パートタイム労働法では、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用されている
通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」としています。
しかし労務を提供し、使用者から賃金を受けている以上労働基準法、最低賃金法、
労働安全衛生法、労災保険法等の適用を受ける労働者であることに変わりはありません。
通常に正規に働く従業員が40時間であるとした場合、1週間の所定労働時間が
通常と比べて短いとは、39時間、38時間以下の人を指しますが、次の要件を
満たしている場合には、年齢と所定労働時間に応じて下表の通りの被保険者となります
(1) 週所定労働時間が20時間以上であること
(2) 1年以上引き続き雇用されることが見込まれること
なお、被保険者とならないのは5人未満の農林水産の個人事業所に雇用される者の他、
@65歳以上で新たに雇用される者 A週所定労働時間が20時間未満の短期時間労働者
B4か月以内の季節的事業に雇用される者などです。
週所定労働時間 | 年 齢 | |
65歳未満 | 65歳以上(注) | |
30時間以上 | 一般被保険者 | 高年齢継続被保険者 |
30時間未満 | 短時間被保険者 | 高年齢短時間被保険者 |
(注)65歳に達する前から同一の事業主に雇用されていた者に限る
雇用保険法ではパートアルバイトの区分がなく、40時間以内の場合短時間就労者
という名称となっています。具体的適用の仕方して40時間以内で働く人でも、
1年以上働く雇用契約であり、20時間以上であれば短時間被保険者として登録し、
20時間以上であっても1年未満であれば雇用保険に加入しなくてよいことになります。
たとえアルバイトという名称であっても40時間の場合、1年以上の期間で働く人は、
雇用保険の一般被保険者の対象としなければなりません。
※注意点
通常の労働者と労働時間及び就業の実態がほぼ同一のパート、アルバイトには、
通常の労働者と同様の処遇をしなければありません。名前がパート、アルバイトという
だけで差別的な扱いをすることは許されません。
昼間学生の雇用保険上の扱いは「行政手引き」によると次のようになっています。
学校教育法第1条にいう学校の学生・生徒等で、通信教育を受けている者、夜間又は
定時制の課程のもの以外の者(以下「昼間学生」という)は適用事業にこようされても、
雇用保険法上の労働者とは認められく、雇用保険の被保険者となりません。
ただし、昼間学生であっても、次の場合には、被保険者となりまする
@卒業見込証明書を有する者が、卒業前に就職し引き続きその事業所に勤務する予定
の場合
A休学中のもの又は一定の出席日数を過程修了の要件としない学校に在籍す者で、
その事業所で同種の業務に従事する通常の労働者と同様に勤務できる場合(この場合は、
その事実を証明する文書の提出を求める)
専修学校、各種学校の学生の場合には、事業の時間、過程の内容から見て昼間学生と
同様の状態にあると認められた者については、昼間学生と同じ取扱いになります。
同時に2つ以上の雇用関係になる労働者については、そのものが生計を維持するため
必要な主たる賃金を受ける、1つの雇用関係についてのみ雇用保険の被保険者の
申請をします。
更新の有無及びその考え方の説明例 | ・特別の事情がない限り自動的に更新する。 ・契約期間満了の都度更新の可否を判断する。 ・特別の事情がない限り契約の更新はしない。 |
更新・雇止めを行う場合の判断基準の説明例 | ・契約期間満了時の業務量により判断する。 ・労働者の業務成績、態度により判断する。 ・労働者の能力により判断する。 ・会社の経営状況により判断する。 ・従事している業務の進捗状況により判断する。 |
更新しない理由の具体例 | ・前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが 合意されていた。 ・契約締結時当初から上限期間が設定されていた。 ・事業縮小のため ・業務遂行能力、勤務不良等のため |
賃金に関しては、一般労働者との違い(短期間雇用、臨時制、時間給)や一般労働者との均衡等を
考慮して合理的に定められるべきです。なお賃金額は地域で産業別に定められている最低賃金額
以上でなければなりません。
6ヵ月間継続して勤務し、その間決められた労働日数の8割以上出勤すると年次有給休暇が付与されます。
年次有給休暇の日数は所定労働日数や勤続年数によって異なります。対象となるのは@所定労働時間が
4日以下の労働者、A1年間所定労働時間が216日以下の労働者です。これ以上の場合については、通常の
労働者と同じ日数の年次有休暇が付与されます。
パートタイマーについても、事業主は安全衛生法の定めるところにより健康診断を行うことが必要です。
(パート労働指針)
事業主は、育児・介護休業に関する制度その他の必要な措置を、パートタイマーについても講じる必要が
あります。
パートタイマーやアルバイトが、どんな場合社会保険加入手続きが必要となるか社会保険に入りたがらない
パートやアルバイトが多いのですが、本人が希望しない場合でも、健康保険と厚生年金については、適用事業所に
雇用される者であり、同一事業所で働く通常の社員と比較して、(1)1日または1週間の所定労働時間が
概ね4分の3以上であり、かつ(2)1月の所定労働日数が概ね4分の3以上の者は本人の意思にかかわりなく、
加入要件を満たす限り加入させなければなりません。
例えば、一般社員の労働時間が1日8時間、1週間40時間で、月の労働時間が20日の事業の場合、パートタイマー
の労働時間が1日6時間以上か週30時間以上で、1か月の労働日数が15日以上の者については、社会保険に
加入させなければならないことになります。ただし、この要件に該当する場合にも、(1)日々雇用されるもの(ただし、
1ケ月を超えて雇用するものを除く)(2)2か月以内の期間を定めて雇用するもの(3)4ヶ月以内の期間を定めて
雇用する季節的業務者については、被保険者から除外されます(健康保険法第13条12)。しかし、これらの者で、
それぞれの期間を超えて引き続き雇用したときは、被保険者となりますので、その時点が加入させなければ
ならないことに注意が必要となります。
なお65歳以上70歳未満の者も、厚生年金の加入対象者となります。
要 件 |
所定労働時間 年収 |
所定労働時間が 通常の労働時間の 4分の3以上 |
所定労働時間が通常の労働者の 4分の3未満 |
|
年収130万未満 | 年収130万以上 | |||
適 用 |
医療保険 | 健康保険等被用者 保険の 被保険者 |
健康保険等被用 者保険の 被扶養者 |
国民健康保険 の被保険者 |
年金 | 厚生年金等被用者 年金の被保険者 (国民年金2号被保 険者) |
厚生年金等被用 者年金の被扶養 配偶者(国民年 金3号被保険者) |
厚生年金等被用 者年金の被保険 者及び被扶養配 偶者でない者 (国民年金1号被 保険者) |