舌癌(carcinoma of the tongue)
舌癌について
 通常、口腔癌としての舌癌は、UICCが提案しているものとして、舌の前の2/3をいいます。
 これは口蓋舌弓と有郭乳頭の線から前方の舌背および側縁、また舌下面に生じたものを指します。
 また舌癌の発生率は口腔癌のうち約60%あるいは約48%ともいわれており、口腔癌のうち最も多いものです。

 組織学的にはそのほとんどが扁平上皮癌であって腺癌はまれです。
 分化度は高分化型が多いが、やや低分化型のものも少なくありません。


治療法
 治療法としては、舌の外科的切除(部分切除術、全摘出術)、放射線療法(x線、コバルト照射、ラジウムやラドン・シードの組織内照射)、化学療法、免疫療法などを行います。
 最近では再建術の発達に伴い、原発巣の根本的な外科的切除および頸部郭清術の広範な利用がなされるようになりました。
 治療法として古くから舌原発巣の外科的切除と5年生存率は、stage1で72%、stage2.3で放射線療法が行われていますが、最近では原則的に放射線療法を行い、頸部リンパ節の転移腫瘍に対しては観血的に除去、すなわち頸部郭清術を行うのが通法です。
 もちろん同時に化学療法を併用している。
 一般に頸部転移腫瘍は放射線の感受性は低く、外科的郭清が優先され、その後照射も行われることになります。
 いずれにしても頸部リンパ節転移腫瘍治療の成否は、舌癌の予後を大きく左右するほど重要です。
 郭清時期については、予防的郭清あるいは治療郭清と種々意見のあるところですが、予防郭清術の際の機械的刺激による癌細胞播種を避けること、予防郭清の瘢痕性癒着による再度の郭清術を困難にならしめること、また可及的にリンパ節を残存せしめその機能を発揮させることなどの理由によって予防郭清は行わないとの方法を採用している事が多いようです。


予後
 予後としては、年齢、性別、発生部位(舌前2/3、舌根に近いなど)、病期の進行度および開始時期などによって大きく影響を受けます。
 もちろん早期発見、早期治療が最大の好結果を与えることはいうまでもありません。
予後を左右する因子
 年齢では60歳以上は予後は悪い。
 発生部位として舌前部より舌後部が予後が悪い。
 組織型では未分化なものほど予後が悪い。
 原発巣の進行様式、たとえば周囲組織への浸潤がなく、腫瘍の大きさは2cm以内で、所属リンパ節に転移のないものは予後良好で、その逆は不良といえる。



症例ノート
  

症例1

左舌縁部の扁平上皮癌

症例2

右舌縁部の扁平上皮癌