歯根嚢胞 (Radicular Cyst)

本嚢胞は、無髄歯の慢性根尖性歯周炎の経過中に歯根尖部に形成される嚢胞です。
根尖性嚢胞あるいは単に歯根嚢胞とよばれ、顎嚢胞のうちで最も発現頻度の高いものである。

成因
根尖部歯槽膿瘍の膿瘍壁が上皮化されて生ずる場合や、歯根周囲にあるMalassezの遺残上皮やHertwigの上皮鞘の遺残が肉芽腫の形成により反応性に増殖したのち、変性融解の過程を経て歯根嚢胞へと発展する場合があると考えられている。

臨床症状と診断
診断にはまず原因となる失活歯の確認が重要である。
大きさは通常エンドウ豆大であるが、中には鶏卵大にまで大きくなるものがある。
ゆえに小さいものでは自覚症状がなく、大きくなると骨の膨隆、羊皮紙音や波動を触れることもあります。
穿刺により淡黄色漿液性の内容物を認める。
X線所見においては、原因歯の根尖部に歯根膜線から移行した円形で辺縁の明瞭な単房性の透過像を示します。

治療法
嚢胞が小さい場合は根管治療のみで治癒することもあるが、一般に根尖切除術が行われる。
病巣が歯根の1/3以上を含む場合は、嚢胞の摘出とともに原因歯の抜去を行う。

症例ノート
  症例1
    下顎小臼歯部に発生した歯根嚢胞
    局所麻酔下に嚢胞摘出術、歯根端切除術を行いました。
    原因歯は抜歯することなく、保存できました。