船中八策




船中八策(縦書き)

第一策 天下の政権を朝廷に奉還(ほうかん)せしめ、政令(せいれい)よろしく朝廷より出づべき事

第二策 上下議政局を設け、議員を置き、万機(ばんき)参賛(さんさん)せしめ、万機よろしく公議に決すべき事

第三策 有材の公卿(くぎょう)・諸侯、および天下の人材を顧問に備え、官爵(かんしゃく)(たま)い、よろしく従来有名無実(ゆうめいむじつ)の官を除くべき事

第四策 外国の交際、広く公議を採り、(あら)たに至当(しとう)の規約を立つべき事

第五策 古来の律令(りつりょう)折衷(せっちゅう)し、新たに無窮(むきゅう)大典(たいてん)を選定すべき事

第六策 海軍よろしく拡張すべき事

第七策 御親兵(ごしんぺい)を置き、帝都を守護せしむる事

第八策 金銀物価、よろしく外国と平均の法を設くべき事


 以上八策は、方今(ほうこん)天下の形勢を察し、(これ)宇内(うだい)万国に(ちょう)するに、之を捨て他に済時の急務あるなし。(いやしく)(この)数策を断行せば、皇運(こううん)を挽回し、国勢を拡張し、万国と並立するも、亦(あえ)(かた)しとせず。(ふし)(ねがわ)くは、公明正大の道理に(もとづ)き、一大英断を(もっ)て天下と更始(こうし)一新せん。



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