黒毛舌

  
黒毛舌とは
舌の糸状乳頭が角質増生により著しく延長し、舌に毛が生えたように見える状態を毛舌といいます。
それらはしばしば着色を伴い、その多くは黒色で、このようなものを黒毛舌といいます。

原因と誘因
最も多いのは、内服や口腔薬の抗生物質や副腎皮質ホルモン剤の使用中に発症します。
主として菌交代現象による口腔内細菌叢の変化が原因と考えられています。

特にcandida albicansあるいはある種の枯草菌が異常に増殖し、それらがこのような黒色の色素を産生するものとみなされています。
このほかタバコ、飲食物、有色の薬剤によって舌に種々の着色をみることがありますが、原因が明らかでないこともありまた胃腸障害、糖尿病、腎障害なども誘因としてあげられています。

臨床症状
症状

黒色の糸状乳頭の延長、密生が著明なのは舌背の後半中央部で、後部から前方へと進展します。
糸状乳頭延長部の境界はあまり明瞭でなく、黒変部の境界は比較的明瞭で限局しているものが多いですが、なかには舌背に広くびまん性に境界不明瞭な着色がみられることがあります。
色は黒色か黒褐色ですが褐色のときもあります。
濃度もさまざまであす。糸状乳頭の角化が著明なものは白色調もまじわります。
異常な着色のほかは、とりたてて症状がないことが多いです。

しかし、糸状乳頭の延長が著しいものでは、そのことによる違和感があり、また食物残渣が停滞しやすく細菌も増殖し、口臭や不快感、ときには味覚障害も訴えることがあります。溝状舌が基盤にあることがあります。

診 断
黒毛舌は特有な所見を示し鑑別しなければならない疾患はほとんどありませんが、本症発生の原因や誘因、すなわち抗生物質使用による菌交代現象によるものか、食品などの摂取物による一時的な着色かなどをみきわめることが肝心です。

治療法
抗生物質などの薬剤を使用している場合は、出来れば使用を中止するか薬剤を代えてみます。
局所的にはイソジンガーグル、過酸化水素液の含嗽や塗布、オラドール、SPトローチなどのトローチの使用があげられます。
さらに口腔清掃に努めます。

症例ノート