歯牙腫 (Odontoma)

 歯を形成する硬組織、すなわちエナメル質、象牙質、セメント質の一部または全部のものが増殖してなる混合性の歯原性腫瘍である。

成因
慢性の外傷ごとき機械的刺激はその一因になるといわれるが、明確ではなく通常不明といわれている。

好発年齢と部位
1020代に多く、複雑性歯牙腫は下顎大臼歯部に、集合性歯牙腫は一定ではないがほぼ下顎大臼歯部に多い。

臨床症状
顎骨内に埋伏し、無痛性にきわめて緩慢に増大する。
発育するにしたがって周辺の歯牙を圧迫し、歯根の吸収、歯列不正を起こすことがある。
比較的大きなものは、その部分の顎骨表面が凹凸不整に膨隆するが、鶏卵大以上になることはまれである。
歯列中、腫瘍発生に関与した歯牙は欠如するが、過剰歯の場合はそのかぎりではない。
まれに顎骨内の神経枝を圧迫して神経痛様疼痛あるいは神経麻痺の原因となる。

X線所見
単純性歯牙腫ではその大きさと形に一致した均質な不透過像を示し、周囲骨とは細い線状の透過像で境されている。
集合性歯牙腫では個々の小歯牙様石灰化物に一致して小塊状の不透過像の集合した像が見られ、この集合物をさらに囲んで線状の透過像が見られる。
治療法
摘出する。腫瘍は骨との癒着がなく容易に摘出される。


症例ノート