脳性麻痺(Cerebral palsy, CP)とは | |
受精から生後4週までの間に、何らかの原因で受けた脳の損傷によって引き起こされる運動機能の障害をさす症候群である。 運動障害・肢体不自由者の発症要因の約7割が、当症候群だとされる。 遺伝子異常によるものや、生後4週以降に発症したもの、暫定的なもの、進行性のものは含まれない。 |
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分類 | |
損傷部位による分類 | |
アテトーゼ型 大脳の運動神経系、錐体外路の大脳基底核が損傷されたケースで不随意運動を特徴とする。 特徴1 不随意運動がある。筋緊張の変動があり、一定の姿勢の保持や運動範囲のコントロールが困難。 特徴2 純粋のタイプでは 腱反射の亢進やバビンスキー反射など錐体路系の障害による病的反射は出現しない。 原始反射・姿勢反射の消失異常あり。 特徴3 障害の程度にもよるが、一般的に関節拘縮は起こらない。 しかし、筋緊張の亢進したタイプでは、筋緊張から痙直型と同じような拘縮が起る場合がある。 特徴4 顔面の不随意運動による言語障害が著明。 発語、発声の運動障害・筋緊張の過度な動揺による運動の不安定性・協調性の困難さあり。 さらにこれによる、咀嚼嚥下(えんげ/のみこむ)障害及び流涎が比較的軽症の場合でも多く出現する。 特徴5 知的発達は正常を保たれることが多い。痙直型に比べると知的発達の遅れは少ない。 特徴5' 知的発達が正常である場合、本人の意欲と身体的運動能力が一致しない。 身体が思い通りに動かないことに欲求不満を抱えがちである。 特徴6 感音性難聴を合併することも少なくない。 失調型 小脳もしくはその伝導路が損傷されたケースで四肢麻痺、震顫(しんせん/ふるえ)、バランスの悪さ、運動コントロールの不安定性、抑揚に乏しい単調なゆっくりとした話し方などを特徴とする。 痙直型 大脳の運動神経系の錐体路系が損傷されたケースで、四肢の筋緊張の亢進を特徴とし、折りたたみナイフ現象が見られる。障害が現れる部位によって片麻痺、対麻痺、四肢麻痺、両麻痺などに分類される。視覚・認知障害、斜視を合併することが多い。 固縮型 錐体路、錐体外路ともに障害があり、四肢麻痺が出現する。強固且つ持続的な筋緊張のため、関節の動きは歯車様となる。 混合型 痙直型とアテトーゼ型の症状を併せ持つケースなど同時に二つ以上のタイプが混合している状態を指す。 |
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運動障害の範囲による分類 | |
単麻痺 四肢のうちどこか一肢のみが冒されたもの。 片麻痺 左右どちらかの片側の上下肢が冒されたもの。 対麻痺 両下肢のみ冒されたもの。 両麻痺 四肢すべてに障害があり、上肢の障害が比較的軽いもの。 通常は痙直型に出現する 首のすわりや言語・上肢機能が比較的良い場合が多い。 四肢麻痺 四肢すべてに障害があり比較的重度のもの。各タイプに出現する。 アテトーゼ型四肢麻痺では上肢より下肢の障害が軽いケースも少なくない。 |
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原因 | |
周産期仮死、低体重出生、核黄疸が挙げられ、脳障害の病因発生の時期に応じて、胎生期・周産期・出生後に分けられる。 胎生期の原因 脳の発生の過程で問題が生じる脳形成異常 脳出血 虚血性脳障害 周産期の原因 胎児仮死 新生児仮死 核黄疸 脳室周囲白質軟化症(PVL) 出生後の原因 脳炎・髄膜炎 脳血管障害 |
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合併症 | |
精神発達障害 運動発達障害 てんかん 視覚障害 聴覚障害 視覚や聴覚などの認知発達の障害 情緒・行動障害 |
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参考資料 | |
Wikipedia 「脳性麻痺」 | |
![]() 2019-8-15 |