておりまして、昨日も米子北高校門脇校長や城市監督などお見えになりました。

高校生がこの度、年末年始の全国サッカーに駒を進めた報告でありますけれども、おとといにも昌子源選手が見事にロングゴールを決められたわけであり、それが米子北校の出身でございまして、あのポジションを守っていること自体が、それが当時米子北でのポジションということもあったわけでありまして、世界に通じるような選手を生み出してきていると思います。ただそれだけではありません。

例えば、看護の人材作り、そういう面でもございまして寮生活をおくられる子どもたちも含めて、そうした基盤を米子北校のほうは持っておられます。

あと、鳥取城北も非常にそういう意味では特色ある教育をし、最近相撲が有名でございますけれども、それだけではないわけでございまして、今、活躍されている安田大サーカスの安田団長であるとか、或いは能美選手であるとか、県外からも今ときめく人材があの学び舎で学んだということもございます。      

本県でもそうしたことがやってできないわけではないですし、公私の教育の別もなく、出来ることも本来は多いのだろうというふうに思うところであります。

鳥取県の伝統として、私たちが受け継いでいるのは、やはり人を育てること。それを地域として、いわば国家的な課題、ふるさと創生をおこしていく、地域をおこしていくその前提条件を整える大切な課題であると長く捉え、努力をしてきた先人がいるわけであります。

この県庁舎の真向かいのところに、ひとつの石碑が建っているわけであります。

尚徳館碑といわれるものであり、議員もこちらに来られる途中で、見上げられることも多かろうかと思います。

あれは、水戸家からですね、こちらのほうに来られました池田慶徳公のときに建てられたものであり、そこに絵が書いてありますが、これも藩絵師の優秀な絵であるというふうに、現在では分析をされているところであります。

そこに記載されていますのは、人君治むるに道二つ。それは、ひとつは文であり、ひとつは武であるというふうに書かれているわけであり、人臣の道もまた同じというふうに書かれているわけであります。

当時は、今激動の時代であり、人材を作らなければ鳥取という地がどうなるか、先が見通せないような危機感があったと思います。

また、国全体でも海外との関係なども浮上しておりどうしようか、その中心にいたのも鳥取藩でありました。あの明治維新から150年というときを今迎えているわけでありますが、あのときそうやって尚徳館の碑を建てて人づくりこそ私たちがまず、やらなければならないことだと、誓い合ったそのことを私たち今一度、思いおこしてみる必要があるのではないかと思います。

教育委員会のいろんな考え方をこれからもよくフォローさせていただきまして、今日のご質問を今後に生かさせていただきたいと思います。

 

 

  山本教育長(答弁)   

                    





安田議員の一般質問にお答えを申しあげます。

県立高校におきます遠隔地からの生徒受入れということを皮切りに、県立学校のあり方につきまして、広範にわたりご質問を賜わりました。

質問の順番とは答弁の順番が変わるかもしれませんけれども、本県の高校再編、これまでやってきた高校再編等のところから説明をさせていただきますが、かつて平成10年から16年にかけまして、1,100人を超える大幅な生徒減が予想されるということから、そうしたことへの対応ということ、そしてまた当時多様な進路希望を保証をしていく必要があるという議論のなかで本県でも大きな再編ということに取組んだわけであります。

その際には、東部・中部・西部それぞれ圏域があるわけでございますが、その圏域のなかで一通り生徒の進路希望にかなえるような、そんな配置をしていくという基本方針をおきながら、再編を行ったわけでございますが、当時28校あった県立学校を22校に  再編するという本当に大規模な再編をいたしたわけでございます。

そのなかには、新たな発想の元に、例えば日野高校におきます総合学科の導入でありますとか、境総合技術高校のように総合選択性を導入するといったような新たな試みも  入れながら取組んでまいったところでございますし、お話がありましたように平成16年度、17年度には、米子白鳳高校、そして、鳥取緑風高校という定時制、通信制の独立校2校を新たに設置するなど、大規模な教育改革にも取組んだところでございます。

この改革では単純に学級減だけではなくて、再編することも伴ったわけですけども、より生徒に多様な進路保証をしていこうということができたというふうに考えておりますし、また極端な学校の小規模化というのを避けて、学校の活力を一定程度維持することができているのではないかなというふうに思っております。

個々の学校の再編統合については、今でも地域によっては、いろんな意見を承ることがあるわけですが、おおむねそうしたことについて、成果を挙げてきているのではないかなと思ってきております。 

こうしたことをくぐりながら、今現在もまだ引き続き生徒減についての対応をせまられているわけでございますが、この度平成31年から37年の間にもやはり400名弱の生徒減が予想されまして、その間の学校のあり方について先般まで検討を進めてきたわけですが、そのなかで、すでに1学年3学級1学年2学級という小規模な学校も既に存在をしていたわけでございまして、そうした小規模な学校の在り方をどうするのかということが、大きなテーマとなってきていたわけでございます。

そんななか、島根県の隠岐島前高校の取組みが非常にクローズアップされてきておりましたので、私も早速、隠岐に渡って視察をさせていただいた次第でございましたが、そのとき少し驚いたのは、隠岐島前高校の視察に行ったつもりだったんですけども、そこに集まってこられたのは、町長さんであったり、町の財政課長さんであったり、またお話にあったように岩本さんであったりというようなことで、学校がどちらかというとあまり目立たないようなかっこうで、高校改革が隠岐では進んでいたということでこれはひとつ小規模化の学校をどうするかということのポイントのひとつは地元との連携だなとそのとき思って帰ってきたわけでございます。

ちょうど日野郡のほうで日野高校の活性化について町長さんも非常に関心を持ってご議論をいただいておりましたので、色々な話をさせていただきましたけども、地元の協力をしていただくというのも大きなポイントですよというお話をさせていただきながら、その後話を進めていったわけでございますが、そうしたことも含めて、この小規模校の在り方について、この度は再編するということではなくて、むしろ地域の活性化のなかでかかせない存在であるというような位置づけを学校に、そういった役割を持たせていく、そうしたことが必要ではないかという観点から基本方針というものを定めて取組んできているということでございます。

その際、生徒も確保していく必要もあるわけでございますので、これは島根の取組みなども多いに参考にさせていただきながら、県外からも生徒が募集できるようなそんな魅力化を図りつつ県外の生徒も鳥取に来れるような、そんな制度を作ろうということで平成28年度から県外募集の制度を作って取組んできているところでございます。

まだまだこれは緒についたばかりでありまして、島根のように何百人もということになってないわけでありますが、これは希望のほうも各学校現場も含めて広がってきておりまして、この議会でもご議論がありその募集枠の上限を定めておったんですが、それをもう少し拡大をしてですね、たくさんの県外からの募集もできるようなそうしたことも行ってきておりますし、また、県外の移住定住の説明会にも出掛けて行って県外募集していますよということをPRをしたりというような取り組みも始めてきておるところでございまして、そうしたことで県外の、当然学校の魅力化があるわけですけど、それを元に県外からもしっかりと募集できるようなそういうような取組みにも力を入れていく必要があると考えておりまして、そうしたことにつきましても今、来年度どんな取り組みをするかについて検討を進めているところでございます。

そうしたことをやりながら進めてきているわけでありますが、一方で県外から募集するにあたりましては、お話がありましたようにその生徒の住環境を含めた環境整備をどうするのかといったことがひとつ課題となるわけでございます。

そうしたことにつきましては、寮がある学校については、いいわけでですけども無い学校をどうするのかといったことについて、これは様々な方面から検討をしておるところでございます。

ひとつは下宿先を地元と協力しながら探していくということを一方ではやっているわけですけども、それだけでは充分ではないのではないかというような学校現場のほうの意見もあり、今進めておりますのは、日野高校は今は寮は動いていなかったわけですけども、そうしてことで県外から募集をするということを始めましたので、この寮を町と協力をしながら、連携をしながら再開をするといったことを今進めているところでございます。

せっかく再開するに当たっては、単なる寮の機能だけではなくてそこで学習塾のようなしっかりと勉強できるようなそんな仕掛けも考えられないかというようなことも今検討を進めているところでございますし、岩美町では県外から来る生徒に対して助成金をだして少し、下宿の費用なども手助けをしようというようなこともしていただいています。

そんな働きかけも県も行いながら、取組んでおりますが、あと各学校には合宿所というのがたいていの学校にはあるんですが、その合宿所を少し改修することで上手に対応できないだろうかということも検討しておりますし、また、既に廃止予定の県の職員住宅、そんなものも活用できないかというような検討もしております。

また、民間の不動産会社が持っておられますシェアハウスのようなところで、空きがあればそういったものが活用できないか、そういうようなことも含めて様々な検討も行っておりますし、また、地域から子どもさんが出て行かれて、お孫さんが今都会に住んでおられるそのお孫さんがおじいさん、おばあさんのところに帰ってきて下宿をするような孫留学のようなそんなこともできないだろうかというようなことも検討をしておるところでございまして、いわば、さまざまな角度からこの問題解決に向けて、県教委のほうも今、汗をかきながら、検討を進めているところでございまして、いずれにいたしましても県外から募集をするということで責任を持って住環境などの整備も行っていく必要があろうかと思っておりますので、ここをしっかと検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

また、この島根県の取組みにつきましては、おおいに参考にさせていただいております。県内でも、今島根のほうではそれを全県に拡大をしようということで取組んでおられるわけですけども、これ実は、さきほどお話がありました岩本さんがいろんなところの視察を受けるなかで、隠岐だからこの取組みができるんじゃないのと散々言われたらしくてですね、それは隠岐だけではなくて、この手法というのはどこでも出来るということをぜひ自分としても証明したいということで、これは島根県の教育委員会或いは島根県の執行部あたりともそういう話をまとめられて、それを島根全体に広げていこうという岩本さんの強い思いも一方ではあったようにお聞きしていますが、いずれにしても手法としてそれぞれの学校がそれぞれの地元の自治体と連携をして協議会のようなものを作って、色々魅力化について議論していくといったことについては、本県でもそれぞれ日野でありますとか岩美でありますとか智頭あたりでもそうした会を作って取組みを進めておりますし、そこで話し合ったことを実現するために地元の自治体からも色々支援をいただく、或いは、学校のほうは学校裁量予算という制度を作っていただいておりますのでそれを使って進めていく。そんなこともやっているわけでございます。色々鳥取県でも島根を参考にしながら、取組んでいるところでございまして、引き続き学校の魅力化をしっかりと図りながら県外からも生徒が呼んでこれるようなそんな特色づくりを進めて参りたいと考えているところでございます。

         

  安田議員(追求質問)






教育長には前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。

知事からもお話を聞かせていただきました。

私はですね、知事は尚徳館のお話をされましたが、幕末のころ各藩がやはり人材の育成ということに力を注いで米百俵の例えもございますように最後はやはり地方、藩を担ってくれる人材をどう育成していくのか、それが大きな課題であったその頃は、幕末から維新にかけて、京、東京、そして地方と藩士が日本全国をかけづり回って大きな人の流動化があったと思います。

そして、第二次大戦の後、戦中、戦後疎開と称して都会から田舎に移り住んだ文化人たちに刺激されて地方も活性化をした時期もありました。

今また、そういう移住定住そして地方への留学という形で大きく全国で人が流れているそういう時期をむかえているんじゃないかと基本的に認識をしております。

ということは、今新しい時代が模索をされている、始まっていこうとしているそういう時代ではないかというふうに認識をいたします。

そのような時代にあって、この鳥取県を担っていく私たちの子や孫の世代、その人材をどう育成していくのかというのが、今、私は県政で最も大きな課題ではなかろうかというふうに、このたび捉えるにいたりました。

それで、そのための高校再編への県教委の取組みでございます。これまでに、先ほどお話がありましたように子どもの数というのは、捉えられるわけです。この先、以前からずっと。それに併せて、どこの学級を減らしていこうか、どこをどう統廃合していこうかそういう形での再編計画であり、実施ではなかったのか。

平成10年からこの間、6校が減っております。学級は50減っております。この先も31年から37年にかけて367人の子どもが減る。10学級減らさなければいけない。それに対応して計画をたてていく。

そのような県教委の対応でいいのでしょうか。ということを今日は山本教育長に言いたくて、あまり教育委員会には質問をしなかったんですが、立たせていただいた次第であります。

そして、島根県では、逆に県立高校だけで5学級分、平成23年から増やしておられる。184人。私立を含めれば、もっと多くの人数を増やしておられる。そういう対応です。海士町の山内町長が地元にいなくて外から岩本君を呼んだ、余所者若者を呼んだ。そして役場にコーデイネーターと称して隠岐島前高校との繋ぎ役で据えた。 

だけど岩本君は3年間高校の中に入れてもらえなかった。教育界は壁を作って純粋になかで自己改革だ、再編だ、頑張るんだとおっしゃるその結果、今全国の学校でいじめ問題、不登校問題、自殺者、多くの問題が沸き起こっております。

本当に自分たちだけで解決できるというそういう方向は、もはや壁にぶち当たっている。

そういうふうに考えます。お隣の島根県は大変古い県です。伝統文化を重んじる保守的な県です。それが自分達の生き残りをかけて、今まで敵対状態であった岩本君を県教委のど真ん中に据えた。私はこの島根県の懐の深さは本当にあっぱれだと思いました。今、知事は教育委員会の方向を見てというお答えでした。私はそんなことでは、生ぬるい。知事自らが旗を振っていただき人材育成に乗り出していただきたい。

今、この議場でこの間言われているのは、求人難であり、人材育成、農業新規就労者云々ということであります。

それが今、鳥取県にとって大きな課題になっております。このことを答える意味でも鳥取県の教育というのを根本的に考えていただきたい。

私は島前高校に行ったと同時に隠岐水産にも行ってまいりました。

隠岐水産は水産県島根の宝として隠岐水産と浜田水産を位置づけて県外から全国から生徒が集まるそういう高校にすると、県教委がきちんと平成21年に基本計画を定めて頑張っておられます。

資格を取得するのも全国トップレベル、就職率も100%。大変な水準にある、明治40年開校ですか。それは自信を持って取組まれておられました。

わが鳥取県は、境港だけでも水揚げ200億、出口にいけば600億、700億と言われている水産県です。水産高校をなくしてしまったことを今更ながら私は悔やんでおります。

そして、隠岐水産高校の取組みと全国から集まっている生徒たちを見たときに、わが鳥取県に倉吉農業高校という隠岐水産よりも歴史の古い、そして農は国の元なりという立派な額も掲げてある本当に国レベルで輝いてきている歴史と伝統を担い、そして学校の環境も本当に誇るべき立派な学校がございます。

寮もあります。さきほど知事からも言われた畜産で後継者のお嬢さんに私も出会いました。なんで、ここをもっと全国にPRなさらないんですか。

こういう立派な学校があることを私は県議会に出ておりながら10年以上に渡って知らなかったことを恥じております。誇ってください。そしてもっとPRしてください。定員が空いております。そういう意味で私は知事から再度、本県の人材育成について更なるお力添えをもっと先頭にたっていただけるようお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。それから、教育長については、日野校にも行ってまいりました。島前高校は島根県に波及しただけではなくて、鳥取県にもそういう動きが芽生えてきているこの動きをしっかりと応援していただきたい。

同時に日野高校、岩美高校にとどまることなく鳥取県教育委員会として、鳥取県としてどういうふうにそういう衰退していく地域を担っていく高校、人材をどう育てていくのかということについて具体的なマニュアルをしっかりと作っていかなければ、あの高校はこうだった、今度はこうですかということになりかねない。

場当たり的な対応ではいけないと思います。そのことを含めて私が聞いた限りでは、1校に1つの寮というのは無理だろうけど、せめて各地域に一つくらい高校を超えて寮を作ってもらいたいなという声を聞きました。

知事はお二人のお子さんを高校時代、県外の高校にだされ、寮を経験されているだろうと思います。

私は寮というのは、非常に意味のあるものではないかと思っておりますので、そのことの寮生活というものの意味合いも含めて必要性についてご自分の体験からもお聞かせを願えればと存じます。

よろしくお願い致します。               

 

 

○平井知事(答弁)

 

安田優子県議から重ねて教育問題につきましてお尋ねをいただきました。

結論から申し上げれば、今議員がおっしゃったこと、実は私も10年余りこの仕事を担当させていただいておりますが、当初から思っており、私自身も挑戦していたことと実は完全に一致をしておりまして、むしろ心を強くさせていただきました。私も就任して以来ですね、先頭に立ってやれとご叱正を賜わりましたけどもなかなかそれがやりにくい現実に最初に直面いたしました。

例えば情報公開の問題があったりですね、例えば土曜日授業等もそうでありますけども、実は学校教育の現場は確かに大切なんですが、それを活用して実際に人づくりに期待をかける地域や親御さん、また、もちろん子ども達も含めてそういう当事者の皆さんのその思いがやはり、教育システムのなかに入っていかなければならないだろうと。  

そういう意味で教育委員会の外であってもそこからやはり物を言っていけるような仕組みというのをもっと作る必要があるのではないかということを今、議員もそういうことを強く強調されておられました。

そういう意味で最初にまずは、教育の中身のことをしっかり知ってもらう必要があるということで、それで情報公開の問題等も鳥取県らしく、すっぱりといこうということをご提案をし、運用させていただくにあたりまして、ただそれは子ども達のためなので、学校の現場を活性化したいというその一念で皆さんが情報を知りたいと言っているわけですから、1億円事業と称しましたけれども学校現場を活性化させる枠予算を我々執行部としてできること、最大の事をプレゼントもさせていただきながら、そうした橋を渡ったわけであります。

その後平成24年に教育振興協約というものを作らさせていただこうと。これは執行部側と県教委との間で橋渡しをし、大枠のことは一緒に考えていきましょうと。そこで決まったことは我々執行部側も予算も含めてサポートしましょうと。そうやって教育改革を進めやすくしようということを提案をさせていただいたわけであります。   

その翌年には、有識者の方も入っていただいて、教育協働会議という会議を立ち上げました。これで、議事録などを見ていただければお分かりいただけると思いますが、私学の現場の方々やPTAの方々などそうした各方面のみなさんが、自由活発に議論をされまして、そこで出てきたアイデアがこの教育協働会議のなかで盛り込まれ、振興協約になり、それが例えば土曜日授業の全市町村での実施にも繋がってきているわけであります。

なかなか独立行政委員会もすばらしいシステムではありますけども、ただそこに民意がどういうふうに入っていくかそこのシステム作りが大切であるということを痛感した10年でありました。

実はこの鳥取県のやり方が文部科学省も採用されて、今総合教育会議という会議、それから大綱を作るというやり方、これはいずれも我々がやってきたことの丸写しのようなそういう制度が今全国で行われるに至っているわけでありまして、やはり、我々がチャレンジしてきた道筋というのは、正しいものもあったのではないかなというふうにも関係者もおっしゃってくださっているところでございます。

そういうなか、今議員がおっしゃったようにいろんな地域との協働関係や工夫をし、また、寮生活も含めたタブーと従来はされているのかもしれませんが、そういうことも破っていく挑戦も必要ではないかというふうに思います。

マララ・ユサフザイさんがおっしゃっておられましたけれどもone child one teacher and one pen one book can change the world と言っていました。         

一人の子ども一人の先生そして1本のペン1冊の本それこそが世界を変えるのであると。学校の必要性これを強く世界に訴えてノーベル平和賞をとられた少女の言葉であります。

そういう思いというものは、世界中に通じるものであろうかと思います。別に学校の教科書だけで学ぶことがすべてではないわけであります。

アインシュタインも言っていました。学校で学んだことを全て忘れてしまったとしても残っているもの、それこそが本当の教育である。

つまり知識だけでなくて人間として生きていくうえで必要なこと、それを最終的に体得させるのが教育であるということであります。

そういう意味で教室だけが全てではないのかもしれません。今、私どもの私学でもやっておられて、我々もそうしたことをサポートしておりますが、場合によっては寮生活が必要な学校現場があれば、そういうことにも向き合っていく、そうした幅広い対策を教育委員会と協働してやって参りたいと思います。

これから私どものほうでも総合教育会議などかなり我々率直に教育現場といいますか教育委員会に対して提言をし、そしてそれを現に盛り込んで実行してもらうというツールもできておりまして、そういう場でもこれからしっかりと今日のご発言も踏まえて対応して参りたいと思います。

先ほど、アインシュタインの言葉を申しましたけども、単に教室のなかだけでなくて、実際に寮生活は楽しいようです。どっちかというと寂しいようなイメージで皆さん見られるかもしれませんが、本人たちはハリーポッターの世界のような、そういう面もあるのだと多分思いますし、大学に入ったあとも付き合っているのは意外と学校で寮生活を共にした友達関係でありまして、単なる教室だけの教育とは違ったものがあると思っておりまして、学校で学んだことを全て忘れてしまったとしても残るもの、そういものも生活の中から学びとっているのではないかなと感じております。

 

〇 山本教育長(答弁)

安田議員から重ねてご質問を賜りました。

日野高校或いは岩美高校だけではなくてほかの学校についても今、31年度から37年度の基本方針を実際にどう具現化していくなかで、それぞれ全校が自分のところはどういう学校を目指すことを求められているのかということを明らかにしながら、いろんな方向を授業をしながら強めていくということを今検討しているところでございます。

例えば私の学校は進学校として難関大学もチャレンジ出来るようなそんな体制を作っていきますですとか、倉吉農業高校でありますと日本一の農業高校を目指して取組んでいきますとか、方向性をきっちりと打ち出しながら取組んでいくというような取組をしておりまして、それをまた皆様のほうでもご議論いただくようなそうした時期がやがてやってくると思っておりますが、そうした作業を今進めているところでございます。

併せてそれに伴いますいろんな独自事業をやるについて、自分のところはこういうことを重点にやっていくという、そうしたことについても来年度の予算のなかで検討をしているところでございます。

そうしたことにつきまして、課題は先ほど議員のほうからご指摘もありましたように、いろんなことを上手に情報発信していくこともひとつ課題がありまして、これは私自身の課題でもありますが、そうしたことについてもいろんな機会を捉えて上手に対外的にアピールしていく、PRしていく全国に向けても情報発信していく、そんな取組みについても取組んでまいりたいというふうに思っておりますし、また、併せまして寮の話がありました。

これは、いろんなご意見があります。やはり、各それぞれ3地区に1つづつあっても学校の近くにないとなかなか生徒は入って来ないんじゃないかという意見もあるわけですが、いろんな意見、これは3地区に作るということになりますと県立学校だけでなくて、私立学校なども絡んでくる話になろうかと思いますので、その辺り様々なとここの意見を聞きながら、こうしたことについても検討してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

 

 

〇 安田議員

 

大変前向きなお二人からご答弁を賜りまして、私があえて、もう言うことがないんでございますが、寮のことで一つ。以前に10年以上も前ですか、北海道の北星学園余市高校、全国から不登校の子どもたちを集めて、今、国会におられます義家先生がヤンキー先生でおられた高校なんですが、あそこに行ったことがございました。

学校は寮を作らない。町内に20軒の民間の方にお願いをして、寮を引き受けてもらっているそういう学校もありました。私も今これだけ、高齢化の進んでいる地域にあって高齢所帯の人たちの中に高校生が入ってくれると、それだけで家庭も地域も随分力強く感じられるようになるなと思うんですが、県教委の方に聞いたら、岩美町ではなかなかそういう手が挙がらなかったということを聞きました。

私たちはこうやって、一生懸命人口減少だ、地方がどうのと騒いでいるのですが、本当に県民の方々は、この鳥取県の実態というものをわかってもらっているんだろうかというそういう不安も同時に感じております。

ぜひ、民間でやっていただければそれだけ民間にも活力と、かつ経済的な面でも実入りがありますので、その方向もできたら検討してみたらいいのではないかなと思っております。

あと3分ありますので、私が隠岐に行ったときにすごいびっくりしたというか本では読んでましたが、先に隠岐島前高校と隠岐水産高校を視察させていただいて、次の日の朝、菱浦港に着いたんです。

港がすごい賑やかで着く前から沸き立っているので、これは島前高校じゃないかなと思っておりましたところが、やっぱり恒例になっております2年生全員の生徒がシンガポールに修学旅行に向かうのに私と入れ替わりに乗って行きました。

世界の一番小さな離島から世界で最も発展している島シンガポールに行って、交流をしてくる。これが、恒例の修学旅行だそうです。

それで、シンガポール大学でプレゼンテーションをして、意見交換するのがこの修学旅行の目玉なのだそうです。

それがすべて英語です。事前の特訓を経て自信を持って向かって行きましたと校長先生がおっしゃっておりました。

これには私もびっくりしますけども、皆さんはいかがでありましょうか。それで、県外生を受け入れると島の子どもたちが今までおとなしかった子どもたちも揉まれて、意欲的になるんだそうです。

黙っていれば人が自分たちのことを理解してくれると思って我慢していてもそうはいかないと。そこで初めて人間関係を学んでいく。そういうことも成長になっていくんだそうです。

そして、島前高校での学びと同時に隠岐の国学習センターという、もう一本学習塾がありまして松下村塾のような役割を果たしております。 

スタッフにも鳥取県の子が加わっておりました。前は本当に限られた人でしたが、今は大勢のスタッフで運営されておりました。そこで一人ひとりの子どもたちの夢実現に向かっての段階を経ての指導がなされている。だから、進学なり就職なりに向けての指導がなされていると、こういうことでございました。

以上をもちまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。皆さんどうもありがとうございました。

 

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