平成31年2月議会 代表質問 

安田優子 代表質問

 

一 平井知事4期目の抱負を問う                 知事

二 鳥取新時代に向けて

1 人口減少対策と女性活躍施策          知事、警察本部長

2 「子育て王国とっとり」保育支援の行方           知事

3 農林水産業を支える人材育成について   知事、教育委員会教育長

4 今こそ現代版尚徳館を!         知事、教育委員会教育長 

5 不登校・ひきこもりへの対応       知事、教育委員会教育長

 6 外国人材受入れについて                  知事 

7 交通アクセスの整備について                知事 

8 美保湾の「世界で最も美しい湾クラブ」加盟について     知事

三 平成31年度当初予算編成に向けた財政課題について      知事 

四 参議院議員選挙の合区解消に向けて              知事

 


 皆さん、おはようございます。きょうは、会派鳥取県議会自由民主党を代表いたしまして、平井知事、山本教育長、佐野県警本部長に質問をさせていただきます。

 私にとりましてきょうの質問は、16年間在籍をいたしましたこの鳥取県議会における最後の質問となります。去りゆく私から、このたび引き続き県政を担われることを決断されました平井知事に対しまして、はなむけの質問、提言とさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 平井知事は、昨年1227日の記者会見で、次期知事選に向け正式に出馬を表明されました。多くの組織、団体、政党からの出馬要請を踏まえての慎重な判断の結果でありました。

 私ども自由民主党鳥取県連も、1213日の県自治同志会の立候補要請を受けて選挙対策委員会を開催、平井知事に対する立候補要請を決定し、2日後の15日に、石破県連会長が3期12年の県政運営に対する姿勢、実績を高く評価し、引き続き継続性と先見性を持って地方創生の旗手として県政を担っていただきたいと立候補要請文を渡されました。出馬表明の後、本年1月18日には推薦証もお渡しし、全面的支援をお約束した次第であります。

 自由民主党は、日本国の政権を担う責任政党であり、国民世論を幅広く反映する、反映しなければならない国民政党であります。県支部連合会にあってもその任は同様であり、県政に対する責任と県民の意向を大切に運営していかなければならないと心得ております。平井知事に対しては、圧倒的多数の県民が信頼を寄せ、評価をしていることは間違いのない事実であり、365日、24時間県民のために働いてくれる知事をいただいていることを県民は誇りにしていると承知しております。

 ところで、知事の出馬表明に先立つこと1週間前、1220日には天皇陛下の在位中最後となる誕生日会見がありました。平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに心から安堵していますとのお言葉には、ふだん味わったことのないある種の衝撃と感動を覚えたのは恐らく私一人だけではなかったと思います。昭和から平成へ、そして次の時代へと引き継ぐ象徴天皇としての的確な目線と、みずからに課せられた責務への限りないまでの誠実性に深く心を打たれました。

 まさに今、国内外を問わず不透明感が色濃く漂う中、地方自治体の長といえど、じっとしていれば時代に取り残され、一歩判断を誤れば奈落の底という厳しい状況のもとで、豊富な行政経験と地方自治に対する深い見識を持ち、広く世界に通じ、的確で素早い判断と行動ができる平井知事が次の時代を県民とともに切り開いていきたいと決意されたことに、私は心からの安堵を覚えた次第であります。

 まずは、4期目への抱負と知事がイメージされる鳥取県像とはどのようなものか、本議場において明らかにしていただかなければなりません。また、今回の出馬表明がこれまでよりおくれたことも事実であり、どのような経緯の中で今回の決断に至られたのか、その決定打は何だったのか、あわせてお聞かせください。

 次いで、平井知事が目指される鳥取新時代に向けて、私がぜひとも取り組んでいただきたい何点かについて、以下、質問をさせていただきます。

 平井知事必死の取り組みにもかかわらず、本県の人口減少はとどまることなく、ついに本年1月1日現在の推計人口は56万人を割り込み、559,701人に落ち込みました。この対応策として打たれている移住定住策や交流人口増加策等においては多くの成果を上げておられますが、肝心の出生数が年々減少しております。知事は、合計特殊出生率のアップをうたわれ、全国的にも上位にあることを誇りにされますが、果たしてこれでよいのでしょうか。

 確かに本県の出生率は年々上がっており、平成29年は1.66、全国でも第7位と上位を占めましたが、逆に出生数が年々下がっているという実態を見逃すわけにはまいりません。出生率と出生数がともに上がってこその目的実現であり、そのためには、出産可能な15歳から49歳までの若い女性が本県に居住し、あるいは移住し、住んでよし、産んでよしの鳥取県であると判断してもらえるような環境を整備することが行政の務めではなかろうかと考えます。この観点は、移住定住策や観光政策はもとより、行政全般に通じることであり、かねてよりの私の持論でありますが、改めて知事の所見を求めます。

 先年施行された女性活躍推進法は、生産年齢人口の著しい減少に伴い、女性の生産分野への参入を促すものでありましたが、私は、企業、経済界への進出に限ることなく社会全般への進出と、あわせて女性の社会進出を担保する環境整備がなさねば真の女性活躍推進施策とは言えないと思い、自身においても女性の政治参画の重要性を訴え続けてまいりました。そしてこの議場においても女性活躍推進課の設置を求め、実現していただきましたが、この課は設置から3年を経て、真に本県の女性活躍の推進力となり得ているのか、その取り組みの実情と方向性について知事の所見を求めます。

 また、昨今の世情を見ても、若い女性が暮らしやすく、安全・安心な鳥取県づくりに向けて県警が果たす役割も非常に大きいと思われます。佐野裕子警察本部長におかれましては、全国で3人目、本県では初の女性警察本部長として昨年3月に赴任され、ちょうど1年がたちました。これまでの御自身の経験や鳥取での生活を踏まえて、一般的に男社会と思われている警察行政にあって、どのような本部長を目指されているのか、さらに、鳥取県警をどのように導いていかれようとお考えか、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。

 子供は家庭の宝であると同時に、地域の宝であり、未来であります。同時に、これまで子育ての主体を担ってきた母親も含めて女性の社会進出が欠かせない状況となってきた今日において、子育て環境の整備、とりわけ保育支援は国、地方を問わず大きな社会的課題となってまいりました。高齢者への対応が介護保険制度の進展によって一応の方向性、成果を見た今、最も急がれる重要課題であると考えます。

 本県では、いち早くこの課題に取り組み、地域全体で子育てを支えることを目指して、平成26年に子育て王国とっとり条例を制定し、市町村と連携して保育料無償化・軽減化や家庭保育への支援、保育士の加配等々の先駆的取り組みを実施してきました。子育て支援を充実させることによって少しでも人口減少に歯どめをかけたい、存亡の危機にある中山間地域を救わねばという切実な願いもあってのことでありました。

 一方で、東京を初めとする都市部における待機児童対策を急ぐ国は、平成27年から子ども・子育て新支援制度をスタートさせ、内閣府所管の企業主導型保育事業を導入しました。これにより、従来、国、厚労省、県、市町村で運営してきた保育行政システムとは別に、内閣府が所管する無認可保育所という位置づけとなった企業主導型保育所が、手厚い助成金と開設・運営等に市町村の関与を要しない簡易さで全国的な開設ラッシュとなりました。

 県内でも既に16園がオープンし、定員は763名分ありますが、実際の入所児童数については公表されておりません。果たして人口減少に悩む本県にあってこれだけのニーズが存在するのでしょうか。甚だ疑問に思いますが、この制度の導入によって一部の地域では保育士や園児の引き抜き、奪い合いが出ているとの話も聞きます。

 また、私ども子育て王国とっとり推進議員連盟では、県内外の企業型保育所を視察いたしましたが、施設面や保育環境についても問題があるように思いました。昨年4月には、この議員連盟の皆さんと内閣府に伺い、直接この企業型保育所の本県における実態と問題点について意見交換を行いました。その結果について、県からも国に要望していただき、改善された点もありますが、市町村を統括して本県保育行政の責任者である知事は、この企業型保育所の出現とありようについてどのような認識をお持ちであるか、お伺いをいたします。

 さらに、国は、本年10月に予定されている消費税引き上げ時から幼児教育の無償化を実施するとしています。これにより、本県が単独で実施してきた保育料無償化は、その先導的役割を終えることになります。これまで投じてきた事業費6.7億円のうち4.3億円が国制度に移行することになるということでありますが、この使途について知事はどのようなお考えをお持ちでしょうか。そして子育て王国とっとり保育支援の今後の方向性についてどのように見通されるのか、所見をお伺いします。

 山と海に恵まれた本県にあって、基幹産業である農林水産業を支える人材育成は大きな課題であり、既に平成28年度から倉吉農業高校、智頭農林高校、境港総合技術高校においてとっとり農林水産人材育成システム推進事業が展開されており、地域の産業界や教育機関等と連携し、専門的職業人を育成するスーパー・プロフェッショナル・ハイスクールを目指しております。さらに、本県独自のスーパー農林水産業士の技術認証制度で長期インターンシップに取り組むなど、この分野における若き担い手の育成に努めております。

 私は、これらの取り組みを県政の課題を取り込んだ生きた教育展開の実践として高く評価するとともに、この事業がさらにブラッシュアップされ、本県農林水産業の振興に貢献すると同時に、取り組み校の魅力化により県内外から多くの生徒を迎え入れたいと願い、以下、知事、教育長に質問をいたします。

 まず、倉吉農業高校は、既にその歴史、実績、施設、環境面において全国に自慢できる学校であります。幸い寮も整備されており、県内外からさらに多くの生徒を受け入れるべきであると考えます。県立農業大学校や鳥取大学との連携もできており、あとはPRの努力にかかっているのではないでしょうか。

 近年、躍進目覚ましい本県林業でありますが、専門学科を有するのは県下で智頭農林高校のみであります。同校は、地元智頭町との連携によって地域の特色を生かした学校運営もすばらしいのですが、学校が有する演習林で実践的に林業が学べる森林応用コースとともに、智頭杉を使った曲げわっぱや幼児用玩具の製造、宮大工を目指すという生徒を輩出した木材加工コースも、地元木材協会女性部、木女会の皆さんや、熱心な指導者の存在と相まって全国にもっとPRしたい学校であります。

 県外からの入学希望者もあったが、受け入れ施設がないために断られたと大塩校長も残念がっておられました。定員240名に対して在籍生徒数が112名、うち森林科学科45名という現状に対し、鳥取林業の将来をかけた取り組みが必要ではないでしょうか。また、今や鳥取の民工芸は私たちの予想以上のブームとなっております。近郊のいなば西郷工芸の郷と提携することも学校の魅力度をアップするのではないでしょうか。

 最後に、水産高校についてであります。平成15年、かつての境水産高校は境港総合技術高校に再編され、海洋科、食品科を有する水産学科にその名残を残すのみとなりました。境港は、全国に13港しかない特定第3種漁港であり、しかも、かつて5年連続漁獲量日本一の実績を持ち、昨年も水揚げ量、水揚げ金額ともに全国第5位を誇る全国有数の港であり、ベニズワイガニ、クロマグロの水揚げは日本一で、食のみやこ鳥取県の最先端基地として、国内はおろか、世界に向かって挑戦していくべく、目下、県営魚市場も高度衛生処理型へのリニューアルが進捗中であります。

 ギンザケの養殖等、新しい取り組みも始まっており、境港は世界規模で進む資源管理への対応、ブランド化とともに、本来持つまき網船団と背後地における加工場の連携による大量受け入れ港としての責務の遂行をどのように整合させていくのか等々の難しい課題に直面しております。漁を支える現場の担い手とともに、港の将来を担うもう一段上の人材の育成はぜひとも必要であります。水産高校の再設置は無理としても、せめて県立農業大学校と同格の県立水産大学校の設置や水産大学との連携などを検討していただきたいと思います。幸い、境港市内にある県の水産試験場や産業技術センター食品開発研究所との連携も期待できますし、何よりもここに至るまでの業界を支えてこられた人材を生かし、次の時代を展望していかなければなりません。

 以上について、知事、教育長の所見を求めます。

 鳥取藩校、尚徳館は、1757年、宝暦7年に開校し、明治3年に閉校するまで113年の歴史を重ねております。近隣の諸藩では、鳥取藩から岡山藩主に国がえとなった池田光政が1641年、花畠教場を開いたのを始まりとして、各藩で次々に藩校が開設される中にあって、おくればせながらの開校でありましたが、基底にあったのは幕府の儒学奨励であり、武力統治に次ぐ新たな規範を求める時代の要求と各藩における藩政改革を担う人材の育成が必要であったのではないかと推察いたします。

 その尚徳館が大きく歴史の舞台に立ったのは、鳥取藩12代藩主、池田慶徳公の時代でありました。黒船の襲来を機に、国内を二分した朝廷・尊王攘夷派と幕府の間にあって、みずからの出自を抱えながら両者のあっせん役を務める一方で、藩内は財政窮乏の中、お台場の建設、長州征伐への参戦、加えて、因幡二十士事件の勃発と、まさに大動乱期のさなかに文武並進を奨励し、学校の規模拡大と内容の整備をなし、全ての藩士の子弟の就学を図り、総責任者として家老職を据えるという大改革をなし遂げております。

 特筆すべきは、乏しい財政の中から成績優秀者を特別待遇して学校に寄宿させ、終日勉学ができるようにしたり、留学生として他国に出したりしたことであり、この中から、後に明治大学を創立した岸本辰雄や東京音楽学校、現在の東京藝大であります、その校長となった村岡範為馳などが出ており、藩内にとどまらず、広く活躍する人材を輩出しております。

 ところで、私はこの2年間、所属する総務教育常任委員会での視察や、みずからの政務活動によって県内外の多くの高校を訪問しましたが、最も衝撃を受けた学校が2校あります。

 1校は、市立札幌開成中等教育学校でした。平成27年に開校したこの学校は、6年間の連続した学びを生かして、札幌で学んだというアイデンティティーを持ちながら、将来の札幌や日本を支え、国際社会で活躍する知・徳・体のバランスがとれた自立した札幌人を育てたい生徒像とし、課題探求、進路探求で世界を視野に自分の将来をデザインし、全ての教科において国際バカロレアを活用した授業で未来に向かっていくというのであります。入学の選考基準は、6年間つながったほうが伸びる子、試験がなくても勉強したい子、私立に行けない子というユニークなものです。同様の中高一貫校や中等教育学校が公私にかかわらず全国に数多く開校しておりますが、本県でも検討が必要ではないでしょうか。

 そして私が衝撃を受けたもう1校は、実は県内にあって、公立ではなく、私立の青翔開智中学校・高等学校であります。学校の内外にわたり強いこだわりと教育的理念が投影されている点や、時代の最先端をいくICT機器を駆使した教育技術の実践等々に横井理事長の並々ならぬ志とプロとしての手腕のほどをうかがい知ることができました。理事長の言われるデザイン力という言葉を札幌でも聞きました。

 大きく変化しつつあるこの時代にあって、みずからのふるさと、鳥取県、日本、そして世界を探求する力と、みずからの方向性を合わせてデザインできる人材を育てる学校、現代版尚徳館が今こそ求められていると考えます。

 以上、知事、教育長の所見を伺います。

 いじめ・不登校総合対策センターが発表した平成29年度の不登校児童生徒数は、県下の小学校で165人、中学校で481人、高校で289人、合計で935人に上り、しかもその数は年々増加する一方であります。

 一方、昨年末、日本財団が不登校の子供の実態を把握すべく、文科省の不登校定義に加えて不登校傾向にあると思われる中学生についての調査を実施し、その結果を発表しました。この調査は、学校ではなく、全国の中学生325万人のうち6,500人を対象にインターネットで行われたものです。その結果、年間30日以上の不登校の中学生は全国で約10万人、全体の3.10%であり、本県教育委員会の調査結果と同様の出現率でありました。さらに、不登校傾向にあると思われる中学生は約33万人で、全体の10.2%に当たるということがわかりました。

 この日本財団の調査結果をもとに県内の不登校傾向にある中学生を推計すると、1万5,540人の県内中学生の10.2%で1,585人となります。合わせると、約2,000人の中学生が学校に行っていない、行きたくないと思っているということになります。行きたくない理由については、授業がよくわからない等の学習面での原因と、友達や先生とうまくいかないというものが多く見られます。また、親からの回答を見ると、離婚、経済的困窮、親自身が不登校等、家庭にも多くの要因があることがわかります。

 不登校傾向にある生徒の形態としては、30日までには至らないが学校に行っていない、学校には行くが教室以外の保健室等に行っている、教室には行くが遅刻や早退が多い、授業を受けているが、人と違うことをしたり、心の中で学校が嫌だと思っている等が上げられております。この日本財団の調査結果を見て、改めて不登校問題に対する教育長の見解を伺いたいと思います。

 さらに、昨年末に健康政策課が報告されたひきこもりに関する実態調査によると、本県には、15歳以上59歳以下で原則6カ月以上社会参加ができないひきこもり状態にある人が685人ということでした。この数字は、市町村からの報告を集計したもので、各市町村で調査方法の違いもあるのかもしれませんが、恐らく実際はこれよりはるかに多くのひきこもりの方がいると思われますし、平成25年の国統計でも162万人という数字が出ており、その数は増加の一途をたどっているという深刻な現実があります。加えて、さきに述べた不登校と同様、ひきこもり傾向にある人も含めると、もっと大きな数字になるだろうと推察されます。ひきこもりに至った経緯はいろいろありますが、そのうち不登校を引きずっているケースも多くあり、学校教育における責任と課題も改めて受けとめなければならないのではないでしょうか。教育長の所見を求めます。

 また、知事部局においても、ひきこもり支援センターを県内3カ所に設置し、相談業務に当たっておられますが、平成29年度の実績を見ると、実際の相談人数は129人で、結果、就労に至ったのは45人ということであります。いわば社会の中心で活躍すべき年代の人が働くこともなく、親に依存して昼夜逆転の生活を過ごし、親が亡くなった後、生活保護を受けることで初めてひきこもりがわかったというような実態の中で、行政の対応がこのような待ちの姿勢でいいのでしょうか。このたびの調査結果をもとに、ひきこもりに対して今後どのような対策を講じていかれる所存か、知事の所見を求めるものです。

 鳥取労働局が公表した平成3010月末現在の外国人雇用状況の集計結果によると、現在、外国人労働者は県内に2,755人おり、その多くは出入国管理法による在留資格でいう技能実習生であり、県内の各産業で大きな戦略となっております。

 このような状況の中、本年4月1日をもって施行される改正出入国管理及び難民認定法に基づき、新たな労働力として、特定技能を在留資格とした外国人の受け入れが開始されることになりました。14業種、345,150人と言われる受け入れ見込み数のうち、果たして本県にいかほどの受け入れとなるのかいまだ見通せない中で、昨年12月末の閣議決定、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に沿って平井知事はいち早くプロジェクトチームを発足させ、県としての取り組みを開始、対応策を打ち出されました。すなわち、外国人からの相談に対応するために多文化共生支援ネットワークを立ち上げ、関係機関との連携体制を構築することと、相談を受け付けるワンストップセンター、外国人総合相談センターを公益財団法人鳥取県国際交流財団に設置するということであります。

 そこで、知事にお尋ねをいたします。知事は、外国人労働者の県内受け入れについて、基本的にどのような認識をお持ちでしょうか。そして多文化共生とは、どのような社会をイメージし、鳥取県においてどのように具現化しようと思っておられるのか、所見を伺います。

 我が県は、空路については2つの空港を持ち、そのうち米子鬼太郎空港は、ソウル、香港への定期便が就航する国際空港として山陰を訪れるインバウンド客の玄関口ともなっています。海路についても、重要港湾・境港を有し、国内で唯一、韓国、ロシアにつながる定期貨客船DBSフェリーが就航、実績を重ねてまいっております。加えて、近年のクルーズ客船の寄港では日本海側を代表する港となり、現在建設中の外港竹内南地区貨客船ターミナル完成の暁には年間100隻の寄港を目指す勢いであります。さらに、国内RORO船の就航も期待されております。

 空路、海路の目覚ましい躍進に比して陸上アクセスの整備については、道路、鉄道ともにいま一歩の感が否めないのであります。幸い高速道路の整備については、鳥取自動車道の完成を見、山陰道についてもほぼ全線開通のめどが立ち、中国横断自動車道岡山米子線も念願の県内4車線化に向けて大きく前進しました。残るミッシングリンクの解消は、山陰近畿自動車道と北条湯原道路の進捗次第となった今、次の課題として、米子−境港間の高速道路実現に向けて早急に取り組むべきであると強く訴えたいと思います。

 このままでは、せっかく平井知事が努力された北東アジアゲートウェイ・境港湾の整備や国際空港米子鬼太郎空港の躍進、そして今夏には高度衛生型市場として一部供用開始となる境港魚市場等々の取り組みが鳥取県全体に波及し、県経済の成長を牽引する効果を十分に発揮できないのではないでしょうか。加えて、島根原発の万が一の際には、島根県民も合わせて10万人の人々の避難を確保することができないのであります。

 私は、平成24年6月議会において、境港から米子自動車道米子インターまでの距離と所要時間が全国の主要港湾中ワースト4、日本海側では断トツのワースト1であるという調査結果をもとに、県は、山陰道整備の次の整備対象として米子−境港間の高速化を明確に位置づけるべきであると訴えました。この質問は大きな反響と賛同をいただき、以来この議場においても同様の意見がたびたび繰り返されております。しかしながら、質問を機に設置された国、県、地元3自治体の協議はいまだ先行きが見通せず、一向に事態が進捗していないように見受けられます。平井知事の英断が求められるときを迎えていると思います。決意のほどをお聞かせください。

 次に、鉄道の高速化、とりわけ新幹線導入についてであります。

 大阪−下関間を結ぶ山陰新幹線と岡山−松江を結ぶ中国横断新幹線、伯備新幹線の2つの計画が昭和48年に閣議決定されて以来、半世紀近くがたっておりますが、両計画ともいまだ凍結状態にあります。新幹線導入によって経済効果が上がった金沢市等の事例もあり、ここ数年2つの計画案の実現を求める声がそれぞれに高まってきております。陸の孤島と言われて久しい山陰の地にとって新幹線導入の計画は夢でしかないのか、知事の所見を求めるものです。

 昨年は、大山開山1300年ということで盛大な祭典が繰り広げられる中で、私たちも忘れかけていた大山さんのおかげを再認識したことでありました。この議場において、地元の福間議員の県としても支援すべきとの発議を受けて県は大きな役割を担い、1300年祭と並行して山の日記念全国大会、国立公園満喫プロジェクト事業等を展開して大山の整備とPRに努められました。結果として、県内外から約25万人の観光客を迎え、経済効果も約13億円という大きな成果を上げることができました。

 昨年に続き、ことしもさまざまな取り組みが行われますが、宗教上はことしが結願の年ということで、大山に仕掛けた我々の願いが成就するのか否か、問われてもおります。大山は本県を語るに欠かせぬ存在でありますが、大山の恵みを受けて私たちの眼前に広がる東西約120キロの日本海も、また本県の貴重な資源、財産であります。そして山と同様、海も放っておいていいものではなく、絶えざる保護・保全の活動によって初めてその魅力を保つことができるのではないでしょうか。

 幸い県東部の海は、先年来、山陰海岸ジオパークとしてユネスコ世界ジオパークネットワークへの加盟が認定され、その存在が大きくクローズアップされてまいりました。一方で、県西部においては、日本海と島根県の宍道湖をつなぐ中海がラムサール条約の指定を受けることによって守るべき湖沼として汚濁の防止に努めるようになり、毎年展開される両県一斉の清掃活動もすっかり定着し、参加者は年々ふえ、大きな成果を上げております。

 私は一昨年の9月議会で、残された海域、美保湾について、世界で最も美しい湾クラブに加盟申請するよう提案しました。今夏に美保湾で開催されるレーザー級世界選手権大会に照準を合わせての提案でありましたが、結局は間に合わせることができずに今日に至っております。しかしながら、セーリングに限らず、クルーズ船ターミナルやサイクリングロードの建設など、大山、弓ケ浜半島とあわせ、美保湾は今、最も注目される華やかな舞台となってまいりました。大山に続けて、中海と同様、美保湾にも美しい海と砂浜を守る住民意識の啓発と活動を喚起するような錦の御旗を打ち立て、私たちの大切な宝として保護・保全に取り組んでいくときを迎えているのではないでしょうか。知事の明快な答弁を求めます。

 昨年1221日、過去最大の一般会計総額1014,564億円に上る平成31年度予算案が閣議決定され、あわせて地方財政対策が決定されました。平成31年度の地方一般財源総額は過去最大であった平成30年度よりも6,000億円ふえて62.7兆円となりました。しかし、その内容を見ますと、地方税、地方譲与税が0.9兆円増額されている一方、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税額は5,000億円の減額となっております。果たして本県のような地方で都市部ほどの税収増を期待できるのかどうか、大きな懸念が残るところでありますが、まず、この地方財政対策への評価と今後の本県の財政運営に与える影響について知事の基本認識を伺います。

 平井知事におかれましては、これまで3期12年に当たり、子育て王国とっとり、鳥取県中部地震からの早期復興、戦略的企業誘致、インバウンド誘客、インフラ整備など、県政のあらゆる分野で地方創生のトップランナーとして全国に先駆けた取り組みを積極果敢に展開してこられました。この2月定例会に上程された総額3,183億円の平成31年度当初予算案は、知事が現任期で手がける最後の予算編成となります。緊急度の高い事業や年度当初から取り組む必要があるものを中心とした骨格予算ではありますが、極めて厳しい財政状況の中、大変な御苦労があったことと拝察するものです。このたびの当初予算に込められた知事のメッセージをお聞かせください。

 私たち鳥取県民は、3年前の参議院議員選挙において初めて導入された合区選挙を経験し、結果として、全国で唯一、自分たちの県から代表を国会に送ることができなかった悔しさと惨めさを味わいました。以来、私は、合区対象4県の自民党県連とともに、次の選挙では必ず合区解消を合い言葉に、党本部、参議院自民党に訴え、今後、合区となることが懸念される20県連にも呼びかけて大きなうねりをつくり上げることができました。そして現在までに全国35県で合区解消の意見書が採択されており、昨年4月27日には、私たち4県連が最終目標としていた地方六団体主催の合区の早期解消促進大会の開催も実現し、各政党代表にも御参加いただきました。盛り上がった会場で問題決着への期待と達成感を覚えたほどでありました。

 しかしながら、事態は、この夏の第25回参議院議員選挙を再び合区で戦うという展開になってしまいました。比例代表特定枠の導入という緊急措置はとられたものの、この結果に対してじくじたる思いを抱くのは私一人だけでありましょうか。

 私ども自民党鳥取県連は、合区解消のためには憲法改正によるしかないと考え、一昨年3月11日に憲法改正を考える県民大会を開催しました。会場の米子産業体育館に県下全域から集まられた2,000名の方が開催中、誰一人として席を立たず、私語もなく、真剣に壇上に注目されている様子を見て、合区解消への県民の熱い思いをうかがい知ることができました。しかしながら、このような取り組みは今のところ本県連のみで、我が党としても、いまだ憲法改正に向けた議論は一向に高まらず、今後の成り行きを憂慮しております。

 本県は、全国最小の県ですが、農林水産業を大切にして国土の保全と国民の食糧確保に努めております。災害大国日本、南海トラフ巨大地震の発生がほぼ100%と予想される中、本県が担うことになるであろう災害対応拠点としての任務を果たし、高い出生率と子育て王国によって我が国の最大の課題と言える人口減少化に貢献し、鳥取から日本を変えていくと力強く頑張っているのであります。国会議員が減ることは大きな戦力の喪失であります。そして合区選挙は、このような県を切り捨て、候補者の顔も見えない選挙で投票率を低下させ、政治離れを促進する民主主義の根幹にかかわる大問題であり、この国の将来に大きな危機感を抱かざるを得ません。

 これまで、合区解消に向けて私どもと志を同じくし、ともに戦ってくださいました平井知事には心から厚く御礼申し上げますとともに、今後ともこの問題に強く強くコミットしていただき、成果を期待するものであります。合区解消に向けての今後の道筋と決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。

 以上で壇上からの質問といたします。


平井知事(答弁) 

 安田優子県議の代表質問にお答えを申し上げたいと思います。

 まず、冒頭お話がございましたのは、これから統一地方選挙を迎えるわけでございますけれども、それに向けての抱負、鳥取県像はどういうものか、また、出馬表明がおくれたこと、どういう経緯で決断に至ったのか、これまでのさまざまな思いを等につきましてもお話をいただいたところでございます。

 きょうは、安田県議におかれましては、あでやかな和服姿で御登壇いただきました。山陰の木々をあらわすかのような、そういう緑の衣装でございます。「絣地の一枚北窓塞ぎ足す」という中村草田男の句がございます。安田県議におかれましては、16年にわたりましてこの議場において、さらには、市議会等々、別の活躍の場もございました。一貫して、ふるさとを守り、そして豊かにしていこうという信念のもとに人生をささげてくださったわけでございます。草田男のその句というのは、要は北窓を塞いで、そういうふうにかすり地の一枚というものを使う姿、あたかもそうやって家を守りふるさとを守る、そういう安田県議の姿が重なっているように思います。深く深くこれまで県政をお導きいただきましたことに対しまして心からの感謝を申し上げたいと思いますし、教えていただいたこと、安田県議が目指されたことをこれからの県政に反映していかなければならない、そのことを私自身もお誓いをここに申し上げたいと思います。

 安田県議とともに私自身、約12年でございますが、知事という職でも歩ませていただきました。いろいろと思い起こされることもございます。例えば雄大な海を越えて世界がつながっている、私自身は、最初のときに北東アジアゲートウェイ構想ということを申し上げました。安田県議は、これをぜひ推し進めるべきだと、そして境港の管理組合の議長としての職責も含めまして大変に御尽力をいただきました。どうなったか。今、竹内南岸壁には、夢に見ていたようなフェリーターミナルができようとしています。もう1年余りのことだと思います。

 私も今週行ってまいりまして、港湾局長のほうに要請活動をさせていただきました。実は18億円を2月の補正予算で国のほうで組んでいただきました。これでぜひ完成を目指してもらいたいということを申し上げました。ぜひそういうように間に合うように、32年の春に間に合うようにやってみたいと力強いお答えもございました。こういう未来というものを手元に引き寄せることをしていただいたわけでありますが、これはこれからますます強くなってくる夢へのかけ橋になると思います。と申しますのも、4月から外国人労働者がこの鳥取県も含めて入ってくる時代になろうかと思います。

 そういう国際化が進むことを12年前から見越しておりました。安田議員も境港という土地柄、それから鳥取県の特性ということを考えて、世界とつながっていく鳥取をつくっていかなければならないということでありました。これを推し進めて今その成果もあらわれてきたところでありますが、これが恐らくこれから続いていく次の時代、昭和、平成、その次の時代にはさらに国際化した日本の姿があると思います。その礎をつくるのが次の4年間ということになるのではないかなというふうに思います。これは一つの大きなポイントになるだろうと思います。

 また、安田県議は、子育てのことなど、人材育成、未来を担う教育ということに力を入れてこられました。これも大きな柱になる分野だと思います。鳥取県は残念ながら人口減少が続いています。これは、高齢化が進んでいますので、当面人口減少がストップすることは正直あり得ないと思います。しかし、人材を育成することに力を入れることは、だからこそ必要なことではないかと思います。この辺も一つのポイントとしていかなければならないのだと思います。

 また、災害が続いている最近の状況からしまして、安心というものをつくっていくこと、それから産業というものを興し、これからの方向性をつくっていかなければなりません。これまで12年を振り返りますと、まずはリーマンショックがございまして、さらに、海外への産業の流出がございました。農林水産業にとりましても、担い手の減少傾向等もあり、生産高の落ち込みということに直面をしていました。最近ようやくここに歯どめをかけてきています。実は先般発表されましたGDPでもそうでありますが、今、鳥取県の生産力は回復の兆しが出てきておりまして、反転攻勢をかけつつあります。これは数字の上だけでできるはずがありません。ここまで10数年かけまして、例えばハイウエーをつなぐ、そういうことによる企業誘致など産業立地を求める、また、経営革新など中小企業の振興を図る、鳥取県独自のことが今ようやく生産額の増強や、そしてさらには、GDP、また、県民1人当たりの生産性ということにもつながってきているところでございます。

 ただ、まだ十分ではありません。この地歩を固めて、さらに上方へ引き上げていくことが必要であります。農林水産業も765億円という生産高に急回復をいたしました。その背景には、和牛のこともあれは、新甘泉や輝太郎などの新品種のこともあります。ネギなど野菜、ブロッコリー、そうした野菜の生産が強まってきて、若い方々が参入してきたことも上げられます。こんなようなことで仕事づくり、産業づくりということを考えていかなければなりません。

 また、I・J・Uターンにより人口減少に歯どめをかけていく、これには、ことし、今年度でいえば前半で1,000人近く移住者もあり、年間では2,000人を超えるでしょう。こういうことは今までなかったことでございまして、ムーブメントを鳥取から起こすことができました。ただ、ここからは、ここから外に出ていく子供たちがまた帰ってくる、そのことをしっかりやらなければなりません。ふるさと教育であるだとか、そうした方向性をつくっていくことが重要なことになってこようかと思います。

 また、ふるさとの基盤をつくっていく、港だけではなくて、高速道路、さらには、航空路線のさらなる充実等々を考えていかなければなりません。そして自然豊かなこの鳥取という特性を生かしまして、ジオパークであるとか大山であるだとか、そうした恵みをもとにした住みたくなるふるさと、これを確実なものにしなければならないわけであります。そういう意味で、私たちは、安心あるいは人、仕事、また、暮らし、ふるさと、こういう新しい時代をつくっていかなければならないのだと思います。これは、まさに安田県議がこれまで16年間語り続けてきた道筋になるのではないかなというふうに思います。ぜひともやり遂げていかなければならず、私自身も決断をさせていただいた次第であります。

 何がこの私自身の4期目の挑戦に向かわせたのかというお尋ねがございましたけれども、1つの大きなことは、安田幹事長、また、石破県連会長、それぞれお立ち会いの中で私のほうの背中を押してくださったこと、これが大変に大きかったです。地方創生まだ道半ばであって、この鳥取というふるさとをしっかりとつくっていくためにも、これまで頑張ってきたことをさらに継続して発展させていってほしいと、そういうお話をいただきました。そこで私としても、正直これは向かわなければならないなというふうに思ったところであります。

 実は私の中には逡巡がございました。その理由は、11月の島根県議会でいみじくも溝口知事がおっしゃっていましたけれども、3期12年を区切りとしてという言葉を述べながら引退を表明されたわけであります。私のような仕事というのは、いつまでも続くものでも決してないわけでありまして、どこかで考えなければならないタイミングというのがあるだろうと、私自身は県民の道具であると自戒をいたしております。地域の皆様、県民の皆様が必要とするのであれば、私は仕事をするのでありましょうけれども、また次の別の考え方であるのであれば、それはそれに従う、私としては引くべきタイミングというのも当然あるだろうと。その辺を自分自身で客観的に見ながら、実は悩んでいたのがここ1年ぐらいのことでございました。別に自分自身が何をやりたいということは全くなくて、県民の皆様がどう考えるかということを見ていたところでございます。そしてさまざまな会派の皆様や団体のほうからのお導き、後押しもございまして、決断をさせていただいたというのが正直なところでございます。

 昨日、全日本ろうあ連盟の事務局長の方と東京でお会いをいたしました。そのときちょっとからかわれたわけでありますけれども、実は聴覚障害者の皆さんからも要請をいただきました。そのとき、私自身、こういうふうにされたのです。これはちょっと手話で泣いたでしょうと、こういうことなのですけれども、よく見ておられたわけでございまして、実は手話言語条例ということを我々はこの議場でやり遂げたわけでありますが、それが全国の聴覚障害者の皆様から大変に評価をされています。これからぜひ鳥取のほうでパイオニアをしてほしいと、そのためにも続けるべしというのが聴覚障害者の方々からの強い要請でございました。

 そのときにおっしゃりに来られた地元の聴覚障害者協会の皆様の表情で、泣きそうなぐらいなお顔をされまして迫ってこられたときに、私自身もそれに心を打たれて涙してしまったという場面もございました。それがどうも全国に伝わったみたいでして、平井が泣いておったというような話になっていたようであります。この1年、平たんな道のりではなかったのですけれども、私自身も悩みを深くさせていただきましたけれども、この議場におられる多くの皆様を初め、一緒にやろうと、これからもやろうという声をかけていただいたことが私自身、非常に心にしみたところでございます。

 「山陰の木の間の畑やひとり打」という正岡子規の句がございます。なぜ山陰の畑の句を詠んだのかよくわからないところではありますが、山陰の木々、きょう県議はそうした森を思わせるような服装をされていますが、木の間の畑を一人で打っているという、そういう句であります。私自身、結構孤独な思いも時に感じながらこの12年やってきたわけでありますが、また、自分自身にもむち打ってもう一度挑戦をすることで県民の皆様に報いたい、こういうように決意をさせていただきました。決意をしたからには、しっかりとした仕事をしなければなりません。また自戒を込めてやってまいりたいと、初心に戻ってやってまいりたいと思います。

 具体的な県政課題につきましてお尋ねをいただきました。

 まず、女性の活躍につきましてお尋ねがございました。出生率が上がってきているわけでありますけれども、やはりキーは若い女性がここに住む、そういう環境づくりではないか、これが持論であるというお話がございました。あわせまして、女性活躍推進課という課ができて3年がたったわけですけれども、その成果が発揮されたのか、実情や方向性についてというお話でございます。

 女性活躍推進課という課に変えたのは、私も、平成28年のちょうど今ごろ、政調政審のときだったと思うのですけれども、安田県議が発言されたと伺っていますが、要望がございまして、女性活躍推進課にいっそ改名をしてしっかりと女性の活躍を国の政策転換とも相まって進めるべきではないかと、こういうお話がもたらされました。そこで、私どもも課の名前をこの際変更して体制の強化をしようということを進めてまいりました。以後、最近、女性の活躍の場というのも広がってきているのは事実であります。ただ、十分かというと、そうではないかもしれませんが、そういうことではないかなと思います。

 鳥取県の一つの課題は、人口減少、それに向けては、やはり若い命がどんどんと誕生していくという、そういう社会のあり方というのが必要ではないかということであります。合計特殊出生率はおかげさまで向上して、全国7位まで急上昇してきました。それは、無策であったのではなくて、保育料のことだとか、さまざまな子育て政策、小中の少人数学級化だとか、いろんなことをやった、それに実際には県民の皆様が応えてくれて、それがおのずから出生率の向上につながっていったという、そういう道筋だろうと思います。

 ただ、議員がおっしゃるように、出生数ということですと、結局、合計特殊出生率は女性の数が分母のほうに来まして計算をするものですから、女性の数が減っていくということになりますと、特に生産年齢といいますか、そういう適齢期の方々の年齢ということになりますと、そういうことになりますので、それが伸びない、減っているという現実のもとで、出生数自体はなかなかふえるというところまではたどり着けないというのも事実であります。ですから一つのキーになるのは、高齢化が進むことは、それは今、団塊の世代がもう2025年になりますと75歳というところに到達しますので、それをにらむ時期でありますから高齢化が進むことはやむを得ないわけでありますけれども、若い層のところの特に女性にも住みやすいところをつくるべきではないかということだろうと思います。

 鳥取県は、これまでいろいろと女性の力でも支えられてきたと思います。そういう方々が地域づくりや子育てなどにも取り組んでこられました。例えば鬼太郎茶屋の荒木さんも鬼太郎音頭の作詞をされて、それが考えてみれば、水木しげるロードの歴史とともに地域に今420万人のお客様を引き込むぐらいになってきたわけでございます。あるいは足立茂美さんのように、本の学校の役員などもされていますけれども、読み聞かせなどの活動でそれで子育てにもかかわっておられる、あるいは渡部さんのように、今、子育てのネットワークのほうでも活躍をされていますが、境港のほうでも子己庵を開かれまして古い民家を活用してやっておられる、こういうような活動というものがやはり非常に大事でありまして、そういうものを称揚していかなければなりません。

 あるいは若い方々のビジネスや、あるいは農業なども含めてでございますが、例えば森脇●マリさんはベビーリーフを境港のほうで耕作をされまして、また、紅くるり大根なども栽培をされるわけでございますが、もともとは野菜ソムリエの資格を持っておられる方でいらっしゃいまして、そういうような経験も生かして、今、要は売れ筋になり得るもの、そういうものをつくられる、そういうモデル的な農家になり始めていらっしゃいますし、また、南部町のほうでも、益村さんがpa cherry b.というジェラートのお店を開かれていますが、今では行列ができる、そういうお店になっています。最近、福嶋さんという東部のほうのブリリアントアソシエイツの社長さんがプロデュースしたというか、販売をするわけでありますが、新しい商品に、こういうピンクのコーヒージェラートをつくると。これはパッチェリービーが生産をする、さらに、そのデザイン関係で使用したのがnidoの中村さんというこれも女性の経営者です。こういうように女性のコラボレーションの中で新しいビジネスが生まれてきています。

 実は女性活躍推進課ができて最近こういう動きが活発化していますし、また、民間と協働して労組や、あるいは経営者が入りまして女性活躍とっとりの会議をしておられますけれども、この結果として、管理職がいる民間の職場も5割をこの3年ほどで超えることになりました。6割近くになっています。鳥取県の女性の管理職も今20%でございましては、これは東京都の16%をはるかに上回るぐらい引き離しつつございます。そういうように、ここのところ女性活躍推進課の設置ということで波及効果も出ているのかなというふうに思いますが、ぜひ議員がおっしゃるような女性が輝く地域社会、それによりまして、子育ても含めて広がりのあるふるさとの活力につながるように政策の発展を期してまいりたいと思います。

 次に、企業主導型保育事業所、それから今後の子育て王国とっとりの保育の支援の方向性についてどうかと、こういうお話でございます。

 やはり子育ての拠点として保育所の必要性、そしてその活用しやすさということが一つのテーマだと思います。これにつきましては、安田県議から平成25年に議場で質問をいただきました。それがきっかけで、そのときに保育料の無償化に国に先行して取り組めとおっしゃったのですね、国に先行して。今でもそのワーディングを覚えていますけれども、先行してということで取り組めと。私どもも、例えば小中の少人数学級とか、それから医療費の無償化といいますか、医療費の助成制度、高校生までということなど、いろいろ取り組んできましたけれども、そういう中で、国のほうで保育料の無償化に取り組むという動きが出てきているような話をされまして、国に先行してぜひ鳥取からやるべきだと、こういうお話でございました。

 それを受けて、その翌年の平成26年、大分あの後、実はすったもんだしまして、市町村との話をまとめるのは結構です。最終的には、中山間地の地域づくりとしてやってみたいというところもありましたので、中山間地の保育料無償化事業としてスタートをしました。その後は皆さんも御案内のように、都市部の第3子以降とか所得によっての第2子無償化ということに踏み出すなど、だんだんと広がりを持ってきたのですが、実は議場できっかけをつくっていたのは安田県議でいらっしゃいました。

 事ほどさように、保育料の問題を含めて保育所という受け皿は重要でございます。そういう中、最近は企業主導型保育事業所ができているわけでございまして、16の事業所が開かれていますが、私どもが伺っているところでは、現在入所者は390人であって、大体51%ぐらいの充足率というように伺っているところでございます。ですから全部埋まっているという状態ではないのですけれども、ただ、こういう新しい動きが出てきたと。ただ、これについては、この議場でも、安田県議からもいただきましたけれども、いろんな御意見が出されているのも事実でございます。

 そこで、平成28年に安田県議からお話がございましたのは、これが結局きょうのお話のように、保育士の取り合いのような状態になったりするのではないだろうかと。あのとき南部町の保育所の問題が新聞等で取り上げられまして社会問題化したということがございました。それで、議場でも御議論させていただきましたけれども、やはり少なくとも当事者である市町村と情報を共有しながら、こういう保育施設については一定のコントロールがなされるべきではないかと、こういうような議論をさせていただいたわけです。その後、平成29年、30年というふうに時が進んでまいりまして、国のほうの制度改正も順次進められて、今、実際には事前に市町村に相談をするというようには変わってきました。こういうようなことを一つのてことして、議員が御懸念されるような適正化につなげていく方向性だろうと思います。

 また、個別の保育施設での適正なケアがなされるかどうか、この辺の監査、オーディットということも重要であろうかと思います。これにつきましては、児童育成協会というこれにかかわるところでの監査が進められるわけでありますが、最近は県とも連絡調整をするようになってきておりまして、こうした児童育成協会での監査、それから県も保育所の監査をしますので、その行政監査をさせていただく。こうしたところで、例えば災害時の対応とか、いろんな実は私どものほうが指導させていただいたり、それから児童育成協会のほうからの監査結果ということも出てきているところであります。例えばアレルギーの対応マニュアルを作成しろとか、そんなようなことで順次今進めてきているところでありますが、議員が御懸念されるような問題が発生しないように、やはり十分なフォローアップが必要であろうというふうに思います。

 そして、このたびの保育料無償化につきましてとりあえずの予算を計上させていただきましたけれども、そこでも見ていただけるとおりかと思いますが、国のほうの制度で私どもが先行してやったところにつきまして、国のほうの支援制度が入るところもございますが、逆に、3歳児以上のところにつきまして無償化が入ってくるということでその影響がございますので、県の予算ベースでは3億3,000万円の増ということになります。

 こういうようなことで、決して負担が軽くなるということではない状況でもあるわけでありますけれども、ただ、これから市町村と話をしなければいけませんが、やはり全国の趨勢を考えながら、その一歩先行くような、そういう保育制度、保育支援、子育て支援ということに我々としても国の制度改正にさらに乗せながら進めていくべきではないだろうか。ただ、正直に申し上げて、その具体像をつくるのは、市町村との協議をやらなければいけませんので、時間も若干いただく必要があるのかなというところであります。などとなれば、10月にならないと保育料無償化が始まりません。それに向けて何をやったらいいのかということで、結構市町村は正直大わらわであります。

 これまでの経過を申し上げますと、年末まで市長会などは猛反発していた時期もあります。なぜなら、保育料の無償化で市町村のほうの負担ということも当然あります。これについて国が全額持つというお話を1度したそうなのですけれども、ただ、そうではなかったようでありまして、その辺の反発があります。ですから、そういう実際に負担をしたり、保育行政の担い手である市町村が主体でありますので、その後見役としての県の立場でありますから、この辺の今後の協議を進めていかなければなりません。

 先ほどの中山間地の保育料無償化をするのも、議員の質問から1年弱の期間がかかってようやく二転三転してそうなりましたし、その後も、さらに第3子以降というところにたどり着くまでやはり、特に市部の合意を得るのに大分時間がかかりました。ですから、まだ10月施行でありますので、その辺もにらみながら今後協議をしてまいりたいと思います。

 次に、農林水産業を支える人材づくりにつきまして、スーパー農林水産業士にも言及をされながら、倉吉農業高校、智頭農林高校、それから境港総合技術高校につきましてお尋ねをいただきました。教育長のほうからもいろいろとお話があるかと思いますが、私のほうの観点で少しお話をさせていただきたいと思います。

 倉吉農業高校につきましては、これは伝統校でありまして、広い農場もございますし、また、最近でも例えばお米づくりで全国の表彰を受けることが相次いだり、また、いろんな新商品の開発や実習などもされまして活発に動いています。実は平成27年のときに自民党さんのほうで農業高校を応援する議員連盟というのが立ち上がりまして、その立ち上がりのときに私も呼ばれましたし、倉吉農業高校の校長さんとかも呼ばれて一緒に参りました。そこで、実は倉吉農業高校のお話をさせていただき、当時の構想について申し上げたら、非常に評価をいただきまして、そのときスーパー農林水産業士の話もさせていただいたわけです。

 現在、このスーパー農林水産業士の資格を得て、いわば実習しながらインターンシップのような形で先進農業を学んでやっているということでございますし、また、それを農業大学校や、あるいは鳥取大学の農学部につなげるという当時の構想も今では実現をしてきております。例えば鳥大の農学部のほうでも、こうした農業高校から来る、そういう高校生向けの推薦入試枠というのも確保をしていただきまして、現実にもそうやって進学をするというような時代にもなってきました。また、6次化を進めるそういう資格の取得に向けまして、農業大学校とのカリキュラムのつなげをするとか、そういうような展開も図ってきているところでもございまして、当時考えていたことが今実りつつありますし、それを得て実際に教育を受けて農林水産業士になられている、そういうところも出てきています。

 ここの場合は明治14年の創立でありますが、8割ほどの生徒さんが寮生活を行われるということもありまして、人間形成という意味でも非常に大きなものもあろうかと思います。最近も、例えば例の仙台で行われました全国の和牛能力共進会において出品を倉吉農業高校もしまして、優秀賞をとられるなど片りんを見せたところでもございました。やはりこういう生きた教育、職業教育というのは非常に大事ではないかなと思います。

 智頭農林も同様でございまして、最近若干の変化も出てきました。私自身は、ぜひ教育委員会にこの辺を伸ばしていただければなと思うところもあるのですけれども、例えば横浜のほうから入学した子供がいまして、これが要は森林科学科のほうに入学したわけでございますけれども、やはり自然の中で仕事がしたいと。全国を見渡してみて、こういう学ぶ環境というものがなかなかあるわけではないので、それでこちらのほうに来て学んだと、こういうようなこともありました。

 また、実は大原高校が隣で閉校しているのですね。県境をまたいで通ってくるという形態もあります。私自身も驚きましたのは、五、六年前に観光甲子園がございまして、この観光甲子園に智頭農林高校が出まして、グランプリ、1等賞をとったわけです。そのときの4人の生徒さんのうちの2人は大原の子でございまして、岡山の子が入っていたと。こういうような形で県境にありますので、そうした学びの形というのも今後支援できるのではないかなというふうにも思います。

 さらに、最近は新体操部で活躍を夢見て入ってくる子供たちもいまして、京都とか大阪とか兵庫から越境して入学をしてくるということであります。そういう子供たちが、いわば下宿をして高校に通っているという形態も今、智頭農林高校で生まれてきています。やはり林業というものは、一つこれから伸びる産業にしていかなければならないところでありまして、全国的にもユニークなカリキュラムという面もあり、この辺をてこに特徴ある高校というものをつくっていったりすることも可能かもしれませんし、新体操部のように、そういうスポーツということで学校を強化していくということもあるのかなというように思います。スーパー農林水産業士もここで資格を取られながら、智頭の森林組合に行った、就業したという例も最近出ました。こうした経験を生かして、今、日南町で始まります中国地方の林業アカデミー、これもこうした効果を持つものだと思いますので、県としても、4月開校でありますが、支援をさせていただきたいというふうに考えております。

 水産系では、境港のお話がございました。これにつきましては、最近、こうした海洋系といいますか、水産系のところで実際に水産会社に就職する率は、少しずつではありますが、やはりふえてきています。ですから、最近の農林水産業士の取り組みなどもありますし、それから養殖漁業が広がり始めたことも影響しているかもしれませんし、共和水産のようなそういう定着企業の効果もあるのかもしれませんが、もう私が就任する前、なかなか実際に卒業しても漁業に就業するということは余りなかったころから考えますと、定着率は上がってはきている状況かなと思います。

 その背景として、スーパー農林水産業士のお話をいただきましたが、これについては、例えば第一鳥取丸とか、それから漁協のほうとか、あるいは三光さんの養殖とか、そういうところで実際に実習をしながら今、人材育成も進んできていまして、今3年生の子供たちも就業の予定があるというようになってきていますし、2年生での今研修中、学習中の子供たちもいるということであります。順調にこの一つの成果があらわれ始めているのかなと思います。

 そういう中でも見えてきたのですが、これは議員の問題意識にありますように、いろんなところで有機的に重ね合いながら、理想を言えば水産大学校みたいなことがあるといいのかもしれませんが、一足飛びにそこにいかなくとも、そうした水産試験場や栽培漁業センターや、あるいは地元企業やらで、要はコングロマリット、共同体で将来の水産人材の育成を図ると、そういう体制づくりというのが大事なのではないかなというふうに思います。

 今、全国的にもこういう水産系の充足率というのは厳しくなってきていまして、隣の隠岐水産や浜田水産も厳しい状況でありますが、境港総合技術高校のほうは、それよりは上に充足率が若干高いところもございます。成果もあらわれている面も出始めているのかなというふうに思いますが、地元の食品開発研究所とか、そうしたところとのコラボレーションなども含めまして人材育成につなげていければと思います。

 次に、現代版尚徳館につきましてお話がございました。

 やはりこれも教育委員会でのいろんなお考え方もあろうかと思いますけれども、議員もいろいろ視察される中でこの考えにたどり着いたということだろうと思います。尚徳館自体は1757年に設立をされまして、1850年に池田慶徳公がここ鳥取藩に着任をされる、また、その2年後、水戸藩出身の慶徳公でありますので、当時はおっしゃったような儒学中心であったものを、それをいわば水戸学とも言うべきもの、新しい学問、例えば政策論議を戦わせる自由討議であるとか、それからまた、当時は上級士族だけであったものを徒士以下の下級士族まで広げて、その入学年齢も8歳というように13歳から引き下げるとか、かなり幅広い人材育成をしようというようにかじを切ったわけです。これを池田式部に命じまして、そうした藩校としての尚徳館改革を行ったわけであり、そこから議員がおっしゃるような岸本辰雄先生とか、名立たる人物ができてきて明治国家を支えるに至ったわけであります。

 これと同じようなことで、中野塾が境港にはございました。景山粛が開かれたものでありますが、医学もされながらそういう人材育成をしようということでやったわけであります。その中には、富田織部のように活躍をする方も出てきたわけでありますが、当時の鳥取藩、景山先生のところも含めまして、中野塾も含めて、そういう幕末の議員がおっしゃるように黒船が来航するような中で、新しい国家をどうやってつくっていこうかというときに、人づくりにそれは民間の取り組みも含めて力を入れたわけであります。今でいえば、私学教育も含めてこういう人材育成にしっかりと力を入れなければならない。

 今どうなっているかというと、非常に不透明になってきていると思うのですね。きょう現在のことを言っても、例えばトランプ大統領が壁をつくるということを実現するために、予算には署名をするものの非常事態宣言を発令しようかというようなことを言って、これから荒れてくるかもしれません。さらに、イギリスでは、メイ首相が提案をしたブレグジットにかかわる考え方がまたしても国会で否決をされる。世界はどうなるのかという中で、この間の春節のころなどは多くの外国人が日本に流入をしてきまして山陰にも訪れてきています。こんなような中で、ボーダーレスになってくるこの世界の趨勢のときに、ふるさと、あるいは国、そして世界を担うような人材を私たち鳥取でもつくっていかなければいけない。その意味で、現代の尚徳館のような存在というものを、これは公教育あるいは私学も含めて考えていくべきなのかなということだろうと思います。

 議員がおっしゃる青翔開智も非常におもしろい教育をしていまして、私は、実はその開学前から理事長からいろいろと構想を聞かされていまして、そのときにはまた応援しましょうというお話も申し上げていたのですが、20人という少人数の中で、いわばぜいたくな教育をやるわけであります。そこでは、最近はやりのBSPのようなビジネスを実際体験しながら学習してやっていくようなプログラム、例えばカラフルらっきょうというのをこの間、生徒さんたちがつくられましたけれども、ああいうようなことをするとか、ユニークな授業、そして世界や社会で通用するような、そういう人材を育成しようというところであります。

 米子北斗のような一貫校もございまして、こちらも香港城市大学と協定を結ばれるなど、国際人をつくろうと。ネーティブも含めた教育もされ、札幌の開成の話もございましたけれども、そんなような形でいろいろとユニークな教育も始まっています。恐らくこれから高校改革も本県の中で議論する時期になりますけれども、私は、議員がおっしゃっていたような国際バカロレアなどの挑戦も含めてそれぞれの高校の特色も考えながら人材育成にチャレンジをしていく、そういうような色をやはりつけていくべきではないかなというふうに思います。これは教育委員会とよく相談をしなければなりませんし、私学の応援をまたそういう意味でもしていかなければいけないと思います。

 次に、不登校、ひきこもりにつきましてお尋ねがございました。

 これにつきましては、私どものほうにはひきこもりの生活支援のお話があったわけであります。議員が御指摘ありましたとっとりひきこもり生活支援センター、青少年ピアサポートさんに委託しているのですけれども、これは実は今、業界の中で鳥取方式と言われて注目をされています。ちょっと力不足のお話は確かにあるのですけれども、手法としてはいい方向を私はやっているのではないかなと思います。

 実はひきこもりを社会人ベースで正していこうと思いますと、一足飛びにはできないのですね。これはこの議場でもいろいろと御議論いただきましたけれども、まずは家族支援のところから向かい、それから本人とのコミュニケーションということから始め、それから集団の中で要は社会性というものをつくり上げながら、最後にはちゃんと就業するような社会参画、ここに結びつけていくと。ここを念頭に置いてそのピアサポートのほうではしていただいておりまして、通常ですと、相談支援だとか啓発活動だけなのでありましょうけれども、職場体験あるいは市町村のスーパーバイザーの役割もしていただいています。

 そういう中、大体半分近く就業に結びつけていただいていまして、この手法というのは県外からも注目されていますが、これをやはり横展開していくのが正しいのかなと。議員がおっしゃるように、もし力不足があるとしたら、一つは、どうしても東部中心になっているものですから、西部に今、週1日出張していっていただけるように議場でも御議論があってお願いをし、今そういう体制をとっていますが、さらにそこを強化できないかというのが一つあると思います。あと、やはり市町村の役割、一人一人のひきこもりということに県政で全部対処することは正直無理だと思います。

 そういう意味では市町村行政とのかかわりが大事でありまして、今、例えば八頭では、ひきこもり支援調整会議というのをつくられて始められるということになりました。これは地元のいろいろな組織と協働しながら社協で音頭をとってやるということでありますが、こういう仕掛けが例えば1つには求められるのかなというふうに思います。また、南部町でも、橋本聖子参議院議員会長さんと一緒に視察をさせていただきましたが、いくらの郷というのを山合いでつくられたのですね。元坂本町長の村でありますけれども、今、共同生活ではないのですけれども、そこで生活体験をしながら農業など、そういう地元の人と交流しながらひとり立ちしていく、ひきこもり解消につなげていくというようなことをされています。これにもいろんな方々がかかわってやっているわけでありますが、こういう地域の取り組みというのをピアサポートでお願いしているような鳥取方式のセンターと有機的につなぎ合わせていけば、鳥取らしい発展が図れるのではないかなというふうに思います。

 次に、外国人労働者対策につきましてお尋ねがございました。多文化共生としてはどんな社会イメージなのかと、こういうことでございます。

 これにつきましては、議場でもいろんな御議論もございましたものですから、昨年、山下法務大臣のほうに要請活動に行ったり、そうしたことなどを含めて展開を図らさせていただきましたところ、約束したことを忠実にしていただいて、2月6日に実際こちらで各省庁の説明会を全国初でやっていただきました。大変に評価させていただきたいと思いますが、その翌日にはネットワークを形成しまして、商工団体だとか医療関係とか市町村なども含めて私どもの国際交流財団等も入りましてネットワークをつくりました。これで総合的な相談支援体制を各地で展開できるようにしようということであります。

 こうしたことなどをつくりながらやっていくわけでありますが、障害者の観点で私どもはあいサポート運動をしましたけれども、恐らく山陰のこの風土からして、ともに生きていくような共生社会的な外国人とのともに暮らす、あるいは観光で受け入れる、そんな社会というのは私は可能ではないかなというふうに思います。私自身も海外で生活したこともありますけれども、海外では外国人がコミュニティーの中にいることはもうざらにあるわけでありまして、アメリカでいえば、英語を第2外国語としてやるようなイングリッシュ・セカンドランゲージというような別の言語の授業もする、そういうことで英語も教える、そういう多文化が同じ学校の中にいることを前提にして教育システムというのはでき上がっているわけですね。こんなようなことを私どもではいずれはやっていく時代が来るだろうと。

 ただ、一足飛びには多分議員がおっしゃるようにならないと思います。4月で劇的には変わらないでしょうけれども、そこにいずれは着地点もあろうかということになりますし、一歩一歩そういうように門戸を開くといいますか、環境を整えていく、これが大切ではないかなというふうに思います。国のほうは国のほうの役割、例えば不適正な移入というものを排除していく、あるいは企業に対する指導、監督ということもありましょう。また、企業さんのほうでも、みずから日本語教育をしたりというような役割が今後出てきます。

 我々のところでは、地域としての環境を整えることでありまして、今次の予算に入れさせていただきましたけれども、3,000万円ほど総合相談支援センターをつくろうと。これはちょっと今、形式はこれから関係者とよく最終的な詰めをしなければいけませんが、例えば西部でいえば、あのビッグシップの消費生活センターがあります。あそこは休日も含めてあいているところでございます。あそこに隣接するような形で総合相談支援センターをつくる。これは国際交流財団が中心となってつくっていただき、そこに県の職員もすぐ横にいますから一緒になって取り組めるような、そんな体制が例えばできないだろうか。そこにテレビ会議をつくるわけですね。このテレビ会議システムをつくり、タブレット端末を7台今購入することをお願いしていますけれども、これによりまして東・中・西をつなげて外国語のわかる人材も含めて協働して相談支援体制が図れるようにしようと、こんなようなことにいたしております。

 また、700万円ほどをかけまして4つの病院についてこういう外国語対応ができるようなこと、さらには、50個ほどタブレットの用意をしまして、いろんな病院、診療所にそうしたものを活用していただくこと、また、学校のほうでもモデル的な事業として、VoiceBizというようなシステムを入れて教育の中でも役立てていただく、こんなようなことを今予算の中でも盛り込んでいるところでございます。いろいろと環境づくりをしながら、住民の皆様もだんだんと心を動かされると思いますが、多文化共生に向けて一歩一歩進んでいくと、そういうことではないかなと思います。

 次に、ミッシングリンクの解消で米子−境港間のお話がございました。

 これにつきましては、議員も御指摘ございましたように、北東アジアゲートウェイが格段に進んできました。実は昨日の夕方になりまして国交省のほうにエアソウルさんと、それから香港航空さんからサマースケジュールの申請が出ました。それで、週6便のエアソウル、それから週3便の香港便がともに継続することがこれで、あと関係機関との調整が残っていますけれども、見通しが立ったということになります。そこで示されていたのは、エアソウルさんは、水曜日午前の便を午後にかえるとかいうマイナーチェンジはありますけれども、基本的には現行のスケジュールを維持しながら、また、香港さんのほうは4月は16日から3便化をスタートすると。要はイースター休暇を狙って3便化を新年度は始めるという、要は金曜構想戦略みたいなのですけれども、そんなようなことでの申請でございました。

 このような形で米子鬼太郎空港だとか境港だとかそうした交通拠点がある中で、山陰道等につなげていくこの道筋というのは、なお重要性が増すことになるかと思います。これについて、議員がおっしゃるように、最初は勉強会をつくり、今度、国が入った研究会をつくって今進めているところでありますけれども、進んでいないかと言われると、実は水面下といいますか、また別の土俵で結構協議は進めているところであると御理解いただいたほうが正確かもしれません。

 これは、実は平成29年に伊木市長が当選をされてすぐに私のほうで申し出まして、伊木市長と県政課題についての意見交換会をお願いしました。その席上で、滞っていました境港、米子、また、さらには山陰道、これを結ぶ高速道路ルートについてぜひ合意を得たいと、境港との協議を進めることをぜひお願いしたいと、県も一緒になってやると、こういうようなお話をさせていただきました。実は伊木市長は非常に快く受けていただいていまして、従来ですと結構両市の間のなかなか不協和音が目立っていた時期がございまして、それで実際に協議の場がセットをされて日吉津村も入って、その2市1村のいろんな話し合いが持たれるようになってきています。実は具体的なルート構想なども含めて協議が進められています。利害得失などの議論もございます。ですから以前とはちょっとステージを異にして今前に進み始めているところでございますが、恐らくこれから向こう4年間というのが勝負どころになると思います。ここで、ぜひこの問題には県もかかわりながら決着をさせていかなければならないと思います。それに向けて私どもも努力を惜しまずやっていく決意でございます。

 次に、新幹線につきましてお話がございました。

 これにつきましては、昭和47年に基本計画路線として、山陰から山陽に向けての中国横断の新幹線と、それから山陰新幹線、関西から山口のほうに抜けていくもの、この2ルートが示されたところでありますが、そこから先に進んでいないということであります。ただ、片方で、間もなくいよいよ北陸新幹線の敦賀まで、それから佐賀、それから長崎の間の長崎新幹線、こういうところが開通を見ますし、その後は、今度は北海道の札幌に新函館から延びるということが見えてきております。いわば整備新幹線計画の終わりが見え始めた状況だと思っています。

 そういう中で私たちがやるべきことというのは、その次を我々としてもしっかりと位置づけていくことであります。これから向こう4年ぐらいを考えますと、こうした議論のいわば道筋を開いていく、そういう時期かなと思います。正直申し上げて、新幹線というのは相当に時間のかかる作業になりますし、もちろんお金、負担の問題などもございますし、ハードルも高いものであります。実際に新幹線が基本計画からその後に進んでいこうと思いますと、法律のいろんな手続があります。それは、建設性としての調査をするという、そういう命令がなければなりませんし、それから整備計画の策定あるいは建設についての指示という国の行為、さらには、工事に着手をすると、そういう工事実施計画の認可、施工というようなことなどでございまして、これに数年あるいは10年、20年というふうにかかってくるわけですね。ですから一気に物事が進むわけではないわけでありますが、ただ、もうすぐ整備新幹線に今かけているお金が終わり始めるということになれば、その後はどういう投資をしていくかということにおのずから方向性が向いてくるわけでありまして、そこでどう位置づけるかだと思います。

 これについては、議員がおっしゃる2つの路線について、やはり夢として終わらせる時期ではなく、夢から形につなげていく、そういう今プロセスに入り始めていると思うわけであります。ですから、関係のさまざまの方々と御議論、御協議を申し上げなければなりませんが、少なくともこれを基本計画から整備計画のほうへつなげていく、そういう検討を本格的に進めていく時期にしなければなりません。それが未来への礎になろうかと思います。そんなような意味で、今、実は山陰新幹線については、市町村での期成同盟会があったり、また、国会議員の先生の議連があったりしますし、また、伯備線のほうにつきましても、これも3県の議会での協議会があり、あるいはこの後、その推進の母体をつくろうと市や町のほうでの動きもこれから出てくると言われています。この辺を我々としてもしっかりとフォローしながら対策をとってまいりたいと思います。

 実はこれまでもいろいろと布石を打ってきまして、関西広域連合でも私も発言をさせてきていただいておりますけれども、今もう関西広域連合の中の常識としては、山陰新幹線、四国新幹線、これが次につなげていく上で絶対に必要だと、この辺を国に要望する中にも入れてきています。また、先般、冬の恒例行事であります関西経済セミナー、財界セミナーの中でも、日本海側に通ずる新幹線というのを次の一手としてテーマとしても議論が提起されました。こんなように我々としても今風が吹き始めているわけであります。先般も関西広域連合の委員会が開かれたときに、私も審議官のほうに申し上げましたところ、申し上げたのは、例えば単線での計画など、そういう事業費をかけないやり方あるいは並行在来線の問題なども含めて検討をすべきではないかと、こんなことを申し上げたのですが、それについては、そうしたことを新年度の調査の中でやっていきたいということも言っていました。ぜひこれからが正念場と考えてやってまいりたいと思います。

 次に、世界の美しい湾クラブについてお話がございました。

 これについては、議員の先般お話がありましてから実は両市等とも話をさせていただきますが、きょう現在まだ結論には至っていない、これは議員がおっしゃったところであります。これはフランスのヴァンヌ市に本部が置かれておりますNPOでございまして、The Club of the Most Beautiful Bays of the Worldというものでございますけれども、ユネスコの関連もあるというところでありますが、余りその拘束性は高くないクラブでもあります。世界各国に指定が進んでいますが、特に日本では急速に指定が進んでいてという状況でありまして、松島から始まりまして今各地に広がってきているということであります。それには、自然的、文化的な遺産というものが必要であるとか、それから地元の運動だとか幾つか要件がございますけれども、私が見るところ、ハードルとしては超え得るハードルかなというふうには思っています。

 ただ、大切なのは、何のためにこれの指定を目指すかというところだろうと思います。それは、やはり美保湾の美しさというものが関係者の間で認識を深めていただき、それを保護していこう、保全していこうという動き、また、セーリングを含めてそうしたものを楽しんでいこうということなどがあると思います。例えば富山などもそうなのですけれども、その運動のトップのところは、もちろん県がかかわってはいるのですけれども、セーリング協会の会長が実は重役といいますか、かなめになっています。議員がおっしゃった世界のレーザー級選手権、これは一つの大きなチャンスでありまして、これは世界の方々に美しい湾だということを例えばツイートなどで広がっていけばいいのではないかと思います。現実にも安田議員の御貢献もあって、クロアチアのセーリングチーム、JKモルナルのキャンプが決まってきて、実際にキャンプをされていますけれども、大山の景色は美しいとか、恐らく世界中で一番セーリングに向いているところではないかとかこういう話が出ていまして、そういうことが情報発信されているのですね。こうしたことがやはり後押しになるのではないかなと。そういう意味で、多分今度のセーリングの大会なども環境づくりとしては一つの大きなステップになるだろうと思います。

 関係者である市のほうからもそんな意見も出ているのですが、実は10月にことし富山でこの世界の美しい湾クラブの総会が開催をされることになっています。その辺をにらみながら、それに出席をすることも含めて対応を両市等とも協議をしていくべきかなというふうに思っています。私自身は、非常に重要な御提案ではないかなと思っておりますが、ぜひ地元とも協議を進めてまいりたいと思います。

 次に、予算につきましてお尋ねがございました。実質的な地方交付税が減るなど懸念が残るのではないか、税収増が期待できるということ、それから予算が骨格ではあるけれども、どういうメッセージ性があるのかと、こういうお話でございます。

 これにつきましては、地方財政計画上、税とか地方譲与税9,000億円ふえることになっていますが、片方で交付税が5,000億円減るということになっています。ですから、我々のところは実は税がふえない、見込めないわけでありまして、これは非常に厳しい環境にあると言わざるを得ません。現実にも計算をしてみますと、新年度の実質的な地方交付税と言われるものは18億円対前年で減少するという見込みになっていまして、片方で税収増が見込めないわけでありますから、結局減収ということになるわけです。

 これはやはり我々としては合点がいかないわけですね。ですから、一つの地方としての運動として、やはり交付税の算定のあり方も含めて議論しなければいけません。私も、総務省の財政局や税務局のほうにもついせんだっても相次いで行ったりしてこうしたことを申し上げたり、また、割と権威のある「地方税」という業界雑誌があるのですが、学術性もある雑誌なのですけれども、ここに今回のこの一件について、一般財源が減る地方部が存在することはおかしいと、やはり交付税も含めた対応が必要だということを強く論考のほうでも書かせていただき、つい昨日か、おとといぐらいに出版されたところでございます。こんなようなことをやはり運動展開をしていかなきゃいけないのだろうと思います。

 ただ、さはさりながら、今予算を組んで時の課題に応えていかなければなりません。新年度の予算を編成するに当たりまして、今回が私たちの4年の任期の区切りということでありますので、健全財政を次の人たちに譲り渡さなければなりません。それには細心の注意を払いました。結果として基金は310億円を残し、また、実質的な借金残高につきましては2,996億円と3,000億円という目標を切るベースにさせていただき、当初の予算のプライマリーバランスは50億円ということになり、いずれも達成することがかないました。これで健全財政をしっかりと強化をした上で、次の時代に引き継ぐことができたと思います。

 あと、今回の当初予算、骨格予算ではありますが、やはり災害が続く中で安全・安心というものをつくっていかなければなりません。ですから14カ月予算の中で、災害からの復興だとか、それから河床掘削、それから樹木の伐採などでの河川の河道確保、こういうこと等々に予算を割かさせていただいているところでございます。流木対策とかダムの関係なども含めてであります。また、農業につきましても、TPP11やEPAということもございまして、こういうこともある。そこで、そうした農林水産関連で38億円、また、防災強靱化等で220億円強の予算をつくらさせていただきました。

 先ほど触れられました外国人のいよいよ移入ということが始まりますので、そういうことに備えて1億円の予算であるとか、また、子育て関係のこと等がございますが、未来を担う人材育成で36億円等々を組まさせていただいたところであります。しっかりと次の時代につないでいく、また、6月補正で新規の政策をいろいろ入れていくことになると思うのですけれども、その土台として引き継げるものは引き継いで土台はつくっておくと、こういう予算にはなったかなというふうに思います。

 最後に、参議院の合区解消につきましてお尋ねがございました。これについては、全く同感でありまして、ぜひ合区の解消に向けて全力をこれからも傾けてまいりたいと思います。

 印象に残っておりますのは、平成29年の9月、安田県議が20の県連を代表しまして二階幹事長に要請書を手渡していたシーンでありまして、ニュースで拝見をさせていただきました。この辺は民主主義のあり方が問われているわけでございます。私自身も、このことについては疑問を強く呈させていただきました。これについて、平成28年の前回参議院議員選挙があったときでありますが、その直後に全国知事会が開催をされたわけでございますけれども、その知事会のときには、鳥取県は比例も含めて選出された議員がいないという唯一の県になったのです。それで、その47人の知事の中で少々声を張り上げまして、この参議院の今回の選挙が行われたけれども、唯一代表を送り出せなかったのが鳥取県だということを申し上げました。それで、我々は何のためにここに集まっているのだと申したのですね。それは、都道府県が結局民意を集約できる唯一の基盤ではないかと、現にTPPであれ農林関係であれ、あるいは産業界であれ、いろんな要望を取りまとめてそれを国政につなげていく、その機能を県議会とともに知事が果たしているではないかと、これについておかしいと声を知事会が上げなかったら誰が上げるのだと、こういうことを強く申し上げました。

 また、考え方、理念としては、憲法第47条におきまして、選挙制度は法律に委任されているわけです。つまり立法裁量になっているわけであるわけでありまして、その中で長く人口以外の指標というもの、都道府県が歴史的に政治的、社会的、経済的に果たしてきた役割に鑑み、都道府県単位で選挙をすることの合理性を最高裁は言い続けてきたわけです。ところが、それをひっくり返したわけでございまして、だったら憲法改正も視野に入れて、もう一度最高裁について、もう二度とこんな判決が出ないようにしなければいけないではないかと、こんなことを申し上げました。それで、決議も出まして、あとは議員もよく御案内のとおり、知事会は六団体の中でも先頭に立ってこの問題に対峙をしてきたわけであります。

 最近ちょっと気になりますのは、世論調査でもこの合区解消に向けては以前のトーンが全国的には弱まってきたのではないかなというところです。実は最高裁で衆参の合憲判決が出たりしたものですから、そこらで少し世の中の関心が薄らいできたのではないかなとちょっと危惧もしています。しかし、明治22年に大日本帝国憲法と衆議院議員選挙法が施行をされるということになり、そのときに選挙を行う前提として絶対に地方の基盤を整えなければならないということで、明治23年に府県制が施行されたわけです。つまり、ここに集まっている我々のこの議場というものの必要性というものは、民主主義をつくる、初めて民選の議員をつくるときの前提としてできたわけですよね。まずはその地域に民主主義の基盤をつくらなければならないパイプとなるようなそういう受け皿をつくる、それが都道府県の役割でありました。それが揺らぐことがあってはならないわけであります。現に自来ずっとこの47都道府県は維持されてきたわけでありまして、この47都道府県に対する帰属意識を国民全てが持ち、そしてこれが民意の集約の基盤になっていることからすれば、やはり憲法のあり方も含めて突っ込んでいかなければなりません。このことを今後も信念を持って訴えかけてまいりたいと思います。

 心の支えになるような発言が先般ございまして、橋本聖子参議院議員会長がおっしゃっておられました。やはり合区を解消することを憲法の中でも考えなければならないというふうについ最近もおっしゃっておられました。こんなようなことをぜひこれからも国民運動として盛り上がるように、我々は知事会の分野でも役割を果たしていく必要があると思っております。



 山本仁志教育長(答弁)

 安田議員の代表質問にお答えを申し上げます。

 初めに、農林水産業を支える人材育成につきましてお尋ねがございました。

 お話のありました倉吉農業高校、智頭農林高校、そして境港総合技術高校は、いずれも本県の1次産業を支える専門人材を育成する重点校といたしまして、地域と連携した取り組みでありますとか県版のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール事業あるいはスーパー農林水産業士制度等を活用した人材育成を行っているところでございます。

 倉吉農業高校は、中国地方で唯一の文部科学省の指定の農業経営者育成高等学校ということでもございまして、県の農業教育の拠点校といたしまして、地域と連携をいたしながら地域課題でございます、例えばジビエの加工品に取り組んだり、あるいは和牛全共への出場、そしてまた、全国農業のお米甲子園で4年連続金賞をとるといったような輝かしい成果も上げておるところでございまして、近年では県外から同校に入学してくる生徒もいるわけでございます。

 こうした学校の魅力につきまして、これまでも大都市圏での移住定住のイベントの参加でありますとか東京にありますアンテナショップにおきまして、学校紹介等を通じて県外の中学生に向けたPRなどを行ってきておるところでございますが、残念ながら県外募集制度によります入学者の実績は大きくは上がってきていないところでございます。今後こうした学校の魅力というものに一層磨きをかけるということとともに、県外の生徒への募集、これは倉吉農業高校の場合は寮もしっかりしたものがございます。そうしたところについて、これは先進的に取り組んでおられる他県の学校がございます。そうしたいわゆる国内留学生の募集のそうした場に出かけていって、一緒になってアピールをするといったような取り組みでありますとか、あるいはICTなどさまざまな媒体を活用して周知を行うなど、中学生あるいはその保護者に対して訴求する形で積極的なPRに努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 また、智頭農林高校につきましては、これも中国地方でも唯一の林業を専門的に学べる森林科学科を有しております。これは地域の基幹産業であります林業や木材加工業、そうしたところにかかわられます地元の事業者の皆様方と連携をいたしまして、また、県の林業試験場などとも連携をいたしまして長期インターンシップなども行いながら、植林から伐採までの一連の作業を系統的に学習するといったようなこと、これを関係機関、知事部局とも連携しながら行っており、本県の林業育成を推進していると、その一役を担っているといったところでございます。

 また、木材加工の分野につきましても、先ほど議員のほうからもお話がありましたが、これは宿場町の風情を醸し出すような格子戸の製作でありますとか木を使ったおもちゃ製作など、これも地元の方々の御協力を得ながら取り組みを行っておりまして、卒業後に大工になるといった生徒も今出てきておるところでございます。

 御提案のありました西郷工芸の郷には、木地師として活躍しておられる作家の方もいらっしゃるというふうにお伺いをいたしておりまして、この学校のさらなる魅力化あるいは特色化といった観点からこの作家の方々の意向などもお伺いしつつ、学校と一緒になってこの連携可能性について探ってまいりたいと考えておるところでございます。

 このような中、知事も先ほど少し触れられましたが、今年度の県外募集で横浜から、ぜひ智頭農林で林業を学びたいという生徒が1人応募をしておられまして、これは、いろいろ学校を調べたけれども、智頭農林でぜひ学びたいということでございます。ぜひこの生徒がしっかりと智頭農林に学べるように、下宿のほうも、学校だけではなくて県教委も一緒になって智頭町とも御相談しながら今、確保に努めておるところでございます。こうした受け入れ方法などについても、引き続きしっかりしたものとなるように検討してまいりたいと考えておるところでございます。

 また、境港総合技術高校におきましては、これは総合選択制の学校ということで、その強みを生かしつつ、海洋学科を含む各学科が連携をして水産関連を中心とした地域連携事業等に取り組んでおるところでございまして、6次産業化なども含めて地域の担い手としての意欲、自覚を育んで地域に貢献する人材育成を行っておるところでございます。実習船若取丸というものも持っておりまして、こうしたものを活用した漁業体験あるいは航海実習、潜水実習なども行っておりまして、こうしたことを通じて海洋関連の資格取得でありますとか、あるいは地元水産業者と連携をした沿岸漁業あるいは養殖に係るインターンシップなども行っておるところでございまして、また、加工の分野では、地元で生産されましたギンザケを使った新巻鮭の製作でありますとか、先般はいわしワンタンといったような新しい商品開発なども手がけておるといったことで、そうした形での人材育成にも取り組んでおるところでございます。

 同校の水産学科の卒業生は、比較的地元を初めといたしました県内外の水産業あるいは船舶業、そうしたところに従事する者も多くございます。昨年の3月には、この海洋科を卒業した女子生徒が船舶管理・船員派遣業を行います神戸市内の事業所に船員として採用されたということでございまして、高校を卒業してすぐ女性の船員が採用されるということは全国でも初めての事例だということで、メディアでも取り上げられたところでございます。

 また、今年度から水産試験場と連携をいたしまして、沖合の漁業体験実習というものも始めたところでございます。さらに、同校では、魚の神経絞めというものの研究に取り組んでおりまして、これにつきましては、産業技術センターの食品開発研究所と協力をいたしておるところでございまして、こうした科学的な効果検証なども連携して取り組んでおるところでございます。

 また、県版スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの事業の中で、この推進に当たって、鳥取大学でありますとか近畿大学の水産研究所あるいは東京海洋大学の海洋資源環境学部の教授等に御参加をいただいて指導、助言をいただいているところでございますが、こうした関係を活用して、今後こうした高等教育機関などとの関係、連携を強めていけないかといったことについても探ってまいりたいというふうに思っております。こうしたことなどを通じて、日本有数の漁港を抱える境港市にあります専門高校としてのより教育の充実、こうしたことに努めてまいりたいと考えております。

 続きまして、札幌開成中等教育学校でありますとか鳥取藩の藩校でありました尚徳館を例に、今後の激動の時代を切り開き、次代を担う若者を育成する学校の必要性につきましてお尋ねがございました。

 これからの不透明な社会を生きていくためには、自分で課題をしっかりと見つけて、その解決に向けて主体的に取り組むといったことが求められるわけでございますが、それは探求的な学びを通してやっていくのだということで、今、教科の学力だけではなくて、みずからの生き方やあり方、そうしたことを地域でありますとか社会とのかかわりの中で学んでいく、そうした中で主体的に考える力を養っていくということが、学習指導要領の中でもそうした力を育成する指導というものが求められているわけでございまして、これは日々の授業はもとより、さまざまな事業等々でこれを充実させることに努めておるところでございます。

 お話がありました青翔開智の横井理事長のお話の中に、デザインという、デザイン思考と言っておられますが、そうした言葉の中には、単に学んだことを生かして課題解決をするという力だけではなくて、学んだことの枠を飛び越えて、これは解決のアイデアを自分で出してそれを実行に移していく、そうしていくことがこれから社会に出ていくもとの力になるのだというようなことが込められているのではないかなというふうに思っております。

 お話のありました札幌開成中等教育学校などにつきましては、私どもも視察をさせていただいているところでございますが、そうした視察の中で得ました考え方、グローバルな課題解決に向けて主体的に取り組む、そうした力をつけていくためのIB、国際バカロレアの考え方でありますとか指導方法については本県でも大いに参考になるものだというふうに思っておるところでございます。こうしたことにつきまして、例えばこれはいわば尚徳館の文武並進の精神を受け継いでおります鳥取西高におきましては、スーパーグローバルハイスクールの指定を受けておりますし、また、米子東高校では、スーパーサイエンスハイスクールの指定を受ける中で、こうした例えば海外の大学あるいは高校と連携をするなどして系統的に課題研究、課題探求を行う、そうした取り組みの中で教科横断的な取り扱いを行いつつ、言語のスキル、言葉のスキルを身につける、そうした国際感覚の高い人材を育成する取り組みにも着手をしておるところでございます。

 また、これは都道府県レベルでは鳥取県で唯一やっておることでございますが、アメリカのスタンフォード大学と連携をいたしまして、遠隔授業でグローバルな思考力を身につけていく、そうした取り組みも行っておるところでございます。実際こうした遠隔授業等を受講し、スーパーグローバルハイスクールで学んだ生徒が、昨年は日本代表として模擬国連に参加をして優秀な成績をおさめたりといったような成果も上がってきておるところでございます。引き続きこうした取り組みに一層磨きをかけるとともに、場合によっては思い切ったチャレンジも検討するなどしながら、グローバルな視点を持ち、みずからの生き方をデザインできるそうした人材の育成に努めてまいる所存でございます。

 最後に、不登校、ひきこもりの対応といたしまして、日本財団が行われました不登校の調査あるいは県が行いましたひきこもりの調査結果等への所感等につきましてお尋ねがございました。

 日本財団が行われた調査結果では、いわゆる不登校の生徒に加えて、不登校傾向といいますか、例えば登校はするのだけれども、大部分を保健室で過ごしている、あるいは学校には行くのだけれども、遅刻でありますとか途中で早退をしてしまう、そんな状態であったり、あるいは教室にはいるのだけれども、全然授業とは違うことをやっていたり、もう心の中では本当に嫌だ嫌だと思いながら授業に出ている、そうした生徒がいるのだということがこの調査結果の中で示され、その数が不登校生徒の3倍だということでございます。約10人に1人がこうした不登校傾向の、中学生でございますが、いらっしゃるということでございます。

 学校に行きたくない理由、これは疲れた、疲れている、あるいは朝起きられない、そうしたことなどがあるわけでございますが、授業がよくわからない、あるいはいい成績がとれないといったことの学習面での理由などもあるわけでございまして、これを見ますと、本当に一人一人の生徒がさまざまな思いを持って日々の生活を送っているのだなと。一見明るく振る舞っているように見えても、実は悩みを抱えながら日々生活をしているといった例もかいま見られるわけでございまして、こうした例えば学校に通いたくない、あるいは自分の好きなことを突き詰めたいというような生徒もいるということでございます。一律の教育システムが合わない、こうした生徒さんもいらっしゃるのではないかなということが示されたというふうに思っております。

 この不登校または不登校傾向にある子供たちを取り巻く背景あるいは課題というのは多様であるわけでございまして、それぞれがいろんな要素が複雑に絡み合っている、学校の授業のあり方あるいは家庭環境、そうしたことがいろいろ複雑に絡み合っているわけでございまして、主な不登校の現場というのは学校になるわけですが、学校や、あるいは教育行政だけでは解決がつかない、そうした課題も多くあるのではないかなというふうに思っております。改めてこうした一人一人の生徒の置かれています状況あるいは背景、そうしたものを丁寧に見取るといったこと、あるいは個々に応じた支援を適切に行っていく、こうしたことが大切であるなというふうに認識をいたしておりまして、不登校対策といたしまして、このたび全ての子供たちを対象にして気になる児童生徒を拾い出す、スクリーニングといった形で拾い出してその必要な支援について個別に検討を行っていく、そうしたシステムを導入しようではないかということで、このたび、そうしたことについての手引書を作成して学校現場への説明等を始めておるところでございます。

 また、不登校の未然防止につきましては、先ほども授業がわからないというようなことがありましたが、こうしたことについてわかった、できたと、そういう喜びのあるようなそうした授業を進めていく、これは一方では学力の向上といった観点からもそうしたことを進めていくということでありますとか、日々の子供同士あるいは教員との関係、人間関係をよくしていく学校内の風土づくり、そうしたことにも取り組んでいきたいというふうに思っておりまして、一人でも多くの子供が笑顔で学校生活を送れるような、そんな取り組みを進めてまいりたいと思っております。

 また、ひきこもりに関する実態調査におきましては、ひきこもりの経緯といたしまして、特に10代から30代で不登校を引きずっているケースが少なからずあるということが示されたわけでございます。こうした調査結果からも、長期間不登校となることで学校とのかかわりが薄くなって、学力保障ができないままに義務教育を修了するといったケースでありますとか、中学校卒業後に情報が途絶えてしまって行政による支援が切れてしまう、そうしたことでひきこもりにつながっている、そうしたケースがあるということが課題として浮かび上がっておるわけでございまして、仮に長期間不登校になった場合でも、何とかして学校でありますとか社会とのかかわりを保ちながら自立につなげる取り組みの必要性を改めて感じたところでございます。

 いわゆる学力保障ということも一方では必要になろうかというふうに思いますが、県内10カ所にあります市町村の教育支援センターでありますとか、4カ所、今、県のほうで認定しておりますフリースクール、こうしたところとの連携を深めながら取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、また、こうした施設との連携にあわせまして、不登校の児童生徒が家庭でICTを活用しながら学べるような、そんな環境整備ができないかといったことについても検討を進めてまいりたいと思っております。また、夜間中学について、こうした不登校児童生徒への対応ということも一方で視野に入れながら、本県での設置可能性について今研究を進めておるところでございます。

 また、現在、ひきこもり傾向の不登校の児童生徒につきましては、スクールカウンセラーでありますとかスクールソーシャルワーカー、そうした福祉部局との連携を図りながら進めておるところでございますが、情報が途絶えてしまうというところの、何とかしてここを解決していく必要があるのではないかなというふうに思っております。今、県内に3カ所、県の教育支援センターということでハートフルスペースというものを今つくっておりまして、何とかそこが情報のつなぎ役となって情報が途切れないような、そんなシステムがつくれないものかというふうに思っております。こうしたことをこれは知事部局ともしっかりと連携をしながら取り組んでいく必要があると思いますし、また、市町村とも連携をしっかりとる必要があるというふうに思っております。こうしたことにつきまして、引き続き情報共有など連携を深めながら取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。



佐野裕子警察本部長(答弁)

   安田議員から警察本部長としての今後の取り組み方針等についてお尋ねがありましたので、お答えいたします。

 昨年3月に着任して間もなく1年がたとうとしている今、自然が豊かで人の温かい鳥取県で、そして鳥取県警察という歴史と伝統のある組織で勤務できる幸せを改めて感じております。また、県警察で勤務する女性職員を初めとする多くの職員との交流を通じて感じますのは、性別にかかわらず仕事とそれ以外の時間のいずれも大切にでき、自分を生かせていると実感できる環境づくりこそが働き続けたくなる職場を考える上で大切であるということでございます。

 現下の治安情勢につきましては、刑法犯の認知件数、交通事故の発生件数等、重立った指標のいずれについても中・長期的に改善を続けているほか、平成30年中を見ても、交通死亡事故や特殊詐欺の発生件数など多くの指標において前年に比べ相当の減少を見せており、数値上は一定の改善傾向の中で推移していると言えると考えます。しかし、数値にあらわれにくいさまざまな課題、例えば常習的な飲酒運転対策やストーカー、DV、児童虐待対策、よりきめの細かい被害者支援や少年の立ち直り支援活動のほか、大阪G20サミットや2020年東京オリンピック・パラリンピックなど、今後予定されている大規模イベントにおける警備やテロ対策、さらには、いつどこで発生しても不思議ではない地震や豪雨などの自然災害対策など、警察が取り組むべき課題は少なくありません。

 県民の方々が日々安全に安心して暮らせる鳥取県を実現するためには、鳥取県警察の職員一人一人がそのやる気と能力を最大限に発揮できる職場環境づくりが不可欠でございます。すなわちやりがいと手応えを日々感じながら仕事に従事できることによって、県民に寄り添った強く温かい警察活動につながっていくものと考えており、これを実現させることが警察本部長としての役割であるとの認識のもと、現在各種取り組みを推進しているところでございます。

 例えば、県警察では初めて全職員から要望を募り、その要望一つ一つについて組織として何ができるかを検討の上、対応するなど、職場環境のさらなる向上に努めているところでございます。また、警察官は緊急時対応の必要性から、居住地など私生活上、一定の制約が伴う場合がありますが、最近の交通網の発達や携帯電話の普及による社会事情の変化を踏まえ、より個別の事情や判断を尊重する形への制度の見直しに取り組んでいるところでございます。今後とも、今までに築き上げられた礎を大切にしつつ、時代に柔軟に対応しながら県民の方々の期待と信頼に応えられるよう、一人一人の職員の声に耳を傾けつつ、鳥取県警察一丸となって取り組んでまいる所存でございますので、どうか引き続き御支援、御協力をよろしくお願いいたします。



安田優子 (追求質問)


 本部長におかれましては、大変お待たせをいたしまして、議事運営の不始末があって大変御迷惑をおかけいたしました。本来であれば知事から先にあれするのですが、ちょっと御挨拶を先にさせていただきたいと思いますので、お許しください。

 実は、けさ私は、この着物を前公安委員長の渡辺光子さんに、いつもですが、着せていただきまして、その折に大変すばらしいお話を聞いてまいりました。今の佐野本部長のお話を全く地でいく話でありまして、本部長がお見えになってから本当に県警がよくなったと、彼女は公安委員長だったので、県警の宿舎に行って職員の方のお話を聞かれたそうです。そしたら、今おっしゃったとおりのことが実績されて、本当に女性本部長ならではの、職場だけではなくて、生活の場にも目を配っていただけて、子供の入学式とか卒業式にも初めて行けたとか、それから宿舎にダニが入ってきて大変困っていたけれども、いいぐあいにしていただいたとか、大変今の厳しい職員の方々のお仕事を後方で支えるそういう御家族の皆さん、そして職員の方にとっては生活の場にも目配りをしていただいて、やる気、そして実際の戦力をアップしていただいているということを聞きました。本当にすばらしいなと、女性のそういう管理職の方が前に出られると、そういう面で仕事にもいい影響を与えるのだなと本当に痛感いたしました。女性管理職20%の鳥取県庁でございます。日本一の高率でございますが、ぜひぜひそういって部下の方が、家族の方が喜ばれる鳥取県庁であってほしいなとも片方で思った次第でございます。どうもいい御答弁を賜りました。頑張っていただきたいと思います。

 一方で、今、大騒ぎになっておりますが、千葉県野田市で本当に幼い子供さんが実の親からあやめられるという事態も発生いたしておりますし、それからまた、関東地方ではSNSで交際していた薬剤師志望の女子学生が、出会ったばかりの男の人に、これは確定しておりませんが、殺人でやられたのではなかろうかというようなことも起こっております。我が境港市でも、そういう7年前の事件が発覚いたしました。本当に時代がこういう大きな変化の中で、いつ何どき何が起こるかわからないそういう中にあって、県警には本当に頑張っていただきたいと願っております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 平井知事への最初の4期目の抱負を問うというところのお話から追及をさせていただきたいと思います。

 私たちが12月議会が終わってからの知事の出馬表明でございました。記者会見での表明でありましたので、この議場において知事がどのような経緯で出馬の決意をされたのか、そして何をもって4年間の抱負とされるのか、そういうところを直接私どもはお聞きをしておりません。それで、私の本日の代表質問の一番の目的、使命は、この議場においてお聞かせいただくことが一番だろうかなと私は考えましたので、そういう方向で問わせていただいた次第でございます。いろいろお話をいただきまして、ありがとうございました。

 そして知事のお話の中でも、国際化という言葉、お互いに追求をしてきたという言葉がございました。確かに私どもは、知事が御就任なさる前、平成9年にありました夢みなと博以来、鳥取県は環日本海、北東アジアとの交流を県政の大きな課題にして追求をしてまいりました。それを大きく花開かせたのが平井知事であっただろうと思っております。

 ところが、一方で、今、私たちは平成最後の年を歩んでおりますが、思い起こしますと、30年前、平成元年という年はベルリンの壁が壊された、どんなすばらしい世界がこれから展開されるのだろうかと本当に心浮き立つ思いで迎えたことでありました。よもや今になって、その壁をもう一度つくろうかという国があらわれるとは思いもかけておりませんでした。そしてそれは、アメリカに限らず、ヨーロッパ、イギリスでもEUの離脱をめぐって大きな抗争が起こっております。

 また、私どもが最も交流の相手としておつき合いをいただき、励んできたロシア、中国、韓国、この国々との関係が非常に不透明になってきている、底が見えないぐらいだと言われているそういう中で、私は忘れられない言葉があるのです。平成25年だったと思います。この議場で、藤井議員のお父様、藤井省三議員が代表質問をなさった折です。平井知事が言われたのは、鳥取県は国境のまちにあるということを意識しなければいけないというお言葉でした。まさしく私たちは、世界情勢を読み取ること、そしてそれに対応をし、県政の大きな課題である大陸諸国との関係をいかに運営していくのか、それが県政の大きな柱にもなっている鳥取県としては逃げられないことであろうと思います。壇上でも述べましたように、そこが読み取れる平井知事、その方が私は知事として再度県政を担っていただくことができるというのは、本当に心強いというふうに受けとめて安堵したというのは、まずはそこでございます。

 しかしながら、この4年間、担われるであろう向こう4年間は大変厳しい情勢下に向かうであろうというふうに私は思うところです。最後に訴えました合区のこと、これもそうですが、このたびの31年度の地方交付税が大きく削減をされ、やりくりに御苦労をされたという、それも私は、この国のありようを示す大きなことかなと思っております。これまで我が国は、経済成長すれば、さまざまな問題が財政再建も含めて何とかなるだろうということで成長路線を突っ走ってきたのではなかろうかと思います。その過程の中で、今ほころびが出始めているのではなかろうかと。それが地方に対する合区であり、地方財政への手薄な対応ではなかろうかと思っております。しかしながら、この先、消費税を上げ、そして、来年は東京オリンピックでありますので、その方向性が破綻はしないだろうとは思っておりますが、その後、どうなっていくのか。そして、国際情勢が、経済がどういう形で展開していくのか、大きく危惧いたします。

 そういう中にあって、人口動態を見ると、さきの1月1日付で、ますます東京集中が一極化しております。出生率の一番低い東京に、そして、保育環境の最も悪い東京に若い女性が集中するということは、人口減少がこの国で解決するという方向にあるとは思えません。

 また、いろんな問題が起こっております。そのような現代社会を代表するような要因を全てコンピューターに入れて、どういう社会が今後望まれるかということをシミュレーションした学者がおられたようでして、その結果、東京一極集中型ではなく、幸せ度とか、それから継続性ですね、持続性、そういう点において、地方分散型の日本の国が望ましいという結論が出たという、そういう紹介をする文章を読んだことがあります。私たちは、人口が減ろうが、どういう危機が訪れようと、この鳥取県が持続可能な県としてやっていける方向性を、一つは片方で担保していく施策を持たねばならないのではないかというのが私の思うところであり、今回は知事に今後4年間の県政を担われるに当たっての提言をさせていただいたということでございます。そういうことで今回、幾つかの提言をさせていただいておりますので、御承知おきをいただきたいと存じます。

 まずは、子育て王国とっとり保育支援の行方でございます。

 これは、3歳から5歳児を国が無償化するという方向性を出されました。同時に、企業型保育所、これは東京周辺の都会の子育て支援策に困った国が内閣府で出してきた施策ですが、これを受けた形で、やはり今まで国、厚労省、そして県、市町村が担ってきた行政システムが、結局市町村では待機児童数もしっかり把握できなくなってきた。そういう実態を考えたとき、私どもは内閣府に行って実情等を訴えさせていただいたわけでございます。その結果、県も国要望をしていただきまして、開園しようとする事業者が地元の市町村に協議に行くようにという方向を打ち出していただきました。ありがとうございました。

 そして、知事もその方向性でやはり主体は市町村だよということでおっしゃっておりましたので、そうであるならば、私は一つ提案をさせていただきたい。無償化ということの次の新しい鳥取県の子育て支援策として、今は中山間地の●シに対して在宅支援、現金給付という制度をとっていただいておりますが、もう一つ私が提唱したいのは、石川県が取り組んでいるマイ保育園制度というのがございます。これにヒントをいただきまして、これはいい制度であるというふうに私は考えていたら、企業型の保育所が出てきたものですから、そうなると、市町村が主体でなくなるので、こういうやり方もできないのかなと思っておりましたが、今の知事の御答弁を聞きまして、市町村主体でやっていく方向性が今後とも担保されるのであれば、ぜひ取り入れていただきたい。これは在宅で保育をしている御家庭であろうと、それから働いている御家庭であろうと、出生届、そういうものが出た瞬間に、市町村内の保育園に子供さんを皆さん登録していただいて、そしてどこかの園に所属していただく。で、園がやる行事とか、それから育児相談、保育相談等々もその園で受け付ける。そして、親御さんが忙しいとき、それから病院に行かなきゃいけないとき等々のときは、一時預かりも保育所でできる。だから、そういう形で接触すれば、児童虐待も解消できますし、それから、お母さんが産後鬱とか、そういうときにも頼れる場所ができるわけです。それは、働いていようが、働いていない家庭でも、みんな頼るところができるというのは、男の人には理解できなくても、やはり育児を経験した女性であるなら、皆さん御理解いただけることなのです。大変なことなのです。3歳まではお母さんが育てるのが、2歳までは家で子育てするのが、いい子ができるのだよという論議がございました。これは、子育て神話です。神話にすぎません。実は大変なのです。そこをもう一つ別のところに我が子のことをちゃんとわかってくれるところがあるというのは、本当に救いの場です。

 これは石川県の知事が全国知事会でも御提案をなさったということで聞いておりますが、ぜひこういう制度を市町村と相談して取り組んでいただければ、私はありがたいと思っております。子育て王国とっとり推進議員連盟、私は会長としていろんなところに視察に行ってまいりました。その結論が、こういうのが一番支援策としていいのかなという結論でございますので、何かの折にそういうことをまた鳥取県の施策として打ち出していただければ本当にありがたいと思っております。

 それにつけても、不足している保育士の問題、ここが解決されない限り、そういう制度もできないわけでありますので、今の保育士の処遇改善に対して、私は、国制度で浮いた分の財源を向けていただけたら本当にありがたいなと思っております。やはり一番大きいのは、給料が安い、大変な仕事の割に安いということではないでしょうか。そういう意味でいえば、企業型保育所が出現したことによって、南部町でも引き抜きがあったわけですが、やはり市町村の首長さんにもお考えをいただきたい。公立が特に非正規が多いのです。非正規が多くて、かつ給料が低い。そこに、給料が高いよという企業型保育所が出現したというのが、混乱の事の発端ではなかったでしょうか。今、私は毎週、募集の広告を注意して見ていますが、やはり最近は保育士さんの初任給が随分上がったと思っております。それは評価ができることかなと思っておりますので、ぜひ県としても取り組んでいただきたいということを重ねてお願いをしておきたいと思います。そこまでで一応今のお話の御答弁いただけますでしょうか。よろしくお願いします。

 


 平井知事(答弁)

 安田議員から重ねてお尋ねがございました。

 まずは、国際化につきましてお話がございました。

 先ほど、4期目というお話がございましたけれども、議員もおっしゃいましたが、私は、昭和、平成とつながってきて、平成の御代をこれで終わりにするというときの天皇陛下のお誕生日の記者会見がございましたけれども、非常に聞いていて、平和ということをこの時代をかけてつくり上げてきたというお話があり、感謝の気持ちが湧いたものでございますが、その平成の次の新しい時代、これは、議員がおっしゃりたいのはそういうことかもしれませんが、今までの単なる昭和型等々の価値ではない新しい価値観ではないかと思います。私は、平成の次の時代、今の限界を感じている人たちが今、出てきています。平成の終わりごろ、移住を私たちが受け入れることができたのは、そういうパラダイムシフトを一つは活用したことがあったと思うのです。これからの新しい時代は、鳥取から価値観をつくっていく。ここに安心だとか、あるいは成長のモデルというものをつくり出していく。大都市とは違ったモデルを考えていく。これが究極の目標ではないかなと思います。今回の統一地方選挙が終わって、すぐ後に新しい時代がスタートをするわけでありますが、その最初の4年間、未来への礎を鳥取からつくり上げていく。これを目指したいと思います。それがなければ、私も挑戦する意味はないのだろうと思うのです。

 そのうちの一つの大切なモチーフは、世界と日本との関係、世界と鳥取との関係であろうかと思います。これについては、さらに交流が進むと思いますし、多文化共生も進んでいくと思います。もちろんさまざまな議論はあろうかと思いますけれども、この流れの中で一つは、鳥取の存在意義というのをつくっていかなければならないわけです。私も12年前、鳥取に帰ってきたときに、つくづく地図を見て考えたものであります。これほどアジア大陸に近いところというのは、鳥取をおいてほかにはない。ちょうど手のひらをアジアに向けて差し伸べるような形で中国地方があり、そのまさに手のひらのところが鳥取でございます。境港は、そうした意味で世界とつながるべくした、いわば運命というものを背負っているはずだし、それが過去の妻木晩田井堰や青谷上寺地遺跡も証明してきたのではないだろうか。今までちょっとした錯覚があって、東京が中心と思っていたけれども、もう一度もとにそれが戻せるのであれば、現に東アジアに経済の中心が移ってきているので、これからは日本海側、山陰の時代ということもあり得るだろうと。これに本気で取りかからなければ、多分東京や大都市との競争には打って勝てないのではないかというように思っていました。そういう意味で挑戦を続けてきまして、DBSクルーズフェリーなどのユニークな航路も誕生したり、実際に外国人の宿泊客数も、就任したころから比べますと、10倍ぐらいにふえてきている。そういうようなことになってきたわけでございますが、これからは少しその世界のパワーバランスが崩れたり、東アジアの中のいろんな考慮要素が生じてくる可能性があります。夢みなと博のころは、まだ環日本海といっても、諸国や地域がつながっていなかったときに産声を上げたわけでございました。現在はそれが成熟化に向かっているわけでありますが、その中で、いわばターニングポイントを迎えつつある。今まさに、2月2728日に米朝首脳会談がベトナムで行われることになります。きのう、私は東京で菅官房長官に同志の知事と一緒に拉致問題の解決について、ぜひその会談の中で盛り込むように働きかけてほしいということを言いに行ってまいりました。

 事ほどさようでございまして、今まで想定もしていなかったような世界の流れが起こるかもしれない。西側諸国、東側諸国と言っていたものが、ベルリンの壁で一変したのが平成の時代であったかもしれませんが、新しい時代に我々が見るのは、新たな東や西ではない別の対立軸、そういうものを考えながら、日本の立ち回り、我々の立ち回りを考えなければいけない時代に入るのかもしれません。ただ、そうしたときにも、やはり地域間交流、経済や観光の交流などを進めていくことが、どんな時代が来ても、その人と人との関係や地域の信頼関係を築いて、母体となり得るものがあるだろうと。恐らく地理的には、鳥取にはそういう時代の中でもリードをしていける、そういうポテンシャルはあるのではないかと思います。そんな意味で、国際化にはこれから一つチャレンジをしていく必要があると思っています。

 また、持続可能な社会につきましてお話がございました。

 廣井良典先生が京都大学と日立のコラボの研究の中で、議員が今御指摘をされたような計算結果を出されたわけであります。2025年問題と言われますが、団塊の世代が75歳以上になるころ、それから数年間の間にどうなるか。そして、さらにその10年後、どうなるか。それをいろんな未来のシナリオの中で演算を繰り返して導いたわけであります。数々のストーリーの中で出てきたストーリーというのが、大都市集中、都市集中型か地方分散型か、これを団塊の世代が75歳に突入をしていく、そういう2025年問題のころに岐路に立たされる。その際、我が国は地方分散型を選んだほうが有利である。さらに10年後、その地方分散型社会による国の発展というものを考えたときに、その際、例えば税の問題であるとか、エネルギーの問題であるとか、さらなる制度改革を施していかないと、持続可能な形でこの社会モデル、国家モデルがつくれなくなる。そういうような計算、シナリオを導かれたわけでございます。こういうようなことを頭に入れる必要は私もあるのではないかなと思いますし、議員もいみじくもおっしゃいましたが、持続可能な社会というのをつくっていくことがこれからのテーマだろう。その際に、先ほど申しました、鳥取が新たな価値観や社会システムをリードし得るだろうと思うのです。都市集中ではない地方分散のモデル、その中の究極が人口最少県である鳥取のモデルになるのではないか。

 実は同じようなことを言っている学者さんに最近よくめぐり会うものでございまして、いろいろと仕事も一緒にやったことがあります藻谷浩介先生がいらっしゃいます。たびたび鳥取にも来られて、先般もこちらの新聞関係の講演会にも出られておられました。最近おっしゃっておられるのは、昭和のシナリオ、価値観はもう通用しなくなる。昭和の時代には、人口増、大量生産、こうしたことを目指して社会の発展軸というのをつくってきた。しかし、それが通用しなくなっている。これからの時代で、新しい時代で栄えていくのは、人を大事にする地域社会ではないだろうか。そういう意味では、鳥取にはチャンスがある。こういうようなことをおっしゃっておられるわけであります。そうだろうと思います。これまでも里山資本主義ということをおっしゃられて、エネルギーだとか食料だとか水だとか、そういうものがあるところがこれからの経済を引っ張るというお話をされてきました。そういう延長線で考えますと、鳥取のような地方部において、これからの地域や経済をリードしていく。そういうポテンシャルはこちらのほうにむしろあるのではないかということで、廣井先生の研究と一致をするところであります。

 また、地方行政の大家として知られておられます大森彌先生ですね、私も東京大学のときに習いましたけれども、その大森先生は田園回帰ということをおっしゃっておられます。これはやはり、農業地帯とか、それから、中山間地だとか、そうしたところに移住したいというようになるだろうということなのですね。これも従来の社会システム、価値観、経済開発の理論というものが妥当しなくなってくる。そういう中で、新しいモデルとしてやはり田園回帰ということになるだろうということを予言しておられるわけですね。そんなようなことを考えますと、私たちのところでいろんな人を大事にする、あるいは地域の経済を我々のニッチな産業の中から起こしていく、そうしたことが挑戦の価値として生まれるのではないか。

 最近も農林水産業での生産額が上がってきたりしていますし、また、きのうは日本財団さんと一緒に、これは超党派、各政党が集まっていましたけれども、会長は鴨下さんという自民党の方が会長でございましたが、例えば福島瑞穂さんとか、超党派で集まっておられました。そこになぜか鳥取が呼ばれていたわけでございまして、モデルとして、今の障害者の工賃向上について成功例として呼んでくださったわけです。そこで、私どもの鳥取で始めて、例えばリヴよどえなど、また、関金でもしていますけれども、ああいう作業所が一緒になりまして、共同受注をして、大きな仕事をすることで工賃を上げていくシステム、あるいは商品開発をして、新しいお菓子だとか、そういうものをつくることを応援したり、おいしいうどんを、これは利尻昆布を使ってだしをとってやるような、そういう作業所の製品なども売れていますよとか、いろんな話をさせていただいたわけです。あのときに、実は日本財団さんも同席をされていまして、その後、日本財団さんが発表されたのが、こうした鳥取のやり方、作業所が共同で受注をすることを全国展開したい。日本財団はやりたい。それを超党派の議連でもプロジェクトチームで応援するということにきのうなりまして、鳥取モデルが日本全国広がるということになりました。

 こういうことは先ほど申し上げた手話言語条例もそうですし、あるいは危険ドラッグの対策などもそうですし、実は小さな鳥取で実験的にやったことが全国に広がり得るわけですね。これまで、そうした成功例を私たちのところでも人を大事にする社会としてつくり上げてくることができた。こういうところで住んでみたい、働いてみたい、そういうことが生まれてくるのではないだろうか。議員がおっしゃる持続可能な社会というのは、そういうイメージかなというふうにも思いました。ぜひそうした展開をこれからみんなでチャレンジをしていくことができればと考えております。

 また、子育てにつきましても、いろいろと御提言をいただきました。

 いずれも至言でございまして、違和感はございませんし、これからそうしたことを目指していければというふうに思います。私どもも子育て王国とっとりで先導的に実験的な施策を進めてきて、少なくとも出生率向上など、その世代の皆さんから、御家庭から支持されているということは手応えを感じているわけでございます。

 今後やっていくべきなのは、金銭的な支援は、私はこれはこれで大切だと思いますし、ここを掘り下げていくこともあり得ると思いますが、市町村と協調をしながら、本当に安心できるような子育てのシステム、これを掘り下げていく必要があるのかなと思います。実は子育て包括支援センターが各市町村のほうに設置されてきました。これは、実は全国を大分先駆けています。これは我々の社会インフラとして使えるのではないかと思いますし、役立てる必要があると思います。また、そのほかにもいろんな実験的な事業もしているところがありまして、成功例も出てきている。先ほどおっしゃった石川県は傾聴に値するやり方でありまして、一人一人の子育て世帯、子供さんに向き合うことで安心をつくっていこうということであります。実は石川県は、こうした領域は私も以前から注目していまして、そもそも就任当初に急にかじを切った一つが子育て応援パスポートなのですけれども、あれは発祥の地は石川県であります。そうした意味で、あそこは割とおもしろい現場主義の発想で子育て施策もやりますので、今回のマイ保育園という考え方もそういうものであると思います。ただ、実際担い手は市町村ということになりますので、市町村のやり方とどう今後調和させながら、同様の効果をつくっていくのか。これを模索する必要があると思いますし、そういうようなことをやり遂げながら、一歩先行く子育て施策、これをつくれないかなと思います。

 一つ注目されるのは、日吉津村かなと思います。今度、石村長が、いろんなお考えがあって御退任されるということを明らかにされました。でも、石村長の一つの自慢は子育て施策でございまして、独自のことをいろいろやるわけですね。実はあそこでやっているのは、全都道府県の中で一番小さい鳥取県がやること、それを全都道府県の次、全県の中で一番小さな村である日吉津村がやれることでの挑戦という面があるのですね。おもしろいのは、例えば産前産後のあたりでのアプローチでも、両親学級も含めてやります。そういうところでお父さんになる人、お母さんになる人、子育てのノウハウから知識から、心構えから、いろいろとやるわけでありますが、そういうことの延長の中で、全数の、全てのお子さん、全ての子育て世帯に向き合って、その支援を行うわけです。例えばその支援プランというのも全数、全部についてやるわけですね。その拠点をつくられまして、そうです、包括支援センターをつくられて、そこに保健師さんだとか人材も配置されて、やっておられる。ああいうようなやり方というのができれば、だから、これは小さな日吉津村だからできたことかもしれませんけれども、そういうような発想で何を拠点にするか。保育園が拠点なのか、あるいはセンターや、あるいはその関連機関なりなんなりかもしれませんけれども、市町村と共同作業でその辺の成功例を横展開していく。これは鳥取のやり方としては近道かもしれませんし、マイ保育園の考え方も下敷きにしながら考えていけばいいのかなと思います。

 また、保育士の処遇も重要な課題でありまして、基本的には、まずは国の制度の保育についての全体の金額を確保することが大切でありまして、この処遇改善をさらに市町村にも反映してもらうように私どもも働きかけをしていく。これは今までもやっていますし、そういう中であります。

 最近、湯梨浜町さんなど、市町村長さんもこうしたことをやっていかないと、保育士さんが定着しないということにだんだんと気づいてきまして、処遇改善を積極的にされる市町村も出てきました。この辺はこれからまた10月に大きな制度改正がありますので、いろいろと試行錯誤は今後あるかもしれませんけれども、ぜひ市町村に十分働きかけもしながら、処遇改善も国の財源なども活用して進めていくようにさせていただきたいと思います。


 安田優子(追求質問)


 
ありがとうございました。大変私は今の知事の御答弁を聞きまして、東西冷戦、次の価値観というのですか、時代が来るのだろうけれども、鳥取県は引き続き国際交流というのですか、アジアとの交流を目指して頑張っていくのだということ、それを担えるのはやはり平井知事しかいないのかなということを改めて感じております。また、私は、昭和という時代、価値観はもはや通用しないと言われて、まさしくそのとおり、私も昭和の人間ですので、ここで引退をしなきゃいけないなというふうに感じて、限界を感じました。次の時代に絶望しないで、次の時代を信頼できるような御発言をいただきまして、御答弁をいただきまして、大変うれしく思った次第でございます。頑張っていただきたいと思います。

 今のマイ保育園制度なのですが、石川は知事が提案をして、市町村長がすべからく賛成をしていただいて、もう既に県下でスタートをしているということであります。私どもも、その現場に議員連盟で行って、見てまいりました。いろいろ度合いというのはかなり園によって差があるようには思いましたが、介護保険にケアプランというのがあるように、やはり子育てについても個々のプランができると、それは本当に力強いなというふうに思っておりますので、次の子育て支援、子育て王国の策としてお考えを賜りたいと思います。

 次に行かせていただきます。地方が頑張っていくためには、本県の農林水産業、本当にてこ入れをして、さらにさらに頑張っていただきたいということであります。倉吉農業高校につきましては、ぜひ、まだ参加していらっしゃらないようですが、島根が主体で頑張っております留学の説明会、ことしは、去年ですか、東京、大阪、名古屋、福岡と4会場で大変な盛況だったそうであります。さっき知事のお話にもありましたが、回帰、田舎への回帰、留学、田舎への留学、それは都会部ではやはりそれなりのニーズがあるということを感じておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 智頭農林高校、やっと教育委員会で宿泊の目安がついたということを常任委員会でお聞きをいたしました。ぜひ頑張って確保していただき、魅力を高めていただきたい。大変智頭町がいいまちづくりを頑張っていらっしゃいまして、それがまた学校といい形で反映をされており、私も伺って、魅力的だなと思いました。実績も上げておられますので、ぜひやっていただきたい。

 西郷の工芸の郷は、私は前田さんにも会ってまいりまして、高校の卒業、弟子入りの話をしてみましたが、それは無理だということを、人を雇うことはあの郷ではできない、そこまで余裕がないとおっしゃいました。だけれども、高校に出向いてやはり話を聞いたり、それから、工房に生徒が訪れて現場を経験させてもらったり、そういうことは非常に地域にとっても学校にとってもいいことかなと思っております。そのことについては承知をしていただいておりますので、ぜひ鳥取の民芸、鳥取の窯元、これは今、本も出ていますし、マスコミでも大変な取り上げ方ですし、現実に私の周辺で都会からそこを実際に見たいといって訪れる人が多いのです。それから、今のインバウンドで、もう団体ではなく、個人でのお客さんが今はふえていまして、そうすると、体験型とか、個人の嗜好で旅行先、行きたいところを選ぶようになりますと、やはり日本らしさというものを求めて、こういうところに人気が高まるのではなかろうかなと思っております。やはり用の美、吉田さんを生んだ鳥取、そして、足立美術館でもやはり新しい館ができて、その辺も魅力度が増すようでございます。その流れが今、高まっておりますので、ぜひともその辺もあわせて追求をしていただきたい。教育長、よろしくお願いをいたします。

 水産高校であります。水産大学との連携ということでお考えをいただけるということで、安心をいたしました。実は、共和水産は水産高校に月1万円で返さなくてもいいよという奨学金を出しているのですよ。なのに、そのもらった子供すらも会社に来てくれないわけですよ。全国の水産高校を毎年行脚されて、来てくれということで募集に歩かれているのが現状です。私は、大学との連携ができて、それが深まって、高校から推薦枠、倉吉北高みたいにそこの大学に進めるようなことがもし可能になれば、それはすごいことかなと思っております。というのは、なにゆえに総合高校に、海洋学科に来るのかといったとき、それは押しなべて中山間地域の高校も同じ悩みを抱えていると思うのですが、勉強がどれほどできるかによって、将来のこととは関係なく進む学校が決まっていく。学力で輪切りをして、高校が決まっていく。ほかに行けないので、総合高校に行くのだ。そういう子供さん方が結構多い。そういう中で、水産というそこに光を当てて、将来性も担保できるようになったときには、やはりそれは変わってくるのではなかろうかな。魅力度が増してくるだろうと思います。

 ぜひぜひ大学との交流、それで、これは私は昔行ったことがあるのですが、北海道におといねっぷ高校という村立のですよ、音威子府村というのがありまして、そこの村立高校です。それで、私たちが行ったときは1,000人ぐらい村民がいたのですが、今は750人ぐらいに減って、そこに定員120人の工芸高校があるのです。工芸と、それから絵画なのです。3年になると、もう卒業制作で、それにつきっきりでやる。その高校があって初めて村が成り立っている。スキー大会もできる。運動会もできるという、そういう高校があります。やはりそういう地域のありよう、島前高校も全くそのとおりでありまして、海士町が成功をおさめたのも、そういう地域の存亡を教育に託した、そういうことですので、ブラッシュアップを重ねることが中山間地域に光を与えることにもなります。

 もう一つ、寮のことは、どうしてもこれは皆さんからの御要望も強うございまして、きのうの常任委員会で福田俊史議員が言われておりましたが、八頭高はホッケーで有名で、よそからも、県からも来たい子がいるのに、寮がないがゆえに、島根県の横田高校に流れちゃうという現実があるそうです。これは前にも言いましたが、私がかかわっているセーリングでも、倉吉の子供さんが、総合高校に寮がないので、隠岐水産に行ったのだよといって全日本の大会に来ていました。●コトサラサヨウニ、寮がないというのは大変なことであります。幾ら魅力度が増しても、それを全国に発信できない。これは知事、教育委員会には私ども教育常任委員会のたびに皆さんが声を上げて要望をされますが、なかなか先行きしない。財政に切られたとかというようなことも聞きました。高校の魅力化というのは、教育大綱にもうたってあります。そのために、県外からも来てもらえるような魅力的な学校にするのだ。そのためには、住環境を整備しなければいけないということも同時にうたってあります。これは、教育委員会だけの責任ではございません。知事も、知事がむしろ大綱はつくっているわけですから、鳥取県として対応を考えていただきたい。そして、高校から鳥取県に来てくれた子供さん方が鳥取県にそのまま居ついてくれるのか、あるいは、その後もかかわり深く持ってくれるのか、そこも大きく期待ができるところであります。

 ぜひ知事、教育委員会に意を尽くしてあげて、私どもも重ねて要望しております寮のこと、これはこの間、私は日野高校に去年の秋に行ってまいりました。寮を再開したわけです。その後がどうなっているのか気になりまして、ちょっと伺ってみました。そしたら、夜、教頭先生がつきっきりで2時間、3人の入寮した子供さん方の学習指導をしてくださっておりました。暮れに行ったときには、何かいい方向に行っているのですよと校長先生や教頭先生が言ってくださっていました。そしたら、この間、日野町長に出会ったら、もう成績が上がったのですよと喜んでおられました。それで、教育長が先ほど不登校の子供さんのことで、学校だけでは片づけられないという言葉をおっしゃいました。いろんな家庭の子供がいることは確かです。いろんな親がいます。日野高校に入った子供さんにしても、家ではちゃんとした生活習慣が身につかない、リズムができない。寮に入って初めて安定した毎日を送ることができた。そこで初めて学習ということに向き合うことができたと、本人がそう言っておりました。そういうこともありますので、ぜひ知事、この問題は県政の課題として取り組んでいただけないでしょうか。御答弁をお願いします。

 

 平井知事(答弁)


 安田県議から重ねてお尋ねがございました。

 教育委員会からもいろいろとお話があるかと思いますけれども、私のほうには、寮につきましてお話がございました。これにつきましては、教育委員会サイドで考えることが第一義かとは思いますけれども、よく教育委員会と協議をさせていただいて、そうした生活環境を必要に応じて整えていくということを考えていくべきだと思います。

 日野高のところで、寮を再開してうまくいっているというお話で、大変に安堵しました。ああいう資源が実はあちらこちらに本当はあるのだと思うのですね。智頭農林も今、旅館の活用ということで、県境にもかかわらず、いろいろ使っているという実情があるのですけれども、ただ、片方で廃校の校舎などもたくさんできてきているわけですね。ですから、実は地域にいろいろとそうした子供たちがいわば生活をしながら、そこで夜間は学んだり、話し合ったり、また、地域との交流をしたりして、そうやって大きくなっていく。島前高校であるような、そうしたタイプの暮らし方というのはあり得るのではないだろうかと思います。実はこうした教育システムというのは、洋の東西を問わずあるものでございまして、イギリスでいえば、ボーディングスクールと言われる、そういう人材養成の過程があります。鳥取もないわけではなくて、先ほど申しましたように、倉吉農業のように寮生活の子供が8割というような学校も現実にあるわけでありまして、いろんなタイプの選択肢があろうかと思います。そういう意味で、高校の魅力化というのを私は単に言葉だけではなくて、本当でここでどういう教育で全国の子供たちの胸に響くようなことを提案していけるかという、その戦略を考えながら、それに応じて、例えば下宿を支援するというやり方もありましょうし、市町村と一緒になって宿舎を提供するということもありましょうし、また、寮ということをしっかりと倉農のように考えるというようなケースもありましょうし、その辺はいろんなバラエティーがあろうかと思います。これから向こう4年間というところは、そうしたスタートを切るときになってくるのではないかなと思います。最近いろいろ教育委員会とも協議を重ねておりますが、県外からの越境入学につきまして、従来よりは大分門戸を開こうというように方針も変わってきつつあるところでありまして、私としては、その辺は非常に評価をしておりまして、当然ながらサポートとしても、寮の整備の必要性も含めて、今後協議してまいりたいと思います。




山本仁志教育長(答弁)



 安田議員から重ねて御質問をいただきました。

 1次産業を支える人材育成ということで、各校それぞれ取り組んできているわけでございますが、一層磨きをかけてブラッシュアップを図っていきたいというふうに思っておるところでございます。そんな中で、いろいろこのたびも御提案をいただきましたが、それをきちんと受けとめながら、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 寮の話もございました。これはいろんな形で住環境を整えていくということで、いろんなそれぞれの地域に合ったやり方というものを探し出して、その都度、議会等にもお諮りをして進めておるわけでございますが、まずは、学校のきちんとした、言葉だけではないと先ほど知事が言われましたけれども、魅力化、特色化をきちんと打ち出す。それをきちんとPRする。中学生、あるいは保護者の方々に訴求するような形でPRする。それによって県外からも生徒が入ってくる。その入ってくる生徒をきちんと受けとめて、住環境を整えていく。そういう実績を積み上げる中で、寮が必要な場合には、寮の整備についても、これはまた御相談をさせていただくということになるのではないかなというふうに思います。鶏、卵の論で、寮がないから来ないという生徒もある、そういう場合もあるのかもしれませんが、まずは、寮があろうがなかろうが、そこの学校で学びたいというような、そういう素地をきちんと整えることが、我々のまずやらなければならないことではないかなというふうに思っておるところでございます。



安田優子(追求質問))


 ありがとうございました。

 寮のことですが、いろんな形で探しておられるようですけれども、教育委員会、教職員のアパートというのですか、住宅というのが県内に何カ所かございます。調べてみましたら、かなりあいているところがあるのですね。だから、そういうところは活用をされて、寮としても使えるように、島根県は基本的な規則を決めて、市町村と協議をしておりますが、県として新たな寮は建てない、建てるのだったら地元が建ててくれ。しかしながら、改修をする場合は県も補助するよと、そういう原則を鳥取県も大筋をつくるべきではないですか。その上で、やはり地元と相談をして、どうするという具体的な策を検討なさるべきではなかろうかということを言っておきたいと思います。

 尚徳館でございます。

 青翔開智に行ったときに、子供たちが本当に生き生きとしているのに私は驚きました。その中で、一段ときらめいている女の子がいたのです。どこから来ているのと聞いたら、沖縄から来ていると言うのですよ。どうして生活しているのと聞いたら、沖縄から家族で来たと言うのですね。思うに、恐らく沖縄の学校でつらい思いをして、家族で相談をして、鳥取までみんなで来られたのではなかろうかなと思いました。そういう学校がこの鳥取県内にあるということは、すばらしいことではないかと思うのです。だけれども、残念ながら、ここも寮がございません。横井理事長は、考えたいということをおっしゃっていました。ぜひにこれは支援をしてあげてほしいなというふうに思います。尚徳館は何も私は今の教育長の話を聞いていても思ったのですが、やはり本当に今の鳥取県教育委員会は大世帯です。大きな組織です。こうしようと思っても、なかなか動かない。だけれども、私立は本当に英断一つでいろんな手を迅速に打たれます。太刀打ちできません。私はあえて申し上げるならば、個人的に現代版のそういう中高一貫校、公立ではなくても、私立にやってもらっても構わない。そういう考えでおります。ということをお伝えしておきたいと思います。

 それで、次の不登校、ひきこもりへの対応でございます。

 これは、不登校のことは先般、県の支援センター、米子の支援センターにも行ってまいりました。多分これは単なる不登校ではない、多分、重症の発達障害の子供さん方が来ているのではなかろうかと思ったのです。お話を聞いていましても、大変な重症の方々で、とても一緒には勉強したりはできない。病院からの紹介が多いとおっしゃっていました。この間発表があったら、やはりその発達障害と診断された人が、保育所、幼稚園から高校生までで3,000人以上が県内にいるという結果が出ていました。本当に今の不登校が2,000人、来ていないのが500人、その周辺に1,500人、2,000人。これにも驚きましたが、私は、このひきこもりのことでNHKの「クローズアップ現代」で紹介された秋田県の藤里町というところがありまして、ここは人口が3,300人、そこに社協の熱心な事務局長さんが3年がかりでひきこもりの方を調査された。そしたら、113人いらっしゃったそうです。最後は、調査して歩いたら、来ないでくれと、そのぐらい皆さんが、うちにいるということを隠していらっしゃる。そういう中で、3年間も調査したあげくに、やっとその数字を出されたということです。最初は、楽しいことをすれば出てくるのではないかということで企画してみたけれども、誰も来なかった。次にやったのが、介護職の資格取得のための研修会であるとか、それから、就労の呼びかけをなさったそうです。その後、全員が外に出るようになった。そういう取り組みの紹介がありました。

 それで、全国から視察が相次いでいるということですが、この数字をもとにして、56万人の鳥取県に680何人だかの調査結果が出ておりました。多分これはこんな数ではないだろうと思っておりまして、この藤里町の調査をもとにして私は計算してみました。鳥取県内に1万8,000人です。それで、不登校がさっき言ったように2,000人、2万人いるわけですよ。と推察されるのです。56万人、2万人、変なまちよりはるかに多い人たちがそういう状態にある。それも、本当に最も社会で頑張ってもらわなきゃいけない年代の人たちであります。どうするのかというのは大きな問題があるのですが、やはりそこは教育委員会だけではなくて、医療も含めた専門の方々の治療とかも必要なケースもあるのですが、やはり根本的に学習の確保というのは、どういう形にしろ、やっていかなきゃいけないだろうし、そういう底辺の子供をそのままにしているような教育というのはいかがなものかということを指摘しておきたいと思います。

 それで、さっき話をした藤里町もそうでありますが、やはり就労支援のシステムをつくっていった。これと同じように、熊本県がやはり地域コミュニティーというのを模索して、地域の縁がわづくりというのを進めておられました。かつてここにいらっしゃった木村敬さんが総務部長で頑張っておられました。私たちも、健軍くらしささえ愛工房というところに行きました。県営住宅の1階にそういうコミュニティーをつくって、いろんなことをなさっていました。ありとあらゆるニーズに応えて、保育園もなさっているし、高齢者の方も引き受けていらっしゃるし、サロンもやっていらっしゃるし、昼食サービスもやっていらっしゃる。それはNPOが請け負ってやっていましたが、2億円の経費だとかと言っていましたね。そういうところにひきこもりの人が、自分も働かせてくれと自分から来たそうです。だから、やはりそういう、例えば発達障害の人も全てがだめではないのですね。ある面では特異な才能を持った人がいらっしゃって、そこだったら誰にも負けないというような方がいらっしゃる。もうそういう方も含めて、みんなが支え合って頑張っていけるコミュニティーというのを模索していくのも私は必要なことかなと思っていたら、常任委員会で小さな拠点づくりという事業を始められたということが紹介されまして、こういう方向性を模索していただければ、やがてそういう一つの方向性が出てくるのかなと。元気づくりがそういうのを考えていただいていました。全国のモデルケースも参考にしながら、そこを頑張っていただけないかなということを感じました。

 そして、不登校センターに行きましたし、フリースクールにも行きました。ここの校長さんは、ほかの仕事を退職後やっていたけれども、定時制で長いこと勤めていて、やはりいろんな子供さんがいらっしゃることを知っていて、自分はこんなことをしていたらいけないと思って、自宅を開放してフリースクールを開設したのだと。私は、やはり困っている親や困っている本人がいると、こちらでは頑張って助けてあげようと思う人が必ずいらっしゃるものだなと思って、何かすごく感心したというのですか、本当に御努力に頭が下がる思いがしたのですが、そういう鳥取県はあいサポート条例もつくった、支え合いという、そういう精神も推奨しているわけですが、そういうのを具体化するような施策というのを追求していただけたらなと思っています。

 最後にというか、この辺でひきこもりのサポートセンターにも行ってまいりました。先ほど知事がおっしゃっていたように、実はこの質問は行く前に書いたものですから、ちょっと現実離れしていたなと反省をしております。大変厳しい話をあちこちで目の当たりにしまして、こんな私の話ではだめだなと思って反省もしておりますが、そこで、私が行くに当たって、西部の米子のセンターに行ったのですが、ピアサポートの代表の方、鳥取にお住まいですよね。わざわざ鳥取から出向いてきてくださったのですよ。西部には人手がない。さっき知事がおっしゃいましたよね、この数字が低いのは、そのせいだと。大変申しわけないような、ありがたいような感じでしたが、実は帰ってから電話がありまして、西部で1人、何か活動のもう少し幅を広げたいので、予算のアップをお願いしていたら、切られてしまったと言われるのです。それで、私も健康政策課のほうから出してもらいました。確かに1,800万円の要求に対して1,300万円、去年どおりの査定をされておりました。それは、そういう背景のもとに要求された案だそうです。できるならば、知事の先ほどの答弁も鑑みて、もう一度考えてあげたらいかがでしょうか。よろしくお願いをしたいと思います。以上です。そこまでお願いいたします。

 

平井知事(答弁)


 安田県議から重ねてお尋ねがございました。

 教育のほうで、ひきこもりを解消しようという、いろいろと手当てがあるのではないかというお話がございました。全く共感できるところもいろいろございました。

 熊本の地域の縁がわも、実は鳥取大学の周辺でやはりやっているところがございまして、そういうような事業を横展開をしていくとか、また、「こみっと」という藤里町の例もございましたけれども、あそこよりも多分議員が出会われた鳥取青少年ピアサポートの皆さんがやっている、結構難しい案件をやっていまして、その中で129人で55人、就業等に結びつけるというのは結構大変なことだと思います。ですから、それを何とか広げたり、市町村を巻き込んで横展開したりということかなと思います。最近も大山町の社協でそういう事業に取り組み始めておられて、具体的にも農業法人への就業に結びつけた例もございますし、先ほど申しました南部町のいくらの郷でも4人入所というか、そちらに通われて、2人就業されるとか、やはりやってみればやってみるだけの成果もあるわけでありまして、せっかく鳥取方式でつくったノウハウを広げていくのがいいのかなと思います。議員がおっしゃった西部での鳥取青少年ピアサポートさんによりますひきこもり支援センターの拡充については、これはまたこれから統一地方選挙で議論もさせていただいて、私としては、例えば私の公約に書くとか、そういう類いのことかなと思ってお伺いをさせていただきました。ぜひひきこもりの解消に向けて、全県的な努力を発展させてまいりたいと思います。



山本仁志教育長(答弁)



 
不登校、ひきこもりにつきまして重ねて御質問をいただきました。

 これまで教育行政は、どちらかというと、不登校になった場合に、学校に復帰をさせるというところを主眼に取り組んできていたわけでございますが、今、法律もできまして、不登校の児童生徒を必ず学校に復帰させるということではなくて、その人、子供一人一人の状況に応じて対応をする、学力の保障をしていく、そうした形に方向転換をしてきているところでございまして、そういう意味では、不登校、特に長期の不登校の児童生徒をほったらかしにするのではなくて、いろんな形で、例えばフリースクールと連携したり、支援センターで支援をしたり、そしてまた、家庭に訪問していったりというような形でフォローをしていく、何らかの形でフォローしていくというような取り組みにも着手しているところでございまして、その取り組みをこれからも充実してまいりたいと考えておるところでございます。



安田優子 (追求質問)


 今、いみじくも教育長からお話がございましたフリースクールのことです。

 国も方向性としてその方向、県内に4カ所ある。全国的にフリースクールに対して認める方向が出てきているという中で、鳥取県のように、そこに県が支援するという県は非常に少ないのだと、大変評価をされている新聞記事を読みました。私もぜひ応援してあげてほしいなと思うと同時に、午前中の答弁の中に夜間中学という言葉が出ました。しかしながら、この鳥取県の実情の中で、国が言うように、県内に1カ所だけ、1つだけつくるということは本当に現実的ではないわけで、第一通えないですよね。そうであるならば、やはり今現在頑張っていらっしゃるそういう民間のフリースクールなりにお願いをして、そこに支援をしたり、委託をしながら事を進めていただくほうが、私は現実的ではなかろうかなというふうに思っております。それは、御答弁は要りません。

 次に、外国人材の受け入れでございます。

 知事の言われるように、大きな共生ということを考えながらの対応ということをお聞きいたしまして、大変感銘を受けました。たまたま昨年の秋にベトナムへ行かせていただきまして、日本語学校というのを何カ所か見せていただき、そこで学ぶベトナムの若い方々のきらめくような未来へのまなざしというのですか、日本へ行きたいという、その希望に燃える姿に心を打たれました。その方々が実際に日本に来られて、落胆をされることのないような鳥取県での対応というのをぜひとも構築していただけたらありがたいなということだけお伝えをしておきたいと存じます。

 次に、交通アクセスでございます。

 私は、ぜひ高速道路は必要でございますし、避難路として必要でございます。水面下で動いているのだというお話をお聞きしました。確かに伊木市長は前任者の方とは違って、御理解をいただいております。私も推薦を申請された折に、そのことは再度確認をしております。この道路の建設についてのお考えを確認して、推薦させていただいたという経緯もございます。しかしながら、いろいろ具体の話になると、やはりそれぞれの地元は地元の事情があって、そこは県が前に出て調整していただいて、一刻も早くつくっていただかなければいけないだろうなというふうに思っておりますので、ぜひぜひよろしくお願いをいたします。

 それで、できる道路について、高速道路であり、まさかのときの津波の避難路で、原発の避難路にもなり得る道路であると同時に、この今度つくられる道路については、山のない、高台のない弓浜半島においては、避難場所、逃げ場所になり得るような道路をぜひともつくっていただきたいということで、3.11東日本大震災の折に実際にそういう避難場所としての機能を果たした国道6号の仙台東道路、それから、相馬バイパスへ去年行ってまいりました。やはり海岸部から走って、高速道路は7メーター地上からあるそうですけれども、斜面をよじ登って柵を乗り越えて避難された方々が300人ぐらい命が助かった。所管は、地元は、そのところに避難階段を設置した。国交省は、それはけしからんと随分やり合ったそうですが、その後、道路法を改正して、高速道路が避難路として、避難場所として一緒に工事が一体的にできるような方向性が再度決まったということで、全国から津波の被害が予想される自治体等の視察が相次いでいるということをおっしゃっておりました。私はこの議場を去るのでありますが、このことはぜひとも、いずれの日にか、この道路は確実にできるものだと思っております。そのときには、ぜひそのことを生かしていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 鉄道の高速化であります。

 ぜひ新幹線、長い長い先の話かもしれませんが、夢を見させていただき、陸の孤島だと明治新政府から山陰道鎮撫使●  言われました。その陸の孤島であるがゆえに、偏狭な考え等々の問題も出てきたのかもしれません。面もあったのかもしれません。ぜひともつないでいただきたいなと願っております。以上、お願いをいたします。

 美保湾ですね。美しい湾クラブですが、これは、知事が4選に向かわれるということが定まっておりませんでしたので、レーザー級の世界大会に間に合うようにぜひともということで、私は先度お願いをしました。大変アバウトな組織でありまして、プレゼンテーション次第だということでした。私は静岡県庁にも行ってまいりました。静岡県庁は、港湾局が所管なのです。発端は、知事会議で富山の知事から一定プレゼンテーションしてきたよと聞いた川勝知事が、自分もぜひやるということで●アップダウンでやられたのだそうです。私は平井知事だったらもう一発だということで、知事が在任中にぜひとも申請をしていただきたいということで急ぎ提案したような次第でありますが、引き続き担っていただけるのであれば、そういうことですので、ぜひこれも前向きに進めていただけたらと。

 地元協議ということでありましたが、クロアチアのチームを迎えて、私はその方々の新しい情報発信の仕方、もう世界のトップレベルで、その国のオリンピック選手になるような選手の人たちがみんな自分の国にすごい応援団を持っている、その選手たちが合宿練習で、美保湾はすばらしい、鳥取県はすばらしい、境港は最高とSNSで全部発信するのですよ。わあと思いまして、何もこんなものはもういいですよと言ったのですけれども、境港市や米子市さんが、会議を開いたら、いろんなことを諦めないでやればいいではないかというふうにおっしゃってくださったのですよ。

 という次第で今日に至って、そういうことであれば、富山の大会にも参加してというような流れですので、地元はそういう意向でございます。ぜひここはよろしくお願いしたいと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。


平井知事 (答弁)


何点かございました。

 まず、外国人のことにつきましては、隣の県でも橋の下でベトナムの方がこっそり暮らしていたということも最近判明したりしております。ぜひ議員がおっしゃったように、来てみてがっかりしたとか、あるいはかえって生活苦に陥れられるというようなことがないように、本来国はそういうことではないと国会でも説明していましたので、それが実行されるように、その意味の環境づくりを地域としてもやっていければというふうに思います。

 また、道路につきましては、これからしっかり両市、そして、日吉津村も交えた協議をしていきたいと思いますが、以前よりは対立から協調へと動いていますので、私は、出口はある状況になってきたと思います。ただ、議員がおっしゃるように、今が大事な時期だというのもおっしゃるとおりなので、これは新年度以降の4年間の任期の中で、次の次期の皆さんでまた議論いただくべきことではありますけれども、しっかりとしたその方向性をつくることが、次の4年間の未来への礎づくりの一つではないかというふうに思います。

 新幹線につきましても、同じように、これから議論を固めていく。多分向こう4年を見渡してみると、敦賀までだとか、佐賀のほうとか、いろいろと開通箇所も見えてくるわけでありますけれども、まだ終わっていませんので、そこで一足飛びに、では、次の工事にかかるというふうにはなかなかならないのではないかなと思います。まず、ある残事業ですね、やるところが優先するでしょう。ですから、そういう意味で、その次に議論が移るときに、しっかりとレールの上に乗せておくというのが今の重要なステップではないかと思います。そういうことを今後展開すべきというふうに考えておりますし、関係者ともこれは議論してまいりたいと思います。

 また、あと、美しい湾づくりでございますが、これは地元の動きというのは一番大事でありまして、地元ともしっかり協議をする必要がありますが、おっしゃるように、ヨゾコーチとか、それから、クロアチアのチームに参加しておられる選手でも、インスタグラムで結構発信をされていまして、フォロワーが何千人もいる人たちでありますから、大変に効果もある。ですから、だんだんと評価は高まってくると思います。その流れの中で、結局ヨーロッパのフランスに本部がある機関でありますので、世界的な名声というものも追い風にしながら、多分レーザー級のときにも映像が全世界に出ると思います。そうした中で、10月の富山の総会等々が重要なポイントになってこようかなと思います。いろいろと戦略的に今後、このことについては鳥取県としても地元の2市と協議を進めてまいりたいと思います。


安田優子 (追求質問)


 いろいろ御答弁いただきました。ありがとうございました。

 最後に、知事にちょっとはなむけ●  したいと思います。

 私は、議会と執行部は車の両輪とよく言われるのですが、いずれにしても、車輪だけでは車は動かない。あくまでも自動車の運転手は執行部を代表する知事、議会は相対としてその隣、助手席にあって、車が目的地に向かって間違わずに走っているのか、スピードはどうなのか、交通ルールは遵守しているのか等々をチェックし、指摘するのが仕事だと思っております。当然のことですが、後部の座席に県民を乗せて走っているということであり、選挙で選ばれた者同士であることは前提でございます。

 そして、そのような関係の中で、かつて私の父親も昭和30年から54年まで長い間、この議場に在籍していたのでありますが、その時代には、当時、石破二朗知事はよく夕方になると、御自分で電話をしてこられました。そして、大体この境港市のいろんなことについては、御相談がすべからくございました。しかしながら、今の時代は行政権力の自立化というのでしょうか、肥大化というのでしょうか、どんどん進んでまいっております。同時に、議会の力は弱体化をしているように思えてなりません。果ては、無用論まで出てくるような始末であります。このような流れの中で、行政の長は自治体のいずれを問わず、当然ながら、大きな行政組織を配下にした権力者となるわけでございます。それは、意識しようがしまいがでございます。その長期化には大いなる懸念を持たざるを得ません。そのことは、4選を目指されるに当たっての平井知事、いろいろと賢明なる平井知事は御自身で十分に承知しておられるであろうというふうに私は受けとめております。

 いずれにいたしましても、平井知事には、その能力もさることながら、県民が誇りにし、そして、職員に敬われ、慕われる名知事として、長きにわたり県政史上に名を残していただきたいと私は心から願っておるものでございます。このことを知事にお伝えをし、きょうの質問は最後にしたいと思います。コメントがありましたら、お願いいたします。

 長時間にわたりまして御答弁をいただきました知事、教育長、県警本部長、本当にありがとうございました。そしてまた、長い間おつき合いをいただきました同僚議員の皆様にも御礼を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。皆さん、どうもありがとうございました。


平井知事(答弁)


安田県議から、最後にまたお言葉をいただきました。

 私たちは、議会、そして、執行部、車の両輪として鳥取県という自動車を運転しているようなものだということであります。まさにおっしゃるとおりなのだろうと思います。さまざまな困難な道筋がありました。企業の活力が失われるのではないか。あるいは、いろんな意味でインフラストラクチャーを初め、おくれをとっているのではないか。我々はキャッチアップをしたり、場合によっては、私たち自身の知恵と工夫で保育料の無償化を安田議員からも提案され、全国でも珍しい施策をしてまいりました。今、割と注目されることもふえてきたと思います。これも安田県議のような、議会という言論の場があり、それが県政をリードしてきたからにほかなりません。議員が多分御懸念を持っておられるのは、最近境港市議会が無投票になったことがありまして、アンケート調査をして議会のあり方を再度問い直そうというのが地元のほうであるようでありますけれども、確かに担い手の問題であるとか、それから、どうやって地域に貢献していくかという課題を私たち、地方自治としては突きつけられているのかもしれません。ただ、私は思うのですけれども、鳥取県はこの自由闊達な言論の場があり、この議会の伝統というのがしっかりと発展してきた県だと思います。単なる形式論で私たちは議論しているわけではなく、きょうもシナリオもないながら、このようにお話を互いにさせていただき、今後の方向づけが出てくるわけです。こういうようないわばローマの民主主義のようなフォーラムのような場、それが私たちが求めている議会と執行部の関係であり、この議場ではないかと思いますし、住民の皆様もそこに期待しているのだろうというふうに思います。

 議員は、私たちが運転する車に乗っているのが住民の皆さんだというお話でございましたけれども、私は、最近そういうちょっと違った価値観といいますか、世界観も若干ございまして、我々は多分懸命に走っている県民や地域の伴走者でないだろうかというようにも思います。その皆さんがみずからやはり産業を切り開いたり、それから、暮らしを安心できるものに変えていったり、地域でいろんな話し合いをし、あるいは企業の努力や学校の頑張り等々があります。それを我々が、懸命になって頑張っておられる、そういう県民の皆様をお支えし、あるいは、場合によっては補助制度をつくったり、やりやすい環境をつくったり、やはり国など、他の力をかりなければならないのであれば、急遽そちらのほうに車を回して、そして、援助をとってきたり、制度改正をかち取ってきたり、そういうような動き回る伴走者なのかもしれないなと思います。私たちが役割をしっかりと果たすことができれば、恐らく平成の次は鳥取の時代になってくるかなと思います。

 きょうも、数々のすばらしい御提案もいただきました。いろいろと身にしみる、心にしみるお言葉もいただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。

 正直、今、思い起こすのは、安田県議と初めてお会いをしたころですね、驚きましたのは、かつて東京で教鞭をとっておられたときのお話がございまして、私の友人を教えておられたということをお伺いをしました。それ以来、いろいろとお導きをいただき、私の友人と同じように教えを請うたのかなというふうに思います。「天雲に翼打ちつけて飛ぶ鶴の たづたづしかも君しまさねば」という、これは山陰にも赴任した柿本人麻呂の歌でございます。この間、ナベヅルが米子に飛んできたということでニュースになりました。たづというのは鶴のことであります。天の雲に羽を打ちつけて飛び立っていくと、ちょうど今、北帰行の途上に寄ったのではないかなと思いますが、今、安田議員もこの議場から飛び立たれようとされているのかもしれません。たづたづしというのは、不安だという意味であります。安田議員がいなくなってしまうことに一抹の寂しさと不安という気持ちも感じながら、そんな歌も思い起こしておりました。ぜひ安田県議におかれましては、これからもすばらしい人生行路を歩み続けていただきたいと思います。私どもも、残された者として務めを果たしてまいることをお誓い申し上げます。本当にありがとうございました。

 

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