このクラスの児童は、1学期、諸々の問題を抱え、じっくりと落ち着いて取り組む学習が成立しにくかった。国語の学習を嫌う児童も多かったが、これまでの研究の成果として、音読・朗読の力はついていた。そこで、音読を中心として、群読の学習を位置付けて、声で盛り上げようとしてきた。群読のよさは、学習を通して人間関係までもつくることができることだと考えていたし、そういう実践を私はしてきた。ところが、この子どもたちの抱える諸々の問題の大きな原因が人間関係にあり、群読をしようとすればかえってトラブルが起こり学習が崩壊してしまった。
私なりに、いくつかの小さい単元を組んで、おもしろい学習(子どもたちがのってきそうな学習)を組んでいき、それなりの成果はあったが、教科書教材での学習は、学習効果の上がらないものに終わってしまった。
2学期になると、学級も少しずつ落ち着いて学習できるようになっていた。しかし、最初の物語教材「いたいいたい虫」の初めの場面の学習で愕然とした。登場人物の人柄を読み取らせようとしたところ、全くできなかったからだ。そこで、とにかく、文章を読む力をつけなければと思い、1学期のような音読中心の学習をやめて、表現に即して文章を丁寧に読んでいくように心がけた。また、一部の児童しか答えられないような分析的な発問はできるだけしないようにし、できるだけ多くの書く活動を組み入れて全員が学習に参加できるように心がけた。
書くことを多く取り入れるようになると、あの話し合いの騒々しさがなくなり、落ち着いた学習が展開できるようになった。「大造じいさんとガン」では、私が期待する反応がずいぶんかえってくるようになった。
そして3学期。初めの教材が「わらぐつの中の神様」である。私は平成6年度にこの教材を多様な書く活動を通して読み進めた。その時の成果の一部が青木幹勇氏の著書「子どもが甦る 詩と作文」で紹介された(P112〜P114)。それは、青木氏の言葉を借りると、「物語を読んで物語を作る」活動である。今回もその実践を行うわけであるが、それ以外に何か活動がないかと考えていた。
3学期の始業式が近くなったある日、ちょうど「学級カルタを作ろう」という記事を学年だよりに書いていた。その時、このカルタ、つまり、五七五の短詩を使った学習が展開できないものだろうかと思いついた。2学期の学習を通して、ずいぶん読んだり書いたりする力がついてきたものの、まだまだ言語感覚に乏しく、書く力はかなり低い実態である。そういうこの子たちでも、書いてある内容を十七文字で表わす活動なら、案外おもしろがって意欲的に取り組むのではないかと考えた。
実際に予想以上の成果があった。最初は「五七五の短い詩」と言っていたが、途中から「俳句」という言い方にした。この俳句作りは、俳句(季語は考えない)そのものが言語感覚を高める活動である。しかも、俳句にする内容が目の前の文章にある。だから、全員が取り組むことができた。全授業 記録をまとめてはいるが、ここでは、代表的な2つの場面の記録について述べていく。
平成10年1月 5年2組 37人(男子18人 女子19人)
本単元の教材「わらぐつの中の神様」は、「働くことを愛し、人の身になって考え、何よりも心を大切にする」ということがいかに大切かを訴えている。豊かさにあふれ、欲しいものは何でも手に入る今の時代に育っている児童は、物を大切にするという意識も稀薄で、物の中身よりも外見のよさにとかく引かれがちである。本単元を通して、そういう今の児童に、大切なものは何なのかを考えさせることができる。
本学級の児童は、「はじめに」で書いたように、1学期のころは表現力、理解力ともにかなり劣っていた。2学期になっても最初の物語「いたいいたい虫」の初めのころは、かなり浅い読み取りしかできないでいた。そこで、表現に即して、登場人物の言動を確実に押さえながら心情を読み取る学習をていねいに行っていった。また、文章を書く力も、作文の時間だけでなく、理解領域にいろいろな書く活動(登場人物になって日記や手紙を書くなど)を組み入れ、だんだんと向上してきている。理解教材では、説明文よりも物語文の方に興味をしめし、意欲的に取り組む。この3学期の最初の教材「わらぐつの中の神様」にもかなり興味を示していて、意欲的に取り組んでいる。
指導に当たっては、子どもたちが意欲的に取り組む教材であるので、単なる読解だけて終わらず、この教材で言語感覚を磨き、表現力を更に向上させたいと考えている。そのため、発問−応答型の学習を極力減らして、音読や書く活動を多く取り入れた。表現活動は、活動そのものが言語教育であり、表現しようとすることによって文章をしっかり読まざるを得なくなり、一層理解が深まっていくことになる。また、全員が学習に参加できる。特に今回の表現活動は、「音読」「俳句」「絵」「心情曲線」「書き加え」「続き話」、という活動を組んでいるが、「俳句」を使うのは私自身初めての経験である。(もちろん子どもたちも初めて)「俳句」は文字の量が少ないので、子どもたちが書いたものをすぐにまとめることができる。子どもたちの書いたものをその時間の評価としても使うし、叙述の展開に沿って整理し、それを次時の導入としても使った。全員が書いたものを印刷し、次時の導入に使うことにより、前時の内容がよく分かり、本時の学習に役立った。また、全員の目にふれさせることによって、お互いの表現について意識することになり、次の表現への意欲付けとなった。この方法が、正にに私のテーマに沿ったものとなった。
第一次 全文を読み、感想を持つことができるようにする。(1時間)
第二次 内容を読む。(10時間)
(1)物語の場面の背景を理解する。(参観日の公開授業)
| T | 静かだなあっていうところに線を引こう。 |
|---|---|
| C | 「辺りはとても静かです。」というところです。 |
| C | 「お母さんが台所で夕ご飯の後かたづけをしている音が聞こえる」というところです。そのわけは、お母さんが台所で夕ご飯の後かたづけをしている音が聞こえるだけで、ほかには何の音も聞こえないからです。 |
| C | 「風が出てきて、しょうじの音がカタカタ鳴った」というところです。ガタガタと鳴ったのではなくて、少しの風でカタカタ鳴った音が聞こえたので、静かです。 |
| C | 「雪がサラサラと雨戸に当たっては落ちていく」ところです。雪が雨戸に当たる音は小さいのに、それが聞こえるからです。 |
| C | 「雪がしんしんとふっている」ところです。雪の上に雪がふってきて、音もなくふり続けているからです。 |
| T | 寒いなあって感じるところに線を引こう。 |
| C | 「こたつに当たる」というところです。寒いからこたつに当たるからです。 |
| C | 「この寒いのに−」というところです。ふろ屋に行くのを笑われるぐらい、寒いのだと思います。 |
| C | 「風が出てきたらしく、まどのしょうじがカタカタと鳴りました。」というところです。風が出ると寒いからです。 |
| C | 「雪がサラサラと雨戸に当たっては落ちていきます。」というところです。風が出てきて雪がふってきたから寒いと思います。 |
| T | 「サラサラ」と降る雪は、気温が低い時の雪なんだよ。だから、とっても寒い。ほかにはないかな。 |
| C | 「雪がしんしんとふっています。」というところです。雪がどんどんつもってきて、寒い感じがします。 |
| T | ここに書いてあることを、五七五で表わしてみよう。例えば 「寒い夜 雪がしんしんと ふっている」 どうだ、うまいだろう。 |
|---|---|
| C | 先生、そのままだがん。 |
| T | いや、「寒い夜」とは、どこにも書いてない。でも、今みんなと一緒に話し合って、「寒い夜」ということが分かった。だから、その言葉が書いてなくても、ここに書いてあることを表わす言葉を使ってもいいんだ。五七五で表わしてみよう。 |
男子4のは、「カタカタ鳴りひびく」と「静かに」とが、普段の生活ではつながらない言葉であるのに、それを結び付けたところがすばらしい。「カタカタ」は、「静か」だからこそ聞こえる音であり、「静か」だからこそ「鳴りひびく」のである。学習したことをよく生かしている。それを解説して、称賛した。
おじいちゃん この寒いのに ふろ行くな(男子6)
男子6ので、笑いがおこった。でも、決して嘲笑ではなかった。本当は、家族のだれもおじいちゃんのふろを止めてはいない。そこに気づいてほしかったのだが、日ごろ、国語では発言の少ない男子6の発表したことだったので、「これ、いいねえ。」とほめるだけにした。
男子16のには、次のように意味付けをした。「初めの『あったかい』は、家の中の温度のことで、最後の『あったかい』は家族の心の温かさのことじゃないかなあ。そう考えると同じ『あったかい』を繰り返して使っても、その意味が違うのでこれはすばらしいね。」
もちろん、本人はそんなことを考えてはいなかっただろう。しかし、こういう意味付けをしてやることが言葉の力をつけることになるのだと考える。子どもたちが、言葉の意味を自覚し、今度自分が繰り返しの言葉を使うときの表現方法として生かすことになる。これが言葉の力を付ける支援ではないだろうか。私の解説を聞きながら、大きくうなずく保護者が数名あった。
−(2)〜(9)の実践の記録は省略−
本時のポイントは2つある。1つは、大工さんの言葉の「いい仕事とは何か」を理解させることである。これは、単元の目標でもあり、この教材の主題でもあるので、ここで押さえなければならない。
そこで考えられるのが「大工さんの言葉をどう思いますか。」という発問である。その発問は、読み手である子どもたちの価値観と大工さんの価値観を比較させることになる。しかし、それは、子どもたちを物語の中から外に出してしまうことになる。
そこでおみつさんに視点を当ててみると、おみつさんは大工さんの言葉にうなずいている。それは、大工さんの言葉に納得したからであり、自分と同じ価値観を持っていることに対するうなずきである。
そこで、「おみつさんは大工さんのどの言葉に強くうなずいたでしょう」と、うなずきの強さを問うことにした。この発問によって、大工さんの言葉の意味−大切なことは何か−が押さえられ、おみつさんもまた同じ価値観を持っていて、だからこそお互いが引かれ合った、ということが押さえられる。
また、大工さんの言葉を誰かに読ませ、他はおみつさんになってうなずきながら聞かせる、という活動をするならば、音読の工夫にもなる。
もう1つは、プロポーズされた返事を手紙に書くという活動である。これもまた、物語を読んで物語を作る活動になる。
※ おみつさんのうなずきの強さを問うと、予定通りの大工さんの言葉があがってきた。そして、その理由に「大工さんの言葉の通りにおみつさんが作っていたから」「大工さんが買う時にじょうぶさを見ていたから(だから、大工さんの言葉を納得した。)」「はく人がはきやすいようにという自分の考えと大工さんの考えがいっしょ。」という発言があった。
朗読も、読む方より聞く方に「どうやって聞いたらいいか。−朗読の上手下手を聞くのではなくて、おみつさんになって、物語の中に入って聞く」という観点があり、子どもたちは、おみつさんになりきってうなずきながら聞いていた。
私は、最初、とまどっていました。こんなことになるとは思ってもいませんでした。それと、まだ言っていませんでした。ありがとう。何回も何回も、あなたは私の不格好なわらぐつを買ってくれました。私は決めました。いつまでもいつまでもあなたについて行きます。こんな私ですが、どうぞよろしくおねがいします。
大工さんへ。大工さんは、いい仕事ってのは、見かけで決まるもんじゃない…。と言いましたが、私も同じ考えです。でも、私より大工さんの方がずっとりっぱでたのもしく思えました。私は、そんな大工さんのおよめに行くことに決めました。
おらは、大工さんの、やさしい所、不格好なわらぐつを見ても悪口ひとつも言わずに買ってくれた所、そして、じょうぶで長持ちするように作るのがほんとのいい仕事ってもんだってほめてくれた所、が好きです。
大工さんへ。おらは、あれから家に帰ってから、両親に相談してみました。あのわらぐつを買ってくれたやさしい人だと言ったら、およめに行きなさいと言われました。わらぐつをもっと上手に作れるように練習をするので、はいてください。言いわすれてたけど、わらぐつを買ってくれて、ありがとうございました。
大工さん、この前の話、おら、とてもまよいました。返事を言うのがはずかしいので、この手紙で返事を書きます。あれからおらは、そのことをお父さんお母さんに話しました。反対することもありましたが、自分の気持ちを言います。私の気持ちでは、大工さんの所に行ってもいいです。めいわくでしょうがよろしくおねがいします。大工さんは、いつも、私がつくったわらぐつを買ってくれました。それに、仕事場の仲間や近所の人たちの分も買ってあげたやさしい人だと言ったらゆるしてくれました。
私を神様みたいに…大事に…その言葉を聞いて私はしばらく何がなんだかわからなくなり、家に帰り、父と母にそのことを話しました…。父と母は、反対もしましたが、不格好なわらぐつが運をよんだんじゃないかと言ったので、私はおよめにいきます。なにかとごめいわくをかけるかもしれま せんが、よろしくおねがいします。おみつ。
大工さん、この間のもうしこみ、こっちからおねがいします。親にそうだんしたら、「そんないい人にけっこんのもうしこみをされたなんて」「いい話じゃありませんか。ぜひいきなさい。」と言いました。私もいきたいと思っています。どうぞよろしくおねがいします。
大工さん、両親と話し合いました。みんな、賛成してくれました。大工さんはいい人だと、みんな分かってくれました。わらぐつを買ってくれたり、いいお話を聞かせてくれたり、ありがとうございました。おらは、大工さんのお嫁に行きたいです。
大工さん、この前のプロポーズありがとう。帰って家の人にいろいろ相談して、およめに行ってもいいことになりました。お父さんに、大工さんは私のことを神様みたいに大事にするつもりだよと言っていたと言ったら、すごいはっそうをする人だなと言っていました。まあ、どうかおねがいします。
おらが初めて作った不格好なわらぐつを見て悪口を言わなかったのは、大工さんだけです。あの時は、すごくうれしかったです。市の日には、いつも買ってもらってうれしかったし、大工さんの顔を見るのも楽しみでした。大工さんは、おらにやさしくしてくれました。でもあの時は、はずかしくて迷っていたけど、やさしくしてくれるならとてもうれしいです。だから、大工さんのおよめさんになって、心のこもったわらぐつを作ります。
あの後、家に帰って、お父さんやお母さんにあなたのことを言いました。わたしは、あなたのことを、やさしいとか、あの不格好なわらぐつを買ってくれた人とか、仕事場の仲間や近所の人の分も買ってくれたとか、そのほかいろいろと大工さんのことを言ったら、お父さんとお母さんはけっこんをゆるしてくれました。近いうちにけっこんしきをあげようと言ってくれました。およめにきてくれと言われたときうれしかったです。
おらのわらぐつをあんなにたくさん買ってくれてありがとう。ほんとに近所の人たちや仕事仲間とかにくばってるの。おらも自分が作ったわらぐつに神様がいると信じるよ。およめに行った時も、たくさんわらぐつを作るよ。その前に、とうさんかあさんにそうだんしてからくるよ。
大工さんへ。お父さんやお母さんに話すと、さんせいしてくれました。おらも考えてみたら、大工さんはやさしいし、えらい人のようで、とてもいい人だと思いました。とてもはずかしくて言えなかったから、手紙を書きました。今度の△月○日におよめにいきます。おみつより
大工さんへ。私は、大工さんがわらぐつを買ってくれて本当にうれしかったです。不細工なわらぐつをいいわらぐつだと言って、市があるたびに買ってくれてありがとうございました。お母さんやお父さんと相談して決めました。私は、大工さんのところへおよめに行きます。
大工さんへ。このあいだ、話を聞いたあと、おらは、大工さんのことをたのもしくて、えらい人のように思えてきました。その前にも、たくさんのわらぐつを買っていただいて、ありがとうございました。父と母に話しました。父と母はすぐにゆるしてくれました。おらは、大工さんのおよめに行きます。
こんにちは。私は、はじめ、なぜわらぐつをなんども買いにきたのかふしぎだったけど、もしかしたら、私に会いに、あのわらぐつを買ってくださったんじゃないですか?もしそうだったら…。あのわらぐつ、つかってますか?もしつかえなかったら、あなたの家で、ちょうどはけるようなわらぐつをつくります。どうかよろしくおねがいします。
大工さんへ。大工さん、おら、まよったけど、大工さんのおよめに行くことにきめました。大工さんの家で、あまり上手じゃないけど、わらぐつを作って、大工さんにいちばん上手にできたわらぐつをはいてもらいたいと思っています。どうかおらをよろしくおねがいします。
この前、およめにと言われて、少しびっくりしました。私の作ったわらぐつのことで、そんなに良く言ってくれるのも、びっくりしました。それで決めました。私は、大工さんの所におよめに行きます。こんな私だけど、どうぞよろしくお願いします。
大工さん、この前の言葉、私、とってもうれしかったです。家に帰ってからお父さんとお母さんと相談したら、「おまえのたった一回だけの人生だから、自分で考えなさい。」と言ってくれて、私、ずっと考えて決めました。大工さんのところにおよめに行きたいと思います。どうかよろしくおねがいします。
大工さん、りょうしんにそうだんしました。りょうしんは、おまんの気持ちしだいだといいました。おらはまよったけど、けっこんをすることにしました。めいわくはかけないつもりです。どうぞよろしくおねがいします。
こんにちは、お元気でしたか。このまえのこと、ありがとうございました。それで、お父さんとお母さんにそうだんしてみました。そのけっか、お父さんもお母さんも大さんせいで、それで、あなたのおうちでいつまでもわらぐつを作らせてもらおうかと思います。これからもずっとよろしくお願いします。
こんにちは。かぞくでそうだんしたら、およめにいってもいいということになりました。これからは、よろしくおねがいします。いくらでもわらぐつをつくります。
だいくさんへ。わたしは、あなたとけっこんしてもいいけどよ、でも、ほんとうにかみさまみたいにだいじにしてくれるとやくそくしたがさ。
大工さん、おらは、お父さんお母さんと相談して決めました。大工さんの家に行きたいと思います。よろしくおねがいします。
私の作ったわらぐつを買ってくれてありがとうございます。前から思ったけど、私、あなたのことが好きになったみたい。だから、私の父と母に相談して、いいよって言われて、よかったです。
いつもわらぐつを買ってくれてありがとうございます。おらは、あれから考えました。それで、けっこんすることに決めました。
こんにちは。わたしは、家にかえってお父さんとお母さんに相談しました。お父さんやお母さんは、反対はしませんでした。わたしも、お父さんやお母さんと同じ気持ちです。
大工さん、けっこんのもうしこみ、おら、よく考えて、おやにもそうだんしたら、いいよっていわれたの。だからけっこんしますよー。大工さん、おらを本当にかみさまみたいにだいじにしてね。
わかい大工さんへ。大工さん、おらははっきり言えないので、手紙でおしらせします。おらは、家に帰って考えました。それで、おら、きめました。おら、およめにいきます。おみつより。
こんにちは。わたしは、いつもわらぐつをつかっていただいているおみつです。あのプロポーズのことを、父さんやお母さんにはなすと、はんたいはされたものの、どうにかせっとくし、ゆるしをもらいました。どうかよろしくおねがいします。かじやおせんたくもどうにかできます。おりょうりも…。
大工さんへ。あれから、お母さんやお父さんにそうだんして決めました。お母さんもお父さんも、とてもおどろいていました。でも、自分が選んだいい人となら、と言ってくれました。いっぱいめいわくかけると思いますが、どうかよろしくおねがいします。
大工さん、この前の言葉はまだ頭の中にあります。今度の市のときもきてくだ さい。そして、名前をおしえてください。それでは、市でまってます。わらぐつ買 ってありがとう。
大工さん、名前おしえてくださいな。わらぐつをいつも買ってくれてありがとう。
大工さん。プロポーズありがとうございます。でも、まだきょうだいの下の子が小さいので、もう少ししたら…。それと、まだ母さんや父さんに言ってなくて…。
大工さんへ。大工さんの前の言葉は、とってもうれしかったです。それでも、まだ決まってないので、少しまってください。
大工さんへ。わたしは、あれから親に相談したら、「べつに、そういう人ならいいけど、およめに行くかどうか自分で考えなさい。」と言われ、わたしは、考えました。それで、この手紙を書きました。でも、もしわたしがおよめに行ってもいいと決めても、大工さん、あなたの方は結婚してもいいか相談したのかわからないし、けっこんしてもいいかもわからないので、今度おしえてください。また、いつもの朝市で…。
※ 手紙を書く活動に約十分間使った。大体書けたので、女子七名を机の並び順で(列)で当てて、発表させた。まだ少し時間があったので、最後に三人の女子に指名して発表させた。
今、示したように、どの子もとてもよく書けていた。子どもたちのの発表に対して、参観の先生方からどよめきが起こった。(大きな感嘆の声をもらした先生もあった。)どの子が発表しても同じような結果になっていただろう。
授業後の研究会で、次のような話し合いが行われた。
教頭先生から次のようなしめくくりの言葉をいただいた。
「久しぶりに心に残る授業を見ました。」