おらは食いしん坊だぁ〜の巻



○小6から始めたおさんどん
おらが小6の時におっかぁが土日競馬場でアルバイトする事になって、そんでお昼は自分で作って食べって事になった。早速、家にあった料理本を研究。いつのまにか土日の昼と夜は、おらぁの仕事になっちまった。だから大学1年位になると”おまえ板前になれへんか?”と父が言う程になっており、いろいろバイトしたけど、バイト先でも他の学生と全然違うって言うんで最初はウエイターで入っても結局厨房に入ってる事が多かった。板さん達は、好奇心が旺盛で料理好きの学生を随分と可愛がって、いろいろ教えたりいろいろやらせたりした。


○湖山の包丁人味平
芸は身を助くとか、大学生の頃は金が無くなると先輩の米や野菜でいろいろ作って、そんかわりただ飯食わせて貰うって事をよくやった。当時はやはり田舎から来てる人が多かったせいか、ピラフを作って”わしゃぁ飯にトマトジュース掛けて食うんわ初めてじゃぁ”とか、”長谷川、わしはホワイトソースっちゅうもんを食いたい”とか言われてリクエストにお答えしてるうち”湖山の包丁人味平”と言われるようになっちまったが、当時一番うけたメニューは白菜の煮付けだったりする。


○台所のゴキブリ亭主
んな訳だから、当然台所のゴキブリ亭主として暇があると家でも飯を作る事になる。何が得意って別に無い。食った事のあるもんは大抵作れると思うし、これまたしょっちゅう料理番組を見てるんだ、これが。


○ご馳走って何だろって話
音楽でもそうなんだけど、誰々の何って曲を誰々が演奏してるあのレコードのあの曲が好きって言う風に食べ物もそう、材料も大事だけど、調理も大事。雰囲気も大事だと思う。だから何が好きって特に無い、なんでも好き。昔米子市にあった結構評判の店で、刺身の切れの大きさが売りの店があったけど、正直言ってあんなのをありがたがってる連中の舌は絶対信用できないと思う。


○刺身の話
刺身って言葉は、もともと大昔漁に出て獲物を船長が切り分けて乗り組み員に配分すると言う行為を指す言葉だったらしい。量も問題だけど、部位も問題。魚の事を知り尽くしてないと乗り組み員から不平が出る。けど、今、刺身と言う調理は、どういう料理なのかと言えば、どういう風に切れば一番美味いかって言う調理法だと思う。一口で食べれて下触りや歯ごたえを考え最良の切り方を工夫する料理だと思ってるんで、それをお皿に載ったまんまでないと醤油皿には、到底入らないような大きさに切って、そこへ口を持って行って、なかなか噛み切れなくて、モゴモゴやってる。そんなに切れの大きいのが好きなら丸ごとかじれと言いたい。そんなぶつ切りの魚に食えもしない桜の枝を乗っけて出して、そういうの食いながら”大将の料理は芸術だぁ”と言ってる客を見ると、はったおしてやろうかと思ってしまった。”くわえ煙草で料理するのをやめろ!”と言いたかった。”養殖の魚をぶつ切りで出しやがって。”けど、後で聞いた話だけど、大将は大将で随分悩んでいたらしい。もともとはお客の喜ぶ顔みたさに、安くて良いもんをだし過ぎて経営が行き詰まったとか、それで今度こそは、ちゃんと利益も考えて商売してよ。と言われてはじめた店らしい。そうかぁ〜やっぱ余計な事は言わなくて良かった。皆それぞれ懸命に生きてるんだ。けど、これは寿司でも同じ。客も悪い。ネタの大きさが自慢で、到底口の中に入らないようなサイズにして評判になってる店も大坂にあるらしい。そういうのも良いけど、もっと真面目に食べようよ。そうそう、くわえ煙草で飯食う奴と、漫画読みながら飯食う奴とは、食事を共にしたくない。けどこれも本人に言った事ないなぁ〜。。。おらって気弱? でも確かあれはカナダだったと思うけど、友達があれこれ頼んで、適当に箸付け、おらのお皿にも適当に箸だけつけて、”さぁ帰ろか”と言った時は真剣に腹がたって喧嘩してしまった。だはっ(@^O^@)


○お寿司大好き!!
おらぁが初めて握り寿司っちゅうもんを食ったのは、いつごろだったんだろう。両親が”きょうは握り寿司にしょうか?”と言うと、万歳したもんだ。へへっ!! まぁるいちゃぶ台に白いお皿を一人各並べそこへおっかぁが握って一人各置いて行く。”おっかぁおらのはまだか?”てなもんで、カレーと並ぶご馳走だったね。♪ 初めて寿司屋に行った事はしっかり覚えてまっせ〜。あれは小5位の時かな、おじさんとわし等家族でどっかに遊びに行った帰りに阪神尼の双葉寿司に行ったんよね。回転寿司ができる前の話で、安さが売りの寿司屋だったけど、大学生になってバイトして最初に行ったのも阪神尼の双葉寿司あったね。良く見るとマグロの向うに白いシャリが透けて見えるような寿司だったけど、おらにはご馳走だったね。♪ なんせ思い切り食っても2000円位だもんね。うまいと評判の寿司屋を探して行くようになったのは、何を隠そう米子に来てからだす。美味いと聞けば行ったね。経費で。へっへっへ。中にはビールは絶対飲ませねーって店もありやした。江戸前の伝統を守ろうって感じの店でしたね。”泡の出る麦茶買って来ましょうか?”って言われたけど、最初から寿司には日本酒と決めてるおらぁなもんで、そんなもんは端からいらねー、それより早く握ってって感じ。(@^O^@)


○やっぱご飯だね。
でも、やっぱおらぁは刺身だけ食べるよりご飯と一緒が良いなぁ〜。寿司でなくても、普通の白いご飯でも良いから、生の魚はご飯と食べたいね〜。。そっそ。それと焼肉、あれもやっぱご飯だね〜、良く人から気持ち悪いと言われるけど、焼肉食いながらご飯たべながらビール飲むもんね、おらぁ。


○麺類大好き
ご飯好きの中には、なんでもかんでもご飯食べないと飯食った気がしないって人がいるけど、おらぁはそれほどじゃぁ無い。麺類も大好き。(@^O^@) 蕎麦?良いね〜。。。大学一年から3年までバイトしてたのが神戸の”まさや”本店は三宮だけどおらぁは赤塚山の神戸大学の寮の所にある店でバイトしてたんっす。あそこは本店は一番粉がメインに小麦粉つなぎ、赤塚山はひきぐるみがメインだったと思う。返しを寝かせてタレを作る結構本格的なお店だったけど、麺は機械打ちだったね。本格的な手打ち麺ってのもいろいろ食ったけど、一番最初にこれはうまいと思ったのは、やっぱ米子の”盛屋”かな。それから京都の祇園で蕎麦食って、あれが結構カルチャーショックだったね。一番粉の蕎麦が好きになったのは、あれからだもんね。京都はやっぱなんてたって出汁がうまいね。


○うどんを打つ
ある板前さんとお話をしてて、”うまいうどんとは、噛み始めはつきたての餅のようで、噛み切る前にぶちっと抵抗する”そういうもんだと言うお話を聞き、さてそれから何度も挑戦しましわね〜。。うどんは蕎麦に比べて水の量が約半分なんで、生地が堅いのよ〜。。だからどうしてもプロのように細くできなくて、不細工なうどんだったけど、しまいにゃ”ぼーめ計”と言って塩水の濃度を測る道具まで借りて6回目。ようやくこんなもんかな、って物を作れたけど、その直後に冷凍麺買って、”なぁ〜んだ、結構うまいじゃん”って事になり、うどん作りは止めてしまった。でも、最初噛み始めた時のつきたての餅のような感触は冷凍麺じゃぁ無理っすね。この辺だと名和の”醍醐”で、たまたま運良く湯掻きたての麺に出会うとあじわえるかな。鳥取の高架下の”平”あそこの出汁も気に入ってる。麺はおらとしては醍醐の方が好きかな。。でも醍醐も運悪く糊化した麺に出会う事もあるし、平はそういう事は無いけど、これはと言う麺に出遭った事も無いかな。一時は毎日のように行ってたけどね。


○トマトの奇跡
おらはまんだ手打ちスパゲティーを食った事が無いんで、是非これを読んだ人で手打ちスパゲティーのおいしい所をご存知の人がいれば教えてくださいませ。もっぱら乾麺なんすがね。トマトソース作りを覚えてから随分とスパも作りましたです。おらは大きな勘違いをしてのです。最初はブイヨンをどうするかに拘ってたんで、手軽に美味いソースを作る事ができなかったんですね。つまりトマトの奇跡を知らなかったんですな。なぁ〜んて事は無い。トマトだけで十分美味いのですよ。なんでだか判らないけどトマトだけで十分に旨味があるんですな。あとはニンニクとオリーブオイル、それにローリエや赤唐辛子のようなお気に入りのスパイスがあれば十分にうまいのです。そうそう煮過ぎは禁物っす。


○塩の魔力
これも超〜不思議な事なんすがね。まず鰹節の出汁があるとしましょ。ちょっと物足りない位の味のもんです。これに塩をひとつまみ。。なっなんと不思議、さっきより旨味が増している。更にもう一つまみ、あらら、なんと不思議、さらに旨味がましている。更にもう一つまみ、あらら旨味が減って塩辛くなっちまったい。って実験してみた事ないっすか? 不思議なんですよね〜。。どうも塩には、絶対的な一点があるように思えてならないのですよ。随ってスパゲティーのソースもそう、その一点が問題なんだけど、麺類や丼物の難しい所はご飯の分、麺の分の塩が要るって事なんですよね。スパゲティーの場合は麺を茹でるお湯に塩を結構入れて、スパゲティーの麺そのものに程よい塩味を付ける事で、ある程度補えるけど、それにしても麺の塩とスープの塩を考えないといけない事は勿論の事。最近では麺を固めに茹でて、ソースと絡めてから最後の一塩をするようにしてますです。


○青菜の青
京都のスナックで元芸者さんのお店があって、そこでちょいと出て来た青菜の煮含めが美味かったんですよ。あれきっと青菜をゆがすか、出汁で煮て一旦さましてから汁に浸す、所謂おひたしだったんだろうなって思うんですがね。青菜のシャクシャク感も残り、良く出た出汁にあげの油のコクがあり、う〜んどうしたらこういうものが作れるのだろうと思いましたです。炒めるって調理法は野菜の水分を飛ばしてシャクシャク感を残しより濃厚な味わいにするもんだと思うんですよね。ゆがすもそういかに短時間で火を通してシャクシャク感を残して調理するかだと思うんですよね。そういう時の青菜の青って、とっても綺麗。うまく炒めた青菜は塩だけで十分にうまいっす。


○料理人の恥
おらぁは料理人では無いんで、こんな事を言う資格は無いんですがね。一番やちゃぁいけない事ってのは、足しすぎて駄目にする事じゃぁ無いでしょうかね〜。。折角の出汁に塩分を加えすぎて辛くて食べれなくしてしまったり、いれちゃいけない材料をいれてしまって、味を濁らせたり舌触りを駄目にしたり、そういう失敗をして不味いものを作ってしまった時は、ほんと、心から反省してしまいますです。ちゃんと味見をすれば良いのに、がさつな事をしてしまって。。でも、そういう失敗は結構ありますです。おらぁは出しっぱなしにして魚を痛めたり、パンを乾かしてしまったり、醤油入れすぎたり、砂糖入れ過ぎたり、そういう失敗すると本当にがっくり来て反省猿になってしまうのです。


○やっぱカレーでしょ
カレーは、まぁ〜ありとあらゆる作り方をしてみましたですね〜。。もちろん、小麦粉炒めたりもしたし、朝岡香辛料のカレーペーストを買って使った事もあるし、いろんな香辛料を買って自分でカレー粉を作るって言うか、カレー粉と言うものの存在しないカレーも作ってみましたが、やっぱ、おらぁはカレーのじゃがいもが好きなんですよね。だからとろみは玉葱とじゃがいもでつけるんです。それとブイヨンには鰹節を使ってます。モルジブフィッシュとカツオ節って似てると思いませんか? 例えば鳥の水炊きをした翌日に、その残り汁を丁寧に漉して、玉葱やセロリやパセリなどの香味野菜とクローブ、赤唐辛子月桂樹の葉を入れてパックに鰹節を詰め込んで、それにトマト、とトマトジュースですね、こいつを入れてブイヨンを似ながら、玉葱をいやって言う程、炒めると揚げるの中間位の感じにします。十分にきつね色から茶色のペースト状になったら、そこへまずおろしにんにく、しばらく火を通したらおろし生姜、にんにくを入れると焦げるんで、手早く朝岡香辛料のカレー粉とクミンシードを少々入れて、そこへブイヨンを漉しながら流し入れます。ジャガイモやにんじんは皮を剥いて面取りした後、面取りしたジャガイモ、にんじんを別に炒めてブイヨンの中へ放り込みます。そこで塩をたっぷり鍋に、しばらく煮込んでから面取りした方のにんじんが先、それからじゃがいも、最後に鶏肉は前日からカレー粉と胡椒とヨーグルトに漬けておいて、表面を油で炒って鍋の中に入れたら15分位で、火を停めて足りない香辛料や塩を補って出来上がりなんですが、ポイントは鳥肉を煮すぎてパサパサにしない事と、塩ですね。ご飯の分の塩を考えないとカレーライスとして物足りない感じになります。イタリア人のような濃い味も好きじゃないけど、なんでもかんでも薄味にすりゃぁ良いってもんじゃ無いとおもいやすですね。後、朝岡香辛料のカレー粉はお薦めっす。


○スパイスと漢方薬
フェンネルは、茴香(ういきょう)または小茴香、スターアシスまたの名前を八角茴香が大茴香かな、ウコンは鬱金(うこん)。クローブが丁子。クミンもセイジもサフランもみぃ〜んな漢方薬として漢方の名前を持っているんですよ。しかも、香辛料として買うよりも漢方薬として買った方が安くて高品質なんですよ。誰ですか、知り合いのお医者さんに処方箋書いて貰って保険で買う奴は、そんな事しちゃぁ駄目よ〜ん。


○僕等はみんな生きている
僕等はみんな生きている、生きて行くには食べなきゃいけない。食べる為には他の命を奪わなくてはならない。みんなそうして生きている。それなのに自分で手を汚した事は一度も無い。いつも誰かのお世話になって、なんとか生かして貰ってる。生きて他の役に立ちたい。だから一生懸命食う。食う前に手を合わせて食う。食い終わってまた手を合わせる。吐く程食わない。美味しい物をもうちっと食いたいなと思う程度でやめておく。そいつがおらの食いしん坊哲学。
”適当に切って炒める? なぁに〜っ !!”なんて言ったら顰蹙買うんで、言った事ないですけど、炒めるって調理は切る時が勝負とまでおらぁは思ってるんでがす。素材によって歯ごたえが違うんで特出したい素材はそれなりの大きさに、歯ごたえが強く脇役に回ってほしい素材はそれなりに小さく、柔らかく。ちゃぁ〜んと訳を考えて、どういう切り方が一番うまいか考えながら切る。出来上がりを考えながら鍋に入れる順番を考えながら作りたいね。煮物もそう厚〜い鍋で沸騰させないよう、コトコトいっちゃぁ駄目なんだよね、静に静に煮たいもんです。だって野菜も肉も魚も皆生きていたのです。おらぁに言わせれば皆、菩薩です。粗末にあつかって腐らせたり、不味く作って残して捨てたりしてはいけません。全部美味しく頂くのがもっとうなんです。だから、フォアグラがとか、大トロがとか、そんな事に拘る食いしん坊には、なりたく無いです。なんでも良いのです。新鮮な魚には新鮮さを活かした調理を、そうでない魚にはそうでなくても美味しい調理をしようと努力してくださったものは美味しい。もちろん例えば寿司と言う料理を作る為に新鮮で美味い素材を探してくるのも調理の大きな要素です。でも、おさんどんは、そうでは無いかも知れない。例えばとっても新鮮な”はまち”を頂いたとします。もちろん今夜はお刺身。でも、それだけで食べきれない時は、ご近所に配るのも良い、それから腹の部分は今夜刺身にして、シッポの辺とカマは焼いて今夜食べよう、背の身は醤油と生姜と赤とうがらしにつけて明日熱いご飯にのっけてわさびと胡麻と海苔を降って庭から三つ葉をとってきてお茶漬けに。残りの骨やアラは焼いてから出汁にして大根の味噌汁に、中骨の身をスプーンでこそぎ落としてすり鉢ですって胡麻油に生姜に味噌少々で団子にして味噌汁の身の一つに。えっ”団子が出来る程中骨に身ぃ〜残すようじゃぁおしまいだ!”って、”すいませんですぅ。気をつけますぅ。” 皮はフライパンで焼くか、から揚げにしてキュウリと酢の物にして、最後に骨をぱりぱりに焼いて、こいつで最初にビールを一杯。息子が喜んでご飯おかわりに入ったぞっ !!