正中菱形舌炎

  

正中菱形舌炎とは 
真の炎症ではなく、舌の先天異常で、舌発生時存在してい無対結節の沈下不全によって起こるといわれている。
通常、舌背正中後方部の楕円形ないしは菱形の赤斑として現れ、結節状に隆起していることもあり、正中菱形舌結節と呼ばれることもある。

臨床的特徴
中年以後の男性に圧倒的に多く発現し、舌背正中後方の有郭乳頭直前に平坦または隆起を示す長い楕円形、または菱形の非炎症性赤色斑として認められる。
その部は有郭乳頭、糸状乳頭を欠如している。

臨床症状
一般に自覚症状はなく、他の歯科治療に際し偶然に発見されることが多い。異常に隆起している場合には異物感を訴えることもある。
二次的に炎症を伴うと発赤、腫脹、疼痛などがみられ、舌炎の病名にふさわしい状態となる。またカンジダ症を伴って白色を呈していることもある。


診 断
診断は、舌正中後方部における乳頭を欠如し、自覚症状を有しない楕円形ないしは菱形の赤色斑により比較的容易であるが、ときには結節状隆起を示し、腫瘍を疑い生検を必要とすることがある。

組織学的には有郭乳頭、糸状乳頭を欠如し、不全角化を伴う上皮の増殖と、血管、リンパ管の拡張、増殖をおもな変化とする。

治療法
特別に処置を必要としない。

症例ノート