唾液腺と唾液分泌
         耳下腺:漿液性(20%)
        顎下腺:混合性(75%)
        舌下腺:混合性( 5%)

        
                上条:「口腔解剖学」より参照


U:唾液について

(1)唾液の分類
  @分泌部位による分類
   1)混合唾液(全唾液)
        大唾液および小唾液腺から分泌されたものが口腔内に貯留したもの。
        混合唾液には、歯肉溝滲出液や、剥離した口腔粘膜上皮、白血球、口腔内常在菌、食物残渣などが含まれる。
   2)純唾液
        各唾液腺から分泌される唾液。

  A刺激の有無による分類
   1)刺激唾液(反射唾液)
       食物による味覚や嗅覚による刺激、酸などの化学物質による刺激、機械的刺激により分泌された唾液。
   2)安静時唾液(固有唾液)
       刺激が加わっていないときに分泌される唾液。

(2)唾液の組成・化学
  @ 物 性
       比重 :1.000−1.008 pH  :6.2−7.6 (平均=6.8)
       浸透圧:他の組織液に比べて低張(1/2以下)

  A 組 成
   1)水分(99.5%)
   2)有機成分
       唾液アミラーゼ、マルターゼ、血清アルブミン、血清グロブリン、ムチン、尿酸、尿素
   3)無機成分
       Na、K、Cl、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム
   4)その他

(3) 唾液の働き
  @物理的作用
   1)潤滑作用
       粘膜を唾液が覆うことにより、咀嚼・嚥下・発声を容易にする
   2)粘膜保護作用
       唾液粘液(ムチン)の被覆により各種の刺激から粘膜が保護される
   3)咀嚼の補助作用
   4)洗浄作用
       口腔内入った微生物・異物・食物残渣等は唾液にトラップされ、嚥下されて胃液よって処理される。
  A化学的作用
   1)消化作用
       アミラーゼによる伝ぷうの消化。意義は少ない。
   2)溶解作用(溶媒作用)
       食物中の味質を溶解し、味覚の発現を助ける
   3)緩衝作用
       酸・アルカリに対する中和作用。温度の希釈。
  B生物学的作用
   1)抗菌作用
       リゾチーム、ペルオキシターゼ、ラクトフェリン、ヒスタチン、分泌型IgA(SIgA)、等の抗菌因子が抗菌作用を示す。
   2)排泄作用(溶媒作用)
       体内に投与された薬物の一部は唾液中に排泄され、血中濃度を減じる。

(4)唾液の分泌
   1日唾液分泌量=1000ml−1500ml (700ー800mlという文献もある)
    唾液分泌量
       grade1    10ml/10分以上 正常
       grade2   10> x ≧5
       grade3    5> x ≧3 異常
       grade4    3> x ≧1 異常
       grade5    1ml/10分未満

  @各唾液腺における分泌
   1)安静時唾液
      顎下腺=65%  耳下腺=23%  舌下腺=4%  小唾液腺=8%
   2)刺激唾液
      耳下腺の分泌量が増大し、50%以上になる。

  A分泌量の神経支配
      交感神経、副交感神経の二重支配を受ける。

(5) 唾液分泌の変化
  @加齢による変化
   1)加齢による唾液腺の形態学的変化
      70歳以上から形態に変化が生じる(腺房細胞の減少)
      しかし分泌量と形態学的変化の関係は不明。

   2)加齢による唾液組成の変化
      加齢に伴い、ムチン、分泌型IgAの濃度が減少。
      これは、細菌その他の因子に対する防御機能の低下を示す。

   3)加齢による唾液分泌量の変化
      安静時唾液 :加齢による分泌量変化が認められる(特に、閉経後の女性に著明)
      刺激唾液 :加齢による分泌量変化は少ない

      よって食事中は分泌唾液量に変化は少ない。
      高齢者の口腔乾燥症状は加齢だけではなく、内服薬、唾液組成の変化等の他の因子の関与が考えられる。

  A内服薬が唾液分泌に及ぼす影響
     唾液分泌の減少をもたらす薬剤=約400種類
   1)特に副作用の強い薬剤
      三環系抗うつ薬:トフラニール、アナフラニール
      抗精神病薬  :ウインタミン、コントミン
   2)その他の薬剤
      降圧利尿剤、抗ヒスタミン剤、抗コリン作動薬(抗パーキンソン薬):アーテン、アキネトン