平成29年9月議会 一般質問 

安田優子 一般質問

 

美保湾の「世界で最も美しい湾クラブ」加盟申請について

 

皆さん、おはようございます。今日は、通告しております質問に先立ちまして、議長のお許しをいただき、先日最高裁が下した昨年の参議院選挙区選挙、合憲判決について、平井知事に質問をさせていただきたいと思います。

この判決は、選挙による一票の格差が最大3.08倍であったことから、選挙無効を求めた16件の訴訟に対し、格差は合憲として請求を棄却するというものでありました。

1票の格差が5.00倍であった2010年、4.77倍であった2013年の選挙について違憲状態と判断、都道府県単位の区割り見直し等の抜本的改革を求めた2回の判決趣旨に沿って国会が2015年公職選挙法を改正、憲政史上初の合区を導入して格差を是正した2016年選挙を評価する内容でありました。
 一方では合区について「過去2回の最高裁判決は、都道府県単位の選挙区割り自体を不合理としたものではない」とも言及しております。

改正公選法付則の「次回19年の参議院選に向け選挙制度の抜本的見直しについて必ず結論を得る」と定められていることについても着目し、「再び大きな格差を生じさせることのないよう配慮されている」との解釈も示しております。 

この判決により、合区が一層進行、拡大する可能性を指摘する声があるなか、  初の合区選挙を経験した県として、結果として全国で唯一、県代表を国会に送ることが出来なかった県として、徹底して合区解消を目指す我々にとって、この度の判決をどのように受けとめ、どのように運動に生かしていくのか、平井知事の御所見を伺うものです。

次に美保湾の「世界で最も美しい湾クラブ」加盟申請についてお伺いを致します。

美保湾は、日本海に向かい東西130km近い海岸線をもつ本県にあって唯ひとつの湾であり、島根半島が外海を遮る形で成り立っております。その海域については明確な定義はありませんが、半島の突端、美保関の地蔵崎と大山町阿弥陀川河口を結んだ線内というのが一般的なようです。

島根半島が北西の季節風を防ぐ屏風の役割を果たしてくれることから、美保湾は年間を通して風や波が安定していることや、気象の影響も少ないことで天然の良港としての境港の発展につながっておりますが、湾内に存在する和田礁、シゲグリと呼ばれる2つの岩礁によって古来より豊かな漁場としても沿岸住民の暮らしを潤してきました。弓浜半島は、大山を源としてこの美保湾に流入する日野川、佐陀川、阿弥陀川等によって運ばれた砂れきが、沿岸流によって堆積した砂州で、五里ケ浜とも称される日本最大級の規模と、大山山麓から弓なりに伸びる白砂青松の美しさはまさしく大天橋と呼ぶにふさわしい天下の絶景であります。

大山、弓浜半島とともに、神の技が織り成してくれたのかと思うほど恵まれた環境にあるこの美保湾が、今また新たな脚光を浴びる舞台として注目されて参りました。

2019レーザー級世界選手権大会の開催地として、境港公共マリーナが選ばれたのは、昨年11月19日、ロンドンで開催された国際セーリング連盟ワールドカウンシル会議に於いてのことでした。

決定から2日後の11月21日、日本セーリング連盟河野会長を迎え、竣工から1年の新艇庫に於いて、開催決定を祝ったことでした。

26年3月、公共マリーナが日本オリンピック委員会から強化センターの認定を受けて以来、大会誘致に向けてご尽力をいただきました平井知事を始め、関係者の皆さんには大変お世話になりましたが、本県セーリング連盟会長職にある私にとりましては、喜びとともに初めて臨む世界大会開催という重責を果たして担うことが出来るか不安な思いにかられたことも事実でありました。

S60年のわかとり国体に向けて整備された公共マリーナを拠点として始まった県内のセーリング競技は、境高校、境港総合高校、米子高専の生徒、学生を中心に、30年を超える歴史を積み重ねて参りました。

そして、この間引き続き指導にあたっていただいた先生方に加えて、美保湾で育ち、国内外で活躍したOB選手達が、大会開催を弾みに今では、後輩の指導や育成、連盟の役員、大会運営等の実働部隊として力強く、公共マリーナを支えてくれるようになりました。

地元現役選手の活躍も目ざましく、この夏開催された全日本420級大会では、境高校日野ひより、福田ゆい組が県勢初の優勝を果たし、この度の国体入賞を目指しております。

県や体協の重点的支援を受けて公共マリーナを拠点として練習に励む瀬川和正は、昨年全日本レーザー級選手権大会で優勝し、ナショナルチームの一員として、東京オリンピックを目指しておりますし、昨年の全日本学生女子選手権大会で1位、3位を占めた山本佑莉、木村沙耶佳は国体優勝が期待されております。

2019年世界大会開催の決定後は、新艇庫の威力も効果を発し、従来にも増して多くの大会や事前合宿、練習の場として利用されるようになり、公共マリーナは、この夏大変な賑わいでした。

更に、連盟の一員で、美保湾ヨットクラブに所属する庄司信吉さんが、昨年、半年をかけて太平洋単独横断という快挙を成し遂げ、平井知事から「栄光のチャレンジャー賞」をいただいたことも、ヨットの普及と公共マリーナのPRに大きく貢献したのではないかと思います。今後とも“鳥取から世界に向かう”という気概と夢を育んでいきたいものです。

私どもは、これまで、「風と波に恵まれた美保湾をヨットの聖地に」、「世界を目指すなら美保湾」を合い言葉に、公共マリーナの優位性を訴え続けて参りましたが、今やっと、その思いが全世界に通じることとなりました。

2019年世界大会を絶対に成功させたいと意気込んでおります。

その仲間から、この度、「美保湾を世界で最も美しい湾クラブに加盟申請したら」という声が上がりました。

「世界で最も美しい湾クラブ」とは、1997年に設立されたフランス ヴァンヌ市に本部を置くNGO団体で、ユネスコの後援を受けております。

25カ国が加盟し、加盟湾数は昨年の総会時点で41湾で、その一部はラムサール条約や世界遺産登録地と重なっております。

クラブの目的は、湾を活用した観光振興と資源保護であり、加盟湾相互の交流人口の拡大や、訪問客への環境保全の啓発などに資する活動を行うこととしております。

国内では、松島湾、富山湾、駿河湾、京都宮津湾・伊根湾の4ヶ所が認定されており、加えて、佐世保湾が既に内定済みで、来年のフランスにおける総会で正式決定されるようです。

2019レーザー級世界大会に向けて、会場となる美保湾の風と波に加えて、その美しさを売り込むことも大会成功の大きなインパクトになることと思います。同時に、来年開山1300年祭を迎える霊峰大山の名を高める相乗効果も狙えるのではないでしょうか。大会半年後の2020年3月には、待望の竹内南貨客船ターミナルも完成し、竹内南地区は、世界各地から多くの観光客が訪れることになります。時を同じくして完成予定の弓浜半島サイクリングロードの活用も併せて、美保湾を取り巻く環境が大きくクローズアップされるこの機会に、是非とも「世界で最も美しい湾」としての認定申請も併せて進行していただき、諸事業成功への追い風となることを願い、提唱するものです。

なお、この質問にあたり、地元市町村となる、境港市、米子市、日吉津村、大山町、松江市に対しては、私の方から主旨をご説明し、全ての首長さんからご了解とご賛同をいただいております。

平井知事の前向きな御答弁を期待し壇上からの質問といたします。

 








  平井知事 (答弁)                       

安田県議の一般質問にお答えを申し上げます。

安田県議におかれましては、今日は白と黒の非常にあざやかな服装でいらっしゃいまして、まるで上野のパンダを思わせるようなかわいらしい、愛らしい姿をお見せいただきました。

シャンシャンが生まれまして、私どもでは「しゃんしゃん祭り」これは、PRのチャンスでははいか。また、併せて、実は、ここは少しかけたんですけども、むきぱんだという大山のふもとにありますそのキャラクターを私どもとしても、この際、PRさせていただけないだろうか。こういうことで、大山1300年もにらんで、むきぱんだのキャラクターも併せて少し世に問うてみたところであります。

いろんな形で私どもとしても魅力を発信していきたいと思いますが、議員のほうからお尋ねがございました「美しい湾」につきましては、結論から申し上げまして、大変貴重な興味深い提案であると思います。

ただ、これは、ジオパークのときもそうでありますし、今回も日本ジオパークの認定にあたりまして、松江などの国引きのジオパークが落選してしまった。
 また、本県の世界ジオパークに認定されている山陰海岸につきましても3府県の連携強化という条件付きということになりまして、なかなか審査というのは思ったようにいくものではございませんし、これについては色々と研究をしながら進めていかなければならないわけであります。

 その大山を望む非常に特徴的なところに、今、議員のほうからお話がありましたように、日野川であるとか佐陀川であるとか、そうした清流の流れによって作られた美しい湾が広がっている。神様がつくったのではないかと安田議員がおっしゃいましたけれども、これは、私たちが信ずる伝説によれば、国引き神話もございまして、実際、国を引き寄せた、その綱が弓浜半島であり、結わえたところが大山であったと、こういう物語もあるわけでありまして、正に神のなせる「美しい湾」であるというふうに言えようかとも思います。

ここには、特徴的な白砂青松の松原が広がっていまして、天橋立よりももっともっと大規模で、構造はよく似たものなんだと思いますが、そういうものが広がっていますし、ここには様々な歴史、伝統、文化が織り成されていて、ある意味、彩りのある地域であるということが言えようかと思います。

この「美しい湾クラブ」というものなんですが、これに加盟する。これは、ジオパークのネットワークに加盟するのと同じような審査があるわけであります。本部はフランスに置かれていまして、まだどうなるかというのはよくわかりませんが、いくつかのクライテリアがあるようであります。それはひとつにはですね、重要な保護がかけられているかどうかということであったり、それから景勝地として知られているかどうかとかですね。また歴史的、文化的な資産、遺産というもの。これはプロミネントな優れた傑出した資産というものが少なくとも2つあること。こういういくつかの要件があります。従いまして手を挙げればいくということでもないようであります。
 実は、我が国におきましてはですね、既に先程申しました天橋立が含まれます宮津・伊根湾であるとか、4つの湾が認定されてまして、この度、来年の4月に佐世保が加わることになりました。いずれも「美しい湾」にふさわしいものだと思いますが、風評として言われているのは、日本がこれで5つとったことでですね、かなり審査において厳しさが出てくるのではないだろうかと、こういうことも言われているところであります。

今回の日本ジオパークの審査が非常に厳しいものでありましたことも考えれば、例えば阿蘇のほうのジオパークも同じように厳しい審査があったと伺っておりますし、この辺の動向はどこなのかなというのは、非常に気になるところでありまして、情報を収集していかなければなりません。
 今おっしゃられましたように関係市町、市町村ですかね、了解をとられたということでありますので、そうした関係先とも状況をお聞きをして、どういうことができるのか。松江も入りますので、鳥取県だけでなく島根県もということになるお話かなと思って伺っておりました。
 先程のクライテリアに関して言いますと、国立公園等、そうした保護がかかっているかどうかということでありますが、必ずしも弓ケ浜がかかっているわけではありません。ただ、湾全体を見たときは、島根半島が加わるのであれば、この美保の灯台の辺りなども含めまして、国立公園区域が少なくともございますし、大山が、ちょっと海岸から離れてますけども、どういうふうに関連付けられるかということもあるかもしれません。
 また、よく知られた景勝地かどうか、或いは、歴史的な文化的な遺産かどうかということなど色々ございまして、妻木晩田遺跡、これはひとつ考えられるところかなと思いながら今、聞いていましたけれども、日本最大の弥生時代の遺跡であると。世界に通用するかどうかとして、国内で言えば最大であることは疑いのないところでありますし、多分この遺跡が立ち上がった背景にはですね、そこに入江状の場所が淀江にあったこと、要は、天然の良港がありまして、それで大陸との往来ができたことでありますから、美保湾と非常に密接なかかわりのある一群の遺跡群ではないかと思われます。そこには掘立柱の建物であるとか、それから、竪穴のものであるとか、更に墳丘墓もございますが、あわせると千を数える遺構が発見されているわけでありまして、ひとつのポイントにも成り得るかなと思います。

また、大山寺もですね、幸い海から見上げて見えるところにあるということで、こうしたところが活用できるのか、或いは、弓ケ浜の美しい白砂青松の松原、この辺は、県のほうの景観指定はあるわけではありますが、そうしたところがどうなのか、島根半島であるとか、また、どこまで入れられるかわかりませんが、鳴り石の浜といいますか、そういうのが加えられるかどうか、区域の設定もあろうかと思いますけども、色々と特徴のある海岸というものをアピールできるかどうか。これを検証しながらですね、関係先とも下協議をしてから最終的に考えていく必要があるのかなというふうに思います。関係者がそういうことでやろうということであれば、出来る限りそれが形になれるように我々としてもいろいろと知恵を集めていく必要があろうかと思います。

安田議員のご活躍で、最近、確かに今伺っていて、美保湾の風景が変わってきたかなと思います。

それはひとつにはクルーズ客船が、このあいだもノルウェージャン・ジョイが入りましたけども、境港管理組合の議長として安田議員にもご出席していただきました。 ああいう大きな船がですね、次から次へと入ってくる。更に、竹内のターミナルも出来上がる。今、正に新しい時代が美保湾にやってきていると思われます。そこに再来年にはレーザー級世界選手権が開催をされることになり、セイルを張られる世界各地から来られた選手の方たち姿が、もう間近に見られることになります。議員のほうでご指導いただきまして、セーリング競技でも非常に全国的にも優秀な選手が出てきておりますし、オリンピックを目指せる、そういう選手がでてくることを願うものであります。
 また、海の中でもヒイラギであるとか、ヒラメであるとかですね、バイであるとか資源もそれぞれ豊かに豊潤の海を形成しているところでございまして、我々とともに生き続けている、この美保湾の美しい海、美しい湾、その価値というものを、今回こうしたご提案がございましたけれども、これからも検証し高めていくように地域を挙げて努力をしていかなければなりません。
 ぜひ、そういう意味でも、シンボリックなお話かと思って伺いましたけれども、その可能性につきまして、まずはフィージビリティスタデェイ、研究を始めることにしてはどうかと思います。

また、併せましてお話がございましたのは、最高裁判所のこの度の大法廷判決であります。安田議員もコメントを寄せられていまして、本県の動向というのも全国メディアも注目するくらいであります。
 この判決は、いろんな意味があろうかと思いますが、総括して申し上げれば、従来の判例が実は変遷していまして、第1期、第2期と呼んでいい判例の変遷があったと思います。それが今第3期、これを迎え始めるような、そうした兆候もある。そういう判決だったかなと思います。
 この判決が大きく報道されましたのは、合憲であるということがクローズアップして報道されました。確かに投票価値の不平等というものは、容認できないものではないというところであった。即ち、合理的な範囲内であったということでございまして、それはひとつクローズアップして報道されてもいいんですけれども、私どもとしては、複雑な捉え方をしなければならないのだと思います。

それは今回の判決で合憲がでたことでですね、合区というものが固定化されるのであれば、これはあってはならないことであります。ややもすると政治の話というのは、やすきに流れますので、本来目指すべきこと、理想というものからでも離れてでも現状で踏みとどまってもいいじゃないかと。こういうことになりがちででありまして、そこのところは、警鐘を鳴らし続けなければならない面があろうかと思います。と申しますのも、従来の判例の変遷をたどりますと昭和58年判決、これが第1期とも言っていい判例のいわば元となったものであります。ここにおいて明確に打ち出されていましたのは、選挙制度というのは、憲法に基づきまして、例えば憲法47条で選挙区、投票方法、その他の事項については、法律で定めるというふうに書いてあります。また、選挙人の資格も、これも別途、法律で定めると決まっているところでございます。

すなわち、選挙制度自体は、立法府である国会のいわば、裁量事項であるということです。これは憲法論のなかで、司法がどこまでそうした法律の中に入り込めるかというときに、よく、司法の謙抑性というのですが、司法は、やはり国権の最高機関である国民代表の国会に対して一定の考慮をしないといけないわけであります。また、闇雲になんでも法律を作るかの如く、判決を作るのではなくて、ケース、ケースだけに限って判断をしていく。こういうようなことが司法の考え方、いわば教示として法律学の世界では言われることであります。そういうなか、立法裁量だというふうに最高裁がまず、昭和58年で言ったということは、ある程度のことは考慮要素として入れていいよということであります。現にそのとき、投票価値の平等以外にも諸要素を考慮することは国会はできるというように明確に言っていました。

そして、参議院の選挙制度につきましては、その創設の経緯を引用をしながら、都道府県というのは、歴史的にも、政治的、経済的、社会的に一つの政治的な単位であった。ですから、それを元にして選挙制度を組むことは、一定の合理性があると。こういうように明言をしていたわけであります。

この時の格差でありますけれども、だいたい56倍くらいまでは、そういう意味で他要素を考慮してもいいのではないかというふうにして、長く判例がありました。それが、時間が随分経ちまして、平成24年の判決で大きく揺らいだわけであります。この最高裁の従来の考え方に反して、平成24年の判決のなかでは、投票価値の平等というものを追求するためには、都道府県ということについて見直さなければならないと言わんばかりの書き方をしていまして、都道府県というのが選挙区の単位になることは、憲法上の要請ではないということを言い始め、これが平成26年の大法廷判決にも受け継がれる。ここで、違憲判決がでたものですから、今回の合区ということに至ったわけであります。即ち、都道府県が歴史的に政治的、経済的、社会的な実態としてユニットとして民主主義の単位として機能していた。それを評価する程度を下げたんですね。それで、投票価値の平等のほうを優先させて、都道府県ということの単位に捉われない選挙、即ち合区ということでありますけれども、合区を導入するなど抜本的な選挙制度の改革をしなければいけないというふうに本来の判決の横に書くような傍論という形で書いてきたわけであります。これが、政治的にも大きな意味を持ち始めて、合区という公選法の改正がなされたというわけであり、また私たちは唯一、47都道府県で代表のいない県と、先の参議院選挙でなってしまったところであります。

しかし、昭和58年の判決が認めていたように、長く歴史の上で明治以来、我々のところは、また、都道府県というものは、こうして県議会で県内の議論をまとめる。ここに至るまでに皆様が教育界であるとか商工会であるとか、農業であるとか、漁業であるとか様々な団体や県民の皆様の意見を集約してこられて、それで意思決定をするという仕組みがあります。この意思を国会のほうに繋ぐ。これは非常に合理的な制度であります。また、全国でも数々の団体が組織されていてPTAであるとか、商工団体であるとか、全部都道府県単位であります。都道府県単位で要望をまとめて決議をする。これが毎年の年中行事のようにこの国では行われてきているわけであります。 

即ち都道府県の意思を国会に反映するということは、それは住民の民主主義の参加のチャネルになっているわけでありまして、代表制度を考えるのであれば、国民代表ではあっても都道府県単位で選出される議員というのを確保する選挙制度が必要ではないだろうか。こういう議論がありえるわけでありまして、第1期の判例はそれをとっていて、第2期の判例はそれを一部曲げてきたということがあります。今回の判決は、微妙な修正を加えていると思って読みました。それは、今回の大法廷判決ではですね、投票価値以外にも都道府県の果たしている役割、実態というものを考慮しながら選挙制度を組むことは合理的だとまた言ったのです。それから平成24年、平成26年の判決について、わざわざ最高裁が今回解説を加えてまして平成24年、平成26年の判決は、都道府県を単位とする選挙区を設定することを否定するものではない。こういうように解説をしたんです。そういう意味で従来の判決とは違ったニュアンスが今回入ってきているわけであります。ですから、私たちもここの変化というものを読み取りながら、国全体で公明正大な議論を展開してもらえるように、今、選挙戦に入ってしまいましたけども、国会など主要な場で議論していただくように求めていかなければならないと思います。ただこれは、今回最高裁の判決が出たことは、プラスよりはマイナスに作用する面があろうかと思います。つまり、これでもういいんだということになってしまったことがあれば、じゃあ、もううちの選挙区には来ないというふうに思われるというところが、わあっと今度出ますと全国大多数の人たちが、あとはもう、島根・鳥取・徳島・高知にさえ我慢してもらえばそれでいいじゃないかというふうになりかねない。ただそれは、民主主義の根本の理念に反するわけでありまして、そのことをやはり、大義として私たちは説いていかなければならないわけです。

 仮に今回、違憲判決が出ていたとします。そうすると、多分違憲判決の理由になるのは衆議院の選挙制度の違憲判決と同じように2倍以内でなかったことが違憲判決の理由に書かれていたかと思います。もし2倍ということになっていたとすれば、全国の半分は合区になります。ですから全然インパクトが違ったわけですね。ただそれが回避されたことで、妙な議論にならないように、私たちとしてもせっかく今まで全国知事会であるとか、議長会であるだとか、いろんなところで決議をまとめてきたこの願いを結実出来るように今後も粘り強く運動していく必要が在ると考えております。

 

  安田優子(追求質問)

 

前向きな御答弁をいただきまして、また合区のことにつきましても色々示唆を賜わりました。ありがとうございました。なんか、パンダに例えていただきましたが、私は今、テレビでブームの小池百合子さんほどではございませんが、パンダにでも何にでもなって、鳥取県の為に平井知事の下で頑張って参りたいと思っておりますので、今日の御答弁も大変嬉しく存じました。
 まず、知事の御答弁に従いまして、「世界で最も美しい湾クラブ」でございますが、これは、今、課題を一つずつ知事のほうからもご指摘がございました。ジオパークというのは、本県も経験したんですが、大変厳しい審査がありましたし、難しい経緯をたどって今日に至ってますし、今現在もあるわけですが、これに比べてこの「湾クラブ」の方は、非常にアバウトであると。
 私は、先般、実際に申請をして加盟になりました宮津市が、本来は自分の所だけで申請しようと思っていたら、京都府のほうから指摘をいただいて、広域で向わねばいけないということで、伊根湾と共同で出したんだけど、実際の申請は宮津市が担ったということでしたので、宮津市に行ってお話しを伺ってまいりました。そうしましたら、大変アバウトなクラブであって、一つ書類選考が通ったならば、次の総会でプレゼンテーションをやらなきゃいけないそうです。そのプレゼンテーションが通ったら、役員が現地を視察してその次の総会で承認されるという段取りのようです。宮津市は2年もかからずに、申請から認定まで至っております。私はその総会でのプレゼンテーションが決め手になるという話を聞きまして、もう美保湾決まりだと、名プレゼンターの平井知事にお願いすれば、もうこれで決まったなと思って、喜んで帰って参りました。元より境港市等々の地元の市長村長さん、首長さん、皆さん大変喜んで賛同していただきました。先般、島根県の副知事さんにも、美保関町がかかわるものですから、島根県さんとのご協議も必要になろうかと思いまして、ちらっとお話しましたら、副知事さんも大変喜んでいただいております。

 後は宮津も京都府の指導を仰ぎながらと言っておりましたので、知事、鳥取県のほうでこの辺をまとめていただけたらというふうに思っております。

 ぜひとも認定に至ってもらうようにお願いをさせていただいて、この件は終りたいと思います。

 それから、先程の合区のことでございますが、私も自民党県連の幹事長として選挙を闘いまして、大変、厳しい選挙の結果、惨めな思いをいたしました。  

そして、これは必ず解消しなければならないものだということで合区が実施された4県の幹事長さんと相談をしながら、動いて参りまして、まず冒頭8月に石破会長以下みんなで行きまして、二階幹事長に総裁直属のプロジェクトチームを作ってくれということを要請致しました。そして年内には間に合わなかったのですが、そのプロジェクトチームの健闘の様子を5月でしたか、4県で出かけて行って有村座長から話を聞きました。頑張っているんだと自民党参議員は頑張っているんだけども、反対を言って騒いでいるのは、貴方たち4県だけですよと。あとの県は対岸の火事ですよというふうに言われました。そこで私たちのすべきことは、なるべく多くの賛同を得るように呼びかけて大きくしていくことだと思いまして、4県に加えて合区が、今知事もおっしゃいました、拡大されるであろうと懸念される15県で、幹事長に集まっていただきまして、私たち4県がどういう合区選挙であったのか、その実態について、経験をお話させていただき、ご理解とご賛同をいただいて党本部に対して働きかけるということで一致をいたしました。8月の末だったと思います。そして更にその後、15県に限らず吸収する側にも声をかけようというので、先程お話がでました約半数ですね、全国の20県の県連幹事長さんから同意をいただきまして、実は明日、安倍総裁に対して合区解消に向けて、具体的に取組んでいただく旨の20県の県連幹事長からの要望書を手渡すことにしております。今、知事も言われたように、私もこの判決を見て、やっぱり国会に対してきちんとした対応を求めている趣を感じていますので、この要望を受けて党が本気になって取組んでくれる。そして、知事がおっしゃったように知事会を初め、県議会議長会もそうです。地方6団体のご同意をいただいておりますので、一緒になって全国的なアピールをしていく。押し出していくことが憲法改正という終局の目標、そして、それが駄目であってもこの次の参議院選挙では、絶対に合区は繰り返さない。それへの大きな力になるであろうと思っております。 

振り返って、私も一番の被害県代表であるからということで、4県の代表をしろということで頑張ってきましたが、これで明日党本部に委ねることが出来れば、一つ大きな成果、ポイントになろうかなというふうに考えて、感慨深いものがございます。パンダになりきって頑張ってこようと思っております。引き続き、知事におかれましても知事会で頑張っていただきまして、そういう国民的世論を多いに喚起していきたいと思いますし、議場の皆様にも再度お訴えをさせていただきたいと思います。この度、突然の解散ということになりました。選挙が始まります。

私たち鳥取県は、鳥取から地方創生を果たしていこうということで、一生懸命取組んでいる県であります。この合区の解消も地方創生の地方自治のそして地方分権の大きなポイントであろうと思っておりますので、党派を超えて皆さん方のご理解をいただきまして選挙中も頑張って参りたいと思いますので、ひとつ御協力方をよろしくお願いしたいと存じます。以上で終わりますけれども、知事、何かコメントがございましたらお願い致します。

 

 

  平井知事(答弁)

安田議員から重ねて決意の深さを教えていただきました。確かに合区問題は非常に厳しい波紋を当地域、山陰に投げかけたものでありますし、これがまた全国に向けまして、民主主義の何たるかということにつきましての、共感の輪が広がったと思います。

 確かに投票率が下がりました。これを見てもこれが本当に民主主義なのだろうかと。先般、私、憲法の関係の学者さんなどと話す機会がありました。そうしたら今回の判決が出る、前回の合区のあと、憲法学会の雰囲気が変わってきたと言っていました。ですから、単に投票価値だけなのだろうかという議論が今、優勢になり始めているということでありまして、元々の昭和58年の最高裁の判決、第一期の判決、これに今、学会の議論も少し目を向け始めているのではないかなと思います。やはり、正しいことをしっかり実現することが、後々の世のこの国の形、デモクラシーの有り方を左右していくと思います。特に当事地域である私たちの声というもの、これが何より鍵になると思いますし、安田議員が先頭に立たれておられますことに高く敬意を表したいと思います。

 私ども知事会もこの選挙の時期に入りましたので、各党各会派に合区の不条理さというものを説いて、その解消ということ、憲法論も含めた議論などをまとめるように、今しているところでございまして、さまざまな形で色々な議論が出てくると思いますが、そのなかでこうしたことも地方の大切な視点であることをしっかりと訴えかけさせていただきたいというふうに思います。また、「美しい湾」のことも深い思いもよく伺いました。また、色々な準備もされてきたこともお聞きをさせていただきました。考えてみますとですね、近くには水木しげるロードもありますが、これが今、リニューアルということであります。実は、今日発表になったんですけども、1124日から26日は、別の妖怪たち「ポケモンGO」が砂丘で大会を開くということになりまして、多分大きな反響もあるのかなと思っております。私たちの売り になる、そういう水木先生の世界であるとか、それとか「美しい湾」であるだとか、そうしたものの値打ちというのは、多分インバウンド観光も含めてどんどん広がってくると思います。今回この「美しい湾」のムーブメントがおこったのであれば、また新しい光がこの地域に当たってくると思います。
 水木先生は、ちょうど竹内の辺りの浜に出られまして、大山を眺めることが大変お好きであったとメモを書かれていらっしゃいましてですね。その先生が愛した美しい湾、大山を眺め悠久の海を感じる。そんなところを世界に向けても訴えかけをして参りたいと思います。

 

 

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