あれはちょうど僕が会社を辞めた頃だったと思う。
真夜中に長尾鼻に行った。
恐いような真っ暗闇の中をとぼとぼと展望台の方へ向かうと
突然、赤い月が低く北の空に出ていた。
満天の星と遠い漁火の真中にそれは、僕の居る場所へ
光の橋をかけるように波を明るく照らしていたのです。
もう辞表は出してしまった。後戻りはできない。
そんな思いの中で、僕はいつまでもぼんやりと
赤い月を眺めていた。
説明
今の所インターネットエクスプローラで無いと音がでません。